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明細書 :熱電変換セラミックスの作製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-220378 (P2015-220378A)
公開日 平成27年12月7日(2015.12.7)
発明の名称または考案の名称 熱電変換セラミックスの作製法
国際特許分類 H01L  35/34        (2006.01)
H01L  35/22        (2006.01)
H01L  35/14        (2006.01)
H01L  29/06        (2006.01)
C04B  35/46        (2006.01)
C01B  21/06        (2006.01)
C01G  23/047       (2006.01)
C01B  31/02        (2006.01)
FI H01L 35/34
H01L 35/22
H01L 35/14
H01L 29/06 601N
C04B 35/46 Z
C01B 21/06 Z
C01G 23/047
C01B 31/02 101F
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2014-103882 (P2014-103882)
出願日 平成26年5月20日(2014.5.20)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 平成25年11月27日に一般社団法人粉体粉末冶金協会が発行した「粉体粉末冶金協会講演概要集 平成25年度秋季大会」にて発表
発明者または考案者 【氏名】廣田 健
【氏名】加藤 将樹
【氏名】嶋田 哲也
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】110000475、【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4G031
4G047
4G146
Fターム 4G031AA11
4G031AA40
4G031BA01
4G031BA21
4G031GA05
4G031GA08
4G031GA11
4G031GA12
4G047CA02
4G047CB08
4G047CC03
4G047CD01
4G047CD05
4G146AA11
4G146AB04
4G146AB06
4G146AC20B
4G146AC26B
4G146AD17
4G146AD40
4G146CB03
4G146CB10
4G146CB11
4G146CB19
4G146CB32
要約 【課題】優れた熱電特性を有する熱電変換セラミックスの作製法を提供する。
【解決手段】酸化チタン粉末を準備する工程と、前記酸化チタン粉末に対して内割りで2~5 vol%のカーボンナノファイバー(CNF)又は、前記酸化チタン粉末に対して内割りで2~4 mol%の窒化チタン粉末と2~4 vol%のCNFを準備し、当該CNFを水またはアルコールまたはそれらの混合液中にて分散処理した後、得られた分散液に前記酸化チタン粉末又は、酸化チタン粉末と窒化チタン粉末の混合物を添加して、さらに分散処理し、乾燥を行なって混合粉を得る工程と、前記混合粉を用いて成形を行い、所望の形状を有した成形体を得、得られた成形体を冷間静水圧プレス処理した後、パルス通電加圧焼結して酸化チタン/CNF系コンポジット又は、酸化チタン/窒化チタン/CNF系コンポジットを得る工程を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
酸化チタン粉末を準備する工程と、
前記酸化チタン粉末に対して内割りで2~5 vol%のカーボンナノファイバーを準備し、当該カーボンナノファイバーを水またはアルコールまたはそれらの混合液中にて分散処理した後、得られた分散液に前記酸化チタン粉末を添加して、さらに分散処理し、乾燥を行なって混合粉を得る工程と、
前記混合粉を用いて成形を行い、所望の形状を有した成形体を得、得られた成形体を冷間静水圧プレス処理した後、パルス通電加圧焼結して酸化チタン/カーボンナノファイバー系コンポジットを得る工程
を含むことを特徴とする熱電変換セラミックスの作製法。
【請求項2】
酸化チタン粉末を準備する工程と、
前記酸化チタン粉末に対して内割りで2~4 mol%の窒化チタンと2~4 vol%のカーボンナノファイバーを準備し、当該カーボンナノファイバーを水またはアルコールまたはそれらの混合液中にて分散処理した後、得られた分散液に前記酸化チタン粉末及び窒化チタン粉末を添加して、さらに分散処理し、乾燥を行なって混合粉を得る工程と、
