TOP > 国内特許検索 > 関節炎症検出装置 > 明細書

明細書 :関節炎症検出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-086255 (P2017-086255A)
公開日 平成29年5月25日(2017.5.25)
発明の名称または考案の名称 関節炎症検出装置
国際特許分類 A61B   8/00        (2006.01)
FI A61B 8/00
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 17
出願番号 特願2015-217380 (P2015-217380)
出願日 平成27年11月5日(2015.11.5)
発明者または考案者 【氏名】エムディ. タウヒドゥル イスラム カーン
【氏名】井手 衆哉
出願人 【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099634、【弁理士】、【氏名又は名称】平井 安雄
審査請求 未請求
テーマコード 4C601
Fターム 4C601DD10
4C601EE09
4C601EE10
4C601GB14
4C601JB36
4C601JB40
要約 【課題】関節部位に生じている炎症を骨から生じる弾性波を検出することで、炎症の有無及びその位置や大きさを特定する関節炎症検出装置を提供する。
【解決手段】関節炎症検出装置1は、検査対象者の関節部位に複数配設され、関節部位の動作時に関節部位における骨から生じる弾性波を超音波の検出信号として検出する複数のAEセンサ2と、検出信号を増幅する増幅器3と、増幅された検出信号に基づいて、検査対象者の骨に生じている炎症の有無を判定する異常診断部とを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
検査対象者の関節部位に複数配設され、前記関節部位の動作時に当該関節部位における骨から生じる弾性波を超音波の検出信号として検出するセンサと、
前記検出信号を増幅する増幅器と、
増幅された前記検出信号に基づいて、前記検査対象者の骨に生じている炎症の有無を判定する炎症判定手段とを備えることを特徴とする関節炎症検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の関節炎症検出装置において、
前記炎症判定手段が、前記検出信号における最大振幅の値が所定の閾値を超えている場合に前記炎症が有ると判定することを特徴とする関節炎症検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の関節炎症検出装置において、
前記炎症判定手段が、前記関節部位が屈曲した状態から進展した状態又は前記関節部位が進展した状態から屈曲した状態に移行する移行動作を行う際に、前記検出信号が連続して複数検出された場合に前記炎症が有ると判定することを特徴とする関節炎症検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の関節炎症検出装置において、
前記炎症判定手段が、前記関節部位が屈曲した状態から進展した状態又は前記関節部位が進展した状態から屈曲した状態に移行する移行動作を行う際に、初期の動作において前記検出信号が検出された場合に前記炎症が有ると判定することを特徴とする関節炎症検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の関節炎症検出装置において、
前記炎症判定手段が、前記関節部位が屈曲した状態から進展した状態又は前記関節部位が進展した状態から屈曲した状態に移行する移行動作を行う際に、前記移行動作を複数回行い、毎回の動作において前記検出信号が検出された場合に、前記炎症が有ると判定することを特徴とする関節炎症検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の関節炎症検出装置において、
前記センサを複数備え、
前記炎症判定手段が、複数の前記センサから得られた前記検出信号に基づいて、前記炎症の位置を特定することを特徴とする関節炎症検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の関節炎症検出装置において、
前記関節部位の接合箇所を中心として、少なくとも4つ以上の前記センサが前記中心から放射状に分散する位置に配設され、
前記炎症判定手段が、4つ以上の前記センサのうち、任意の3つの前記センサで特定される前記炎症の位置を複数のパターンで演算して3次元上の前記炎症の位置を特定することを特徴とする関節炎症検出装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の関節炎症検出装置において、
前記関節部位で接合される第1部位及び第2部位のそれぞれに配設され、前記第1部位及び前記第2部位の関節の動作角度を検出する角度検出手段と、
