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明細書 :慢性骨髄性白血病の治療用組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-069348 (P2016-069348A)
公開日 平成28年5月9日(2016.5.9)
発明の名称または考案の名称 慢性骨髄性白血病の治療用組成物
国際特許分類 A61K  45/06        (2006.01)
A61K  31/506       (2006.01)
A61K  31/404       (2006.01)
A61K  31/277       (2006.01)
A61P  35/02        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
FI A61K 45/06
A61K 31/506
A61K 31/404
A61K 31/277
A61P 35/02
A61P 43/00 121
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 30
出願番号 特願2014-202529 (P2014-202529)
出願日 平成26年9月30日(2014.9.30)
発明者または考案者 【氏名】西田 升三
【氏名】椿 正寛
【氏名】武田 朋也
【氏名】西尾 和人
【氏名】中山 隆志
【氏名】坂井 和子
【氏名】駒居 真紀子
【氏名】小野 優里
【氏名】深松 真衣
出願人 【識別番号】000125347
【氏名又は名称】学校法人近畿大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100118924、【弁理士】、【氏名又は名称】廣幸 正樹
審査請求
テーマコード 4C084
4C086
4C206
Fターム 4C084AA20
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB27
4C084ZC20
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC13
4C086BC51
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA12
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZB27
4C206ZC20
4C206ZC75
要約 【課題】慢性骨髄性白血病に効果があるイマチニブは、継続服用によって耐性が獲得される。そこで、より強い効果を示す第二世代、第三世代の治療用組成物が開発されつつある。しかし、より根本的に効果を発揮する治療用組成物が求められている。
【解決手段】イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ポナチニブ、バフェチニブから選ばれる少なくとも1つのBcr-Ablチロシンキナーゼを阻害する第1医薬組成物と、Metチロシンキナーゼを阻害する第2医薬組成物若しくは、MEKキナーゼを阻害する第3医薬組成物を併用する慢性骨髄性白血病の治療用組成物は、耐性を克服する効果を示す。
【選択図】図7
特許請求の範囲 【請求項1】
Bcr-Ablチロシンキナーゼを阻害する第1医薬組成物と、
Metチロシンキナーゼを阻害する第2医薬組成物で構成されることを特徴とする慢性骨髄性白血病の治療用組成物。
【請求項2】
前記第1医薬組成物が、イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ポナチニブ、バフェチニブから選ばれる少なくとも1つの医薬組成物であり、
前記第2医薬組成物が、カボザンチニブ、クリゾチニブ、フォアチニブ、BMS777607、ゴルバチニブ、MK-2461、MGCD-265、MK-8033、アムバチニブ、TAS-115、S49076、BMS-754807、BMS-794833、LY2801653、CKI27/RG7304/RO5126766/CH5126766、BI847325、PHA-665752、EMD1214063、JNJ-38877605、PF-4217903、SGX523、INCB-028060、チバンチニブ、SAR125844、ボリチニブ、AMG-458、NVP-BVU972、SU11274、AMG208、AMG337から選ばれる少なくとも1つの医薬組成物であることを特徴とする請求項1に記載された慢性骨髄性白血病の治療用組成物。
【請求項3】
Bcr-Ablチロシンキナーゼを阻害する第1医薬組成物と、
Met/MEK/ERKのシグナル経路のいずれかのキナーゼを阻害する第3医薬組成物で構成されることを特徴とする慢性骨髄性白血病の治療用組成物。
【請求項4】
前記第1医薬組成物が、イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ポナチニブ、バフェチニブから選ばれる少なくとも1つの医薬組成物であり、
前記第3医薬組成物は、セルメチニブ、レファメチニブ、ピマセルチブ、MEK162/ARRY-162、AZD8330/ARRY-424704、コビメチニブ、GDC-0623/RG7421/XL518、CIF/RG7167/RO4987655、E6201、TAK-733、PD-0325901、CI-1040/PD184352、AS703026、MEK inhibitor、PD318088、PD98059、SL327、トラメチニブ、U0126、AS703988/MSC2015103B、WX-554、RRY-300、BVD-523、SCH772984、VTX11e、AEZS-131/AEZS-134、FR180204、MK-8353/SCH9000353から選ばれる少なくとも1つの医薬組成物であることを特徴とする請求項3に記載された慢性骨髄性白血病の治療用組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性骨髄性白血病の治療用組成物に関するもので、特に従来の治療薬に対して耐性を有する患者に対しても有効な治療用組成物を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
