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明細書 :リチウム二次電池用負極材料及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5034037号 (P5034037)
公開番号 特開2007-317460 (P2007-317460A)
登録日 平成24年7月13日(2012.7.13)
発行日 平成24年9月26日(2012.9.26)
公開日 平成19年12月6日(2007.12.6)
発明の名称または考案の名称 リチウム二次電池用負極材料及びその製造方法
国際特許分類 H01M   4/587       (2010.01)
H01M   4/38        (2006.01)
FI H01M 4/58 103
H01M 4/38 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願2006-144815 (P2006-144815)
出願日 平成18年5月25日(2006.5.25)
審査請求日 平成20年12月4日(2008.12.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】森田 昌行
【氏名】江頭 港
【氏名】吉本 信子
個別代理人の代理人 【識別番号】100082164、【弁理士】、【氏名又は名称】小堀 益
【識別番号】100105577、【弁理士】、【氏名又は名称】堤 隆人
審査官 【審査官】青木 千歌子
参考文献・文献 特開2004-362789(JP,A)
特開2004-055505(JP,A)
調査した分野 H01M 4/00- 4/62
特許請求の範囲 【請求項1】
黒鉛粒子とマグネシウム粒子を衝撃により粉砕混合した黒鉛-マグネシウムからなるリチウム二次電池用負極材料において、粒径10~500μmのマグネシウム粒子表面に粒径10~1000nmの黒鉛粒子が付着していることを特徴とするリチウム二次電池用負極材料。
【請求項2】
黒鉛粉とマグネシウム粉を衝撃により粉砕混合して粒径10~500μmのマグネシウム粒子表面に粒径10~1000nmの黒鉛粒子を付着させることを特徴とするリチウム二次電池用負極材料の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はリチウム二次電池の負極材料に使用する黒鉛-マグネシウムの複合体からなる高容量のリチウム二次電池用負極材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、パソコン、デジタルカメラなどの携帯電子機器の普及に伴い、電源としてリチウム二次電池が利用されている。リチウムイオン二次電池用負極材料としては、黒鉛系材料(理論容量:372mAh/g)が広く用いられている。炭素系負極材料は黒鉛だけでなく、例えば、球形化した天然黒鉛を炭素で被覆した球形天然黒鉛(特許文献1)、珪素粒子表面に化学蒸着法により炭素層を被覆した電極(特許文献2)、10~60重量%の錫、アルミニウム、亜鉛及び珪素の一種以上の金属元素を含有する炭素材料(特許文献3)、あるいはSn、Si、Ge、Pb、Mg等のLi吸蔵粒子と、面間隔、面積比が特定された黒鉛粒子とを混合した負極材料(特許文献4)など各種の電極が提案されている。

【特許文献1】特開2002-367611号公報
【特許文献2】特開2000-215887号公報
【特許文献3】特開平11-73945号公報
【特許文献4】特開2004-362789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、携帯電子機器が大量に生産され且つ高性能化に伴う消費電力の増加により簡便に製造できる高容量の負極材料が望まれている。
【0004】
そこで、本発明は、リチウムイオン二次電池用負極材料として高容量のリチウム二次電池用負極材料及びこれを簡単な工程で製造できる二次電池用負極材料製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、黒鉛粒子とマグネシウム粒子を衝撃により粉砕混合した黒鉛-マグネシウムからなるリチウム二次電池用負極材料において、粒径10~500μmのマグネシウム粒子表面に粒径10~1000nmの黒鉛粒子が付着していることを特徴とする。
【0006】
マグネシウムは大きな理論容量(理論容量:3070mAh/g)を示すが、表面に酸化膜が形成されており、導電性が低く、活物質として有効に機能しないが、本発明では、マグネシウム粒子表面に微細化した黒鉛粒子が付着することにより、マグネシウム表面の導電性が向上し、リチウムとマグネシウムの充放電反応がスムーズに進行して容量が上昇する。黒鉛とマグネシウムの混合割合は、質量比で1:1以上、好ましくはほぼ2:1で高容量の電極が得られる。
【0007】
本発明の特徴の一つは、マグネシウム粒子の表面に小さい黒鉛粒子が強固に付着し、マグネシウム粒子の一部もしくは全体を被覆した状態で存在する点にある。すなわち、黒鉛粒子は、その一部がマグネシウム粒子表面の酸化膜に押し込まれアンカーされた状態を形成している。かかるマグネシウムと黒鉛との粒子径の関係は、黒鉛はマグネシウムの粒径の1/10~1/1000程度の粒子、すなわちマグネシウム平均粒子径が10~500μmの場合には、黒鉛の平均粒子径は10~1000nmの範囲、一般に数十~数百nm、好ましくは、50~500nm程度である。
【0008】
かかる構造のマグネシウム-黒鉛複合体を構成する手段は特に限定されないが、好適な製造方法の一つは粒径数十~数百μmのマグネシウム粒子と同程度の黒鉛粒子とを不活性雰囲気中で混合し、衝撃を加えて粉砕と同時に混合することにより得ることができる。かかる粉砕混合手段としては、所謂メカニカルミリングが用いられる。粉砕混合に用いられる装置としては、ジェットミル、ジェットマイザー、ボールミル、振動ミル、遊星ミルなどが好適である。
【0009】
