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明細書 :触媒体及びその製造方法、並びに水素発生装置。

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-055251 (P2016-055251A)
公開日 平成28年4月21日(2016.4.21)
発明の名称または考案の名称 触媒体及びその製造方法、並びに水素発生装置。
国際特許分類 B01J  23/42        (2006.01)
C01B   3/26        (2006.01)
B01J  37/34        (2006.01)
FI B01J 23/42 Z
C01B 3/26
B01J 37/34
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2014-183397 (P2014-183397)
出願日 平成26年9月9日(2014.9.9)
発明者または考案者 【氏名】福原 長寿
【氏名】渡部 綾
出願人 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100108257、【弁理士】、【氏名又は名称】近藤 伊知良
【識別番号】100124800、【弁理士】、【氏名又は名称】諏澤 勇司
【識別番号】100140578、【弁理士】、【氏名又は名称】沖田 英樹
審査請求 未請求
テーマコード 4G140
4G169
Fターム 4G140DA03
4G140DB01
4G140DC03
4G140DC07
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA01B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB08C
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169BD12C
4G169CB07
4G169CB81
4G169DA06
4G169EA08
4G169EA11
4G169FA01
4G169FB11
4G169FB14
4G169FB30
4G169FC02
要約 【課題】コンパクトな装置を用いて有機ハイドライドから効率的に水素を回収することを可能にする装置及びそのために用いることのできる触媒体を提供すること。
【解決手段】一定の軸線に沿って延在する基材と、脱水素触媒を含む脱水素触媒層とを備える、触媒体50。基材が、軸線Xを中心として回転する方向にねじれながら軸線に沿って延在する板状部を含んでおり、該板状部の表面上に脱水素触媒層が設けられる。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
一定の軸線に沿って延在する基材と、
脱水素触媒を含む脱水素触媒層と、
を備え、
前記基材が、前記軸線を中心として回転する方向にねじれながら前記軸線に沿って延在する板状部を含んでおり、該板状部の表面上に前記脱水素触媒層が設けられている、触媒体。
【請求項2】
前記基材が金属の成形体であり、前記脱水素触媒層が、陽極酸化により前記成形体の表面上に形成された、前記金属の酸化物を含む金属酸化物膜を含み、前記脱水素触媒が前記金属酸化物膜に担持されている、請求項1に記載の触媒体。
【請求項3】
請求項2に記載の触媒体を製造する方法であって、
金属の成形体の表面を陽極酸化して、前記金属の酸化物を含む金属酸化物膜を形成する工程と、
前記金属酸化物膜に脱水素触媒を担持させる工程と、
を備える、方法。
【請求項4】
前記金属酸化物膜に前記脱水素触媒を担持させる前記工程が、
ヘキサクロロ白金(IV)酸イオンを含む酸性の塩化白金水溶液を前記金属酸化物膜と接触させることにより、前記金属酸化物膜に前記ヘキサクロロ白金(IV)酸イオンを付着させることと、
前記ヘキサクロロ白金(IV)酸イオンが付着している前記金属酸化物膜を焼成して、前記金属酸化物膜に前記脱水素触媒として白金を担持させることとを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
反応管と、
該反応管内に収容された請求項1又は2に記載の触媒体と、
を具備し、
前記触媒体が、前記軸線が前記反応管の長手方向に平行になる向きで前記反応管に挿入されている、
水素発生装置。
【請求項6】
当該水素発生装置が、流体入口及び流体出口を有する筒状体を更に具備し、
前記流体入口及び前記流体出口が、前記筒状体の内部を流路として互いに連通しており、
前記流路内に前記反応管が配置されている、
請求項5に記載の水素発生装置。
【請求項7】
前記反応管の外周面上に設けられた燃焼触媒層を更に備える、請求項6に記載の水素発生装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の水素発生装置の前記反応管に有機ハイドライドを含む反応流体を供給し、前記反応管内で前記有機ハイドライドの脱水素により水素を生成させる工程を含む、有機ハイドライドから水素を回収する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒体及びその製造方法、並びに水素発生装置に関する。本発明はまた、水素発生装置を用いて有機ハイドライドから水素を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素の効率的な貯蔵及び輸送のために、有機ハイドライドの脱水素反応を利用する方法が検討されている。これまでにも、有機ハイドライドの脱水素反応のために種々の反応装置が提案されている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2007-238341号公報
【特許文献2】特開2008-239451号公報
【特許文献3】特開2006-182598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水素を用いた燃料電池等を含めた水素を利用するシステム全体のエネルギー利用率を高めるために、有機ハイドライドからの水素の回収を高い効率で行うことが強く求められる。
【0005】
そこで、本発明の主な目的は、コンパクトな装置を用いて有機ハイドライドから効率的に水素を回収することを可能にする水素発生装置及びそのための触媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一定の軸線に沿って延在する基材と、脱水素触媒を含む脱水素触媒層とを備える触媒体に関する。前記基材は、前記軸線を中心として回転する方向にねじれながら前記軸線に沿って延在する板状部を含んでいる。該板状部の表面上に前記脱水素触媒層が設けられている。
【0007】
本発明はまた、反応管と、該反応管内に収容された前記触媒体とを具備する、水素発生装置に関する。当該水素発生装置において、前記触媒体は、前記軸線が前記反応管の長手方向に平行になる向きで前記反応管に挿入されている。
【0008】
上記本発明に係る触媒体及びこれを用いた水素発生装置によれば、反応管の長手方向に平行な軸線を中心として回転する方向にねじれながら延在する板状部の表面上に脱水素触媒層が設けられていることから、反応管内を流れる有機ハイドライドと脱水素触媒層との大きな接触面積が確保される。加えて、板状部のねじれによって、反応管内の物質が混合され、特に径方向での混合が促進される。そのため、反応管の特に径方向における有機ハイドライドの分布の均一性が高まるとともに、反応管外部から供給される熱を効率的に脱水素触媒層の全体に伝えることができる。その結果、反応管内に供給された有機ハイドライドをより確実に脱水素することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コンパクトな装置を用いて有機ハイドライドから効率的に水素を回収することを可能にする水素発生装置及びそのために用いることのできる触媒体を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】水素発生装置の一実施形態を示す模式図である。
【図2】触媒体の一実施形態を示す模式図である。
【図3】図2のIII-III線端面を示す図である。
【図4】メチルシクロヘキサンの転化率及びトルエン選択性と反応時間との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。

