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明細書 :ニトロ化合物検出用化合物、ニトロ化合物検出用化合物の製造方法及びニトロ化合物の検出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-206617 (P2017-206617A)
公開日 平成29年11月24日(2017.11.24)
発明の名称または考案の名称 ニトロ化合物検出用化合物、ニトロ化合物検出用化合物の製造方法及びニトロ化合物の検出方法
国際特許分類 C08G  77/58        (2006.01)
G01N  21/78        (2006.01)
C08G  79/00        (2006.01)
C09K  11/06        (2006.01)
FI C08G 77/58
G01N 21/78 C
C08G 79/00
C09K 11/06
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 17
出願番号 特願2016-099730 (P2016-099730)
出願日 平成28年5月18日(2016.5.18)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 掲載年月日:平成27年11月18日 掲載アドレス:http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.organomet.5b00832
発明者または考案者 【氏名】大下 浄治
【氏名】大山 陽介
【氏名】中村 優志
出願人 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100138955、【弁理士】、【氏名又は名称】末次 渉
【識別番号】100109449、【弁理士】、【氏名又は名称】毛受 隆典
審査請求 未請求
テーマコード 2G054
4J030
4J246
Fターム 2G054AA01
2G054AA02
2G054AB10
2G054BA04
2G054BB06
2G054BB11
2G054BB20
2G054CA06
2G054EA03
2G054EB01
2G054EB02
2G054EB03
2G054EB05
2G054FA37
2G054GA03
2G054GA04
2G054GB02
2G054GB04
2G054GB10
2G054GE07
4J030CA02
4J030CB10
4J030CB11
4J030CC16
4J030CC24
4J030CD11
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4J030CG29
4J246AA11
4J246AB15
4J246BA120
4J246BA12X
4J246BB020
4J246BB022
4J246BB02X
4J246BB130
4J246BB131
4J246BB13X
4J246BB140
4J246BB141
4J246BB14X
4J246BB190
4J246BB191
4J246BB200
4J246BB201
4J246BB340
4J246BB341
4J246BB360
4J246BB361
4J246BB36X
4J246BB39
4J246BB391
4J246BB39X
4J246CA230
4J246CA240
4J246CA24X
4J246FA081
4J246FA121
4J246FA131
4J246FA321
4J246FA421
4J246FA431
4J246FA461
4J246FB211
4J246GB26
4J246GB33
4J246GC21
4J246GD08
4J246HA70
要約 【課題】短い時間でニトロ化合物を検出可能なニトロ化合物検出用化合物、ニトロ化合物検出用化合物の製造方法及びニトロ化合物の検出方法を提供する。
【解決手段】ニトロ化合物検出用化合物は、式1又は式2で表される骨格を有する。式1中、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Zは二価の有機基を表し、式2中、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Arは芳香環又は複素芳香環、kは0~4の整数、lは0~1の整数を表す。
JP2017206617A_000018t.gif
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
式1又は式2で表される骨格を有し、多孔性の高分子化合物から構成される蛍光性化合物であり、ニトロ化合物が接触している状態で減光する、
【化1】
JP2017206617A_000013t.gif

(式1中、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Zは二価の有機基を表し、式2中、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Arは芳香環又は複素芳香環、kは0~4の整数、lは0~1の整数を表す。)
ことを特徴とするニトロ化合物検出用化合物。
【請求項2】
式3又は式4で表される化合物と式5で表される化合物とを混合して重合し、
【化2】
JP2017206617A_000014t.gif

(式3中、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Xはハロゲンを表し、式4中、R、R、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Arは芳香環又は複素芳香環、Yは二価の有機基、kは0~4の整数、lは0~1の整数を表し、式5中、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Zは二価の有機基を表す。)
式1又は式2で表される骨格を備えるニトロ化合物検出用化合物を得る、
【化3】
JP2017206617A_000015t.gif

(式1中、Rはそれぞれ独立にアルキル基を表し、式2中、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Arは芳香環又は複素芳香環、kは0~4の整数、lは0~1の整数を表す。)
ことを特徴とするニトロ化合物検出用化合物の製造方法。
【請求項3】
前記式3で表される化合物として式6で表される化合物を用い、
【化4】
JP2017206617A_000016t.gif

