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明細書 :宿泊情報提供システム及び宿泊情報提供方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-075995 (P2016-075995A)
公開日 平成28年5月12日(2016.5.12)
発明の名称または考案の名称 宿泊情報提供システム及び宿泊情報提供方法
国際特許分類 G06Q  30/06        (2012.01)
G06Q  50/12        (2012.01)
G06Q  10/02        (2012.01)
G06F  13/00        (2006.01)
FI G06Q 30/06 130
G06Q 50/12 110
G06Q 10/02
G06F 13/00 540B
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2014-204254 (P2014-204254)
出願日 平成26年10月2日(2014.10.2)
発明者または考案者 【氏名】曽根原 登
【氏名】一藤 裕
出願人 【識別番号】504202472
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100097320、【弁理士】、【氏名又は名称】宮川 貞二
【識別番号】100100398、【弁理士】、【氏名又は名称】柴田 茂夫
【識別番号】100131820、【弁理士】、【氏名又は名称】金井 俊幸
【識別番号】100155192、【弁理士】、【氏名又は名称】金子 美代子
審査請求 未請求
テーマコード 5B084
5L049
Fターム 5B084AA26
5B084AA29
5B084AB04
5B084BA04
5B084BB14
5B084CA03
5B084CA04
5B084CB06
5B084CB22
5B084CD26
5B084DB02
5B084DC02
5B084DC07
5B084DC18
5L049AA03
5L049BB53
5L049CC25
要約 【課題】ウェブ空間の観光関連サイトから宿泊情報を横断的に収集し、統合して情報提供する宿泊情報提供システムを実現する。
【解決手段】本発明に係る宿泊情報提供システム1は、複数のウェブサイトから宿泊施設の空室データ及び/又は予約データを含む宿泊情報を収集し、宿泊データ記憶部21に記憶させるデータ収集部11と、データ収集部11にて異なるウェブサイトから収集された空室データ及び/又は予約データが同一宿泊施設の同一プランの共通データであるか否かを判定するプランデータ統合可否判定部132と、プランデータ統合可否判定部132にて同一プランの共通データであると判定された空室データ及び/又は予約データを統合する共通プランデータ統合部133とを備える。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
複数のウェブサイトから宿泊施設の空室データ及び/又は予約データを含む宿泊情報を収集し、宿泊データ記憶部に記憶させるデータ収集部と;
前記データ収集部にて異なるウェブサイトから収集された前記空室データ及び/又は予約データが同一宿泊施設の同一プランの共通データであるか否かを判定するプランデータ統合可否判定部と;
前記プランデータ統合可否判定部にて前記同一プランの共通データであると判定された空室データ及び/又は予約データを統合する共通プランデータ統合部とを備える;
宿泊情報提供システム。
【請求項2】
前記共通プランデータ統合部で統合された空室データ及び/又は予約データを用いて、宿泊日前の空室の状況又は予約が満室になる日を予測する空室状況予測部を備える;
請求項1に記載の宿泊情報提供システム。
【請求項3】
前記プランデータ統合可否判定部は、異なるウェブサイトから収集された2つのプランの空室データ及び/又は予約データの差異の総和を比較度数又はその近似値で除したものが誤差の閾値ε以下である場合に、前記同一プランの共通データであると判定する;
請求項1又は請求項2に記載の宿泊情報提供システム。
【請求項4】
前記プランデータ統合可否判定部は、異なるウェブサイトから収集された各プランの空室データ及び/又は予約データとして所定の時間間隔で採取された空室データ群及び/又は予約データ群を用いる;
請求項3に記載の宿泊情報提供システム。
【請求項5】
前記プランデータ統合可否判定部は、同一プランの共通データであるか否かを判定する際に、前記提供プランの総数と総部屋数との大小関係を参照する;
請求項3又は請求項4に記載の宿泊情報提供システム。
【請求項6】
前記空室データ及び/又は予約データは地域単位に収集したデータである;
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の宿泊情報提供システム。
【請求項7】
複数のウェブサイトから宿泊施設の空室データ及び/又は予約データを含む宿泊情報を収集し、宿泊データ記憶部に記憶させるデータ収集工程と;
前記データ収集工程にて異なるウェブサイトから収集された前記空室データ及び/又は予約データが同一宿泊施設の同一プランの共通データであるか否かを判定するプランデータ統合可否判定工程と;
前記プランデータ統合可否判定工程にて前記同一プランの共通データであると判定された空室データ及び/又は予約データを統合する共通プランデータ統合工程とを備える;
宿泊情報提供方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は宿泊情報提供システムに関する。詳しくは、地域等の宿泊データを収集、統合し、統合した宿泊情報を表示する宿泊情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及およびスマートフォンなどの携帯端末の高性能化により、ウェブサイトを通じて宿泊施設の予約を行うことが一般的となっている。ウェブ空間には多数の観光関連サイトがあり、各サイトで個別に旅館・ホテルの宿泊情報(空室情報及び又は予約情報を含む)を提供している。発明者達は観光政策決定支援を実現することを目的として研究を行い、これらの予約データを横断的に収集し加工することにより、宿泊施設の稼働率変化のように政府の観光政策決定のための統計データに匹敵するデータを得られることを明らかにした。また、収集したデータから、空室情報の予測や収益の予測も期待できる。これらの情報は、自治体、宿泊施設にとって有益であり、また、観光、災害対策、宿泊施設の経営改善や地域商業施設との連携等を介した地域振興に役立てられる。そこで、ウェブ空間の観光関連サイトの情報を統合して提供する宿泊情報提供システムを構築することとした。
【0003】
