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明細書 :光応答性誘電体及び光応答性誘電体を含む容量変化検出素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-111686 (P2017-111686A)
公開日 平成29年6月22日(2017.6.22)
発明の名称または考案の名称 光応答性誘電体及び光応答性誘電体を含む容量変化検出素子
国際特許分類 G06F   3/042       (2006.01)
FI G06F 3/042 471
請求項の数または発明の数 13
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2015-246733 (P2015-246733)
出願日 平成27年12月17日(2015.12.17)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトのアドレス:http://www.atyc.org/2015summer/td2015summer.html http://www.atyc.org/2015summer/abstract/P38.pdf 掲載日:平成27年6月18日 〔刊行物等〕 日本セラミックス協会東海支部 第50回東海若手セラミスト懇話会2015年夏期セミナー 開催日:平成27年6月25日~26日 〔刊行物等〕 ウェブサイトのアドレス:http://jps2015a.gakkai-web.net/ http://jps2015a.gakkai-web.net/data/pdf/16pAD-04.pdf 掲載日:平成27年9月1日 〔刊行物等〕 日本物理学会2015年秋季大会 開催日:平成27年9月16日~19日
発明者または考案者 【氏名】谷口 博基
出願人 【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099759、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 篤
【識別番号】100077517、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 敬
【識別番号】100087413、【弁理士】、【氏名又は名称】古賀 哲次
【識別番号】100146466、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 正俊
【識別番号】100160543、【弁理士】、【氏名又は名称】河野上 正晴
審査請求 未請求
要約 【課題】近接及び遠隔のいずれからも操作可能な、光に応答して動作するデバイスを安価に提供することができる技術を提供する。
【解決手段】光に応答して動作するデバイスに用いられる、光誘電効果を有する光応答性誘電体で、デバイスが光誘電効果を有する光応答性誘電体と一対の電極とを含む容量変化検出素子であり、容量変化検出素子が電荷による容量の変化も検出する。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
光に応答して動作するデバイスに用いられる、光誘電効果を有する光応答性誘電体。
【請求項2】
前記デバイスが、前記光誘電効果を有する光応答性誘電体と一対の電極とを含む容量変化検出素子である、請求項1に記載の光応答性誘電体。
【請求項3】
前記容量変化検出素子が、電荷による容量の変化も検出する、請求項2に記載の光応答性誘電体。
【請求項4】
前記光応答性誘電体が、LaAl1-xZnx3(0.00<x<0.03)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光応答性誘電体。
【請求項5】
前記光応答性誘電体が、PbMg1/3Nb2/33である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光応答性誘電体。
【請求項6】
前記光誘電効果の効率が2.5%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の光応答性誘電体。
【請求項7】
光誘電効果を有する光応答性誘電体と一対の電極とを含む、容量変化検出素子。
【請求項8】
電荷による容量変化も検出する、請求項7に記載の容量変化検出素子。
【請求項9】
前記光応答性誘電体がLaAl1-xZnx3(0.00<x<0.03)である、請求項7または8に記載の容量変化検出素子。
【請求項10】
前記光応答性誘電体がPbMg1/3Nb2/33である、請求項7~9のいずれか一項に記載の容量変化検出素子。
【請求項11】
前記光誘電効果の効率が2.5%以上である、請求項7~10のいずれか一項に記載の容量変化検出素子。
【請求項12】
請求項7~11のいずれか一項に記載の容量変化検出素子を含むポインティングデバイス。
【請求項13】
タッチパネルである、請求項12に記載のポインティングデバイス。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光応答性誘電体及び光応答性誘電体を含む容量変化検出素子に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータと人間の接点であるマンマシンインタフェースの一つとして、マウス、トラックボール、タッチパネル等のポインティングデバイスが用いられている。
【0003】
タッチパネルは、携帯電話やスマートフォン、携帯型ゲーム機器、タブレット型PCやノート型PCに、近年、タッチパネルが好適に使用されている。
【0004】
タッチパネルは、上記使用用途に合わせて抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式等、種々の方式が採用されているが、静電容量方式は複数点の同時の位置検出を可能とするため、近年、静電容量方式のタッチパネルが、スマートフォンやタブレット型PC等に採用されている。
【0005】
特許文献1には、それぞれ所定のパターン形状を有する透明導電膜を備えた一対の透明面状体の間に誘電体層が介在されて構成されており、指などが操作面に触れると、人体を介して接地されることによる静電容量の変化を利用して、タッチ位置を検出することができるタッチパネルが開示されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2003-173238号公報
【0007】

