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明細書 :陸上走行可能な飛行体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-043922 (P2016-043922A)
公開日 平成28年4月4日(2016.4.4)
発明の名称または考案の名称 陸上走行可能な飛行体
国際特許分類 B64C  37/00        (2006.01)
B64C  39/02        (2006.01)
FI B64C 37/00
B64C 39/02
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2015-158743 (P2015-158743)
出願日 平成27年8月11日(2015.8.11)
優先権出願番号 2014166767
優先日 平成26年8月19日(2014.8.19)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】山田 学
【氏名】高橋 七奈
【氏名】大塚 真生
【氏名】小澤 愛
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
要約 【課題】飛行体本体にプロテクト機能のある車輪をつけ、推進部を進行方向に傾け走行する飛行体を用いて、老朽化したトンネルや橋梁の天井や壁などの検査に適用する場合、鉛直上方への揚力がないため鉛直の壁を水平に走行することができない。
【解決手段】推進部21を有する飛行体本体20に、車輪12の陸上走行時の進行方向に垂直となるように取り付けた車軸11を有する飛行体1において、車軸11に直交するロール軸22と、ロール軸22に回転自在に嵌合したロール軸受23と、を有し、ロール軸22またはロール軸受23の内、いずれか一方が飛行体本体20に固定されたことを特徴とする飛行体を提供する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
推進部を有する飛行体本体に、陸上走行時の車輪の進行方向に垂直となるように取り付けた車軸を有した飛行体において、
前記車軸に直交するロール軸と、
前記ロール軸に回転自在に嵌合したロール軸軸受と、を有し、
前記ロール軸または前記ロール軸軸受の内、いずれか一方が前記飛行体本体に固定されたことを特徴とする飛行体。
【請求項2】
前記飛行体本体に、前記回転を制止するロック機構を有することを特徴とする請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記ロール軸にロック部を固定し、
前記ロック部に、前記車軸または前記車軸に平行なロック軸を、
弾性体による付勢力で固定することを特徴とする請求項2に記載する飛行体。
【請求項4】
壁等に前記車輪が当接し、前記付勢力と反対方向の力が発生すると、前記ロック機構が解除されることを特徴とする請求項3に記載する飛行体。
【請求項5】
推進部を有する飛行体本体に、陸上走行時の車輪の進行方向に垂直となるように取り付けた車軸を有した飛行体において、
前記飛行体本体に固定したロール軸と、
前記ロール軸の両端にロール軸軸受と、
前記ロール軸軸受に回転自在に嵌合し、前記ロール軸に直交し互いに平行である前記車軸と、
前記車軸の両端に前記車輪を回転自在に嵌合する車輪嵌合部を有し、
前記ロール軸に対して、一方の側の一対の前記車輪嵌合部は、一方の車輪と嵌合し、
他方の側の一対の前記車輪嵌合部は、他方の車輪と嵌合していることを特徴とする飛行体。
【請求項6】
推進部を有する飛行体本体に、陸上走行時の車輪の進行方向に垂直となるように取り付けた車軸を有した飛行体において、
前記飛行体本体に固定したロール軸軸受と、
前記ロール軸軸受に回転自在に嵌合したロール軸と、
前記ロール軸の両端に前記ロール軸に直交し互いに平行である前記車軸を固定し、
前記車軸の両端に前記車輪を回転自在に嵌合する車輪嵌合部を有し、
前記ロール軸に対して、一方の側の一対の前記車輪嵌合部は、一方の前記車輪と回転自在に嵌合し、
他方の側の一対の前記車輪嵌合部は、他方の車輪と嵌合していることを特徴とする飛行体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、推進部を有する飛行体本体に、陸上走行時の車輪の進行方向に垂直となるように取り付けた車軸を有した陸上走行可能な飛行体に関するものである(以下、「陸上走行時の車輪の進行方向」を「車輪の進行方向」と略して記載する)。
【背景技術】
【0002】
本発明の対象である陸上走行可能な回転する車輪付の飛行体に関する従来技術は、車輪の無い、推進器(プロペラ駆動装置やジェット型推進装置など)をもつ飛行体(以下、飛行体本体)である。例えば非特許文献1と2のようなヘリコプタ型のものや、非特許文献3のような飛行船型や、非特許文献4のような航空機型のものである。一方、特許文献1では、機体に複数のロータ(プロペラ)が配設された飛行体本体であって、ロータを2次元的にプロテクトフレームで囲うことによって、フレームの内側に配設される前記ロータと障害物との接触を防止する飛行体本体を開示している。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2011-046355号公報
【0004】