前記炎症判定手段が特定した前記炎症の位置と、前記角度検出手段及び前記各センサに基づいて特定される炎症の位置とを比較して、前記炎症の位置を決定する炎症位置決定手段とを備えることを特徴とする関節炎症検出装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、骨から発生する弾性波を検出することで、関節部位の炎症の有無や位置を特定する関節炎症検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、膝関節等に生じた関節炎症を診断する場合に、一般的にX線、磁気共鳴診断装置(MRI)、コンピュータトポグラフィー(CT)等が利用されている。X線は最も広く一般的に利用されている技術であるが、体に放射線を照射することから、妊娠中などは特に注意が必要となる。また、X線は静的なモードでしか撮像することができないという問題がある。MRIは、高エネルギー磁場を利用するため、体内に金属等の物質が含まれている場合には特に注意が必要となる。CTは、X線を使用するため、妊娠中などは特に注意が必要となり、また、静的なモードでしか撮像することができないという問題も有している。
【0003】
以上のように現在一般的に利用されている関節炎症の診断には上記のような問題があり、これらを解決する技術の開発が強く望まれている。上記問題に関連する技術として、例えば特許文献1及び非特許文献1に示す技術が開示されている。
【0004】
特許文献1に示す技術は、生体用音響センサ(14)と、診断装置(18)を含んで構成され、診断装置(18)は、症状グレードごとの典型診断情報(100)が記憶される記憶部(90)と、診断のためのデータ処理等を行う制御部(80)と、診断結果を表示する表示部(70)を含んで構成され、制御部(80)は、生体用音響センサ(14)の実検出信号の周波数スペクトル特性の情報である実診断情報を生成する実診断情報生成部(82)と、実診断情報を検索キーとして、記憶部(18)を検索し、実診断情報に最も相関関係が強い典型診断情報を特定する典型診断情報特定部(84)と、特定された典型診断情報に対応する症状グレードを出力する症状グレード出力部(86)を含んで構成されるものである。
【0005】
非特許文献1に示す技術は、運動に伴って関節から発生する音を聴診器で測定し、ウェーブレット変換を用いて分析することで、炎症状態を診断するものである。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】国際公開第2011/096419号
【0007】

【非特許文献1】戸沢優介 他、「関節音による変形性膝関節症診断手法に関する基礎的研究 -ウェーブレット変換による評価と音源位置推定精度検証-」、バイオメカニズム学術講演会予稿集、Vol.35th、pp.221-224、2014/11/8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記各文献に示す技術は、いずれも関節部位で生じるを音響を検出するものであるため、雑音やノイズの影響により正確性が十分ではないという課題を有する。
【0009】
本発明は、関節部位に生じている炎症を骨から生じる弾性波を検出することで、炎症の有無及びその位置や大きさを特定する関節炎症検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る関節炎症検出装置は、検査対象者の関節部位に複数配設され、前記関節部位の動作時に当該関節部位における骨から生じる弾性波を超音波の検出信号として検出するセンサと、前記検出信号を増幅する増幅器と、増幅された前記検出信号に基づいて、前記検査対象者の骨に生じている炎症の有無を判定する炎症判定手段とを備えるものである。
【0011】
このように、本発明に係る関節炎症検出装置においては、検査対象者の関節部位に複数配設され、前記関節部位の動作時に当該関節部位における骨から生じる弾性波を超音波の検出信号として検出するセンサと、前記検出信号を増幅する増幅器と、増幅された前記検出信号に基づいて、前記検査対象者の骨に生じている炎症の有無を判定する炎症判定手段とを備えるため、検査対象者の体に必要以上の負荷を掛けることなく、年齢と共に骨に生じた異常(例えば、変形や破壊等)による弾性エネルギーを超音波として検出することで炎症の有無を正確に検出することができるという効果を奏する。
【0012】
本発明に係る関節炎症検出装置は、前記炎症判定手段が、前記検出信号における最大振幅の値が所定の閾値を超えている場合に前記炎症が有ると判定するものである。
【0013】
このように、本発明に係る関節炎症検出装置においては、検出信号における最大振幅の値が所定の閾値を超えている場合に前記炎症が有ると判定するため、検査対象者の体に必要以上の負荷を掛けることなく、炎症の有無を正確に検出することができるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係る関節炎症検出装置は、前記関節部位が屈曲した状態から進展した状態又は前記関節部位が進展した状態から屈曲した状態に移行する移行動作を行う際に、前記検出信号が連続して複数検出された場合に前記炎症が有ると判定するものである。
【0015】
