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明細書 :パラジウム錯体、該パラジウム錯体を用いたカップリング反応、及び該カップリング反応を用いた有機アルキン化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-160140 (P2017-160140A)
公開日 平成29年9月14日(2017.9.14)
発明の名称または考案の名称 パラジウム錯体、該パラジウム錯体を用いたカップリング反応、及び該カップリング反応を用いた有機アルキン化合物の製造方法
国際特許分類 C07F   9/6553      (2006.01)
C07F   7/08        (2006.01)
C07F   7/10        (2006.01)
C07F   7/12        (2006.01)
B01J  31/30        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
C07F  15/00        (2006.01)
FI C07F 9/6553 CSP
C07F 7/08 R
C07F 7/08 S
C07F 7/08 G
C07F 7/08 C
C07F 7/10 S
C07F 7/10 T
C07F 7/12 V
C07F 7/10 V
C07F 7/12 Z
B01J 31/30 Z
C07B 61/00 300
C07F 15/00 C
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 30
出願番号 特願2016-044498 (P2016-044498)
出願日 平成28年3月8日(2016.3.8)
発明者または考案者 【氏名】山口 潤一郎
【氏名】伊丹 健一郎
【氏名】瀧瀬 瞭介
【氏名】熊澤 一将
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4G169
4H039
4H049
4H050
Fターム 4G169AA02
4G169AA06
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BB08B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BD14B
4G169BE01A
4G169BE11B
4G169BE21A
4G169BE21B
4G169BE26A
4G169BE26B
4G169BE36A
4G169BE36B
4G169BE38A
4G169BE38B
4G169CB25
4G169CB64
4G169ZA02A
4G169ZA02B
4H039CA39
4H039CD90
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ07
4H049VQ08
4H049VQ19
4H049VQ57
4H049VQ59
4H049VQ60
4H049VQ61
4H049VQ62
4H049VQ64
4H049VQ65
4H049VR24
4H049VS04
4H049VT17
4H049VT37
4H049VT38
4H049VW02
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB40
要約 【課題】ハロゲン化アリールに代わるエステル基を有すアリール化剤を用いた、有機アルキン化合物の合成に使用できる新規なパラジウム触媒の提供。
【解決手段】式(1)で表されるパラジウム錯体。
JP2017160140A_000047t.gif
[Z’は、環又は環を形成せず、環を形成している場合は芳香族炭化水素環、又は5員環若しくは6員環のヘテロ環;R~Rは夫々独立に置換/無置換のアルキル基又は置換/無置換のシクロアルキル基;X及びXは夫々独立に配位子;n1及びn2は夫々独立に0~2の整数。]
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1):
【化1】
JP2017160140A_000040t.gif
[式中、Z’は、環を形成していても形成していなくてもよく、環を形成している場合には芳香族炭化水素環、又は5員環若しくは6員環のヘテロ環を示す。R~Rは同じか又は異なり、それぞれ置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を示す。X及びXは同じか又は異なり、それぞれ配位子を示す。n1及びn2は同じか又は異なり、それぞれ0~2の整数である。]
で表されるパラジウム錯体。
【請求項2】
前記一般式(1)において、Z’は5員環のヘテロ環であり、R~Rは同じか又は異なり、それぞれ置換されていてもよいシクロアルキル基であり、n1及びn2はそれぞれ0である、請求項1に記載のパラジウム錯体。
【請求項3】
式(1A1):
【化2】
JP2017160140A_000041t.gif
[式中、X及びXは同じか又は異なり、それぞれ配位子を示す。]
で表される、請求項2に記載のパラジウム錯体。
【請求項4】
一般式(2):
【化3】
JP2017160140A_000042t.gif
[式中、Rは置換されていてもよりアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。R、R、及びRは同じか又は異なり、それぞれ炭素数1~4のアルキル基を示す。]
で表される有機アルキン化合物の製造方法であって、
請求項1~3のいずれかに記載のパラジウム錯体の存在下に、有機エステル化合物と有機シリルアセチレンとをカップリング反応に供する工程を含み、
前記有機エステル化合物は、一般式(3):
【化4】
JP2017160140A_000043t.gif

[式中、Rは前記に同じ。Rは置換されていてもよりアリール基を示す。]で表される化合物であり、
前記有機シリルアセチレンは、一般式(4):
【化5】
JP2017160140A_000044t.gif
[式中、R、R、及びRは前記に同じ。]
で表される化合物である、有機アルキレン化合物の製造方法。
【請求項5】
前記カップリング反応において、助触媒として銅(I)化合物を添加する、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記カップリング反応において、さらに塩基を用いる、請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記カップリング反応において、さらにモレキュラーシーブズ3Aを用いる、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1~3のいずれかに記載のパラジウム錯体の存在下に、有機エステル化合物と有機シリルアセチレンとを反応させるカップリング反応であって、
前記有機エステル化合物は、一般式(3):
【化6】
JP2017160140A_000045t.gif
[式中、Rは置換されていてもよりアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。Rは置換されていてもよりアリール基を示す。]
で表される化合物であり、
前記有機シリルアセチレンは、一般式(4):
【化7】
JP2017160140A_000046t.gif
[式中、R、R、及びRは同じか又は異なり、それぞれ炭素数1~4のアルキル基を示す。]
で表される化合物である、カップリング方法。
【請求項9】
助触媒として銅(I)化合物を添加する、請求項8に記載のカップリング方法。
【請求項10】
さらに塩基を用いる、請求項8又は9に記載のカップリング方法。
【請求項11】
さらにモレキュラーシーブズ3Aを用いる、請求項10に記載のカップリング方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、パラジウム錯体、該パラジウム錯体を用いたカップリング反応、及び該カップリング反応を用いた有機アルキン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アリールアルキン等の有機アルキン化合物は、その炭素-炭素三重結合に起因する反応性から、様々な生物活性分子、有機電子材料等の合成中間体として多用されている。
【0003】
有機アルキン化合物の合成方法として、これまでに様々なアリール化剤とアルキンとのクロスカップリング反応が報告されてきた。その代表例として、薗頭-萩原クロスカップリング反応が挙げられる(非特許文献1)。これは、パラジウム触媒、及び助触媒として銅塩を用い、アリール化剤であるハロゲン化アリールとアルキンとの触媒的カップリング反応である。
【0004】
非特許文献1に記載の方法では、アリール化剤としてハロゲン化アリールを用いるため、ハロゲン由来の廃棄物が問題となる。また、利用可能なアリール化剤は、アリール求電子剤として反応性が高い臭化アリール及びヨウ化アリールに限られているため、ハロゲン化アリールに代わるアリール化剤を用いて有機アルキン化合物を合成する方法が求められている。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Sonogashira, K. et al., Tetrahedron lett. 1975, 50, 4467
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ハロゲン化アリールに代わるアリール化剤を用いて、有機アルキン化合物を合成することができる新たな方法を提供することを目的とする。また、この際使用できる新規なパラジウム触媒を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、触媒として、二座のジシクロアルキルホスフィン骨格を有するパラジウム錯体を用いることで、様々な芳香族エステルから、芳香族アルキンを合成することに成功した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、下記項1~項11に示すパラジウム錯体、製造方法、及びカップリング反応に係る。
【0009】
項1. 一般式(1):
【0010】
【化1】
JP2017160140A_000002t.gif