図11に従来の観光サイトの宿泊情報例を示す。例えば、利用者が地域を選択するとホテルの一覧が示され、次にホテルの一覧からホテルXを選択すると、図11に示すように、状況(予約済か、受付中か)、室種(ダブル、ツイン、シングル等)、空室数、締切日、価格等が表示される(特許文献1参照)。利用者はこれらの情報を比較して、自己の意図に適合するホテルと宿泊プランが見つかれば、例えばマウスで宿泊プランの行を選択し、予約ボタンを押して予約する。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2001-250006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウェブ空間には複数の観光関連サイトがあり、それぞれ、利用者に対して独立に宿泊施設の予約情報を提供している。また、各観光関連サイトの情報内容は様々で統一されておらず、同一宿泊施設の情報についても同一内容とは限らない。利用者にとっては地域全体の横断的な情報を把握でき、その中から自己の意図に最も適合する宿泊施設と宿泊プランを選択できるのが好ましいのであるが、これを実行しようとすると複数の観光関連サイトにアクセスして比較検討しなければならず、多大の時間と労力を要するという問題があった。また、自治体や商工機関が地域振興の企画を検討する場合にも、地域全体の横断的な情報を把握するには、多大の時間と労力を要するという問題があった。
本発明は、ウェブ空間の観光関連サイトから宿泊情報を横断的に収集し、統合して情報提供する宿泊情報提供システム及び宿泊情報提供方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る宿泊情報提供システム1は、例えば図3に示すように、複数のウェブサイトから宿泊施設の空室データ及び/又は予約データを含む宿泊情報を収集し、宿泊データ記憶部21に記憶させるデータ収集部11と、データ収集部11にて異なるウェブサイトから収集された空室データ及び/又は予約データが同一宿泊施設の同一プランに係る共通データであるか否かを判定するプランデータ統合可否判定部132と、プランデータ統合可否判定部132にて同一プランの共通データであると判定された空室データ及び/又は予約データを統合する共通プランデータ統合部133とを備える。
【0007】
ここにおいて、宿泊施設には、典型的には旅館、ホテル、ビジネスホテルが含まれる。この他、ビッグイベント時には民宿を含めても良く、災害等の緊急避難時には、学校・公民館等の公的機関、公営住宅の空室を臨時宿泊施設とすることができる。また、宿泊情報には、宿泊施設名、住所、連絡先、プラン、室数、収容人数、宿泊価格、空室情報及び/又は予約情報、日毎の宿泊状況が含まれる。空室情報(日毎の空室数等)と予約情報(日毎の予約数等)とは部屋数等を介して一方から他方に変換可能である。また、宿泊者の属性(性別、年齢、住所、嗜好情報等)、関連性の強い観光施設情報等を含めても良い。また、共通データとは同一宿泊施設の同一プランに係るデータで異なるサイトに掲載されたデータをいう。本来同一内容のはずであるが、サイトからの取得時間の差異等により取得されたデータ内容が異なることもある。プラン名が異なっても実質同一のデータも含む。同一宿泊施設の同一プランの共通データであるか否かの判定は、例えば一定期間内における空室データ及び/又は予約データが同一であるか否かを比較し、差異がない又は差異が所定の閾値内に収まれば同一と判断することにより行なわれる。また、データ統合とは、複数のサイトに存在する同一宿泊施設の同一プランに係る共通データ又は共通データ群を一つのデータ又は一つのデータ群にまとめることを意味する。データ統合は、例えば空室数の多い方のプランを選択する等により行われる。空室数の少ない方のプランは空室数の多いプランに内包されると考えられるからである。また、期間を長くとれば誤差が小さくなり、誤差を吸収できる。
本態様のように構成すると、ウェブ空間の宿泊情報を横断的に収集し、統合して情報提供する宿泊情報提供システムを実現できる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る宿泊情報提供システム1は、第1の態様において、例えば図3に示すように、共通プランデータ統合部133で統合された空室データ及び/又は予約データを用いて、宿泊日前の空室の状況又は予約が満室になる日を予測する空室状況予測部141を備える。
このように構成すると、宿泊施設において、宿泊日前の空室の状況や満室日の予測ができるので、以後の業務を調整できる。
【0009】
本発明の第3の態様に係る宿泊情報提供システム1は、第1の又は態様第2の態様において、プランデータ統合可否判定部132は、異なるウェブサイトから収集された2つの宿泊プランの空室データ及び/又は予約データの差異の総和を比較度数又はその近似値で除したものが誤差の閾値ε以下である場合に、同一プランの共通データであると判定する。
ここにおいて、空室データ及び/又は予約データの差異の総和は例えば式(3)で示されるように、差異のある要素の数となり、この総和を比較度数又はその近似値で除したものを誤差として閾値と比較している。例えば比較度数がnのとき、n±1は近似値といえ、近似値を用いても誤差の値に大差ない。このように構成すると、比較対象である2つの宿泊プランの空室データ及び/又は予約データが同一プランの共通データである確率が高いので、統合データの信頼性が高くなる。
【0010】
本発明の第4の態様に係る宿泊情報提供システム1は、第3の態様において、プランデータ統合可否判定部132は、異なるウェブサイトから収集された各プランの空室データ及び/又は予約データとして、所定の時間間隔で採取された空室データ群及び/又は予約データ群を用いる。
所定の時間間隔として、間隔が短ければ短い程状況把握をより正確にすることができるが、アクセス頻度が高くなり、システムの負荷が増加する。アクセス頻度とデータの正確さの兼ね合いから0.5日~3日間隔が適切であり、1日間隔がより適切である。空室情況の経緯が把握できる間隔なら良く、満室日や当日の空室数が予測できれば、宿泊施設側でその後の業務を調整できるのでより好ましい。また、システムで自動的にデータを取得するが、全ての情報を瞬間的に収集することはできないので、データの取得タイミングに差異が生じ得る。しかし、タイミングが異なったとしても、差異が1時間程度であれば、閾値の設定で取得タイミングのずれを吸収できる。すなわち、取得タイミングの時間差内に予約が入ることが連続で起こる確率は小さく、閾値εを高く設定すればタイミングの差異による誤差を吸収できる。また、データは取得漏れにより100%取得できなくても、例えば宿泊施設データの80%以上が統合可否判定の対象として用いられれば良い。また、採取期間を長くすれば予測の正確度が増すがコンピュータの負荷も増加する。また、20日を経過すると図4の○印のような不正確さを内包するデータが増加するので好ましくない。その兼ね合いから、10日~20日が望ましく、13日~17日がより望ましい。なお、空室データと予約データは互換性があるので、空室データとして予約データ群を用いることも、予約データとして空室データ群を用いることも可能である。
