TOP > 国内特許検索 > マニピュレータ及びマニピュレータ形成方法 > 明細書

明細書 :マニピュレータ及びマニピュレータ形成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-052381 (P2016-052381A)
公開日 平成28年4月14日(2016.4.14)
発明の名称または考案の名称 マニピュレータ及びマニピュレータ形成方法
国際特許分類 A61B  90/00        (2016.01)
B25J  18/06        (2006.01)
FI A61B 19/00 502
B25J 18/06
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2014-178811 (P2014-178811)
出願日 平成26年9月3日(2014.9.3)
発明者または考案者 【氏名】望山 洋
【氏名】蕭 凱文
【氏名】竹囲 年延
【氏名】小川 清
【氏名】篠塚 英
出願人 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
【識別番号】595161603
【氏名又は名称】ハナキゴム株式会社
【識別番号】397038037
【氏名又は名称】学校法人成蹊学園
個別代理人の代理人 【識別番号】110000925、【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 3C707
Fターム 3C707AS35
3C707BS18
3C707CU07
3C707HT04
要約 【課題】簡素な製造工程及び簡素な部品で構成され、細く、良好な屈曲特性を実現するマニピュレータ及びマニピュレータ形成方法を提供する。
【解決手段】ロッド102にディッピングで第一ゴム層602を形成した後、短いチューブ202を間歇的に配したワイヤ103a、103b、103cをロッド102の三方面に貼り付けて、更にディッピングで第二ゴム層801を形成し、チューブ202をゴムの被覆105で覆う。フランジを用いないため、マニピュレータの太さを細く形成できる。また、屈曲特性、ペイロード特性も良好である。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
可撓性を有するロッドと、
一端が前記ロッドの先端に固定されるワイヤと、
前記ワイヤに間隔を有して貫通される複数のチューブと、
前記ロッドを覆い、且つ前記ロッドに前記チューブを固定する被覆と
を具備するマニピュレータ。
【請求項2】
前記被覆はゴムである、請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項3】
前記ワイヤは、前記ロッドの中心軸から見て120°の角度にて三本配置される、
請求項2に記載のマニピュレータ。
【請求項4】
前記ワイヤの先端は所定の面積を有するプレートに固定され、
前記プレートは前記被覆によって前記ロッドの先端に固定される、
請求項2または3に記載のマニピュレータ。
【請求項5】
可撓性を有するロッドを液体ゴムに浸して、前記ロッドの表面に第一ゴム層を形成する第一のステップと、
前記ロッドの前記第一ゴム層に、間隔を有してワイヤが貫通される複数のチューブを貼付し、前記ワイヤの先端を前記ロッドの先端に固定する第二のステップと、
前記チューブが貼付された前記ロッドを液体ゴムに浸して、前記チューブを覆う第二ゴム層を形成する第三のステップと
を有する、マニピュレータ形成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、主に外科手術等に用いられるマニピュレータと、マニピュレータ形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マニピュレータは、通常の手段では到達しにくい狭所に進入できる。マニピュレータはこの特性を活かして、低侵襲手術、レスキュー探査、保守点検・補修等への応用が期待されている。
外科手術における医療技術の進歩の一つとして、低侵襲性が挙げられる。心臓外科手術や腹部大動脈瘤手術等の、危険性が高い部位の手術を始め、多くの切開を要する手術において、小切開手術と呼ばれる、切開部位をできるだけ小さく済ませる手術を行うことで、患者の負担を軽減する。
【0003】
非特許文献1には、ワイヤを用いたマニピュレータの技術内容が開示されている。
特許文献1には、耐久性および操作性を向上させることができ、しかもロール動作を容易に行うことができる鉗子マニピュレータの技術内容が開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2014-90800号公報
【0005】