【0011】
[式中、Z’は、環を形成していても形成していなくてもよく、環を形成している場合には芳香族炭化水素環、又は5員環若しくは6員環のヘテロ環を示す。R~Rは同じか又は異なり、それぞれ置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を示す。X及びXは同じか又は異なり、それぞれ配位子を示す。n1及びn2は同じか又は異なり、それぞれ0~2の整数である。]
で表されるパラジウム錯体。
項2. 前記一般式(1)において、Z’は5員環のヘテロ環であり、R~Rは同じか又は異なり、それぞれ置換されていてもよいシクロアルキル基であり、n1及びn2はそれぞれ0である、上記項1に記載のパラジウム錯体。
項3. 式(1A1):
【0012】
【化2】
JP2017160140A_000003t.gif

【0013】
[式中、X及びXは同じか又は異なり、それぞれ配位子を示す。]
で表される、上記項2に記載のパラジウム錯体。
項4. 一般式(2):
【0014】
【化3】
JP2017160140A_000004t.gif

【0015】
[式中、Rは置換されていてもよりアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。R、R、及びRは同じか又は異なり、それぞれ炭素数1~4のアルキル基を示す。]
で表される有機アルキン化合物の製造方法であって、
上記項1~3のいずれかに記載のパラジウム錯体の存在下に、有機エステル化合物と有機シリルアセチレンとをカップリング反応に供する工程を含み、
前記有機エステル化合物は、一般式(3):
【0016】
【化4】
JP2017160140A_000005t.gif

【0017】
[式中、Rは前記に同じ。Rは置換されていてもよりアリール基を示す。]で表される化合物であり、
前記有機シリルアセチレンは、一般式(4):
【0018】
【化5】
JP2017160140A_000006t.gif

【0019】
[式中、R、R、及びRは前記に同じ。]
で表される化合物である、有機アルキレン化合物の製造方法。
項5. 前記カップリング反応において、助触媒として銅(I)化合物を添加する、上記項4に記載の製造方法。
項6. 前記カップリング反応において、さらに塩基を用いる、上記項4又は5に記載の製造方法。
項7. 前記カップリング反応において、さらにモレキュラーシーブズ3Aを用いる、上記項6に記載の製造方法。
項8. 上記項1~3のいずれかに記載のパラジウム錯体の存在下に、有機エステル化合物と有機シリルアセチレンとを反応させるカップリング反応であって、
前記有機エステル化合物は、一般式(3):
【0020】
【化6】
JP2017160140A_000007t.gif

【0021】
[式中、Rは置換されていてもよりアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。Rは置換されていてもよりアリール基を示す。]
で表される化合物であり、
前記有機シリルアセチレンは、一般式(4):
【0022】
【化7】
JP2017160140A_000008t.gif

【0023】
[式中、R、R、及びRは同じか又は異なり、それぞれ炭素数1~4のアルキル基を示す。]
で表される化合物である、カップリング方法。
項9. 助触媒として銅(I)化合物を添加する、上記項8に記載のカップリング方法。
項10. さらに塩基を用いる、上記項8又は9に記載のカップリング方法。
項11. さらにモレキュラーシーブズ3Aを用いる、上記項10に記載のカップリング方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明のパラジウム錯体は、文献未記載の新規化合物であり、該パラジウム錯体を触媒として用いることで、ハロゲン化アリールよりも安価な有機エステル化合物をアリール化剤として、アルキンと脱カルボニル型カップリング反応を行わせることができる。
【0025】
また、本発明によれば、有機アルキン化合物を、ハロゲン化アリールよりも安価な有機エステル化合物と、有機シリルアセチレン化合物を用いて直接的に行うことができる。本発明のカップリング反応は、有機エステル化合物の炭素-炭素結合(特にベンゼン環に存在する炭素原子とカルボキシル基の炭素原子との結合)と、有機シリルアルキレンの末端の炭素-水素結合とを切断しながら2つの分子をつなぐ、新しい形式のカップリング反応である。
【0026】
本発明の方法により得られる有機アルキン化合物は、様々な生物活性分子、有機電子材料等の合成中間体として使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のパラジウム錯体(触媒)、該パラジウム錯体を用いたカップリング反応、及び該カップリング反応を用いた有機アルキン化合物の製造方法を以下詳細に説明する。

【0028】
1.パラジウム錯体
本発明のパラジウム錯体は、二座のジシクロアルキルホスフィン骨格を有し、且つ、該ジシクロアルキルホスフィン骨格が、パラジウム原子に結合(特に配位結合)している化合物であり、文献未記載の新規化合物である。このパラジウム錯体は、ハロゲン化アリールよりも安価な有機エステル化合物をアリール化剤として、アルキンと脱カルボニル型カップリング反応を行わせるための触媒として利用することができる。本発明のパラジウム錯体を触媒として使用すると、ハロゲン化アリールよりも安価な有機エステル化合物と、有機シリルアセチレン化合物との脱カルボニル型カップリング反応が起こり、有機アルキン化合物を高収率で製造することができる。よって、本発明のパラジウム触媒は、有機エステル化合物の脱カルボニル型アルキニル反応の触媒として有用である。

【0029】
より具体的には、本発明のパラジウム錯体は、一般式(1):

【0030】
【化8】
JP2017160140A_000009t.gif

【0031】
[式中、Z’は、環を形成していても形成していなくてもよく、環を形成している場合には芳香族炭化水素環、又は5員環若しくは6員環のヘテロ環を示す。R~Rは同じか又は異なり、それぞれ置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を示す。X及びXは同じか又は異なり、それぞれ配位子を示す。n1及びn2は同じか又は異なり、それぞれ0~2の整数である。パラジウム原子と2個のリン原子、パラジウム原子とX及びXを結ぶ実線は、配位結合である。]
で表される。

【0032】
なお、パラジウム原子と2個のリン原子、パラジウム原子とX及びXとは、一般に配位結合を形成していると考えられるが、一般式(1)においては、便宜上実線で記載している。

【0033】
一般式(1)において、Z’は環を形成していても形成していなくてもよい。

【0034】
一般式(1)において、Z’は環を形成している場合、一般式(1A):

【0035】
【化9】
JP2017160140A_000010t.gif

【0036】
[式中、Z’は、芳香族炭化水素環、又は5員環若しくは6員環のヘテロ環を示す。R~R、X及びX、並びにn1及びn2は前記に同じ;パラジウム原子と2個のリン原子、パラジウム原子とX及びXを結ぶ実線は、配位結合である。]
で表される化合物を意味する。

【0037】
一般式(1A)において、Z’で示される芳香族炭化水素環としては、特に制限されないが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。この芳香族炭化水素環の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基等のC1-4アルキル基等)、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基等のC1-4ハロアルキル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等のC1-4アルコキシ基)、-COOR(Rはメチル基、エチル基等のアルキル基)で示される基等が挙げられる。また、置換基の数は特に制限されないが、0~6個が好ましく、0~3個がより好ましい。

【0038】
一般式(1A)において、Z’で示されるヘテロ環としては、5員環又は6員環のヘテロ環であれば特に制限されることはない。保存安定性の観点から、5員環又は6員環のヘテロ芳香環が好ましい。5員環又は6員環のヘテロ環として、具体的には、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピラジン環、オキサゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環等が挙げられ、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピラジン環、オキサゾール環、チアゾール環等が好ましく、チオフェン環が特に好ましい。このヘテロ環の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基等のC1-4アルキル基等)、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基等のC1-4ハロアルキル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等のC1-4アルコキシ基)、-COOR(Rはメチル基、エチル基等のアルキル基)で示される基等が挙げられる。また、置換基の数は特に制限されないが、0~6個が好ましく、0~3個がより好ましい。Z’で示されるヘテロ環として、好ましくはチオフェン環であり、より好ましくは非置換チオフェン環である。