慢性骨髄性白血病(Chronic Myelogenous Leukemia:CML)は、造血幹細胞を発症起源とする骨髄増殖性疾患である。フィラデルフィア染色体として知られる染色体転座による造血幹細胞の遺伝子の後天的異常が原因とされる。造血幹細胞が分化・成熟能を保ったまま自律的な増殖をし、白血球や血小板が増加する血液腫瘍である。この疾患は成人白血病の約15%を占めるといわれている。
【0003】
慢性骨髄性白血病の治療薬としては、フィラデルフィア染色体の遺伝子産物であるBcr-Ablに対するチロシンキナーゼ阻害薬(Tyrosine Kinase Inhibitor:TKI)であるメシル酸イマチニブ(以後単に「イマチニブ」ともいう。)が開発され、骨髄増殖性疾患患者の治療成績は著しく改善した。この薬は、Bcr-Ablを標的とするため、分子標的薬と呼ばれている。
【0004】
しかし、イマチニブを用いた治療を行うと、その患者がイマチニブに対する耐性獲得することが臨床上の重大な問題となっている。このため、耐性を獲得した患者に対しても、効果を発揮するダサチニブ、ニロチニブ、ボスチニブといった第二世代のAblチロシンキナーゼ阻害剤が開発されている。
【0005】
一方、癌治療薬において分子標的薬耐性が生じることは他の疾患でも知られている。例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有した肺がんに対するEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)やEML4-ALK融合遺伝子を有する肺がんに対するALKチロシンキナーゼ阻害剤(ALK-TKI)は、きわめて高い著効性を示す。しかし、ほとんど例外なく1年から数年で耐性が獲得され再発するとされる(非特許文献1)。
【0006】
非特許文献1では、分子標的薬耐性獲得の原因として、標的自身の二次的変異、側副経路の活性化といった原因が開示されている。特に側副経路として肝細胞増殖因子(HGF)がリガンドとなるMetタンパク質が活性化することで耐性を誘導することが紹介されている。
【0007】
また、特許文献1では、癌治療のための新規なc-Met阻害剤が開示されている。特許文献1は、このc-Met阻害剤にさらに第2の化学療法剤を組み合わせた医薬組成物が記載されている。その一群の第2の化学療法剤の一つとしてイマチニブが挙げられている。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2013-241458号公報
【0009】

【非特許文献1】「特集:次世代シグナル伝達研究-先駆的基礎解析と臨床・創薬への展開- がんの分子標的治療と耐性シグナル」矢野聖二、生化学、第85巻、第6号、pp.475-485、2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1は、イマチニブとc-Met阻害剤を組み合わせた医薬組成物が記載されているものの、どのような症例に対して用いることができたのか、またその効果についての記載は何もない。
【0011】
また、非特許文献1も分子標的薬の耐性獲得について一般的な知見の開示はあるものの、慢性骨髄性白血病に対するイマチニブの耐性獲得について言及されたものではない。つまり、現在なお、慢性骨髄性白血病に対するイマチニブの耐性獲得という問題に対して、第二世代Ablチロシンキナーゼ阻害剤以外の薬剤は存在していない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、HGF-Met受容体系阻害物質を有する医薬組成物、またはMEK/ERK経路阻害物を含有する医薬組成物は、分子標的薬に耐性を示す慢性骨髄性白血病の治療薬であるイマチニブに対する感受性を増強させ、耐性を克服することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
より具体的に本発明に係る慢性骨髄性白血病の治療用組成物は、
Bcr-Ablチロシンキナーゼを阻害する第1医薬組成物と、
Metチロシンキナーゼを阻害する第2医薬組成物で構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、イマチニブやダサチニブ、バフェチニブ、ポナチニブなどの分子標的薬に耐性を示す骨髄性慢性白血病の当該分子標的薬に対する感受性を増強若しくは、耐性の克服が可能な医薬組成物を提供することができる。
【0015】
また、イマチニブやダサチニブ、バフェチニブ、ポナチニブなどの分子標的薬に耐性を示す慢性骨髄性白血病に対して有効な癌治療薬を提供することができる。本発明は、致命的なTKI耐性の治療方法を提案し、社会的意義は極めて大きなものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】通常細胞(K562)とイマチニブ耐性細胞で、イマチニブの添加量と細胞生存率の関係を示すグラフである。
【図2】通常細胞(K562)とイマチニブ耐性細胞で、ニロチニブの添加量と細胞生存率の関係を示すグラフである。
【図3】通常細胞(K562)とイマチニブ耐性細胞で、ダサチニブの添加量と細胞生存率の関係を示すグラフである。
【図4】通常細胞(K562)とイマチニブ耐性細胞で、ポナチニブの添加量と細胞生存率の関係を示すグラフである。
【図5】通常細胞(K562)とイマチニブ耐性細胞で、バフェチニブの添加量と細胞生存率の関係を示すグラフである。
【図6】通常細胞(K562)とイマチニブ耐性細胞で、抗リン酸化Met抗体、抗Met抗体、抗β-actin抗体に対するイムノブロッティングの結果を示す写真である。
【図7】通常細胞(K562)とイマチニブ耐性細胞で、イマチニブとPHA-665752(metチロシンキナーゼ阻害剤)を併用した時の添加量と細胞生存率の関係を示すグラフである。
【図8】通常細胞(K562)とイマチニブ耐性細胞で、抗リン酸化ERK1/2抗体、抗ERK1/2抗体、抗リン酸化Akt抗体、抗Akt抗体、リン酸化STAT3抗体、STAT3抗体に対するイムノブロッティングの結果を示す写真である。
【図9】通常細胞(K562)とイマチニブ耐性細胞で、イマチニブとU0126(MEK阻害剤)を併用した時の添加量と細胞生存率の関係を示すグラフである。
【図10】通常細胞(K562)とイマチニブ耐性細胞で、イマチニブとLY294002(PI3K阻害剤)を併用した時の添加量と細胞生存率の関係を示すグラフである。