【非特許文献1】田原誠、野波建蔵「マルチロータ型ヘリコプタの汎用的な機体設計手法と低コスト化による実現」日本機械学会論文集(C編)78巻787号(2012年)、pp.872-882
【非特許文献2】藤原大吾、辛振玉、羽沢建作、野波健蔵「自律小型無人ヘリコプタH∞ホバリング制御と誘導制御」日本機械学会論文集(C編)70巻697号(2004年)、pp.1708-1714
【非特許文献3】山田学、多喜康博、舟橋康行「定常風に対する飛行船システムの大域的な位置と姿勢の制御」日本機械学会論文集(C編)76巻767号(2010年)、pp.1770-1779
【非特許文献4】Rogelio Lozano 「Unmanned Aerial Vehicles」ISTE Ltd and John、Wiley& Sons、Inc.(2010年)pp.2-6
【非特許文献5】高橋七奈、山下修平、山田学、“クアッドヘリコプタの入出力線形化による追従制御と壁も天井も自由に走行できる空陸両用飛行ロボットの開発”、第37回日本ロボット学会学術講演会論文集(CD)、(2013年)、1D3-04
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし従来技術の飛行体本体には以下の問題点がある。即ち、前記非特許文献1~4で開示された推進器(プロペラ駆動装置やジェット型推進装置など)をもつ飛行体本体、および特許文献1で開示された飛行体本体には、以下の問題点がある。
【0006】
(飛行体本体の問題点)
1)移動するためには常に飛行するしかないため、飛行体本体を持ち上げる力が常に必要である。そのため、多大なエネルギーを要し、飛行時間も制限される。
2)陸上を移動できない。
【0007】
前記問題点を解決するため、非特許文献5に示すように、既存の飛行体本体の必要な部分を保護する2次元または3次元の車輪(飛行体本体のプロテクト機能もある)を飛行体本体に取り付けるもの(以下、飛行体)がある(図8、従来例)。これは、3次元空間に存在する障害物に衝突しても飛行体本体の破損を生じず、着陸時や墜落時のダメージを軽減し、飛行体本体やこれに付加する搭載装置を保護する飛行体である。さらに飛行体が、着陸や墜落をしても、陸上を全方位走行できる。以下、「飛行体」とは、飛行体本体と車輪を含む形態をいう。陸上を移動できるので、飛行体を持ち上げる必要がなく移動時間を長くできる。よって、前述の飛行体本体の問題点は解消できる。
【0008】
図8に示す従来例において、飛行体本体は4つのプロペラの推進部を持つ4ロータ型小型ヘリコプタとし、飛行体本体に取り付ける2つの車輪(スポーク含む)を半球体としている。飛行体本体の水平方向の直進移動は、推進部である4つのプロペラの内、移動したい方向の2つのプロペラの回転数を下げる。飛行体本体は移動方向の端部が下がるように傾き飛行する。この水平方向の直進移動の方向が、飛行体本体の主たる進行方向であり車輪の進行方向である。左右方向へ曲がる際は、左右のプロペラの回転数(推進力)を変化させることにより行う。この水平移動は陸上走行の基本的な動作となる。よって、推進部は飛行体本体の車輪の進行方向(主たる進行方向)に対して左右対称に配置される。
車輪を取り付ける車軸は、棒状の形態をしている。車軸は、4つの推進部に干渉しないように、一方の端部を飛行体本体の左右に固定し、他方の端部に車輪を回転可能に取り付ける。車軸の取付け方向は、飛行体の陸上での基本的な動作(水平移動)において車輪の進行方向(主たる進行方向)に対して垂直方向が望ましい。陸上において車輪を用いて走行する際、車輪の回転による進行方向と主たる進行方向が一致しエネルギー効率が良いからである。
よって、飛行体本体の主たる進行方向と車輪の進行方向とは一致し、図8に示す従来例の4ロータ型小型ヘリコプタの場合、飛行体の主たる進行方向は、車輪が回転して進行する方向である前後方向となる。
【0009】
この飛行体の用途として老朽化したトンネルや橋梁の天井や壁などの検査に適用できる。即ち、飛行体にカメラや接触センサ等の検査機器を搭載して、トンネルや橋梁の表面の撮影等のデータ収集を行うことができる。
【0010】
ここで、従来例における飛行体は、車輪をつける車軸を、検査機器を搭載する飛行体本体に固定して取り付けるため、以下の課題がある。
(課題)
図9に示すように、従来例の車輪を有する飛行体は鉛直の壁を水平に走行することができない。即ち、飛行体は、推進部(飛行体本体)を、車軸に対して進行方向に傾けて進行する。しかし、鉛直の壁を水平方向(Y軸)に走行する場合、推進部による揚力は、進行方向(Y軸)と壁方向(X軸)に発生し、鉛直方向(Z軸)には発生しない。よって、鉛直方向(Z軸)の力の釣り合いを考えると、Z軸の下方には、飛行体の自重による重力が働き、壁方向(X軸)の揚力により、Z軸の上方に車輪の摩擦力が働く。しかし、この摩擦力は、飛行体の自重による重力に比べ小さい。従って、飛行体は、壁面を滑り落ちながら水平方向(Y軸)に走行する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決する飛行体を提供することであり、以下の通りである。
発明1は、推進部を有する飛行体本体に、陸上走行時の車輪の進行方向に垂直となるように取り付けた車軸を有した飛行体において、車軸に直交するロール軸と、ロール軸に回転自在に嵌合したロール軸軸受と、を有し、ロール軸またはロール軸軸受の内、いずれか一方が飛行体本体に固定されたことを特徴とする飛行体である。
発明2は、飛行体本体に、回転を制止するロック機構を有することを特徴とする発明1に記載の飛行体である。
