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明細書 :サイトカイン遺伝子多型による抗がん剤副作用の予測方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4787956号 (P4787956)
公開番号 特開2007-006744 (P2007-006744A)
登録日 平成23年7月29日(2011.7.29)
発行日 平成23年10月5日(2011.10.5)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
発明の名称または考案の名称 サイトカイン遺伝子多型による抗がん剤副作用の予測方法
国際特許分類 C12Q   1/68        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
G01N  33/50        (2006.01)
FI C12Q 1/68 ZNAA
C12N 15/00 A
G01N 33/50 P
請求項の数または発明の数 11
全頁数 20
出願番号 特願2005-189790 (P2005-189790)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
審査請求日 平成20年3月10日(2008.3.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】岡 正朗
個別代理人の代理人 【識別番号】100107984、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 雅紀
審査官 【審査官】石丸 聡
参考文献・文献 国際公開第2004/035822(WO,A1)
Cancer Immunol. Immunother., vol. 47, pages 233-241 (1998)
日本耳鼻咽喉科学会会報,第107巻,第1004-1010頁(2004年)
癌の臨床,第51巻,第5-10頁(2005年1月)
Onc. Rep., vol. 16, pages 381-387 (2006)
EMBO J., vol. 6, pages 2939-2945 (1987)
DNA Cell Biol., vol. 17, pages 19-25 (1998)
調査した分野 C12Q 1/68
C12N 15/09
CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
特許請求の範囲 【請求項1】
被験者における、5-fluorouracil又はCisplatinの投与による副作用の発症リスクを予測する方法であって、以下の工程(a)及び(b)を含むことを特徴とする方法。
(a)前記被験者より採取された生体試料のゲノムDNAを抽出し、該ゲノムDNAについて、Interleukin-1β(IL-1β)遺伝子プロモーター領域であって、米国生物工学情報センター(NCBI)においてGene Bank accession No.AC079753.7(更新日;2005年4月15日)として登録されているヒト2番染色体の52700位(complement)の塩基における遺伝子型、
Interleukin-6(IL-6)遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC073072.11(更新日;2004年1月31日)として登録されているヒト7番染色体の10663位の塩基における遺伝子型、及び、
Tumor necrosis factor-α(TNF-α)遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AL662801.7(更新日;2005年1月6日)として登録されているヒト6番染色体の47202位の塩基における遺伝子型から選択される少なくとも1以上の遺伝子型を同定する遺伝子型同定工程;
(b)上記工程(a)により同定された遺伝子型から、前記被験者における、5-fluorouracil又はCisplatinの投与による副作用の発症リスクを予測する工程であって、前記副作用が、白血球減少症、好中球減少症、血小板減少症、又は口内炎である副作用発症リスク予測工程;
【請求項2】
副作用発症リスク予測工程が、以下の工程(I)~(IV)から選択される少なくとも1以上の工程であることを特徴とする請求項1記載の方法。
(I)IL-1β遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC079753.7(更新日;2005年4月15日)として登録されているヒト2番染色体の52700位(complement)の塩基における遺伝子型がCT又はTTであるときに、CCであるときと比較して、血小板減少症の発症リスクが高いと予測する工程;
(II)IL-6遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC073072.11(更新日;2004年1月31日)として登録されているヒト7番染色体の10663位の塩基における遺伝子型がCG又はGGであるときに、CCであるときと比較して、白血球減少症、好中球減少症、又は血小板減少症の発症リスクが高いと予測する工程;
(III)TNF-α遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AL662801.7(更新日;2005年1月6日)として登録されているヒト6番染色体の47202位の塩基における遺伝子型がTTであるときに、CC又はCTであるときと比較して、口内炎の発症リスクが高いと予測する工程;
