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明細書 :集光型太陽電池モジュール及び集光型太陽光発電システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-062931 (P2016-062931A)
公開日 平成28年4月25日(2016.4.25)
発明の名称または考案の名称 集光型太陽電池モジュール及び集光型太陽光発電システム
国際特許分類 H01L  31/054       (2014.01)
H01L  31/048       (2014.01)
H01L  31/05        (2014.01)
H02S  20/32        (2014.01)
FI H01L 31/04 620
H01L 31/04 560
H01L 31/04 570
H02S 20/32
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2014-187152 (P2014-187152)
出願日 平成26年9月15日(2014.9.15)
発明者または考案者 【氏名】山田 昇
出願人 【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100140394、【弁理士】、【氏名又は名称】松浦 康次
審査請求 未請求
テーマコード 5F151
Fターム 5F151BA16
5F151EA02
5F151EA19
5F151JA03
5F151JA05
5F151JA14
5F151JA22
5F151JA23
5F151JA30
要約 【課題】入射された散乱光に対する透過性を増大するとともに透過した散乱光の多目的利用が可能な高倍率集光型太陽電池モジュール及び集光型太陽光発電システムを提供する。
【解決手段】モジュール10(10a)は、集光器11と、高透過板12と、集光器11によって集光された太陽光を受光して発電する複数の太陽電池セル13と、高透過板12の表面の一部に設けられかつセル13に電気的に接続可能な回路と、を備える。太陽電池セル13の各セル13は、高透過板12の表面上に分散的に配置される。セル13と回路とは集光器11と高透過板12との間に封止される。太陽電池セル13の全受光面積は太陽光総入射面積の10%以下である。高透過板12の受光面積は太陽光総入射面積の80%以上であり、散乱光L2の透過性に優れる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
太陽光を集光する集光器と、
前記集光器によって集光された前記太陽光を受光して該太陽光の少なくとも散乱光成分を透過する高透過板と、
前記集光器によって集光された前記太陽光を受光して発電する複数の太陽電池セルと、
前記高透過板の表面の一部に設けられ、かつ、前記セルに電気的に接続可能な回路と、
を備えた集光型太陽電池モジュールであって、かつ、
前記太陽電池セルの各セルは、前記高透過板の表面上に分散的に配置され、
前記セルと前記回路とは、前記集光器と前記高透過板との間に封止され、
前記太陽電池セルの全受光面積は太陽光総入射面積の10%以下であり、
前記高透過板の受光面積は太陽光総入射面積の80%以上であることを特徴とする集光型太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記太陽電池セルの各セルの受光面が1mm×1mm以下の寸法であることを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記回路が金属膜と金属ワイヤとを含み、
前記金属膜が、前記太陽電池セルを担持しながら前記高透過板の表面に分散的にかつ前記高透過板とは電気的に絶縁であるように密着して設置され、
前記金属ワイヤは、前記金属膜と前記太陽電池セルとの間を電気的に接続し、直列又は並列の電気回路を構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記回路が金属膜と金属ワイヤと透明導電膜とを含み、
前記金属膜が、前記太陽電池セルを担持しながら前記高透過板の表面に分散的にかつ前記高透過板とは電気的に絶縁であるように密着して設置され、
前記金属ワイヤ及び前記透明導電膜は、前記金属膜と前記太陽電池セルとの間を電気的に接続し、直列又は並列の電気回路を構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記高透過板の受光面とは反対側の面の下方に第2の太陽電池を設置したことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記集光器によって集光された太陽光を反射させて前記太陽電池セルの受光面へ案内する反射面を備えた受光ガイドをさらに備え、かつ、
前記受光ガイドと前記太陽電池セルとを予め一体化してセルパッケージが複数構成され、該セルパッケージが前記高透過板の表面上に分散的に配置されることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記受光ガイドに放熱用フィンが設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記高透過板の受光面とは反対側の面の下方に放熱用ハニカム構造体を設置したことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項9】
