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明細書 :炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックス及びその作製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-151323 (P2015-151323A)
公開日 平成27年8月24日(2015.8.24)
発明の名称または考案の名称 炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックス及びその作製法
国際特許分類 C04B  35/563       (2006.01)
FI C04B 35/56 C
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2014-028174 (P2014-028174)
出願日 平成26年2月18日(2014.2.18)
発明者または考案者 【氏名】廣田 健
【氏名】加藤 将樹
【氏名】後藤 直希
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】110000475、【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4G001
Fターム 4G001BA38
4G001BA60
4G001BA68
4G001BB23
4G001BB44
4G001BC24
4G001BC42
4G001BC46
4G001BC51
4G001BC52
4G001BC54
4G001BC55
4G001BD12
4G001BD16
4G001BE33
要約 【課題】高温下での機械的特性に優れた炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスの作製法を提供する。
【解決手段】非晶質ホウ素と非晶質炭素をB:C=4:1のモル比となるように秤量し、湿式混合を行ない、非晶質ホウ素と非晶質炭素とから成る出発原料を調製する工程と、前記出発原料から合成される炭化ホウ素に対して内割りで0.5~1.5 vol.%のチッ化チタンを前記出発原料に添加し、水及びアルコールから選択される溶媒中にて分散処理し、乾燥を行なって混合粉を得る工程と、前記混合粉を用いて金型成形を行うことにより成形体を得、当該成形体を静水圧プレス処理した後、パルス通電加圧焼結法により加圧しながら加熱昇温し、炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスを合成同時焼結する工程を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスを作製するための方法であって、
非晶質ホウ素と非晶質炭素をB:C=4:1のモル比となるように秤量し、湿式混合を行ない、非晶質ホウ素と非晶質炭素とから成る出発原料を調製する工程と、
前記出発原料から合成される炭化ホウ素に対して内割りで0.5~1.5 vol.%のチッ化チタンを準備し、当該チッ化チタンを前記出発原料に添加して、さらに水及びアルコールから選択される溶媒中にて分散処理し、乾燥を行なって混合粉を得る工程と、
前記混合粉を用いて金型成形を行い、所望の形状を有した成形体を得、得られた成形体を冷間静水圧プレス処理した後、パルス通電加圧焼結して炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスを合成同時焼結する工程
を含むことを特徴とする炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスの作製法。
【請求項2】
前記のパルス通電加圧焼結が、10 Pa以下の真空中で、10~100 MPaの加圧力、1800~2000℃の焼結温度、および5~30分の保持時間の条件にて行なわれることを特徴とする請求項1に記載の炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスの作製法。
【請求項3】
炭化ホウ素/ホウ化チタンの体積比が99.33/0.67~98.0/2.0であることを特徴とする炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックス。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高硬度セラミックス、特に炭化ホウ素/ホウ化チタン(B4C/ TiB2)コンポジットセラミックス及びその作製法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ホウ素(B4C)は、軽量(理論密度Dx=2.515 Mg・m-3)で、高融点(Tm=2450℃)の物質として知られており、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(c-BN)に次ぐ硬度(ビッカース硬度Hv:29~33 GPa)を有し、その熱伝導率λは27~28.9 W/mKで、電気抵抗率ρは0. 3~0.8Ω・cmである。このような炭化ホウ素は、工業的には酸化ホウ素と炭素の混合物を強熱して製造されるが、例えば下記の特許文献1には、非晶質前駆体を用いて低温合成する方法が開示されている。しかしながら、上記の物性を有する炭化ホウ素は、靭性値が小さく、これを切削工具として使用した際、被加工物が硬いときには、その硬度や熱伝導率が十分であるとは言えない。