(IV)IL-1β遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC079753.7(更新日;2005年4月15日)として登録されているヒト2番染色体の52700位(complement)の塩基における遺伝子型がCT又はTTであり、且つ、IL-6遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC073072.11(更新日;2004年1月31日)として登録されているヒト7番染色体の10663位の塩基における遺伝子型がCG又はGGであるときに、IL-1β遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC079753.7(更新日;2005年4月15日)として登録されているヒト2番染色体の52700位(complement)の塩基における遺伝子型がCT又はTTであり、且つ、IL-6遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC073072.11(更新日;2004年1月31日)として登録されているヒト7番染色体の10663位の塩基における遺伝子型がCCであるとき、又は、IL-1β遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC079753.7(更新日;2005年4月15日)として登録されているヒト2番染色体の52700位(complement)の塩基における遺伝子型がCCであり、且つ、IL-6遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC073072.11(更新日;2004年1月31日)として登録されているヒト7番染色体の10663位の塩基における遺伝子型がCG又はGGであるときと比較して、血小板減少症の発症リスクがさらに高いと予測する工程;
【請求項3】
遺伝子型同定工程が、IL-1β遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC079753.7(更新日;2005年4月15日)として登録されているヒト2番染色体の52700位(complement)の塩基における遺伝子型を同定するためのプライマーセット、
IL-6遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC073072.11(更新日;2004年1月31日)として登録されているヒト7番染色体の10663位の塩基における遺伝子型を同定するためのプライマーセット、及び、
TNF-α遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AL662801.7(更新日;2005年1月6日)として登録されているヒト6番染色体の47202位の塩基における遺伝子型を同定するためのプライマーセット
から選択される、少なくとも1以上のプライマーセットを用いたARMS法により遺伝子型を同定する工程であることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
IL-1β遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC079753.7(更新日;2005年4月15日)として登録されているヒト2番染色体の52700位(complement)の塩基における遺伝子型を同定するためのプライマーセットが、以下の配列(i)~(iv)で示されるプライマーからなるプライマーセットであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の方法。
(i)5'-atctggcattgatctggttcatcc-3';
(ii)5'-cttaactttaggaatcttcccactt-3';
(iii)5'-cctgcaattgacagagagctacc-3';
(iv)5'-cttgggtgctgttctctgccgca-3';
【請求項5】
IL-6遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC073072.11(更新日;2004年1月31日)として登録されているヒト7番染色体の10663位の塩基における遺伝子型を同定するためのプライマーセットが、以下の配列(v)~(viii)で示されるプライマーからなるプライマーセットであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の方法。
(v)5'-acctggagacgccttgaagtaact-3';
(vi)5'-aaaccaaagatgttctgaactgagt-3';
(vii)5'-gccaggcagtctacaacaggcc-3';
(viii)5'-gtgttctggctctccctgtgtgc-3';
【請求項6】
TNF-α遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AL662801.7(更新日;2005年1月6日)として登録されているヒト6番染色体の47202位の塩基における遺伝子型を同定するためのプライマーセットが、以下の配列(ix)~(xii)で示されるプライマーからなるプライマーセットであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の方法。
(ix)5'-gctgtggggagaacaaaaggataa-3';
(x)5'-ggtccccatactcgacttccata-3';
(xi)5'-gaagcaaaggagaagctgagaacat-3';
(xii)5'-tccagaccctgacttttcctgcg-3';
【請求項7】
生体試料が、抹消血又は非がん組織であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の方法に用いるための検査試薬であって、
IL-1β遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC079753.7(更新日;2005年4月15日)として登録されているヒト2番染色体の52700位(complement)の塩基における遺伝子型を同定するためのプライマーセット、