発明3は、ロック機構は、ロール軸にロック部を固定し、ロック部に、車軸または車軸に平行なロック軸を、弾性体による付勢力で固定することを特徴とする発明2に記載する飛行体である。
発明4は、壁等に車輪が当接し、付勢力と反対方向の力が発生すると、ロック機構が解除されることを特徴とする発明3に記載する飛行体である。
発明5は、推進部を有する飛行体本体に、陸上走行時の車輪の進行方向に垂直となるように取り付けた車軸を有した飛行体において、飛行体本体固定したロール軸と、ロール軸の両端にロール軸軸受と、ロール軸軸受に回転自在に嵌合し、ロール軸に直交し互いに平行である車軸と、車軸の両端に車輪を回転自在に嵌合する車輪嵌合部を有し、ロール軸に対して、一方の側の一対の車輪嵌合部は、一方の車輪と嵌合し、他方の側の一対の車輪嵌合部は、他方の車輪と嵌合していることを特徴とする飛行体である。
発明6は、推進部を有する飛行体本体に、陸上走行時の車輪の進行方向に垂直となるように取り付けた車軸を有した飛行体において、飛行体本体に固定したロール軸軸受と、ロール軸軸受に回転自在に嵌合したロール軸と、ロール軸の両端にロール軸に直交し互いに平行である車軸を固定し、車軸の両端に車輪を回転自在に嵌合する車輪嵌合部を有し、ロール軸に対して、一方の側の一対の車輪嵌合部は、一方の車輪と回転自在に嵌合し、他方の側の一対の車輪嵌合部は、他方の車輪と嵌合していることを特徴とする飛行体である。
【発明の効果】
【0012】
発明1により、車輪を有する飛行体は鉛直の壁を水平に走行することができる。推進部を有する飛行体本体が、主たる進行方向である車輪の進行方向に垂直な車軸の周りに回転して傾くと共に、車軸に直交するロール軸の周りにも回転して傾く。よって飛行体本体が2方向に傾くことにより、推進部で発生する揚力を3方向である水平方向、鉛直方向および壁を押しつける方向に分けることができるからである。即ち、飛行体を、鉛直方向の揚力で飛行体が自重により落下するのを防ぎ、壁を押しつける方向の揚力で車輪を壁に押しつけ、水平方向の揚力で車輪を回転させて水平方向へ移動させる。更に、鉛直や傾斜している壁等を、水平方向だけでなく斜め上方や下方へ制御して移動させることができる。
発明2により、鉛直の壁を水平に走行しない通常の走行時においては、車軸に対してロール軸を中心として回転しないようにロック機構を有する。これにより通常の走行時においては、飛行体の走行を安定にさせることができる。
発明3により、簡易な構造でロック機構を構成することができる。
発明4により、壁等に接触することでロック機構を解除することができるので、実際の使用勝手がよくなる。
発明5により、車輪を有する飛行体は鉛直の壁を水平に走行することができる。推進部を有する飛行体本体が、飛行体本体に固定したロール軸の周りに回転して傾くと共に、ロール軸に直交する車軸の周りにも傾く。よって推進部は2方向に傾くことにより、推進部で発生する揚力を3方向である水平方向、鉛直方向および壁を押しつける方向に分けることができるからである
更に、車輪は円弧のみで構成された円輪形状で、内側を空洞とすることができる。よって、飛行体を屋外の橋梁などで走行させた場合、横風の影響を軽減することができる。また、車軸は、車輪の進行方向にあるので飛行体本体を保護するプロテクターの機能を有する。
発明6により、車輪を有する飛行体は鉛直の壁を水平に走行することができる。推進部を有する飛行体本体が、飛行体本体に固定したロール軸軸受に嵌合したロール軸の周りに回転して傾くと共に、ロール軸に直交する車軸の周りにも傾く。よって推進部は2方向に傾くことにより、推進部で発生する揚力を3方向である水平方向、鉛直方向および壁を押しつける方向に分けることができるからである
更に、車輪は円弧のみで構成された円輪形状で、内側を空洞とすることができる。よって、飛行体を屋外の橋梁などで走行させた場合、横風の影響を軽減することができる。また、車軸は、車輪の進行方向にあるので飛行体本体を保護するプロテクターの機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】飛行体1の第1実施形態の構成を示す矢視図である。
【図2】H型フレームの飛行体本体を有する飛行体1の構成を模式的示す。(b)は正面図、(a)は平面図を示す。
【図3】X型フレームの飛行体本体を有する飛行体1の構成を模式的示す。(b)は正面図、(a)は平面図を示す。
【図4】飛行体1の第1実施形態におけるロック機構を示す。(a)は全体図、(b)はロック時の拡大図、(c)はロック解除時の拡大図を示す。
【図5】飛行体1のロック機構を模式的に示す。(a)はロックした状態、(b)はロックを解除した状態を示す。
【図6】飛行体1のロック機構において、再度ロックする機構を模式的に示す。
【図7】飛行体1の飛行体が鉛直の壁を鉛直に走行し、水平に走行する状態を模式的に示す。
【図8】従来の飛行体の構造を示す。
【図9】従来の飛行体が鉛直の壁を水平に走行できないことを模式的に示す。
【図10】第1実施形態における車軸とロール軸の交差部を模式的に示す(ロール軸を飛行体本体に固定)。
【図11】第1実施形態における車軸とロール軸の交差部を模式的に示す(ロール軸軸受を飛行体本体に固定)。
【図12】第2実施形態および第3実施形態を概要示す。
【図13】第2実施形態および第3実施形態の車輪嵌合部の構造を示す。
【図14】第2実施形態および第3実施形態を構成示す。(a)矢視図、(b)横から見た図、(c)第2実施形態、(d)第3実施形態を示す。
【図15】第2実施形態および第3実施形態による鉛直な壁を水平移動する状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。

