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明細書 :創傷治癒促進剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5098011号 (P5098011)
公開番号 特開2008-127323 (P2008-127323A)
登録日 平成24年10月5日(2012.10.5)
発行日 平成24年12月12日(2012.12.12)
公開日 平成20年6月5日(2008.6.5)
発明の名称または考案の名称 創傷治癒促進剤
国際特許分類 A61K  31/55        (2006.01)
A61K  31/472       (2006.01)
A61P  17/02        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61P  27/02        (2006.01)
C07D 223/16        (2006.01)
C07D 217/24        (2006.01)
FI A61K 31/55
A61K 31/472
A61P 17/02
A61P 43/00 107
A61P 27/02
C07D 223/16
C07D 217/24
請求項の数または発明の数 3
全頁数 14
出願番号 特願2006-313178 (P2006-313178)
出願日 平成18年11月20日(2006.11.20)
審査請求日 平成21年8月10日(2009.8.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】乾 誠
【氏名】上村 明男
【氏名】西田 輝夫
審査官 【審査官】上條 のぶよ
参考文献・文献 国際公開第2006/097337(WO,A1)
国際公開第2004/112784(WO,A1)
特開平10-316662(JP,A)
特表2004-528373(JP,A)
特表2005-532252(JP,A)
特開昭53-018591(JP,A)
Connective Tissue,1999年,Vol.31, No.4,243-250
調査した分野 A61K 31/00-33/44
C07D 217/24
C07D 223/16
CA/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-メチル-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-メチル-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-エチル-4-メチル-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-メチル-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-メチル-4-メチル-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-エチル-4-メチル-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-(エトキシカルボニル)メチル-8-ヒドロキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-(エトキシカルボニル)メチル-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-(メトキシカルボニル)メチル-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-メチル-7-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2(1H)-イソキノリン-3-オン、
またはこれらの医薬上許容される塩を有効成分として含有する創傷治癒促進剤。
【請求項2】
創傷治療が、細胞遊走を促進することによるものである請求項1に記載の創傷治癒促進剤。
【請求項3】
創傷治療が、皮膚および/又は角膜の損傷に対するものである請求項1または2に記載の創傷治癒促進剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、上皮細胞組織の損傷に用いる創傷治癒促進剤に関する。本発明は、皮膚や角膜・結膜などの上皮細胞において、細胞遊走を促進する創傷治癒促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
上皮細胞組織の損傷としては、皮膚、角膜、結膜などに対する損傷があり、皮膚の損傷は、外科的切開、皮膚潰瘍、火傷、裂傷、擦過傷、褥瘡などの表皮細胞の創傷である。また、角膜の損傷は、角膜潰瘍、角膜上皮剥離、角膜炎、ドライアイによって起こった角膜上皮組織の損傷である。創傷の治療法としては、受傷部を消毒、あるいは縫合し、生体自身の自然の回復力によって受傷部が治癒するのを待つのが一般的である。しかしながら、このような自然治癒では回復までに長期間を要し、痛みを始めとした患者の苦痛は並大抵のものではない。そこで、自然治癒に頼ることなく、積極的かつ直接的に治癒を促進させることが望まれている。創傷の治癒は一般に細胞増殖による新しい結合組織および上皮組織の形成に依存するため、創傷の治癒に関与する細胞の分化・増殖過程を刺激あるいは促進する薬剤が有効であると考えられていた。細胞の分化・増殖過程を刺激あるいは促進する薬剤として、ペプチド化合物(特許文献1)、イミダゾール化合物(特許文献2)、あるいは天然物から抽出したシス-6-ヘキサデセン酸(特許文献3)や新規なペプチド(特許文献4)等が報告されている。
【0003】
その他、コラーゲン、キチン、キトサンなどの細胞外マトリックスを生着する方法、および人工皮膚を生着する方法、サイトカインや細胞増殖因子等を直接生体に投与するのではなく、創傷治癒に有効な産生物質の一種である細胞成長因子を産生する細胞を組み込んだ形の医療材料も報告されている(特許文献5)。
【0004】
また、ベンズアゼピン誘導体に関しては、その製造法および医薬品としての用途が開示されている。抗菌薬として(特許文献6)、血液凝固因子であるフィブリノーゲン拮抗薬として(特許文献7)、抗不整脈用として(特許文献8)、あるいは細胞接着因子であるビトロネクチンのレセプターに拮抗し、炎症、癌、心臓血管障害および骨粗鬆症の治療に有効であることも明らかにされている(特許文献9)。しかしながら、細胞遊走促進効果による創傷治癒効果を開示するものではない。