IL-6遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC073072.11(更新日;2004年1月31日)として登録されているヒト7番染色体の10663位の塩基における遺伝子型を同定するためのプライマーセット、及び、
TNF-α遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AL662801.7(更新日;2005年1月6日)として登録されているヒト6番染色体の47202位の塩基における遺伝子型を同定するためのプライマーセットから選択される少なくとも1以上のプライマーセット
を備えることを特徴とする検査試薬。
【請求項9】
IL-1β遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC079753.7(更新日;2005年4月15日)として登録されているヒト2番染色体の52700位(complement)の塩基における遺伝子型を同定するためのプライマーセットが、以下の配列(i)~(iv)で示されるプライマーからなるプライマーセットであることを特徴とする請求項8記載の検査試薬。
(i)5'-atctggcattgatctggttcatcc-3';
(ii)5'-cttaactttaggaatcttcccactt-3';
(iii)5'-cctgcaattgacagagagctacc-3';
(iv)5'-cttgggtgctgttctctgccgca-3';
【請求項10】
IL-6遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AC073072.11(更新日;2004年1月31日)として登録されているヒト7番染色体の10663位の塩基における遺伝子型を同定するためのプライマーセットが、以下の配列(v)~(viii)で示されるプライマーからなるプライマーセットであることを特徴とする請求項8又は9のいずれかに記載の検査試薬。
(v)5'-acctggagacgccttgaagtaact-3';
(vi)5'-aaaccaaagatgttctgaactgagt-3';
(vii)5'-gccaggcagtctacaacaggcc-3';
(viii)5'-gtgttctggctctccctgtgtgc-3';
【請求項11】
TNF-α遺伝子プロモーター領域であって、NCBIにおいてGene Bank accession No.AL662801.7(更新日;2005年1月6日)として登録されているヒト6番染色体の47202位の塩基における遺伝子型を同定するための
プライマーセットが、以下の配列(ix)~(xii)で示されるプライマーからなるプライ
マーセットであることを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載の検査試薬。
(ix)5'-gctgtggggagaacaaaaggataa-3';
(x)5'-ggtccccatactcgacttccata-3';
(xi)5'-gaagcaaaggagaagctgagaacat-3';
(xii)5'-tccagaccctgacttttcctgcg-3';
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、がん治療における抗がん剤の副作用を予測する方法に関し、特に指標としてサイトカイン遺伝子の多型に着目した、がん治療における抗がん剤の副作用を予測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
がん治療において、抗がん剤の効果と副作用の多様性は大きな問題である。同じ抗がん剤を用いた治療においても、ケースによっては重い副作用を示す場合があり、抗がん剤の効果そのものと同様にその副作用予測を的確に行い、適切な抗がん剤を選択することが、効果的ながん治療には不可欠であると考えられる。
【0003】
これまでに、抗がん剤の副作用には薬物代謝に関わる遺伝子の多型が影響を持つことが報告されてきている(非特許文献1-3)。すなわち、これらの遺伝子のcoding regionに多型が存在することにより、タンパク質のアミノ酸配列に変異が生じ、この変異がタンパク質の活性に影響を与えることが、抗がん剤の副作用となって現れるのだと考えられている。
【0004】
またこの様な観点から、特に薬物代謝酵素の多型と抗がん剤の副作用に着目して、CYP遺伝子の多型等を利用した抗がん剤副作用や感受性の判定方法が開示されている(特許文献1,2)。しかしながら、これまでに知られている抗がん剤はその種類、作用機序ともに極めて多様であり、薬物代謝遺伝子の多型もその遺伝子産物が代謝する薬剤にのみ適用可能であるのが現状である。このため、薬剤と遺伝子の1対1の対応関係にとどまらない、広範な薬剤に対する副作用を容易に予測可能な方法の開発が望まれていた。

【非特許文献1】Van Kuilenburg AB.et al.(2002)Int.J.Cancer 101:253-8.
【非特許文献2】Rouits E.et al.(2004)Clin.Cancer Res.10:5151-9.
【非特許文献3】Lecomte T.et al.(2004)Clin.Cancer Res.10:5880-8
【非特許文献4】Wang L.et al.(1994)Nucleic Acid Res.22:1774-5.
【非特許文献5】Hamajima N.et al.(2000)Jpn.J.Cancer Res.91:865-8.
【非特許文献6】Ye S.et al.(2001)Nucleic Acid Res.29:88.
【非特許文献7】Okayama N.et al.(2004)Clin.Chem.Lab.Med.42:13-6.