前記式5で表される化合物として、ビストリエトキシシリルエタンを用いる、
ことを特徴とする請求項2に記載のニトロ化合物検出用化合物の製造方法。
【請求項4】
前記式4で表される化合物として式7で表される化合物を用い、
【化5】
JP2017206617A_000017t.gif

前記式5で表される化合物として、ビストリエトキシシリルエタンを用いる、
ことを特徴とする請求項2に記載のニトロ化合物検出用化合物の製造方法。
【請求項5】
式5で表される化合物に対して0.1~5.0mol%の式3又は式4で表される化合物を用いる、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載のニトロ化合物検出用化合物の製造方法。
【請求項6】
ニトロ化合物が存在する環境下に請求項1に記載のニトロ化合物検出用化合物を介在させ、
前記ニトロ化合物検出用化合物の蛍光発光の変化から前記ニトロ化合物を検出する、
ことを特徴とするニトロ化合物の検出方法。
【請求項7】
前記ニトロ化合物の気相中に前記ニトロ化合物検出用化合物を介在させる、
ことを特徴とする請求項6に記載のニトロ化合物の検出方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ニトロ化合物検出用化合物、ニトロ化合物検出用化合物の製造方法及びニトロ化合物の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニトロ化合物は、トリニトロトルエンに代表されるように、爆発物として利用され、危険性を有する物質である。また、その誘導体は染料や医薬中間体などとしても広く使われており、発がん性などの毒性をもつものが多い。このため、環境中のニトロ化合物を検出する手法の開発は重要である。
【0003】
ニトロ化合物の検出方法に関し、これまで種々の方法が提案されてきており、簡便性を有する検出方法として、蛍光性化合物を利用した方法がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2010-156662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の蛍光性化合物は、ニトロ化合物に接触、暴露させると、蛍光発光強度が減少する現象に基づくものであるが、ニトロ化合物を検出する時間が短いとは言い難く、より短時間でニトロ化合物を検出できるものが望まれている。
【0006】
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的は短い時間でニトロ化合物を検出可能なニトロ化合物検出用化合物、ニトロ化合物検出用化合物の製造方法及びニトロ化合物の検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点に係るニトロ化合物検出用化合物は、
式1又は式2で表される骨格を有し、多孔性の高分子化合物から構成される蛍光性化合物であり、ニトロ化合物が接触している状態で減光する、
【化1】
JP2017206617A_000003t.gif

(式1中、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Zは二価の有機基を表し、式2中、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Arは芳香環又は複素芳香環、kは0~4の整数、lは0~1の整数を表す。)
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の観点に係るニトロ化合物検出用化合物の製造方法は、
式3又は式4で表される化合物と式5で表される化合物とを混合して重合し、
【化2】
JP2017206617A_000004t.gif

(式3中、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Xはハロゲンを表し、式4中、R、R、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Arは芳香環又は複素芳香環、Yは二価の有機基、kは0~4の整数、lは0~1の整数を表し、式5中、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Zは二価の有機基を表す。)
式1又は式2で表される骨格を備えるニトロ化合物検出用化合物を得る、
【化3】
JP2017206617A_000005t.gif

(式1中、Rはそれぞれ独立にアルキル基を表し、式2中、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Rはそれぞれ独立にアルキル基、Arは芳香環又は複素芳香環、kは0~4の整数、lは0~1の整数を表す。)
ことを特徴とする。
【0009】
また、前記式3で表される化合物として式6で表される化合物を用い、
【化4】
JP2017206617A_000006t.gif

前記式5で表される化合物として、ビストリエトキシシリルエタンを用いることが好ましい。
【0010】
また、前記式4で表される化合物として式7で表される化合物を用い、
【化5】
JP2017206617A_000007t.gif