【図11】通常細胞(K562)とイマチニブ耐性細胞で、イマチニブとAG490(JAK2阻害剤)を併用した時の添加量と細胞生存率の関係を示すグラフである。
【図12】通常細胞(K562)とイマチニブ耐性細胞で、抗リン酸化Met(Tyr1234/1235)抗体、抗リン酸化Met(Tyr1349)抗体、抗Met抗体、抗リン酸化ERK1/2抗体、抗ERK1/2抗体、抗β-actin抗体に対するイムノブロッティングの結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明に係る慢性骨髄性白血病の治療薬について説明を行う。なお、以下の説明は本発明の一実施の形態および一実施例についての例示であって、本発明は以下の説明に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下の実施の形態は変更することができる。

【0018】
本発明に係る慢性骨髄性白血病の治療薬は、慢性骨髄性白血病の原因と言われるBcr-Ablチロシンキナーゼ活性を選択的に阻害する第1医薬組成物と、肝細胞増殖因子(HGF)をリガンドとする受容体チロシンキナーゼのMetを阻害する第2医薬組成物を混合したものである。

【0019】
また、第2医薬組成物としては、Met/MEK/ERKのシグナル経路を阻害するものでもよい。

【0020】
慢性骨髄性白血病の治療薬としては、イマチニブが知られている。ところが、イマチニブを服用していると、やがて薬剤耐性が生じる。これは、イマチニブが結合していたチロシンキナーゼドメインが変位することで、イマチニブが結合しにくくなるためと考えられた。そのため、第2世代の慢性骨髄性白血病の治療薬として開発されたニロチニブは、Bcr-Ablチロシンキナーゼにより強く選択的に結合し、活性を阻害する。

【0021】
しかし、イマチニブ耐性細胞についてより詳しく調べてみると、イマチニブ耐性を持たない細胞(以下「通常細胞」という)では、活性化していないMetチロシンキナーゼが活性状態にあることがわかった。つまり、イマチニブ耐性細胞では、Bcr-Ablによるシグナル経路以外に、Metによるシグナル経路によって、細胞が存続している結果を得た。

【0022】
そこで、本発明は、慢性骨髄性白血病の治療薬として、Bcr-Ablチロシンキナーゼの阻害剤と、Met阻害剤を併用することで、Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤の耐性を克服しようとするものである。

【0023】
より具体的に、Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤(第1医薬組成物)としては、イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ポナチニブ、バフェチニブ等が好適に利用される。

【0024】
また、Metチロシンキナーゼ阻害剤(第2医薬組成物)としては、カボザンチニブ(:Cabozantinib)(1)、クリゾチニブ(:Crizotinib)(2)、フォアチニブ(:Foretinib)(3)、BMS777607(4)、ゴルバチニブ(:Golvatinib)(5)、MK-2461(6)、MGCD-265(7)、MK-8033(8)、アムバチニブ(:Amuvatinib)(9)、TAS-115(10)、S49076(11)、BMS-754807(12)、BMS-794833(13)、LY2801653(14)、CKI27/RG7304/RO5126766/CH5126766(15)等のマルチ・キナーゼ阻害剤が利用できる。以下のそれぞれの分子構造を示す。また、BI847325と呼ばれるマルチ・キナーゼ阻害剤も用いることができる。

【0025】
【化1】
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【0026】
【化2】
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【0027】
【化3】
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【0028】
【化4】
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【0029】
【化5】
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【0030】
【化6】
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【0031】
【化7】
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【0032】
【化8】
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【0033】
【化9】
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【0034】
【化10】
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【0035】
【化11】
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【0036】
【化12】
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【0037】
【化13】
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【0038】
【化14】
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【0039】
【化15】
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【0040】