このように、本発明に係る関節炎症検出装置においては、関節部位が屈曲した状態から進展した状態又は関節部位が進展した状態から屈曲した状態に移行する移行動作を行う際に、検出信号が連続して複数検出された場合に炎症が有ると判定するため、検査対象者の体に必要以上の負荷を掛けることなく、炎症の有無を正確に検出することができるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る関節炎症検出装置は、前記炎症判定手段が、前記関節部位が屈曲した状態から進展した状態又は前記関節部位が進展した状態から屈曲した状態に移行する移行動作を行う際に、初期の動作において前記検出信号が検出された場合に前記炎症が有ると判定するものである。
【0017】
このように、本発明に係る関節炎症検出装置においては、関節部位が屈曲した状態から進展した状態又は関節部位が進展した状態から屈曲した状態に移行する移行動作を行う際に、初期の動作において検出信号が検出された場合に炎症が有ると判定するため、検査対象者の体に必要以上の負荷を掛けることなく、炎症の有無を正確に検出することができるという効果を奏する。
【0018】
本発明に係る関節炎症検出装置は、前記炎症判定手段が、前記関節部位が屈曲した状態から進展した状態又は前記関節部位が進展した状態から屈曲した状態に移行する移行動作を行う際に、前記移行動作を複数回行い、毎回の動作において前記検出信号が検出された場合に、前記炎症が有ると判定するものである。
【0019】
このように、本発明に係る関節炎症検出装置においては、関節部位が屈曲した状態から進展した状態又は前記関節部位が進展した状態から屈曲した状態に移行する移行動作を行う際に、前記移行動作を複数回行い、毎回の動作において検出信号が検出された場合に炎症が有ると判定するため、検査対象者の体に必要以上の負荷を掛けることなく、炎症の有無を正確に検出することができるという効果を奏する。
【0020】
本発明に係る関節炎症検出装置は、前記センサを複数備え、前記炎症判定手段が、複数の前記センサから得られた前記検出信号に基づいて、前記炎症の位置を特定するものである。
【0021】
このように、本発明に係る関節炎症検出装置においては、前記センサを複数備え、前記炎症判定手段が、複数の前記センサから得られた前記検出信号に基づいて、前記炎症の位置を特定するため、簡単な構成で炎症の位置まで正確に特定することが可能になるという効果を奏する。
【0022】
本発明に係る関節炎症検出装置は、前記関節部位の接合箇所を中心として、少なくとも4つ以上の前記センサが前記中心から放射状に分散する位置に配設され、前記炎症判定手段が、4つ以上の前記センサのうち、任意の3つの前記センサで特定される前記炎症の位置を複数のパターンで演算して3次元上の前記炎症の位置を特定するものである。
【0023】
このように、本発明に係る関節炎症検出装置においては、前記関節部位の接合箇所を中心として、少なくとも4つ以上の前記センサが前記中心から放射状に分散する位置に配設され、前記炎症判定手段が、4つ以上の前記センサのうち、任意の3つの前記センサで特定される前記炎症の位置を複数のパターンで演算して3次元上の前記炎症の位置を特定するため、炎症の正確な位置を3次元的に求めることが可能になるという効果を奏する。
【0024】
本発明に係る関節炎症検出装置は、前記関節部位で接合される第1部位及び第2部位のそれぞれに配設され、前記第1部位及び前記第2部位の関節の動作角度を検出する角度検出手段と、前記炎症判定手段が特定した前記炎症の位置と、前記角度検出手段及び前記各センサに基づいて特定される炎症の位置とを比較して、前記炎症の位置を決定する炎症位置決定手段とを備えるものである。
【0025】
このように、本発明に係る関節炎症検出装置においては、前記関節部位で接合される第1部位及び第2部位のそれぞれに配設され、前記第1部位及び前記第2部位の関節の動作角度を検出する角度検出手段と、前記炎症判定手段が特定した前記炎症の位置と、前記角度検出手段及び前記各センサに基づいて特定される炎症の位置とを比較して、前記炎症の位置を決定する炎症位置決定手段とを備えるため、炎症判定手段が特定した炎症の位置と、角度検出手段及び各センサに基づいて特定される炎症の位置との一致/不一致を判定した上で、最終的な炎症の位置を決定することができ、炎症の位置を高精度に検出することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態に係る関節炎症検出装置の構成を示す図である。
【図2】膝関節部位に4つのAEセンサを配設した場合の図である。
【図3】第1の実施形態に係る関節炎症検出装置におけるコンピュータの機能ブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る関節炎症検出装置で検出された検出信号の一例を示す図である。
【図5】20代のグループのAE信号の検知結果を示す図である。
【図6】40代のグループのAE信号の検知結果を示す図である。
【図7】60代のグループのAE信号の検知結果を示す図である。
【図8】膝に異常を持つ人達のグループのAE信号の検知結果を示す図である。
【図9】各グループごとの最大振幅値を示す図である。
【図10】第1の実施形態に係る関節炎症検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】第2の実施形態に係る関節炎症検出装置の構成を示す図である。
【図12】膝関節部分に角度センサを配設した場合の状態を示す図である。
【図13】第2の実施形態に係る関節炎症検出装置におけるコンピュータの機能ブロック図である。
