TOP > 国内特許検索 > マイクロ光学素子及びその形成方法 > 明細書

明細書 :マイクロ光学素子及びその形成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-068149 (P2017-068149A)
公開日 平成29年4月6日(2017.4.6)
発明の名称または考案の名称 マイクロ光学素子及びその形成方法
国際特許分類 G02B  26/08        (2006.01)
G02F   1/19        (2006.01)
FI G02B 26/08 E
G02F 1/19
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2015-195567 (P2015-195567)
出願日 平成27年10月1日(2015.10.1)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 平成27年4月10日に、Journal of Applied Physics 117,17B730(2015)にて公開 平成27年6月4日に、第78回マテリアルセミナーにて公開 平成27年6月5日に、第30回日本生体磁気学会大会論文集、P4-8にて公開 平成27年7月9日に、第3回若手研究者シーズ発表会にて公開 平成27年8月21日に、2015年応用物理学会磁気科学研究会第1回研究会にて公開 平成27年9月9日に、固体物理学セミナーにて公開 平成27年9月10日に、第9回バイオ関連化学シンポジウムにて公開 平成27年9月13日に、第76回応用物理学会秋季学術講演会講演予稿集14p-3A-8にて公開 平成27年9月17日に、平成27年電気学会基礎・材料・共通部門大会 予稿集18-B-a1-5にて公開
発明者または考案者 【氏名】岩坂 正和
【氏名】水川 友里
出願人 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001427、【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2H141
2K101
Fターム 2H141MA15
2H141MB23
2H141MC04
2H141MD20
2H141MD31
2H141MF05
2H141MZ03
2H141MZ04
2H141MZ23
2K101AA08
2K101BA13
2K101BB08
2K101BB09
2K101BB29
2K101BC02
2K101BE09
2K101BE32
2K101BE41
2K101EE12
2K101EJ14
要約 【課題】グアニン結晶(ミラー片)の回転方位特性を一様に制御することができるマイクロ光学素子を提供する。
【解決手段】本発明のマイクロ光学素子は、溶液中に分散された複数のグアニン結晶10と、溶液中に分散され、一端がグアニン結晶10に結合された複数のDNA20と、溶液中に配設された基板40とを備え、グアニン結晶10と結合するDNA10の他端が、基板40に吸着することにより、グアニン結晶10は、基板40に対して所定方向に磁場配向された状態で、基板40に回転可能に支持されており、グアニン結晶10は、溶液中に印加された磁場による磁気回転によって、グアニン結晶10の光反射結晶面の基板40に対する方向が制御される。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
溶液中に分散された複数の結晶性のミラー片と、
前記溶液中に分散され、一端が前記ミラー片に結合された複数の結合子と、
前記溶液中に配設された基板と
を備え、
前記ミラー片は、光反射結晶面及び磁場配向特性を有し、
前記ミラー片と結合する前記結合子の他端が、前記基板に吸着することにより、前記ミラー片は、前記基板に対して所定方向に磁場配向された状態で、前記基板に回転可能に支持されており、
前記ミラー片は、前記溶液中に印加された磁場による磁気回転によって、前記ミラー片の光反射結晶面の前記基板に対する方向が制御されることを特徴とする、マイクロ光学素子。
【請求項2】
前記ミラー片は、グアニン結晶からなり、前記結合子は、DNAからなることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ光学素子。
【請求項3】
前記ミラー片は、前記基板に対して垂直方向に磁場配向された状態で、前記基板に回転可能に支持されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマイクロ光学素子。
【請求項4】
前記ミラー片の光反射結晶面の前記基板に対する方向は、前記溶液中に印加される磁場の方向を、前記基板に対して、水平方向と垂直方向とに切り替えることによって、2方向に制御されることを特徴とする、請求項3に記載のマイクロ光学素子。
【請求項5】
前記マイクロ光学素子は、マイクロミラーであることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載のマイクロ光学素子。
【請求項6】
内部に基板が配設された容器内に、複数の結晶性のミラー片と、一端が前記ミラー片に結合される複数の結合子とが分散された溶液を収容する工程と、
前記基板に対して、所定方向に磁場を印加する工程と
を含み、
前記ミラー片は、光反射結晶面及び磁場配向特性を有し、
前記磁場を印加する工程において、
