TOP > 国内特許検索 > 消波構造物 > 明細書

明細書 :消波構造物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4469985号 (P4469985)
公開番号 特開2007-009404 (P2007-009404A)
登録日 平成22年3月12日(2010.3.12)
発行日 平成22年6月2日(2010.6.2)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
発明の名称または考案の名称 消波構造物
国際特許分類 E02B   3/06        (2006.01)
FI E02B 3/06 301
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2005-178984 (P2005-178984)
出願日 平成17年6月20日(2005.6.20)
優先権出願番号 2005163488
優先日 平成17年6月3日(2005.6.3)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年3月10日(2008.3.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】羽田野 袈裟義
【氏名】高海 克彦
審査官 【審査官】西田 秀彦
参考文献・文献 特開平08-003953(JP,A)
特開2001-020248(JP,A)
実開平01-147032(JP,U)
実開平02-026619(JP,U)
実開昭54-106031(JP,U)
調査した分野 E02B 3/06
特許請求の範囲 【請求項1】
海底に接する基台と、基台の上に薄い水平版を間隔をあけて複数層形成した消波堤であって、該水平版に穴が形成してあり、該穴の上下に遮蔽板が設けてあることを特徴とする消波堤
【請求項2】
請求項において、穴の位置が各層において異なる消波堤。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、水平版の面積が海底に近いほど広くなっており、台形状に配置してある消波堤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、波のエネルギーを吸収して消波する消波構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
捨石や異形コンクリートブロックを相互に噛み合わせるようにした消波堤が知られている。捨石や異形コンクリートブロックを用いた消波堤は、消波効果、工費、景観の点で問題があり、更には水平波力を直接支持により受け止める重力式構造であるため、強い波の作用下では洗掘による沈下・崩壊の危険性もあり、また、周囲の海底が急勾配の場合には、安定性にも問題がある。
【0003】
特許文献1(特公平6-3003号公報)には、図7に示すように、海底地盤に打込んだ複数本の杭体の下方に支持部材を取り付け、杭体の下方に挿通孔を備えたスペーサコンクリートブロックと複数の挿通孔を備えた梁コンクリートブロックを杭体に遊嵌させて積重ねることによりスリット構造部を形成し、スリット構造部の上方で且つ水面下の位置に、挿通孔を備えた平面面積の大きいスラブコンクリートブロックを挿通孔で杭体に挿通することにより、水深の深い領域はスリット構造部において、スペーサコンクリートブロック及び梁コンクリートブロックによる反射と、これらブロックの形状抵抗による乱れ、スリットにより囲まれた遊水部における乱流によって波のエネルギーを損失させることによって消波させ、水深の浅い領域では、水平板構造部において上下に分離され、水平板での反射、水平面上での砕波、進行波と逆行波の衝突による乱れ、砕波後の波も含む水平面上の進行波と水平面下の進行波の位相差による渦により消波させて水平面により波の上下のエネルギー伝達を小さくすることによって消波する消波構造物が開示されている。

【特許文献1】特公平6-3003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される消波構造物は、波や流れがスペーサコンクリートブロックや梁コンクリートブロックの側面に衝突することによる反射や乱れによって消波するものであり、杭がこの水平力に対抗する強度を有する必要があり、構築コストがかかるという問題があった。また、海底部分が根固めされていないため、強い波により海底の微細粒子が巻き上げられて海底形状を変化させ、またこれがスリット内に生じた乱れによって長時間にわたって浮遊した状態となり、更に水流によりこれが周囲に拡散されることになり、水質環境面で悪影響があった。
本発明は、波による消波構造物への水平力を極力小さくしてコストを軽減して効率的な消波をおこない、また、海底の微細粒子の巻き上げ及び底質移動を防止し、合わせて海域の汚濁防止を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
海底に接して設置される基台と海底から海面までの間に複数の薄い水平版を配置し、水粒子の上下運動を抑制することによって消波すると共に、基台で海底を覆い、微粒子の巻き上げを抑止して底質移動と海域の水質汚濁を防ぐものである。
すなわち、本発明は、海底に接する基台と、基台の上に薄い水平版を間隔をあけて複数層形成した消波堤であって、該水平版に穴が形成してあり、該穴の上下に遮蔽板が設けてあることを特徴とする消波堤に関する。