【0039】
一般式(1A)において、R~Rで示されるアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状のC1-6アルキル基が挙げられ、好ましくはC1-4アルキル基が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。このアルキル基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等が挙げられる。また、置換基の数は特に制限されないが、0~6個が好ましく、0~3個が好ましい。R~Rで示されるアルキル基として、特に好ましくはC4-6シクロアルキル基である。

【0040】
一般式(1A)において、X及びXで示される配位子としては、パラジウム原子に配位し得るものであれば特に制限されない。配位子として、例えば、水素原子(ヒドリド;H)、ハロゲン原子;低級アルコキシ基;一酸化炭素(CO);ホウ素系配位子;リン系配位子;アンチモン系配位子;ヒ素系配位子;スルホン酸系配位子;スルフェート;パークロレート;ナイトレート;ビス(トリフリル)イミド;トリス(トリフリル)メタン;ビス(トリフリル)メタン;カルボキシレート類、ケトン類等が挙げられる。

【0041】
及びXで示される配位子としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。

【0042】
及びXで示される配位子としての低級アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基等のC1-3アルコキシ基等が挙げられる。

【0043】
及びXで示される配位子としてのホウ素系配位子としては、例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート、アルキルトリフルオロボレート、アリールトリフルオロボレート等が挙げられる。

【0044】
及びXで示される配位子としてのリン系配位子としては、例えば、ヘキサフルオロフォスフェート等が挙げられる。

【0045】
及びXで示される配位子としてのアンチモン系配位子としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。

【0046】
及びXで示される配位子としてのヒ素系配位子としては、例えば、ヘキサフルオロアルセネート等が挙げられる。

【0047】
及びXで示される配位子としてのスルホン酸系配位子としては、例えば、トシラート、メシラート、トリフラート等が挙げられる。

【0048】
及びXで示される配位子としてのカルボキシレート類としては、例えば、アセテート(OAc)等が挙げられる。

【0049】
及びXで示される配位子としてのケトン類としては、例えば、アセチルアセトナト(acac)等が挙げられる。

【0050】
一般式(1A)において、n1及びn2は、0~2の整数であり、収率の観点から、0又は1が好ましい。

【0051】
一般式(1)において、Z’が環を形成していない場合は、Z’の箇所には何も存在せず、一般式(1B):

【0052】
【化10】
JP2017160140A_000011t.gif

【0053】
[式中、R~Rは同じか又は異なり、それぞれ置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいシクロアルキル基;X及びXは同じか又は異なり、それぞれ配位子;n1及びn2は同じか又は異なり、それぞれ0~2の整数;パラジウム原子と2個のリン原子、パラジウム原子とX及びXを結ぶ実線は、配位結合である。]
で表される化合物を意味する。

【0054】
一般式(1B)において、R~Rとしては、上記したもの(一般式(1A)のR~Rで例示したもの)が挙げられる。好ましい具体例、置換基の種類、置換基の数も同様であり、特に好ましくはC4-6シクロアルキル基である。

【0055】
一般式(1B)において、X及びXとしては、上記したもの(一般式(1A)のX及びXで例示したもの)が挙げられる。好ましい具体例も同様である。

【0056】
一般式(1B)において、n1及びn2は、0~2の整数であり、収率の観点から、0又は1が好ましい。

【0057】
このような条件を満たすパラジウム錯体(触媒)としては、

【0058】
【化11】
JP2017160140A_000012t.gif

【0059】
[式中、X及びXは前記に同じ。パラジウム原子と2個のリン原子、パラジウム原子と2個のX及びXを結ぶ実線は、配位結合である。]
で表されるパラジウム錯体等が挙げられる。

【0060】
前記一般式(1)で表されるパラジウム錯体のうち、Z’は5員環のヘテロ環であり、R~Rは同じか又は異なり、それぞれ置換されていてもよいシクロアルキル基であり、n1及びn2はそれぞれ0であるパラジウム錯体が好ましい。

【0061】
上記の式(1A1)~(1B4)で表されるパラジウム錯体のうち、式(1A1):

【0062】
【化12】
JP2017160140A_000013t.gif

【0063】
[式中、X及びXは前記に同じ。]で表されるパラジウム錯体が特に好ましい。化合物(1A1)において、X及びXがアセチルアセトナト(acac)であることが好ましい。

【0064】
本発明のパラジウム触媒は、例えば、下式:

【0065】
【化13】
JP2017160140A_000014t.gif

【0066】
で表される配位子化合物又はその塩に、パラジウム(Pd)化合物を反応させることにより製造することができる。

【0067】
パラジウム(Pd)化合物としては、特に制限されないが、例えば、PdCl、NiF、PdBr、PdI、Pd(BF・6HO、Pd(OAc)・4HO、Pd(acac)、PdCl(PPh、PdBr(PPh、Pd(CO)(PPh、PdCl(PCy等のパラジウム化合物等が挙げられる(例示中、Acはアセチル基、acacはアセチルアセトナト、Phはフェニル基、Cy基はシクロヘキシル基をそれぞれ表す。以下同様である。)。

【0068】
パラジウム(Pd)化合物の使用量は、前記配位子化合物又はその塩1モルに対し、通常、0.1~5モル程度であり、好ましくは0.2~3モル程度、より好ましくは0.5~2モル程度である。

【0069】
前記配位子化合物又はその塩として塩を使用する場合には、パラジウム(Pd)化合物と反応させる前に、塩基と混合することが好ましい。

【0070】
この際使用できる塩基としては、特に制限されないが、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n-ブチルリチウム、s-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム等のアルキルリチウム;フェニルリチウム等のアリールリチウム;グリニャール反応剤;ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン等のアミン類等が挙げられる。収率の観点から、アミン類が好ましく、モルホリン、N-メチルモルホリン等がより好ましい。なお、塩基として液体の塩基を使用すれば、溶媒としても使用できるため好ましい。

【0071】
この場合の塩基の使用量は、前記配位子化合物又はその塩1モルに対し、通常、0.1~5モル程度であり、好ましくは0.2~3モル程度、より好ましくは0.5~2モル程度である。塩基として液体の塩基を使用量とする場合は、前記配位子化合物が溶解する程度の量とすればよい。

【0072】
本反応は溶媒を用いてもよく、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

【0073】
本反応は無水条件下且つ不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下で、25~200℃程度(特に50~150℃程度)で行うことができる。

【0074】
反応終了後は、通常の単離及び精製工程を経て、一般式(1)で表されるパラジウム(Pd)錯体を得ることができる。

【0075】
2.カップリング反応、及び該カップリング反応を用いた有機アルキン化合物の製造方法
本発明においては、上記パラジウム錯体を触媒として用い、特定の有機エステル化合物と特定の有機シリルアセチレン化合物とを効果的にカップリングさせることにより、特定の有機アルキン化合物を得ることができる。