前記結合子の一端が前記ミラー片に結合するとともに、前記結合子の他端が、前記基板に吸着することにより、前記ミラー片は、前記基板に対して所定方向に磁場配向された状態で、前記基板に回転可能に支持されることを特徴とする、マイクロ光学素子形成方法。
【請求項7】
前記ミラー片は、グアニン結晶からなり、前記結合子は、DNAからなることを特徴とする、請求項6に記載のマイクロ光学素子形成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロミラー等のマイクロ光学素子及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
魚のウロコ等から得られるグアニン結晶は、厚さが100nm以下と非常に薄い、均一なサイズの結晶板で、強い光反射特性を有することが知られている。
【0003】
本発明者等は、グアニン結晶の光反射結晶面(102面)に磁場を印加すると、グアニン分子内に流れる環電流によって二次磁場が発生し、グアニン結晶は、環電流が流れない方向、すなわち、印加磁場に平行な方向に磁場配向されることを見出し、このグアニン結晶の磁場配向特性を利用して、マイクロミラー等の光学素子が構築できる可能性を示した(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Applied Physics Express, 6, 037002(1-4)(2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、グアニン結晶は、溶液中に浮遊した状態で分散しているか、あるいは容器の底に沈んだ状態にあるため、磁場印加前のグアニン結晶の光反射結晶面(102面)の方向はばらついている。従って、磁場を印加してグアニン結晶を磁場配向させたとき、グアニン結晶の光反射結晶面(102面)の回転角度は一様でない。そのため、例えば、グアニン結晶が分散している溶液に、一方向から光を入射し、入射方向と垂直な方向へのグアニン結晶による反射光を観察した場合、反射光強度にばらつきが生じる。すなわち、グアニン結晶の磁場配向特性を利用して、マイクロミラー等の光学素子を構築した場合、グアニン結晶の回転方位特性を一様に制御することが難しいという課題が残る。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、その主な目的は、グアニン結晶等の光反射結晶面及び磁場配向特性を有するミラー片を用いたマイクロ光学素子において、ミラー片の回転方位特性を一様に制御することができるマイクロ光学素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るマイクロ光学素子は、溶液中に分散された複数の結晶性のミラー片と、溶液中に分散され、一端がミラー片に結合された複数の結合子と、溶液中に配設された基板とを備え、ミラー片は、光反射結晶面及び磁場配向特性を有し、ミラー片と結合する結合子の他端が、基板に吸着することにより、ミラー片は、基板に対して所定方向に磁場配向された状態で、基板に回転可能に支持されており、ミラー片は、溶液中に印加された磁場による磁気回転によって、ミラー片の光反射結晶面の基板に対する方向が制御されることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るマイクロ光学素子形成方法は、内部に基板が配設された容器内に、複数の結晶性のミラー片と、一端がミラー片に結合される複数の結合子とが分散された溶液を収容する工程と、基板に対して、所定方向に磁場を印加する工程とを含み、ミラー片は、光反射結晶面及び磁場配向特性を有し、磁場を印加する工程において、結合子の一端がミラー片に結合するとともに、結合子の他端が、基板に吸着することにより、ミラー片は、基板に対して所定方向に磁場配向された状態で、基板に回転可能に支持されることを特徴とする。
【0009】
上記ミラー片は、好ましくは、グアニン結晶からなり、上記結合子は、好ましくは、DNAからなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光反射結晶面及び磁場配向特性を有するミラー片を利用したマイクロ光学素子において、ミラー片の回転方位特性を一様に制御することができるマイクロ光学素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態におけるミラー片として使用するグアニン結晶の結晶構造を示した図である。
【図2】(a)及び(b)は、グアニン結晶の磁場配向特性を説明した図である。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態におけるマイクロ光学素子の形成方法を示した図である。
【図4】(a)及び(b)は、グアニン結晶が溶液中に印加された磁場によって磁気回転する機構を説明した図である。
【図5】(a)~(d)は、水平磁場を印加したときのグアニン結晶の角度変化を測定した結果を示した図である。
【図6】(a)~(c)は、DNAがない場合の水平磁場を印加したときのグアニン結晶の角度変化を測定した結果を示した図である。
【図7】DNAが吸着した基板の吸光度を測定した結果を示したグラフである。
【図8】水平磁場の強度を変えて印加したときのグアニン結晶の角度変化を測定した結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。