前記式5で表される化合物として、ビストリエトキシシリルエタンを用いることが好ましい。
【0011】
また、式5で表される化合物に対して0.1~5.0mol%の式3又は式4で表される化合物を用いることが好ましい。
【0012】
本発明の第3の観点に係るニトロ化合物の検出方法は、
ニトロ化合物が存在する環境下に本発明の第1の観点に係るニトロ化合物検出用化合物を介在させ、
前記ニトロ化合物検出用化合物の蛍光発光の変化から前記ニトロ化合物を検出する、
ことを特徴とする。
【0013】
また、前記ニトロ化合物の気相中に前記ニトロ化合物検出用化合物を介在させることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るニトロ化合物検出用化合物は、ニトロ化合物が介在すると、短い時間で蛍光強度が大幅に低下することから、短い時間でニトロ化合物の検出が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ニトロベンゼンを暴露したDTG-膜の蛍光強度の経時変化を示す図である。
【図2】図2(A)及び図2(B)は、DTG-膜のニトロベンゼンへの暴露前、及び、30分間暴露した後の写真である。
【図3】ニトロベンゼンを暴露したTDTGT-膜の蛍光強度の経時変化を示す図である。
【図4】ニトロベンゼンの暴露及び洗浄を繰り返したDTG-膜の蛍光強度を示す図である。
【図5】ニトロベンゼンの暴露及び洗浄を繰り返したDTG-膜の蛍光強度の変化を示すグラフである。
【図6】原料の配合比を異ならせて作製したDTG-膜の蛍光強度を示す図である。
【図7】ニトロベンゼンを暴露したDTG-膜の蛍光強度の経時変化を示す図である。
【図8】4-ニトロトルエンを暴露したDTG-膜の蛍光強度の経時変化を示す図である。
【図9】4-クロロニトロベンゼンを暴露したDTG-膜の蛍光強度の経時変化を示す図である。
【図10】1,3-ジニトロベンゼンを暴露したDTG-膜の蛍光強度の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(ニトロ化合物検出用化合物)
ニトロ化合物検出用化合物は、式1又は式2で表される骨格を有し、多孔性の高分子化合物から構成される蛍光性化合物である。ニトロ化合物検出用化合物は、ニトロ化合物が接触していない状態に比べ、ニトロ化合物が接触している状態では減光する。

【0017】
【化6】
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【0018】
式1及び式2中、R、Rはそれぞれ独立にアルキル基を表す。アルキル基は置換されていてもよいとともに、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、また、炭素数は1~6、好ましくは1~3である。また、式2中、Arは芳香環又は複素芳香環を表す。芳香環、複素芳香環として、例えば、チオフェン、ベンゼン、ピリジンなどが挙げられ、Arが複数の場合、これらが複数種連結していてもよい。また、kは0~4の整数、lは0~1の整数を表す。また、Zは二価の有機基を表し、二価の有機基として、メチレン基、エチレン基等の炭素数が1~3のアルキレン基のほか、フェニレン基等のアリーレン基などが挙げられ、これらの分子鎖中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合等の結合を含んでいてもよい。

【0019】
なお、ニトロ化合物検出用化合物は、後述の製造方法により得られるものゆえ、式1で表される化合物の場合には式3又は式5、式2で表される化合物の場合には式4又は式5で表される化合物の残基によって連結した高分子化合物を形成している。

【0020】
(ニトロ化合物検出用化合物の製造方法)
ニトロ化合物検出用化合物は、式3又は式4で表される化合物と式5で表される化合物とを混合し、重合させることで得られる。

【0021】
【化7】
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【0022】
式3中、Xは、Br、Cl等のハロゲンを表す。また、式3、式4中、Rは上述した式1と同義である。また、式4中、Ar、Y、k、lは上述した式2と同義である。また、式4、式5中、Rは、それぞれ独立にアルキル基を表し、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数は1~6、好ましくは1~3である。また、式5中、Zは上述した式1と同義である。

【0023】
式3で表される化合物については、”Ohshita et al, "Preparation and Reactions of Dichlorodithienogermoles", Organometallics 2015, 34, 5609-5614”を参照して合成し、用いることができる。また、式3で表される化合物の具体例として、例えば、式6で表される化合物が挙げられる。

【0024】
【化8】
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【0025】
式4で表される化合物については、”Ohshita et al, "Synthesis of dithienogermole-containing oligo- and polysilsesquioxanes as luminescent materials", Dalton Trans, 2015, 44, 8214-8220”を参照して合成し、用いることができる。また、式4で表される化合物の具体例として、例えば、式7で表される化合物が挙げられる。

【0026】
【化9】
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【0027】
また、式5で表される化合物として、ビストリエトキシシリルエタンのほか、ビストリエトキシリルブタン、ビストリエトキシリルオクタン、ビストリエトキシリルエチレン、ビストリエトキシリルアセチレンなどが挙げられるが、ビストリエトキシシリルエタンが好ましい。