【0012】
図1は、水素発生装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示す水素発生装置10は、筒状体30と、筒状体30の内部に配列された反応管20とを備える。それぞれの反応管20に触媒体50が挿入されている。筒状体30の内部に設けられる反応管20の数は、特に制限されないが、例えば1~200本であってもよい。1本の反応管20に収容される触媒体50の数は、特に制限されないが、例えば1~50本である。1本の反応管20内に複数の触媒体50が収容されるとき、通常、それらは反応管20の長手方向に沿って間隔を空けて又は間隔を詰めて配置される。

【0013】
筒状体30は、その長手方向における一方の端部に設けられた流体入口31及び他方の端部に設けられた流体出口32を有しており、これらは筒状体30の内部を流路として互いに連通している。この流路内に反応管20が配置されている。筒状体30の長さは、例えば100~5000mmであってもよい。円筒形の筒状体30の外径は、例えば100~500mmであってもよい。

【0014】
反応管20の一方の端部から、有機ハイドライドとしてのメチルシクロヘキサンを含む反応流体25が導入される。反応流体25は、メチルシクロヘキサン以外の有機ハイドライドを含んでいてもよい。有機ハイドライドは、水素化及び脱水素のプロセスを繰り返すことが可能な芳香族炭化水素の水素化物であればよい。反応管20内を流れる反応流体25は、通常、気体である。反応流体25は、反応管20の内部で気化されてもよいし、予め気化されていてもよい。反応管20内における有機ハイドライドの流量は、特に制限されないが、例えば0.1~10.0g/時間であってもよい。反応流体25は、有機ハイドライドとともに、窒素ガス等の不活性ガスを含んでいてもよい。