また、PHA-665752(16)、EMD1214063(17)、JNJ-38877605(18)、PF-4217903(19)、SGX523(20)、INCB-028060(21)、チバンチニブ(:Tivantinib)(22)、SAR125844(23)、ボリチニブ(:Volitinib)(24)、AMG-458(25)、NVP-BVU972(26)、SU11274(27)、AMG208(28)等のMet選択阻害剤が利用できる。以下のそれぞれの分子構造を示す。また、AMG337と呼ばれるMet選択阻害剤も用いることができる。

【0041】
【化16】
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【0042】
【化17】
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【0043】
【化18】
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【0044】
【化19】
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【0045】
【化20】
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【0046】
【化21】
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【0047】
【化22】
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【0048】
【化23】
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【0049】
【化24】
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【0050】
【化25】
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【0051】
【化26】
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【0052】
【化27】
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【0053】
【化28】
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【0054】
また、第2医薬組成物は、Met/MEK/ERKのシグナル経路を阻害するものであればよく、MEK阻害剤であってもよい。より具体的には、セルメチニブ(:selumetinib)(29)、レファメチニブ(:refametinib)(30)、ピマセルチブ(:pimasertib)(31)、MEK162/ARRY-162(32)、AZD8330/ARRY-424704(33)、コビメチニブ(:cobimetinib)(34)、GDC-0623/RG7421/XL518(35)、CIF/RG7167/RO4987655(36)、E6201(37)、TAK-733(38)、PD-0325901(39)、CI-1040/PD184352(40)、AS703026(41)、MEK inhibitor(42)、PD318088(43)、PD98059(44)、SL327(45)、トラメチニブ(:Trametinib)(46)、U0126(47)等のMEK選択阻害剤を用いることができる。以下それぞれの分子構造を示す。また、AS703988/MSC2015103B、WX-554、RRY-300と呼ばれるMEK選択阻害剤を用いることもできる。

【0055】
【化29】
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【0056】
【化30】
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【0057】
【化31】
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【0058】
【化32】
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【0059】
【化33】
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【0060】
【化34】
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【0061】
【化35】
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【0062】
【化36】
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【0063】
【化37】
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【0064】
【化38】
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【0065】
【化39】
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【0066】
【化40】
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【0067】
【化41】
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【0068】
【化42】
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【0069】
【化43】
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【0070】
【化44】
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【0071】
【化45】
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【0072】
【化46】
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【0073】
【化47】
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【0074】