【0006】
最上段の水平版の設置水深を波長に比べて十分小さく(20分の1以下)とすると、この部分の水粒子の運動は、水平版の影響を受けてその上下動成分が抑えられる。波による水粒子の上下運動は水面に近いほど大きいため、水平版の配置間隔を水面近くで相対的に狭く、深部で広くすることによって材料の節約を図ることができる。
【0007】
水平版に作用する揚圧力を解放するため、水平版に穴を形成する。また、穴の上下に遮蔽板を設けることにより、揚圧力を低減しつつ、穴による消波効果の低減を防止している。
【0008】
また、上下に隣接する水平版同士で穴の設置位置が異なるように配置し、穴が上下に連通しないようにする。こうして、水の上下運動を抑えながら、揚圧力を解放する。
【発明の効果】
【0009】
上下方向の水流を阻止すると共に海底には基台を設置したことによって構造物設置部における海底の微細粒子の巻き上げを防止し、底質移動にともなう構造物の不安定化や水質汚濁を防止するものである。
【0010】
水平版の水平波圧を受ける面積が小さいため、作用する水平波力が小さく、消波構造物の転倒を防止でき、また、材料が大幅に節減でき低コストで構築することができる。消波物造物が軽量、規則的な形状であり、陸上で組立て現場に運搬して設置するという工法を採用できるので、工期を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を図示の実施例に基づき説明する。
【0012】
図1に示すように、消波構造物1は、基台10と基台10の四隅に直立する柱2と、基台に10に平行に相互に間隔をあけて設置された複数の水平版3から構成される。
【0013】
基台10は、鋼製の箱体であり、消波構造物1に浮力を与えて海上に浮かべ、設置現場まで運搬できるようにしてある。この他、海底に捨石を投入して整地したものを基台としても良い。
【0014】
柱2は鋼製であり、消波構造物を設置したときに頭部が干潮時の海水面から突出しない高さとしてある。波による水平力をなるべく受けないように断面を岸沖方向を長軸とする楕円や角を丸めた長方形などとする。
【0015】
水平版3は、プレストレストコンクリート版であり、四隅の柱の位置に柱2の断面形状に合わせた取り付け穴(図示しない)が形成してあり、柱2の上から水平版3を落としこみ、所定の位置に固定する。柱2に受け台を(図示しない)を取り付けて水平版3を固定したり、水平版3の取り付け穴(図示しない)に治具を予め設けておき、柱2に溶接で固定する。
【0016】
水平版3の断面は、波による水平力が大きく作用しないように、厚みをできるだけ薄くする。また、必要に応じて、沖側の側面を流線形に形成して、水平版に作用する水平力を減少させる。
【0017】
波が消波構造物1を通過するとき、水平版3によって水粒子の上下方向の運動と、エネルギーの上下方向の伝達が抑止され、消波効果を発揮する。また、水平版3を通過する際にその面に衝突して反射され、位相が乱されるので、入射する波による流れと水中の波動による流れとの間に流向きの違いや位相差が生じ、これらの不揃いによる渦が発生し、エネルギー損失が起こる。その結果、消波効果が大きくなる。なお、図1では本発明の消波構造物を一列配置した図を示しているが、これを複数列配置してもよい。これは、平坦な海底が連続してとれないか、または広くとれない場合には消波効果が不十分なこともおこり、その対策として考えることができる。すなわち沖側に配置した第一列の消波構造物によりある程度弱まった波を第二の消波構造物に当てることで有効に消波することができる。
【0018】
図2に示すように、水平版3の設置間隔が水面近くを深部よりも相対的に小さくしてあり、構築材料の節約を図ったものである。波の水粒子の上下運動は、水面に近いほど大きいため、水面近くで水平版3の設置間隔を狭くすることが消波には効果的である。なお、図2では本発明の消波構造物を一列配置した図を示しているが、これを複数列配置してもよい。
【0019】
図3に示すように、水平版3に穴31を形成し、水平版3に作用する揚圧力を解放するようにしたものである。図4に示すように、穴31の位置は、一直線とならないように、互いに隣接する水平版3で配置を異ならせるのが好ましい。また、図5に示すように、水平版3の穴31の上下に遮蔽板32を設け、揚圧力の低減と、水平版3を通過する上下方向の流れの抑制による消波効果を同時に達成するものである。なお、図3では本発明の消波構造物を一列配置した図を示しているが、これを複数列配置してもよい。
【0020】
水平版3のそれぞれに複数の穴31を配列すると、一旦浮遊して水平版3の上に堆積した微細底質土が、水平流によって掃流(滑動、転動、跳躍)してこれらの穴31に達して下方に落下する。浮遊した底質が順次落下して最下段の基台10に達し堆積する。その後、底質は基台10の上で掃流を繰り返したのち、この基台10の周囲の基盤に落下して堆積する。
【0021】
図6に示すように、水平版3の面積が海底(下側)に近いほど徐々に広くなるものとしており、全体的に消波構造物1を台形状としたものである。なお、図6では本発明の消波構造物を一列配置した図を示しているが、これを複数列配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の消波構造物の側面図である。
【図2】水平版の間隔を水面に近い方を小さくした本発明の消波構造物の側面図である。
【図3】穴を有する水平版を使用した消波構造物の側面図である。
【図4】穴の配列の実施例の断面図である。
【図5】穴に遮蔽板を設けた実施例の断面図である。
【図6】台形状の消波構造物の側面図である。
【図7】従来の消波構造物の一例の側面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 消波構造物
2 柱
3 水平版
10 基台
31 穴
32 遮蔽板
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6