【非特許文献1】S. Kronenberg and C. A. Accardo, Phys. Rev. 101, 989 (1956).
【非特許文献2】M. Takesada, T. Yagi, M. Itoh, and S. Koshihara, J. Phys. Soc. Jpn. 72, 37 (2003).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の静電容量方式のタッチパネル等のポインティングデバイスでは、位置検出のために指や帯電したペンなどを素子に接近させる必要がある。そのために、タッチパネルから離れた場所からポイントすることは困難であった。
【0009】
遠隔からのポインティングデバイスとしては、マウスやトラックパッド等が実用されているが、これらは独りの操作者を前提としたデバイスであり、たとえば大型のディスプレイを囲む複数人の使用には適していない。
【0010】
他にも、操作者のジェスチャーをカメラで撮影し、画像処理によりポインティング情報を検出する方法も提案されているが、原理的に位置精度が劣る。
【0011】
光検出素子をポインティングデバイス等のタッチパネルに応用する方式も提案されているが、通常の静電容量検出方式と両立させるためには、これにフォトダイオードなどの素子を追加する必要があり、現実的なコストでこれを実現することは困難であった。
【0012】
したがって、近接及び遠隔のいずれからも操作可能な光に応答して動作するデバイスを安価に提供することができる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記課題に鑑みて、光誘電効果を有する光応答性誘電体を新規に見出した。本発明者が見出した光応答性誘電体は、光誘電効果を有し、光に応答して動作するデバイスに使用することができる。
【0014】
本発明は、光に応答して動作するデバイスに用いられる、光誘電効果を有する光応答性誘電体を対象とする。
【0015】
本発明はまた、光誘電効果を有する光応答性誘電体と一対の電極とを含む、容量変化検出素子を対象とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、近接及び遠隔のいずれからも操作可能な光に応答して動作するデバイスを安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、光誘電効果の測定系の模式図である。
【図2】図2は、LaAl1-xZnx3のxを変えて、LaAl1-xZnx3に光を照射したときの1MHzにおける誘電率の変化を示すグラフである。
【図3】図3は、光を照射しない場合と光を照射した場合の、LaAl0.99Zn0.013の誘電率の周波数依存性を表したグラフである。
【図4】図4は、光を照射しない場合(Dark)と、照射する光の光強度を10~70%に変化させた場合のLaAl0.99Zn0.013の誘電率の変化を表すグラフである。
【図5】図5は、図4の誘電率測定結果に対応するLaAl0.99Zn0.013の誘電損失(tanδ)の周波数依存性を示すグラフである。
【図6】図6は、光を照射しない場合と光を照射した場合の、LaAlO3の誘電率の周波数依存性を表したグラフである。
【図7】図7は、光を照射しない場合(Dark)と、照射する光の光強度を10~50%に変化させた場合のLaAl0.97Zn0.033の誘電率の変化を表すグラフである。
【図8】図8は、光を照射しない場合と光を照射した場合の、PbMg1/3Nb2/33の誘電率の周波数依存性を表したグラフである。
【図9】図9は、図8の誘電率測定結果に対応するPbMg1/3Nb2/33の誘電損失(tanδ)の周波数依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、光に応答して動作するデバイスに用いられる、光誘電効果を有する光応答性誘電体を対象とする。デバイスが光に応答して動作するので、近接及び遠隔のいずれからもデバイスを操作することができる。

【0019】
デバイスは、好ましくは、光誘電効果を有する光応答性誘電体と一対の電極とを含む容量変化検出素子である。本願における光誘電効果とは、マクスウェルワグナー効果にはよらず、誘電損失が少なく、光により誘電率が変化する効果をいう。

【0020】
従来、硫化物系蛍光材料や量子常誘電体であるSrTiO3などで、光照射による誘電率の変化が報告されている(非特許文献1、非特許文献2)。しかしながら、これらの光照射による誘電率の変化は、光照射によって光励起による部分的な伝導領域が形成されることに起因するマクスウェル-ワグナー効果によるものである。マクスウェル-ワグナー効果により誘電率の増加を示す誘電体は、誘電損失が極めて大きく絶縁性の低下が顕著であり、本発明に係る光応答性誘電体とは明確に区別される。