【0013】
図1は、本発明の一実施形態におけるマイクロ光学素子のミラー片として使用するグアニン結晶の結晶構造を示した図である。

【0014】
図1に示すように、グアニン結晶10は、長軸の長さが約20μm、短軸の長さが約5μm、厚さが100nm以下(50~100nm)の六角形の板状になっており、そのサイズはほぼ均一になっている。そして、最大の結晶面(102面)は、屈折率の大きな光反射面をなしている。

【0015】
図2(a)、(b)は、グアニン結晶10の磁場配置特性を説明した図である。

【0016】
図2(a)に示すように、グアニン結晶の光反射結晶面(102面)に対して、垂直に磁場Bを印加すると、グアニン分子内に流れる環電流Iによって2次磁場Bが発生する。このとき、グアニン結晶は不安的になるため、グアニン結晶は、環電流が流れない方向、すなわち、グアニン結晶の短軸が印加磁場Bに平行な方向に回転(磁場配向)することによって安定な状態になる。

【0017】
図3(a)、(b)は、本発明の一実施形態におけるマイクロ光学素子の形成方法を示した図である。

【0018】
図3(a)に示すように、底部に基板40が配設された容器50内に、複数のグアニン結晶10と、複数のDNA(デオキシリボ核酸)20とが分散された溶液30を収容する。ここで、DNA20のシトシン分子が、グアニン結晶10の結晶面と水素結合することにより、DNA20の一端がグアニン結晶10に結合することができる。なお、図3(a、(b)では、説明を簡単にするために、1個のグアニン結晶10を示している。

【0019】
グアニン結晶10とDNA20とを含む溶液30は、例えば、以下のような手順で用意することができる。

【0020】
グアニン結晶10は、魚のウロコに付着している色素胞から採取することができる。採取したウロコを蒸留水に入れた後、遠心分離を繰り返して脂質や不要な不純物を取り除くことによって、精製されたグアニン結晶10が分散された懸濁液(グアニン懸濁液)を作成する。そして、サケ由来のDNA粉末を蒸留水に入れ、90~100℃に煮沸したDNA溶液(0.75%)と、作成したグアニン懸濁液とを等量混合し、これにより、グアニン結晶10とDNA20とを含む溶液30を容易することができる。

【0021】
図3(a)に示すように、グアニン結晶10とDNA20とを含む溶液30を容器50内に収容した後、基板40に対して垂直方向に磁場Bを印加する。このとき、グアニン結晶10は、印加された磁場Bによって磁場配向された状態で、重力により自然沈降する。この間、DNA20の一端がグアニン結晶10に結合するとともに、図3(b)に示すように、DNA20の他端が基板40に吸着する。これにより、グアニン結晶10は、基板40に対して垂直方向に磁場配向された状態で、基板40に回転可能に支持される。

【0022】
次に、図4(a)、(b)を参照しながら、DNA20によって基板40に固定されたグアニン結晶10が、溶液30中に印加された磁場によって磁気回転する機構を説明する。

【0023】
図4(a)に示すように、基板40に対して水平方向に磁場Bを印加すると、グアニン結晶10は、磁場Bの方向に沿って磁場配向する。このとき、グアニン結晶10は、DNA20a、20bによって基板40に回転可能に支持されているため、基板40に固定された状態で磁気回転する。なお、グアニン結晶10を支持するDNA20a、20bは、可逆的な変形(例えば、伸縮や屈曲等)が可能であるため、グアニン結晶10を柔軟に支持することができる。