【図14】第2の実施形態に係る関節炎症検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】実験回数比率に関する実験結果を示す図である。
【図16】膝に異常を持つ人達のAE信号の検知結果を示す図である。
【図17】その他の実施形態に係る関節炎症検出装置における各センサの配置構成を示す図である。
【図18】実施例におけるAEセンサの配置位置を示す図である。
【図19】実施例における炎症位置の演算結果を示す図である。
【図20】実施例における炎症位置を示すレントゲン写真である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0028】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る関節炎症検出装置について、図1ないし図10を用いて説明する。本実施形態に係る関節炎症検出装置は、検査対象者の関節部位に複数配設され、関節部位の動作時に当該関節部位における骨から生じる弾性波を超音波の検出信号として検出する複数のAEセンサ(アコースティック・エミッションセンサ)の検出信号を用いて検査対象者の骨に生じている炎症の有無及び炎症の位置を特定する。
【0029】
ここで、AEセンサは、一般的に、構造物に発生する亀裂や変形等の位置、大きさを弾性波で計測し、構造物の劣化度合いを診断するのに利用されているセンサである。本実施形態においては、骨についても構造物と同様の経年劣化があることから、このAEセンサを関節部位の炎症の検出に適用したものである。なお、本実施形態においては、特に、膝の関節部位における炎症を検出することを具体例として説明するが、その他、足首、肘、手首、首、肩、腰等の関節部位においても本実施形態の技術を適用可能である。
【0030】
膝関節炎(osteoarthritis:OA)は全ての人々に障害をもたらすものであり、高齢化と共にその炎症は増大する。OAは初期段階で早期治療を開始することが必要であるが、現在の検査方法では初期の段階でOAを発見して診断するのは困難となっている。高齢化社会の中でOAの流行を抑えるためにも習慣的に膝関節部位の検査を行う必要がある。そこで、以下の技術を利用することで、簡単な検査で検査対象者に負担を掛けることなく確実にOAを検出することができる。
【0031】
図1は、本実施形態に係る関節炎症検出装置の構成を示す図である。本実施形態に係る関節炎症検出装置1は、検査対象者の大腿骨及び/又は脛骨の骨頭部に対応する膝関節部位に複数装着され、膝関節の屈伸動作時に生じる弾性波を超音波信号として検出すると共に、この超音波信号を増幅する前置増幅器(プリアンプ)を有する複数のAEセンサ2と、プリアンプで増幅された超音波信号を増幅して検出信号とする増幅器(アンプ)3と、増幅された検出信号を取得し、当該検出信号を解析するためのコンピュータ5に入力する検出信号取得部4とを備える。
【0032】
AEセンサ2は、炎症の位置を特定するために検査対象者の膝関節部位に複数配設される。AEセンサ2を2つ配設する場合は、炎症の位置をそれぞれのAEセンサ2(センサa、センサb)からの距離に応じてセンサa,センサb間の距離の比率で特定することが可能である。また、AEセンサ2を3つ配設する場合は、炎症の位置をそれぞれのAEセンサ2(センサa,センサb,センサc)からの距離の比率に応じて二次元的に特定することが可能である。さらに、AEセンサ2を4つ配設する場合は、炎症の位置をそれぞれのAEセンサ2(センサa,センサb,センサc,センサd)のうち任意の3つのAEセンサ2(例えば、センサa,センサb及びセンサc)からの距離の比率に応じて二次元的に炎症の位置を特定し、次に他の任意の3つのAEセンサ2(例えば、センサb,センサc及びセンサd)からの距離の比率に応じて二次元的に炎症の位置を特定する。特定されたそれぞれの2次元上の炎症の位置に基づいて、3次元上の炎症位置を特定することが可能である。
【0033】
なお、炎症の位置を特定せずに炎症の有無のみを判定する場合は、AEセンサ2は1つのみ配設されるようにしてもよい。
【0034】
図2は、膝関節部位に4つのAEセンサ2を配設した場合の図である。図2においては、4つのAEセンサ2を配設することで、炎症の位置を3次元的に検出することが可能となる。なお、炎症の位置は、例えばモアレトポグラフィ等の技術を利用することで特定することが可能である。
【0035】
AEセンサ2で検出されるAE波は、主に超音波領域(20kHz~数MHz)の信号として検出される。検出された超音波信号は、プリアンプ及び増幅器3で増幅されて検出信号としてコンピュータ5に入力される。コンピュータ5では、入力された検出信号に基づいて、膝関節の異常を診断する。
【0036】
図3は、本実施形態に係る関節炎症検出装置におけるコンピュータの機能ブロック図である。コンピュータ5は、検出信号のデータを読み込む検出信号読込部31と、読み込んだデータのうち不要なデータ(ノイズと判断されるデータ)を閾値処理により削除する閾値処理部32と、閾値処理されたデータに基づいてAEパラメータ(カウント数、立ち上がり時間、持続時間、最大振幅、AEエネルギー等)の計算を行うAEパラメータ演算部33と、演算された結果に基づいて膝関節の異常を診断する異常診断部34と、異常診断部34において膝関節に異常があると診断された場合に、AEパラメータに基づいて異常部分(炎症箇所)の位置を特定する炎症位置特定部35と、診断結果及び炎症位置等をディスプレイや帳票に出力する出力制御部36とを備える。