太陽光を集光する集光器と、
前記集光器によって集光された前記太陽光を受光して該太陽光の少なくとも散乱光成分を透過する高透過板と、
前記集光器によって集光された太陽光を受光して発電する複数の太陽電池セルと、
前記高透過板の表面の一部に設けられ、かつ、前記セルに電気的に接続可能な回路と、
を備えた集光型太陽電池モジュールであって、かつ、
前記太陽電池セルの各セルは前記高透過板の受光面とは反対側の面に分散的に配置され、
前記太陽電池セルの全受光面積は太陽光総入射面積の10%以下であり、
前記高透過板の受光面積は太陽光総入射面積の80%以上であり、
前記集光器によって集光されかつ前記高透過板を透過した太陽光を反射させて前記太陽電池セルの受光面へ案内する反射面を備えた受光ガイドをさらに備え、
前記受光ガイドと前記太陽電池セルとを予め一体化してセルパッケージが複数構成され、封止材によって該セルパッケージが前記高透過板の前記反対側の面上に分散的に封止されることを特徴とする集光型太陽電池モジュール。
【請求項10】
前記集光器は、表面がドーム状を成す受光面を有することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項11】
前記集光器は、前記高透過板の上方に空気層を挟んで設置されたレンズであることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項12】
請求項1~4,6~11のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュールと、該モジュールを搭載する1軸太陽追尾架台及び2軸太陽追尾架台の少なくとも一方の架台とを備えた集光型太陽光発電システムであって、かつ、該システムが、太陽光を利用する発電以外の他用途に使用されている場所に適当な間隔で設置可能であることを特徴とする集光型太陽光発電システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールに関し、より具体的には、太陽光を集光器により集光して発電する集光型太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
(1)太陽光発電の普及
近年、再生可能エネルギーの固定価格買取制度による太陽光発電の普及が急ピッチで進んでいる。今後、地球温暖化問題の深刻化に伴いCO2排出規制が厳しくなると、さらなる普及拡大が必要となることが予想される。
【0003】
(2)集光型太陽電池モジュール
太陽電池(photovoltaic:PV)モジュールは、大きく集光型と非集光型とに大別される。集光型PVモジュールとして、レンズやミラー等の集光器を利用した技術が既に存在する(例えば、特許文献1~4参照)。
【0004】
(3)従来の太陽電池モジュールの問題点1
しかしながら、特許文献1~4に開示の集光型PVモジュールでは「直達光」のみがPVセルに集光され、「散乱光」はPVセル周辺のモジュール筐体に入射されるため、全く有効に活用されないばかりか、「散乱光」の大半が通常金属製の不透明なモジュール筐体に吸収されてしまい、熱となって太陽電池セルの温度を上昇させるため、変換効率や長期信頼性の低下要因となることが危惧される。
【0005】
(4)従来の太陽電池モジュールの問題点2
また、太陽光発電の大量普及時代に突入すると、太陽光発電の設置スペースの確保が徐々に難しくなり、農業や園芸をはじめとする他の太陽光を必要とする用途(つまり、発電以外の他の用途)との設置スペースの競合が生じる可能性が高い。従って、今後は限られたスペースで最大限に太陽光発電をしつつ、同時に他の用途と共存可能な技術へのニーズが増えることも予想される。
【0006】
例えば、建物等の屋上面で太陽光発電と屋上菜園との利用を両立したい場合などがある。特許文献1~4に開示した従来の太陽電池モジュールでは、植物への日射を確保するためにはモジュール筐体の面積(ひいてはPVセルの面積)を減らす必要があり、その分だけ発電量が低下してしまう。このため、共存が困難であり、太陽光が有効に活用できないという問題点がある。
【0007】
また、植物への日射に限らず、居住空間への採光も太陽光発電と競合する用途の1つであり、上述した同じ問題点が発生し得る。特に、建物が林立する都市部においては日照権に拘わる問題にも発展する可能性があり、建物屋上に遮光物を容易には設置できない。
【0008】
(5)上記問題解決へのアプローチ
上記の問題点は、従来のPVモジュールの筐体が太陽光に対して不透明になっており、日射の透過量を増やそうとすると、その分だけPVセルの面積を減らす必要があることに起因する。そこで、本発明者は、発電量を大きく犠牲にすることなく従来以上に太陽光を高透過するPVモジュールを提供することができれば、この問題を軽減できることを着想した。
【0009】
例えば、集光型PVモジュールにおいて、従来製品は不透明であったモジュール筐体の全面もしくは一部を太陽光の透過性が高い材料に置き換えることによって、発電に利用されない散乱光の透過性を大幅に向上しつつ、この散乱光を発電以外の他の用途へ利用できるのである。
【0010】
