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明細書 :ロボットの動作指令装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-086996 (P2016-086996A)
公開日 平成28年5月23日(2016.5.23)
発明の名称または考案の名称 ロボットの動作指令装置
国際特許分類 A61F   2/56        (2006.01)
B25J  13/08        (2006.01)
B25J  11/00        (2006.01)
A61B   5/11        (2006.01)
FI A61F 2/56
B25J 13/08 Z
B25J 11/00 Z
A61B 5/10 310G
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 7
出願番号 特願2014-223083 (P2014-223083)
出願日 平成26年10月31日(2014.10.31)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 一般社団法人 日本機械学会,ロボティクス・メカトロニクス講演会2014 講演論文集,3P2-J04,平成26年5月24日
発明者または考案者 【氏名】藤江 正克
【氏名】小林 洋
【氏名】加藤 陽
【氏名】松本 侑也
【氏名】中島 康貴
出願人 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114524、【弁理士】、【氏名又は名称】榎本 英俊
審査請求 未請求
テーマコード 3C707
4C038
4C097
Fターム 3C707AS38
3C707JT10
3C707KS11
3C707KS36
3C707XK06
3C707XK19
3C707XK58
3C707XK69
4C038VA04
4C038VB11
4C038VB12
4C038VC20
4C097AA11
4C097BB02
4C097BB07
要約 【課題】簡単な構成及び演算により、使用者の生体信号に基づいて、当該使用者の意図するロボットの動作を細かく指令する装置を提供する。
【解決手段】ロボットの動作指令装置10は、使用者の筋肉が隆起する位置である筋隆起位置を検出する筋隆起位置検出手段12と、筋隆起位置検出手段12で検出された筋隆起位置の変化に応じて、動力義手11の動作状態を決定する動作状態決定手段13とを備えている。動作状態決定手段13は、動力義手11の動作量と筋隆起位置との関係が予め記憶された記憶部20と、記憶部20に記憶された関係を用いて、筋隆起位置検出手段12で検出された筋隆起位置から動作量を決定し、当該動作量が得られるように、ロボットの動作制御装置Cに動作指令をする出力部21とを備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
使用者の筋活動に基づいてロボットが動作するように、当該ロボットの動作制御装置に動作指令を行うロボットの動作指令装置において、
前記使用者の筋肉が隆起する位置である筋隆起位置を検出する筋隆起位置検出手段と、当該筋隆起位置検出手段で検出された前記筋隆起位置の変化に応じて、前記ロボットの動作状態を決定する動作状態決定手段とを備えたことを特徴とするロボットの動作指令装置。
【請求項2】
前記筋隆起位置検出手段は、前記筋活動に関連する前記使用者の皮膚表面における所定範囲内に設定された複数の設定位置で、筋隆起量に対応する指標値をそれぞれ計測する計測部と、前記各設定位置での前記指標値により前記筋隆起位置を特定する筋隆起位置特定部とを備えたことを特徴とする請求項1記載のロボットの動作指令装置。
【請求項3】
前記計測部は、前記皮膚表面より所定の隙間を隔てて配置され、前記各設定位置との離間距離を前記指標値として計測する距離センサにより構成され、
前記筋隆起位置特定部では、前記離間距離を質点系における質量と考え、当該質点系の重心位置を前記筋隆起位置とすることを特徴とする請求項2記載のロボットの動作指令装置。
【請求項4】
前記動作状態決定手段は、前記ロボットの動作量と前記筋隆起位置との関係が予め記憶された記憶部と、当該記憶部に記憶された前記関係を用いて、前記筋隆起位置検出手段で検出された前記筋隆起位置から前記ロボットの動作量を決定し、当該動作量が得られるように、前記動作制御装置に動作指令をする出力部とを備えたことを特徴とする請求項1、2又は3記載のロボットの動作指令装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの動作指令装置に係り、更に詳しくは、使用者の生体信号に基づいて、ロボットの動作制御を指令するロボットの動作指令装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上肢切断者の日常生活を補助するために、モータ等のアクチュエータの動力を用いて把持動作などを行う動力義手が存在する。この動力義手としては、その装着者(使用者)の義手への動作意志に基づく筋活動により得られた生体信号の変化から、前記アクチュエータの駆動を制御するものが存在し、当該生体信号としては、筋活動量に伴い振幅が変化する表面筋電位が多く用いられている。この表面筋電位は、電気的なノイズを多く含み、しかも、個人差が大きいことから、不安定な信号であり、使用者の動作意志を義手に細かく反映することが難しい。そのため、このような表面筋電位を用いた動力義手(筋電義手)は、筋電位の特徴量を用いた動作推定による制御や、閾値設定によるオン・オフ制御が行われるのが一般的で、非切断者の腕に比べて明らかな機能差がある。例えば、使用者の食事の際に義手でお椀を保持しようとする動作を実現するためには、義手の関節角度の精密な制御が必要であるが、表面筋電位は極めて微弱であることから、このような精密な制御は困難である。ここで、非特許文献1には、表面筋電位を用いた動力学計算により関節角度の推定を行った研究が開示されているが、当該動力学計算により算出可能である筋発揮張力や関節回りのモーメントは、関節角度に対して一意性がない。また、関節角速度から時間積分により関節角度を算出する際に、誤差を蓄積してしまうという問題もある。従って、表面筋電位を用いて関節角度を制御するためには、煩雑な計算が必要となる。
【0003】
ところで、特許文献1には、使用者の前腕の周囲の複数位置で筋電位及び筋隆起量を検出し、これらの検出結果に基づいて使用者の意図する動作を識別し、当該意図する動作に従って義手を操作する義手操作装置が開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2014-50590号公報
【0005】