【0015】
(第1実施形態)
図1は、飛行体1の第1実施形態の構成を示す矢視図である。
車輪部10は、車軸11、一対の車輪12、車軸固定部13およびスポーク17からなる。一対の車輪12は、車軸11の両端に回転自在に取り付けられている。一対の車輪12とスポーク17は、飛行体の飛行体本体20を立体的にカバーして飛行体本体を保護する。または、一対の車輪12は、一体の円または楕円形状または多角形状でも良い。更に、飛行体本体20を積極的に保護する必要がない環境で使用する場合、一対の車輪12は、2次元的な車輪(一般的な自転車の車輪、自動車のタイヤ等)でも良い。飛行体は、飛行体本体20の推進部21で発生する推力により、一対の車輪12は、転がり運動で自由に陸上を移動ができる。
飛行体本体20は、推進部21、フレーム25を有する。その他飛行体本体20には、図示しないが、ロック機構30や飛行体1の推進部21等を制御する制御部、バッテリー、カメラ等の検査機器を搭載する搭載スペース等がある。尚、制御部、バッテリー、カメラ等は、車軸部10に搭載する設計をすることもできる。

【0016】
飛行体本体20に固定したロール軸22と、ロール軸22に回転自在に嵌合したロール軸軸受23とを備え、ロール軸22と車軸11は直交すると共に、飛行体本体20は、車軸11に対して、ロール軸22を中心として、回転することを特徴とする飛行体1である。ロール軸22と車軸11はねじれの関係で直交するが、車軸11に貫通部を設け、ロール軸22と車軸11が交わるようにすることもできる。
従来例の飛行体は、飛行体本体20が車軸11を中心として回転し揚力を得て、車輪12を回転して車輪12の進行方向へ移動するが、車軸11の方向には揚力は発生していない。飛行体1は、更に飛行体本体20が車軸11に対してロール軸22を中心として回転するので、車軸11の方向にも揚力が発生する。
従って、鉛直の壁を水平に走行する場合、飛行体本体20が車軸11に対してロール軸22を中心として回転するので車軸11の方向にも揚力が発生し、飛行体1の自重を支えることができる。よって、鉛直の壁を水平もしくは上下自由な方向に走行することができる。

