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明細書 :地形データの作成方法、データロガーおよび測量システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-143625 (P2015-143625A)
公開日 平成27年8月6日(2015.8.6)
発明の名称または考案の名称 地形データの作成方法、データロガーおよび測量システム
国際特許分類 G01C  15/00        (2006.01)
G01C   7/02        (2006.01)
FI G01C 15/00 103A
G01C 7/02
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 17
出願番号 特願2014-016419 (P2014-016419)
出願日 平成26年1月31日(2014.1.31)
発明者または考案者 【氏名】津村 宏臣
【氏名】杉本 裕二
【氏名】竹内 俊貴
【氏名】高田 祐一
【氏名】渡邊 俊祐
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】100076406、【弁理士】、【氏名又は名称】杉本 勝徳
【識別番号】100117097、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 充浩
審査請求 未請求
要約 【課題】測量システムを比較的低価格で構築できる地形データの作成方法を提供する。
【解決手段】最初に、任意の機械点に設置された測量機を用いて、任意の求点の方位角、鉛直角および求点までの距離を計測する操作を繰り返して、機械点および求点毎に測量データを取得する。次に、機械点および求点毎の測量データの測量形態を表すヘッダー情報を生成する。次に、機械点および求点毎の測量データを、互いに直交する3軸で表現された三次元データに変換する。次に、三次元データに変換された機械点および求点毎の測量データを、対応するヘッダー情報に基づいて関連付けることにより、基準点を起点とする三次元空間上の座標データに変換する。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
任意の機械点に設置された測量機を用いて、任意の求点の方位角、鉛直角および斜距離を計測する操作を繰り返して、機械点および求点毎に測量データを取得する第1のステップと、
前記機械点および求点毎の測量データの測量形態を表す、複数チャンネルのデータで構成されたヘッダー情報を生成する第2のステップと、
機械点および求点毎の測量データを、互いに直交する3軸で表現された三次元データに変換する第3のステップと、
前記三次元データに変換された機械点および求点毎の測量データを、対応するヘッダー情報に基づいて関連付けることにより、基準点を起点とする三次元空間上の座標データに変換する第4のステップと、を含むことを特徴とする地形データの作成方法。
【請求項2】
前記ヘッダー情報は、測量データの測量形態として以下のa、b、cまたはdのいずれかを表す、請求項1に記載の地形データの作成方法。
a.位置データが既知の求点である前記基準点の測量
b.求点のうち位置データを中継するために設定された中継点の測量
c.設定済みの中継点の測量
d.基準点および中継点以外の求点の測量
【請求項3】
前記基準点の三次元空間上の座標データとして、GPSレシーバで取得した機械点の緯度、経度および標高のデータを用いる、請求項2に記載の地形データの作成方法。
【請求項4】
前記ヘッダー情報は複数個のスイッチを用いて生成される、請求項1ないし3のいずれかに記載の地形データの作成方法。
【請求項5】
前記ヘッダー情報には、2つの求点における地形データの間を直線で結ぶための情報が含まれている、請求項1ないし4のいずれかに記載の地形データの作成方法。
【請求項6】
前記ヘッダー情報には、複数の求点における地形データで囲まれた領域を面として表示するための情報が含まれている、請求項1ないし4のいずれかに記載の地形データの作成方法。
【請求項7】
任意の機械点に設置された測量機を用いて計測された、任意の求点の方位角、鉛直角および斜距離を含む、機械点および求点毎の測量データを格納するメモリと、
前記機械点および求点毎の測量データの測量形態を表す、複数チャンネルのデータで構成されたヘッダー情報を生成するヘッダー情報生成部と、
前記メモリへのデータの書き込みおよび前記メモリからのデータの読み出しを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記測量データと前記ヘッダー情報とを、紐付けされた状態で前記メモリに格納することを特徴とするデータロガー。
【請求項8】
前記ヘッダー情報生成部は複数個のスイッチで構成される、請求項7に記載のデータロガー。
【請求項9】
請求項7または8に記載の測量機およびデータロガーと、前記測量データに基づいて三次元空間上の座標データを生成するコンピュータとを備え、
当該コンピュータは、機械点および求点毎の測量データを、互いに直交する3軸で表現された三次元データに変換すると共に、当該三次元データに変換された機械点および求点毎の測量データを、対応するヘッダー情報に基づいて関連付けることにより、基準点を起点とする三次元空間上の座標データに変換することを特徴とする測量システム。
【請求項10】
前記ヘッダー情報は、測量データの測量形態として以下のa、b、cまたはdのいずれかを表す、請求項9に記載の測量システム。
a.位置データが既知の求点である前記基準点の測量
b.求点のうち位置データを中継するために設定された中継点の測量
c.設定済みの中継点の測量
d.基準点および中継点以外の求点の測量
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、測量機を用いて計測したデータに基づいて三次元空間上の座標データである地形データを作成する方法、ならびにその地形データの作成に用いるデータロガーおよび測量システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地図の作成や土地の位置・状態の調査の際に必要となる地形データの測量は、トータルステーションと呼ばれる光波測距儀を用いて行われる(例えば、特許文献1参照)。トータルステーションで測量されたデータは、その後、コンピュータにインストールされた専用のアプリケーションソフトを用いて三次元空間上の座標データに変換される。