また、より下流シグナル経路を阻害するものであってもよい。具体的には、BVD-523(48)、SCH772984(49)、VTX11e(50)、AEZS-131/AEZS-134(51)、FR180204(52)といったERK1/2選択阻害剤を用いることができる。以下それぞれの分子構造を示す。また、MK-8353/SCH9000353と呼ばれるERK1/2選択阻害剤を用いることもできる。

【0075】
【化48】
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【0076】
【化49】
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【0077】
【化50】
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【0078】
【化51】
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【0079】
【化52】
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【0080】
これらの医薬組成物(第1医薬組成物および第2医薬組成物)は、いずれも、薬学的に許容される塩を含んでもよい。より具体的には、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩および酒石酸塩を含む酸付加塩;Na、K、Liなどのアルカリ金属カチオン、MgもしくはCaなどのアルカリ土類金属塩または有機アミン塩を含むことができる。
【実施例】
【0081】
以下に実施例を示しながら本発明に係る慢性骨髄性白血病用の治療用組成物について説明する。
【実施例】
【0082】
(実施例1)<イマチニブ耐性獲得因子の検討>
K562細胞(白血病細胞株、JCRB細胞バンクでの細胞番号:JCRB0019)とイマチニブ耐性細胞(Imatinib-resistant K562)を96wellプレートに播種し、24時間前培養した。その後、イマチニブを最終濃度が0、0.05、0.1、0.5、1、5、10、20μMになるように添加した。72時間培養した後の細胞数の変化をトリパンブルー色素排除染色試験法により算定し、この測定値をcontrol(0μM イマチニブ)に対する細胞生存率として評価した。
【実施例】
【0083】
イマチニブ添加による細胞生存率の結果を図1に示す。横軸はイマチニブ(Imatinib)の添加量(μM)を示し、縦軸は細胞生存率(Cell viability:%)を示す。また白棒はK562細胞を表し、黒棒はイマチニブ耐性細胞を表す。
【実施例】
【0084】
イマチニブの添加量が多くなるに従い、K562細胞の生存率は低下した。また、イマチニブが10μM以上添加された場合は、K562細胞の細胞生存率はゼロであった。しかし、イマチニブ耐性細胞では、イマチニブの添加量が増加しても、細胞生存率はほぼ100%であった。なお、以後のグラフを含め、グラフ中「P」は有意確率を示す。
【実施例】
【0085】
以上のことから、K562細胞においてイマチニブによって細胞死を誘導する濃度において、イマチニブ耐性細胞に細胞死が誘導されないことを認めた。この結果から、作製したイマチニブ耐性細胞はイマチニブ耐性を示すことが明らかとなった。
【実施例】
【0086】
(実施例2)<イマチニブ耐性細胞におけるニロチニブ耐性の確認>
K562細胞とイマチニブ耐性細胞(Imatinib-resistant K562)を96wellプレートに播種し、24時間前培養した。その後、ニロチニブを最終濃度が0、0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2 μMになるように添加した。72時間培養した後の細胞数の変化をトリパンブルー色素排除染色試験法により算定し、この測定値をcontrol(0μM ニロチニブ)に対する細胞生存率として評価した。
【実施例】
【0087】
ニロチニブ添加による細胞生存率の結果を図2に示す。横軸はニロチニブ(Nilotinib)の添加量(μM)を示し、縦軸は細胞生存率(Cell viability:%)を示す。また白棒はK562細胞を表し、黒棒はイマチニブ耐性細胞を表す。
【実施例】
【0088】
ニロチニブの添加量が多くなるに従い、K562細胞の生存率は低下した。また、ニロチニブが0.2μM以上添加された場合は、K562細胞の細胞生存率はゼロであった。しかし、イマチニブ耐性細胞では、ニロチニブの添加量が増加しても、細胞生存率はほぼ100%であった。なお、イマチニブ耐性細胞は、ニロチニブの添加量が2μMまで増加した時に細胞生存率が約60%まで低下した。
【実施例】
【0089】
以上のことから、K562細胞においてニロチニブによって細胞死を誘導する濃度においても、イマチニブ耐性細胞に細胞死が誘導されないことを認めた。この結果から、作製したイマチニブ耐性細胞はニロチニブ耐性をも示すことが明らかとなった。
【実施例】
【0090】
(実施例3)<イマチニブ耐性細胞におけるダサチニブ耐性の確認>
K562細胞とイマチニブ耐性細胞(Imatinib-resistant K562)を96wellプレートに播種し、24時間前培養した。その後、ダサチニブを最終濃度が0、0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2μMになるように添加した。72時間培養した後の細胞数の変化をトリパンブルー色素排除染色試験法により算定し、この測定値をcontrol(0μM ダサチニブ)に対する細胞生存率として評価した。
【実施例】
【0091】
ダサチニブ添加による細胞生存率の結果を図3に示す。横軸はダサチニブ(Dasatinib)の添加量(μM)を示し、縦軸は細胞生存率(Cell viability:%)を示す。また白棒はK562細胞を表し、黒棒はイマチニブ耐性細胞を表す。
【実施例】
【0092】
ダサチニブの添加量が多くなるに従い、K562細胞の生存率は低下した。また、ダサチニブが0.2μM以上添加された場合は、K562細胞の細胞生存率はゼロであった。しかし、イマチニブ耐性細胞では、ダサチニブの添加量が増加しても、細胞生存率はほぼ100%であった。なお、イマチニブ耐性細胞は、ダサチニブの添加量が2μMまで増加した時に細胞生存率が約80%まで低下した。