【0003】
一方、金属ホウ化物では、最も硬いホウ化チタンTiB2 (Tm=3220℃,Dx= 4.495 Mg・m-3) のHvは35 GPaとB4Cよりも硬く、かつ熱伝導率λは36~69.8 W/mKと高く、例えば下記の非特許文献1には、ホットプレスによる焼結法が開示されている。しかしながら、ホウ化チタンの電気抵抗率ρは8.7~14.1×106Ω・cmで、絶縁性であるために、精密な部品を作製する手法である放電加工を行うことができない。
そして、B4CもTiB2 も高融点の共有結合性化合物であり、難焼結性のため、緻密なセラミックスを作製することが困難である、といった問題点があった。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2003-277039号公報
【0005】

【非特許文献1】Ronald G. Munro, J.Res.Inst.Stand.Technol.105,709-720(2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、硬度Hv 40 GPa以上、相対密度が95%以上で導電性を有する炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスを作製可能な方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、種々検討を行った結果、非晶質微粒子(粒子径Ps約30 nm)のホウ素B、 炭素C、及び微粒子のTiN(Ps約20 nm)を所定のモル比に均質混合し、圧粉体を作製し、これを1900℃/30MPa/10minの条件で、パルス通電加圧焼結(Pulsed Electric-current Pressure Sintering:PECPS)すると、PECPS熱処理時に自己燃焼合成反応(SHS)が誘起されて、外部加熱温度以上に試料内部の温度が上昇し、これによって、緻密なB4C/TiB2のコンポジットセラミックスが作製でき、最初に配合したTiNの添加量が0.5~1.5 vol% (TiB2としては0.67~2.0vol%) の時に、硬度Hvは40 GPa以上、相対密度95%以上で導電性の高密度セラミックス(炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックス)が得られることを見出して、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決可能な本発明の炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスの作製法は、
非晶質ホウ素と非晶質炭素をB:C=4:1のモル比となるように秤量し、湿式混合を行ない、非晶質ホウ素と非晶質炭素とから成る出発原料を調製する工程と、
前記出発原料から合成される炭化ホウ素に対して内割りで0.5~1.5 vol.%のチッ化チタンを準備し、当該チッ化チタンを前記出発原料に添加して、水及びアルコールから選択される溶媒中にて分散処理し、乾燥を行なって混合粉を得る工程と、
前記混合粉を用いて金型成形を行い、所望の形状を有した成形体を得、得られた成形体を冷間静水圧プレス処理した後、パルス通電加圧焼結して炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスを合成同時焼結する工程
を含む。
【0008】
又、本発明は、上記の特徴を有した炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスの作製法において、前記のパルス通電加圧焼結が、10 Pa以下の真空中で、10~100 MPaの加圧力、1800~2000℃の焼結温度、および5~30分の保持時間の条件にて行なわれることを特徴とするものでもある。
【0009】