【0005】
一方、イソキノリン誘導体の医薬品としての用途としては、テトラヒドロイソキノリン誘導体が癌遺伝子であるERas遺伝子の発現抑制作用を有するため、抗腫瘍剤として有用であるとしたもの(特許文献10)や、骨形成を促進するという報告(特許文献11)がある。しかしながら、2-イソキノリン誘導体が創傷治癒促進効果を有することは不明であった。

【特許文献1】特開2003-231695号公報
【特許文献2】特許第3038519号公報
【特許文献3】特開2005-179190号公報
【特許文献4】特許第3673305号公報
【特許文献5】特開平8-198763号公報
【特許文献6】特開2004‐536079号公報
【特許文献7】特許第3497164号公報
【特許文献8】特表平9-501405号公報
【特許文献9】特表2001-501936号公報
【特許文献10】特開2006-036671号公報
【特許文献11】特表2006-508051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の創傷治癒促進剤は、治癒効果、安定性や実用化の面から、充分に満足し得るものではないと考えられる。本発明はこれらの点を鑑み、細胞遊走による生体の再生能を促進させることにより、創傷に対して、さらに有用な創傷治癒促進剤を提供することをその主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、2-ベンズアゼピン誘導体および2-イソキノリン誘導体が、皮膚および角膜の損傷に対し創傷治癒促進効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の(3)~(5)を提供する。
【0009】
(1)一般式(I)
【0010】
【化2】
JP0005098011B2_000002t.gif
[式中、Rは水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルバモイル基、アルキルチオール基、置換又は無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換又は無置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換又は無置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換又は無置換の炭素数1~8のアルコキシ基、置換又は無置換の炭素数2~8のカルボニル基、置換又は無置換の炭素数5~8のアリール基、置換又は無置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、あるいは置換又は無置換の炭素数3~8のシクロヘテロアルキル基を表し、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、カルバモイル基、置換又は無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換又は無置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換又は無置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換又は無置換の炭素数1~8のアルコキシ基、置換又は無置換の炭素数2~8のカルボニル基、置換又は無置換の炭素数5~8のアリール基、置換又は無置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、あるいは置換又は無置換の炭素数3~8のシクロヘテロアルキル基を表し、Xは2つの水素原子又は1つの酸素原子、Nは0または1である]で表される化合物または医薬上許容される塩を有効成分として含有する創傷治癒促進剤。
【0011】
(2) 一般式(I)のRは、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルバモイル基、アルキルチオ基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ヒドロキシエチル基、ベンジル基、(4-トリフルオロメチルベンジル)アミノメチル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、2-プロペニルオキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、(2-ヒドロキシオクチル)オキシ基、イソノナオキシ基、ベンジルオキシ基、またはピリジルアミノプロポキシ基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ヘキサノイル基、メタクリロイル基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、ベンゾキシ基、ヒドロキシカルボニル基、アセトキシ基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、シナモイル基、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ピペリジン基、モルフォリニル基またはピロリジニル基等から選ばれ、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキルチオ基、アミノ基、カルバモイル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ヒドロキシエチル基、ベンジル基、(メトキシカルボニル)メチル基、(エトキシカルボニル)メチル基、(ジメチルアミノカルボニル)メチル基、(4-トリフルオロメチルベンジル)アミノメチル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、2-プロペニルオキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、(2-ヒドロキシオクチル)オキシ基、イソノナオキシ基、ベンジルオキシ基、ピリジルアミノプロポキシ基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ヘキサノイル基、メタクリロイル基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、ベンゾキシ基、ヒドロキシカルボニル基、アセトキシ基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、シナモイル基、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ピペリジン基、モルフォリル基またはピロリジニル基等から選ばれるものであり、Xが酸素原子であり、Nが0または1である上記(1)に記載の創傷治癒促進剤。