【0076】
よって、本発明は、上記パラジウム錯体を触媒として用いて、特定の有機エステル化合物と特定の有機シリルアセチレン化合物とを効果的にカップリングさせることにより、特定の有機アルキン化合物を製造する方法を提供する。すなわち、本発明の有機アルキレン化合物の製造方法は、上記パラジウム錯体の存在下に、有機エステル化合物と有機シリルアセチレンとをカップリング反応に供する工程を含む方法である。

【0077】
また、本発明は、上記パラジウム錯体の存在下に、特定の有機エステル化合物と特定の有機シリルアセチレンとを反応させるカップリング反応を提供する。

【0078】
以下、本発明のカップリング反応について、詳細に説明する。

【0079】
本発明のカップリング反応に供される有機エステル化合物としては、特に制限されず、例えば、一般式(3):

【0080】
【化14】
JP2017160140A_000015t.gif

【0081】
[式中、Rは置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。Rは置換されていてもよいアリール基を示す。]
で表されるエステル化合物を採用することができる。

【0082】
一般式(3)において、Rで示されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基等が挙げられる。

【0083】
また、Rで示されるアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基等のC1-4アルキル基等)、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基等のC1-4ハロアルキル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等のC1-4アルコキシ基)、アミノ基(ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基等)、シリル基(t-ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基等)、-COOR(Rはメチル基、エチル基等のアルキル基)で示される基等が挙げられる。また、上記した置換基で置換されていてもよい上述のアリール基、上記した置換基で置換されていてもよい後述のヘテロアリール基等を置換基として有していてもよい。この置換基の数は、0~6個が好ましく、0~3個がより好ましい。

【0084】
一般式(3)において、Rで示されるヘテロアリール基としては、例えば、ピロリル基、ピリジル基、ピロリジル基、ピペリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、ピペラジル基、トリアジニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、モルホリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、フラニル基、チオフェニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾイミダゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、プリニル基、プテリジル基、ベンゾフラニル基、クマリル基、クロモニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられる。

【0085】
また、Rで示されるヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基等のC1-4アルキル基等)、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基等のC1-4ハロアルキル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等のC1-4アルコキシ基)、アミノ基(ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基等)、シリル基(tert-ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基等)、-COOR(Rはメチル基、エチル基等のアルキル基)で表される基等が挙げられる。また、上記した置換基で置換されていてもよい上記のアリール基、上記した置換基で置換されていてもよい上記のヘテロアリール基等を置換基として有していてもよい。この置換基の数は、0~6個が好ましく、0~3個がより好ましい。

【0086】
としては、収率の観点から、上記置換基を有していてもよいフェニル基、上記置換基を有していてもよいナフチル基、上記置換基を有していてもよいピリジル基、上記置換基を有していてもよいピラジル基、上記置換基を有していてもよいチアゾリル基、上記置換基を有していてもよいキノリル基、上記置換基を有していてもよいチオフェニル基、上記置換基を有していてもよいベンゾチオフェニル基、上記置換基を有していてもよいフラニル基等が好ましく、フェニル、4-メトキシフェニル、2-メトキシフェニル、4-(トリフルオエオメチル)フェニル、1-ナフチル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2,6-ジフェニル-4-ピリジル、2-(トリフルオロメチル)-5-ピリジル、2-ピラジル、2-キノリル、2-フェニル-4-キノリル、2-チオフェニル、3-チオフェニル、2-ベンゾチオフェニル、2-フェニル-4-チアゾリル、2-フラニル等がより好ましい。

【0087】
一般式(3)において、Rで示されるアリール基としては、上記したものを採用することができる。置換基の種類及び数についても同様である。なかでも、非置換のアリール基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。なお、Rが水素原子、アルキル基等である化合物(カルボン酸化合物、アルキルエステル等)を基質として採用すると、本発明のカップリング反応は進行しない。

【0088】
このような条件を満たす基質としての有機エステル化合物としては、例えば、安息香酸フェニル、フェニル4-メトキシベンゾエート、フェニル2-メトキシベンゾエート、フェニル4-トリフルオロメチルベンゾエート、フェニル1-ナフトエート、フェニルニコチネート、フェニルピコリネート、フェニルイソニコチネート、キノリン-2-カルボキシレート、フェニルピラジン-2-カルボキシレート、フェニル2-フェニルキノリン-4-カルボキシレート、フェニル2,6-ジフェニルイソニコチネート、フェニル6-(トリフルオロメチル)ニコチネート、フェニルチオフェン-2-カルボキシレート、フェニルベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート、フェニルチオフェン-3-カルボキシレート、フェニル2-フェニルチアゾール-4-カルボキシレート、フェニルフラン-2-カルボキシレート等が挙げられる。

【0089】
有機エステル化合物の使用量は、特に制限されず、収率の観点から、例えば、0.1~2モル/L程度が好ましく、0.2~0.5モル/L程度がより好ましい。

【0090】
本発明のカップリング反応に供される有機シリルアセチレン化合物としては、特に制限されず、例えば、一般式(4):

【0091】
【化15】
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【0092】
[式中、R、R、及びRは同じか又は異なり、それぞれ炭素数1~4のアルキル基又はアリール基を示す。]
で表される化合物を採用することができる。

【0093】
一般式(4)において、R、R、及びRで示される炭素数1~4のアルキル基としては、例えば、炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及びtert-ブチル基等が挙げられる。

【0094】
、R、及びRで示されるアリール基としては、上記したものを採用することができる。置換基の種類及び数についても同様である。なかでも、非置換のアリール基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。

【0095】
、R、及びRの好ましい組合せとして、(メチル、メチル、メチル)、(エチル、エチル、エチル)、(メチル、tert-ブチル、メチル)、(イソプロピル、イソプロピル、イソプロピル)、(フェニル、tert-ブチル、フェニル)等が挙げられ、収率の観点から、(イソプロピル、イソプロピル、イソプロピル)の組合せがより好ましい。

【0096】
このような条件を満たす基質としての有機シリルアセチレン化合物として、例えば、トリメチルシリルアセチレン、トリエチルシリルアセチレン、トリイソプロピルシリルアセチレン、tert-ブチルジメチルシリルアセチレン、tert-ブチルジフェニルシリルアセチレン等が挙げられる。収率の観点から、有機シリルアセチレン化合物として、トリイソプロピルシリルアセチレンが好ましい。

【0097】
有機シリルアセチレン化合物の使用量は、特に制限されず、収率の観点から、例えば、有機エステル化合物1モルに対し、1~6モル程度が好ましく、3モル程度がより好ましい。

【0098】
本発明のカップリング反応には、触媒として、上述したパラジウム触媒を添加する。前記パラジウム錯体(触媒)は、あらかじめ合成してもよいし、系中で合成してもよい。つまり、前記カップリング反応を起こす際に、パラジウム錯体(触媒)を投入してもよいし、対応する配位子化合物とパラジウム化合物とを投入してもよい。また、パラジウム錯体(触媒)は単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。

【0099】
パラジウム錯体(触媒)の使用量は、基質の種類(反応部位の数、酸化状態等)により適宜選択することが可能である。例えば、基質である芳香族エステル1モルに対し、0.01~1モル程度使用することが好ましく、0.02~0.5モル程度がより好ましく、0.05~0.3モル程度がさらに好ましい。なお、パラジウム錯体(触媒)を系中で合成する場合には、系中に存在するパラジウム錯体(触媒)の量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。