【0037】
図4は、本実施形態に係る関節炎症検出装置で検出された検出信号の一例を示す図である。AEセンサ2では上述したように超音波領域の信号が図4のような波形で検出される。一般的には、パーライトのような鋼やフェライト等のように硬い物質に変形や破壊が生じていると、図4に示すような弾性波が検出され、その挙動を捉えることで物質の疲労を検知する。ここでは、膝関節部位の骨が生じる弾性波の挙動を捉えることで、加齢による骨の疲労損傷を検知する。検出信号からは、図4に示すように、カウント数、立ち上がり時間、持続時間、最大振幅、AEエネルギー等のパラメータを取得することが可能であり、これらのパラメータに基づいて、膝関節の異常が診断される。
【0038】
例えば、以下の実験結果で示すように、弾性波が検出されるタイミング(又は頻度)に応じて、炎症の有無を診断したり、波形の最大振幅の大きさに応じて病変部の大きさを診断(最大振幅が大きい程病変部のサイズが大きい)したり、カウント数の多さによって病変部の大きさを診断(カウント数が多い程病変部のサイズが大きい)することが可能である。
【0039】
異常診断部34による診断処理を具体的に説明する。本発明における診断を行うにあたって、発明者らは予め以下の実験を行った。実験対象者を(1)20歳代、(2)40歳代、(3)60歳代、(4)膝に異常を持つ人達の4つのグループに分け、各グループごとに椅子から立ったり座ったりし、そのときのAE信号を測定した。その結果、各グループごとに図5ないし図8に示すような結果が得られた。図5は、(1)20代のグループのAE信号の検知結果、図6は、(2)40代のグループのAE信号の検知結果、図7は、(3)60代のグループのAE信号の検知結果、図8は、(4)膝に異常を持つ人達のグループのAE信号の検知結果である。図5~図8における横軸は時間、縦軸は角度であり、グラフ中に実線は膝の角度の変化、グラフ中の点は所定の閾値以上の振幅を持つAE信号(すなわち、骨の変形や炎症等による弾性波)が検出された時点を示している。なお、このグラフにおいては、座った状態(膝が90度の状態)を0度とし、立った状態(膝が180度の状態)を90度としている。そして、一度AE信号が検出された時点で、膝の動作を止めて実験を終了している。すなわち、膝の動作を行ってから最初にAE信号が検出された時点の分布を示すものである。
【0040】
図5~図8からわかる通り、若い人ほどAE信号の検知が疎らであり、立ったり座ったりを複数回繰り返すことで初めてAE信号が検知されている。これに対して、高齢者や膝に異常を持つ人達では全ての人が最初の立つ動作でAE信号が検知されている。さらに厳密には、高齢者の場合は、立ち上がり始めてから最初の60度ぐらいの間でほぼ全員のAE信号が検知され、膝に異常を持つ人達の場合は、立ち上がり始めてから最初の30度ぐらいの間でほぼ全員のAE信号が検知されている。
【0041】
また、図9において、各グループごとの最大振幅値のグラフを示す。図9のグラフからわかる通り、特に膝に異常を持たない人達(20代~60代)の最大振幅値に対して、膝に異常を持つ人達の最大振幅値が格段に大きくなっている。
【0042】
つまり、異常診断部34は、膝関節部位が屈曲した状態から進展した状態に移行する際に、初期の動作においてAE信号が検出された場合に、膝に炎症が有ると推定することができる。また、検出されたAE信号の最大振幅値が所定値以上である場合にも、膝に炎症が有ると推定することができる。
【0043】
なお、ここで言う初期の動作とは、例えば、膝関節部位が屈曲した最初の状態から進展した状態に移行する1回目の動作、又は、膝関節部位が進展した最初の状態から屈曲した状態に移行する1回目の動作を言う。
【0044】
また、例えば、膝関節部位が屈曲した状態から進展した状態に移行する際に、初期の動作においてAE信号が検出され、且つ、検出されたAE信号の最大振幅値が所定値以上である場合には、膝に炎症が有る可能性が極めて高い(例えば、A判定:80%以上)と診断し、膝関節部位が屈曲した状態から進展した状態に移行する際に、初期の動作においてAE信号が検出されたが、その最大振幅値は所定値以下である場合には、膝に炎症が有る可能性あり(例えば、B判定:60%~80%)と診断し、膝関節部位が屈曲した状態から進展した状態に移行する際に、初期の動作ではなく2回目以降の屈伸動作においてAE信号が検出されたが、その最大振幅値は所定値以上である場合には、膝に炎症が有る可能性あり(例えば、C判定:40%~60%)と段階的に重み付けをして診断してもよい。
【0045】
炎症位置特定部35は、異常診断部34が異常であると判断した場合に、図2に示したように4つのAEセンサ2から得られる各AEパラメータに基づいて、モアレトポグラフィ等の技術を利用することで3次元的に炎症の位置を特定する。出力制御部36は、上記診断結果や特定された炎症位置の情報をディスプレイや帳票に出力する。医療従事者は、出力された情報を参考にして、膝関節炎症の最終診断を効率よく行うことが可能になると共に、必要に応じて細部を詳細に調べる等のより適正な医療行為が可能となる。