【実施例】
【0093】
以上のことから、K562細胞においてダサチニブによって細胞死を誘導する濃度において、イマチニブ耐性細胞に細胞死が誘導されないことを認めた。この結果から、作製したイマチニブ耐性細胞はダサチニブ耐性をも示すことが明らかとなった。
【実施例】
【0094】
(実施例4)<イマチニブ耐性細胞におけるポナチニブ耐性の確認>
K562細胞とイマチニブ耐性細胞(Imatinib-resistant K562)を96wellプレートに播種し、24時間前培養した。その後、ポナチニブを最終濃度が0、5、10、20、100、250、500、1000nMになるように添加した。72時間培養した後の細胞数の変化をトリパンブルー色素排除染色試験法により算定し、この測定値をcontrol(0μM ポナチニブ)に対する細胞生存率として評価した。
【実施例】
【0095】
ポナチニブ添加による細胞生存率の結果を図4に示す。横軸はポナチニブ(Ponatinib)の添加量(μM)を示し、縦軸は細胞生存率(Cell viability:%)を示す。また白棒はK562細胞を表し、黒棒はイマチニブ耐性細胞を表す。
【実施例】
【0096】
ポナチニブの添加量が多くなるに従い、K562細胞の生存率は低下した。また、ポナチニブが500nM以上添加された場合は、K562細胞の細胞生存率はゼロであった。しかし、イマチニブ耐性細胞では、ポナチニブの添加量が増加しても、細胞生存率はほぼ100%であった。
【実施例】
【0097】
以上のことから、K562細胞においてポナチニブによって細胞死を誘導する濃度において、イマチニブ耐性細胞に細胞死が誘導されないことを認めた。この結果から、作製したイマチニブ耐性細胞はポナチニブ耐性をも示すことが明らかとなった。
【実施例】
【0098】
(実施例5)<イマチニブ耐性細胞におけるバフェチニブ耐性の確認>
K562細胞とイマチニブ耐性細胞(Imatinib-resistant K562)を96wellプレートに播種し、24時間前培養した。その後、バフェチニブを最終濃度が0、5、10、50、100、500、1000、2500nMになるように添加した。72時間培養した後の細胞数の変化をトリパンブルー色素排除染色試験法により算定し、この測定値をcontrol(0μM バフェチニブ)に対する細胞生存率として評価した。
【実施例】
【0099】
バフェチニブ添加による細胞生存率の結果を図5に示す。横軸はバフェチニブ(Bafetinib)の添加量(μM)を示し、縦軸は細胞生存率(Cell viability:%)を示す。また白棒はK562細胞を表し、黒棒はイマチニブ耐性細胞を表す。
【実施例】
【0100】
バフェチニブの添加量が多くなるに従い、K562細胞の生存率は低下した。また、バフェチニブが2500nM以上添加された場合は、K562細胞の細胞生存率はゼロであった。しかし、イマチニブ耐性細胞では、バフェチニブの添加量が増加しても、細胞生存率はほぼ100%であった。なお、バフェチニブの添加量が2500nMになると、イマチニブ耐性細胞の細胞生存率は、約80%まで低下した。
【実施例】
【0101】
以上のことから、K562細胞においてバフェチニブによって細胞死を誘導する濃度において、イマチニブ耐性細胞に細胞死が誘導されないことを認めた。この結果から、作製したイマチニブ耐性細胞はバフェチニブ耐性をも示すことが明らかとなった。
【実施例】
【0102】
(実施例6)<イマチニブ耐性獲得因子の検討>
作製したイマチニブ耐性細胞を用いて、耐性に関与する因子をイムノブロッティング解析にて検討した。
【実施例】
【0103】
K562細胞、イマチニブ耐性細胞(Imatinib-resistantK562)を150cmフラスコに播種した後、72時間培養したものから細胞溶解液にてタンパク質を抽出し、サンプルとした。また、タンパク定量はBCA Protein Assay (Thermo Fisher Scientific; Waltham, MA, USA)を用いて行った。
【実施例】
【0104】
各サンプルをSDS-PAGE後、PVDF膜に転写し、抗phospho-Met (Tyr1234/1235)抗体、抗phospho-Met (Tyr1349)抗体、抗Met抗体 (Cell Signaling Technology; Beverly, MA, USA)、及び抗β-actin抗体 (Sigma)を用いてMetのリン酸化を検討した。
【実施例】
【0105】
イムノブロッティングの結果を図6に示す。図6では、各抗体毎に、K562細胞とイマチニブ耐性細胞のイムノブロッティング結果の写真を示す。発光は写真上黒い影として映っている。抗phospho-Met(Tyr1234/1235)抗体において、K562細胞の影よりも、イマチニブ耐性細胞の影の方が濃い影であった。
【実施例】
【0106】
また抗phospho-Met(Tyr1349)抗体においては、K562細胞は、薄く確認できる程度であったが、イマチニブ耐性細胞は、明らかにK562細胞の場合より濃い影であった。つまり、チロシンキナーゼドメイン内にあるTyr1234/1235もC末端にあるTyr1349でもイマチニブ耐性細胞のイムノブロッティングの結果はK562細胞の場合より、濃い影であった。
【実施例】
【0107】
抗met抗体では、K562細胞、イマチニブ耐性細胞共に明確に黒い影であった。ただし、イマチニブ耐性細胞の方が黒い影が小さかった。抗β-actin抗体は、K562細胞およびイマチニブ耐性細胞共に明確な黒い影が観察された。
【実施例】
【0108】
以上のことより、K562細胞におけるリン酸化Metの発現と比較し、イマチニブ耐性細胞ではリン酸化Metが著しく増加していることが明らかになった。これは、イマチニブ耐性細胞では、metによるシグナル伝達が活性化していることを示唆するものである。なお、β-actinはK562細胞もイマチニブ耐性細胞も同程度有していると観察されたので、このイムノブロッティングの結果は正しいと判断できる。
【実施例】
【0109】
(実施例7)<Met阻害剤によるイマチニブ耐性克服効果の検討>