【0100】
本発明のカップリング反応には、上記パラジウム触媒に加えて、助触媒を使用することが好ましい。助触媒として、銅(I)化合物が挙げられる。銅(I)化合物として、具体的には、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(I)、チオフェン-2-カルボン酸銅(I)等が挙げられ、収率の観点から、ヨウ化銅(I)が好ましい。

【0101】
助触媒の使用量は、特に制限されず、収率の観点から、例えば、パラジウム触媒1モルに対し、0~2モル程度が好ましく、1~2モル程度がより好ましい。

【0102】
本発明のカップリング反応においては、銅アセチリド形成に伴って発生する酸の捕捉、及び末端アルキンの脱プロトン化剤として作用するために、塩基を使用することが好ましい。

【0103】
本発明において使用し得る塩基として、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の第2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプリピルアミン、DABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)等の第3級アミン;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩等が挙げられる。これらの中で、第2級アミン及び第3級アミンが好ましく、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプリピルアミン等がより好ましい。

【0104】
塩基の使用量は、基質である有機エステル化合物1モルに対し、1~6モル程度が好ましく、4モル程度がより好ましい。

【0105】
本発明のカップリング反応は、溶媒中で行われることが好ましい。溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類;ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のケトン類;トルエン、ベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノール、2-メチル-2-ブタノール等のアルコール類;ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、本発明では、環状エーテル類、鎖状エーテル類及びケトン類が好ましく、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミドがより好ましく、1,4-ジオキサンが特に好ましい。

【0106】
溶媒の使用量は、基質である有機エステル化合物1モルに対し、1~2.4L程度が好ましく、1~1.6L程度がより好ましい。

【0107】
本発明のカップリング反応においては、上記成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜添加剤を使用することができる。例えば、モレキュラーシーブズ3A(MS3A)を使用することにより、収率を向上させることができる。モレキュラーシーブズ3Aを使用する場合には、塩基を併用させるとより収率向上効果が高くなる。特に、塩基としてジエチルアミンを用いたときにモレキュラーシーブズ3Aを使用すると、さらに収率向上効果が高くなるので好ましい。

【0108】
本発明のカップリング反応において、無水条件下且つ不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下で行うことが好ましく、反応温度は、通常、0~200℃程度、好ましくは50~180℃程度、より好ましくは100~160℃程度である。反応時間は、通常、10分間~72時間程度、好ましくは1~48時間程度である。

【0109】
本発明のカップリング反応は、有機エステル化合物の炭素-炭素結合(特にベンゼン環に存在する炭素原子とカルボキシル基の炭素原子との結合)と、有機シリルアルキレンの末端の炭素-水素結合とを切断しながら2つの分子をつなぐ、新しい形式のカップリング反応である。

【0110】
反応終了後は、通常の単離及び精製工程を経ることにより、一般式(2):

【0111】
【化16】
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【0112】
[式中、Rは置換されていてもよりアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。R、R、及びRは同じか又は異なり、それぞれ炭素数1~4のアルキル基を示す。]
で表される有機アルキン化合物を得ることができる。上記のカップリング反応を用いれば、種々の有用な有機アルキン化合物を、従来使用されているハロゲン化アリールよりも安価な原料(芳香族エステル化合物)から容易に合成することができる。

【0113】
生成物である有機アルキン化合物として、例えば、3-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン、2-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン、4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン、2-((トリイソプロピルシリル)エチリル)キノリン、2-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピラジン、2-フェニル-4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)キノリン、2,6-ジフェニル-4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン、2-(トリフルオロメチル)-5-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン、トリイソプロピル(チオフェン-2-イルエチニル)シラン、ベンゾ[b]チオフェン-2-イルエチニル)トリイソプロピルシラン、トリイソプロピル(チオフェン-3-イルエチリル)シラン、2-フェニル-4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)チアゾール、(フラン-2-イルエチニル)トリイソプロピルシラン、トリイソプロピル(ナフタレン-1-イルエチリル)シラン、トリイソプロピル(4-メトキシフェニル)エチニル)シラン、トリイソプロピル((2-メトキシフェニル)エチリル)シラン、トリイソプロピル(フェニルエチリル)シラン、トリイソプロピル((4-(トリフルオロメチル)フェニル)エチリル)シラン、2-((トリメチルシリル)エチリル)ピリジン、2-((ジメチルtert-ブチルシリル)エチリル)ピリジン、2-((トリエチルシリル)エチリル)ピリジン、2-((ジフェニルtert-ブチルシリル)エチリル)ピリジン等が挙げられる。これらの化合物のうち、3-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン、4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン、2-((トリイソプロピルシリル)エチリル)キノリン、2-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピラジン、2-フェニル-4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)キノリン、2,6-ジフェニル-4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン、2-(トリフルオロメチル)-5-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン、トリイソプロピル(チオフェン-3-イルエチリル)シラン、2-フェニル-4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)チアゾール、(フラン-2-イルエチニル)トリイソプロピルシラン、トリイソプロピル((2-メトキシフェニル)エチリル)シラン、トリイソプロピル((4-(トリフルオロメチル)フェニル)エチリル)シラン、2-((トリメチルシリル)エチリル)ピリジン、2-((ジメチルtert-ブチルシリル)エチリル)ピリジン、2-((トリエチルシリル)エチリル)ピリジン、及び2-((ジフェニルtert-ブチルシリル)エチリル)ピリジンは、いずれも文献未記載の新規化合物である。