【特許文献1】特開2004-000004 薬剤代謝へ影響を及ぼすCYP3A4遺伝子多型、およびその利用
【特許文献2】特開2003-199585 細胞の抗癌剤感受性の判定法
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の現状に鑑み、これまでの様な個々の薬剤代謝に係る遺伝子ではなく、細胞への刺激に対する応答に関与するサイトカインに着目して、ある細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型からその細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記観点から、サイトカイン遺伝子に存在する多型と抗がん剤投与による副作用との関係について研究を進め、サイトカイン遺伝子のプロモーター領域に存在する多型が抗がん剤の副作用と相関があるという事実を見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明の第1の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子(本出願において「遺伝子」とは、ゲノムDNA内でmRNAとして転写される配列に加え、その5’上流及び3’下流に位置し前記mRNAの転写調節に関与している配列を含んだ領域全体、と定義する。以下同じ)の多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法を提供する。
【0008】
本発明の第2の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記サイトカイン遺伝子が、炎症性サイトカインである、副作用予測方法を提供する。
【0009】
本発明の第3の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記サイトカイン遺伝子が、炎症性サイトカインであって、Interleukin-1β(IL-1β)、Interleukin-6(IL-6)、Interleukin-10(IL-10)、Interleukin-18(IL-18)、Tumor necrosis factor-α(TNF-α)、Macrophage migration inhibitory factor(MMIF)、Interleukin-1 receptor antagonist(IL-1ra)、またはこれらと同じファミリーに属する炎症性サイトカインのうち少なくとも1つである、副作用予測方法を提供する。
【0010】
本発明の第4の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記サイトカイン遺伝子が、炎症性サイトカインであって、Interleukin-1β(IL-1β)、Interleukin-6(IL-6)、Interleukin-10(IL-10)、Interleukin-18(IL-18)、Tumor necrosis factor-α(TNF-α)、Macrophage migration inhibitory factor(MMIF)、Interleukin-1 receptor antagonist(IL-1ra)のうち少なくとも1つである、副作用予測方法を提供する。
【0011】
本発明の第5の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記サイトカイン遺伝子が、炎症性サイトカインであって、Interleukin-1β(IL-1β)、Interleukin-6(IL-6)、Interleukin-10(IL-10)、Interleukin-18(IL-18)、Tumor necrosis factor-α(TNF-α)、Macrophage migration inhibitory factor(MMIF)、Interleukin-1 receptor antagonist(IL-1ra)のうち少なくとも1つであって、前記多型が、前記サイトカイン遺伝子のプロモーター領域に存在する、副作用予測方法を提供する。
【0012】
本発明の第6の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記サイトカイン遺伝子が、炎症性サイトカインであって、Interleukin-1β(IL-1β)、Interleukin-6(IL-6)、Interleukin-10(IL-10)、Interleukin-18(IL-18)、Tumor necrosis factor-α(TNF-α)、Macrophage migration inhibitory factor(MMIF)、Interleukin-1 receptor antagonist(IL-1ra)のうち少なくとも1つであって、前記多型が、IL-1βにおいては-511位(C/T)に、IL-6においては-634位(C/G)に、IL-10においては-819位に、IL-18においては-137位に、TNF-αにおいては-1031位(T/C)に、MMIFにおいては-173位に、IL-1raにおいてはイントロン2に存在する、副作用予測方法を提供する。
【0013】
本発明の第7の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記多型が、前記サイトカイン遺伝子のプロモーター領域に存在する、副作用予測方法を提供する。
