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明細書 :潤滑油及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-047875 (P2016-047875A)
公開日 平成28年4月7日(2016.4.7)
発明の名称または考案の名称 潤滑油及びその製造方法
国際特許分類 C10M 125/02        (2006.01)
C10M 107/02        (2006.01)
C10N  30/04        (2006.01)
C10N  30/06        (2006.01)
C10N  40/04        (2006.01)
C10N  40/25        (2006.01)
C10N  60/04        (2006.01)
FI C10M 125/02
C10M 107/02
C10N 30:04
C10N 30:06
C10N 40:04
C10N 40:25
C10N 60:04
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2014-172774 (P2014-172774)
出願日 平成26年8月27日(2014.8.27)
発明者または考案者 【氏名】木之下 博
【氏名】仁科 勇太
出願人 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
審査請求 未請求
テーマコード 4H104
Fターム 4H104AA04C
4H104BA07A
4H104JA13
4H104PA02
4H104PA41
要約 【課題】潤滑油においても酸化グラフェンを十分に分散させて、低摩擦及び低摩耗となる良好な潤滑油を提供する。
【解決手段】基油に酸化グラフェンを分散させて成る潤滑油及びその製造方法であって、酸化グラフェンは、水中でグラファイトを酸化処理することで形成し、この酸化グラフェンを含有する水溶液に界面活性剤を添加した後に、極性の溶液にも無極性の溶液にも混ざる中間溶液を加え、遠心分離によって水を除去した酸化グラフェン分散液とし、この酸化グラフェン分散液を基油に添加することで基油中に酸化グラフェンを分散させた潤滑油とする。
【選択図】図7
特許請求の範囲 【請求項1】
基油に酸化グラフェンを分散させて成る潤滑油であって、
酸化グラフェンは、水中でグラファイトを酸化処理することで形成し、
この酸化グラフェンを含有する水溶液に界面活性剤を添加した後に、極性の溶液にも無極性の溶液にも混ざる中間溶液を加え、遠心分離によって水を除去した酸化グラフェン分散液とし、
この酸化グラフェン分散液を基油に添加することで基油中に酸化グラフェンを分散させた潤滑油。
【請求項2】
酸化グラフェンを4wt%以下の濃度で含有する請求項1に記載の潤滑油。
【請求項3】
中間溶液は、アセトンまたは1-プロパノールである請求項1または請求項2に記載の潤滑油。
【請求項4】
界面活性剤は、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、ドデシル硫酸ナトリウムの少なくともいずれか1つである請求項3に記載の潤滑油。
【請求項5】
基油に酸化グラフェンを分散させて成る潤滑油の製造方法であって、
グラファイトを水中で酸化処理すること酸化グラフェンを作製する工程と、
この酸化グラフェンを含有する水溶液に界面活性剤を添加する工程と、
界面活性剤が添加された酸化グラフェンを含有する水溶液に、極性の溶液にも無極性の溶液にも混ざる中間溶液を加えて遠心分離によって水を除去することで酸化グラフェン分散液を作製する工程と、
この酸化グラフェン分散液を基油に添加することで基油中に酸化グラフェンを分散させる工程と
を有する潤滑油の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化グラフェンを含有した潤滑油及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、金属材料の表面同士の摩擦は、摩擦係数が0.4以上と非常に高く、その状態で摩擦させると激しい摩耗が生じる。そのため、潤滑油を用いることで金属材料の表面に油膜を形成し、金属材料の表面同士の直接接触を防ぐことで、摩擦の低減、及び摩耗の抑制を図っている。油膜によって金属材料同士の接触が完全に防がれている場合には、摩擦力は潤滑油の粘度だけで決まる流体潤滑状態となり、この流体潤滑状態では摩擦及び摩耗を著しく低下させることができる。
【0003】
しかしながら、金属材料で構成されるギヤやピストン等の部材は、駆動にともなって金属材料同士が高面圧で接触することとなり、この高面圧によって潤滑油の油膜の消失が生じると、金属材料の凸部分同士で直接的な接触が生じ、摩擦及び摩耗が生じることとなっている。
【0004】
そこで、潤滑性の向上を目的としてナノカーボン材料を添加することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
特に、本発明者らは、粉末状の黒鉛から酸化グラフェンを安価に製造する技術を有しており、この酸化グラフェンを分散させた水溶液が潤滑剤として利用できることを知見し、すでに特許出願を行っている。
【0006】
酸化グラフェンは、グラファイトの六員環構造を有する1層のグラファイト構造であり、平面方向のサイズは数μm以上に達し、化学安定性の非常に高い表面(基底面)にも非常に多くの酸素官能基を有している。このような酸化グラフェンは、金属材料の表面を被覆する効果が高いと思われ、酸化グラフェンで金属材料の表面が被覆されることで潤滑性が向上しているものと考えている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2009-173814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
酸化グラフェンは、多くの酸素官能基を有することで水等の極性分子には良好に分散し、酸化グラフェンを分散させた水溶液が潤滑剤として機能する一方で、油のような無極性分子には分散せず、油系の潤滑剤では、酸化グラフェンによる潤滑性の向上効果が得られにくいという問題があった。
【0009】
特に、油系の潤滑剤では、基油の酸化防止剤としても知られているフラーレン等のナノカーボン材料が添加されている場合があるが、酸化防止剤としての利用であるために、添加量自体が極めて少なく、低分散性が問題とされることはなかったが、潤滑助剤としての添加である場合には、十分な分散性を有する必要があった。