更に、上記の作製法を用いて製造される本発明の炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスは、炭化ホウ素/ホウ化チタンの体積比が99.33/0.67~98.0/2.0であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の作製法により得られる炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスは相対密度が高く、しかも、優れた機械的特性(特に高硬度)を有しているので、例えば立方晶窒化ホウ素に代わる新しい超硬材料工具として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスを作製するための本発明の方法における好ましい一例の手順を示すフローチャートである。
【図2】B4C /TiNの配合割合を変化させ、1900℃/10分/30MPaの条件にて焼結されたセラミックスのXRDパターンであり、BC/TiN=(a)100/0, (b)99.9/0.1, (c)99.5/0.5, (d)99/1及び(e)98/2 vol%である。
【図3】(4B:1C)/2vol% TiN混合粉をPECPS処理して作製したBC/2.69vol% TiBコンポジットの破断表面についてのSEM写真であり、(a)と(d)はSEI画像、(b)と(c)はBEI画像である。
【図4】B4C/2vol% TiN組成焼結体のエネルギー分散型X線分析(EDS分析)結果が示されており、(a)は白い部分の分析結果で、(b)はマトリックス部分の分析結果である。
【図5】B4C/2vol% TiN組成焼結体の針状粒子部分のEDS分析結果である。
【図6】TiN添加量の関数としてのB4C/TiB2コンポジットの機械的特性を示すグラフであり、(a)がビッカース硬度Hv、(b)が破壊靭性値KICである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明の炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスの作製法における各工程について説明する。図1は、本発明の作製法における好ましい一例の手順を示すフローチャートである。
最初の工程では、非晶質ホウ素と非晶質炭素をモル比がB:C=4:1となるように秤量し、湿式混合を行なって、非晶質ホウ素と非晶質炭素とが均質に混合された出発原料を調製するが、この際、非晶質ホウ素及び非晶質炭素としては市販品をそのまま使用することができ、粒子径としては平均粒径10 nm~60 nm(BET法で測定した比表面積から求めた平均粒径)程度のものを使用することが好ましい。
非晶質ホウ素と非晶質炭素との湿式混合においては、アルミナ製の乳鉢と乳棒を用いてアルコール(例えばエタノール)中で一定時間混合を行なうのが好ましいが、これに限定されるものではない。

【0013】
次の工程においては、前記の非晶質ホウ素と非晶質炭素の混合物から合成される炭化ホウ素の理論上の体積に基づいて内割りで0.5~1.5 vol.% (より好ましくは0.8~1.2 vol.%)となる量のチッ化チタン(平均粒径10 nm~40 nm(BET法で測定した比表面積から求めた平均粒径)を準備し、このチッ化チタンを前記出発原料に添加して、水及びアルコールから選択される溶媒中で、例えば超音波ホモジナイザーを用いて分散処理し、チッ化チタンを均一に分散させ、その後、乾燥を行って混合粉を得る。

【0014】
最終の工程においては、前記工程で得られた混合粉を用いて成形を行い、所望の形状の成形体を得、得られた成形体を冷間静水圧プレス(CIP)処理した後、パルス通電加圧焼結により炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスを合成同時焼結する。
この工程における成形体の形成手段としては一軸金型成形が一般的であるが、これに限定されるものではない。又、本発明では、パルス通電加圧焼結する前の成形体を真空中で加熱して、成形体を構成する微粒子表面の水分や吸着ガスを除去することが好ましい。
本明細書中で「合成同時焼結」とは、出発原料の均質な混合物(特定量のチッ化チタンを含むホウ素と炭素の混合物)から緻密な焼結体(炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックス)を作製することを指し示すものとする。

【0015】
本発明の作製法におけるパルス通電加圧焼結(PECPS)は、市販のパルス通電加圧焼結装置を用いて実施することができる。
パルス通電加圧焼結の場合、一軸加圧下(10~100 MPa)において、低電圧(数V)でパルス状直流大電流(数10~数100 A:この電流値は試料の大きさによって変化する)をカーボンプランジャー・モールドに流し、成形体中に火花放電現象を誘起し、瞬時に粒子間に高エネルギーを発生させて試料を焼結することができ、急激なジュール加熱により溶解と高速拡散、及び自己燃焼合成(SHS: Self-propagating High-temperature Synthesis)が生じる。そして、高圧下、高速昇温(50~100℃/min)、短時間焼結(5~30min)により、粒成長を抑えた緻密な焼結体(高密度、微細結晶粒径)を得ることができる。