このような着想は、特許文献5の明細書段落〔0025〕にも開示がある。また、該文献5の明細書段落〔0045〕~〔0046〕の記載(特に、「この光学シートの太陽光総入射面積に対し、太陽電池への総入射面積は2.7対1.0であることを確認した。本発明の実施においては、受光面の太陽に向けての追尾システムは必須とはしない。本発明の簡便な繰り返しの線状構造形状を有するリニアな光学シート1枚で、2.7倍集光を実現することができた。」との記載)から、特許文献5の太陽電池モジュールは、太陽電池より下側に配置されかつ太陽電池の投影面積と重ならない筐体透明部分の面積比は2.7対1.7となる。言い換えれば、太陽電池の投影面積が約37%となり、それ以外の透明部分の面積は約63%となる。
【0011】
つまり、特許文献5に記載の従来技術は、当該文献の〔図2〕を紙面に垂直な方向に延ばした構造(2次元集光)であり、つまり、太陽追尾機構が不要の固定設置方式で、集光倍率(集光度)が2~3倍程度(実施例では2.7倍)の低倍率集光タイプの太陽電池モジュールであるといえよう。
【0012】
ただし、昨今、太陽の集光倍率が100倍以上の極めて高くかつ太陽追尾機構が必須となる3次元集光タイプの太陽電池モジュールへの需要が高まっている。集光倍率が100倍以上になると化合物多接合型太陽電池とよばれる超高効率太陽電池を極めて小面積で使用できるためモジュール変換効率とコストパフォーマンスを高められるためである。この需要を満たすために、特許文献5の構成をそのまま採用しようとすると下記の技術的課題が発生する恐れがあり、そのための対策を取る必要がある。
【0013】
(対策1:焦点の位置ズレ対策)
超高倍率になればなるほど、追尾機構による僅かな追尾誤差でもモジュールの焦点がずれやすくなる。このため、超高倍率集光型太陽電池モジュールでは、焦点が多少ずれても太陽電池セルへの集光を確保・維持できるような構造を設けておくことが望まれる。
【0014】
(対策2:放熱対策)
本発明の目的とする太陽電池モジュールは、特許文献5の装置に比べ、その集光倍率が高いため、放熱性能をより強化・向上させる必要がある。
【先行技術文献】
【0015】

【特許文献1】特開2014-010251号公報
【特許文献2】特開2013-012626号公報
【特許文献3】特開2013-080760号公報
【特許文献4】特開2013-149721号公報
【特許文献5】特開2013-016784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上述の課題を解決し、入射された散乱光に対する透過性を増大するとともに透過した散乱光の多目的利用が可能な高倍率集光型太陽電池モジュール及び集光型太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明のもう一つの目的は、散乱光を利用可能としつつ、直達光を高倍率に集光可能な高倍率集光型太陽電池モジュール及び集光型太陽光発電システムを提供することである。
【0018】
また、本発明のもう一つの目的は、焦点の位置ズレがあった場合でも集光率の低下を極力抑制しつつ高い放熱特性を有する高倍率集光型太陽電池モジュール及び集光型太陽光発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者は、鋭意検討の末、上記課題の主要因であった集光型太陽電池モジュールの受光面とは反対の面を構成する部分に太陽光透過率の高い板材を用いて、その板材上に微小な太陽電池セルを局所的かつ分散的に配置する特有の構造を採用すれば、セル温度の上昇を抑えつつ高透過性を有した集光型太陽電池モジュールを構成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
すなわち、本発明の集光型太陽電池モジュールは、少なくとも次の特徴・構成を有する。
(態様1)
太陽光を集光する集光器と、
前記集光器によって集光された前記太陽光を受光して該太陽光の少なくとも散乱光成分を透過する高透過板と、
前記集光器によって集光された前記太陽光を受光して発電する複数の太陽電池セルと、
前記高透過板の表面の一部に設けられ、かつ、前記セルに電気的に接続可能な回路と、
を備えた集光型太陽電池モジュールであって、かつ、
前記太陽電池セルの各セルは、前記高透過板の表面上に分散的に配置され、
前記セルと前記回路とは、前記集光器と前記高透過板との間に封止され、
前記太陽電池セルの全受光面積は太陽光総入射面積の10%以下であり、
前記高透過板の受光面積は太陽光総入射面積の80%以上であることを特徴とする集光型太陽電池モジュール。
(態様2)
前記太陽電池セルの各セルの受光面が1mm×1mm以下の寸法であることを特徴とする態様1に記載の集光型太陽電池モジュール。
(態様3)
前記回路が金属膜と金属ワイヤとを含み、
前記金属膜が、前記太陽電池セルを担持しながら前記高透過板の表面に分散的にかつ前記高透過板とは電気的に絶縁であるように密着して設置され、
前記金属ワイヤは、前記金属膜と前記太陽電池セルとの間を電気的に接続し、直列又は並列の電気回路を構成することを特徴とする態様1又は2に記載の集光型太陽電池モジュール。
(態様4)
前記回路が金属膜と金属ワイヤと透明導電膜とを含み、
前記金属膜が、前記太陽電池セルを担持しながら前記高透過板の表面に分散的にかつ前記高透過板とは電気的に絶縁であるように密着して設置され、
前記金属ワイヤ及び前記透明導電膜は、前記金属膜と前記太陽電池セルとの間を電気的に接続し、直列又は並列の電気回路を構成することを特徴とする態様1又は2に記載の集光型太陽電池モジュール。
(態様5)
前記高透過板の受光面とは反対側の面の下方に第2の太陽電池を設置したことを特徴とする態様1~4のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