【0021】
マクスウェル-ワグナー効果により誘電率の増加を示す誘電体の誘電損失(tanδ)は1.0を超えるが、本願発明に係る光応答性誘電体のtanδは、104Hz以上、好ましくは105Hz以上、より好ましくは105~106Hzの周波数範囲で、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.1以下、さらにより好ましくは0.06以下であることができる。

【0022】
また、マクスウェル-ワグナー効果による誘電率の増加は、102~104Hzの低周波数領域に現れる。これに対して、本発明に係る光応答性誘電体が有する光誘電効果は、104Hz以上、好ましくは105Hz以上、より好ましくは105~106Hzの高周波数領域の誘電率の変化として現れる。したがって、本発明に係る光応答性誘電体の光誘電効果は、104~106Hzの周波数範囲、105~106Hzの周波数範囲、または106Hzの周波数において評価することができる。

【0023】
本発明における光応答性誘電体は上記の光誘電効果を有するので、光応答性誘電体を備えた容量変化検出素子は、近接及び遠隔のいずれからの光によっても、その容量の変化を検出することができる。

【0024】
本発明に係る光応答性誘電体は、好ましくはバンドギャップと同等またはバンドギャップ未満のエネルギーを有する光を照射しても光誘電効果を有することができる。

【0025】
本発明に係る容量変化検出素子は、光誘電効果を有する誘電体と一対の電極とを含み、他の構成は、従来のタッチパネル等のポインティングデバイスに用いられる静電容量の変化を検出する素子と同様であることができる。容量変化検出素子は、例えば、ガラス等の基板の上に、電極、光応答性誘電体、電極、及びカバーを配置して、作製され得る。

【0026】
一対の電極は、光応答性誘電体を挟んで配置することができる。電極は、従来用いられている透明電極であることができ、例えば酸化インジウムスズ(ITO)を電極として用いることができる。従来行われている方法と同様に、例えばエッチング、リフトオフ、マスク蒸着等により、電極パターンを形成することができる。

【0027】
容量変化検出素子は、好ましくは、電荷による容量の変化も検出する。光応答性誘電体が、光による誘電率の変化に加えて、電荷によっても誘電率を変化させることができる場合、容量変化検出素子は、近接及び遠隔からの光によりその容量の変化を検出することに加えて、静電的な導電性を有する物体を近接または接触させて、その容量の変化を検出することも可能となる。

【0028】
容量変化検出素子は、誘電体の温度変化による容量の変化をさらに検出してもよい。光応答性誘電体が、光による誘電率の変化に加えて、温度によっても誘電率を変化させることにより、容量変化検出素子は、近接及び遠隔からの光によりその容量の変化を検出することに加えて、近接または遠隔から熱源にさらして、または熱源に接触させて、その容量の変化を検出することも可能となる。一方で、光応答性誘電体の誘電率が温度依存性を示す場合、光応答性誘電体の誘電率の温度依存性をあらかじめ測定しておき、温度変化があったときに、容量変化検出素子が検出する温度による誘電率の変化を無くすように、容量変化検出素子または容量変化検出素子に接続される回路が、誘電率の温度補償をしてもよい。

【0029】
光応答性誘電体は、好ましくは、LaAl1-xZnx3(0.00<x<0.03)である。LaAl1-xZnx3は光誘電効果を有し、光に応答して動作するデバイスに用いることができる。LaAl1-xZnx3を備えた容量変化検出素子は、近接及び遠隔の両方からの光により、容量の変化を検出することができる。

【0030】
LaAl1-xZnx3のxの範囲は、0.00よりも大きく0.03未満、好ましくは0.005以上0.025以下、より好ましくは0.01以上0.02以下である。xが上記範囲のときに、大きな光誘電効果が得られる。

【0031】
光誘電効果の測定は、浜松ホトニクスのLC-L2光源を備える図1の測定系と、Precision LCR-meter(製造元:Agilent、型番E4980A)を用いて行うことができる。

【0032】
図1の測定系においては、ペルチェ素子上に誘電体試料を配置し、誘電体試料の上にマスクが配置される。放射温度計で誘電体試料の表面温度を測定し、白金抵抗温度計(PRT)で誘電体試料の裏面温度を測定しながら、誘電体試料の表面から1cm上方に配置した浜松ホトニクスのLC-L2光源から365nmの光をスポット照射して、LCRメーターで誘電率の変化を測定することができる。このとき、誘電体試料の表面温度と裏面温度とが実質的に無視できる温度差であって、厚み方向に実質的に一定温度であることを確認する。光照射等により誘電体試料の温度が変化した場合は、別途、誘電体試料の誘電率の温度依存性を測定しておき、温度による誘電率変化の影響を除くことにより、光誘電効果を測定することができる。