本発明では、非晶質のホウ素Bと炭素Cとチッ化チタンTiNの混合粉体をパルス通電加圧焼結することにより、加熱昇温時に元素混合粉体から自己燃焼合成によりB4Cを生成させることができ、さらにTiN+3B→TiB2+BNとなり、TiB2粒子とB4C及びBNが生成し、その時の生成熱により外部加熱温度よりも試料内部の温度が高くなることも誘因として緻密な焼結体が得られる。

【0016】
本発明の作製法におけるパルス通電加圧焼結は、10 Pa以下の真空中で、10~100 MPaの加圧力、1800~2000℃の焼結温度、および5~30分の保持時間の条件にて行なわれることが好ましく、より好ましいパルス通電加圧焼結の条件は、10 Pa以下の真空下、焼結温度1850~1950℃、保持時間7~15分、加圧力25~35 MPaであり、1900℃/30MPa/10minの条件が特に好ましい。この際、加圧力が10 MPa未満では焼結密度が低くなり、逆に100 MPaを超えるとパルス通電加圧焼結に使用する金型の強度に上限があり使用出来なくなる。又、焼結温度が1800℃未満になると、低密度となり、逆に2000℃を超えると粒成長しやすくなるので好ましくない。尚、保持時間については5~30分で充分緻密化する。

【0017】
本発明における、非晶質ホウ素と非晶質炭素の混合物から合成される炭化ホウ素に対するTiNの添加量は、内割りで0.5~1.5 vol% (TiB2としては0.67~2.0vol%) であり、この場合に、硬度Hv40 GPa以上、相対密度95%以上で、導電性の高密度炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスが得られる。
これに対し、難焼結性のB4CおよびTiB2の市販の粉体の混合物を用いて上記と同様の低温短時間焼結を行っても、相対密度が95%以上という高密度セラミックスを作製することはできず、また、硬度も40 GPa以上に達しない。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0018】
[高硬度炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスの作製例]
市販の非晶質ホウ素(平均粒径:30 nm)と非晶質炭素(平均粒径:30 nm)を、モル比がB:C=4:1となるように秤量し、アルミナ製の乳鉢と乳棒を用いてエタノール中30分間湿式混合を行ない、出発原料を調製した。
一方、市販のチッ化チタン(平均粒径:20 nm)を、前記の非晶質ホウ素と非晶質炭素の混合物から合成される炭化ホウ素B4Cに対して内割りで0.5 vol.%、1.0 vol.%となるように秤量し、これを前記出発原料に添加して、エタノール中で超音波ホモジナイザー(周波数20 kHz、出力300 W)を用いて30分間分散処理を行い、乾燥を行うことにより混合粉末を得た。そして、このようにして得られた混合粉末を整粒した後、一軸金型成形し(16.0 mmφ, 140 MPa)、ついで冷間静水圧(245 MPa)プレス処理を行った。その後、得られた成形体を熱処理(950℃/2h/真空)し、さらに、市販のパルス通電加圧焼結装置(SPSシンテックス(株)/SPS-510Aを使用)を用いて、10 Pa以下の真空下、焼結温度1900℃、保持時間10分、加圧力30 MPa、昇温速度100℃/分の条件でパルス通電加圧焼結を行い、焼結体(B4C/TiB2コンポジットセラミックス)を得た。
尚、比較品として、チッ化チタンの添加量を0 vol.%、 0.1 vol.%、2 vol.%、3 vol.%とする以外は、上記と同様の方法を用いて焼結体を製造した。
【実施例】
【0019】
図2には、B4C/TiNの配合割合を変化させ、1900℃/10分/30MPaの条件にて焼結されたセラミックスのXRDパターンが示されており、(a)はBC/TiN=100/0 vol%, (b)はBC/TiN=99.9/0.1 vol%, (c)はBC/TiN=99.5/0.5 vol%, (d)は BC/TiN=99/1 vol%、(e)は BC/TiN=98/2 vol%の組成により得られたセラミックスのXRDパターンである。
図2のXRDパターンから、窒化チタンを添加した場合には、炭化ホウ素の生成の他に、ホウ化チタンと窒化ホウ素が生成していることが確認され、これは、窒化チタンが非晶質のホウ素と反応し、ホウ化チタンと窒化ホウ素が合成されたものと考えられる。又、合成反応により拡散が促されたことで緻密化が進行し、特性が上昇したものと考えられる。
【実施例】
【0020】