イマチニブ耐性細胞(Imatinib-resistant K562)を96wellプレートに播種し、24時間前培養した。その後、イマチニブを最終濃度が5μMになるように添加した。また、それとは別にイマチニブと併用してPHA-665752(Met阻害剤)を最終濃度が1、2、2.5、3μMになるように添加した。
【実施例】
【0110】
Controlとして薬剤を溶解した溶媒を添加したものを同様に培養した。72時間培養した後の細胞数の変化をトリパンブルー色素排除染色試験法により算定し、この測定値をcontrolに対する細胞生存率として評価した。
【実施例】
【0111】
Met阻害剤併用による結果を図7に示す。横軸はイマチニブおよびPHA-665752の量の違いを表し、縦軸は細胞生存率(Cell viability:%)を示す。また白棒はcontrol(K562細胞)を表し、黒棒はイマチニブ耐性細胞を表す。イマチニブ、PHA-665752が単独で添加された場合は、PHA-665752を3μM添加したときも、細胞生存率は約70%あった。
【実施例】
【0112】
一方、イマチニブ5μMとPHA-665752を組み合わせて使用すると、PHA-665752の添加量にしたがって、細胞生存率は減少し、PHA-665752 3μMの添加で細胞生存率は0%になった。
【実施例】
【0113】
このことより、イマチニブ耐性細胞においてMet阻害剤の濃度依存的にイマチニブ耐性が克服されることが認められた。これらの結果から、Metがイマチニブ耐性に関与することが明らかとなった。
【実施例】
【0114】
(実施例8)<Met下流シグナル伝達因子におけるイマチニブ耐性因子の検討>
イマチニブ耐性株において活性化が確認されたMetの下流シグナルのERK1/2、Akt、STAT3の活性動態について、イムノブロッティングで検討を行った。
【実施例】
【0115】
K562細胞、イマチニブ耐性細胞(Imatinib-resistant K562)を150cmフラスコに播種した後、72時間培養したものから細胞溶解液にてをタンパク質を抽出し、サンプルとした。また、タンパク定量はBCA Protein Assay (Thermo Fisher Scientific; Waltham, MA, USA)を用いて行った。
【実施例】
【0116】
各サンプルをSDS-PAGE後、PVDF膜に転写し、抗phospho-ERK1/2抗体、抗ERK1/2抗体、抗phospho-Akt抗体、抗Akt抗体、抗phospho- STAT3抗体、及び抗STAT3抗体(Cell Signaling Technology; Beverly, MA, USA)を用いてERK1/2、Akt、STAT3のリン酸化を検討した。
【実施例】
【0117】
イムノブロッティングの結果を図8に示す。図8では、K562細胞とイマチニブ耐性細胞のイムノブロッティングの結果をそれぞれの抗体毎に並べて示した。図8によれば、抗ERK1/2抗体、抗Akt抗体、および抗STAT3抗体では、K562細胞とイマチニブ耐性細胞は、同程度の黒い影が映っている。一方、抗リン酸化ERK1/2抗体、抗リン酸化Akt抗体、および抗リン酸化STAT3抗体ではK562細胞よりもイマチニブ耐性細胞の黒い影の方が明らかに濃い。
【実施例】
【0118】
さらに詳説すると、抗ERK1/2抗体においては、上下に2つの影があるのが確認できる。上側の影がERK1で、下側の影はERK2に相当する。K562細胞もイマチニブ耐性細胞もERK1/2の両方を有していることを示している。
【実施例】
【0119】
一方、抗リン酸化ERK1/2抗体の場合は、K562細胞では、リン酸化ERK2の影は薄く、リン酸化ERK1は殆ど影がない。これに比較し、イマチニブ耐性細胞ではリン酸化ERK1は薄いながら影を確認でき、リン酸化ERK2は明らかに濃い影がある。
【実施例】
【0120】
以上のことから、K562細胞におけるリン酸化ERK1/2、リン酸化Akt、リン酸化STAT3の発現と比較し、イマチニブ耐性細胞ではリン酸化ERK1/2、リン酸化Akt、リン酸化STAT3が著しく増加していることが明らかになった。
【実施例】
【0121】
このことは、イマチニブ耐性細胞では、イマチニブが主として阻害するBcr-Abl活性によるシグナル経路だけでなく、ERK-MARK経路、PI3K-Akt経路といったシグナル経路も活性化していることを示唆する。
【実施例】
【0122】
(実施例9)<MEK阻害剤、PI3K阻害剤、JAK2阻害剤によるイマチニブ耐性克服効果の検討>
イマチニブ耐性細胞(Imatinib-resistant K562)を96wellプレートに播種し、24時間前培養した。その後、イマチニブを最終濃度が5μMになるように添加した。また、それとは別にイマチニブと併用してU0126(MEK阻害剤)を最終濃度が0.1、1、10μM、LY294002(PI3K阻害剤)を最終濃度が0.1、1、10μM、AG490(JAK2阻害剤)を最終濃度が1、5、10μMになるように添加した。
【実施例】
【0123】
Controlとして薬剤を溶解した溶媒を添加したものを同様に培養した。72時間培養した後の細胞数の変化をトリパンブルー色素排除染色試験法により算定し、この測定値をcontrolに対する細胞生存率として評価した。
【実施例】
【0124】
各種阻害剤併用による結果を図9~図11に示す。図9~図11のグラフにおいて、横軸はイマチニブおよびU0126(図9)、イマチニブとLY294002(図10)、イマチニブとAG490(図11)の量の違いを表し、縦軸はいずれのグラフにおいても細胞生存率(Cell viability:%)を示す。また白棒はcontrol(K562細胞)を表し、黒棒はイマチニブ耐性細胞を表す。
【実施例】
【0125】
図9を参照して、イマチニブとU0126(MEK阻害剤)が単独で添加された場合は、U0126を10μM添加したときも、細胞生存率は約70%あった。一方、イマチニブ5μMとU0126を組み合わせて使用すると、U0126の添加量にしたがって、細胞生存率は明らかに減少した。なお、イマチニブ5μMとU0126を10μM併用したときは、細胞生存率は約35%まで低下した。
【実施例】
【0126】
図10を参照して、イマチニブとLY294002(PI3K阻害剤)の組み合わせの場合は、それぞれを単独で用いた時も、これらを併用したときも、細胞生存率に大きな変化はなかった。なお、イマチニブ5μMとLY294002を10μM併用したときも細胞生存率は約75%程度あった。