【0003】
一方、トータルステーションで取り扱うデータ形式はメーカ毎に異なっており、各メーカは、独自のデータ形式で測量データのインポートと解析を行っている。作業者は測量したデータをオフィスに持ち帰り、コンピュータにインストールされた専用のCADソフトを用いてデータを展開すると共に、測量時に記録したメモやマーカを参照しながら地図を作成している。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2000-221037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、トータルステーションはメーカ毎に独自のデータ形式を採用しており、地形データ作成用のアプリケーションソフトやCADソフトも、データ形式に合わせて各メーカが独自に開発している。
【0006】
従って、トータルステーションを用いて測量システムを構築する場合、高額であっても、トータルステーションと共に専用のアプリケーションソフトをメーカから購入する必要がある。
【0007】
更に、地形データの出力手段であるプリンタやプロッタも、データ形式に対応したドライバソフトがインストールされたものを購入する必要があるため、測量システムが高価なものとなっていた。
【0008】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたもので、測量システムを比較的低価格で構築できる地形データの作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明にかかる地形データの作成方法は、
任意の機械点に設置された測量機を用いて、任意の求点の方位角、鉛直角および斜距離を計測する操作を繰り返して、機械点および求点毎に測量データを取得する第1のステップと、
前記機械点および求点毎の測量データの測量形態を表す、複数チャンネルのデータで構成されたヘッダー情報を生成する第2のステップと、
機械点および求点毎の測量データを、互いに直交する3軸で表現された三次元データに変換する第3のステップと、
前記三次元データに変換された機械点および求点毎の測量データを、対応するヘッダー情報に基づいて関連付けることにより、基準点を起点とする三次元空間上の座標データに変換する第4のステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
ここで、前記ヘッダー情報は、測量データの測量形態として以下のa、b、cまたはdのいずれかを表すことが好ましい。
a.位置データが既知の求点である前記基準点の測量
b.求点のうち位置データを中継するために設定された中継点の測量
c.設定済みの中継点の測量
d.基準点および中継点以外の求点の測量
【0011】
なお、前記基準点の三次元空間上の座標データとして、GPSレシーバで取得した機械点の緯度、経度および標高のデータを用いてもよい。
【0012】
前記ヘッダー情報は、複数個のスイッチを用いて生成されることが好ましい。
【0013】
前記ヘッダー情報には、2つの求点における地形データの間を直線で結ぶための情報が含まれていてもよい。もしくは前記ヘッダー情報には、複数の求点における地形データで囲まれた領域を面として表示するための情報が含まれていてもよい。
【0014】
また本発明にかかるデータロガーは、
地形データの作成方法は任意の機械点に設置された測量機を用いて計測された、任意の求点の方位角、鉛直角および斜距離を含む、機械点および求点毎の測量データを格納するメモリと、
前記機械点および求点毎の測量データの測量形態を表す、複数チャンネルのデータで構成されたヘッダー情報を生成するヘッダー情報生成部と、
前記メモリへのデータの書き込みおよび前記メモリからのデータの読み出しを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記測量データと前記ヘッダー情報とを、紐付けされた状態で前記メモリに格納することを特徴とする。
【0015】
更に本発明にかかる測量システムは、上述の測量機およびデータロガーと、前記測量データに基づいて三次元空間上の座標データを生成するコンピュータとを備え、
当該コンピュータは、機械点および求点毎の測量データを、互いに直交する3軸で表現された三次元データに変換すると共に、当該三次元データに変換された機械点および求点毎の測量データを、対応するヘッダー情報に基づいて関連付けることにより、基準点を起点とする三次元空間上の座標データに変換することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる地形データの作成方法を採用すれば、汎用のデータ形式の測量データを用いて、測量システムを比較的低価格で構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる地形データの作成方法を実現する測量システムの構成を示す図である。
【図2】図1の測量機の外観を示す斜視図である。
【図3】図1のデータロガーの外観を示す平面図である。
【図4】測量データを取得する際の流れを説明する図である。
【図5】ヘッダー情報の内容を示すリストである。
【図6】本発明にかかる地形データの作成方法により作成された等高線図である。
【図7】本発明の実施の形態2にかかる地形データの作成方法におけるヘッダー情報の内容を示すリストである。
【図8】本発明の実施の形態2にかかる地形データの作成方法を用いて作成した地図を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3にかかる地形データの作成方法を実現する測量システムの構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態3にかかる地形データの作成方法におけるヘッダー情報の内容を示すリストである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態にかかる地形データの作成方法およびデータロガーについて、図面を参照して説明する。