このように構成すると、空室データ群同士を比較するので、同一プランの共通データであれば誤差が小さくなり、同一プランの共通データであるか否かの判定がし易くなる。
【0011】
本発明の第5の態様に係る宿泊情報提供システム1は、第3又は第4の態様において、例えば図5に示すように、プランデータ統合可否判定部132は、同一プランの共通データであるか否かを判定する際に、提供プランの総数と総部屋数との大小関係を参照する。
このように構成すると提供プランの総数と総部屋数との大小関係を参照することによりデータ統合を進めるので、宿泊施設の部屋数に見合った信頼性の高いデータ統合結果を得られる。
【0012】
本発明の第6の態様に係る宿泊情報提供システム1は、第1ないし第5のいずれかの態様において、空室データ及び/又は予約データは地域単位に収集したデータである。
このように構成すると、地域全体に亘って統合を行うので、利用者は地域全体の情報を見て宿泊を予約できる。また、公共機関では地域全体の情報を見て地域振興策を検討できる。
【0013】
本発明の第7の態様に係る宿泊情報提供方法は、例えば図5に示すように、複数のウェブサイトから宿泊施設の空室データ及び/又は予約データを含む宿泊情報を収集し、宿泊データ記憶部に記憶させるデータ収集工程(S001)と、データ収集工程(S001)にて異なるウェブサイトから収集された空室データ及び/又は予約データが同一宿泊施設の同一プランの共通データであるか否かを判定するプランデータ統合可否判定工程(S008)と、プランデータ統合可否判定工程(S008)にて同一プランの共通データであると判定された空室データ及び/又は予約データを統合する共通プランデータ統合工程(S010,S011)とを備える。
ここにおいて、空室データ及び/又は予約データは空室数に限られず、例えば予約可能人数等、空室数を推定できる情報であっても良い。本態様のように構成すると、ウェブ空間の宿泊情報を横断的に収集し、統合して情報提供する宿泊情報提供方法を実現できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ウェブ空間の宿泊情報を横断的に収集し、統合して情報提供する宿泊情報提供システム及び宿泊情報提供方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ウェブデータ収集および統合の意義を説明するための図である。
【図2】宿泊施設のデータとウェブデータとの関係を説明するための図である。
【図3】実施例1におけるシステム構成例を示す図である。
【図4】宿泊ホテルのプランの空室情報の例を示す図である。
【図5】実施例1におけるデータ統合の処理フロー例を示す図である。
【図6】ホテルの空室情況をマッピングした例を示す図である。
【図7】地域全体の稼働率データを折れ線グラフにプロットした例を示す図である。
【図8】ウェブデータから日々の空室状況を予測した例を示す図である。
【図9】ウェブデータから日々の料金を予測した例を示す図である。
【図10】実施例5におけるデータ統合の処理フロー例を示す図である。
【図11】従来の観光サイトの空室情報例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して以下に本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。

【0017】
〔宿泊データを統合する意義〕
図1はウェブデータの収集および統合の意義を説明するための図である。現在、ビッグデータの利用が国際的に広がっており、我が国でもウェブデータを利用した観光経済支援システムの構築が求められている。ウェブ空間には複数の観光関連サイトA,B,C・・・があり、それぞれ、宿泊施設(ホテル等)、自治体、観光協会等から情報(観光施設や交通の情報を含む)を収集し、個人の利用客に対して独立に宿泊施設の空室情報及び/又は予約情報を提供している。また、予約を受け付け、受け付けた予約情報を宿泊施設に還元している。しかしながら、複数の観光関連サイトA,B,C・・・の情報内容は様々で統一されておらず、同一宿泊施設の情報についても同一内容とは限らない。

【0018】
ところで、例えば政令指定都市Kの観光経済施策を検討する場合には、都市K全体の宿泊施設を網羅したデータベースを有し、統計データを作成して企画することが望ましい。利用者にとっても、都市K全体の予約情報を見渡した上で予約の是非を判断できるので便宜である。そこで、ウェブ空間にある宿泊施設の情報を横断的に収集し、宿泊施設の予約の状態変化を観測することとした。これらの横断的に収集された情報は、観光情報としては、施設情報、料金情報、空室情報及び/又は予約情報、観光情報を含むものである。また、これらの情報は観光に限定されず、災害情報、交通情報、イベント情報等にも利用可能である。なお、ウェブデータの活用には、データの信頼性が重要である。

【0019】
図2は宿泊施設のデータとウェブデータとの関係を説明するための図である。図2(a)は1つの宿泊施設における日ごとの予約成立数の変化の例を示す図、図2(b)は総予約成立数の変化を示す図、図2(c)はウェブ上に公開され取得可能なデータを説明するための図、図2(d)は収集されたデータから観測できる範囲を説明するための図である。図2(a),(b)において、横軸は時間tを示し、その数値は宿泊日当日前の日数を示す。0は宿泊日当日を示す。図2(a)の縦軸は予約成立数r、図2(b)の縦軸は総予約成立数Σrで、図2(a)の予約成立数rを累積したものである。ところで、図2(a),(b)は宿泊施設側が所有する数値情報を端的に表したものであるが、ウェブ上にはそのままの形式で公開されていない。利用客にとって宿泊予約ができるかどうかが重要であり、正確な空室数は必要ない。そのため、例えば図2(c)に示すように、記号を交えて公開される。空室数表示は例えば、満室時は×、予約を受け付けない場合(予約期間が経過したデータ)は-を表示する。空室が有るが、空室数が例えば11以上と多数の場合は○で示す。空室が有るが、空室数が残り少ない場合は、利用客には詳細な情報として具体的な空室数が提示される。例えば1~10等と残りの空室数を表示する(図4参照)。

【0020】