【非特許文献1】片山敦史,幸徳,小池康晴,「筋電信号を用いた指関節角度推定」,電子情報通信学会技術研究報告,vol.106.pp7-12,2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1の義手操作装置にあっては、検出された筋電位及び筋隆起量から、使用者による手の各種動作(掌屈、背屈、握る、開く、前腕の回内や回外)を推定するものであり、煩雑な計算処理が必要となるばかりか、手の背屈量等、各動作の動作量までは推定することができない。
【0007】
そこで、本発明者らは、動力義手の所定部位の動作量を推定できる新たな生体信号を探索するための研究を行った。その結果、筋活動の運動学による手首の関節角度変化時の筋肉の挙動から、筋活動時の筋収縮に伴い皮膚表面で筋肉が隆起する位置(筋隆起位置)が移動する現象に着目し、筋活動に伴う関節角度変位と筋隆起位置との間に一意性があることを知見した。
【0008】
本発明は、このような本発明者らの知見に基づいて案出されたものであり、その目的は、簡単な構成及び演算により、使用者の生体信号に基づいて、当該使用者の意図するロボットの動作を細かく指令することができるロボットの動作指令装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、主として、使用者の筋活動に基づいてロボットが動作するように、当該ロボットの動作制御装置に動作指令を行うロボットの動作指令装置において、前記使用者の筋肉が隆起する位置である筋隆起位置を検出する筋隆起位置検出手段と、当該筋隆起位置検出手段で検出された前記筋隆起位置の変化に応じて、前記ロボットの動作状態を決定する動作状態決定手段とを備える、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来の表面筋電位の変化に基づくロボットの動作制御よりも簡単な構成及び演算により、所望部位の動作量が考慮された使用者の動作意図を細かく反映したロボットの動作制御を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係るロボットの動作指令装置の概略構成図。
【図2】人体における手首の関節角度と筋隆起位置との関係性を説明するための概念図。
【図3】距離センサによる計測について説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。

【0013】
図1には、本実施形態に係るロボットの動作指令装置の概略構成図が示されている。この図において、前記動作指令装置10は、ロボットとしての動力義手11の可動部Hを動作させるアクチュエータAの駆動を制御する動作制御装置Cに対して、使用者の生体信号に基づき動作指令を行う装置である。すなわち、動作指令装置10では、動力義手11を装着した使用者の筋活動時の筋収縮により、皮膚表面で筋肉が隆起する位置(以下、「筋隆起位置」と称する。)の移動現象に基づいて、使用者が所望とする可動部Hの動作が得られるように、動作制御装置Cに動作指令を行うようになっている。本実施形態では、可動部Hとして、人体に模して手首の関節角度を変化させる機構を備え、使用者が手首を変化させようとする際に用いられる前腕部の筋活動に基づいて、動作制御装置Cによる可動部Hの動作制御がなされる。

【0014】
具体的に、本発明者らは、図2に示されるように、前腕部の筋肉運動により手首の関節を動かす際、当該手関節角度θが変化する際に、前腕部の皮膚表面の筋隆起位置Xが前腕部の長手方向に移動する現象に着目し、筋隆起位置Xから手関節角度θが一意に定まることを知見した。当該知見により、動作指令装置10では、動力義手11が装着される前腕部の筋隆起位置Xの変化に基づき、当該筋隆起位置Xでの実際の手(非切断側の手)に相当する手関節角度になるように、動作制御装置Cに動作指令を行うようになっている。これにより、実際の手と同様の感覚で動力義手11の手首を挙動させることが可能となる。

【0015】
この動作指令装置10は、使用者の筋隆起位置を検出する筋隆起位置検出手段12と、筋隆起位置検出手段12で検出された筋隆起位置の変化に応じて、動力義手11の動作状態を決定する動作状態決定手段13とを備えている。