【0012】
(3)N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-メチル-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-メチル-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-エチル-4-メチル-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-メチル-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-メチル-4-メチル-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-エチル-4-メチル-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-(エトキシカルボニル)メチル-8-ヒドロキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-(エトキシカルボニル)メチル-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-(メトキシカルボニル)メチル-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン、
N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-メチル-7-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2(1H)-イソキノリン-3-オン、
またはこれらの医薬上許容される塩を有効成分として含有する創傷治癒促進剤。
【0013】
(4)創傷治療が、細胞遊走を促進することによるものである上記(3)に記載の創傷治癒促進剤。
【0014】
(5)創傷治療が、皮膚および/又は角膜の損傷に対するものである上記(3)または(4)に記載の創傷治癒促進剤。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、細胞遊走による生体の再生能を促進し、それにより創傷治癒を促進する効果を有する創傷治癒促進剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、2-ベンズアゼピン誘導体および/または2-イソキノリン誘導体を有効成分として含有する創傷治癒促進剤を提供する。
【0017】
本発明の細胞遊走を促進する創傷治癒促進剤とは、以下のメカニズムによる細胞遊走を促進することによる創傷治癒効果を現す薬剤のことである。すなわち、創傷が起きるとそこで壊れた血小板から増殖因子や遊走因子が放出され、それらの因子に誘引されて、好中球やマクロファージが創傷部に遊走し、表皮細胞の遊走、分裂が始まり表皮層が再生されてゆく。ついで線維芽細胞の遊走、分裂が起こりコラーゲンなどの線維が産生され真皮層が修復されることにより創傷が治癒する。
【0018】
本発明の創傷治癒促進剤の有効成分となる化合物は、一般式(I)で示される2-ベンズアゼピン誘導体および2-イソキノリン誘導体から選択される1以上の化合物である。
【0019】
【化2】
JP0005098011B2_000003t.gif

【0020】
一般式(I)のRは、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルバモイル基、アルキルチオ基、置換又は無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換又は無置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換又は無置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換又は無置換の炭素数1~8のアルコキシ基、置換又は無置換の炭素数2~8のカルボニル基、置換又は無置換の炭素数5~8のアリール基、置換又は無置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、あるいは置換又は無置換の炭素数3~8のシクロヘテロアルキル基を表している。
【0021】
一般式(I)のRで表される炭素数1~6のアルキル基としては、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また置換されていてもよい。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルバモイル基、カルボニル基、アルコキシ基であるか、あるいは炭素数5~8のアリール基、炭素数5~8のアリールオキシ基、炭素数5~8のアリールアミノ基、5員又は6員のシクロアルキル基、あるいはシクロヘテロアルキルヘテロ環等が挙げられ、これらは更に置換されていてもよい。Rで表される具体的なアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ヒドロキシエチル基、ベンジル基、または(4-トリフルオロメチルベンジル)アミノメチル基が挙げられる。
【0022】
一般式(I)のRで表される炭素数2~8のアルケニル基としては、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また置換されていてもよい。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルバモイル基、カルボニル基、アルコキシ基であるか、あるいは炭素数5~8のアリール基、炭素数5~8のアリールオキシ基、炭素数5~8のアリールアミノ基、5員又は6員のシクロアルキル基、あるいはシクロヘテロアルキルヘテロ環等が挙げられ、これらは更に置換されていてもよい。Rで表される具体的なアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられる。