【0019】
(実施の形態1)
<測量システムの構成>
図1に、本実施の形態にかかる地形データの作成方法を実現する測量システムの構成を示す。測量システム1は、測量機2、データロガー3およびパーソナルコンピュータ(以降、「PC」という)4で構成されている。

【0020】
測量機2は、それが設置された観測点(以降、「機械点」という)から、任意の地点(以降、「求点」という)にレーザ光を照射し、そこからの反射光を受光することによって求点までの距離(以降、これを「斜距離」という)を計測すると共に、求点の方位角および鉛直角を計測して、一組の測量データを取得する。ここで、「方位角」は真北の方向に対する求点の角度、「鉛直角」は鉛直方向に対する求点の角度を示す。

【0021】
図2に測量機2の外観を示す。測量機2は、市販のデジタルコンパス21の側面に市販のレーザレンジファインダ22を取り付けたもので、レーザレンジファインダ22の上部には望遠鏡23が取り付けられている。

【0022】
レーザレンジファインダ22には、レーザ光を照射する窓24と反射したレーザ光を受光する窓25が設けられている。またレーザレンジファインダ22は鉛直方向に回転できるように構成されており、内蔵されたエンコーダ(図示せず)によって、鉛直方向に対してレーザ光が照射された方向の角度、すなわち鉛直角を測定できる。

【0023】
デジタルコンパス21は、レーザレンジファインダ22から照射されたレーザ光の方位角、すなわち求点の真北に対する角度を計測するものである。デジタルコンパス21の下部は、三脚の台座26に回転可能な状態で取り付けられている。図示しないが、三脚にはデータロガー3が取り付けられており、ケーブルを介してデジタルコンパス21に接続されている。なお、図2では煩雑さを避けるため、ケーブルを省略している。

【0024】
測量の際には、作業者が望遠鏡23を覗き込み、デジタルコンパス21を水平方向に回転させると共にレーザレンジファインダ22を鉛直方向に回転させて、計測したい求点が望遠鏡の視野の中心に位置するようにする。この状態で、レーザレンジファインダ22のスイッチをオンにすると、窓24からレーザ光が照射され、求点で反射したレーザ光が窓25から入射して求点までの距離が計測され、計測データがデジタルコンパス21に転送される。その際、レーザレンジファインダ22内蔵のエンコーダによって計測された鉛直角のデータも、併せてデジタルコンパス21に転送される。