【0014】
本発明の第8の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記多型が、前記サイトカイン遺伝子のプロモーター領域に存在し、前記サイトカイン遺伝子の転写量の増減と相関のある多型である、副作用予測方法を提供する。
【0015】
本発明の第9の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記多型が、前記サイトカイン遺伝子のプロモーター領域に存在し、前記サイトカイン遺伝子の転写量の増減と相関のある多型である、請求項2から請求項6のうちいずれか1項に記載の、副作用予測方法を提供する。
【0016】
被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記副作用が、体内における炎症に起因する副作用である、副作用予測方法を提供する。
【0017】
本発明の第11の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記副作用が、体内における炎症に起因する副作用であって、白血球減少、好中球減少、血小板減少、肝機能障害、腎機能障害、口内炎、嘔吐、下痢、食欲不振、発熱のうち少なくとも1つの症状である、副作用予測方法を提供する。
【0018】
本発明の第12の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記副作用が、体内における炎症に起因する副作用であって、白血球減少、好中球減少、血小板減少、肝機能障害、腎機能障害、口内炎、嘔吐、下痢、食事不振、発熱のうち少なくとも1つの症状である、請求項2から請求項9のうちいずれか1項に記載の、副作用予測方法を提供する。
【0019】
本発明の第13の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記抗がん剤が、5-fluorouracil、Cisplatinのうち少なくとも1つである、副作用予測方法を提供する。
【0020】
本発明の第14の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記抗がん剤が、5-fluorouracil、Cisplatinのうち少なくとも1つである、請求項2から請求項12のうちいずれか1項に記載の、副作用予測方法を提供する。
【0021】
本発明の第15の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記被験細胞が、日本人由来の細胞である、請求項2から請求項14のうちいずれか1項に記載の、副作用予測方法を提供する。
【0022】
本発明の第16の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子の多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測することを特徴とする、被験細胞の検査方法を提供する。
【0023】
本発明の第17の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子の多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用予測をすることを特徴とする、被験細胞の検査方法であって、前記副作用予測が、請求項2から請求項16のうちいずれか1項に記載の、被験細胞の検査方法を提供する。
【0024】
本発明の第18の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子の多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測することを特徴とする、被験細胞の検査方法において使用される検査試薬であって、前記副作用予測が、請求項2から請求項16のうちいずれか1項に記載の方法を用いた副作用予測であって、被験細胞から抽出されたDNAを鋳型とし、標的となるサイトカイン遺伝子の断片を特異的に増幅する過程に係る、核酸合成酵素と、デオキシヌクレオチド3リン酸(dNTP)と、標的となるサイトカイン遺伝子のプライマーと、増幅反応を最適化する塩類を含み、前記抗がん剤の副作用に相関のある多型またはそれに係る塩基を識別可能とする過程に係る、前記多型またはそれに係る塩基の標識に用いられる試薬と、前記標識の有無を判別可能とするための試薬とを含む、検査試薬を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の提供する予測方法及び検査方法を利用することにより、抗がん剤に対する副作用を予め推測することが可能となり、副作用のリスクを抑えたがん治療に結びつけることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明を実施するための最良の形態を述べる。本発明の第1の態様は、被験細胞のサイトカイン遺伝子(本出願において「遺伝子」とは、ゲノムDNA内でmRNAとして転写される配列に加え、その5’上流及び3’下流に位置し前記mRNAの転写調節に関与している配列を含んだ領域全体、と定義する。以下同じ)の多型を検出することを特徴とする、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法を提供する。抗がん剤の副作用予測については、これまでに幾つかの発明が開示されているが、本発明では、これまでの様に薬剤の副作用を「薬剤代謝タンパク質の活性」の問題として捉えるのでは無く、「刺激に対する応答物質としてのサイトカイン」に着目し、その遺伝子多型から副作用を予測するという全く新しい予測方法を提供する。