【0015】
本実施形態の反応管20は、円筒形である。円筒形の反応管を用いることで、高温での反応管内部の十分な気密性を維持し易い。触媒体50の挿入と取り出しの容易性等の観点から、図示されるように、一本の反応管20が、筒状体30の長手方向に沿って、両端(又は片端)が筒状体30の外部に出るように延在していてもよい。これにより、触媒体50の反応管20への挿入及び反応管20からの取り出しを容易に行うことができる。

【0016】
反応管20の長さは、例えば100mm以上又は1000mm以上であってもよく、3000mm以下又は5000mm以下であってもよい。円筒形の筒状体30の内径は、例えば100mm以上又は200mm以上であってもよく、300mm以下又は500mm以下であってもよい。

【0017】
反応管20を流れる有機ハイドライドは、触媒体50が有する脱水素触媒層と接触し、脱水素触媒層中の脱水素触媒の作用により、脱水素される。反応管20の他方の端部から、脱水素反応により生成した水素が、芳香族炭化水素(トルエン)とともに排出される。これにより、有機ハイドライドから水素が回収される。芳香族炭化水素は、水素化することで有機ハイドライドとして再利用することができる。

【0018】
吸熱反応である脱水素反応を促進するために、触媒体50及び反応流体25を加熱してもよい。そのために、反応管20を加熱することができる。加熱の温度は、脱水素反応の速度、触媒の耐久性の観点から、300℃以上、350℃以上又は370℃以上であってもよいし、400℃以下、380℃以下又は360℃以下であってもよい。

【0019】
図1の装置の場合、加熱のための流体35が流体入口31から供給される。流体35は反応管20の外周面と接触しながら筒状体30の内部の流路を流れ、流体出口32から排出される。流体35自体の熱により反応管20を加熱してもよい。あるいは、反応管20の外周面上に燃焼触媒層を設け、流体35として燃料流体を用い、燃焼流体の燃焼反応で生じる熱によって反応管20を加熱してもよい。燃焼流体としては、例えば、可燃性の高い物質を用いることができる。反応管20を加熱する手段はこれらに限られず、任意の加熱方法を採用することができる。

【0020】
図2は、触媒体の一実施形態を示す模式図であり、図3は図2のIII-III線端面図である。図2及び図3に示す触媒体50は、一定の軸線Xに沿って延在する基材5と、基材5の表面を覆う脱水素触媒層1とを有する。基材5において、軸線Xは基材5の中心線でもある。脱水素触媒層1は、基材5の表面全体を覆っていなくてもよい。基材5は、全体として、軸線Xを中心として回転する方向にねじれながら軸線Xに沿って延在する板状部から構成される。図1の水素発生装置10において、触媒体50は、軸線Xが反応管20の長手方向に平行になる向きで反応管20に挿入される。

【0021】
基材5(板状部)の軸線Xに沿う方向における長さL、軸線Xに垂直な方向における最大幅W、及び板状部の厚みTは、反応管の形状、サイズ等に応じて、適宜設定される。長さLは、例えば20mm以上又は40mm以上であってもよく、1000mm以下又は500mm以下であってもよい。長さLは、最大幅Wよりも大きいことが多いが、最大幅Wよりも小さくてもよい。

【0022】
基材5(板状部)の最大幅Wは、触媒体50を反応管20に挿入できるように設定される。最大幅Wが反応管の内径に近いと、装置のコンパクト化の点で有利であるとともに、反応管からの伝熱の効率が高められ得る。具体的には、基材5の最大幅Wの反応管20の内径に対する比が、0.85以上又は0.90以上であってもよいし、1.0以下又は0.95以下であってもよい。最大幅Wは、例えば3mm以上又は6mm以上であってもよく、30mm以下又は20mm以下であってもよい。