【0025】
レーザレンジファインダ22から転送された斜距離および鉛直角の計測データ、並びにデジタルコンパス21で計測された方位角のデータを含む測量データは、デジタルコンパス21において、測量データの汎用フォーマットの一つであるSIMA形式のデータに変換された後、データロガー3に転送される。

【0026】
ここで、測量データをSIMA形式のデータに変換する理由を説明する。一般にトータルステーションにおいては、メーカ独自の形式のデータとは別に、SIMA形式のデータが出力されるように構成されている。従って、測量機2から出力される測量データの形式をSIMA形式とすることによって、市販のいずれのトータルステーションでも、測量機として使用できるようになる。

【0027】
デジタルコンパス21でSIMA形式に変換された測量データは、ケーブルを介してデータロガー3に転送された後、内蔵のメモリに格納される。

【0028】
上述したように、市販のトータルステーションを測量機2として用いることができるが、トータルステーションはメーカ毎に独自のデータ形式を採用し、かつ独自の機能を付加しているため、比較的高価である。このため、本実施の形態では、比較的安価なデジタルコンパスとレーザレンジファインダを用いて測量機を構成している。

【0029】
図1の説明に戻って、データロガー3は、測量機2で計測された方位角、鉛直角および斜距離を含む測量データを記憶するもので、CPU(Central Processing Unit)31、ヘッダー情報生成部32、ROM(Read Only Memory)33、RAM(Random Access Memory)34、メモリ35、表示部36および出力部37で構成されている。

【0030】
CPU31は制御部として機能するもので、測量機2から転送された測量データを受信すると共に、メモリ35への測量データの書き込み、メモリ35からのデータの読み出しを含むデータロガー3の動作を制御する。

【0031】
ヘッダー情報生成部32は、測量機2で計測された測量データの測量形態を表すヘッダー情報を生成するもので、本実施の形態では、3つのロータリースイッチRSW1~3(以降、総称して「RSW」ともいう)と1つのスライドスイッチSSWで構成されている。

【0032】
ロータリースイッチRSWは16の接点を有し、作業者がノブを回転させることによって、0~9の数字とA~Fの文字で表される16種類のデータを出力する。一方、スライドスイッチSSWは3つの接点を有し、作業者がノブをスライドさせることによって、点、線または面を表す3種類のデータを出力する。なお、本実施の形態ではロータリースイッチRSWの機能について説明し、スライドスイッチSSWの機能については、実施の形態2で説明する。

【0033】
ヘッダー情報生成部32で生成されたヘッダー情報は、測量機2から転送された測量データと紐付けされた状態でメモリ35に格納される。

【0034】
ROM33にはプログラムが格納されており、ROM33から読み出されたプログラムをCPU31で実行することにより、データロガー3の各種機能が実現される。RAM34はワーキングメモリとしての機能を果たす。

【0035】
メモリ35は測量機2で計測された測量データとヘッダー情報生成部32で生成されたヘッダー情報を格納するもので、フラッシュメモリ等の非動作時に電力を消費しない不揮発性メモリで構成されている。

【0036】
表示部36は液晶ディスプレイで構成され、ヘッダー情報生成部32で生成されたヘッダー情報の内容を確認するために用いられる。出力部37は、メモリ35から読み出された測量データおよびヘッダー情報をPC4に転送するためのインターフェースである。

【0037】
図3に、データロガー3の外観を示す。データロガー3は、図1に示した各部材が直方体状のケース30に収容されており、前面には3つのロータリースイッチRSW1~3と表示部36が取り付けられている。ロータリースイッチRSW1~3のそれぞれのノブを回転することにより、上述した16のデータのいずれかが出力され、メモリ35に記憶される。

【0038】
図示しないが、ケース30の側面にはスライドスイッチSSWが取り付けられており、ノブをスライドさせることによって3つのデータのいずれかが出力される。なお、ケースの前面に設けられた表示ランプ38および39は表示部36の一部を構成し、そのうち表示ランプ38は電源がオンのときに点灯し、表示ランプ39はエラーが発生したときに点灯する。