図2の中央の一点鎖線は、現実世界(宿泊施設側が持つ正確なデータ)とそれを反映するウェブ世界の境界線であり、一点鎖線の右側では、いわばフィルタ通過後のように必要ない情報を省略して示している。図2(c)のデータを例えば地域全体で収集し、例えば宿泊施設別、宿泊プラン別に整理し、並び替えて予約成立数を累積すると、図2(d)のようなグラフを得られる。図2(d)において、横軸は時間tを示し、その数値は宿泊日当日前の日数を示す。0は宿泊日当日を示す。縦軸は空室の数値情報を蓄積したもの及びその変化量(蓄積情報を微分したもの)を示す。見えない変化領域とは省略された情報で形成されていることを示すものである。プラン毎に図2(d)が得られる。1つのプランが複数のサイトに掲載されているので、収集された宿泊情報には同一のプランが混在する。ところで、同一のプランはプランの名称等に拘わらず同一の客室を参照しているプランなので、同じ変化量を示し、異なるプランであれば違う変化量を示す可能性が高い。そのため、同じ変化量を示したプランは統合し、それ以外のものはそのまま残す。そして、図2(d)のデータを統合すると、地域全体のデータについて、図2(b)のように総予約成立数の変化を推測することができる。

【0021】
これまで、空室の数値情報の蓄積データは観光関連サイト毎に行われており、宿泊プラン毎に表示されるものの、地域全体の情報は見えなかった。ところで、地域全体の情報を収集し、統合するとこれまで観測できなかった地域全体の情報を観測できるようになる。そして、地域全体の統計情報を用いると、政令指定都市の観光経済施策、災害対策情報等に利用でき、宿泊施設の宿泊予測についてもより信頼性の高い予測を得ることができる。
【実施例1】
【0022】
〔システム構成〕
図3に本実施例におけるシステム構成例を示す。本実施例に係る宿泊情報提供システム1は、ウェブから宿泊に関する情報(空室データ及び/又は予約データを含む)を収集するデータ収集部11、データ収集部11にて収集したデータを利用に供するために編集するデータ編集部12、データ収集部11にて収集したデータのうち、同一宿泊施設の同一プランに係る共通データを統合するデータ統合部13、データ統合部13にて統合されたデータ及び予測アルゴリズムを用いて空室状況等を自動的に予測する自動予測部14、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力機器を用いてシステムを操作する操作部15、宿泊情報提供システム1全体及び各部を制御して、宿泊情報提供システム1としての機能を発揮させる制御部16、ウェブから得られた宿泊情報、又は宿泊情報提供システム1で編集・加工された情報をディスプレイに表示する表示部17、及び宿泊情報提供システム1に係る宿泊情報を記憶する記憶部20を備える。また、データ収集部11、データ編集部12、データ統合部13、自動予測部14、操作部15及び制御部16はパーソナルコンピュータ(PC)10内に構成可能である。
【実施例1】
【0023】
データ統合部13は、観光関連サイトA,B,C・・・に共通して存在する同一宿泊施設の同一プランに係る共通データを統合する。データ統合部13は、を各プランについて図2(d)のような空室情報の時間的変化を求める空室情報変化量算出部131、空室情報変化量算出部131で算出された各プランどうしの時間的変化を比較して比較した2プランが統合可能か否かを判定する、すなわち、一定期間内における空室データ及び/又は予約データが同一であるか否かを判定するプランデータ統合可否判定部132、及びプランデータ統合可否判定部132で統合可能と判定された共通プランの空室データ及び/又は予約データを統合処理する共通プランデータ統合部133を有する。自動予測部14は、空室状況を自動的に予測する空室状況予測部141を有する。データ編集部12は例えばデータの分類やホテル空室情報のマッピング、稼働率の算出のためのデータの編集を行う。
【実施例1】
【0024】
記憶部20は、データ収集部11で収集された宿泊情報(宿泊料金情報、空室情報及び/又は予約情報を含む)を記憶する宿泊情報記憶部21、データ統合部13で統合された宿泊情報(同上)を記憶する統合情報記憶部22、自動予測部14で予測された予測情報(同上)を記憶する予測情報記憶部23、及びデータ編集部12で編集中の情報や各部で処理中の情報を記憶する編集情報記憶部24を有する。
【実施例1】
【0025】
〔データ統合〕
宿泊施設は多くのユーザに利用してもらうために、複数のサイトに宿泊情報を提供している。また、利用者の利用目的の多様化に応じて、複数のプランを用意しているため、提供プラン数が部屋数よりも多い場合がある(複数のプランで同一の部屋を予定している場合がある)。さらに、サイト独自のプランの提供もあることから、単純にプランを収集するだけでは、全体がつかめない。
また、取得時間に関する問題も存在する。複数のサイトからデータを収集するため、取得時間を完全に一致させることは難しい。そのため、同じプランであっても、サイト間の取得時間の誤差の間に予約が成立するなどして、空室数が異なる場合もありうる。
これらの問題を解決するために、宿泊情報(予約データ)の統合方法を確立する。
【実施例1】
【0026】
図4は宿泊ホテルのプランの空室情報の例を示す図で、収集済みの宿泊予約データがカレンダーデータ形式で表示されている。2012年1月の予約情況の例で、1月11日~2月4日の25日間のデータが表示されている。図4において、「〇」は空室が10以上ある情況、「1~9の数値+室」が記載の日は、空室数が1~9室である情況、「×」は満室になっている情況、「-」は予約を受け付けない情況(予約期間が経過した情況)であることを示す。なお、これらは1例であり、例えば宿泊ホテルにより、「〇」が5室以上の場合もある。データ収集部11で収集された宿泊情報(空室データ及び/又は予約データを含む)は、宿泊プランごとに宿泊情報記憶部21に保存され、閲覧時等、表示が求められた時に表示部17のディスプレイ画面にカレンダーデータ形式で表示される。
【実施例1】
【0027】
データ統合を行うに際し、データ収集部11にて複数サイトから取得したデータが共通プラン(同一宿泊施設の同一プラン)の共通データか、非共通プランの非共通データかを判定する必要がある。共通データとは同一宿泊施設の同一プランに係るデータで異なるサイトに掲載されたデータをいう。本来同一内容のはずであるが、サイトからの取得時間の差異等により取得されたデータ内容が異なることもある。プラン名が異なっても実質同一のデータも含む。また、データ統合とは、複数のサイトに存在する同一宿泊施設の同一プランに係る共通データ又は共通データ群を一つのデータ又は一つのデータ群にまとめることを意味する。