【0027】
本発明の第2から第5の態様においては、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とする、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記サイトカイン遺伝子が、炎症性サイトカインであることを特徴とする、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法を提供する。本発明者らは、抗がん剤の副作用のうち特に炎症性のサイトカインが関与していると考えられるものに着目し、炎症性サイトカイン遺伝子に存在する多型と抗がん剤の副作用との間の相関関係を明らかにして、本発明を完成した。本発明における炎症性サイトカインは、詳しくはIL-1β、IL-6、IL-10、IL-18、TNF-α、MMIF、IL-1ra、またはこれらと同じファミリーに属する炎症性サイトカインのうち少なくとも1つであり、より詳しくはIL-1β、IL-6、IL-10、IL-18、TNF-α、MMIF、IL-1raのうち少なくとも1つである。前記多型は、前記サイトカイン遺伝子における多型は当該遺伝子のプロモーター領域に存在し、具体的にはIL-1βにおいては-511位(C/T)に、IL-6においては-634位(C/G)に、IL-10においては-819位に、IL-18においては-137位に、TNF-αにおいては-1031位(T/C)に、MMIFにおいては-173位に、Interleukin-1 receptor antagonistにおいてはイントロン2に存在する多型である。尚、個々の数字はそれぞれ、開始コドンの最初の塩基を1としたときのゲノム上の位置を示すものである。
【0028】
本発明の第7から第9の態様においては、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とする、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記多型が、前記サイトカイン遺伝子のプロモーター領域に存在することを特徴とする、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法が提供される。本発明においては、抗がん剤に対する副作用を代謝酵素の活性の大小ではなく、刺激に対する応答の大小と捉え、その指標として遺伝子の発現調節に関与するプロモーター領域に着目して、そこに存在する遺伝子多型と副作用との相関関係を明らかにし本発明を完成した。前記多型は、前記サイトカイン遺伝子のプロモーター領域に存在し、詳しくは転写量の増減と相関のある多型である。本発明の第2から第6の態様において、標的となる多型が第7から第9の態様に記載のプロモーター領域に存在する抗がん剤の副作用予測方法もまた、本発明の実施の形態として含まれるものである。
【0029】
本発明の第10から第12の態様においては、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とする、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記副作用が、体内における炎症に起因する副作用であることを特徴とする、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法が提供される。本発明における副作用は、詳しくは体内における炎症に起因する副作用であって、白血球減少、好中球減少、血小板減少、肝機能障害、腎機能障害、口内炎、嘔吐、下痢、食欲不振、発熱のうち少なくとも1つの症状である。これらの副作用は、これまでの研究によって炎症性サイトカインとの関連が知られるものであり、本発明の予測方法によって予測可能な副作用である。また、本発明の第2から第9のいずれかの態様において、予測対象となる副作用が第10から第12の態様に記載の副作用である抗がん剤の副作用予測方法もまた、本発明の実施の形態として含まれるものである。
【0030】
本発明の第13、第14の態様においては、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とする、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記抗がん剤が、5-fluorouracil(5-FU)、Cisplatinの(CDDP)うち少なくとも1つであることを特徴とする、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法が提供される。本発明は、薬剤の刺激が炎症性サイトカインを誘導する点に着目したものであり、薬剤の種類に限定されるものではないが、その中でも抗がん剤は細胞に対して強い作用を及ぼす薬剤であり、副作用も大きいことから、本発明は抗がん剤を主な対象とし、具体的には5-FU、CDDPのいずれかである副作用予測方法を提供する。本発明の第2から第12のいずれかの態様において、対象薬剤が第13の態様に記載の副作用予測方法もまた、本発明の実施の形態として含まれるものである。