【0039】
図1の説明に戻り、データロガー3の出力部37から出力された測量データおよびヘッダー情報はPC4に転送される。PC4は、データロガー3から転送されたデータに基づいて地形データや地図データを作成するもので、内蔵のハードディスクには、地形データおよび地図データ作成用のソフトウェアが格納されている。

【0040】
PC4に転送されたSIMA形式の測量データは、ソフトウェアによって互いに直交する3軸(X,Y,Z)で表現された三次元データに変換された後、CSVファイルとして、ヘッダー情報と共にハードディスクに格納される。

【0041】
<地形データの作成方法>
次に、図4および図5を参照して、本発明にかかる地形データの作成方法について説明する。図4は、測量データを取得する際の流れを説明する図、図5は、ヘッダー情報生成部32のロータリースイッチRSW1~3によって設定されるヘッダー情報の内容を示す図である。

【0042】
本発明にかかる地形データの作成方法は、以下の4つのステップを含んでいる。
(1)任意の機械点に設置された測量機を用いて、任意の求点の方位角、鉛直角および斜距離を計測する操作を繰り返して、機械点および求点毎の測量データを取得する。
(2)機械点および求点毎の測量データの測量形態を表すヘッダー情報を生成する。
(3)機械点および求点毎の測量データを、互いに直交する3軸で表現された三次元データに変換する。
(4)三次元データに変換された機械点および求点毎の測量データを、対応するヘッダー情報に基づいて関連付けることにより、基準点を起点とする三次元空間上の座標データである地形データに変換する。

【0043】
以下、上述の4つのステップについて具体的に説明する。最初に、図4を参照して、測量データを取得する際の流れを説明する。

【0044】
地形データを作成するために、測量機2を各機械点に設置して測量を行い、それぞれの求点の方位角、鉛直角および斜距離を求める。しかし、得られたデータは相互に独立しているため、そのままでは地形データとはなりえない。複数の機械点で取得した測量データを、地形データを表す三次元空間上の座標データに変換するためには、基準点の座標データから出発して、一筆書きのように各機械点で計測した測量データを関連付けていく必要がある。

【0045】
ここで、基準点および中継点について説明する。「基準点」は、測量を行う際の起点となる求点のことをいう。一方、「中継点」は、機械点で計測した測量データをつなげていくために設けられた求点のことをいう。中継点には、石垣の角とか太い木の根元等の特徴のある地形が用いられる。図4に示すように、機械点1および2に測量機を設置し、それぞれ中継点1の方位角、鉛直角および求点までの距離を計測する。すると、中継点1を介して機械点1と機械点2の測量データが関連付けられる。

【0046】
関連付けの前処理として、方位角、鉛直角および斜距離で表される測量データは、緯度と平行な方向をX軸、経度と平行な方向をY軸、高さ方向をZ軸とする、互いに直交する3軸で表される三次元データに変換される。

【0047】
機械点1の三次元空間上の座標データは、機械点1で計測した基準点の相対位置データ(三次元データ)を、基準点の三次元空間上の座標データから引くことにより求まる。同様に、中継点1の三次元空間上の座標データは、機械点1において計測した中継点1の相対位置データ(三次元データ)を、機械点1の三次元空間上の座標データに加えることにより求まる。更に、機械点2の三次元空間上の座標データは、中継点1を求点として機械点2で計測した相対位置データ(三次元データ)を、中継点の三次元空間上の座標データから引くことにより求まる。

【0048】
このように基準点の三次元空間上の座標データを起点として、これにそれぞれの機械点で計測した中継点の座標データを関連付けていけば、すべての機械点および中継点の三次元空間上の座標データを取得できる。

【0049】
一方、基準点および中継点以外の求点、例えば、図4の求点1~3の三次元空間上の座標データは、機械点1で計測した求点1~3の相対位置データ(三次元データ)を、機械点1の三次元空間上の座標データに加えることにより求まる。同様に、求点4および5の三次元空間上の座標データは、機械点2で計測した求点4および5の相対位置データ(三次元データ)を、機械点2の三次元空間上の座標データに加えることにより求まる。