【0023】
一般式(I)のRで表される炭素数2~8のアルキニル基としては、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また置換されていてもよい。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルバモイル基、カルボニル基、アルコキシ基であるか、あるいは炭素数5~8のアリール基、炭素数5~8のアリールオキシ基、炭素数5~8のアリールアミノ基、5員又は6員のシクロアルキル基、あるいはシクロヘテロアルキルヘテロ環等が挙げられ、これらは更に置換されていてもよい。Rで表される具体的なアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等が挙げられる。
【0024】
一般式(I)のRで表される炭素数1~8のアルコキシ基としては、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また置換されていてもよい。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルバモイル基、カルボニル基であるか、あるいは炭素数5~8のアリール基、炭素数5~8のアリールオキシ基、炭素数5~8のアリールアミノ基、5員又は6員のシクロアルキル基、あるいはシクロヘテロアルキルヘテロ環等が挙げられ、これらは更に置換されていてもよい。Rで表される具体的なアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、2-プロペニルオキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、(2-ヒドロキシオクチル)オキシ基、イソノナオキシ基、ベンジルオキシ基、またはピリジルアミノプロポキシ基等が挙げられる。
【0025】
一般式(I)のRで表される炭素数2~8のカルボニル基としては、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また置換されていてもよい。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルバモイル基、アルコキシ基であるか、あるいは炭素数5~8のアリール基、炭素数5~8のアリールオキシ基、炭素数5~8のアリールアミノ基、5員又は6員のシクロアルキル基、あるいはシクロヘテロアルキルヘテロ環等が挙げられ、これらは更に置換されていてもよい。Rで表される具体的なカルボニル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ヘキサノイル基、メタクリロイル基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、ベンゾキシ基、ヒドロキシカルボニル基、アセトキシ基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、シナモイル基等が挙げられる。
【0026】
一般式(I)のRで表される炭素数5~8のアリール基は、置換されていてもよく、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルバモイル基、カルボニル基、アルコキシ基であるか、あるいは炭素数5~8のアリール基、炭素数5~8のアリールオキシ基、炭素数5~8のアリールアミノ基、5員又は6員のシクロアルキル基、あるいはシクロヘテロアルキルヘテロ環等が挙げられ、これらは更に置換されていてもよい。Rで表される具体的なアリール基としては、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基が挙げられる。
【0027】
一般式(I)のRで表される炭素数3~8のシクロアルキル基は、置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルバモイル基、カルボニル基、アルコキシ基であるか、あるいは炭素数5~8のアリール基、炭素数5~8のアリールオキシ基、炭素数5~8のアリールアミノ基、5員又は6員のシクロアルキル基、あるいはシクロヘテロアルキルヘテロ環等が挙げられ、これらは更に置換されていてもよい。Rで表される具体的なシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が挙げられる。
【0028】
一般式(I)のRで表される炭素数3~8のシクロヘテロアルキル基は、置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルバモイル基、カルボニル基、アルコキシ基であるか、あるいは炭素数5~8のアリール基、炭素数5~8のアリールオキシ基、炭素数5~8のアリールアミノ基、5員又は6員のシクロアルキル基、あるいはシクロヘテロアルキルヘテロ環等が挙げられ、これらは更に置換されていてもよい。Rで表される具体的なシクロヘテロアルキル基としては、ピペリジン基、モルフォリニル基、ピロリジニル基等が挙げられる。
【0029】
一般式(I)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、カルバモイル基、置換又は無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換又は無置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換又は無置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換又は無置換の炭素数1~8のアルコキシ基、置換又は無置換の炭素数2~8のカルボニル基、置換又は無置換の炭素数5~8のアリール基、置換又は無置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、あるいは置換又は無置換の炭素数3~8のシクロヘテロアルキル基を表している。
【0030】