【0031】
本発明の第15の態様においては、被験細胞のサイトカイン遺伝子に存在する多型を検出することを特徴とする、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法であって、前記被験細胞が、日本人由来の細胞であることを特徴とする、請求項2から請求項14のうちいずれか1項に記載の、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測する方法が提供される。遺伝子多型は、人種間・集団間でその頻度に差がある例が知られており、実施例で述べるとおり、本発明の対象としては日本人由来の細胞が好ましい。
【0032】
本発明の第16、17の態様においては、被験細胞のサイトカイン遺伝子の多型を検出することを特徴とし、被験細胞に対する抗がん剤の副作用を予測することを特徴とする、被験細胞の検査方法を提供する。がん治療においては、個々のがんに対して適切な薬剤を選択することが極めて重要である。この選択の判断材料として、患者さんから細胞(粘膜や血液など)を採取し、炎症性サイトカイン遺伝子を増幅し、遺伝子の多型を可視化して副作用を予測する工程を含む被験細胞の検査方法が、本発明の応用例として提示される。本態様における副作用予測方法は、本発明の第2から第15の態様にそれぞれ記載の副作用予測方法である。
【0033】
本発明の第18の態様においては、上記第17の態様に記載の検査方法に供される検査試薬が提供される。前記検査試薬は、被験細胞から抽出されたDNAを鋳型とし、標的となるサイトカイン遺伝子の断片を特異的に増幅する過程に係る、核酸合成酵素(例えば、Taqポリメラーゼ)と、デオキシヌクレオチド3リン酸(dNTP)と、標的となるサイトカイン遺伝子のプライマー(例えば、IL-1raのイントロン2用プライマーとして、5’-CCTCAGCAACACTCCTATTGAC-3’及び5’-GGTCTCATCTTCCTGGTCTGC-3’)と、増幅反応を最適化する塩類を含み、前記抗がん剤の副作用に相関のある多型またはそれに係る塩基を識別可能とする過程に係る、前記多型またはそれに係る塩基の標識に用いられる試薬と、前記標識の有無を判別可能とするための試薬とを含むことを特徴とする、検査試薬である。
【実施例1】
【0034】
(対象) 本発明に係る調査は、1997年から2004年までの間に山口大学医学部付属病院の第2外科で抗がん剤による化学療法を受けた患者さん100名を対象に行った。患者さんの年齢は27歳から83歳までの間(平均63歳)で、他の特徴等を表1に示した。化学療法の副作用の評価はNCI-CTCに従い、化学療法の期間中または後に現れた最も高い値の症状をその患者さんの副作用とした。
【表1】
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【0035】
(化学療法) 本発明における化学療法とは、以下のものである。対象となる患者さんに対し、5-FU+CDDP療法として、330mg/m/dayの5-FUを連続静脈注射で1日目から7日目まで投与し、また6mg/m/dayのCDDPを点滴によって1日2時間、1日目から5日目まで投与した。CDDP投与前には、5-HT3-receptor antagonistを経口的に投与した。このスケジュールで4週間投与を行ったが、その間にgrade3から4の副作用が見られた場合には、直ちに化学療法を中止した。
【実施例2】
【0036】
(遺伝子解析) DNA解析のために、78人の患者さんから7mlの抹消血を採取した。DNAはNaI法で抽出し、4℃で保存した(非特許文献4)。残り22人の患者さんについては、切除した非がん組織の冷凍標本からHigh Pure PCR Template Kit(Roche,Germany)を用いてDNAを抽出した(抹消血が採取できなかったため)。
【0037】
(Genotyping) IL-1RA遺伝子のイントロン2にある86bpのVNTR(variable number of tandem repeat)領域を、配列1に示すプライマーを用いて増幅した。増幅の条件は次の通りである:denaturation 95℃,2min:26cycles of(denaturation 94℃,30sec;annealing 61℃,20sec;elongation 72℃,30sec)。増幅された423bp(86bpの4回くり返し)、251bp(2回)、509bp(5回)、337bp(3回)のそれぞれの産物を、2%アガロースゲル(0.1%臭化エチジウム入り)電気泳動で解析した。
【0038】
TNF-α、IL-1β、IL-6、IL-10、IL-18、MMIF遺伝子のプロモーター領域の遺伝子多型は、ARMS法で検出した(非特許文献5-7)。FO,RO,FI,RIの4つのプライマーを各多型の検出に用い、Allele specificityは、内側プライマーの3’末端塩基と鋳型DNAとの間のミスマッチ及び内側プライマーの3’末端から-2塩基の位置の故意の2次ミスマッチを調べた。遺伝子増幅は10μl系(80ng/μl DNA template,10pmol/μl primers,200μM dNTP,2mM MgCl,20mM Tris-HCl pH8.0,100mM KCl,1U Taq polymerase Ex Taq,Takara,Japan)で行い、遺伝子増幅の主な条件は以下の通りである:denaturation 95℃,2min;30cycles of(denaturation 95℃,30sec;annealing 60℃,20sec;extention 72℃,30sec)。表2に詳しい条件を示した。