【0010】
本発明者らはこのような現状に鑑み、油系の潤滑剤、すなわち潤滑油においても酸化グラフェンを十分に分散させて、低摩擦及び低摩耗となる良好な潤滑油として利用可能とすべく研究開発を行って、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の潤滑油は、基油に酸化グラフェンを分散させて成る潤滑油であって、酸化グラフェンは、水中でグラファイトを酸化処理することで形成し、この酸化グラフェンを含有する水溶液に界面活性剤を添加した後に、極性の溶液にも無極性の溶液にも混ざる中間溶液を加え、遠心分離によって水を除去した酸化グラフェン分散液とし、この酸化グラフェン分散液を基油に添加することで基油中に酸化グラフェンを分散させた潤滑油である。酸化グラフェン水溶液を乾燥させて粉末状にし、それを基油に分散させる方法もあるが、乾燥によって酸化グラフェン同士が強固に結びつき、基油中で十分分散しないおそれがある。本方法では乾燥を伴わない分散方法で、基油中で十分分散する優位性がある。
【0012】
さらに、本発明の潤滑油では、以下の点にも特徴を有するものである。
(1)酸化グラフェンを4wt%以下の濃度で含有すること。
(2)中間溶液は、アセトンまたは1-プロパノールであること。
(3)界面活性剤は、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、ドデシル硫酸ナトリウムの少なくともいずれか1つであること。
【0013】
また、本発明の潤滑油の製造方法では、基油に酸化グラフェンを分散させて成る潤滑油の製造方法であって、グラファイトを水中で酸化処理すること酸化グラフェンを作製する工程と、この酸化グラフェンを含有する水溶液に界面活性剤を添加する工程と、界面活性剤が添加された酸化グラフェンを含有する水溶液に、極性の溶液にも無極性の溶液にも混ざる中間溶液を加えて遠心分離によって水を除去することで酸化グラフェン分散液を作製する工程と、この酸化グラフェン分散液を基油に添加することで基油中に酸化グラフェンを分散させる工程とを有するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、酸化グラフェンを高分散させた潤滑油とすることで、低摩擦及び低摩耗の潤滑油を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】PAOのみの場合における、摩擦試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(下の図)、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(上の図)である。
【図2】PAO-GO-Aにおける、摩擦試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(下の図)、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(上の図)である。
【図3】PAO-GO-Bにおける、摩擦試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(下の図)、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(上の図)である。
【図4】PAO-GO-Cにおける、摩擦試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(下の図)、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(上の図)である。
【図5】PAO-GO-Dにおける、摩擦試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(下の図)、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(上の図)である。
【図6】PAO-GO-Eにおける、摩擦試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(下の図)、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(上の図)である。
【図7】PAO-GO-Fにおける、摩擦試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(下の図)、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(上の図)である。
【図8】PAO-GO-Aにおける、摩擦試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(下の図)、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(上の図)である。
【図9】PAO-GO-Fにおける、摩擦試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(下の図)、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(上の図)である。
【図10】PAO-GO-Dにおける、摩擦試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(下の図)、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(上の図)である。
【図11】PAO-GO-Dにおける、摩擦試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(下の図)、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(上の図)である。
【図12】PAOのみの場合であって、約10万回摺動した付近での摩擦力データのグラフである。
【図13】PAO-GO-Aで、酸化グラフェンの濃度が2wt%の場合であって、約10万回摺動した付近での摩擦力データのグラフである。
【図14】PAO-GO-Fで、酸化グラフェンの濃度が2wt%の場合であって、約10万回摺動した付近での摩擦力データのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の潤滑油は、基油に酸化グラフェンを分散させて成る潤滑油である。