【0033】
図2に、LaAl1-xZnx3のxを変えて、光強度50%で光を照射したときの1MHzにおける誘電率の変化を示す。図2のグラフは、LaAl1-xZnx3試料に光照射しながら測定して得られたデータから、温度上昇による誘電率の変化を差し引いた結果である。xが0.00より大きく0.03未満の範囲で、光照射による誘電率の向上効果が得られ、xが0.005~0.025の範囲で、より高い誘電率向上効果が得られ、xが0.01~0.02の範囲で8%以上の誘電率向上効果が得られる。

【0034】
光強度とは、図1の測定系に備える浜松ホトニクスのLC-L2光源の最大照射強度を100%としたときの相対的な強度である。LC-L2光源の最大照射強度を100%としたとき、光源から1cmの距離における照射強度は78mW/cm2である。光を照射しない場合(Dark)とは、暗室における測定をいう。

【0035】
上記範囲のxを有するLaAl1-xZnx3のtanδは、104Hz以上、好ましくは105Hz以上、より好ましくは105~106Hzの周波数範囲で、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.1以下、さらにより好ましくは0.06以下であることができる。

【0036】
光応答性誘電体は、好ましくは、PbMg1/3Nb2/33である。PbMg1/3Nb2/33は光誘電効果を有し、光に応答して動作するデバイスに用いることができる。光応答性誘電体であるPbMg1/3Nb2/33を備えた容量変化検出素子は、近接及び遠隔の両方からの光により、容量の変化を検出することができる。PbMg1/3Nb2/33も光を照射することにより、104Hz以上、好ましくは105Hz以上、より好ましくは105~106Hzの周波数範囲で誘電率の向上効果が得られ、1MHzにおいて、光を照射しない場合(Dark)に対して、9%以上の誘電率の変化を示すことができる。

【0037】
PbMg1/3Nb2/33のtanδは、104Hz以上、好ましくは105Hz以上、より好ましくは105~106Hzの周波数範囲で、好ましくは0.02以下、より好ましくは0.0.01以下であることができる。

【0038】
上記範囲のxを有するLaAl1-xZnO3及びPbMg1/3Nb2/33は、バンドギャップと同等またはバンドギャップ未満のエネルギーを有する光を照射しても、光誘電効果を得ることができる。

【0039】
PbMg1/3Nb2/33を、PbMg1/3Nb2/33とチタン酸鉛との固溶体であるPbMg1/3Nb2/331-x(PbTiO3x(0.0<x≦0.1)としてもよい。PbMg1/3Nb2/331-x(PbTiO3xも、良好な光誘電効果を有する。

【0040】
光誘電効果の効率は、好ましくは2.5%、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは8%である。光誘電効果の効率とは、光が照射されない環境下(Dark)における光応答性誘電体の誘電率を基準とした、光を照射したときの誘電体の誘電率の変化率である。

【0041】
LaAl1-xZnx3及びPbMg1/3Nb2/33の形成方法は特に限定されず、それぞれ、焼結、スパッタリング、パルスレーザーデポジション、EB蒸着等の物理気相蒸着(PVD法)、化学気相蒸着法(CVD法)等により形成することができる。上記方法を用いて、例えば酸化インジウムスズ(ITO)の透明電極パターン上に、LaAl1-xZnx3やPbMg1/3Nb2/33を配置することができる。

【0042】
本発明はまた、光誘電効果を有する光応答性誘電体と一対の電極とを含む、容量変化検出素子を対象とする。

【0043】
本発明に係る容量変化検出素子は、近接及び遠隔のいずれからの光によっても容量の変化を検出することができる。近接からは、例えばライトペンのような光源から光を照射し、遠隔からは、例えば指向性の高いレーザーポインターのような光源から光を照射し、これらの照射光により高精度に容量の変化箇所を検出することができる。

【0044】
容量変化検出素子は、好ましくは電荷による容量変化も検出する。容量変化検出素子が、電荷による容量変化も検出する場合、容量変化検出素子を例えばタッチパネルに用いると、上記の近接及び遠隔からの光照射による操作に加えて、従来の静電容量検出型タッチパネルとしての機能も有することができる。