一般式(I)のR、RおよびRにおける、置換又は無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換又は無置換の炭素数2~8のアルケニル基、あるいは置換又は無置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換又は無置換の炭素数1~8のアルコキシ基、置換又は無置換の炭素数2~8のカルボニル基は、Rの場合と同じで、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また置換されていてもよい。R、RおよびRで表される具体的なアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ヒドロキシエチル基、ベンジル基、(エトキシカルボニル)メチル基または(ジメチルアミノカルボニル)メチル基、または(4-トリフルオロメチルベンジル)アミノメチル基が挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、2-プロペニルオキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、(2-ヒドロキシオクチル)オキシ基、イソノナオキシ基、ベンジルオキシ基、またはピリジルアミノプロポキシ基、さらにカルボニル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ヘキサノイル基、メタクリロイル基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、ベンゾキシ基、ヒドロキシカルボニル基、アセトキシ基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、シナモイル基等が挙げられる。
【0031】
一般式(I)のR、RおよびRにおける、置換又は無置換の炭素数5~8のアリール基、炭素数3~8のシクロアルキル基、あるいは置換又は無置換の炭素数3~8のシクロヘテロアルキル基は、Rの場合と同じで、置換されていてもよい。R、RおよびRで表される具体的なアリール基としては、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘテロアルキル基としては、ピペリジン基、モルフォリニル基、ピロリジニル基等が挙げられる。
【0032】
本発明の創傷治癒促進剤の有効成分である一般式(I)で示される2-ベンズアゼピン誘導体および2-イソキノリン誘導体の好ましい例としては、N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-メチル-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン(化合物1)、N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-メチル-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン(化合物2)、N-エチル-4-メチル-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン(化合物3)、N-メチル-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン(化合物4)、N-メチル-4-メチル-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン(化合物5)、N-エチル-4-メチル-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン(化合物6)、N-ブチル-4-(メトキシカルボニル)メチル-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン(化合物7)、N-イソプロピル-4-メチル-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン(化合物8)、N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-(エトキシカルボニル)メチル-8-ヒドロキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン(化合物9)、N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-(エトキシカルボニル)メチル-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン(化合物10)、N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-(メトキシカルボニル)メチル-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン(化合物11)、N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-8-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2-ベンズアゼピン-3-オン(化合物12)、N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-4-メチル-7-メトキシ-1,2,4,5,テトラヒドロ-2(1H)-イソキノリン-3-オン(化合物13)が挙げられる。
【0033】
本発明で使用される化合物は、その薬理学上許容される塩であってもよく、塩基性化合物の場合は例えば、有機酸、無機酸等との塩が、酸性化合物の場合は例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、有機塩基等との塩が挙げられる。有機酸としては、例えば酢酸、アジピン酸、安息香酸、クエン酸、フマール酸、アスパラギン酸、乳酸、リンゴ酸、パルミチン酸、サリチル酸、酒石酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、トルエンスルホン酸が、無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。アルカリ金属、アルカリ土類金属、有機塩基等としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。