【0024】
次に、図4(b)に示すように、基板40に対して垂直方向に磁場Bを印加すると、グアニン結晶10は、再び磁場Bに沿って磁場配向することにより、磁気回転して、元の位置に戻る。このときも、グアニン結晶10を支持するDNA20a、20bは、可逆的な変形をすることにより、基板40に固定された状態で磁気回転することができる。

【0025】
このようにして、グアニン結晶10の光反射結晶面(102面)の基板40に対する方向は、溶液30中に印加される磁場の方向を、基板40に対して、水平方向(B)と垂直方向(B)とに切り替えることによって、2方向に制御することが可能となり、マイクロミラー等の光学素子として動作することができる。

【0026】
本実施形態におけるマイクロ光学素子は、図3(b)に示すように、溶液30中に分散された複数のグアニン結晶10と、溶液30中に分散され、一端がグアニン結晶に結合された複数のDNAと、溶液30中に配設された基板40とを備えた構成をなす。ここで、グアニン結晶10は、光反射結晶面(102面)及び磁場配向特性を有している。そして、グアニン結晶10と結合するDNA20の他端が、基板40に吸着することにより、グアニン結晶10は、基板40に対して垂直方向に磁場配向された状態で、基板40に回転可能に支持される。これにより、グアニン結晶10は、溶液30中に印加された磁場による磁気回転によって、グアニン結晶10の光反射結晶面(102面)の基板40に対する方向が制御される。

【0027】
本実施形態によれば、溶液30中に分散された複数のグアニン結晶10は、それぞれ、複数のDNA20によって、基板40に回転可能に支持されているため、グアニン結晶10の回転方位特性を一様に制御することができる。

【0028】
図5(a)~(d)は、本実施形態におけるマイクロ光学素子を試作して、水平磁場Bを印加したときのグアニン結晶10の角度変化を測定した結果を示した図である。なお、グアニン結晶10は、図3(b)に示した状態において、480mTの垂直磁場Bを印加することによって磁場配向させた。また、グアニン結晶10の角度変化の測定は、図5(a)に示すように、垂直磁場Bの印加方向(基板40に対して垂直方向)からグアニン結晶10を光学顕微鏡で撮影して、このときのグアニン結晶10の幅Lを測定し、この幅Lの変化を測定することにより行った。なお、基板40は、ガラス基板を用いた。

【0029】
図5(b)は、水平磁場Bを印加する前のグアニン結晶10を撮影した写真で、このときのグアニン結晶10の幅Lは1.77μmであった。図5(c)は、450mTの水平磁場Bを印加したときのグアニン結晶10を撮影した写真で、このときのグアニン結晶10の幅Lは4.83μmであった。図5(d)は、水平磁場Bを解除して、570秒後のグアニン結晶10を撮影した写真で、このときのグアニン結晶10の幅Lは2.17μmであった。

【0030】
このような結果から、本実施形態におけるマイクロ光学素子は、グアニン結晶10が、DNA20によって基板40に固着された状態で、水平磁場Bの印加によりグアニン結晶10を磁気回転させることができるとともに、水平磁場Bの解除により、グアニン結晶10を回転させて元に戻すことができることが分かる。なお、グアニン結晶10が回転して元に戻るのは、グアニン結晶10を支持するDNA20a、20bが、可逆的な変形(例えば、伸縮や屈曲等)による弾性的な作用が働くためである。

【0031】
上記の測定結果では、水平磁場Bを印加した後、この水平磁場Bを解除しただけなので、グアニン結晶10が元に戻るまでの応答速度は遅いが、水平磁場Bを解除する代わりに、垂直磁場Bを印加して、強制的に磁場配向させることによって、応答速度を速くすることができる。また、応答速度を速くするために、溶液30に熱攪乱を加えてもよい。