【0028】
式3又は式4の化合物と式5で表される化合物との重合は、これらの化合物を可溶なテトラヒドロフラン等の溶媒中にて行うとよい。また、溶媒にはアンモニア水溶液等を添加し、塩基存在下で行うとよい。

【0029】
そして、重合した後、ろ過等によりろ液を分離し、これを乾燥、焼結することで、多孔質状のニトロ化合物検出用化合物が得られる。また、石英基板等にろ液を公知の手法によりコーティングして乾燥、焼結することでフィルム状のニトロ化合物検出用化合物を得ることができる。また、石英基板等、透光性を有する基材にろ液をコーティングして乾燥、焼結してニトロ化合物検出用化合物を製造することにより、基材に膜状のニトロ化合物検出用化合物が付着した状態で、ニトロ化合物の検出に利用することもできる。

【0030】
なお、式5の化合物に対し、式3又は式4の化合物を0.1~5mol%混合することが好ましい。この範囲で混合すれば、発光特性の良好なニトロ化合物検出用化合物を得ることができる。

【0031】
(ニトロ化合物の検出方法)
ニトロ化合物の検出方法は、上記のニトロ化合物検出用化合物をニトロ化合物が存在する環境下に介在させ、ニトロ化合物検出用化合物の蛍光発光の変化からニトロ化合物を検出する。

【0032】
ニトロ化合物検出用化合物は、蛍光発光特性を有し、ニトロ化合物が介在していない状態では、蛍光を発する。しかし、ニトロ化合物が介在する状態、即ち、ニトロ化合物がニトロ化合物検出用化合物に接触や吸着している状態では、発光が減少する。したがって、ニトロ化合物検出用化合物をニトロ化合物が存在している環境下に介在させると、ニトロ化合物検出用化合物の発光が減少するので、蛍光発光の変化に基づいてニトロ化合物の存在を検出することができる。

【0033】
ニトロ化合物検出用化合物では、ベースとなる化合物(dithienogermole)の固体状態での蛍光発光特性が高く、蛍光量子収率(49%)を示す。このため、蛍光発光(蛍光強度)の変化率も大きい、即ち、蛍光発光の減少幅も大きいことから、裸眼での視認でもその変化を認識でき、ニトロ化合物が存在しているかどうか確認することもできる。

【0034】
更には、上述したようにニトロ化合物検出用化合物は多孔質状である。したがって、ニトロ化合物検出用化合物の接触面積が大きいことから、ニトロ化合物の接触率が高まるため、検出速度、検出感度が良好である。

【0035】
ニトロ化合物検出用化合物をニトロ化合物が存在する環境下に介在させる手法としては、どのような手法であってもよく、例えば、ニトロ化合物の気相中に暴露する方法や、ニトロ化合物検出用化合物をニトロ化合物の液相中にて接触させる方法などが挙げられる。

【0036】
そして、ニトロ化合物検出用化合物の蛍光発光の変化をみることで、ニトロ化合物が存在するか否か検出することができる。蛍光発光の変化の確認については、ニトロ化合物検出用化合物を裸眼で視認して確認する形態や、ニトロ化合物検出用化合物を撮影しておき、公知の画像処理により確認する形態であってもよい。

【0037】
更には、蛍光強度計を用いてニトロ化合物検出用化合物の蛍光強度を確認する形態であってもよい。この場合、蛍光強度計を用いて確認する手法では、気相中や液相中におけるニトロ化合物の濃度の測定も可能となる。

【0038】
例えば、ニトロベンゼンを還元してアニリンを製造する現場など、ニトロ化合物の製造現場やニトロ化合物の使用現場の気相中において、ニトロ化合物検出用化合物を配置しておき、適宜、蛍光強度計でニトロ化合物検出用化合物の蛍光強度を測定し、蛍光強度が減少した場合に、現場の雰囲気中にニトロ化合物が存在していること検出する手法などが挙げられる。なお、この場合、事前にニトロ化合物検出用化合物の定常状態の蛍光強度を測定しておき、経時的に蛍光強度を測定し、蛍光強度が予め定められた値よりも下回った場合、音や光等の公知の手法で周囲に警報するようにしてもよい。