【非特許文献1】Shigeo Hirose, Takashi Kado, Yoji Umetani; Tensor Actuated Elastic Manipulator, Proc. 6th IFToMM World Congress, New Delhi ,2, , pp.978-981 (1983)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1及び特許文献1に開示されるように、これまでのマニピュレータは、屈曲駆動を行う機構部分の制約により、マニピュレータ自体の太さがどうしても太くなりがちであった。また、製造工程も複雑であり、高コストを招いていた。
【0007】
本発明はかかる課題を解決し、簡素な製造工程及び簡素な部品で構成され、細く、良好な屈曲特性を実現するマニピュレータ及びマニピュレータ形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のマニピュレータは、可撓性を有するロッドと、一端がロッドの先端に固定されるワイヤと、ワイヤに間隔を有して貫通される複数のチューブと、ロッドを覆い、且つロッドにチューブを固定する被覆とを具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、簡素な製造工程及び簡素な部品で構成され、細く、良好な屈曲特性を実現するマニピュレータ及びマニピュレータ形成方法を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態の例である、連続体マニピュレータの外観斜視図である。
【図2】連続体マニピュレータを覆う被覆を除去した状態を仮想的に示す模式図である。
【図3】図2に示す連続体マニピュレータの、A-A方向から見た断面図である。
【図4】図2に示す連続体マニピュレータの、B-B方向から見た断面図である。
【図5】連続体マニピュレータの動作原理を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態の例である、連続体マニピュレータの製造工程のうち、第一工程と第二工程を示す概略図である。
【図7】本発明の実施形態の例である、連続体マニピュレータの製造工程のうち、第三工程を示す概略図である。
【図8】連続体マニピュレータの、一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態の例である、連続体マニピュレータ101の外観斜視図である。
図2は、連続体マニピュレータ101を覆う被覆105を除去した状態を仮想的に示す模式図である。
連続体マニピュレータ101は、ロッド102と、ロッド102の先端から配される三本のワイヤ103a、103b、103cを有する。ワイヤ103a、103b、103cの先端には、指で引っ張るための操作子104a、104b、104cが設けられている。このワイヤ103a、103b、103cは、ロッド102の先端に固定されるプレート201a、201b、201cに接着され、複数のチューブ202を貫通する。図2中、プレート201cはロッド102に隠れて見えないが、後述する図4にて図示している。チューブ202は三本のワイヤ103a、103b、103cにおいて、それぞれ等間隔で配置される。なお、図5にて後述するが、長手方向に隣り合うチューブ202は、連続体マニピュレータ101が屈曲するために所定の間隔を設ける必要がある。また、チューブ202は三本のワイヤ103a、103b、103cにそれぞれ平行に配され、各々のチューブ202は糸203で固定される。これら部材が全て被覆105で覆われる。

【0012】
図3は、図2に示す連続体マニピュレータ101の、A-A方向から見た断面図である。
図4は、図2に示す連続体マニピュレータ101の、B-B方向から見た断面図である。
ワイヤ103a、103b、103c及びプレート201a、201b、201cは、ロッド102の断面から見て、ロッド102の周囲に略正三角形状に配置される。すなわち、ワイヤ103a、103b、103c及びプレート201a、201b、201cは、ロッド102の中心軸から見て、それぞれ凡そ120°の角度で配置される。
なお、これ以降、ワイヤ103a、103b、103cを区別しない場合は、ワイヤ103と称する。同様に、操作子104a、104b、104cを区別しない場合は、操作子104と称する。同様に、プレート201a、201b、201cを区別しない場合は、プレート201と称する。

【0013】
ロッド102は長手方向に対し垂直の面方向に可撓性と弾性を有する蛇腹状の細い管である。例えば、株式会社ハギテックの「ケーシングチューブ」(http://www.hagitec.co.jp/a_01fiberprotector.htm)と呼ばれる、ステンレス製フレキシブルチューブが利用可能である。ロッド102の材質はステンレスに限らず、合成樹脂で形成してもよい。
ワイヤ103は可撓性を有すると共に長手方向に大きく伸縮しない材質のものが利用可能である。例えば、ワイヤ103の材質はステンレスである。
プレート201としては被覆105であるゴムとの接着性や化学的安定性を考慮して、合成樹脂あるいはステンレス等の金属が利用可能である。
チューブ202もプレート201と同様、被覆105であるゴムとの接着性や化学的安定性を考慮して、合成樹脂あるいはステンレス等の金属が利用可能である。
糸203には、化学的安定性を考慮して、ポリエステル繊維等を用いることが好ましい。
連続体マニピュレータ101を覆う被覆105には、天然ゴムが用いられるが、必ずしもこれに限られる訳ではなく、シリコンゴム等の合成ゴムも利用可能である。

【0014】
本実施形態に係る連続体マニピュレータ101は、主に外科手術等の医療現場に使用することを想定しているので、全ての部品の材質は生体環境下における化学的安定性と人体に対する無毒性が要求されるが、医療用途でない場合はこの限りではない。その場合は、利用される環境下における化学的安定性が担保されればよい。