【表2】
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【0039】
(統計的解析) 値は平均値±標準誤差で表す。遺伝子型または対立遺伝子の分布の違いはχテストで解析した。潜在的に化学療法に関連した副作用の前兆となる変数は、多変量解析の回帰モデルに入力し、またORと95%CIを算出した。多型のORに関して、Cr-ORは副作用の解析として単変量解析で算出され、Ad-ORは多変量解析で算出した。P<0.05を統計的に有意であると判定した。全ての解析は、Stat View statistical software(ver.5.0;SAS Inst.,Inc.,Cary,NC)で行った。
【実施例3】
【0040】
(抗がん剤の副作用) 表3に、化学療法を受けた患者さんの示した副作用を表す。グレード3-4の副作用の出現率は、それぞれ白血球減少で23.0%、好中球減少で31.0%、食欲不振が33.0%であった。他のタイプの重い副作用は、少数しか見られなかった。
【表3】
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【0041】
(遺伝的多型と副作用との関係)
解析したサイトカイン遺伝子のプロモーター配列に存在する塩基多型のうち、化学療法に伴う副作用(白血球減少、好中球減少、血小板減少、口内炎含む)と有意な関係があったものは、表4に示す通り、IL-6の-634C/G、IL-1βの-511C/T、TNF-αの-1031T/Cであった。IL-6の-634GCとGGの遺伝子型を併せ持つ頻度は、グレード1-4の白血球減少(P<0.01;Cr-OR=4.0;95%CI=1.5-10)、好中球減少(P<0.01;Cr-OR=3.6;95%CI=1.5-8.9)、血小板減少(P<0.01;Cr-OR=6.1;95%CI=2.5-14)を示した群で、示さなかった群に比べて有意に高かった(表5、表6)。同様の遺伝子型頻度と副作用との関係が、IL-1βの-511TC、TTとグレード1-4の血小板減少(P=0.013;Cr-OR=2.9;95%CI=1.2-7.0)及びTNF-αの-1031TTとグレード1-4の口内炎(P=0.02;Cr-OR=3.1;95%CI=1.2-8.3)でも観察された。
【表4】
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【表5】
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【表6】
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【0042】
化学療法の副作用が、3以上では重大であると考えられている事から、副作用のグレードを0-2と3-4のグループに分割し、それらの副作用とサイトカイン遺伝子のプロモーターに存在する塩基多型の間の関係を解析した。その結果、IL-6の-634GC、GGの両方の遺伝子型を持つ頻度が、グレード3-4の好中球減少を示した群において、グレード0-2の好中球減少を示した群に比べて有意に高かった。
【0043】
抗がん剤の副作用に影響する因子を検出するために、臨床病理学的変数である、年齢(63歳の内外)、性別、疾患の種別(食道がんかそれ以外)、化学療法の目的(補助的なものか否か)、放射線治療の有無、サイトカイン遺伝子のプロモーターに存在する塩基多型を、それぞれ多変量回帰モデルに入力した。表5に示すとおり、サイトカイン遺伝子のプロモーター領域に存在する塩基多型は、抗がん剤の副作用と有意に相関があった。
【0044】
抗がん剤による副作用のうち、血小板減少(グレード1-4)はIL-1βの-511位とIL-6の-634位の塩基多型と関連があった。これら2つの多型と血小板減少との関連を解析した結果、IL-1βの-511CTまたはTTとIL-6の-634CGまたはGGの両方を持つ患者さんでは、血小板減少の出現率が87%であった。反対に、IL-1βの-511CCとIL-6の-634CCの両方を持つ患者さんでは、血小板減少の出現率は20%であった(図1)。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、抗がん剤による副作用を、サイトカイン遺伝子に存在するプロモーター領域の塩基多型に基づいて予測するものであり、抗がん剤を用いる医療の現場において、その副作用を予測し、個々の患者さんにとって適切な薬剤を選択するための有効な手段を提供するものである。またこの目的のために、本発明の提供する検査試薬を利用して、対象となる遺伝子領域を増幅し多型を検出するシステムが有効である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】IL-1βの-511C/T多型及びIL-6の-634G/C多型と、抗がん剤による副作用の1つである血小板減少との間の関係を示す。IL-1βの-511TとIL-6の-634Gの両方を持つ群では87%が血小板減少を示し、この2つを持たない群(20%)に比べて遙かに高い値を示した。
図面
【図1】
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