(態様6)
前記集光器によって集光された太陽光を反射させて前記太陽電池セルの受光面へ案内する反射面を備えた受光ガイドをさらに備え、かつ、
前記受光ガイドと前記太陽電池セルとを予め一体化してセルパッケージが複数構成され、該セルパッケージが前記高透過板の表面上に分散的に配置されることを特徴とする態様1~5のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
(態様7)
前記受光ガイドに放熱用フィンが設けられていることを特徴とする態様1~6のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
(態様8)
前記高透過板の受光面とは反対側の面の下方に放熱用ハニカム構造体を設置したことを特徴とする態様1~7のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
(態様9)
太陽光を集光する集光器と、
前記集光器によって集光された前記太陽光を受光して該太陽光の少なくとも散乱光成分を透過する高透過板と、
前記集光器によって集光された太陽光を受光して発電する複数の太陽電池セルと、
前記高透過板の表面の一部に設けられ、かつ、前記セルに電気的に接続可能な回路と、
を備えた集光型太陽電池モジュールであって、かつ、
前記太陽電池セルの各セルは前記高透過板の受光面とは反対側の面に分散的に配置され、
前記太陽電池セルの全受光面積は太陽光総入射面積の10%以下であり、
前記高透過板の受光面積は太陽光総入射面積の80%以上であり、
前記集光器によって集光されかつ前記高透過板を透過した太陽光を反射させて前記太陽電池セルの受光面へ案内する反射面を備えた受光ガイドをさらに備え、
前記受光ガイドと前記太陽電池セルとを予め一体化してセルパッケージが複数構成され、封止材によって該セルパッケージが前記高透過板の前記反対側の面上に分散的に封止されることを特徴とする集光型太陽電池モジュール。
(態様10)
前記集光器は、表面がドーム状を成す受光面を有することを特徴とする態様1~9のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
(態様11)
前記集光器は、前記高透過板の上方に空気層を挟んで設置されたレンズであることを特徴とする態様1~10のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
(態様12)
態様1~4,6~11のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュールと、該モジュールを搭載する1軸太陽追尾架台及び2軸太陽追尾架台の少なくとも一方の架台とを備えた集光型太陽光発電システムであって、かつ、該システムが、太陽光を利用する発電以外の他用途に使用されている場所に適当な間隔で設置可能であることを特徴とする集光型太陽光発電システム。
【発明の効果】
【0021】
本発明の集光型太陽電池モジュールによれば、従来の集光型太陽電池では温度上昇による変換効率低下等の要因となっていた散乱光を高透過させることができる。
【0022】
また、本発明の集光型太陽電池モジュールによれば、通常の非集光型太陽電池又は低倍率集光型太陽電池では不可能であった、入射光のうち、散乱光を発電以外の他用途に利用可能としつつ直達光を高倍率に集光して発電することができる。
【0023】
また、本発明によれば、焦点の位置ズレがあった場合でも集光率の低下を極力抑制しつつ高い放熱特性を有した集光型太陽電池モジュールを提供することができる。
【0024】
また、本発明の集光型太陽電池の下面側に低コストの太陽電池を設置すれば、散乱光からも発電が可能となり、発電量をさらに増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1に係る集光型太陽電池モジュールの構成(平面図及び断面図)を示した図である。
【図2】本発明の実施例1に係る熱解析シミュレーション結果を示した図である。
【図3】本発明の実施例2に係る集光型太陽電池モジュールの構成(平面図及び断面図)を示した図である。
【図4】本発明の実施例3に係る集光型太陽電池モジュールの構成(平面図及び断面図)を示した図である。
【図5】本発明の実施例4,5に係る集光型太陽光発電システムの構成を示した図である。
【図6】本発明の実施例6に係る集光型太陽電池モジュールの構成(断面図)を示した図である。
【図7】本発明の実施例7,8に係る集光型太陽電池モジュール及びセルパッケージの構成(断面図)を示した図である。
【図8】本発明の実施例9に係る集光型太陽電池モジュールの構成(断面図及び底面図)を示した図である。
【図9】本発明の実施例10に係る集光型太陽電池モジュール及びセルパッケージの構成(断面図)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の集光型太陽電池モジュールは、少なくとも、
(1)太陽光を集光する集光器と、
(2)集光器によって集光された太陽光を受光して太陽光の少なくとも散乱光成分を透過する高透過板と、
(3)集光器によって集光された太陽光を受光して発電する複数の太陽電池セルと、
(4)高透過板の表面の一部に設けられ、かつ、太陽電池セルに電気的に接続可能な回路と、を備える。

【0027】