図3は、(4B:1C)/2vol% TiN混合粉をPECPS処理して作製したBC/2.69vol% TiBコンポジットの破断表面についての走査型電子顕微鏡(SEM)写真(FE-SEM、日本電子製、JSM 7000にて測定)であり、(a)と(d)は二次電子像(SEI)画像、(b)と(c)は反射電子像(BEI)画像である。倍率は、(a)が500倍、(b)が2,700倍、(c)が10,000倍、(d)が20,000倍で撮影している。
この図3のSEM写真から、(a)の低倍率の画像よりセラミックスの組織が均質で緻密であること、(b)の反射電子像から他の元素と比較して原子番号の大きい元素を含む粒子が白く見え、この白い粒径の揃った粒子が均一に分散していること(この白い粒子は,XRD解析と後述する図4のSEM画像の元素分析から,TiB2であると推定される)がわかる。(c)および(d)から、それぞれ白い粒子の直径が約0.3?1.0μmであり、表面に見える空洞には板状または針状の粒子が観察された。
【実施例】
【0021】
図4には、B4C/2vol% TiN組成焼結体の破断表面についてのSEM写真及び、当該SEM写真における白く写っている箇所(a)と、黒く写っているマトリックス部分(b)を、エネルギー分散型X線分析装置(Energy Dispersive X-ray Spectrometer)を用いて分析(EDS分析)した際の結果が示されており、EDS分析の結果から、白い箇所(a)はTiB微粒子で、マトリックス部分(b)はBCであることが確認された。
又、図5には、B4C/2vol% TiN組成焼結体の破断表面についてのSEM写真及び、当該SEM写真における針状粒子の部分のEDS分析結果が示されており、EDS分析の結果から、針状粒子はBNであることが確認された。
【実施例】
【0022】
以下の表1には、真空中で1900℃/10分/30MPaにて焼結された種々のB4C/ TiB2コンポジットセラミックス(TiN添加量:0, 0.1, 0.5, 1.0, 2.0, 3.0 vol.%)のいくつかの特性が示されている。
この表1において、Dobsは嵩密度、Dxは理論密度、Dobs/Dxは相対密度、Hvはビッカース硬度、KICは破壊靭性値である。
【実施例】
【0023】
【表1】
JP2015151323A_000003t.gif
【実施例】
【0024】
上記表1の結果は、TiNの添加量が2.0 vol.%以下の場合に、相対密度(Dobs/Dx)95.7%以上のB4C/ TiB2コンポジットセラミックスが製造できることを示している。そして、TiN添加量が0.5 vol.%と1.0 vol.%の場合においては、B4C単体のビッカース硬度Hv=34.4 GPaを上回るHv=40 GPa以上のB4C/ TiB2コンポジットセラミックスが得られ、しかもTiN添加量が1.0 vol.%の場合には破壊靭性値が5 MPa・m1/2を超えることを示している。
【実施例】
【0025】
図6は、図5の実験データを基に、TiN添加量に対するB4C/TiB2コンポジットセラミックスの機械的特性を示すグラフであり、(a)がビッカース硬度Hv、(b)が破壊靭性値KICである。
図6のグラフから、TiN添加量を0.5 vol.%~1.5 vol.%(TiB2としては0.67~2.0vol%)の範囲とすることにより40 GPa以上のビッカース硬度を有し、かつ約5 MPa・m1/2以上の破壊靭性値を有するB4C/TiB2コンポジットセラミックスが作製できることがわかる。尚、前記表1の結果から、TiN添加量が0.5~1.5 vol.%の時の相対密度は95%以上である。
本発明では、より好ましいTiN添加量の範囲は0.8 vol.%~1.2 vol.%であり、この範囲においては42 GPa以上のビッカース硬度を有し、かつ5.5 MPa・m1/2以上の破壊靭性値を有するB4C/TiB2コンポジットセラミックスが作製できる。
【実施例】
【0026】
このことから、本発明の作製法を用いることによって、相対密度が95%以上、ビッカース硬度40 GPa以上で、しかも破壊靭性値が約5 MPa・m1/2以上のB4C/TiB2コンポジットセラミックスを製造することができ、TiN添加量が1.0 vol.%の組成において、ビッカース硬度及び破壊靭性値が最も大きくなることがわかった。
尚、上記の本発明の作製法を用いて作製されたB4C/TiB2コンポジットセラミックスの電気抵抗率ρは0.3~0.8Ω・cmであり、このセラミックスが導電性を有するものであることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の作製法により得られる炭化ホウ素/ホウ化チタンコンポジットセラミックスは相対密度が高く、しかも、高硬度を有しているので超硬材料工具として有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図6】
2
【図3】
3
【図4】
4
【図5】
5