【0017】
一般的に、酸化グラフェンは、油のような無極性の溶液には分散しない。酸化グラフェンは、化学安定性の非常に高い表面(基底面)にも非常に多くの酸素官能基を有しており、この酸素官能基が親水性、すなわち疎油性を示すためである。

【0018】
であるならば、酸化グラフェンに還元処理を施して酸素官能基を取り除くことで親油性を向上させることも考えられるが、酸化グラフェンは、還元処理が施されることで酸化グラフェン同士の凝集が生じやすくなり、凝集することで薄膜状の酸化グラフェンのメリットが消失するおそれがある。さらに還元されることで金属と結びつきやすい酸素官能基も無くなり、金属への吸着性も極めて低下する。

【0019】
そこで、本発明では、酸化グラフェンを含有する水溶液に界面活性剤を添加することで親油性を向上させるとともに、界面活性剤が添加された酸化グラフェンを含有する水溶液に、極性の溶液にも無極性の溶液にも混ざる中間溶液を加えて遠心分離によって水を除去することで酸化グラフェン分散液を作製し、この酸化グラフェン分散液を基油に添加することで基油中に酸化グラフェンを分散させている。中間溶液の添加と遠心分離の処理は、基油への水の持ち込みを抑制するためであり、この処理を必要に応じて複数回繰り替えすことで、水を完全に除去することが望ましい。

【0020】
このように、界面活性剤で酸化グラフェンの親油性を向上させるとともに、中間溶液を用いて水を含まない酸化グラフェン分散液を作製することで、基油に酸化グラフェンを分散させやすくすることができる。

【0021】
ここで、界面活性剤が添加される前の酸化グラフェンを含有する水溶液は、水中でグラファイトを酸化処理することで形成することが望ましい。

【0022】
具体的には、特許第5098064号公報に記載されている製造方法等を用いて作成することが望ましい。

【0023】
すなわち、最初に原料となるグラファイトに対して電子レンジによるマイクロ波の照射を行い、次いでマイクロ波が照射されたグラファイトを、硫酸と、硝酸ナトリウムと、過マンガン酸カリウムで構成される酸化剤入りの水溶液に混合させることにより酸化させて、酸化グラフェンとしての剥離を生じさせて作成することができる。

【0024】
なお、剥離を生じさせて酸化グラフェンとした後、水の添加と遠心分離とを繰り返し行うことで硫酸等を除去して、酸化グラフェンを含有する水溶液としている。

【0025】
このように、グラファイトを水中で酸化処理することで酸化グラフェンを形成することにより、酸化グラフェン同士が接合したりすることなく、シート状の薄膜体として存在させることができ、摩擦抵抗の低減に効果的であると考えられる。

【0026】
剥離処理されるグラファイトは、平均粒径100μm以下の微粉末としていることが望ましく、好適には、平均粒径50μm以下の微粉末であることが望ましい。

【0027】
以下において、具体的な実施例を説明する。

【0028】
まず、上述した方法で、酸化グラフェンを含有する水溶液を作製した。この酸化グラフェンを含有する水溶液に添加する界面活性剤としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(C19H42BrN)、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド(C34H72BrN)、ドデシル硫酸ナトリウム(C12H25NaO4S)の3種類を準備した。また、中間溶液としては、アセトン(CH3COCH3)と1-プロパノール(CH3CH2CH2OH)の2種類を準備した。

【0029】
潤滑油の基油としては、ポリ-α-オレフィン(poly-α-olefin,以下において「PAO」と呼ぶ。)を用いた。作製した試料の識別のため、以下のナンバリングを行った。
【表1】
JP2016047875A_000003t.gif

【0030】
摩擦実験に用いた試験機は、基板上をボールが往復摺動するタイプの試験機であって、ボールが全く回転しないタイプである。ボールの材質は、非常に硬い軸受用のスチール(SUJ2)球で、直径は2mmとした。基板の材質は、SUS304で、研削仕上げを行って表面は滑らかとした。試験機では、1サイクルの摺動距離を約2mm、摺動周期を500RPMとした。さらに、試験機では、荷重を11.1Nとし,初期面圧を3.0GPaと非常に高面圧として行った。

【0031】
試験機による摩擦試験の結果、摩擦係数は、いずれの試料においても0.1程度であって、明確な差はなかった。そこで、摩耗痕の形状を評価することで、摩耗性の評価とすることとした。

【0032】
図1は、潤滑油の基油であるPAOのみ、すなわち、酸化グラフェンも、界面活性剤も、中間溶液も添加していない状態での試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(図1の下の図)と、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(図1の上の図)である。約10万回の摩擦後の状態である。

【0033】
摩耗痕深さは、図1の上の図から約8μmで、摩耗幅は約450μmとなっている。図1の上の図は、摩擦痕の断面形状を示しており、凹部の両端が盛り上がっている。これは高面圧のために基板材料が塑性流動を生じて、摺動面外側に材料が押し出されたためである。また図1の下の図の摩耗痕を見ると、中央部で摺動痕幅が大きくなり、波打っているような形状をしている。

【0034】
図2は、PAO-GO-Aでの試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(図2の下の図)と、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(図2の上の図)である。約10万回の摩擦後の状態である。ここで、酸化グラフェンの濃度は、2wt%である。