【0015】
連続体マニピュレータ101の大きさは、例えばロッド102の外径が4mm、ロッド102の、被覆105で被覆105された部分の長さが200mm、ワイヤ103の太さが直径0.3mm、プレート201は4mm×2mmの長方形、チューブ202の外径が1.4mm、チューブ202の穴の内径が0.5mm、チューブ202の長さが7mm、長手方向におけるチューブ202同士の間の距離Δxが3mmである。
このように形成した、チューブ202を含めた連続体マニピュレータ101の外径は、凡そ6mm程度になる。この、連続体マニピュレータ101の外径は、ロッド102の外径にチューブ202の外径と被覆105の皮膜の厚みを加えた値である。

【0016】
連続体マニピュレータ101は、任意の土台204に固定された上で、ワイヤ103を操作子104で土台204から引っ張ることで屈曲駆動する。
図6にて後述するが、図3及び図4を見て判るように、プレート201及びチューブ202は、ロッド102に直接接触しておらず、被覆105を構成するゴムによってロッド102に固定される。

【0017】
図5A及び図5Bは、連続体マニピュレータ101の動作原理を示す説明図である。
今、図5Aに示すように、ワイヤ103に力が加わっていない状態では、連続体マニピュレータ101は直立状態である。
次に、図5Bに示すように、ワイヤ103を土台204から引っ張ると、チューブ202間距離Δxが短くなる。このため、連続体マニピュレータ101はワイヤ103が存在する方向へ屈曲する。

【0018】
図6は、本発明の実施形態の例である、連続体マニピュレータ101の製造工程のうち、第一工程と第二工程を示す概略図である。
(1)先ず、第一工程では、ロッド102を液体ゴム601に浸して、乾燥させることにより、ロッド102の周囲に薄いゴムの皮膜(以下「第一ゴム層602」)を形成する。なお、必要に応じて、この第一ゴム層602の厚みを調整するために、「ディッピング(漬け込み)」を複数回行ってもよい。
(2)次に、第二工程では、半乾き状態の第一ゴム層602が形成されたロッド102の先端に、ワイヤ103a、103b、103cが固定されたプレート201a、201b、201cを貼り付ける。半乾き状態の第一ゴム層602は粘着力があるので、接着剤を用いずともそのままプレート201a、201b、201cをロッド102の先端に貼り付けることができる。勿論、接着剤を使ってはいけない訳ではなく、必要に応じて使用してもよい。
プレート201a、201b、201cが接着されたら、ワイヤ103a、103b、103cをチューブ202に通して、このチューブ202をロッド102に平行に、且つ等間隔に第一ゴム層602の表面に貼り付ける。
ワイヤ103a、103b、103cが通ったチューブ202が全て第一ゴム層602の表面に貼り付けられたら、平行に存在するチューブ202同士を糸203で結びつけ、ロッド102にチューブ202を固定する。

【0019】
図7は、本発明の実施形態の例である、連続体マニピュレータ101の製造工程のうち、第三工程を示す概略図である。
図8は、連続体マニピュレータ101の、一部拡大断面図である。
(3)最後に、第三工程では、チューブ202が固定されたロッド102を再び液体ゴム601に浸して、乾燥させる。すると、第一ゴム層602の上に、第二ゴム層801が形成される。この工程でも、必要に応じて第二ゴム層801の厚みを調整するために、ディッピングを複数回行ってもよい。
こうして、連続体マニピュレータ101が完成する。

【0020】
以上の説明で理解できるように、被覆105は第一ゴム層602と、第二ゴム層801の、二層のゴム層より形成されている。そして、プレート201、ワイヤ103及びチューブ202は、第一ゴム層602と第二ゴム層801との間に封止される。但し、ワイヤ103a、103b、103cは、図8に示すようにチューブ202の間の間隙で露出することもあり得る。第一ゴム層602と第二ゴム層801は、半乾き状態でディッピングが行われるために、相互に融着してほぼ一体化されることで、被覆105として形成される。
また、以上の説明で理解できるように、被覆105に利用可能な材料の条件として、伸縮性を有すること、接着剤に類する接着力を有すること、乾燥時にプレート201及びチューブ202をロッド102に固定できるだけの堅牢性を有することが求められる。