【0114】
これらの有機アルキン化合物は、医薬品、有機電子材料等の合成中間体として有用である。
【実施例】
【0115】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【実施例】
【0116】
特に制約しない限り、乾燥溶媒を含む全ての材料は、市販品をそのまま使用した。また、ヨウ化銅及びトリイソプロピルシリルアセチレンは関東化学株式会社から購入した。ジエチルアミンは和光純薬工業(株)から購入し、使用する前に蒸留した。ビス(アセチルアセトナト)パラジウム(II)(Pd(acac)2)はシグマ-アルドリッチ社から購入した。
【実施例】
【0117】
フェニルニコチネート(1A)、フェニルピコリネート(1B)、フェニルイソニコチネート(1C)、フェニルピラジン-2-カルボキシレート(1E)、フェニル2-フェニルキノリン-4-カルボキシレート(1F)、フェニルチオフェン-2-カルボキシレート(1I)、フェニルチオフェン-3-カルボキシレート(1K)、及びフェニルフラン-2-カルボキシレート(1M)、安息香酸フェニル(1Q)及びフェニル4-(トリフルオロメチル)ベンゾエート(1R)は、公知文献(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 13753)に記載の方法にしたがって合成した。フェニル6-(トリフルオロメチル)ニコチネート(1H)及びフェニルベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(1J)は、公知文献(Nat. Commun, 2015, 6, 7508)に記載の方法にしたがって合成した。フェニル2-フェニルチアゾール-4-カルボキシレート(1L)は、公知文献(Chem. Biol. 2001, 8, 899)に記載の方法にしたがって合成した。フェニル4-メトキシベンゾエート(1O)は、公知文献(J. Org. Chem. 2004, 69, 3794)に記載の方法にしたがって合成した。3,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)チオフェン(dcypt)は、公知文献(Angew. Chem., Int. Ed. 2014, 53, 67914)に記載の方法にしたがって合成した。
【実施例】
【0118】
キノリン-2-カルボキシレート(1D)は、公知文献(Crystals 2015, 5, 100)に記載の方法にしたがって合成し、フェニル1-ナフトエート(1N)及びフェニル2-メトキシベンゾエート(1P)は、それぞれ公知文献(Org. Lett. 2012, 14, 3100)に記載の方法にしたがって合成したところ、それらのスペクトルは、各文献に報告されたものと一致した。
【実施例】
【0119】
特に断りのない限り、すべての反応は、標準的な真空ライン技法を用いて乾燥したガラス容器中で窒素ガス雰囲気下に乾燥溶媒を用いて行った。すべてのカップリング反応は、J. Young(登録商標)Oリングタップを搭載した20 mLのガラス容器管を用いて、特に断りのない限り8ウェル反応ブロック(ヒーター及びマグネチックスターラー含有)中で加熱しながら行った。すべての後処理及び精製手順は、空気中で試薬グレードの溶媒を用いて行った。
【実施例】
【0120】
分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、E. Merckシリカゲル60 F254プレコートプレート(0.25 mm)を用いて行った。顕色クロマトグラムは、UVランプ(254 nm)で分析した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、E. Merckシリカゲル60(230-400メッシュ)、又はBiotage SNAP Cartridge KP-Silカラムを備えたBiotage Isolera(登録商標)を用い、溶離液としてヘキサン/酢酸エチルを使用して行った。分取薄層クロマトグラフィー(PTLC)はあらかじめ準備したワコーゲルB5-Fのシリカ被覆プレート(0.75 mm)を用いて行った。分取高速液体クロマトグラフィー(分取HPLC)は、Biotage SNAP Cartridge KP-C18-HSカラムを備えたBiotage Isolera(登録商標)を用い、溶離液としてアセトリトリル/水を使用して行った。分取ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は、JAIGEL-1H/JAIGEL-2Hカラムを備えたJAI LC-9204計器を用い、溶離液としてクロロホルムを使用して行った。GCMS分析は、HP-5カラム(30 m×0.25 mm、ヒューレット-パッカード社)を備えた島津GCMS-QP2010計器で行った。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL JNM-ECA-400分光計(1H 400 MHz、13C 100MHz)及びJEOL JNM-ECA-600分光計(1H 600 MHz、13C 150 MHz)で記録した。1H NMRの化学シフトは、テトラメチルシラン(δ0.00 ppm)と比較した百万分率(ppm)で表した。13C NMRの化学シフトはCDCl3(δ77.0 ppm)と比較した百万分率(ppm)で表した。データは、化学シフト、多重度(s =シングレット、d =ダブレット、dd =ダブレットのダブレット、t =トリプレット、dt =トリプレットのダブレット、td =ダブレットのトリプレット、q =カルテット、m =マルチプレット、br =ブロードシグナル)、結合定数(Hz)、及び積分の順に報告する。
【実施例】
【0121】
合成例1:フェニルエステル(フェニル2,6-ジフェニルイソニコチネート)(1G)の合成
【実施例】
【0122】
【化17】
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【実施例】
【0123】
[式中、Phはフェニル基である。]
2,6-ジフェニルイソニコチン酸(1.0等量、3.0mmolスケール)を入れた丸底フラスコに、フェノール(1.0等量)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC-HCl:1.1等量)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP:0.25等量)及びジクロロメタン(0.5M)を添加した。TLCで反応の進行をモニターしながら混合物を数時間攪拌した後、反応を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで3回抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:n-ヘキサン/酢酸エチル=5:1(容積比))により精製し、対応するフェニルエステル1Gを白色固体として得た(978.3mg、収率93%、3.0mmolスケール)。
【実施例】
【0124】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.41 (s, 2H), 8.28-8.22 (m, 4H), 7.58-7.52 (m, 4H), 7.51-7.45 (m, 4H), 7.33 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.30-7.26 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 164.2, 158.1, 150.6, 138.7, 138.5, 129.7, 129.6, 128.8, 127.1, 126.4, 121.5, 118.1.
【実施例】
【0125】
実施例1:カップリング反応
実施例1-1:3-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン(3Aa)の合成
【実施例】
【0126】
【化18】
JP2017160140A_000019t.gif
【実施例】
【0127】
[式中、iPrはイソプロピル基である。以下同様である。]
J.Young(登録商標)Oリングタップを備えた20mLのガラス容器に磁気攪拌子及びモレキュラーシーブズ3A(100mg)を入れ、減圧下にヒートガンで乾燥し、ガラス容器内を室温まで冷却した後に窒素(N)ガスを充填した。この容器に、有機エステル化合物としてフェニルニコチネート(1A)(79.7mg、0.40mmol、1.0当量)、Pd(acac)2(6.09mg、0.02mmol、5mol%)、ヨウ化銅(CuI)(7.62mg、0.04mmol、10mol%)、及びdcypt(19.1mg、0.04mmol、10mol%)を入れた。この容器を真空にし、続いて窒素(N)ガスを充填する操作を3回繰り返した。その後、この容器にトリイソプロピルシリルアセチレン2a(268.9μL、1.20mmol、3.0当量)、1,4-ジオキサン(1.2mL)、及びジエチルアミン(165.5μL、1.60mmol、4.0当量)を投入した。ガラス容器をOリングタップで密封し、次いで8ウェル反応ブロック中で、攪拌しながら150℃で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却した後、混合物を、酢酸エチル(EtOAc)を用いて短いシリカゲルパッドに通した。濾液を濃縮し、残渣をPTLC(溶離液:n-ヘキサン/酢酸エチル=4:1(容積比))に付すことにより精製し、クロスカップリング生成物である3-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン(3Aa)を黄色液体として得た(61.5mg、収率59%)。
【実施例】
【0128】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.70 (s, 1H), 8.53 (dt, J = 5.2, 1.6 Hz, 1H), 7.75 (dt, J = 8.0, 1.6 Hz, 1H), 7.24 (dd, J = 8.0, 5.2 Hz, 1H), 1.16-1.07 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 152.7, 148.5, 138.8, 122.8, 120.6, 103.4, 94.8, 18.6, 11.2.
【実施例】
【0129】
実施例1-2:2-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン(3Ba)の合成
【実施例】
【0130】
【化19】
JP2017160140A_000020t.gif
【実施例】
【0131】
有機エステル化合物としてフェニルピコリネート(1B)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン/ジエチルエーテル=4:1(容積比))で精製した以外は実施例1-1と同様にして、2-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン(3Ba)を黄色液体として得た(20.9mg、収率20%)。
【実施例】
【0132】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.59 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.63 (td, J = 8.0, 2.0 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.22 (dd, J = 8.0, 5.2 Hz, 1H), 1.17-1.12 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 149.9, 143.4, 136.0, 127.7, 122.8, 105.9, 91.5, 18.6, 11.2.