前記混合粉を用いて成形を行い、所望の形状を有した成形体を得、得られた成形体を冷間静水圧プレス処理した後、パルス通電加圧焼結して酸化チタン/窒化チタン/カーボンナノファイバー系コンポジットを得る工程
を含むことを特徴とする熱電変換セラミックスの作製法。
【請求項3】
前記のパルス通電加圧焼結が、10 Pa以下の真空中で、10~100 MPaの加圧力、900~1100℃の焼結温度、および5~20分の保持時間の条件にて行なわれることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱電変換セラミックスの作製法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた熱電特性を有する熱電変換セラミックスの作製法を提供する。
【背景技術】
【0002】
低炭素社会の実現と省エネルギーを目的に、廃熱から高効率に発電するために熱電特性に優れたn型熱電変換材料の研究が行われてきた。地球環境に対して低負荷の酸化物熱電変換材料の特性は低く、例えば無次元性能指数ZTは0.1程度と極端に低い。
下記の非特許文献1には、ルチル型酸化チタンTiO2(r-TiO2)とTiNの混合物をパルス通電加圧焼結(PECPS)してTiO2とTiNのハイブリッドを作製することが開示されているが、このTiO2とTiNのハイブリッドの場合であっても良好なZTの値は得られていない。
【0003】
熱電変換セラミックスの性能は、式:ZT=(S2e)T/κ〔Z:性能指数(K-1)、S:ゼーベック係数(V・K-1)、σe:電気伝導率(S・m-1)、T:温度(K)、κ:熱伝導率(W・m-1・K-1)〕で定義される無次元性能指数により評価され、この無次元性能指数ZTを大きくするには、高いSとσeを有し、かつ、低いκを有する材料を合成する必要がある。
しかし、一般にはSとσeはトレードオフの関係があり、両方同時に向上させることはできないと思われていた。
【先行技術文献】
【0004】
<nplcit num="1"> <text>Y. Sugawara et al., J. Jpn. Soc. Powder Powder Metallurgy, 60[2] (2013)60-65.</text></nplcit>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、優れた熱電特性を有した熱電変換セラミックス、詳しくは酸化チタン/カーボンナノファイバー系TiO2/CNFコンポジット及び、酸化チタン/窒化チタン/カーボンナノファイバー系TiO2/TiN/CNFコンポジットの作製法を提供することを課題とする。
本発明者等は、酸化チタン粉末又は、酸化チタン粉末と窒化チタン粉末との混合粉末と、当該酸化チタンに対して特定割合のカーボンナノファイバー(CNF)を水又はアルコール中で分散処理することにより得た分散液とを混合し、この混合液をさらに分散処理した後、乾燥を行うことにより混合粉を得、この混合粉を成形して得た成形体を、特定の条件下でパルス通電加圧焼結(Pulsed Electric-current Pressure Sintering:PECPS)処理すると、熱電特性に優れたTiO2/CNF系コンポジット又はTiO2/TiN/CNF系コンポジットが作製できることを見い出して、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決可能な本発明の熱電変換セラミックスの作製法は、
酸化チタン粉末を準備する工程と、
前記酸化チタン粉末に対して内割りで2~5 vol.%のカーボンナノファイバーを準備し、当該カーボンナノファイバーを水またはアルコールまたはそれらの混合液中にて分散処理した後、得られた分散液に前記酸化チタン粉末を添加して、さらに分散処理し、乾燥を行なって混合粉を得る工程と、
前記混合粉を用いて成形を行い、所望の形状を有した成形体を得、得られた成形体を冷間静水圧プレス処理した後、パルス通電加圧焼結して酸化チタン/カーボンナノファイバー系コンポジットを得る工程
を含むことを特徴とする。
【0007】
又、本発明の熱電変換セラミックスの作製法は、
酸化チタン粉末を準備する工程と、
前記酸化チタン粉末に対して内割りで2~4 mol%の窒化チタン粉末と2~4 vol%のカーボンナノファイバーを準備し、当該カーボンナノファイバーを水またはアルコールまたはそれらの混合液中にて分散処理した後、得られた分散液に前記酸化チタン粉末及び窒化チタン粉末を添加して、さらに分散処理し、乾燥を行なって混合粉を得る工程と、
前記混合粉を用いて成形を行い、所望の形状を有した成形体を得、得られた成形体を冷間静水圧プレス処理した後、パルス通電加圧焼結して酸化チタン/窒化チタン/カーボンナノファイバー系コンポジットを得る工程