【0045】
その他の容量変化検出素子に関する構成は、上述の通りである。

【0046】
本発明に係る容量変化検出素子を配列して、ポインティングデバイスを得ることができる。本発明に係る容量変化検出素子を備えたポインティングデバイスは、近接及び遠隔のいずれからも高精度に操作することができる。

【0047】
容量変化検出素子が、電荷による容量変化も検出する場合、近接または遠隔からの光による容量の変化を検出することに加えて、静電的な導電性を有する物体を近接または接触させて、その容量の変化を検出することも可能となる。

【0048】
本発明に係る容量変化検出素子を備えたポインティングデバイスは、従来のポインティングデバイスの構成と同様であることができ、例えば、ディスプレイの部材上に、ガラス等の基板、電極、光応答性誘電体、電極、及びカバーが配置されて作製され得る。

【0049】
容量変化検出素子の光応答性誘電体の厚みは、容量及び光吸収の観点から調節することができ、例えば100nm~10μmの厚みにすることができる。

【0050】
本発明に係る容量変化検出素子を備えたポインティングデバイスはタッチパネルであることができる。近接からは、例えばライトペンを用いて操作することができ、遠隔からは、例えば指向性の高いレーザーポインターを用いて操作することができる。

【0051】
タッチパネルに含まれる容量変化検出素子が、電荷による容量変化も検出する場合、タッチパネルは、近接または遠隔からライトペンやレーザーポインターを照射して操作されることに加えて、静電容量型タッチパネルとしても機能することができる。

【0052】
本発明に係る容量変化検出素子を備えたタッチパネルは、従来のタッチパネルの構成と同様であることができ、例えば、ディスプレイの部材上に、ガラス等の基板、電極、光応答性誘電体、電極、及びカバーが配置されて形成され得る。

【0053】
例えば、従来の静電容量方式のタッチパネルと同様に、透明誘電体の両側に縦横2層からなる透明導電層を設け、近接からライトペン、または遠隔からレーザーポインターの光をタッチパネルに向けて照射することにより、接触位置の電極の容量の変化を縦横2つの電極列から知ることができ、接触位置を精密に判別することができる。また、タッチパネルに備える容量変化検出素子が電荷による容量変化も検出する場合、操作者が指等の静電的な導電性を有する物体をタッチパネルに接触させることでも、接触位置の電極の容量の変化を縦横2つの電極列から知ることができ、接触位置を精密に判別することができる。