【実施例】
【0133】
実施例1-3:4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン(3Ca)の合成
【実施例】
【0134】
【化20】
JP2017160140A_000021t.gif
【実施例】
【0135】
有機エステル化合物としてフェニルイソニコチネート(1C)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン/酢酸エチル=5:1(容積比))で精製した以外は実施例1-1と同様にして、4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン(3Ca)を黄色液体として得た(56.2mg、収率54%)。
【実施例】
【0136】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.56 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 7.32 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 1.15-1.09 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 149.6, 131.5, 125.9, 104.0, 96.7, 18.6, 11.2.
【実施例】
【0137】
実施例1-4:2-((トリイソプロピルシリル)エチリル)キノリン(3Da)の合成
【実施例】
【0138】
【化21】
JP2017160140A_000022t.gif
【実施例】
【0139】
有機エステル化合物としてキノリン-2-カルボキシレート(1D)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン/酢酸エチル=10:1(容積比))で精製した以外は実施例1-1と同様にして、2-((トリイソプロピルシリル)エチリル)キノリン(3Da)を黄色液体として得た(56.4mg、収率46%)。
【実施例】
【0140】
1H NMR (CDCl3, 600 MHz) δ 8.11 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.07 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.76 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.70 (ddd, J = 8.4, 7.2, 1.2 Hz, 1H), 7.55-7.47 (m, 2H); 1.21-1.16 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 150 MHz) δ 148.1, 143.5, 135.8, 129.8, 129.4, 127.4, 127.1, 127.0, 125.0, 106.6, 92.8, 18.6, 11.3.
【実施例】
【0141】
実施例1-5:2-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピラジン(3Ea)の合成
【実施例】
【0142】
【化22】
JP2017160140A_000023t.gif
【実施例】
【0143】
有機エステル化合物としてフェニルピラジン-2-カルボキシレート(1E)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン/酢酸エチル=10:1(容積比))で精製した以外は実施例1-1と同様にして、2-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピラジン(3Ea)を黄色液体として得た(21.6mg、収率21%)。
【実施例】
【0144】
1H NMR (CDCl3, 600 MHz) δ 8.69 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.54 (dd, J = 2.4, 1.2 Hz, 1H), 8.47 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 1.20-1.12 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 148.2, 144.3, 142.9, 140.2, 102.8, 96.8, 18.6, 11.2.
【実施例】
【0145】
実施例1-6:2-フェニル-4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)キノリン(3Fa)の合成
【実施例】
【0146】
【化23】
JP2017160140A_000024t.gif
【実施例】
【0147】
有機エステル化合物としてフェニル2-フェニルキノリン-4-カルボキシレート(1F)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン/酢酸エチル=4:1(容積比))で精製した以外は実施例1-1と同様にして、2-フェニル-4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)キノリン(3Fa)を黄色液体として得た(92.5mg、収率60%)。
【実施例】
【0148】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.30 (dd, J = 8.4, 1.2 Hz, 1H), 8.19-8.13 (m, 3H), 8.00 (s, 1H), 7.75 (ddd, J = 8.4, 7.2, 1.2 Hz, 1H), 7.59 (ddd, J = 8.4, 7.2, 1.2 Hz, 1H), 7.56-7.50 (m, 2H), 7.49-7.44 (m, 1H), 1.26-1.17 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 156.8, 148.1, 139.1, 130.4, 130.1, 130.0, 129.4, 128.8, 127.5, 126.9, 126.8, 125.7, 122.2, 102.6, 101.1, 18.7, 11.3.
【実施例】
【0149】
実施例1-7:2,6-ジフェニル-4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン(3Ga)の合成
【実施例】
【0150】
【化24】
JP2017160140A_000025t.gif
【実施例】
【0151】
有機エステル化合物としてフェニル2,6-ジフェニルイソニコチネート(1G)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン/ジエチルエーテル=20:1(容積比))で精製した以外は実施例1-1と同様にして、2,6-ジフェニル-4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン(3Ga)を無色液体として得た(84.4mg、収率51%)。
【実施例】
【0152】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.13 (d, J = 7.6 Hz, 4H), 7.71 (s, 2H), 7.48 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 7.42 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.22-1.13 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 157.0, 138.9, 132.8, 129.2, 128.7, 127.0, 120.9, 104.8, 95.7, 18.7, 11.2.
【実施例】
【0153】
実施例1-8:2-(トリフルオロメチル)-5-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン(3Ha)の合成
【実施例】
【0154】
【化25】
JP2017160140A_000026t.gif
【実施例】
【0155】
有機エステル化合物としてフェニル6-(トリフルオロメチル)ニコチネート(1H)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン/酢酸エチル=20:1(容積比))で精製した以外は実施例1-1と同様にして、2-(トリフルオロメチル)-5-((トリイソプロピルシリル)エチリル)ピリジン(3Ha)を無色液体として得た(74.5mg、収率57%)。
【実施例】
【0156】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.76 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.91 (dd, J = 8.0, 1.6 Hz, 1H), 7.62 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 1.19-1.11 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 150 MHz) δ 152.6, 146.6 (q, JC-F = 39 Hz), 140.0, 123.6, 121.3 (q, JC-F = 275 Hz), 119.7, 102.0, 98.3, 18.6, 11.2.
【実施例】
【0157】
実施例1-9:トリイソプロピル(チオフェン-2-イルエチニル)シラン(3Ia)の合成
【実施例】
【0158】
【化26】
JP2017160140A_000027t.gif
【実施例】
【0159】
有機エステル化合物としてフェニルチオフェン-2-カルボキシレート(1I)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン)で精製した以外は実施例1-1と同様にして、トリイソプロピル(チオフェン-2-イルエチニル)シラン(3Ia)を無色液体として得た(28.0mg、収率26%)。
【実施例】
【0160】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.23-7.19 (m, 2H), 6.94 (dd, J = 4.8, 3.6 Hz, 1H), 1.14-1.08 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 132.4, 126.9, 126.8, 123.7, 99.3, 95.3, 18.6, 11.3.
【実施例】
【0161】
実施例1-10:ベンゾ[b]チオフェン-2-イルエチニル)トリイソプロピルシラン(3Ja)の合成
【実施例】
【0162】
【化27】
JP2017160140A_000028t.gif
【実施例】
【0163】
有機エステル化合物としてフェニルベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(1J)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン)で精製した以外は実施例1-1と同様にして、ベンゾ[b]チオフェン-2-イルエチニル)トリイソプロピルシラン(3Ja)を黄色液体として得た(52.3mg、収率42%)。
【実施例】
【0164】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.76-7.67 (m, 2H), 7.44 (s, 1H), 7.37-7.30 (m, 2H), 1.18-1.10 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 140.1, 138.9, 129.2, 125.4, 124.6, 123.7, 123.4, 121.9, 99.6, 97.8, 18.6, 11.3.