【0046】
次に、本実施形態に係る関節炎症検出装置の動作について説明する。図10は、本実施形態に係る関節炎症検出装置の動作を示すフローチャートである。まず、検査対象者に装着されたAEセンサー2が検知した弾性波を超音波信号として検出し(S1)、プリアンプ及び増幅器3で増幅する(S2)。増幅された信号をコンピュータ5の検出信号読込部31が読み込む(S3)。閾値処理部32が、読み込んだデータからノイズを削除し(S4)、AEパラメータ演算部33が、ノイズ除去された信号についてのAEパラメータを計算する(S5)。異常診断部34が、得られたAEパラメータを用いて、予め記憶されている診断基準となる値と比較して関節炎症の有無(関節の異常性)を判断する(S6)。関節炎症が有ると判断された場合には、炎症位置特定部35が、AEパラメータを用いたモアレトポグラフィの技術により関節炎症の位置を特定する(S7)。出力制御部35は、判断結果や炎症位置をディスプレイや帳票に出力して(S8)、処理を終了する。
【0047】
このように、本実施形態に係る関節炎症検出装置においては、検査対象者の体に必要以上の負荷を掛けることなく、年齢と共に骨に生じた異常(例えば、変形や破壊等)による弾性エネルギーを超音波として検出することで炎症の有無を正確に検出することができると共に、複数のセンサを配設することで、炎症の位置を正確に特定することが可能になる。
【0048】
また、各センサの配設位置及び検出信号に基づいて、炎症の位置を特定するため、簡単な構成で炎症の位置まで正確に特定することが可能になる。
【0049】
さらに、関節部位が屈曲した状態から進展した状態又は関節部位が進展した状態から屈曲した状態に移行する際に、初期の動作において検出信号が検出された場合に、炎症が有ると判定するため、実験結果からも明らかなように、関節部位に炎症がある検査対象者を確実に特定することが可能になる。
【0050】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る関節炎症検出装置について、図11ないし図14を用いて説明する。本実施形態に係る関節炎症検出装置は、前記第1の実施形態に係る関節炎症検出装置の機能を拡張したものであり、関節の角度を検出する角度センサを備え、上記第1の実施形態において特定された炎症の位置と、前記角度センサの信号から割り出せる炎症の位置とを比較することで、より正確な炎症の位置を特定するものである。
【0051】
なお、本実施形態において、前記第1の実施形態に係る関節炎症検出装置と重複する説明は省略する。
【0052】
図11は、本実施形態に係る関節炎症検出装置の構成を示す図である。前記第1の実施形態における図1の場合と異なるのは、膝関節における接合部分を挟んだ大腿骨に対応する位置及び脛骨に対応する位置にそれぞれ配設されて、関節の角度を検出する角度センサ100を備え、検出された角度情報がコンピュータ5に読み込まれることである。
【0053】
図12は、膝関節部分に角度センサを配設した場合の状態を示す図である。図12に示すような位置に角度センサ100(上部角度センサ100a,下部角度センサ100b)が配設されることで、AEセンサ2が信号を検知したときの膝関節の動作角度を測定することが可能となる。そして、以下に詳細を説明するように、角度センサが検出した角度情報をコンピュータ5に入力することで、検出された角度における大腿骨と脛骨との接合部分の態様(大腿骨と脛骨とのずれ位置)に基づいて、炎症の位置を割り出すことが可能となる。
【0054】
図13は、本実施形態に係る関節炎症検出装置におけるコンピュータの機能ブロック図である。前記第1の実施形態における図3の場合と異なるのは、検出信号読込部31が、AEセンサ2からの検出信号に加えて角度センサ100からの角度情報を読み込むことに加えて、炎症位置特定部35が、角度情報に基づいて炎症位置を割り出し、4つのAEセンサ2から得られる炎症位置と角度情報に基づいて得られる炎症位置との比較を行い、一致している場合には、その位置を炎症位置として決定して出力制御部35に情報を渡すことである。
【0055】
なお、このとき、4つのAEセンサ2から得られる炎症位置と角度情報に基づいて得られる炎症位置とが誤差の範囲を超えて一致しない場合は、その旨の情報を出力制御部35に渡すようにしてもよい。
【0056】
出力制御部35は、異常診断部34が演算した診断結果と炎症位置特定部35が特定した炎症位置をディスプレイや帳票に出力する。このとき、炎症位置特定部35の演算結果により、4つのAEセンサ2から得られる炎症位置と角度情報に基づいて得られる炎症位置とが誤差の範囲を超えて一致しない場合は、その旨をディスプレイや帳票に出力する。医療従事者は、出力された情報を見て再度の検査(検査対象者に立ったり座ったりの動作を行ってもらう)や、他の機器を用いたより詳細な検査を行うことで、適正な医療行為を実現することが可能となる。
【0057】