ここで、太陽電池セルの各セルは、前記高透過板の表面上に分散的に配置される。太陽電池セルの全受光面積は太陽光総入射面積の10%以下であり、高透過板の受光面積は太陽光総入射面積の80%以上であることを特徴とする。なお、高透過板上に配置されて太陽電池セルと接続して電気回路を構成する各部材の総受光面積(太陽電池セル以外に高透過板への散乱光の入射を遮る総面積)は太陽光総入射面積の10%未満に設定されていることが望ましい。セルの全受光面積が太陽光総入射面積の10%を超えると、本発明の目的とする超高倍率の集光型太陽電池モジュールの作製が困難となる一方、高透過板の受光面積が太陽光総入射面積の80%未満になると、発電以外の他用途への散乱光の利用が不十分になるだけでなく、透過せずモジュール内に残存した散乱光が余分な熱となってモジュール内の機器に悪影響を及ぼす危険が増加するからである。

【0028】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づき具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
図1(a)は、本発明の実施例1に係る集光型太陽電池モジュール10の平面図を示す。図1(b)は、図1(a)のA-A’線で破断した実施例1に係る集光型太陽電池モジュール10aの断面図を示す。
【実施例1】
【0030】
(実施例1のモジュール構造の概要)
この集光型太陽電池モジュール10a(以下、単に「モジュール」とも呼ぶ。)は、図1(a)及び(b)に示すように、太陽光を集光するセル封止型集光器11と、高透過板12と、太陽電池セル13と、金属膜14と、太陽電池セル13,13同士を電気的に接続する金属ワイヤ15と、太陽電池セル13の一群の発電電力を外部に取り出すリード線16と、から構成されている。
【実施例1】
【0031】
高透過板12は太陽光透過率が80%以上のものが望ましく、ガラス板のほか、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂からなる板材を用いることができる。
【実施例1】
【0032】
また、金属膜14は電気伝導率が高いものが望ましく、銅やアルミニウムや金等を用いることができる。また、金属膜に限らず電気伝導率が高い材料であれば用いることができる。なお、実施例1では、金属膜14は高透過板12の集光器11側の表面に密着して形成されており、1つの太陽電池セル13(以下、単に「セル」とも呼ぶ。)に対して2つの金属膜14a,14bを島状に形成し、一方の金属膜14aの集光器11側の表面には太陽電池セル13の裏面電極(ここでは+極)が密着して形成されている。また、この太陽電池セル13の表面電極(ここでは-極)から、他方の金属膜14bの表面に金属ワイヤ15がボンディングされている。なお、本実施例では生産性を向上するために上述の回路接続構成を採用したが、必ずしもこれに限定されず、金属膜14を上述のように分割せずに1つの太陽電池セル13に対して1つの金属膜14を設置する構成を採用してもよい。
【実施例1】
【0033】
金属ワイヤ15には電気伝導率の高い金属(例えば、銅やアルミニウムや金等)を用いることができる。実施例1では、太陽電池セル13が4直列及び4並列(4×4配列)に電気的に接続され、両端の細長い金属膜14t,14tに取り付けられた正負極のリード線16,16から外部に発電電力を取り出すことができる。金属ワイヤ15として、ワイヤーボンディングで使用される直径数十ミクロンの細線状のもの以外にも、薄い帯状の金属板なども用いることができる。直列及び並列の接続パターンは取り出したい電流および電圧のレベルに応じて任意に設定できる。
【実施例1】
【0034】
この高透過板12の集光器11側の太陽電池セル13と、金属膜14と、金属ワイヤ15との全ての構成部材を集光器11材料で封止するように集光器11を形成する。実施例1では集光器11の受光側表面はドーム状のレンズアレイとなっている。実施例1の集光器11の材料には透明アクリル、透明シリコーン、ガラスなどが適している。この集光器11では、入射光線は屈折率が低い空気側と屈折率が高いレンズアレイの境界面において1回しか屈折しないため、約300倍未満の集光倍率に適している。なお、集光器11を予め射出成形等で製作しておき、集光器11の材料と屈折率とがほぼ等しい別の接着作用のある透明材料を用いて、他の構成部材と接合しても同様の効果が得られる。
【実施例1】
【0035】
このように構成した集光型太陽電池モジュール10aを、適切な太陽追尾機構を備えた太陽追尾架台22a,22b(後述の図5(a)及び(b)を参照)に搭載すると、図1(b)に示すように直達光L1は集光器11によって太陽電池セル13に集光され、電気に変換される。一方、全方位から入射する散乱光L2は太陽電池セル13には集光されず、その大半が高透過板12を通過(透過)する。
【実施例1】
【0036】
このとき、集光器11の受光面面積(総入射面積)に対して、前述の特許文献5の場合とは異なり、受光面の内側に配置(封止)された不透明な金属膜14と金属ワイヤ15とが占める総投影面積(つまり回路面積)の割合を10%未満にするのが望ましい。これにより、太陽電池セルの全受光面積を太陽光総入射面積の10%以下の超高倍率集光に設定した場合に、高透過板12の受光面積を太陽光総入射面積の80%以上にすることができる。また、太陽電池セル13には化合物型多接合太陽電池などの集光時のセル変換効率が35%以上であるものが望ましい。
【実施例1】
【0037】