【0035】
図3は、PAO-GO-Bでの試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(図3の下の図)と、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(図3の上の図)である。約10万回の摩擦後の状態である。ここで、酸化グラフェンの濃度は、2wt%である。

【0036】
図4は、PAO-GO-Cでの試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(図4の下の図)と、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(図4の上の図)である。約10万回の摩擦後の状態である。ここで、酸化グラフェンの濃度は、2wt%である。

【0037】
図5は、PAO-GO-Dでの試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(図5の下の図)と、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(図5の上の図)である。約10万回の摩擦後の状態である。ここで、酸化グラフェンの濃度は、2wt%である。

【0038】
図6は、PAO-GO-Eでの試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(図6の下の図)と、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(図6の上の図)である。約10万回の摩擦後の状態である。ここで、酸化グラフェンの濃度は、2wt%である。

【0039】
図7は、PAO-GO-Fでの試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(図7の下の図)と、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(図7の上の図)である。約10万回の摩擦後の状態である。ここで、酸化グラフェンの濃度は、2wt%である。

【0040】
図2~図7の摩耗痕では、図1のPAOのみの場合と比較して摩耗痕が比較的直線状となっており、摩耗痕幅がほぼ一定になっている。特に、PAO-GO-Cと、PAO-GO-Fにおいて摩耗痕幅が明らかに小さくなっている。また、摺動痕の深さは、PAO-GO-Aで約8μmあって、PAOのみと差異が無いが、それ以外では約6μmと小さくなっており、特に、PAO-GO-Fでは約4μmと非常に小さくなっている.

【0041】
図8は、PAO-GO-Aでの試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(図8の下の図)と、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(図8の上の図)である。約10万回の摩擦後の状態である。ここで、酸化グラフェンの濃度は、4wt%である。

【0042】
酸化グラフェンの濃度を高めることで、図8に示すように、摩耗痕幅が約360μmとなり、摩耗痕深さも約5μmと、図2に示す酸化グラフェンの濃度が2wt%の場合よりも小さくすることができている。

【0043】
図9は、PAO-GO-Fでの試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(図9の下の図)と、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(図9の上の図)である。約10万回の摩擦後の状態である。ここで、酸化グラフェンの濃度は、4wt%である。

【0044】
酸化グラフェンの濃度を高めることで、図9に示すように、摩耗痕幅が約270μmとなり、図7に示す酸化グラフェンの濃度が2wt%の場合よりもさらに小さくすることができている。

【0045】
図10は、PAO-GO-Dでの試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(図10の下の図)と、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(図10の上の図)である。約10万回の摩擦後の状態である。ここで、酸化グラフェンの濃度は、4wt%である。

【0046】
図11は、PAO-GO-Dでの試験後の摩耗痕の光学顕微鏡写真(図11の下の図)と、摩耗痕を横断する方向での触診式の粗さ計での測定結果のグラフ(図11の上の図)である。約10万回の摩擦後の状態である。ここで、酸化グラフェンの濃度は、10wt%である。

【0047】
酸化グラフェンの濃度を高めることで、図10に示すように、摩耗痕幅が約360μmとなり、摩耗痕深さも約5μmと、図5に示す酸化グラフェンの濃度が2wt%の場合よりもさらに小さくすることができている。しかし、図10の結果と、図11の結果を対比すると大差はなく、酸化グラフェンの濃度が4wt%以上では濃度上昇による効果が小さくなると思われ、逆に、酸化グラフェンの使用量の増加にともなうコスト増が生じることから、酸化グラフェンの濃度は、4wt%以下であることが望ましい。

【0048】
摩擦実験に用いた試験機では、ひずみゲージを用いて直接的な摩擦力をモニタリング可能としている。

【0049】
図12は、PAOのみの場合であって、約10万回摺動した付近での摩擦力データのグラフである。縦軸が摩擦力で、横軸がある時間からの経過時間である。摩擦は往復摺動で行われており、摩擦方向が反転することによって、摩擦力もプラス値とマイナス値に反転し、のこぎり状の波形となって表れる。

【0050】
PAOのみの場合には、図12に示すように、一方向内で非常に値が乱れており、摩擦力データは安定していない。

【0051】
図13は、PAO-GO-Aで、酸化グラフェンの濃度が2wt%の場合あって、約10万回摺動した付近での摩擦力データのグラフである。この場合には、摩擦力データは安定した値が得られている.すなわちPAOのみの場合では、摩耗痕の凹凸が激しいため、摩擦力が乱れているが、PAO-GO-Aの場合では、摩耗痕が比較的に滑らかとなっているため、摩擦力が安定していると思われる。

【0052】
図14は、PAO-GO-Fで、酸化グラフェンの濃度が2wt%の場合あって、約10万回摺動した付近での摩擦力データのグラフである。この場合には、摩擦力データが安定するとともに、摩擦力自体の値も小さくなっている。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13