次に、本実施形態に係る関節炎症検出装置の動作について説明する。図14は、本実施形態に係る関節炎症検出装置の動作を示すフローチャートである。まず、検査対象者に装着されたAEセンサー2が検知した弾性波を超音波信号として検出し(S1)、プリアンプ及び増幅器3で増幅する(S2)。増幅された信号をコンピュータ5の検出信号読込部31が読み込む(S3)。AEセンサ2による弾性波の検出と同時に、角度センサ100からその時の角度信号を検出し、コンピュータ5の検出信号読込部31が読み込む(S4)。閾値処理部32が、読み込んだデータからノイズを削除し(S5)、AEパラメータ演算部33が、ノイズ除去された信号についてのAEパラメータを計算する(S6)。異常診断部34が、得られたAEパラメータを用いて、予め記憶されている診断基準となる値と比較して関節炎症の有無(関節の異常性)を判断する(S7)。関節炎症が有ると判断された場合には、炎症位置特定部35が、AEパラメータを用いたモアレトポグラフィの技術により関節炎症の位置を特定する(以下、第1の炎症位置という)と共に、角度センサ100から得られた情報に基づいて関節炎症の位置(以下、第2の炎症位置という)を特定する(S8)。炎症位置特定部35は、第1の炎症位置と第2の炎症位置とを比較し(S9)、誤差を超える範囲で一致しない場合は、その旨の情報を出力制御部35に渡す(S10)。誤差の範囲内で一致する場合は、特定された炎症位置の情報を出力制御部35に渡す(S11)。出力制御部35は、診断結果や炎症位置(第1の炎症位置と第2の炎症位置とが一致しない場合はその旨の情報)をディスプレイや帳票に出力して(S12)、処理を終了する。
【0058】
このように、本実施形態に係る関節炎症検出装置においては、第1の炎症位置と第2の炎症位置との一致/不一致を判定した上で、最終的な炎症の位置を決定することができ、炎症の位置を高精度に検出することが可能になる。
【0059】
(本発明の第3の実施形態)
本実施形態に係る関節炎症検出装置について、図15及び図16を用いて説明する。本実施形態に係る関節炎症検出装置は、前記第1の実施形態に係る関節炎症検出装置の機能を拡張したものであり、異常診断部34における異常診断の精度をより高めたものである。
【0060】
上記第1の実施形態においては、膝の進展における初期の動作において弾性波が検出されるかどうか、及び/又は、その最大振幅に基づいて異常の有無を判定するものであるが、本実施形態においては、複数回の膝の進展動作において、全ての進展動作で弾性波が検出された場合に、膝に異常があると判定するものである。
【0061】
本実施形態における異常診断部34による診断処理を具体的に説明する。本発明における診断を行うにあたって、発明者らは予め以下の実験を行った。実験対象者を(1)40歳代、(2)60歳代、(3)膝に異常を持つ人達の3つのグループに分け、各グループごとに椅子から立ったり座ったりし、そのときのAE信号を測定した。第1の実施形態の場合とは異なり、弾性波が検出された後も継続して立ったり座ったりの動作を繰り返した。その結果、各グループごとに図15に示すような結果が得られた。
【0062】
図15は、5回分の弾性波の検出信号を得るために施行した実験回数(「座り→立ち」で実験回数1回、「立ち→座り」で実験回数1回とする)の平均比率を示している。(3)膝に異常を持つグループの人では、5回分の検出信号を検出するのに実験回数5回の施行で得られたため、比率が100%となっている。(1)40歳代、(2)60歳代については比率が25%~60%となっており、すなわち5回分の検出信号を検出するのに、その2~4倍程度の施行を繰り返している。このことからわかるように、複数回の膝の進展動作をした際に、毎回の進展動作において検出信号が検出された場合は、膝に異常が有ると判断することができる。
【0063】
また、図16は、(3)膝に異常を持つグループの人の進展動作2回分(座り→立ち→座りの動作を1回とする)における検出信号の分布を示す図である。図16(A)、(B)はそれぞれ別の被験者である。いずれも全ての「座り→立ち」及び「立ち→座り」の動作で検出信号が検出されているが、その検出信号が検出されるタイミングが「座り→立ち」と「立ち→座り」の動作で類似したタイミングとなっている。すなわち、「座り→立ち」の動作においても「立ち→座り」の動作においても炎症がある部分から共通の弾性波が検出されていると推測できる。なお、実験結果として記載していないが、「座り→立ち」と「立ち→座り」の動作で類似したタイミングとなるのは、2回目以降の「座り→立ち→座り」の動作においてより顕著に現れる傾向にあった。すなわち、複数回の進展動作における1回目の進展動作の結果は除いて異常診断を行うようにしてもよい。
【0064】
以上の結果から、2回以上の進展動作を行い、全ての「座り→立ち」及び「立ち→座り」の動作で検出信号が検出され、且つ、「座り→立ち」において検出信号が検出されたタイミングと「立ち→座り」において検出信号が検出されたタイミングが酷似している場合は、かなり高い確率で異常が有ると判定することができる。また、「座り→立ち」において検出された検出信号から求められる病変の位置と、「立ち→座り」において検出された検出信号から求められる病変の位置とが一致又は近似している場合は、高確率でその位置に病変があると判断することが可能である。
【0065】