【0034】
本発明で使用される化合物は光学活性体、あるいはラセミ体、ジアステレオマー、あるいはジアステレオマーの混合物、個々のエナンチオマーからエナンチオマーの混合物までを全て包含するものである。
【0035】
本発明における上記一般式で表される一連の化合物は、上村等の方法(Akio Kamimura et al.J.Org.CHem.,2003;68:4996-4998、Akio Kamimura et al.TetraHedroN Lett.,2004;45:2335-2337)に準じて製造することができるが、それらの方法に限定されるものではない。
【0036】
本発明の創傷治癒促進剤は、経口でも、非経口でも投与することができ、剤型は目的に応じて任意に選択できるが、具体的には軟膏剤、ゼリー剤、クリーム剤、エアゾール剤、スプレー剤、パップ剤、点眼剤等の外用剤の他、注射剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤等の製剤とすることができる。上記一般式で表される一連の化合物を有効成分として製剤化する場合は、投与経路や投与方法を考慮して、薬剤学的に許容される添加剤と混合して行う。
【0037】
例えば、軟膏剤、ゼリー剤やクリーム剤は、白色ワセリン、黄色ワセリン、ラノリン、サラシミツロウ、セタノール、ステアリルアルコール、ステアリン酸、硬化油、ゲル化炭化水素、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、スクワラン等の基剤、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソオクタン酸グリセリン、クロタミトン、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ラウリン酸ヘキシル等の脂肪酸や脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、植物油等の溶剤および溶解補助剤、トコフェロール誘導体、L-アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤、パラヒドロキシ安息香酸エステル等の防腐剤、グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤、ポリオキシエチレン誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等の界面活性剤、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤や安定剤、保存剤、吸収促進剤等または、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0038】
特に、眼軟膏剤は、白色ワセリン、流動パラフィン、ロウなどの炭化水素系基剤や、マクロゴール、セタノール、高級脂肪酸エステルなどを用いて調製することができる。
【0039】
パップ剤の場合には、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合体等の粘着付与剤、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、塩化アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアセテート等の架橋剤、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤、グリセリン、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール等の多価アルコール類、ポリオキシエチレン誘導体等の界面活性剤、l-メントール等の香料、パラヒドロキシ安息香酸エステル等の防腐剤、精製水等または、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0040】
また例えば、点眼剤の場合には、グリセリン、プロピレングリコール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ソルビトール、マンニトール等の等張化剤、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、リン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等の緩衝剤、塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ酸、ホウ砂、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のpH調節剤、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、マクロゴール4000等の界面活性剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の増粘剤や分散剤、パラベン、エデト酸、エデト酸ナトリウム等の安定化剤、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール等の保存剤のほか香料または清涼化剤などの各種添加剤を適宜選択し、一種またはそれ以上を併用して含有させることができる。
【0041】
さらにこの場合、生体に許容される範囲内の浸透圧やpHに調整して用いる必要がある。浸透圧は、100~1200mOsmであることが望ましく、好ましくは100~600mOsm、特に好ましくは150~400mOsm程度であり、pHは、通常、pH4.0~10.0であることが望ましく、好ましくは4.5~9.0、特に好ましくは5.0~8.5である。
【0042】
また、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の経口剤は、乳糖、結晶セルロ-ス、デンプン、植物油等の基剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロ-ス、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロ-ス、低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロ-ス等の崩壊剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロ-ス、シリコン樹脂等のコ-ティング剤、ゼラチン皮膜等の皮膜剤などを必要に応じて加え、調製することができる。