【0050】
このように、機械点および中継点を設定しながら測量を続け、それらの測量データをつなぐことにより、対象となる地域の三次元空間上の座標データである地形データを取得することができる。

【0051】
次に、図5を参照して、各機械点において取得した測量データを関連付けるためのヘッダー情報の内容について説明する。ヘッダー情報は機械点における測量形態を表したものであり、以下のいずれかの内容を示している。
a.基準点の測量
b.位置データを中継するために設定された中継点の測量
c.設定済みの中継点の測量
d.基準点・中継点以外の求点の測量

【0052】
ここで、「a.基準点の測量」は、図4に示すように、最初の機械点1において、三次元空間上の座標データが分かっている基準点の方位角、鉛直角および斜距離を計測することをいう。

【0053】
「b.位置データを中継するために設定された中継点の測量」は、機械点1から新たに設定された中継点1を求点として方位角、鉛直角および斜距離を計測する場合をいう。

【0054】
「c.設定済みの中継点の測量」は、機械点1での測量の際に設定した中継点1を、機械点2での測量において求点とする場合をいう。なお、設定済みの中継点1を測量する際には、その中継点がどの機械点での測量の際に設定されたものであるかを明確にする必要がある。

【0055】
「d.基準点・中継点以外の求点の測量」は、図4の求点1~3のように、機械点での測量において、基準点および中継点以外の地点を測量する場合をいう。

【0056】
図5にヘッダー情報の具体例を示す。本実施の形態では、ヘッダー情報生成部32の3つのロータリースイッチRSW1~3を用いて3チャンネルのヘッダー情報を生成し、このヘッダー情報によって測量機2で取得した測量データを相互に関連付けている。

【0057】
図5のチャンネル1には、ロータリースイッチRSW1によって設定されるヘッダー情報が示されている。チャンネル1は、測量機2が設置された機械点の番号を示す。チャンネル1により15個の機械点(No.1~No.F)を設定できる。機械点が15個を超えたときは、測量データを格納する新たなテーブルを設ける必要がある。

【0058】
図5のチャンネル2には、ロータリースイッチRSW2によって設定されるヘッダー情報が示されている。チャンネル2は、基準点および中継点のいずれの測量データであるか、また中継点は、新たに設定したものであるか、もしくは設定済みのものであるかを示す。図5のテーブルでは、基準点の測量(No.1)以外に、新たに設定された6つの中継点(No.A~No.F)と、設定済みの6つの中継点(No.4~No.9)を示すことができる。

【0059】
なお、チャンネル2のNo.1~No.3に列記されたデータ測定の回数は、同一の地点を測定する回数を示すもので、若干性格が異なっている。特に重要な地点については、測量データとして5回または10回の測量の平均値のデータを用いることが好ましいため、それを表している。

【0060】
図5のチャンネル3には、ロータリースイッチRSW3によって設定されるヘッダー情報が示されている。チャンネル3は、設定済みの中継点を測量する際に、その中継点がどの機械点の測量において設定されたものであるかを示している(No.1~No.F)。

【0061】
前述の図4には、図5のテーブルに基づいて設定された、基準点、中継点および求点のそれぞれのヘッダー情報の内容をカッコ内に示している。基準点のヘッダー情報(100)は、機械点1から基準点を測量することを示す。

【0062】
中継点1のヘッダー情報(1A0)は、機械点1において新設の中継点1を測量することを示す。一方、中継点1のヘッダー情報(241)は、機械点2において設定済みの中継点1を測量すること、および中継点1は機械点1において設定された中継点であることを示す。

【0063】
求点1のヘッダー情報(110)は、機械点1において基準点および中継点以外の求点を測量することを示す。求点4のヘッダー情報(210)は、機械点2において、基準点および中継点以外の求点を測量することを示す。求点2、3、5のヘッダー情報も、同様の内容を示している。