なお、上記第1の実施形態の場合と同様に段階的に診断の重み付けをするようにしてもよい。例えば、全ての「座り→立ち」及び「立ち→座り」の動作で検出信号が検出され、且つ、「座り→立ち」において検出信号が検出されたタイミングと「立ち→座り」において検出信号が検出されたタイミングが酷似している場合は、膝に炎症が有る可能性が極めて高い(例えば、S判定:95%以上)と診断し、全ての「座り→立ち」及び「立ち→座り」の動作で検出信号が検出されるが検出されたタイミングに規則性がない場合は、膝に炎症が有る可能性が高い(例えば、A判定:80%以上)と診断し、全ての「座り→立ち」及び「立ち→座り」の動作で検出信号が検出されないが、検出信号が検出されることがあり、その頻度が所定値以上である場合は、膝に炎症が有る可能性が高い(例えば、B判定:80%以上だが病変は小さい)と診断し、全ての「座り→立ち」及び「立ち→座り」の動作で検出信号が検出されないが、検出信号が検出されることがあり、その頻度が所定値未満である場合は、膝に炎症が有る可能性がある(例えば、B判定:50%以上)といったように、段階的な診断を行うようにしてもよい。
【0066】
また、上記に例示した段階的な診断に、第1の実施形態で用いたパラメータ(初期の動作において検出信号が検出されたか否か、最大振幅が所定の値以上か否か)を加えて診断の演算を行うことで、より細かい判定を行うようにしてもよい。
【0067】
(その他の実施形態)
本実施形態に係る関節炎症検出装置について、図17を用いて説明する。本実施形態に係る関節炎症検出装置は、上記各実施形態に係る関節炎症検出装置の装着時の手間を軽減すると共に、装着後の安定性を向上させるものである。
【0068】
本実施形態に係る関節炎症検出装置は、図17に示すように、関節のみに着用するサポータのような着衣115に予めAEセンサ2及び/又は角度センサ100が固着されており、検査対象者はその着衣115を着用するだけで、AEセンサ2及び/又は角度センサ100を適正な位置に固定して適正な情報を取得することが可能となる。すなわち、AEセンサ2は、検査対象者が着衣115を着用した際に図2に示すような位置に固定されるように、予め着衣115に固着されている。同様に、必要に応じて、角度センサ100は、検査対象者が着衣115を着用した際に図12に示すような位置に固定されるように、予め着衣115に固着されている。
【0069】
このように、本実施形態に係る関節炎症検出装置は、AEセンサ及び/又は角度センサが予め着衣に固着されているため、検査対象者が、その着衣を着用するだけで正確な信号を取得することができ、各センサの着脱の手間を省くことができると共に、診断時の各センサ位置を安定させることができる。
【実施例】
【0070】
本発明に係る関節炎症検出装置を用いて膝の炎症の位置に関する実験を行った。図18は、実験におけるセンサの位置を示す図である。図2に示した位置と同様に大腿骨と脛骨との接合部分を中心として右上、左上、右下、左下の4箇所にCH1~CH4の4つのAEセンサを取り付けた。データは被験者に複数回「座る→立つ→座る」の動作を繰り返してもらい、そのときの弾性波を検知した。膝に異常(炎症)が有る人の検出結果は図16に示した通りである。
【0071】
この検出結果を基に炎症の位置を演算した。図19は、検出信号に基づいて炎症位置を演算した結果を示す図である。本実験においては、4つのAEセンサのうち任意の3つのAEセンサの結果から炎症位置を特定し、それを全てのパターン(4つのAEセンサから3つのAEセンサを選択する全4パターン)で演算した。図19の●はCH1、2及び3に基づいて演算された炎症位置を示し、○はCH2、3及び4に基づいて演算された炎症位置を示し、×はCH1、3及び4に基づいて演算された炎症位置を示し、△はCH1、2及び4に基づいて演算された炎症位置を示している。△については、1つだけ明らかに位置がずれているため除外するが、その他の位置はほぼ同一位置の結果が得られた。
【0072】
図20は実際に上記被験者の膝のレントゲン写真である。レントゲン写真から得られる炎症の位置と上記演算結果を比較して、ほぼ一致していることがわかった。なお、図20(B)に示すY軸方向の結果については、演算結果とレントゲン写真の結果がほぼ一致していることが明らかであるが、図20(A)に示すX軸方向の結果については、一見すると演算結果とレントゲン写真の結果がずれているように見える。これは、実験の都合上、各AEセンサの位置(座標)を図19に示すAEセンサの先端部ではなく、後端部でしか取得できなかったためであり、AEセンサの座標とセンサの後端部の位置で演算した場合には、レントゲン写真の結果と一致していることが確認された。
【0073】
以上の結果から、本発明に係る関節炎症検出装置を用いることで、膝の炎症の有無を確実に検知することが可能となり、さらに炎症位置も正確に求めることができた。これにより、X線、MRI、CT等の大掛かりで人体に影響を及ぼす可能性があるような検査を行うことなく、膝関節炎を容易に検査することが可能であることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0074】
1 関節炎症検出装置
2 AEセンサ
3 増幅器
4 検出信号取得部
5 コンピュータ
31 検出信号読込部
32 閾値処理部
33 AEパラメータ演算部
34 異常診断部
35 炎症位置特定部
36 出力制御部
100 角度センサ
115 着衣
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19