本実施例では、プランデータ統合可否の判定を2つの別の判定方法を組み合わせて行う。まず、第1のプランデータ統合可否の判定について説明する。宿泊情報記憶部21に記憶されている各プランの空室データについて、空室情報変化量算出部131にて空室情報の時間的変化を求めておく。次に、プランデータ統合可否判定部132にて、2つのプランの宿泊データの空室情報の時間的変化を比較して、統合可能か否かを判定する。実際は共通プランであっても、サイト情報に誤記がある場合の他、サイト側又はデータ統合を行う側の取得時間の差異により誤差が生じることもある。また、複数のプランで同一の部屋を予定している場合もある。サイトから取得可能なデータには、ホテル名、住所、電話番号、提供プラン、料金、予約可能数(又は空室数)等がある。例えば、データ収集部11では1日1回各対象サイトから定時に収集を開始する。例えば、対象サイトのホテルIDを利用し、人数を指定(1~3人)し、取得日から1週間までの予約可能プラン一覧を取得する。取得した各プランの空室数(予約可能室数)情報、料金情報を翌月まで取得する。よって、データ取得日数Nとして、最少で29日、最大で62日後までの空室数を取得することができる。統合の可否判定には宿泊日からn日前までのデータを用いる(n<N)。その中で、データ編集部12では、例えばプラン名および宿泊予定人数が完全に一致するプランを共通プラン候補として抽出し、プランデータ統合可否判定部132にて統合可能か否かの判定を行う。
【実施例1】
【0028】
データ編集部12にて、宿泊情報記憶部21に記憶されている空室数データをプラン毎にグループ分けする。例えば、あるプランpのある日付dのi日先(前日)の空室数をrpj,dとする。まず、この空室数データを予約日までの変化が見えるように、並び替える。具体的には、予約日を固定し、当日の空室数、1日前の空室数、2日前の空室数、・・・を取得し、一つの空室数データ群として取り扱う。
d日を対象予約日としたとき、あるホテルh、プランpの空室数について時間的に変化するデータを集めた(グループ化した)データ群をR(p,d)とする。宿泊情報記憶部21に空室数データ群 R(p,d)を格納するエリアA(p,d)を設ける。空室数データ群R(p,d)は、次のようにしてグループ化される。データ編集部12にて、予約日当日の空室数をrpj,dを取得し、エリアA(p,d)に格納する。宿泊情報記憶部21から、1日前のデータとして、(d-1)日に取得したd日の空室数データrpj,(d-1)を抽出し、2日前のデータとして、(d-2)日に取得したd日の空室数データrpj,(d-2)を抽出し、・・・同様に、n日前のデータとして(d-n)に取得したd日の空室数データrpj,(d-n)を抽出し、エリアA(p,d)に格納する。
その結果、プランpのd日の空室数データ群R(p,d)は宿泊情報記憶部21のエリアA(p,d)に格納され、以下のように表わされる。
【数1】
JP2016075995A_000003t.gif
かかるデータ群へのグループ化処理を、ホテル毎、全てのプランについて行い、グループ化された空室数データ群をそれぞれ、宿泊情報記憶部21の各エリアA(p,d)に格納する。つまり、プラン毎にデータ群が形成され、それぞれ対応するエリアに格納される。ただし、データを収集した段階で、まだ統合されていないので、複数のプランの中には、実質同一のデータ群が混在する。つまり、この段階では、実質同一のグループが混在する。
【実施例1】
【0029】
次に、宿泊情報記憶部21の複数のエリアA(p,d)に格納された各データ群(h、pが異なるデータ群を含む)について、共通プラン(同一宿泊施設の同一プラン)の共通データか、非共通プランの非共通データかの判定を行う。ホテルが複数のサイトに提供するプランの中には、同一プラン、異なるプラン、プラン名が異なるが実質的に同一プランであるもの等が混在している。そこで、データ編集部12では、宿泊予定人数と部屋の種類(シングル、ツイン、ダブル)をキーとして宿泊情報記憶部21の各エリアに格納されたプランを分類する。
【実施例1】
【0030】
まず、プラン名および宿泊予定人数が完全に一致する場合を取り扱う。データ編集部12では、プラン名および宿泊予定人数が完全に一致するプランを、共通プラン候補として抽出し、プランデータ統合可否判定部132では、予約可能数(空室数)を比較して完全に一致するか評価する。完全に一致すれば同一宿泊施設の同一プランの共通データであるとみなし、共通プランデータ統合部133で1つのデータ群に統合する。ただし、サイト情報に誤記がある場合、又は取得タイミングのずれによって誤差が生じる場合が考えられるため、誤差に閾値を設けて、誤差が閾値以内であれば一致するとみなして、1つのデータ群にまとめることとする。
【実施例1】
【0031】
データ編集部12にて、宿泊情報記憶部21に記録されたデータのうち、宿泊日がd日に存在する総プラン数から任意の2つのプランを選択する。次に、プランデータ統合可否判定部132にて、選択した2つのプランのデータ群R(p,d)の比較を行い、統合の可否を判定する。サイトAのプランiをp、サイトBのプランjをpとする。予約可能プラン数群をRとする。サイトAのプランiは、予約可能プラン数群R(p)=〔diA,diA,diA,・・・,diA|29<=N<=62〕で表される。同様に、サイトBのプランjの予約可能数群もR(p)=〔djB,djB,djB,・・・,djB|29<=N<=62〕となる。統合の可否判定には宿泊日からn日前までのデータを用いる(n<N)。各項目の比較は、一致か不一致かの2値を取り、f(diA,djB)=〔0,1〕(一致:0、不一致:1)とする。統合の可否は、各データ群の要素diAとdjB(0<=m<=n)との比較で決定する。2つのプランp,pの要素diAとdjBの差分をδX(i,j)とすると、2つのプランp,p間における要素diAとdjBの差分δxは次のように書ける。ここでmは当日から何日前かを表している。
【数2】
JP2016075995A_000004t.gif
δX(i,j)=〔δx,δx,δx,・・・δx

δx=rik,d-rjk,d ・・・(2)

【実施例1】
【0032】
すべての要素mについて比較を行い、差分δは以下の式で算出する。空室データ及び/又は予約データの差異の総和は例えば式(3)で示されるように、差異のある要素数となり、この総和を比較度数で除したものを誤差として閾値と比較している。比較度数はn+1であるが、除数に近似値を使用しても誤差の値に大差ない。例えば比較度数がnのとき、n±1は近似値といえる。

統合の式: δ={Σm=0δX(i,j)}/(n+1) ・・・(3)


δが閾値ε以下の場合、プランデータ統合可否判定部132にて同一宿泊施設の同一プランと判定する。次に、共通プランデータ統合部133にて、2つのプランp,pを比較し、プランpの日付dのi日先の空室数rpj,dが大きい方のプランを残す。統合後のデータは統合情報記憶部22に保存する。空室数が大きい方のプランを残すのは、空室数の少ない方のプランは空室数の多いプランに内包されるからである。また、期間を長くとれば誤差が小さくなり、誤差を吸収できる。この場合、各要素ごとに空室数の多いプランを残すが、期間全体で空室数の多いプランを残しても良い。
例えば、15日分のデータで統合する場合、差分データは15個のデータ群となる。
プランA a0,a1,a2,a3,a4,a5,a6,・・・・・,a14