【0021】
なお、連続体マニピュレータ101に使用しているロッド102は中空形状である。したがって、連続体マニピュレータ101の先端部分にいわゆるマジックハンド等の操作子を設ける他、CCDカメラ等を設けることも容易に実現できる。

【0022】
非特許文献1等に開示される、従来技術におけるマニピュレータは、ワイヤ駆動機構にフランジを用いていた。このフランジが、マニピュレータの外径を太くしていた。これに対し、本実施形態の連続体マニピュレータ101は、フランジを用いず、フランジの代わりにチューブ202を用いて、このチューブ202をゴムの被覆105と糸203で固定することにより、フランジと同等の機能を実現した。
被覆105は連続体マニピュレータ101における、ロッド102にプレート201とチューブ202を貼り付けて固定する接着剤と、連続体マニピュレータ101全体を覆う被覆105の役目を兼用する。
このように形成した連続体マニピュレータ101は、先端部分を最大で360度回転させるほどの高い湾曲特性を有する。また、被覆105を形成するゴムが丈夫であることから、大きな引張力をワイヤ103に加えることができる。このため、連続体マニピュレータ101の自重に相当する質量を先端部分に把持したまま、ほぼ水平姿勢を維持できるほどの高いペイロード特性を有する。このペイロード特性は、ロッド102の剛性と、被覆105を形成するゴムの粘着力、そしてワイヤ103の耐荷重量に依存する。

【0023】
上記の実施形態には、以下に示す応用例が可能である。
(1)本実施形態に係る連続体マニピュレータ101は、360°の可動域を実現するために、ロッド102の周囲にワイヤ103a、103b、103cが三本設けられることが理想的である。しかし、用途によっては一方向にのみ、或は二方向にのみ可動域を有する構成であってもよい。例えば、平面上にのみ駆動する必要がある場合は、平面に平行に二本のワイヤ103を設ければよい。極端な例では、ロッド102が弾性を有する条件において、ワイヤ103は一本だけでも連続体マニピュレータ101は機能する。
(2)ロッド102は、ワイヤ103が二本以上の条件において、必ずしも弾性を有さなくてもよい。

【0024】
(3)上記の実施形態では、ワイヤ103はロッド102に対し、プレート201を用いて固定されていた。しかし、ワイヤ103のロッド102に対する固定方法はこれに限られない。例えば、ギター等の弦楽器の弦のように、ボールエンドをワイヤ103の先端に設けて、ロッド102の先端にはボールエンドを引っ掛ける溝を設ける、という固定方法も考えられる。また、ワイヤ103a、103b、103cの先端をそれぞれ溶接等で接着させた上で、ロッド102の先端にねじ込む、或はロッド102に直接溶接等で接着させる、という方法も考えられる。
また、上記の実施形態ではプレート201a、201b、201cを三枚別体に構成したが、三枚のプレート201a、201b、201cの短辺がそれぞれ正三角形状に一体化した構成を採ってもよい。

【0025】
(4)本実施形態に係る連続体マニピュレータ101は、平行に存在するチューブ202同士をロッド102の長手方向に動かないように、糸203で縛りつけていたが、ロッド102にチューブ202を長手方向に動かないための係止孔を設け、チューブ202に係止孔に嵌合する係合突起を設ければ、糸203は不要になる。
(5)本実施形態に係る連続体マニピュレータ101の操作子104を、コンピュータで制御された直動アクチュエータなどで置き換えても良い。またロッド102の根元をロボットの手先で支持し、直動や回転の動作を加えることで,連続体マニピュレータ101の位置や姿勢を変更させる機構を備えることもできる。

【0026】
本実施形態においては、連続体マニピュレータ101と、この連続体マニピュレータ101の形成方法を開示した。
ロッド102にディッピングで第一ゴム層602を形成した後、短いチューブ202を間歇的に配したワイヤ103a、103b、103cをロッド102の三方面に貼り付けて、更にディッピングで第二ゴム層801を形成し、チューブ202をゴムの被覆105で覆う。フランジを用いないため、マニピュレータの太さを細く形成できる。また、屈曲特性、ペイロード特性も良好である。

【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
【符号の説明】
【0028】
101…連続体マニピュレータ、102…ロッド、103…ワイヤ、104…操作子、105…被覆、201…プレート、202…チューブ、203…糸、204…土台、601…液体ゴム、602…第一ゴム層、801…第二ゴム層
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7