【0039】
検出され得るニトロ化合物としては芳香族ニトロ化合物、ニトロアミン系化合物、硝酸エステル系化合物が挙げられ、具体的には、ニトロベンゼンやジニトロベンゼンのほか、クロロニトロベンゼン、ジクロロニトロベンゼン、ニトロトルエン、ジニトロトルエン、2,4,6-トリニトロトルエン、ピクリン酸、ジアミノジニトロエチレン、トリニトロフェニルメチルニトロアミン、トリニトロペルヒドロトリアジン、テトラニトロペルヒドロテトラアゾシン、ヘキサニトロヘキサアザイソウルチタン、ニトログリセリン、ペンタエリスリトール四硝酸エステルなどが挙げられる。

【0040】
なお、ニトロ化合物検出用化合物は、ニトロ化合物が接触、吸着した後に、テトラヒドロフラン等、ニトロ化合物を除去し得る洗浄剤を用いて洗浄することで、再利用することもできる。
【実施例】
【0041】
ニトロ化合物検出用化合物を合成し、ニトロ化合物の蛍光発光特性について検証した。
【実施例】
【0042】
以下のように、まず、段階的に上述した式7の化合物(以下、TDTGTと記す)を合成した。
【実施例】
【0043】
【化10】
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【実施例】
【0044】
(化合物2の合成)
2口フラスコに化合物1:Tributyl-2-thienylstanane=1:3の比で加え、toluene、Pd(dba)、P(o-tol)を添加し凍結脱気した。反応液を12時間還流後、セライトろ過し、ロータリーエバポレーターによって減圧下で溶媒を留去した。反応混合物を展開溶媒にヘキサンを用いたシリカゲルカラムで精製し、オレンジ固体の化合物2(収率:81%)を得た。
【実施例】
【0045】
(化合物3の合成)
化合物2、クロロホルムを一口フラスコに入れ氷冷した。反応液にN-ブロモスクシンイミドを加え、1時間撹拌した。
チオ硫酸水溶液に反応液を加え、分液漏斗に移し有機層をクロロホルムで抽出した。
有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターによって減圧下で溶媒を留去した。
ヘキサンを展開溶媒に用いたシリカゲルカラムで反応混合物を精製し、オレンジ固体の化合物3(収率:98%)を得た。
【実施例】
【0046】
(化合物4の合成)
三口フラスコに化合物3、THFを加え、-80℃まで冷却した。
反応溶液にn-ブチルリチウムを滴下し、30分撹拌した。
その後、クロロジメチルシランを加え室温まで昇温した。
3時間撹拌後、反応溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液に注いでクエンチし、分液漏斗に移し有機層をヘキサンで抽出した。
有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターによって減圧下で溶媒を留去した。
反応混合物をヘキサンを展開溶媒に用い、ヘキサメチルジシラン処理したシリカゲルカラムで精製し、オレンジ固体の化合物4(収率:88%)を得た。
【実施例】
【0047】
(TDTGTの合成)
三口フラスコに化合物4、トルエン、ビニルトリエトキシシランを加えた。
Karstedt’s触媒を数滴入れ、12時間撹拌した。
反応液をセライトろ過し、ロータリーエバポレーターによって減圧下で溶媒を留去した。
反応混合物を展開溶媒にトルエンを用いたリサイクル型分取型用GPCによって精製し、オレンジ固体のTDTGT(収率:97%)を得た。
【実施例】
【0048】
(ニトロ化合物検出用化合物(TDTGT-膜)の作製)
アルゴンガスで置換したシュレンク管にBTESEを0.5g(1.41mmol)、上述のようにして得られたTDTGTを1.6mg(0.00142mmol)、THFを4.0g加えた。
28%アンモニア水溶液を95μL、水を192μL(NH:0.00141(1eq),HO:0.0141(10eq))添加し、室温で2時間撹拌した。
その後、反応溶液をメンブレンフィルターでろ過し、ろ液を石英基板上に塗布し室温で18時間乾燥した。
そして、アルゴンガス雰囲気下にて、150℃で1時間焼結し、膜状のニトロ化合物検出用化合物を作製した。このニトロ化合物検出用化合物をTDTGT-膜と記す。
【実施例】
【0049】
(ニトロ化合物検出用化合物(DTG-膜)の作製)