【0043】
本化合物の投与量は症状、年令、剤型等によって適宜選択できるが、外用剤として用いる場合は、通常1日当たり0.01~5000mg程度、好ましくは0.1~1000mg程度、より好ましくは1~100mg程度を1~数回に分けて投与することができる。特に点眼剤では、1日当たりの容量を、通常0.0001~10%(w/v)好ましくは0.001~3%(w/v)の溶液として、1日1~数回点眼すればよい。また、経口剤では、通常1日当たり0.01~5000mg、好ましくは0.1~1000mgを1~数回に分けて投与すればよい。
【0044】
以下に、代表的な2-ベンズアゼピン誘導体および2-イソキノリン誘導体の創傷治癒促進作用についての実施例を示す。
【実施例1】
【0045】
<皮膚表皮細胞伸展に対する作用>
ヒト皮膚表皮細胞の不死化細胞株であるHaCat細胞を用いて、以下の方法で表皮細胞伸展への影響を検討した。
【0046】
[方法] 96穴プレートに1穴当たり2.5×10個のHaCat細胞を播き、全面を覆うまで10%FBSを含むDMEM培地で培養した。200μL用ピペットのプラスティックチップを用いて幅1mmの無細胞領域を作成し、DMEM培地で洗浄後、50μMの被験化合物を含むDMEM培地で37°C・5% COの条件下で24時間培養した。被験化合物添加前に写真撮影し無細胞領域の面積を測定した。被験化合物添加24時間後の面積と比較することによりHaCat細胞伸展への効果を検討した。コントロールとしては被験化合物を含まない培養液で同様に培養したものを用いた。
【0047】
[被験化合物] 実験に用いた化合物は、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6、化合物7および化合物8である。図1に構造式を示す。
【0048】
[結果] 結果を表1に示す。表中のHaCat細胞伸展は、コントロールの細胞伸展を基準(100%)として算出した各6例の平均値および標準誤差である。*及び**は、それぞれP<0.05およびP<0.01で統計学的に有意であることを示す。表1に示すように、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5または化合物6を含む培養液で培養すると、HaCat細胞伸展の優れた促進効果が認められた。
【0049】
【表1】
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【実施例2】
【0050】
<皮膚創傷治癒に対する作用>
BALB/c雄性マウスを用い、以下の方法で皮膚創傷の治癒への影響を検討した。
【0051】
[方法] マウスをジエチルエーテル吸入で麻酔させ背部の体毛をバリカンで剃毛し、脱毛クリームで除毛した。5mm径の皮膚生検用トレパンを用いて背部皮膚に表皮・真皮の全層性の創傷を等間隔で3カ所作成し、止血の確認後に50μMの被験化合物を含む生理食塩水30μLを1日2回、12時間毎に患部に塗布した。被験化合物塗布前にマウスの背部創傷を写真撮影しその面積を測定した。被験化合物塗布後の創傷面積を比較することにより皮膚創傷治癒効果を検討した。コントロールとしては被験化合物を含まない生理食塩水を患部に塗布した。
【0052】
[被験化合物] 実験に用いた化合物は、実施例1で用いた化合物1、化合物2および化合物7である。
【0053】
[結果] 実験結果を表2に示す。なお、表中の残存創傷面積は、創傷作成直後の面積を基準(100%)として算出した創傷作成6日後の各6匹マウスの平均値±標準誤差である。**は、コントロールに対しP<0.01で統計学的に有意であることを示す。表2に示すように、化合物1および化合物2は、塗布することにより、優れた皮膚創傷治癒促進効果が認められた。
【0054】
【表2】
JP0005098011B2_000005t.gif

【実施例3】
【0055】
<角膜上皮伸展に対する作用>
雄性日本白色ウサギの角膜を用い、NisHidaらの方法(J.Cell.Biol.,97,1653-1657(1983))に準じ、角膜片の組織培養系での角膜上皮伸展長を指標にして角膜上皮伸展に対する影響を検討した。
【0056】
[方法] ウサギ角膜切片により切り出した角膜ブロック(1群6個)を、最終濃度として50μMの被験化合物を含む培養液(TC-199)中、37°C・5% COの条件下で24時間培養した。培養後、角膜ブロックをエタノール-氷酢酸(体積比95:5)混合液中で固定し、パラフィンで包埋して切片を作製した。切片を脱パラフィンした後、ヘマトキシリン-エオジン染色し、顕微鏡下で上皮細胞走の伸展を測定した。コントロールとしては被験化合物を含まない培養液で同様に培養したものを用いた。
【0057】
[被験化合物] 実験に用いた化合物は、化合物1、化合物2、化合物7、化合物9、化合物10、化合物11、化合物12および化合物13である。図1に構造式を示す。
【0058】
[結果] 結果を図2に示す。なお、図中の伸展率は、コントロール群の伸展長を基準(100%)として算出した各6例の平均値および標準誤差である。*及び**は、それぞれP<0.05およびP<0.01で統計学的に有意であることを示す。図2に示すように、化合物1、化合物2、化合物9、化合物10、化合物11、化合物12または化合物13を含む培養液で培養すると、角膜上皮の著しい伸展促進が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明により、創傷治癒促進のための治療用薬剤として有用な軟膏剤、ゼリー剤、クリーム剤、エアゾール剤、スプレー剤、パップ剤、点眼剤等の外用剤や経口剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施例で用いた2-ベンズアゼピン誘導体および2-イソキノリン誘導体の構造式を示す図である。
【図2】外皮上皮伸長に対する作用の結果を示す図である。
図面
【図1】
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【図2】
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