【0017】
図2に、H型フレームの飛行体本体を有する飛行体1の構成を模式的示す。図2(b)は正面図、図2(a)は平面図を示す。
図2(a)平面図において、推進部21を搭載するフレームはH型をしている。即ちH型の4コーナに推進部21を搭載し、H型の横バー部が、ロール軸22およびロール軸軸受23に該当する。
ロール軸22は、車軸11とねじれの関係で直交する。
図2(b)正面図において、推進部21を含む飛行体本体20は、ロール軸22を回転中心として回転する。

【0018】
図3に、X型フレームの飛行体本体を有する飛行体1の構成を模式的示す。図3(b)は正面図、図3(a)は平面図を示す。
図3(a)平面図において、推進部21を搭載するフレームはX型をしている。即ちX型の4コーナに推進部21を搭載し、X型の交点部が、ロール軸22およびロール軸軸受23に該当する。
ロール軸22は、車軸11とねじれの関係で直交する。
図3(b)正面図において、推進部21を含む飛行体本体20は、ロール軸22を回転中心として回転する。

【0019】
図4に、飛行体1の第1実施形態におけるロック機構を示す。(a)は全体図、(b)はロック時の拡大図、(c)はロック解除時の拡大図を示す。
図4(c)はロック機構30のロック解除時の拡大図を示す。ロック機構30は、飛行体本体20に、ロック部32、コイルバネの弾性体35、弾性体固定部36があり、車輪部10に、車軸11に平行にロック軸31がある。ロック軸31は、ロック部32の溝33に嵌合していない。よって、飛行体本体20に対してロール軸22は固定されず回転することができる。

【0020】
図10に、第1実施形態における車軸11とロール軸22の交差部を模式的に示す(ロール軸22を飛行体本体20に固定)。交差ブラケット15は板金材を長方形の筒状に形成される。車軸11は、交差ブラケット15の一方の平行な面を貫通しており、車軸固定部13により交差ブラケット15に固定されている。ロール軸22は、交差ブラケット15の他方の平行な面を貫通しており、ロール軸軸受23と回転自在に嵌合している。ロール軸軸受23は孔であるが、ベヤリングを用いても良い。よって、ロール軸22に固定する飛行体本体1は、車軸11と直交する方向に回転することができる。

【0021】
図11に、第1実施形態における車軸11とロール軸22の交差部を模式的に示す(ロール軸軸受23を飛行体本体20に固定)。交差ブラケット15は板金材を長方形の筒状に形成される。車軸11は、交差ブラケット15の一方の平行な面を貫通しており、車軸固定部13により交差ブラケット15に固定されている。ロール軸22は、交差ブラケット15の他方の平行な面を貫通しており、車軸固定部14により交差ブラケット15に固定されている。ロール軸22は、ロール軸軸受23と回転自在に嵌合している。ロール軸軸受23は孔であるが、ベヤリングを用いても良い。ロール軸軸受け23は、飛行体本体20のフレーム25に固定されている。よって、交差ブラケット15とフレーム25を十分離して配置すれば干渉しないので、ロール軸軸受23に固定する飛行体本体1は、車軸11と直交する方向に回転することができる。フレーム25には推進部21が固定されている。

【0022】
図5に、飛行体1のロック機構30を、ロック軸31を省略し車軸11で模式的に示す。図5(a)は、車軸11に対してロール軸22が回転しないようにロックした状態を示す。図5(b)は、車軸11に対してロール軸22が回転可能なようにロックを解除した状態を示す。
図5(a)において、ロック機構30は、ロール軸22にロック部32を固定し、ロック部32に、車軸11または車軸に平行なロック軸31を、弾性体35による付勢力で固定する状態を示す。ロック部32には、V型の溝33およびガイド34が構成されており、溝33に車軸11または車軸に平行なロック軸31を、弾性体35による付勢力で押しつけて固定する。溝33は、車軸11または車軸に平行なロック軸31の外径に合わせた円形の溝が、溝33と車軸11(または車軸に平行なロック軸31)の嵌合をよくしてロック状態を維持するので好ましい。飛行体1は、飛行中または陸上を走行中の移動姿勢を安定させるためにロックした状態としている。

【0023】
図5(b)において、車輪12が壁に当接し、弾性体35による付勢力と反対方向の力が発生すると、ロック機構30が解除される状態を示す。推進部21による揚力により、飛行体1の車輪12が壁等に当接し、弾性体35による付勢力と反対方向の力が発生すると、弾性体35は圧縮され、車軸11または車軸に平行なロック軸31は、ロック部32の溝33から外れ開放されロックが解除される。
ここで、別途、車輪12が壁等に当接した力を感知してソレノイドで吸引してロックを解除しても良い。