【実施例】
【0127】
図11を参照して、イマチニブとAG490(JAK2阻害剤)の組み合わせの場合は、それぞれを単独で用いた時も、これらを併用したときも、細胞生存率に大きな変化はなかった。なお、イマチニブ5μMとLY294002を10μM併用したときも細胞生存率は約90%程度あった。
【実施例】
【0128】
以上のことから、イマチニブ耐性細胞において5μMのイマチニブと、10μMのU0126(MEK阻害剤)併用時にイマチニブ耐性が克服されることが認められた。これらの結果から、MEK/ERK経路がイマチニブ耐性に関与することが明らかとなった。
【実施例】
【0129】
(実施例10)<Met阻害剤によるERK抑制効果の検討>
イマチニブ耐性細胞においてリン酸化Metの増加が耐性獲得に関与していることが示唆された(実施例6、図6参照)ため、Met阻害剤添加時におけるMetおよび下流シグナルの発現変化についてイムノブロッティングにて検討した。
【実施例】
【0130】
K562細胞、イマチニブ耐性細胞(Imatinib-resistant K562)を150cmフラスコに播種し、37℃、5% COの条件下で48時間培養したものおよびイマチニブ耐性細胞を150cmフラスコに播種し、24時間前培養後、イマチニブ耐性細胞にPHA-665752を最終濃度が1、2、2.5μMになるように添加し37℃、5% COの条件下で24時間培養した。この培養液から細胞溶解液にてタンパク質を抽出し、サンプルとした。
【実施例】
【0131】
また、タンパク定量はBCA Protein Assayを用いて行った。各サンプルをSDS-PAGE後、PVDF膜に転写し、抗phospho-Met (Tyr1234/1235)抗体、抗phospho-Met (Tyr1349)抗体、抗Met抗体、抗phospho-ERK1/2抗体、及び抗ERK1/2抗体を用いてMet、ERK1/2のリン酸化を検討した。なお、各細胞サンプルに対して抗β-actin抗体を作用させ、イムノブロッティングの妥当性を確認した。
【実施例】
【0132】
イムノブロッティングの結果を図10に示す。写真横方向には、K562細胞の場合と、イマチニブ耐性細胞の場合を並べて示し、イマチニブ耐性細胞では、PHA-665752の添加量(μM)を数字で示した。写真縦方向には、各抗体毎の結果(写真)を示した。
【実施例】
【0133】
抗リン酸化Met(Tyr1234/1235)抗体の写真では、イマチニブ耐性細胞におけるPHA-665752が0μMの時に最も黒い影が濃かった。イマチニブ耐性細胞では、PHA-665752の増加にしたがって、黒い影は薄くなった。K562細胞の黒い影は、イマチニブ耐性細胞にPHA-665752を2μM添加した場合と同じ程度の濃さであった。
【実施例】
【0134】
抗リン酸化Met(Tyr1349)抗体の写真でもほぼ同様の結果であった。ただし、抗リン酸化Met(Tyr1349)抗体は、抗リン酸化Met(Tyr1234/1235)抗体と比べて全体的に影の濃さは薄かった。
【実施例】
【0135】
抗Met抗体では、イマチニブ耐性細胞はPHA-665752の添加量に係らず、ほぼ同じ濃さの影であった。K562細胞の写真は、イマチニブ耐性細胞の影より一回り大きな影であった。
【実施例】
【0136】
抗リン酸化ERK1/2抗体では、K562細胞の写真では、ERK2にわずかな影が映っただけであった。濃さも薄かった。イマチニブ耐性細胞では、K562よりも明確に黒い大きな影がERK1、ERK2のいずれにもあった。また、PHA-665752の添加にしたがい、黒い影は薄くなった。
【実施例】
【0137】
抗ERK1/2抗体では、K562細胞の影がイマチニブ耐性細胞の影より一回り小さな影であったが、濃さは充分黒かった。イマチニブ耐性細胞では、PHA-665752の添加量に係らず、大きく濃い陰影が観察された。
【実施例】
【0138】
β-actinでは、K562細胞もイマチニブ耐性細胞もほぼ変化がなく、いずれも黒い大きな影が観察された。
【実施例】
【0139】
K562細胞ではリン酸化ERK1のバンドが観察されなかった。一方、イマニチブ耐性細胞ではリン酸化ERK1のバンドが確認され、リン酸化ERK2のバンドもK562細胞と比較し強くなっていた。つまり、K562細胞では、MEK/ERK経路は活性ではないのに対し、イマチニブ耐性細胞は、MEK/ERK経路が活性になっていたことを示した。
【実施例】
【0140】
このイマチニブ耐性細胞に、Met阻害剤(PHA-665752)を添加していくと、リン酸化ERK1のバンドが無くなり、リン酸化ERK2のバンドも薄くなり、K562細胞の状態に近づいていた。
【実施例】
【0141】
以上のことから、Met阻害剤PHA-665752により、リン酸化Metが阻害されていることを確認した。実施例9で、MEK/ERK経路がイマチニブ耐性に関与することが明らかであった。したがって、MEK/ERK経路の阻害よりイマチニブ耐性が克服されることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明に係る慢性骨髄性白血病の治療用組成物は、慢性骨髄性白血病に劇的に効果があるとされたBcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤に対して、耐性を有する原因はMet/MEK/ERK経路が原因であることを明らかにし、この経路の阻害剤とBcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤と併用することで、耐性を克服するものである。したがって、イマチニブよりよりBcr-Ablとの結合性が高いとされるダサチニブやニロチニブに対が耐性を獲得した患者に対しても、耐性克服することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
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【図5】
4
【図6】
5
【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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