【実施例】
【0165】
実施例1-11:トリイソプロピル(チオフェン-3-イルエチリル)シラン(3Ka)の合成
【実施例】
【0166】
【化28】
JP2017160140A_000029t.gif
【実施例】
【0167】
有機エステル化合物としてフェニルチオフェン-3-カルボキシレート(1K)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン/ジクロロメタン=10:1(容積比))で精製した以外は実施例1-1と同様にして、トリイソプロピル(チオフェン-3-イルエチリル)シラン(3Ka)を淡黄色液体として得た(28.4mg、収率27%)。
【実施例】
【0168】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.46 (dd, J = 3.2, 1.2 Hz, 1H), 7.24 (dd, J = 5.2, 3.2 Hz, 1H), 7.13 (dd, J = 5.2, 1.2 Hz, 1H), 1.14-1.10 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 130.3, 129.2, 125.0, 122.8, 101.7, 90.2, 18.7, 11.3.
【実施例】
【0169】
実施例1-12:2-フェニル-4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)チアゾール(3La)の合成
【実施例】
【0170】
【化29】
JP2017160140A_000030t.gif
【実施例】
【0171】
有機エステル化合物としてフェニル2-フェニルチアゾール-4-カルボキシレート(1L)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン/酢酸エチル=20:1(容積比))で精製した以外は実施例1-1と同様にして、2-フェニル-4-((トリイソプロピルシリル)エチリル)チアゾール(3La)を黄色液体として得た(72.7mg、収率53%)。
【実施例】
【0172】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.98-7.94 (m, 2H), 7.46 (s, 1H), 7.45-7.39 (m, 2H), 1.17-1.13 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 167.4, 138.5, 133.0, 130.3, 128.9, 126.8, 123.4, 100.5, 91.4, 18.6, 11.3.
【実施例】
【0173】
実施例1-13:(フラン-2-イルエチニル)トリイソプロピルシラン(3Ma)の合成
【実施例】
【0174】
【化30】
JP2017160140A_000031t.gif
【実施例】
【0175】
有機エステル化合物としてフェニルフラン-2-カルボキシレート(1M)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン/酢酸エチル=20:1(容積比))で精製した以外は実施例1-1と同様にして、(フラン-2-イルエチニル)トリイソプロピルシラン(3Ma)を黄色液体として得た(32.5mg、収率35%)。
【実施例】
【0176】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.35 (dd, J = 2.0, 0.8 Hz, 1H), 6.59 (dd, J = 3.6, 0.8 Hz, 1H), 6.36 (dd, J = 3.6, 2.0 Hz, 1H), 1.15-1.13 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 143.2, 137.4, 115.5, 110.7, 96.1, 18.6 11.2.
【実施例】
【0177】
実施例1-14:トリイソプロピル(ナフタレン-1-イルエチリル)シラン(3Na)の合成
【実施例】
【0178】
【化31】
JP2017160140A_000032t.gif
【実施例】
【0179】
有機エステル化合物としてフェニル1-ナフトエート(1N)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン)で精製した以外は実施例1-1と同様にして、トリイソプロピル(ナフタレン-1-イルエチリル)シラン(3Na)を無色液体として得た(25.7mg、収率21%)。
【実施例】
【0180】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.39 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.82 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 7.72 (dd, J = 8.0, 0.8 Hz, 1H), 7.57 (ddd, J = 8.8, 7.2, 1.6 Hz, 1H), 7.51 (ddd, J = 8.8, 7.2, 1.6 Hz, 1H), 7.41 (t, J = 8.0 Hz, 1H) 1.22-1.17 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 133.5, 133.1, 131.0, 128.8, 128.2, 126.8, 126.33, 126.28, 125.1, 121.2, 104.9, 95.8, 18.8, 11.4.
【実施例】
【0181】
実施例1-15:トリイソプロピル(4-メトキシフェニル)エチニル)シラン(3Oa)の合成
【実施例】
【0182】
【化32】
JP2017160140A_000033t.gif
【実施例】
【0183】
有機エステル化合物としてフェニル4-メトキシベンゾエート(1O)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン/ジクロロメタン=4:1(容積比))で精製した以外は実施例1-1と同様にして、トリイソプロピル(4-メトキシフェニル)エチニル)シラン(3Oa)を無色液体として得た(22.6mg、収率20%)。
【実施例】
【0184】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.41 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 6.82 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 3.81 (s, 3H), 1.14-1.10 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 159.6, 133.5, 115.8, 113.8, 107.1, 88.6, 55.3, 18.7, 11.4.
【実施例】
【0185】
実施例1-16:トリイソプロピル((2-メトキシフェニル)エチリル)シラン(3Pa)の合成
【実施例】
【0186】
【化33】
JP2017160140A_000034t.gif
【実施例】
【0187】
有機エステル化合物としてフェニル2-メトキシベンゾエート(1P)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン/酢酸エチル=40:1(容積比))で精製した以外は実施例1-1と同様にして、トリイソプロピル((2-メトキシフェニル)エチリル)シラン(3Pa)を無色液体として得た(9.9mg、収率9%)。
【実施例】
【0188】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.43 (dd, J = 7.6, 1.6 Hz, 1H), 7.29--7.24 (m, 1H), 6.90-6.82 (m, 2H), 3.86 (s, 3H), 1.16-1.12 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 160.7, 133.9, 129.6, 120.2, 113.0, 110.9, 103.2, 94.9, 55.8, 18.7, 11.4.
【実施例】
【0189】
実施例1-17:トリイソプロピル(フェニルエチリル)シラン(3Qa)の合成
【実施例】
【0190】
【化34】
JP2017160140A_000035t.gif
【実施例】
【0191】
有機エステル化合物として安息香酸フェニル(1Q)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン/ジエチルエーテル=4:1(容積比))で精製した以外は実施例1-1と同様にして、トリイソプロピル(フェニルエチリル)シラン(3Qa)を無色液体として得た(17.2mg、収率17%)。
【実施例】
【0192】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.51-7.45 (m, 2H), 7.32-7.27 (m, 3H), 1.15-1.11 (m, 21H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 132.0, 128.3, 128.2, 123.6, 107.1, 90.4, 18.7, 11.3.
【実施例】
【0193】
実施例1-18:トリイソプロピル((4-(トリフルオロメチル)フェニル)エチリル)シラン(3Ra)の合成
【実施例】
【0194】
【化35】
JP2017160140A_000036t.gif
【実施例】
【0195】
有機エステル化合物としてフェニル4-(トリフルオロメチル)ベンゾエート(1R)を用い、PTLC(溶離液:n-ヘキサン)で精製した以外は実施例1-1と同様にして、トリイソプロピル((4-(トリフルオロメチル)フェニル)エチリル)シラン(3Ra)を無色液体として得た(34.2mg、収率26%)。
【実施例】
【0196】
1H NMR (CDCl3, 600 MHz) δ 7.56-7.54 (m, 4H), 1.16-1.07 (m, 21H).
【実施例】
【0197】
実施例1-19:2-((トリメチルシリル)エチリル)ピリジン(3Ab)の合成
【実施例】
【0198】
【化36】
JP2017160140A_000037t.gif
【実施例】
【0199】
有機シリルアセチレン化合物としてトリメチルシリルアセチレンを用いた以外は実施例1-1と同様にして、2-((トリメチルシリル)エチリル)ピリジン(3Ab)を黄色液体として得た(9.8mg、収率14%)。
【実施例】
【0200】
実施例1-20:2-((ジメチルtert-ブチル-シリル)エチリル)ピリジン(3Ad)の合成
【実施例】
【0201】
【化37】
JP2017160140A_000038t.gif
【実施例】
【0202】
有機シリルアセチレン化合物としてトリメチルシリルアセチレンを用いた以外は実施例1-1と同様にして、2-((ジメチルtert-ブチル-シリル)エチリル)ピリジン(3Ad)を黄色液体として得た(20.9mg、収率24%)。
【実施例】
【0203】
実施例1-21:2-((トリエチルシリル)エチリル)ピリジン(3Ae)の合成
【実施例】
【0204】
【化38】
JP2017160140A_000039t.gif
【実施例】
【0205】
有機シリルアセチレン化合物としてトリメチルシリルアセチレンを用いた以外は実施例1-1と同様にして、2-((トリエチルシリル)エチリル)ピリジン(3Ae)を黄色液体として得た(20.9mg、収率24%)。