を含むことを特徴とするものでもある。
【0008】
又、本発明は、上記の特徴を有した熱電変換セラミックスの作製法において、前記のパルス通電加圧焼結が、10 Pa以下の真空中で、10~100 MPaの加圧力、900~1100℃の焼結温度、および5~20分の保持時間の条件にて行なわれることを特徴とするものでもある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の作製法を用いることにより、優れた熱電特性を有する熱電変換セラミックスが作製でき、この熱電変換セラミックスは、酸化チタンから成る酸化物系又は、酸化チタン/窒化チタンから成る酸化物/窒化物系熱電変換材料であるために、地球環境に対する負荷も小さい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】TiO2/CNFコンポジット又はTiO2/TiN/CNFコンポジットである熱電変換セラミックを作製するための本発明の方法における好ましい手順の一例を示すフローチャートである。
【図2】1000℃で焼結されたTiO2‐n vol% CNFコンポジット(n=0, 1, 3, 5, 7)のXRDパターンである。
【図3】1000℃で焼結されたTiO2‐m mol% TiNコンポジット(m=0, 3, 5, 8)のXRDパターンである。
【図4】1000℃で焼結されたTiO2‐m mol% TiN‐3 vol% CNFコンポジット(m=0, 3, 5, 8)のXRDパターンである。
【図5】TiO2/CNFコンポジットの破断表面のSEM写真であり、TiO2/CNF=(a)100/0, (b)99/1, (c)97/3, (d)95/5, (e)93/7 vol%である。
【図6】上側が、1000℃で焼結されたTiO2‐m mol% TiNコンポジット(m=3, 5, 8)の破断表面のSEM写真であり、下側が、1000℃で焼結されたTiO2‐m mol% TiN‐3 vol% CNFコンポジット(m=3, 5, 8)の破断表面のSEM写真である。
【図7】TiO2‐n vol% CNFコンポジット(n=0, 1, 3, 5, 7)の熱電特性を示すグラフであり、(a)が、電気伝導率σeの温度依存性を表すグラフ、(b)が、ゼーベック係数Sの温度依存性を表すグラフである。
【図8】TiO2‐n vol% CNFコンポジット(n=0, 1, 3, 5, 7)の熱電特性を示すグラフであり、左側のグラフが、CNF添加量を変化させた際の熱伝導率κの変化を表すグラフ、右側のグラフが、無次元性能指数ZTの温度依存性を表すグラフである。
【図9】TiO2‐m mol% TiNコンポジット(m=0, 3, 5, 8)の熱電特性を示すグラフであり、(a)が、電気伝導率σeの温度依存性を表すグラフ、(b)が、ゼーベック係数Sの温度依存性を表すグラフである。
【図10】左側のグラフが、TiO2‐m mol% TiNコンポジット(m=0, 3, 5)についての無次元性能指数ZTの温度依存性を表すグラフ、右側のグラフが、TiO2‐m mol% TiN‐n vol% CNFコンポジットにおいてm及びnを変化させた際の無次元性能指数ZTの変化(測定温度:200, 400, 600, 800℃)を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本発明の熱電変換セラミックスの作製法における各工程について説明する。図1は、TiO2/CNFコンポジット又はTiO2/TiN/CNFコンポジットである熱電変換セラミックを作製するための本発明の方法における好ましい手順の一例を示すフローチャートである。
本発明の作製法における最初の工程では、出発原料としての酸化チタン粉末を準備するが、この際、酸化チタン粉末はその結晶構造が限定されるものではない。本発明では、市販品のアナターゼ型酸化チタン(a-TiO2)粉末や、ルチル型酸化チタン(r-TiO2)粉末をそのまま使用することができる。但し、焼結性の点からはルチル型よりもアナターゼ型の方が好ましく、酸化チタン粉末のBET表面積は9~10.5 m2/g程度のものが好ましい。

【0012】
次の工程においては、前記の酸化チタン粉末に対して内割りで2~5 vol%(好ましくは3~4 vol%、特に好ましくは3 vol%)のカーボンナノファイバー(CNF)又は、前記の酸化チタン粉末に対して内割りで2~4 mol%(好ましくは3 mol%)の窒化チタン粉末と2~4 vol% (好ましくは3 vol%)のCNFを準備し、このCNFを水又は、アルコール(例えばエタノール)又は、水とアルコールの混合液中で、例えば超音波ホモジナイザーを用いて分散処理し、得られた分散液に、前記の酸化チタン粉末又は前記酸化チタン粉末と窒化チタン粉末との混合粉末を添加して、さらに分散処理を行い、CNFを均一に分散させ、その後、乾燥を行って混合粉を得る。