メカニカルミリングの一例を示すと、セラミック製容器内にセラミック製ボールを収納した回転ボールミルにより所定割合の黒鉛粉とマグネシウム粉を不活性ガス(アルゴンガス)雰囲気下で混合粉砕して複合材料を作製する。メカニカルミリングによりマグネシウム粒は柔らかいためにあまり粉砕されず、黒鉛粒子が微細に粉砕されてマグネシウム粒子表面の酸化膜に押し込まれ強固に付着し、10~500μmのマグネシウム粒子の表面に1000nm以下の黒鉛粒子が付着した複合材料が得られる。
【0010】
得られた複合材料から電極を成形する方法は、従来の方法を使用する。例えば、得られた複合材料とポリフッ化ビニリデン(PVdF)からなるバインダーとをN-メチルピロリドン(NMP)の溶媒と混合し、銅板上に塗布し、乾燥させて電極を作製する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、粒径10~500μmのマグネシウム粒子表面に粒径10~1000nmの黒鉛粒子が強固に付着することにより、高容量の負極材料が可能となる。
【0012】
また、本発明のリチウム二次電池用負極材料の製造は、簡便なメカニカルミリングにより細かい粒子サイズが得られるとともに、均一に混合することができるとともに、マグネシウム粒子の表面に黒鉛粒子を強固に付着させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のリチウム二次電池用負極材料及びその製造方法を説明する。
【実施例1】
【0014】
セラミック製容器内にセラミック製ボールが収納された回転ボールミルに黒鉛粉とマグネシウム粉を質量比2:1にして装入した後、回転速度400rpmで10時間回転させてメカニカルミリングにより混合粉砕して複合材料を作製した。なお、操作はアルゴンガス雰囲気のグローブボックス内で行った。
【0015】
図1は黒鉛粒子とマグネシウム粒子の走査型電子顕微鏡写真で、(a)はメカニカルミリングしていない試料、(b)はメカニカルミリングした試料である。図1(a)に示すメカニカルミリングしていない試料では黒鉛粉とマグネシウム粉が分散した状態にあるのに対して、図1(b)に示すメカニカルミリングした試料はマグネシウム粒子表面にマグネシウム粒子より小さく粉砕された黒鉛粒子が付着していることが分かる。測定の結果、粒径10~500μm程度のマグネシウム粒子の表面に粒径500nm程度以下の黒鉛粒子が付着していた。
【0016】
得られた複合材料をPVdFからなるバインダーとをNMPの溶媒と混合し、銅板上に塗布し、80℃で15時間乾燥させて電極を作製した。なお、比較のために、メカニカルミリングする前の混合物についても同様にして電極を作製した。
【0017】
作製された電極について、電解液として1MのLiPFを溶解させたエチレンカーボネイト(EC)とジエチルカーボネイト(DEC)(混合容積比1:1)を使用して定電流充放電試験を行った。
【0018】
図2は電極の充放電曲線を示し、(a)はメカニカルミリングしていない試料の充放電曲線、(b)はメカニカルミリングした試料の充放電曲線である。
【0019】
図2(a)からメカニカルミリングしていない試料は容量が低く、図2(b)からメカニカルミリングした試料は容量が大幅に向上しており、初回放電容量は約611mAh/g、2サイクル目の放電容量は約920mAh/gであった。
【0020】
メカニカルミリングにより、マグネシウム粉表面に微細化した黒鉛粉が付着することにより、マグネシウム粉表面の導電性が向上して充放電反応がスムーズに進行したものと考えられる。
【0021】
図3は電極を放電電流密度0.1あるいは0.5mA/cm2で9サイクル充放電させたときの放電容量の変化を示すグラフである。電極は、電流密度によらず800mAh/g以上の容量を安定して示すことが確認された。
【実施例2】
【0022】
実施例1と同様にして、質量比1:1の黒鉛-マグネシウムをメカニカルミリングして得られた複合材料を作製した。
【0023】
図4は黒鉛粒子とマグネシウム粒子の走査型電子顕微鏡写真で、(a)はメカニカルミリングしていない試料、(b)はメカニカルミリングした試料である。
【0024】
図4(a)に示すメカニカルミリングしていない試料は黒鉛粉とマグネシウム粉が分散した状態にあるのに対して、図4(b)に示すメカニカルミリングした試料はマグネシウム粒子表面にマグネシウム粒子より小さく粉砕された黒鉛粒子が付着していることことが分かる。測定の結果、10~500μm程度のマグネシウム粒子の表面に50~500nm程度の黒鉛粒子が付着していた。
【0025】
得られた複合材料を実施例1と同様に処理して電極を作製した。なお、比較のために、メカニカルミリングしていない試料についても同様にして電極を作製した。
【0026】
図5は電極の充放電曲線を示し、(a)はメカニカルミリングしていない試料の充放電曲線、(b)はメカニカルミリングした試料の充放電曲線である。
【0027】
図5(a)からメカニカルミリングした試料は容量が低く、図5(b)からメカニカルミリングによりマグネシュウム粒子の表面に黒鉛粒子が付着して容量が向上しており、初回充電容量は約510mAh/gであり、初回放電容量は約195mAh/gであった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】黒鉛粒子とマグネシウム粒子の走査型電子顕微鏡写真で、(a)はメカニカルミリングしていない試料、(b)はメカニカルミリングした試料である。
【図2】電極の充放電曲線を示し、(a)はメカニカルミリングしていない試料の充放電曲線、(b)はメカニカルミリングした試料の充放電曲線である。
【図3】実施例1の電極を9サイクル充放電させたときの放電容量の変化を示すグラフである。
【図4】黒鉛粒子とマグネシウム粒子の走査型電子顕微鏡写真で、(a)はメカニカルミリングしていない試料、(b)はメカニカルミリングした試料である。
【図5】電極の充放電曲線を示し、(a)はメカニカルミリングしていない試料の充放電曲線、(b)はメカニカルミリングした試料の充放電曲線である。
図面
【図2】
0
【図3】
1
【図5】
2
【図1】
3
【図4】
4