プランB b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,・・・・・,b14
2つのプランについて、各日々のデータの比較を行う。a0とb0、a1とb1、・・・a14とb14を比較する。2つのプランが同じ部屋を参照しているのであれば、すべて一致するはずであるが、取得タイミングの時差の関係で、一部ずれる可能性がある。その場合、例えば、a8とb8の部分が異なることとなるが、15個のうちの1つだけしか違いがないため、このような差は、全体に比べ小さいので、誤差として吸収されてしまう。また、期間を長くとれば誤差が小さくなり、誤差を吸収できる。
【実施例1】
【0033】
このように、2つのプランを選択して変化量を求め、データ群R(p,d)について各要素m(0~n)を比較し、完全に一致すれば統合し、そうでなければ残すという作業を繰り返す。これを繰り返し、一致するものがなくなった後、m=0の日(宿泊当日)の予約可能数の総和がホテルの部屋数より小さければ(さらに統合する必要性はなくなるので)終了し、そうでなければ要素mが異なるものを1つずつ増やして、つまり誤差の閾値εを少しずつ増やして統合するということを繰り返し行う。ここでは、宿泊日がd日に存在する総プラン数から任意の2つのプランを選択し、統合の可否を判定し、可のものについては統合する。これを総当たりで行う例を説明した。もし3つ以上のプランを選択したとしても、実質的には2つのプランの比較を複数回行うこととになるので、2つのプランを選択して総当たりで行う方法に包含されるといえる。
以上の処理により、第1のプランデータ統合可否の判定の結果として、第2のプランデータ統合可否の判定で取り扱う対象となるプラン(空室数データ群)が定まる。
【実施例1】
【0034】
次に、第2のプランデータ統合可否の判定について説明する。第2のプランデータ統合可否の判定対象として定められたプランデータから空室数を求めるための処理を行う。この処理は共通プランデータ統合部133にて行われる。利用者の多様なニーズに対応するために、ホテルは複数のプランを提示する。このため、提供されるプランと実際の残り部屋数(空室数)が異なる場合が生じ得る。提供されるプランはホテルにより次の2パターンに分類される。
(1)提供プラン数<=部屋数
(2)提供プラン数>部屋数
そこで、プラン数の総和とホテルの総部屋数の比較を行い、2つのタイプに分類する。まず、前処理で行った対象プランの予約可能数の総和を求め、その宿泊施設の総部屋数との比較を行う。
プランは、必ずしも正確な予約可能数が公開されている訳ではなく、例えば図4のカレンダー型データの予約可能数の欄に〇等の記号で表示され、注釈で10室以上と表記される。そこで、〇等の記号で表示される場合は、注釈を利用して数値化する。また、その際、「10室以上」は「以上」を削除して、数値化する。勿論、正しい室数が把握できていれば、その室数を用いる。また、複数のプランで同一の部屋を参照している場合については、そのうちの1つのプランが予約されると、他のプランの予約可能数も同じ数だけ減少する。このように数値化した結果を用いて、次の処理を行う。
【実施例1】
【0035】
(1)提供プラン数<=部屋数の場合、このパターンは旅館等に多くみられる。この場合、提供プラン数を超える部屋数を空室数とみなして利用する。
(2)提供プラン数>部屋数の場合、このパターンはビジネスホテル等に多くみられる。この場合、プラン(空室数データ群)の統合をさらに進めることが要求される。そこで、データ編集部12にて、部屋の種類と宿泊予定人数をキーとして対象プランを分類する。それぞれの分類で、予約可能数(空室数データ)の比較を行い、一致の度合が大きいものを共通プラン候補とし、プランデータ統合可否判定部132にて統合するか否かを判定する。すなわち、誤差の閾値εを増分することにより、2つの対象プランを比較し、一致度をみて統合するか否かを判定する。一致の度合が大きい場合は(差異が誤差の閾値ε以下のとき)共通プランデータ統合部133にて1つのデータ群に統合する。この比較をすべてのサイトのデータ群について行う。これにより、ホテルの部屋数に見合ったデータ統合ができる。
【実施例1】
【0036】
次にホテルの稼働率を求めるための処理を行う。データ編集部12にて、d日の対象ホテルhの空室数をb(d)、統合した結果残ったプラン群をAとし、要素をmとすると、

(d)=Σpm,d・・・(4)


となる。空室数b(d)をすべてのホテルに対し算出する。
【実施例1】
【0037】
次に稼働率について説明する。ホテルの総部屋数をBとすると、稼働率Wは式(5)で求められる。
【数3】
JP2016075995A_000005t.gif
求められた稼働率Wをすべてのホテルに対し算出し、編集情報記憶部24に保存する。
式(4)で求めたホテルごとの空室数b(d)と各ホテルの総部屋数Bを式(5)に当てはめることで、ホテルの稼働率が求まる。
【実施例1】
【0038】
〔データ統合の処理フロー〕
図5にデータ統合の処理フロー例を示す。まず、データ収集部11にて各対象観光サイトから取得可能なデータを取得する(S001)。取得可能なデータとは、各対象観光サイトに登録された各宿泊施設(ホテル等)の名称、住所、電話番号、提供プランP、料金、予約可能数(又は空室数)等である。次に、データ編集部12にて、取得データを宿泊施設毎に分類する(S002)。次に、未処理の宿泊施設の有無を判断し(S003)、無ければ処理を終了する。有れば部屋タイプtのプランの有無を判断し(S004)、無ければS012に進む。有ればδ=dt+1-dを時間(日)t=0~nまで算出する(S005)。ここで、dは予約可能数である。つまり、n+1日間に亘り、日ごとの予約数δを算出する。次に未処理のプラン数が2以上有るか否かを判断する(S006)。2つ以上有れば比較可能である。否であれば(S004)に戻る。
【実施例1】
【0039】
(S006)で有であれば、共通プラン抽出部131にて、任意のプランPを選択し、プランデータ統合可否判定部132にて残りのプランPとδを比較する。δが異なる場合D=1、同一の場合D=0とする(S007)。つまり、2つのプランP,Pについて、(n+1)日間のδを比較し、異なる場合のDを1とする。t=0~nのDの和が大きければ、プランP,Pは異なる可能性が大きく、和が小さければ同じである可能性が大きい。次に、t=0~nのDの和を日数すなわち比較度数(n+1)で割り、閾値εを超えるか否かを判断する(S008)。超えれば(偽であれば)、S006に戻る。超えなければ(真であれば)、共通プランデータ統合部133にて、2つのプランP,Pについて空室数d,dを比較する(S009)。空室数d≧dであれば(真であれば)、プランPを保持し、プランPを破棄する(S010)。空室数d<dであれば(偽であれば)、プランPを保持し、プランPを破棄する(S011)。すなわち、空室数の大きいプランを残すことにより、プランデータが統合される。