【0024】
図6に、飛行体1のロック機構30において、再度ロックする機構を模式的に示す。車軸11または車軸に平行なロック軸31に対して、ロック部32は回転している。よって、溝33と車軸11または車軸に平行なロック軸31はねじれた関係にある。よって、溝33にガイド34を設け、車軸11または車軸に平行なロック軸31を、弾性体35の付勢力により溝33に導く構造としている。

【0025】
図7に、飛行体1が鉛直の壁を鉛直に走行した後、水平に走行する状態を模式的に示す。座標軸は、壁面上の鉛直方向をZ軸、壁面上の水平方向をY軸、壁面にたいして垂直方向をX軸とする。推進部21により発生する揚力のベクトルを、Z軸の上方をF、Y軸の右側方向をF、壁面を押しつける方向をFとする。
(1)壁面上を鉛直方向(Z軸)に移動
車軸11に対して推進部21は傾斜(傾斜1)し、FおよびをFが発生している。車軸11に対して推進部21は傾斜し、Fにより車輪12を壁面に押しつけ、Fにより、鉛直方向のZ軸上方に、車輪12を回転させて移動している。
(2)壁面上で水平方向(Y軸)に方向転換
壁面上で水平方向(Y軸)に方向転換する場合、まず推進部21の推進力を弱め、飛行体1のZ軸上方の移動を停止する。Fは飛行体の重量と釣り合った大きさである。次に、推進部21の内、右側の推進力を弱め、左側の推進力を強くすることで飛行体1は右側へ方向転換する。ここで、右側への方向転換が完了すると、傾斜1による揚力は、FとFを発生させる。ロール軸22を車軸11に対して回転させ、推進部21をX軸まわり回転により傾け(傾斜2)、Fの大きさを維持し飛行体1を落下させないようにする。
(3)平面上を水平方向(Y軸)に移動
推進部21による揚力を、傾斜1によりFとFを発生させ、傾斜2によりFとFを発生させる。
Fは、車輪12を壁面に押しつけ、Fにより車輪12を回転させ飛行体1を水平方向の右側へ進行させる。Fは、飛行体1を鉛直方向に落下させない働きをする。

【0026】
(第2実施形態)
図12に、第2実施形態を概要示す。図12(a)は斜め上方からの矢視図、図12(b)はほぼ正面上方からの矢視部、図12(c)は正面図である。
推進部21は飛行体本体20のフレーム25に固定されている。飛行体本体20の両側に円形の円輪形状の車輪46を有する。車輪46の内側には2個の車輪嵌合部48がある。車輪嵌合部48の中心部には、車軸40が回転自在に嵌合している。車軸40の両端には車輪嵌合部48が回転自在に嵌合している。車軸40の中央部にはロール軸42が連結している。ロール軸42の両端には車軸40が連結している。ロール軸42の中央部には飛行体本体20のフレーム25が連結している。
これは第3実施形態も同様である。

【0027】
図13に、第2実施形態の車輪嵌合部48の構造を示す。車輪嵌合部48の両側にはガイド48a、その間にはコロ48bを有する。ガイド48aの間の間隔は、車輪46の厚さより少し大きく、車輪46が外れないように車輪46の内側から支持している。コロ48bは、車輪46の内側の円弧部と回転自在に当接している。コロ48bは、車軸40とも回転自在に嵌合しているので、車輪は回転することができる。
これは第3実施形態も同様である。

【0028】
図14に、第2実施形態の構成示す。図14(a)に矢視図、図14(b)に横から見た図を示す。
推進部21は飛行体本体20のフレーム25に固定されている。飛行体本体20の両側に円形の輪形状の車輪46を有する。車輪46の内側には2個の車輪嵌合部48がある。車輪嵌合部48の中心部には、車軸40が回転自在に嵌合している。車軸40の両端には車輪嵌合部48が回転自在に嵌合している。車軸40の中央部にはロール軸42が連結している。ロール軸42の両端には車軸40が連結している。ロール軸42の中央部には飛行体本体20のフレーム25が連結している。
図14(b)より、車輪46と車輪嵌合部48は回転自在に嵌合しているので、車輪は進行方向に回転することができる。また、車輪46に対して2つの車輪嵌合部48は、車輪46の直径の位置にある。よって、ロール軸42の長さは車輪46の直径とほぼ同一になる。車輪46と2つの車輪嵌合部48は回転自在に嵌合しているので、ロール軸42と飛行体本体20を車輪の進行方向に対して傾斜させることができる。よって、推進部21が車輪の進行方向に傾斜するので、車輪48は矢印の方向に回転(右回転)し、飛行体1は矢印の方向(右側)へ移動することができる。
車軸40は、進行方向にあるので飛行体本体20を障害物と衝突するのを防ぐプロテクターの役目もする。また、車輪46は円輪形状であり、中央部には車輪46を支えるスポーク等を用いる必要がないので横方向からの風の抵抗を第1実施形態より減少させることができる。
これは第3実施形態も同様である。