本発明で使用される「カーボンナノファイバー(CNF)」とは、強化繊維或いは複合材料として利用されているカーボンファイバーの中でも、直径がナノサイズの繊維を指し、特に繊維径150 nmφ前後、繊維長4~5 μm前後、密度2.00 Mg・m-3前後で、機械的特性として引張り強度が~2.20 GPa程度、弾性率が100~300 GPa程度で、高熱伝導:1200 W・m-1・K-1程度、高電気伝導度:1.0x106 S・m-1程度を示すものが好ましい。
又、本発明で使用される窒化チタン粉末としては、市販されている粒子径が1.5μm以下のものがそのまま使用できる。

【0013】
最終の工程においては、前記工程で得られた混合粉を用いて成形を行い、所望の形状の成形体を得、得られた成形体を冷間静水圧プレス(CIP)処理した後、パルス通電加圧焼結してTiO2/CNF系コンポジット又はTiO2/TiN/CNF系コンポジットを得る。
この工程における成形体の形成手段としては一軸金型成形が一般的であるが、これに限定されるものではない。又、本発明では、パルス通電加圧焼結する前の成形体を真空中で加熱して、成形体表面の水分や吸着ガスを除去することが好ましい。

【0014】
最終工程にて実施されるパルス通電加圧焼結では、一軸加圧下(10~100 MPa)において、低電圧(数V)でパルス状直流大電流(数10~数100 A)をカーボンプランジャー・モールドに流し、成形体中に火花放電現象を誘起し、瞬時に粒子間に高エネルギーを発生させて試料を焼結することができる。本発明においては、高圧下、高速昇温(50~100℃/min)、短時間焼結(5~20min)により、粒成長を抑えた緻密な焼結体(高密度、微細結晶粒径)を得ることができる。

【0015】
本発明の作製法におけるパルス通電加圧焼結は、10 Pa以下の真空中で、10~100 MPaの加圧力、900~1100℃の焼結温度、および5~20分の保持時間の条件にて行なわれることが好ましく、より好ましいパルス通電加圧焼結の条件は、10 Pa以下の真空中で、焼結温度950~1050℃、保持時間5~15分、加圧力30~60 MPaであり、特に好ましい条件は、10 Pa以下の真空下、焼結温度1000℃、保持時間10分、加圧力50 MPaである。この際、加圧力が10 MPa未満では焼結密度が低くなり、逆に100 MPaを超えるとパルス通電加圧焼結に使用する金型の強度に上限があり使用出来なくなる。焼結温度に関しては、900℃未満になると低密度となり、逆に1100℃を超えると粒成長しやすくなるので好ましくない。尚、保持時間については5~20分で充分緻密化する。
本発明では、焼結が比較的低い温度で行われるために、CNFによる酸化物TiO2の還元を抑制することができる。

【0016】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
[熱電変換セラミックスの作製例]
配合組成を変化させ、種々の組成のTiO2/CNFコンポジット及びTiO2/TiN/CNFコンポジットを作製し、これらコンポジットの微細構造と熱電特性を評価することによって最適組成の検討を行った。
酸化チタン粉末として、市販のアナターゼ型酸化チタン(堺化学工業株式会社製、品番:SA-120, 比表面積:9~10.5 m2/g)を準備し、窒化チタン粉末として、市販品(株式会社レアメタリック製、粒径:1.5μm)を準備した。一方、カーボンナノファイバーとしては、市販のカーボンナノファイバー(昭和電工株式会社製、繊維径150 nm、繊維長4~5μm)を準備した。
【実施例】
【0018】
TiO2/TiN/CNFコンポジットを作製する場合には、予め上記の窒化チタン粉末を、上記の酸化チタン粉末に対して内割りで3, 5, 8 mol%となるように秤量し、秤量した窒化チタンを酸化チタン粉末に加え、アルミナ製の乳鉢と乳棒を用いてエタノール中で30分間湿式混合し、混合物を調製した。
一方、上記のカーボンナノファイバー(CNF)については、上記酸化チタン粉末に対して内割りで1, 3, 5, 7 vol%となるように秤量し、これをエタノール中で超音波ホモジナイザー(周波数20 kHz、出力300 W)を用いて10分間×3回、分散処理することによりCNF分散液を得た。
【実施例】
【0019】
そして、TiO2/TiN/CNFコンポジットを作製する場合には、上記のCNF分散液に、TiO2とTiNとの上記混合物を加え、上記超音波ホモジナイザーを用いて30分間分散処理(10分間×3回)し、減圧乾燥を行うことにより混合粉を得、TiO2/CNFコンポジットを作製する場合には、上記のCNF分散液に上記酸化チタン粉末を加え、同様に分散処理、減圧乾燥を行って混合粉を得た。