アルゴンガスで置換したシュレンク管に、BTESE(bis(triethoxysilyl)ethane)を0.5g(1.41mmol)、上述した式6で表される化合物(DTGCl-Si)を0.6mg(0.00132mmol)、THF(tetrahydrofuran)を4.0g加えた。
【実施例】
【0050】
28%アンモニア水溶液を95μL、水を192μL(NH:0.00141(1eq),HO:0.0141(10eq))を添加し、室温で2時間撹拌した。
その後、反応溶液をメンブレンフィルターでろ過し、ろ液を石英基板上に塗布し室温で18時間乾燥した。
そして、アルゴンガス雰囲気下にて、150℃で1時間焼結し、膜状のニトロ化合物検出用化合物を作製した。このニトロ化合物検出用化合物をDTG-膜と記す。
【実施例】
【0051】
作製したDTG-膜、TDTGT-膜を石英セル容器に入れた。この石英セル容器の底に、DTG-膜、TDTGT-膜に触れないようにニトロベンゼンを約10mg入れた。そして、石英セル容器をスクリュー栓で密閉し、気相中にてニトロベンゼンを暴露し、DTG-膜、TDTGT-膜の蛍光強度を測定した。
【実施例】
【0052】
DTG-膜の結果を図1に示す。また、ニトロベンゼンへの暴露前および暴露30分後のDTG-膜の写真を図2(A)、(B)にそれぞれ示す。
【実施例】
【0053】
図1を見ると、暴露1分後には、既に蛍光強度は大幅に減少し、図2(B)を見てもほとんど消光していることがわかる。したがって、DTG-膜では、短い時間でニトロベンゼンの検出が可能であることがわかる。
【実施例】
【0054】
また、TDTGT-膜の結果を図3に示す。TDTGT-膜についても、ニトロベンゼン蒸気の暴露1分後には、蛍光強度が大幅に減少しており、短い時間でニトロベンゼンの検出が可能であることがわかる。
【実施例】
【0055】
続いて、DTG-膜について、ニトロベンゼン蒸気の暴露及び洗浄を繰り返し行い、サイクル特性の評価を行った。なお、暴露後のDTG-膜の洗浄は、THFで洗浄後、真空下、100℃、30分間乾燥することで行った。
【実施例】
【0056】
その結果を図4、図5に示す。暴露、洗浄を繰り返すと、洗浄後のニトロベンゼン蒸気に暴露していない状態での蛍光強度が低下する傾向が見られるが、いずれもニトロベンゼン蒸気を暴露すると大幅に蛍光強度が減少している。したがって、ニトロ化合物検出用化合物は、ニトロ化合物を検出した後に、洗浄することにより、繰り返し使用可能であることを確認した。
【実施例】
【0057】
続いて、BTESEとDTGCl-Siの配合比率をかえてDTG-膜を作製した。BTESEに対し、DTGCl-Siを0.05mol%、0.1mol%、5.0mol%として、上記と同様にしてDTG-膜を作製した。そして、それぞれのDTG-膜について蛍光強度を測定した。
【実施例】
【0058】
その結果を図6に示す。5.0mol%添加のDTG-膜では、0.1mol%添加のDTG-膜と同様の発光強度を示した。なお、5.0mol%添加のDTG-膜では、蛍光スペクトルが長波長側にシフトしているが、これは凝集に起因するものと考えられる。一方、0.05mol%添加のDTG-膜では、発光強度が0.1、5.0mol%添加のDTG-膜の場合に比べ、半減している。これらのことから、BTESEとDTGCl-Siを0.1~5.0mol%添加すると、蛍光発光特性の良好なニトロ化合物検出用化合物が得られると考えられる。
【実施例】
【0059】
続いて、BTESEに対し、DTGCl-Siを0.1mol%混合して得られたDTG-膜について、ニトロベンゼン、4-ニトロトルエン、4-クロロニトロベンゼン、1,3-ジニトロベンゼンの各種ニトロ化合物を上記と同様の手法によって気相中にて接触させ、DTG-膜の蛍光強度を測定した。
【実施例】
【0060】
それぞれの結果を図7~10に示す。いずれのニトロ化合物を暴露させても、DTG-膜の蛍光強度の減少が生じており、気相中においてニトロ化合物の検出が可能であることがわかる。特に、ニトロベンゼン、4-クロロニトロベンゼンについては、DTG-膜の蛍光強度が1分間で大幅に減少しており、短時間で検出できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
ニトロ化合物の製造現場や使用現場にて、環境中のニトロ化合物の検出に利用可能である。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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