【0016】
前記筋隆起位置検出手段12は、使用者の前腕部の皮膚表面における所定範囲内に設定された複数の設定位置で、筋隆起量に対応する指標値をそれぞれ計測する計測部15と、計測部15で計測された各設定位置での指標値から、筋隆起位置を特定する筋隆起位置特定部16とを備えている。

【0017】
前記計測部15は、図3に示されるように、動力義手11が装着される前腕部上の複数の設定位置での皮膚表面の隆起状態を計測する距離センサ18により構成されている。この距離センサ18は、公知の構造の反射型のフォトリフレクタからなり、前腕部の皮膚表面から所定の隙間を隔てた位置に固定され、当該各距離センサ18と皮膚表面との離間距離、すなわち、距離センサ18から皮膚表面までの最短距離を距離センサ18それぞれについて計測可能になっている。ここで、前記離間距離は、使用者の筋隆起量に応じて変化する前記指標値となる。なお、各距離センサ18は、図示しないアームバンド等によって、皮膚表面との間に隙間を形成した状態で前腕部に一体的に固定され、手首側(図3中左側)から肘側(同図中右側)に向かう長手方向に沿って複数箇所(例えば、12箇所)に配置される。

【0018】
なお、前記計測部15としては、前述したフォトリフレクタからなる距離センサ18に限定されるものではなく、手首を動作させる前腕部の筋隆起量に対応した指標値のデータを計測できる限りにおいて、種々のセンサを用いることができる。

【0019】
前記筋隆起位置特定部16では、距離センサ18で測定された複数の設定位置での前記離間距離から、予め記憶された以下の式に基づき、筋隆起位置を求めるようになっている。ここでは、前腕部における長手方向の前記各設定位置の座標x(i=1,2・・・n)における前記離間距離s(i=1,2・・・n)を質点の質量と考え、当該質点系の重心位置Xを筋隆起位置としている。
【数1】
JP2016086996A_000003t.gif

【0020】
なお、本実施形態では、前記離間距離sを質点の質量と考え、当該質点系の重心位置Xを前記筋隆起位置としたが、本発明はこれに限定されず、前腕部の皮膚表面からの離間距離sが最短となる距離センサ18の位置x、すなわち、筋肉が最も隆起する位置を筋隆起位置とすることも可能である。

【0021】
前記動作状態決定手段13は、動力義手11の可動部Hの動作量に相当する手関節角度と前記筋隆起位置との関係が予め記憶された記憶部20と、前記筋隆起位置特定部16で算出された筋隆起位置から、記憶部20で記憶された前記関係を用いて、対応する手関節角度を特定し、可動部Hが当該手関節角度になるように、動作制御装置Cに動作指令をする出力部21とを備えている。

【0022】
前記記憶部20では、多くの健常者から予め取得した手関節角度のデータと、当該手側の前腕部の筋隆起位置のデータとから線形近似により算出された数式が記憶されている。当該数式としては、手関節角度及び筋隆起位置の関係を表す1次式となっているが、手関節角度及び筋隆起位置の入出力関係が1対1に対応する関係式であれば、特に限定されるものではない。

【0023】
従って、このような実施形態によれば、使用者が、実際の手首を動かすように前腕部に力を入れると、その程度により、実際の手首と同様に動力義手11の手関節角度を制御することができ、従来の表面筋電位による制御では難しかった動力義手11の手関節角度の動作制御を簡単な構成や演算にて細かく行うことができるという効果を得る。

【0024】
なお、前記実施形態では、ロボットとして、動力義手11の可動部Hの動作制御指令に本発明に用いる場合を図示説明したが、本発明はこれに限らず、他の義肢やパワーアシストロボット等の装着型ロボットやロボットアーム等、各種ロボットの動作を使用者の筋活動に基づいて制御するためのロボットの動作指令装置として適用することもできる。すなわち、本発明においては、使用者の筋活動の結果動作する身体部位に相当する動作をロボットに行わせる際に、前記実施形態と同様に、当該筋活動を行う筋肉の筋隆起位置の変化から当該ロボットの動作制御を行うことも可能である。

【0025】
また、前記実施形態では、動作指令装置10と動力義手11の動作制御装置Cとが別体のような構成になっているが、本発明はこれに限らす、ロボットの動作制御装置の一部として構成することもできる。

【0026】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 動作指令装置
11 動力義手(ロボット)
12 筋隆起位置検出手段
13 動作状態決定手段
15 計測部
16 筋隆起位置特定部
18 距離センサ
20 記憶部
21 出力部
C 動作制御装置
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図2】
2