このようにして得られた混合粉を整粒した後、一軸金型成形し(金型内径16.0 mmφ,圧力 98 MPa)、ついで冷間静水圧(245 MPa)プレス処理を行った。
その後、得られた成形体を熱処理(950℃/2h/真空)し、さらに、市販のパルス通電加圧焼結装置(SPSシンテックス株式会社製、SPS-510A)を用いて、10 Pa以下の真空下、焼結温度1000℃、保持時間10分、加圧力50 MPa、昇温速度100℃/分の条件でパルス通電加圧焼結を行い、種々の組成を有した焼結体(TiO2/CNFコンポジット、TiO2/TiN/CNFコンポジット)を作製した。
【実施例】
【0020】
図2には、X線回折装置(XRD: 株式会社リガク製、RINT 2200)を用いて計測された、焼結温度1000℃の場合のTiO2‐n vol% CNFコンポジット(n=0, 1, 3, 5, 7)のXRDパターンが示されている。
この図2のXRDパターンから、いずれの場合にも焼結後に、ルチル型TiO2が生成していることがわかった。
【実施例】
【0021】
図3には、上記のX線回折装置を用いて計測された、焼結温度1000℃の場合のTiO2‐m mol% TiNコンポジット(m=0, 3, 5, 8)のXRDパターンが示されている。
この図2のXRDパターンから、m=0(TiN無添加)の場合には、ルチル型TiO2のXRDパターンが観察され、m=3,5の場合には、ルチル型TiO2のXRDパターンの他に、未反応のTiNのXRDパターンが観察されるだけであったが、m=8の場合には、マグネリ相(TinO2n-1)であるTi6O11及びTi7O13のXRDパターンが観察され、酸素欠損型TiO2が生成していることがわかった。
【実施例】
【0022】
図4には、上記のX線回折装置を用いて計測された、焼結温度1000℃の場合のTiO2‐m mol% TiN‐3 vol% CNFコンポジット(m=0, 3, 5, 8)のXRDパターンが示されている。
この図4のXRDパターンから、3 vol% CNF が添加されたコンポジットにおいても、m=0の場合にルチル型TiO2のXRDパターンが観察され、m=3,5の場合に、ルチル型TiO2のXRDパターンと未反応のTiNのXRDパターンが観察されるだけであったが、m=8の場合にはTi8O15のXRDパターンが観察され、酸素欠損型TiO2が生成していることがわかった。
【実施例】
【0023】
図5には、TiNを配合せずに作製したTiO2/CNFコンポジットの破断表面のSEM写真が示されており、TiO2/CNF=(a)100/0, (b)99/1, (c)97/3, (d)95/5, (e)93/7 vol%である。尚、各コンポジットの表面状態の観察には、走査型電子顕微鏡(FE-SEM、日本電子株式会社製、JSM 7000)を使用した。
この図5のSEM写真から、CNFの添加割合を変化させることによって粒径が変化することがわかった。
【実施例】
【0024】
図6の上側には、1000℃で焼結されたTiO2‐m mol% TiNコンポジット(m=3, 5, 8)の破断表面のSEM写真が示されており、下側には、1000℃で焼結されたTiO2‐m mol% TiN‐3 vol% CNFコンポジット(m=3, 5, 8)の破断表面のSEM写真が示されている。
これらのSEM写真から、CNF無添加のコンポジット(図6の上側)の場合には、TiNの組成比率が大きくなるにつれて粒子径も次第に大きくなっていることがわかる。これに対して、3 vol% CNF添加のコンポジット(図6の下側)の場合には、TiNが3 mol%のコンポジットについては粒子径が大きいが、TiNが5 mol%、8 mol%のコンポジットでは、粒径成長が抑えられ、粒径が細かくなっていることがわかる。
【実施例】
【0025】
以下の表1には、真空中で1000℃/10分/50MPaの条件にて焼結された種々のTiO2/m・TiN/n・CNFコンポジットの微細構造特性が示されており、表1中のDobsは見かけ密度であり、Dxは理論密度であり、Dobs/Dxは相対密度である。
【実施例】
【0026】
【表1】
JP2015220378A_000003t.gif
【実施例】
【0027】
上記表1の結果から、TiNを添加せずに(m=0)、CNFを3~7 vol%添加した場合において、相対密度(Dobs/Dx)98.2~98.8%の緻密なTiO2/CNFコンポジットが作製できることがわかった。
【実施例】
【0028】
又、以下の表2には、真空中で1000℃/10分/50MPaの条件にて焼結された種々のTiO2/m・TiN/n・CNFコンポジットの熱電特性が示されており、表2中のSは、420℃におけるゼーベック係数、σは電気伝導率、S2σはパワーファクターである。