【実施例1】
【0040】
ここでS006に戻る。未処理のプランが2つ以上あればループ処理(S004~S010orS011)を続ける。なければS004に戻り、S004で無であれば、すなわち、全ての室種(シングル、ダブル、ツイン)のプランについてプランデータ統合可否の判断及びプランデータ統合処理が行われていれば、次の処理(S012)に進む。処理が行われていない室種のプランがあれば、ループ処理(S004~S010orS011)を続ける。
【実施例1】
【0041】
データ編集部12にて、当該宿泊施設について、室種について空室数の和を算出し、総空室数Rとする(S012)。次に、提供プラン数と部屋数の比較を行う(S013)。提供プラン数<=部屋数の場合、プラン数を超えた部屋数を空室数として利用し(S014)、稼働率の計算に進む(S016)。提供プラン数>部屋数の場合、S008の閾値εの値を少し増加した(S015)後に、S004に戻り、プランデータ統合可否判定部132にて、再度、各対象プランで、予約可能数の比較を行い、一致の度合が大きいものを共通プラン候補とし、統合するか否かを判断する。一致の度合が大きいものから順に比較を行うのが好ましい。すなわち、提供プラン数<=部屋数となるまでループ処理(S004~S015)を繰り返す。提供プラン数<=部屋数となれば、稼働率の計算に進む(S016)。
【実施例1】
【0042】
次に宿泊施設の稼働率bを、b=100*(1-R/T)(T:宿泊施設の総室数)により求める(S016)。稼働率が求まればS003に戻り、未処理のホテルがなくなれば処理を終了する。
【実施例1】
【0043】
〔統合データの利用〕
図6は、ホテルの空室情況をマッピングした図である。マッピングはデータ編集部12で行われる。各ホテルの稼働率について得られたデータに、各ホテルの位置情報を付加することで、地図上に稼働率を表示することができる。表示アイコンは、稼働率の数値をピンで立てて表示する形式とした。図中のアイコンには、稼働率の数値の表示を省略しているが、ホテル毎に「満」、「混」、「空」の3状態で示している。「満」は満室の情況を、「混」は混み合っており、満室に近い情況、例えば空室が1~9室の情況を、「空」は空室がある程度ある情況、例えば10室以上の情況を示す。地図上に空室情況を可視化して示すことにより、利用者は予約希望のホテルを探し易くなる。
【実施例1】
【0044】
図7は、地域全体の稼働率データを折れ線グラフにプロットした例を示す図である。プロットはデータ編集部12で行われる。また、得られた稼働率データの30日間の移動平均も求め、同じグラフ上に表示してある。1年3か月の間で60~90%の範囲で、変化していることが解る。また、かかるプロット図を用いると地域及び地方行政は、地域振興策を検討する上で便宜である。本実施例における稼働率データは、国の統計データに匹敵するデータが得られた。すなわち、国の統計データの一月ごとのデータとの差を、最大7%の誤差以内に収められた。
【実施例1】
【0045】
〔予測〕
図8はウェブデータから日々の空室状況を予測した例を示す。本データは統合前のデータであるが、実際に統合したデータを統合前の実データと比較した結果、ほぼ一致したので、統合後もこのようなデータが得られるといえる。横軸は予測された空室数、縦軸は事後の宿泊データから観測された実際の空室数である。サンプル数は396、残差標準偏差は12.25、決定係数0.83であり、観測値は予測値±25円に約80%含まれるという結果が得られた。予測は自動予測部14の空室情況予測部141にて行われる。例えば過去の多数の実績データを用いて自動予測される。予測には例えば移動平均法を使用する。
【実施例1】
【0046】
図9はウェブデータから日々の料金を予測した例を示す。本データは統合前のデータであるが、実際に統合したデータを統合前の実データと比較した結果、ほぼ一致したので、統合後もこのようなデータが得られるといえる。横軸は予測された宿泊料金、縦軸は事後の宿泊データから観測された実際の宿泊料金である。サンプル数は142、残差標準偏差は382.58、決定係数0.92であり、観測値は予測値±765円に約90%含まれるという結果が得られた。予測は自動予測部14の空室情況予測部141にて行われる。例えば過去の多数の実績データを用いて自動予測部14にて自動予測される。予測には例えば移動平均法を使用する。また、プラン内容や地域の平均価格から料金の予測をすることも可能である。すなわち、朝食の値段、夕食の値段などプランを構成している各要素の料金に移動平均法を適用して集計する、また、例えば、K市3つ星クラスのホテルのツインプラン全体のデータの経緯を採取して移動平均法を適用することにより予測する等である。
【実施例1】
【0047】
以上のようにして、複数サイトの宿泊情報を統合することで、地域全体のデータを用いて、宿泊情報システムを構築でき、空室数の表示や、予約情況の予測ができ、地域全体に係る精度の高い情報を提供することが可能になる。
構築した宿泊情報システムのデータの妥当性を検証するためには、国の統計データとの比較を行うのが良い。国の統計データとしては、宿泊旅行統計調査報告を利用する。比較の結果、国の統計データに匹敵する宿泊情報システムを構築できた。
【実施例1】
【0048】
以上より、本実施例によれば、ウェブ空間の宿泊情報を横断的に収集し、統合して情報提供する宿泊情報提供システム及び宿泊情報提供方法を実現できる。
【実施例2】
【0049】
実施例1では、第1のプランデータ統合可否の判定で、空室データ及び/又は予約データを比較し、比較データの差異が誤差の範囲とみなせる場合には、同一宿泊施設の同一プランのデータとみなしてデータ統合を行う例を説明したが、本実施例では、第1のプランデータ統合可否の判定で、空室データ及び/又は予約データを比較し、完全一致の場合のみ、同一宿泊施設の同一プランのデータとみなしてデータ統合を行う例について説明をする。すなわち、最初に閾値δ=0とした場合である。その後、部屋数とプラン数の比較を行いながら、データ統合を進める。第2のプランデータ統合可否の判定については実施例1と同様である。
【実施例2】
【0050】
本実施例では、図5において、S008のε=0とする。すなわち、すべての要素mに対してδxが0ならば、統合可と判断しδxが0でないmが1つでも存在すれば、統合否と判断する。統合可であれば、どちらか一方のデータ群を残し、他方を削除する(S009~S011)。統合否であればS006を経由してS004に戻る。すなわち、双方のデータを残す。この作業をすべてのプランに対し実施する。mは基本として0~nに設定し、任意で変更できるようにする。次に、統合された結果、残ったプランのデータを統合情報記憶部22に保存する。
【実施例2】
【0051】