【0023】
図2に示す実施形態に係る触媒体の場合、基材の板状部は、軸線Xの周りに一方向にねじれているが、基材(板状部)の形状はこれに限定されず、適宜変形が可能である。例えば、基材(板状部)が、軸線Xに沿う方向から基材を見たときに、時計周りの方向にねじれている部分と、反時計周りの方向にねじれている部分とを含んでいてもよい。ねじれの周期は一定である必要はなく、変化していてもよい。効率的な混合の観点から、基材(板状部)がスタティックミキサーエレメントであってもよい。ねじれている板状体を含む基材は、当業者には理解されるように、成形体を通常の方法により加工して得ることができる。

【0024】
基材5は金属の成形体であってもよい。成形体を構成する金属は、例えば、アルミニウム、チタン及びジルコニウムから選ぶことができる。これらの金属は成形が容易であるとともに、これら金属の酸化物が脱水素触媒を担持すると、特に高い効率で脱水素反応を進行させることができる。

【0025】
脱水素触媒層1は、脱水素触媒と、脱水素触媒を担持する触媒担体とを含み得る。脱水素触媒は、例えば、白金、チタン、アルミニウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含む。脱水素触媒は、通常、粒子の形態で触媒担体に担持される。

【0026】
触媒担体は、例えば、金属酸化物を含む金属酸化物膜である。金属酸化物は、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウムから選ばれる。

【0027】
脱水素触媒層1は、例えば、成形体の表面上に、金属の酸化物を含む金属酸化物膜を形成する工程と、金属酸化物膜に脱水素触媒を担持させる工程とを含む方法により、形成することができる。

【0028】
特に、基材として金属の成形体を用いる場合、金属酸化物膜は、成形体の陽極酸化により形成することができる。金属の成形体の陽極酸化によって、金属が酸化されるとともに成形体の表面に凹凸が形成され、大きな比表面積を有する金属酸化物膜を容易に形成することができる。担体としての金属酸化物膜の比表面積が大きいことは、効率的な脱水素反応に有効に寄与することができる。金属の成形体の陽極酸化は、通常の方法により行うことができる。例えば、りん酸及びシュウ酸等から選ばれる電解質を含む電解液中で電圧を成形体に電圧を印加する方法により、成形体の表面を陽極酸化することができる。

【0029】
金属酸化物膜は、陽極酸化以外の方法で形成することもできる。例えば、加水分解性金属化合物(アルコキシアルミニウム等)を用いたゾル-ゲル法により基材(板状部)上に金属酸化物膜を形成することができる。金属酸化物膜の形成の前に、成形体の表面を酸及び塩基によって処理してもよい。ゾル-ゲル法の場合、基材を構成する材料の触媒担体としての機能等を考慮する必要がないため、より広い範囲から基材を選択することができる。

【0030】
金属酸化物膜に脱水素触媒を担持させる方法は、例えば、ヘキサクロロ白金(IV)酸イオン及び水を含む酸性の塩化白金水溶液を金属酸化物膜と接触させ、次いで金属酸化物膜に付着している水を除去することにより、金属酸化物膜にヘキサクロロ白金(IV)酸イオンを付着させることと、ヘキサクロロ白金(IV)酸イオンが付着している金属酸化物膜を焼成して、金属酸化物膜に脱水素触媒として白金を担持させることとを含む方法であってもよい。この方法は、本明細書において「イオン吸着法」と称されることがある。イオン吸着法によれば、脱水素触媒としての白金を、極めて微小な粒径の形態で触媒担体に均一に分散させることができる。そのため、特に効率的な脱水素反応が可能となる。