【0054】
本発明を利用するにあたり、照射する光の波長は、光応答性誘電体が吸収を示す波長であればよく、可視域からバンドギャップを超えた紫外域までの波長範囲であることができる。本発明に係る光応答性誘電体は、この範囲で光誘電効果を有することができる。
【実施例】
【0055】
(実施例1)
La23、Al23、及びZnOの粉末試料を、メノウ乳鉢とメノウ乳棒を用いてエタノール中で湿式混合した。混合粉末を、1200℃で12時間、か焼した。か焼した粉末を、メノウ乳鉢とメノウ乳棒を用いて粉砕及び再混合し、その後ペレット成形した。ペレット成形した試料を、1400℃で12時間焼成して、焼結することにより、直径10mm、厚みが300μmで、LaAl1-xZnx3のxが0.01である、LaAl0.99Zn0.013の焼結体を作製した。
【実施例】
【0056】
得られたLaAl0.99Zn0.013について、図1の光誘電効果の測定系と、Precision LCR-meter(製造元:Agilent、型番E4980A)を用いて、室温にて、光を照射しない場合(Dark)と、50%の光強度を有する光を照射した場合の光誘電効果を測定した。光誘電効果の測定は、光源と誘電体試料の表面との間の距離を1cmにして行った。
【実施例】
【0057】
図3に、光を照射しない場合と光を照射した場合の、LaAl0.99Zn0.013の誘電率の周波数依存性を表したグラフを示す。図3のデータは、温度上昇による誘電率の変化を差し引いたデータである。以下のデータも同様である。
【実施例】
【0058】
図3に示すように、光を照射しない場合(Dark)に対して、50%の光強度を有する光を照射した場合、1MHzにおいて、誘電率は8%大きくなった。
【実施例】
【0059】
図3において、光を照射しない場合に、低周波数側で誘電率が大きく変化しているが、この低周波数側の誘電率の変化はマクスウェルワグナー効果によるものであり、本発明に係る光応答性誘電体が有する光誘電効果は、105~106Hzの範囲の高周波数側において、光を照射しない場合(Dark)に対して、ほぼ一定の増加割合の誘電率の変化として現れた。
【実施例】
【0060】
(実施例2)
実施例1で作製したLaAl0.99Zn0.013について、照射する光の光強度を変化させたときの誘電率の変化を評価した。図4に、光を照射しない場合(Dark)と、照射する光の光強度を10~70%に変化させた場合の誘電率の変化を表すグラフを示す。光強度が大きいほど光誘電効果が大きくなり、光強度が10~70%のときに、光を照射しない場合(Dark)に対して、1MHzにおける誘電率は2.5~6.5%大きくなった。
【実施例】
【0061】
図5に、図4の誘電率測定結果に対応する誘電損失tanδの周波数依存性を示す。誘電損失tanδは、室温にて、Precision LCR-meter(製造元:Agilent、型番E4980A)により測定した。LaAl0.99Zn0.013のtanδは、105~106Hzの周波数範囲で0.06以下という低い値を示した。
【実施例】
【0062】
(比較例1)
Znをドープしなかったこと以外は、比較例1と同様にして、厚みが300μmのLaAlO3の焼結体を作製した。LaAlO3は、LaAl1-xZnx3のxを0.00としたものである。図6に示すように、光を照射しない場合(Dark)と光を照射した場合(光強度50%)との間で、誘電率の変化はみられなかった。図6は、光を照射しない場合と光を照射した場合の、LaAlO3の誘電率の周波数依存性を表したグラフである。
【実施例】
【0063】
(比較例2)
Znのドープ量が3%となるように調製したこと以外は、実施例1と同様にして、厚みが300μmのLaAl0.97Zn0.033の焼結体を作製した。図7に、光を照射しない場合(Dark)と、照射する光の光強度を10~50%に変化させた場合のLaAl0.97Zn0.033の誘電率の変化を表すグラフを示す。図7に示すように、光を照射しない場合(Dark)と光を照射した場合(光強度10~50%)との間で、105~106Hzの周波数領域において、誘電率の変化はみられなかった。
【実施例】
【0064】
(実施例3)
MgO及びNb25の粉末を、化学量論比組成にて、メノウ乳鉢で混合し、混合した粉末を1100℃、大気中で12時間焼成し、MgNb25(コロンバイト)粉末を作製した。作製したコロンバイト粉末とPbO(酸化鉛)を1:1.03の比で、メノウ乳鉢で混合し、900℃、大気中で12時間焼成し、PbMg1/3Nb2/33を主成分とする粉末を作製した。
【実施例】
【0065】
作製したPbMg1/3Nb2/33を主成分とする粉末と、PbO、B23、及びMgOの粉末とをそれぞれ、30g、25g、3g、及び1g秤量し、メノウ乳鉢で混合した。混合した粉末をPtるつぼに充填した。Pt蓋で密閉したるつぼをアルミナ製のるつぼに入れ、蓋をした後、セメント(アロンセラミックスD)で密閉した。密閉したるつぼを電気炉に入れ、1200℃に昇温し、1200℃で9時間保持した後、860℃まで2℃/分で冷却した。その後、電気炉の出力を落として、室温まで冷却を行い、るつぼを取り出した。硝酸にるつぼを浸したのち、撹拌をしながらホットプレートで60℃に加温し、2日間置くことによってフラックスを溶解させ、縦1mm、横1mm、及び厚み1mmのPbMg1/3Nb2/33の単結晶を取り出し、縦1mm、横1mm、及び厚み300μmまで研磨成形した。
【実施例】
【0066】
得られたPbMg1/3Nb2/33について、実施例1と同様にして、光を照射しない場合(Dark)と、光を照射した場合の光誘電効果を測定した。図8に、光を照射しない場合と光を照射した場合の、PbMg1/3Nb2/33の誘電率の周波数依存性を表したグラフを示す。
【実施例】
【0067】
図8に示すように、光を照射しない場合(Dark)に対して、20%の光強度を有する光を照射した場合、1MHzにおいて、誘電率は9%大きくなった。
【実施例】
【0068】
図9に、図8の誘電率測定結果に対応する誘電損失tanδの周波数依存性を示す。LaAl0.99Zn0.013のtanδは、104~106Hzの周波数範囲で0.01以下という低い値を示した。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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