太陽電池セル13は、出来るだけ小面積のものが望ましい。太陽電池セル13の受光面サイズが小さくなると、図1(b)に示す焦点距離FLが短くなり、集光器11の全高を低く抑えられ、集光器11内部での光吸収量が減少し、透過性が向上する。さらに、太陽電池セル13のサイズが小さくなると、熱源が分散される効果により、後述の熱解析シミュレーション結果にも示すように太陽電池セル13の到達温度が低下するため、変換効率と長期信頼性が向上する。この観点から好ましくは1mm×1mm以下(さらに好ましくは0.5mm×0.5mm以下)の太陽電池セル13を用いる。このサイズはLEDチップと同程度であり、LEDの実装技術を適用(応用)できるメリットもある。
【実施例1】
【0038】
直並列の組み合わせによって発電電圧が高くなる場合には、金属膜14と高透過板12との間に電気絶縁性の高い材料を挿入しても良い。また、金属ワイヤ15に電気絶縁性の高い材料をコーティングする場合がある。金属膜14と高透過板12との密着には高導電性接着剤を用いる他、めっき法、ろう付け法、固相接合法、溶接法、溶湯接合法など各種の接合を用いることができる。
【実施例1】
【0039】
地上に降り注ぐ太陽光は主に直達光L1と散乱光L2とに分類できる。直達光L1は太陽の光球とその近傍から直接入射するほぼ平行な太陽光線(視野角±0.256°~±5°)であり、散乱光L2は大気中の微粒子やガスによって散乱され、天空の全体から入射する太陽光線である。直達光L1はレンズやミラーで高倍率集光することが可能だが、散乱光L2は熱力学的制限により弱い集光しかできないという特性がある。
【実施例1】
【0040】
日本においては、年間日射量の約6割を直達光L1が占め、約4割を散乱光L2が占める。本実施例では、年間日射量の約6割を占める直達光L1をセル変換効率が約40%(将来的に50%超)の超高効率PVセルに集光して発電する一方、年間日射量の約4割を占める散乱光L2の大半を透過する。従来PVモジュールとは異なり、散乱光L2はPVセルに当たらず透過してしまうが、太陽電池セル13の変換効率が高い上に、太陽追尾機構を設ければより直達光の受光量が増えるため、直達光L1だけからでも従来PVモジュール以上の発電量が得られる。しかも、散乱光L2の大半が高透過板12を透過するので、設置スペースは太陽光を必要とする他用途にも使える。つまり、本発明は、貴重な太陽光を発電と他の用途にムダ無く振り分ける新たな集光型太陽電池モジュールであると言える。
【実施例1】
【0041】
図2に本実施例の太陽電池セル13の温度を熱解析シミュレーションによって予測した結果を示す。図2中の散乱光透過率70%が本実施例であり、比較のため散乱光透過率が0%の場合も図示してある。なお、本解析の解析条件として、直達光が600W/m、散乱光が400W/m、外気温25℃、無風時(すなわち、対流熱伝達率h=5.7W/mK)、幾何学的集光倍率が300倍に設定した。なお、セルサイズが1mm×1mmの場合には、受光面サイズが17.32mm×17.32mmであり、受光面面積をセル面積で除した幾何学的集光倍率は300倍となる。従って、高透過板12の受光面積(回路面積も含む)は太陽光総入射面積の90%以上となる。但し、金属膜回路14は通常不透明であるのでこの分を考慮し、80%以上が透過に有効な高透過板12の受光(透過)面積とした。この面積割合(80%)に高透過板12材料の太陽光透過率90%を乗じると散乱光透過率は約70%となる。
【実施例1】
【0042】
図2に示すように、本発明のセルサイズが1mm×1mmの場合ではセル温度が約100℃となり、化合物多接合型PVセル等の温度使用条件を満たす。なお、本発明及び従来技術においてもそのセルサイズ(例えば、0.5mm×0.5mm)を小さくしていくと、さらに温度が低下することが分かる。これは、セルサイズを小さくして分散配置することにより、セル面積に対するセル周囲長(放熱面)が増えること、レンズ焦点距離が短くなることによる熱抵抗が低減されること等により、放熱が促進されることによるものである。
【実施例2】
【0043】
次に、実施例2について図3を用いて説明する。
【実施例2】
【0044】
図3(a)は、本発明の実施例2に係る集光型太陽電池モジュール10bの平面図を示す。図3(b)は、図3(a)のB-B’線で破断した実施例2に係る集光型太陽電池モジュール10bの断面図を示す。
【実施例2】
【0045】
(実施例2のモジュール構造の概要)
この集光型太陽電池モジュール10bは、前記の実施例1の集光型太陽電池モジュール10aと同じ部材から構成されるが、太陽電池セル13,13同士の電気的接続において金属ワイヤ15の長さを短くし、その代わりに金属膜14を長くしたものである。この実施例2では実施例1よりも不透明な部分の面積は若干増えるが、接続回路の直列抵抗を減らすことが容易であり、高電流の場合において変換効率を維持することができる。
【実施例3】
【0046】
次に、実施例3について図4を用いて説明する。
【実施例3】
【0047】
図4(a)は、本発明の実施例3に係る集光型太陽電池モジュール10cの平面図を示す。図4(b)は、図4(a)のC-C’線で破断した実施例2に係る集光型太陽電池モジュール13の断面図を示す。
【実施例3】
【0048】
(実施例3のモジュール構造の概要)