【実施例】
【0029】
【表2】
JP2015220378A_000004t.gif
【実施例】
【0030】
表2の結果から、CNFの添加量が増えるとゼーベック係数Sの絶対値は小さくなり、m=0でCNFの添加量が5 vol%の場合において、電気伝導率が著しく大きな値を示すことがわかった。このようにしてCNFを添加することにより電気伝導率が著しく大きな値を示したのは、CNFの均一分散ネットワークによるためであると考えられる。
【実施例】
【0031】
図7には、前記実施例において作製した各種TiO2‐n vol% CNFコンポジット(n=0, 1, 3, 5, 7)の熱電特性を示すグラフが示されており、(a)は、電気伝導率σeの温度依存性を表すグラフで、(b)は、ゼーベック係数Sの温度依存性を表すグラフである。
図7(a),(b)の結果から、CNFの添加量が3 vol%, 5 vol%の場合に大きな電気伝導率を示し、CNFの添加量が増加するにつれて、ゼーベック係数の絶対値は小さくなることがわかった。
【実施例】
【0032】
図8には、前記実施例において作製した各種TiO2‐n vol% CNFコンポジット(n=0, 1, 3, 5, 7)の熱電特性を示すグラフが示されており、左側のグラフが、CNF添加量を変化させた際の熱伝導率κの変化を表すグラフで、右側のグラフが、無次元性能指数ZTの温度依存性を表すグラフである。
図8の左側のグラフから、CNFの添加量が1 vol%~7 vol%の範囲内では熱伝導率κは大きく変化せずに略一定であることがわかる。これは、高電気伝導率σe を示すCNFは、フォノン(phonon)が主なキャリアーの熱伝導に対して寄与は小さく、これにより、コンポジットセラミックスの熱伝導率κが略一定の値を示したものと考えられる。又、右側のグラフから、CNFの添加量が3 vol%で、800℃の場合において無次元性能指数ZTが最大となり、最大値は0.033であった。
【実施例】
【0033】
図9には、前記実施例において作製したTiO2‐m mol% TiNコンポジット(m=0, 3, 5, 8)の熱電特性を示すグラフが示されており、(a)が、電気伝導率σeの温度依存性を表すグラフ、(b)が、ゼーベック係数Sの温度依存性を表すグラフである。
図9(a),(b)の結果から、CNFの添加量を増加させることにより、電気伝導率は大きくなるが、ゼーベック係数の絶対値は小さくなることがわかった。
【実施例】
【0034】
図10には、前記実施例において作製したTiO2‐m mol% TiNコンポジット及びTiO2‐m mol% TiN‐n vol% CNFコンポジットの熱電特性が示されており、左側のグラフが、TiO2‐m mol% TiNコンポジット(m=0, 3, 5)についての無次元性能指数ZTの温度依存性を表すグラフで、右側のグラフが、TiO2‐m mol% TiN‐n vol% CNFコンポジットにおいてm及びnを変化させた際のZTの変化(測定温度:200, 400, 600, 800℃)を表すグラフである。
図10の左側のグラフから、TiNの添加割合が3 mol%で、800℃の場合において無次元性能指数ZTが最大となることがわかった。
又、右側のグラフから、TiO2‐n vol% CNFコンポジット(m=0)の場合にはCNFの添加量が3 vol%の時に800℃で無次元性能指数ZT が最大となり、TiO2‐m mol% TiN‐n vol% CNFコンポジットの場合には、TiNの添加量が3 mol%で、CNFの添加量が3 vol%の時に800℃でZT が最大となることがわかった。
又、図10の右側のグラフは、優れた熱電特性を有したTiO2/CNFコンポジットを作製するためのCNFの添加量の範囲が2~5 vol%(好ましくは3~4 vol%)であることを示しており、優れた熱電特性を有したTiO2/TiN/CNFコンポジットを作製するためのTiN及びCNFの添加量の範囲がそれぞれ3 mol%前後(2~4 mol%)、3 vol%前後(2~4 vol%)であることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の作製法を用いて得られる熱電変換セラミックスは熱電特性が優れており、しかも、TiO2からなる酸化物系又はTiO2/TiNからなる酸化物/窒化物系の熱電変換材料であるので、地球環境に対しても負荷が小さく、これまで廃棄されていた熱(例えば工場廃熱や自動車の排ガス熱など)を電気として回収するのに有用である。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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