【0029】
図14(c)に第2実施形態を示す。ロール軸42は、飛行体本体20のフレーム25に車輪46の進行方向に固定されている。ロール軸42の両端には車軸40が連結している。この連結部は、ロール軸軸受44が車軸40に固定されている。ロール軸42とロール軸軸受44を回転自在に嵌合されている。
ここで、車輪46と2つの車輪嵌合部48は回転自在に嵌合しているので、ロール軸42は車輪46の進行方向に対して傾斜させることができる。よって、推進部21が車輪46の進行方向に傾斜する。
一方、ロール軸42は、車軸40に固定したロール軸軸受44に回転自在に嵌合しているので、
推進部21を有する飛行体本体20は、ロール軸42の周りに回転することができる。よって推進部21は2方向に傾くことになり、推進部21で発生する揚力を3方向である車輪46の進行方向である水平方向、鉛直方向および壁を押しつける方向に分けることができる。従って、車輪48を有する飛行体1は鉛直の壁を水平に走行することができる。

【0030】
(第3実施形態)
図14(d)に第3実施形態を示す。ロール軸軸受44は、飛行体本体20のフレーム25に車輪46の進行方向に固定されている。ロール軸42とロール軸軸受44は回転自在に嵌合されている。ロール軸42の両端には車軸40が平行に固定されている。
ここで、車輪46と2つの車輪嵌合部48は回転自在に嵌合しているので、ロール軸42は車輪の進行方向に対して傾斜させることができる。よって、推進部21が車輪の進行方向に傾斜する
一方、ロール軸42は、飛行体本体20に固定したロール軸軸受44に回転自在に嵌合しているので、推進部21を有する飛行体本体20は、ロール軸42の周りに回転することができる。よって推進部21は2方向に傾くことになり、推進部21で発生する揚力を3方向である車輪46の進行方向である水平方向、鉛直方向および壁を押しつける方向に分けることができる。従って、車輪48を有する飛行体1は鉛直の壁を水平に走行することができる。

【0031】
図15に、第2実施形態および第3実施形態による鉛直な壁を水平移動する状態を示す。図15(a)は、平面図(壁に対して正面から見た図)、図15(b)は、下面図(壁に対して平行にした方向から見た図)である。X軸は壁に垂直方向、Y軸は水平方向、Z軸は鉛直方向である。
図15(b)において、車輪46と2つの車輪嵌合部48は回転自在に嵌合しているので、ロール軸42は車輪の進行方向に対して傾斜させることができる。よって、水平方向の揚力Fyと壁方向の揚力Fxを発生させる。揚力Fyは、車輪46を回転移動させ、揚力Fxは車輪46を壁に押しつけ壁と車輪46の間に摩擦力を発生させる。
図15(a)において、飛行体本体20は、ロール軸42周りの回転により推進部21は傾き、Z軸方向の鉛直上方の揚力Fzを新たに発生させる。揚力Fzは、飛行体1が自重により落下するのを防止する。従って、車輪48を有する飛行体1は鉛直の壁を水平に走行することができる。

【0032】
以上より本発明は以下の効果がある。
発明1は、推進部21を有する飛行体本体20に、陸上走行時の車輪12の進行方向に垂直となるように取り付けた車軸11を有した飛行体において、車軸11に直交するロール軸22と、ロール軸22に回転自在に嵌合したロール軸軸受23と、を有し、ロール軸22またはロール軸軸受23の内、いずれか一方が飛行体本体20に固定されたことを特徴とする飛行体1である。
発明1により、車輪12を有する飛行体1は鉛直の壁を水平に走行することができる。飛行体1の推進部21が主たる進行方向である車輪12の進行方向に垂直な車軸11の周りに傾くと共に、車軸11に直交するロール軸22の周りにも傾き、2方向に傾くことにより、推進部21で発生する揚力を3方向である水平方向、鉛直方向および壁を押しつける方向に分けることができるからである。即ち、飛行体1を、鉛直方向の揚力で飛行体1が自重により落下するのを防ぎ、壁を押しつける方向の揚力で車輪11を壁に押しつけ、水平方向の揚力で車輪12を回転させて水平方向へ移動させる。更に、鉛直や傾斜している壁等を、水平方向だけでなく斜め上方や下方へ制御して移動させることができる。