この集光型太陽電池10cは、前述の実施例1および実施例2とでは、集光器11のタイプと、太陽電池セル13,13同士の電気的接続方法が異なる。まず、集光器11に関して解説する。実施例1および実施例2とは異なり、本実施例では、図4(b)に示すように、集光器11と太陽電池セル13を実装した面との間には空気層17がある。この空気層17があることで、入射光線は、集光器11から射出する際に、屈折率の高いレンズ材料と屈折率の低い空気との境界面で屈折し、方向を曲げられるため、集光倍率が約300倍以上と高い場合に適する。このセパレート型集光器11にはフレネルレンズなどの薄型の集光器が適している。
【実施例3】
【0049】
次いで、実施例3の太陽電池セル13,13同士の電気接続方法について解説する。実施例1及び実施例2とは異なり、本実施例では電気接続の大部分を透明電極膜(例えば、ITO膜)18が担う構成となっている。実施例1と同様に、1つの太陽電池セル13に対して、2つの金属膜14a,14bが島状に形成されているが、金属膜14a,14bと高透過板12との間には透明電極膜18がスパッタリング等によってパターニングされており、実施例1のワイヤの代わりに太陽電池セル13,13同士を電気的に接続している。
【実施例3】
【0050】
この方式ではパターニングによって複雑な直並列接続回路を比較的容易に形成することが可能であり、また他の実施例よりも透過率を向上することができる。なお、金属膜14a,14bは無く、セル13が直接透明導電膜18上に設置されていても良い。なお、透明電極膜18と金属膜14、又は透明電極膜18とセル13との接合を容易にするために、両部材の間に他の材料で構成された層を挿入しても良い。
【実施例3】
【0051】
以上の実施例1~3で述べた、集光器11と電気接続方法との組み合わせは自由であり、例えば一例として、実施例1の電気接続方法に実施例3のセパレート型集光器11を用いても良い。
【実施例4】
【0052】
次に、実施例4について図5(a)を用いて説明する。
【実施例4】
【0053】
(集光型太陽光発電システムの例示)
図5(a)は、本発明の集光型太陽光発電システム20aの構成の一例(実施例4)を示す。太陽光を利用する発電以外の他の用途面(例えば、農地、屋上緑化面、採光面)21に対して、前述の実施例1~3で述べた高透過性の集光型太陽電池モジュール10を農地21の必要面積分だけ複数用意し、これらの各モジュール10を、2軸太陽追尾機構を有した架台22a(以下、単に「太陽追尾架台」とも呼ぶ。)に搭載して設置することで、集光型太陽光発電システム20aが実現される。
【実施例4】
【0054】
前述の実施例4のように構成すると、直達光L1のみが太陽電池セル13に集光されて電気に変換され、散乱光L2は集光型太陽電池モジュール10を透過して、他用途面21に入射する。
【実施例4】
【0055】
なお、本発明者は実施例4の構成を基に東京の日射条件を用いた年間シミュレーションを行った。その結果、直達光L1基準のモジュール変換効率(=(セル変換効率)×(直達光L1がセル13に集光する際の光学的効率))が28%以上、且つ、散乱光L2に対する透過率が70%以上あれば、設置スペースへの日射透過量が等しい条件において、従来の固定設置太陽電池(モジュール変換効率17%を仮定)の約2倍の発電量が得られると試算された。これらの入力値は現時点の技術レベルで実現可能な値であり、十分な優位性が得られることが示された。
【実施例4】
【0056】
また、この実施例4では、太陽追尾架台22aをアクティブ(能動的)に制御することによって、他用途面21への日射量を逐次調整できる。また、集光型太陽電池モジュール10が太陽追尾架台22aによって他用途面21の上方に保持されつつその配向や姿勢が変更制御されることにより、本モジュール10が雨よけや雪よけの役目をも果たすため、他用途面21に到達する雪、風、雨等の量をある程度調整できる。さらに、他用途面21から集光型太陽電池モジュール10の裏面を見た際に、ほぼ透明であるため作業者の圧迫感を軽減するという副次的なメリットもある。
【実施例5】
【0057】
次に、実施例5について図5(b)を用いて説明する。
【実施例5】
【0058】
(集光型太陽光発電システムのもう一つの例示)
図5(b)は、本発明の集光型太陽光発電システム20bの構成のもう一つの例(実施例5)を示す。前述の実施例4では2軸太陽追尾架台22aに集光型太陽電池モジュール10を搭載したが、実施例5では1軸太陽追尾架台22bに搭載している。この形態は集光倍率が約100倍以下の場合に適する。
【実施例6】
【0059】
次に、実施例6について図6を用いて説明する。
【実施例6】
【0060】
図6は、本発明の実施例6に係る集光型太陽電池モジュール10dの設置構成例を示す。この実施例6では、前述の実施例2の集光型太陽電池モジュール10bの高透過板12の下面側に低コストな非集光型太陽電池23を設置することにより、本モジュール10dの高透過板12を透過した散乱光L2を電気に変換することができる。つまり、前述の実施例4,5の場合とは異なり、実施例6では、透過した散乱光L2を他用途面21に入射させるのではなく、太陽光発電システム20の総発電量をさらに向上するために利用することができる。
【実施例7】
【0061】
次に、実施例7のモジュール10eについて図7を用いて説明する。実施例7では、前述した「太陽電池セル13への集光太陽光の焦点の位置ズレ」の技術的課題を解消するための一例である。
【実施例7】
【0062】