【0064】
表1に、測量データとヘッダー情報を列記したリストの一例を示す。表1中「ヘッダー情報」は、ヘッダー情報生成部32で生成された3チャンネルのヘッダー情報を示す。ヘッダー情報の内容は、図4を用いて説明したヘッダー情報と同じである。

【0065】
【表1】
JP2015143625A_000003t.gif

【0066】
表1中「測量機からの距離」は、機械点から求点(または基準点、中継点)までの距離のことで、互いに直交する3軸(X、Y、Z)で表現された座標データを示す。なお、この座標データは、測量データである方位角、鉛直角および斜距離に基づいて算出した値で、データロガー3からPC4に転送された際に、PC4にインストールされたソフトウェアによって算出される。

【0067】
なお、表には、参考データとして、測量機2で測量したときの日付と時刻のデータ、および計測の順番を示した計測番号が表示されている。

【0068】
PC4にあらかじめインストールされたソフトウェアを用い、表1に示した「測量機からの距離」の三次元データを、図4を用いて説明した方法によりヘッダー情報を用いて関連付けると共に、基準点の三次元空間上の座標データを入力すると、それぞれの測量データが、三次元空間上の座標データである地形データに変換される。

【0069】
表2に、上述の方法により、三次元空間上の座標データに変換された地形データの一例(一部)を示す。また図6に、表2の地形データに基づいて作成した等高線図を示す。等高線図を作成する場合、表2のX,Y,Zで表された三次元データを、PC4にインストールされたソフトウェアを用いて緯度、経度および標高のデータに置換する必要があるが、置換は単純なソフトウェアを用いて行える。

【0070】
図6に示すように、本発明にかかる地形データの作成方法を用いれば、単純なソフトウェアを用いて、測量機2で取得した測量データをヘッダー情報で関連付けることにより、地形データを得ることができる。更には、この地形データに基づいて等高線図を簡単に作成できる。

【0071】
【表2】
JP2015143625A_000004t.gif

【0072】
上述したように、本発明にかかる地形データの作成方法を採用すれば、比較的低価格で測量システムを構築でき、しかも、この測量システムは、トラバース測量、点群座標測量、多角形面積測量、更には交点・接線・垂線・多角形測量にも適用できるため、実用上の価値は大きい。

【0073】
なお、本実施の形態においては、ヘッダー情報を3つのチャンネルで構成し、更に各チャンネルを16個の接点を有するロータリースイッチを用いて実現したが、この方法に限定されない。例えば、より多くの接点を有するロータリースイッチを用いれば、チャンネル数を減らすことができる。

【0074】
(実施の形態2)
実施の形態1では、各求点の測量データは、地図上に点として表示される。これに対し、ヘッダー情報のチャンネルを1つ増やし、その情報によって各求点の測量データを結ぶことにより、地図上に線や面を表示することができる。図7および図8を参照して、地図上に線や面を表示する場合の地形データの生成方法について説明する。

【0075】
図7(a)に、地図上に線または面を表示する場合に追加するヘッダー情報のチャンネル4の内容を示す。チャンネル4のヘッダー情報は、ヘッダー情報生成部32のスライドスイッチSSWを用いて生成される。スライドスイッチSSWは、3つの接点を有し、作業者がノブをスライドさせることによって、点、線または面を表す3つのデータが出力される。

【0076】
一方、地図上に線や面を表示する場合には、図7(b)に示すように、チャンネル3の内容を変更する。具体的には、チャンネル3のNo.Aは、求点の測量データが線または面の始点であることを示し、No.Fは、求点の測量データが線または面の終点であることを示す。

【0077】
表3に、地図上に線を表示する場合の地形データとヘッダー情報の一例(一部)を示す。ヘッダー情報のチャンネル4に線を示す符号2が表示され、チャンネル3に線の始点を示す符号Aと終点を示す符号Fが表示されている。チャンネル3の符号Aが付与された地形データを、符号Fが付与された地形データまで線で結ぶ。

【0078】
図8(a)に、表3のデータに基づき、GIS(Geographic Information System)の地図データ上に、道路を表示した例を示す。図中、2本の太い線は道路の側線を表している。