【0033】
発明2は、飛行体本体20に、回転を制止するロック機構30を有することを特徴とする発明1に記載の飛行体である。
発明2により、鉛直の壁を水平に走行しない通常の走行時においては、車軸11に対してロール軸22を中心として回転しないようにロック機構30を有する。これにより通常の走行時においては、飛行体の走行を安定にさせることができる。
発明3は、ロック機構30は、ロール軸22にロック部32を固定し、ロック部32に、車軸11または車軸に平行なロック軸31を、弾性体35による付勢力で固定することを特徴とする発明2に記載する飛行体である。
発明3により、簡易な構造でロック機構30を構成することができる。
発明4は、壁等に車輪12が当接し、付勢力と反対方向の力が発生すると、ロック機構30が解除されることを特徴とする発明3に記載する飛行体である。
発明4により、壁等に接触することでロック機構30を解除することができるので、実際の使用勝手がよくなる。

【0034】
発明5は、推進部21を有する飛行体本体20に、陸上走行時の車輪46の進行方向に垂直となるように取り付けた車軸40を有した飛行体1において、飛行体本体1に固定したロール軸42と、ロール軸42の両端にロール軸軸受44と、ロール軸軸受44に回転自在に嵌合し、ロール軸42に直交し互いに平行である車軸40と、車軸40の両端に車輪46を回転自在に嵌合する車輪嵌合部48を有し、ロール軸42に対して、一方の側の一対の車輪嵌合部48は、一方の車輪46と嵌合し、他方の側の一対の車輪嵌合部48は、他方の車輪46と嵌合していることを特徴とする飛行体1である。
発明5により、車輪46を有する飛行体1は鉛直の壁を水平に走行することができる。推進部21を有する飛行体本体20が、飛行体本体20に固定したロール軸42の周りに回転して傾くと共に、ロール軸42に直交する車軸40の周りにも傾く。よって推進部21は2方向に傾くことにより、推進部21で発生する揚力を3方向である水平方向、鉛直方向および壁を押しつける方向に分けることができるからである
更に、車輪46は円弧のみで構成された円輪形状で、スポーク等がなく内側を空洞とすることができる。よって、飛行体1を屋外の橋梁などで走行させた場合、横風の影響を軽減することができる。また、車軸40は、車輪46の進行方向にあるので飛行体本体20を保護するプロテクターの機能を有する。
発明6は、推進部21を有する飛行体本体20に、陸上走行時の車輪46の進行方向に垂直となるように取り付けた車軸40を有した飛行体1において、飛行体本体20に固定したロール軸軸受44と、ロール軸軸受44に回転自在に嵌合したロール軸42と、ロール軸42の両端にロール軸42に直交し互いに平行である車軸40を固定し、車軸40の両端に車輪46を回転自在に嵌合する車輪嵌合部48を有し、ロール軸42に対して、一方の側の一対の車輪嵌合部48は、一方の車輪48と回転自在に嵌合し、他方の側の一対の車輪嵌合部48部は、他方の車輪46と嵌合していることを特徴とする飛行体1である。
発明6により、車輪46を有する飛行体1は鉛直の壁を水平に走行することができる。推進部21を有する飛行体本体20が、飛行体本体20に固定したロール軸軸受44に嵌合したロール軸42の周りに回転して傾くと共に、ロール軸42に直交する車軸40の周りにも傾く。よって推進部21は2方向に傾くことにより、推進部21で発生する揚力を3方向である水平方向、鉛直方向および壁を押しつける方向に分けることができるからである
更に、車輪46は円弧のみで構成された円輪形状で、スポーク等がなく内側を空洞とすることができる。よって、飛行体1を屋外の橋梁などで走行させた場合、横風の影響を軽減することができる。また、車軸40は、車輪46の進行方向にあるので飛行体本体20を保護するプロテクターの機能を有する。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この飛行体の用途として老朽化したトンネルや橋梁に加えビル等の建物の天井や壁などの検査に適用できる。即ち、飛行体にカメラや接触センサ等の検査機器を搭載して、建物の表面の撮影等のデータ収集を行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1 飛行体
10 車輪部
11 車軸
12 車輪
13 車軸固定部
14 車軸固定部
15 交差ブラケット
17 スポーク
20 飛行体本体
21 推進部
22 ロール軸
23 ロール軸軸受
25 フレーム
30 ロック機構
31 ロック軸(車軸側)
32 ロック部(飛行体本体側)
33 溝
34 ガイド
35 弾性体
36 弾性体固定部
40 車軸
42 ロール軸
44 ロール軸軸受
46 車輪
48 車輪嵌合部(コロ付き)
48a ガイド
48b コロ
ロ 壁
ハ 床

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
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【図14】
13
【図15】
14