【0031】
イオン吸着法の場合、例えば、金属酸化物膜を塩化白金水溶液に浸漬し、溶液から取り出した金属酸化物膜に付着している水を除去することにより、金属酸化物膜にヘキサクロロ白金(IV)酸イオンを付着させることができる。塩化白金水溶液におけるヘキサクロロ白金(IV)酸イオンの濃度は、例えば、溶媒(水)の体積を基準として、2.0×10-3~1.0×10-2モル/Lであってもよい。塩化白金水溶液のpHは、例えば2.0~4.0であってもよい。酸性の塩化白金水溶液は、ヘキサクロロ白金(IV)酸を水に溶解させて、調製することができる。焼成の温度は、担体に担持される白金が生成する温度であればよく、例えば300~600℃であってもよい。

【0032】
あるいは、金属酸化物膜に脱水素触媒を担持させる方法は、金属塩を含む金属塩水溶液を金属酸化物膜と接触させ、次いで金属酸化物膜に付着している金属塩水溶液から水を除去して担体を乾固させることと、その後の焼成により金属酸化物膜に脱水素触媒として金属を担持させることとを含む方法であってもよい。この方法は、本明細書において「蒸発乾固法」と称されることがある。金属塩としては、例えば、テトラアンミン白金(II)硝酸塩、ヘキサクロロ白金(IV)酸塩を用いることができる。

【0033】
金属酸化物膜又は脱水素触媒層の厚さは、特に制限されないが、例えば2~200μmであってもよい。

【0034】
触媒体50における脱水素触媒層1の割合は、所望の触媒活性が得られるように設定できるが、例えば、触媒体50の質量を基準(100質量%)として、10~90質量%であってもよい。脱水素触媒層1における脱水素触媒(白金等)の割合は、触媒担体の質量を基準として、0.1~10質量%であってもよい。
【実施例】
【0035】
以下、本実施形態に係る触媒体を作製し、これを用いた脱水素反応を行った実験について説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
1.触媒体の作製
図2、3に示すような、ねじれた長尺の板状体の形状を有するアルミニウム成形品(幅5mm、長さ50mmを準備した。このアルミニウム成形品の表面を電解槽中で以下の条件により陽極酸化して、成形品の表面に酸化アルミニウム膜を形成させた。顕微鏡により観察したところ、酸化アルミニウム膜の表面に微小な凹凸が形成されていた。
・電解液:シュウ酸
・塩化白金溶液濃度:0.8モル/L
・印加電圧:36V
・処理時間:5時間
・電解槽温度:25℃
【実施例】
【0037】
陽極酸化処理後のアルミニウム成形品を、塩化白金水溶液(H[PtCl]aq.、pH=3.7、室温)中に24時間浸漬した。塩化白金水溶液は、ヘキサクロロ白金(IV)酸を純水に投入し、2時間攪拌を行って調製した。アルミニウム成形品を、溶液から取り出し、乾燥させてから、焼成して、酸化アルミニウム膜に白金が担持している触媒体を得た。焼成は、空気雰囲気下、350℃で5時間の加熱により行った。白金の担持量は触媒体全体で0.5mgであり、その割合は酸化アルミニウム膜の質量を基準として0.6質量%であった。
【実施例】
【0038】
2.脱水素試験
得られた触媒体を円筒形の反応管に挿入した。反応管にメチルシクロヘキサン(MCH、流量1.54g/h)を窒素ガス(流量300mL/h)とともに流しながら、反応管を350℃に加熱した。反応管から流出するガスにおけるMCHの残存量及び生成したトルエンの量を定量することにより、MCHの転化率、及び転化したMCHのうちトルエンとなったものの割合(トルエン選択性)を求めた。結果を図4のグラフに示す。図4に示すように、100%に近いMCH転化率により、非常に高い効率で水素が生成することが確認された。加えて、MCH転化率は24時間後も92%を維持しており、触媒成分の脱落等による劣化も比較的少なかった。
【符号の説明】
【0039】
1…脱水素触媒層、5…基材、10…水素発生装置、20…反応管、25…反応流体、30…筒状体、31…流体入口、32…流体出口、35…流体、50…触媒体、W…基材(板状体)の最大幅、X…軸線。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3