【0079】
【表3】
JP2015143625A_000005t.gif

【0080】
表4に、地図上に面を表示する場合の地形データとヘッダー情報の一例(一部)を示す。地形データは表3の地形データと同じである。ヘッダー情報のチャンネル4に面を示す符号3が表示され、チャンネル3に面の始点を示す符号Aと終点を示す符号Fが表示されている。チャンネル3の符号Aが付与された地形データを、符号Fが付与された地形データまで線で結び、最終的に線で囲う。

【0081】
図8(b)に、表4のデータに基づき、GIS(Geographic Information System)の地図データ上に、道路を面で表示した例を示す。図中、白抜きの領域は道路を示している。

【0082】
【表4】
JP2015143625A_000006t.gif

【0083】
上述したように、ヘッダー情報を4チャンネルのデータで構成し、そのチャンネルの中に線または面を表示する符号を含めることによって、測量データに基づいて、地図データ上に線や面を簡単に表示できる。

【0084】
(実施の形態3)
図9に、本実施の形態にかかる測量システム1aの構成を示す。測量システム1aは実施の形態1の測量システム1にGPSレシーバ5を加えたものであり、他の構成に変りはない。また、図10に本実施の形態におけるヘッダー情報のチャンネル1に設定される情報を示す。

【0085】
実施の形態1では、測量データを三次元空間上の座標データに変換する際の起点の座標データとして、基準点の三次元空間上の座標データを用いたが、砂漠地帯や山岳地帯のように基準点が設置されていない場所がある。図1に示す測量システム1では、このような場所の地形データを作成することができない。

【0086】
このため、本実施の形態では、測量システム1aにGPSレシーバ5を加え、GPSレシーバ5で取得した機械点1の緯度、経度および標高のデータを起点の座標データとして用いている。

【0087】
従って、本実施の形態においては、機械点1における測量データのうち、基準点の測量データに代わって、GPSレシーバ5から出力された緯度、経度および標高のデータが、データロガー3のメモリ35に格納される。

【0088】
これに伴い、図10に示すように、チャンネル1には、GPSレシーバ5からのデータを取得する時間間隔のデータが設定される。またデータロガー3のケース30の側面に新たなスイッチとして、測量機およびGPSレシーバのいずれかの出力を選択できるスイッチ(図示せず)が設けられる。

【0089】
GPSレシーバの出力データを起点の座標データとする場合には、上述のスイッチをGPSレシーバ側に切り替えると共に、ロータリースイッチRSW1のノブを回して、チャンネル1の時間間隔を選択する。その後、機械点1の測量において、チャンネル1で設定された時間間隔毎に、GPSレシーバ5からのデータがデータロガー3に取り込まれ、測量データと関連付けられた状態でメモリ35に格納される。

【0090】
メモリに格納された測量データおよびヘッダー情報は、その後、PC4に転送されるが、GPSレシーバの出力データはSIMA形式のデータではないため、実施の形態1で説明したソフトウェアでは、X,Y,Z軸の三次元座標データに変換できない。

【0091】
このため、あらかじめGPSレシーバのデータ(緯度、経度、標高)をX,Y,Z軸の三次元座標データに変換するソフトウェアを用意し、これをPC4にインストールしておき、転送されたGPSレシーバのデータを、三次元座標データに変換した後、ハードディスクに格納する。その後のデータ処理は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。

【0092】
上述したように、本実施の形態の地形データの作成方法を採用すれば、砂漠地帯や山岳地帯のように、基準点の存在しない地域においても、簡単な構成の測量機を用いて地形データを作成できる。
【符号の説明】
【0093】
1、1a 測量システム
2 測量機
3 データロガー
4 PC
5 GPSレシーバ
21 デジタルコンパス
22 レーザレンジファインダ
23 望遠鏡
24、25 窓
26 台座
30 ボディ
31 CPU
32 ヘッダー情報生成部
33 ROM
34 RAM
35 メモリ
36 表示部
37 出力部
38、39 表示ランプ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9