太陽電池セル13を金属膜回路に実装する方法として、図7(a)及び(b)のようにセル13を、受光ガイド31、導電性のセル取付部材(ダイアタッチ部材)32、絶縁体33、導電製のブリッジ34等の部材とを予め(別工程で)一体化したセルパッケージ30を複数用意し、パッケージ下面(本実施例では、ブリッジ34の下面)に正負の電極平面が接続される構造としておく。受光ガイド31と導電性ブリッジ34との間も絶縁体によって絶縁されてある。このセルパッケージ30を、予め接続箇所にハンダ35を塗布しておいた金属膜14上にマウントし、リフロー炉等で加熱することによって接着が完了する。前述の実装方式を採用すると、多数のセルパッケージ30の実装をロボット等で高速に行えるため大量生産に適する。
【実施例7】
【0063】
また、セルパッケージ30内の受光ガイド31は、集光器11によって集光された太陽光を反射させて太陽電池セル13の受光面へ案内する反射面31aをさらに備える。図示の反射面31aは、太陽電池セル13に向かって狭まりながら傾斜した傾斜面である。この傾斜面の形状はセル13の形状が四角形の場合は四角錐形状、円形の場合は円錐形状が好ましい。また回転複合放物面形状などでも良い。また反射面31aはアルミニウムや銀等の蒸着や高反射率のめっきなどの処理によって鏡面反射率を80%以上にすることが望ましい。これにより、集光器11によって集められた太陽光の焦点がセル13の発電有効面よりも若干ずれた場合でも受光ガイド31の反射面31aでの反射作用によって一定割合の光を捕捉してセル13に入射させることが可能となる。
【実施例8】
【0064】
次に、実施例8について図7(c)を用いて説明する。実施例8では、前述した「太陽光の焦点の位置ズレ」の課題だけでなく、前述した「放熱性能の促進・向上」の課題を解決するための一例である。
【実施例8】
【0065】
実施例8に係るセルパッケージ30は、実施例7と略同様の構成を採用するが、図7(c)に示すように、セル温度の低減のために受光ガイド31(好ましくは、アルミニウム製)の一部を突起させた放熱フィン36を設けていることを特徴とする。なお、透過率を維持しつつ放熱性能を向上するために、セルパッケージ30を真上から見たときの放熱フィン36の投影面が、金属膜14上にほぼ重なるになるように配置することが望ましい。
【実施例9】
【0066】
次に、実施例9について図8を用いて説明する。前述の実施例8と同様に更なるセル温度の低減を目的とするが、実施例9のモジュール10fでは、高透過板12の厚さを薄くして熱抵抗を低減し、その剛性を維持するためにハニカム構造材37を高透過板12の下面に貼り付ける。なお、ハニカム構造材37の材料にはアルミニウム等の金属の他、透明樹脂を用いても良い。金属の場合は不透明となるのでハニカム構造材37の高さ(厚さ)を抑える必要がある。また、ハニカム構造材37の設置によって放熱面積も増加できる。
【実施例10】
【0067】
次に、実施例10について図9を用いて説明する。実施例10も、実施例8,9と同様様の作用効果(放熱性能の向上)を得ることを目的に創作されたものである。
【実施例10】
【0068】
ガラス板等の高透過板12の板厚は、モジュール10の剛性を確保するためには3~5mmが必要であり、高透過板12の上側に太陽電池セル13を配置すると、太陽電池セル13と高透過板12と外気との間の熱抵抗が高いため、セル13が高温になりやすい。
【実施例10】
【0069】
そこで実施例10のように、太陽電池セル13と高透過板12と外気との間の熱抵抗を格段に軽減するために、高透過板12の下側に金属膜14と太陽電池セル13とを配置する構成を創作した。つまり、実施例10では、受光ガイド31等の部材と太陽電池セル13とを予め一体化したセルパッケージ30が複数構成され、封止材38によって該セルパッケージ30が高透過板12の受光面とは反対側の面上に分散的に封止される。なお、符号34bは、導電性ブリッジ34と金属膜14との間を接続する導電体である。
【実施例10】
【0070】
この実施例10の構成によると、モジュール剛性を気にせずに封止材38の厚さを任意に調整することができるため、図9(b)のようにセル13位置から外気までの距離LAを、高透過板12の上側に太陽電池セル13を配置した場合の距離LB(図7(b)参照)よりも、格段に短くできる。これにより放熱量を増大させることができ、セル温度が低減する。
【実施例10】
【0071】
また、セルパッケージ30の近傍に図示しない放熱フィンやヒートスプレッダー等を付与することも可能である。ヒートスプレッダーにはグラフェンシートなど面方向の熱伝導率が高い薄膜等を使用するのが好ましい。封止材38の外気側表面には防汚コーティングや傷に強いハードコート等の処理も行える。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、限られた土地面積において太陽光発電と農地などの他の太陽光利用を両立する手段として有望である。散乱光は透過しながらも、直達光を集光して高効率に電気に変換でき、従来PVモジュールと比較して、日射透過量に対する発電量の比率が高いため、産業上の利用価値及び産業上利用できる可能性が非常に高い。
【符号の説明】
【0073】
10(10a~10g) 集光型太陽電池モジュール
11 集光器
12 高透過板
13 太陽電池セル
14 金属膜
15 金属ワイヤ
17 空気層
18 透明導電膜
20(20a,20b) 集光型太陽光発電システム
22a 2軸太陽追尾架台
22b 1軸太陽追尾架台
23 第2の太陽電池
30 セルパッケージ
31 受光ガイド
31a 受光ガイドの反射面
36 放熱用フィン
37 放熱用ハニカム構造体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8