【0032】
一方、図6(a)~(c)は、比較例として、溶液にDNA20を分散させずに、グアニン結晶10のみを分散させてマイクロミラーを試作して、水平磁場Bを印加したときのグアニン結晶10の角度変化を測定した結果を示した図である。

【0033】
図6(a)は、水平磁場Bを印加する前のグアニン結晶10を撮影した写真で、このときのグアニン結晶10の幅Lは2.07μmであった。図6(b)は、450mTの水平磁場Bを印加したときのグアニン結晶10を撮影した写真で、このときのグアニン結晶10の幅Lは7.93μmであった。図6(c)は、水平磁場Bを解除して、570秒後のグアニン結晶10を撮影した写真で、このときのグアニン結晶10の幅Lは7.93μmであった。

【0034】
上記の結果から、溶液にDNA20が分散されていないと、水平磁場Bを解除しても、グアニン結晶10が元に戻る作用は働かないことが分かる。これは、グアニン結晶10がDNA20により基板40に固定されていないため、DNA20の凝集体の可逆的な変形(例えば、伸縮や屈曲等)による弾性的な作用が働かなかったためと考えられる。

【0035】
図7は、DNA20が吸着した基板40の吸光度(吸収スペクトル)を測定した結果を示したグラフである。曲線Aは、溶液30にDNA20を分散させた場合の結果を示し、曲線Bは、溶液30にDNA20を分散させなかった場合の結果を示す。なお、吸収スペクトルは、分光光度計を用いて測定した。

【0036】
溶液30にDNA20を分散させた基板40では、250~280nmの波長でピークが存在しているのに対し、溶液30にDNA20を分散させなかった基板40では、250~280nmの波長でピークは存在しなかった。この結果から、DNA20は、グアニン結晶10と基板40とを接着する接着剤的な機能を有することが分かる。

【0037】
図8は、水平磁場Bの強度を変えて印加したときのグアニン結晶10の角度変化を測定した結果を示したグラフである。なお、角度変化の測定は、水平磁場Bを印加したときのグアニン結晶の幅Lと、水平磁場Bを印加する前のグアニン結晶の幅Lとの差(幅Lの変化量)を求めることによって行った。

【0038】
図8に示すように、水平磁場Bの強度が大きくなるに従い、角度変化が大きくなるが、400mT程度の比較的低磁場でも、顕著な角度変化を起こすことができる。従って、永久磁石程度の磁場で、グアニン結晶10の磁気回転を制御することが可能となる。

【0039】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。

【0040】
例えば、上記実施形態において、光反射結晶面及び磁場配向特性を有するミラー片として、グアニン結晶10を例に説明したが、これに限定されず、他のタンパク質等の材料からなる有機結晶や、アルミナ結晶等の無機結晶等の中から、本発明に適合しうる材料を適宜採用することができる。

【0041】
また、上記実施形態において、グアニン結晶10及び基板40を結合(吸着)する結合子として、DNA20を例に説明したが、これに限定されず、グアニン結晶10と水素結合若しくは静電結合するような材料を適宜採用することができる。

【0042】
また、上記実施形態において、基板40に対して垂直方向に磁場Bを印加することによって、グアニン結晶10を基板40に対して垂直方向に磁場配向された状態で、基板40に回転可能に支持させる例を説明したが、必ずしも垂直磁場でなく、基板に対して所定方向に磁場を印加するようにしてもよい。

【0043】
また、上記実施形態において、マイクロ光学素子としてマイクロミラーの例を説明したが、光反射率を制御するような光スイッチ等の光学素子にも適用することができる。また、マイクロ光学素子(マイクロミラー)の応用例として、オプトジェネティクス(光遺伝学)の研究に使用される「光刺激用光源」に適用することも可能である。

【0044】
また、上記実施形態において、基板40を容器50の底部に配置したが、容器50の内部に配置しても勿論構わない。また、基板40は、透明な基板(例えば、ガラス基板)が好ましく、また、容器50も透明な材料で構成されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0045】
10 グアニン結晶(ミラー片)
20 DNA(結合子)
30 溶液
40 基板
50 容器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図8】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7