本実施例における処理フローについては、S009以外は図5と同様である。すなわち、第1のプランデータ統合可否の判定で統合されるプラン数は実施例1に比して少ないが、第2のプランデータ統合可否の判定で統合されるプラン数は実施例1に比して多い。しかし、実施例1と同様に統合が行われるので、実施例1と同様に、ウェブ空間の宿泊情報を横断的に収集し、統合して情報提供する宿泊情報提供システム及び宿泊情報提供方法を実現できる。
【実施例3】
【0052】
本実施例では、空室の予測を行わない例を説明する。実施例1における自動予測部14を省略できる(図3参照)。このため、システム構成をその分簡略化できる。処理フローは実施例1と同様に図5を適用できる。空室の予測を行わなくても、統合処理は行われるので、実施例1と同様に、ウェブ空間の宿泊情報を横断的に収集し、統合して情報提供する宿泊情報提供システム及び宿泊情報提供方法を実現できる。
【実施例4】
【0053】
本実施例では、プランデータ統合可否の判定を第1のプランデータ統合可否の判定のみ行い、第2のプランデータ統合可否の判定を行わない例を説明する。システム構成は実施例1と同様に図3を適用できる。処理フローは実施例1の図5から工程S012~S021を省略可能である。工程S010又はS011を経た後はS006に戻り、処理ループ(S004~S010orS011)を終了すれば、S004からS003に戻り、処理ループ(S003~S010orS011)を終了すれば、処理を終了する。このように、データ統合の処理が簡略化される。第2のプランデータ統合可否の判定は、提供プラン数と部屋数との関係の面からデータ統合の信頼性をチェックするものであるが、第1のプランデータ統合可否の判定だけでも判定を完結できる。この場合、元々提供プラン数>部屋数なので、これを容認するものといえる。
【実施例4】
【0054】
また、第2のプランデータ統合可否の判定を省略する場合は、S004をS016に接続し、工程S012~S015を省略すれば良い。このように、プランデータ統合の処理が一部簡略化される。プランデータ統合処理は行われるので、実施例1と同様に、ウェブ空間の宿泊情報を横断的に収集し、統合して情報提供する宿泊情報提供システム及び宿泊情報提供方法を実現できる。
【実施例5】
【0055】
本実施例では、プランデータ統合可否の判定を第1及び第2のプランデータ統合可否の判定に加えて第3のプランデータ統合可否の判定を行なう例を説明する。稼働率のデータは宿泊当日以後にならないと入手できない場合が多いので、現実には事後的な確認及び補正に用いられるが、稼働率のデータが入手できれば、第3のプランデータ統合可否の判定に用いても良い。システム構成は実施例1と同様に図3を適用できる。処理フローを図10に示す。実施例1の図5に工程S018~S021が追加される。実施例1と重複する部分については説明を省略し、実施例1と異なる部分を主に説明する。
宿泊施設の稼働率bを求めた(S016)後に、対象宿泊施設の稼働率β(実際の稼働率)が既知か否かを判断する(S017)。既知であれば(真であれば)S020に進む。未知であれば(偽であれば)稼働率が既知の宿泊施設と式(3)のδを比較し(S018)、最も類似する(δが小さい)宿泊施設の稼働率を対象宿泊施設の稼働率に設定する(S019)。次に、実際の稼働率βと算出された稼働率bと比較し、差異がほぼ0となるか否かを判断する(S020)。差異がほぼ0となれば(真であれば)S003に戻り、未処理の宿泊施設がないので処理を終了する。差異がほぼ0とならなければ(偽であれば)、S008の閾値εの値を少し増加した(ε=n1ε)(S021)後に、S004に戻る。つまり、閾値を変更して、統合処理が再度行われる。すなわち、S020で実際の稼働率βと算出された稼働率bとの差異がほぼ0となる(真である)まで、ループ処理(S004~S021)が繰り替えされ、差異がほぼ0となれば、S003を経て処理を終了する。
実施例1と同様に統合処理が行われるので、実施例1と同様に、ウェブ空間の宿泊情報を横断的に収集し、統合して情報提供する宿泊情報提供システム及び宿泊情報提供方法を実現できる。
なお、本実施例においても第2のデータ統合可否の判定を省略することも可能である。
【実施例6】
【0056】
本実施例では、ビッグイベント時に宿泊施設の収容能力を増加するため、宿泊施設に民宿を追加し、プランとして民宿プランを追加する例を説明する。このため、イベントに参加できる民宿の宿泊情報を予め取り込み、宿泊データ記憶部21に記憶しておくことが好ましい。民宿については、民宿全体をまとめて、部屋数やプラン数を管理するのが便宜である。また、イベントが大規模であれば、地域を広げ、隣接都市の宿泊施設を組み込んで管理し、表示すると、利用者にとっても便利である。この場合、隣接都市の宿泊情報とも結合可能にしておくことが好ましい。
【実施例7】
【0057】
本実施例では災害時の利用について説明する。宿泊施設として、避難所、学校等の公共施設が開放される。都市の災害対策本部は、宿泊利用状況を、交通情報、被害地域の拡大縮小情報等を参照して、避難誘導、支援を行う。このため、災害時に避難所、学校、公共住宅の空室等を宿泊施設として利用する場合の収容可能人数等の宿泊情報や避難道路等の交通情報を予め取り込み、宿泊データ記憶部21に記憶しておくことが好ましい。また、被害地域範囲、等被害程度等の情報を表示可能にしておくことが好ましい。
【実施例7】
【0058】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、実施の形態は以上の例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加え得ることは明白である。
例えば、実施例1では、データ統合の判断をするためにn+1日間の予約データを用いる例を説明したが、nとして取得日数N-1以下が可能であり、例えば10日~20日が好適である。また、宿泊日当日からn日前までのデータを用いる例を説明したが、n日前~n日前(0<=n<n<N)であれば、任意のn,nを選択可能である。また、データ統合の判断に宿泊日当日からn日前までのデータ、又はn日前~n日前のデータを用いた場合でも、データ統合は取得データの全体又はその一部について行うことができる。また、以上の実施例では、データとして空室データを、データ群として空室データ群を使用する例について説明したが、空室データと予約データとは部屋数等を介して一方から他方に変換可能なので、データとして予約データを、データ群として予約データ群を使用することも可能である。なお、データ統合の判断に0また、以上の実施例ではデータ統合の際に空室数の多い方を残す例を説明した。しかし、空室数の多い方を残すと、全ての空室分の予約が入った場合に、もし空室数が少ない方のデータが正しかったとすると、その差の空室数の分だけ部屋数が足りないことになり、お客様に予約変更をしてもらわなければならなくなるというリスクが生じ得る。ただし、期間を長くとれば誤差が小さくなり、誤差を吸収でき、このリスクも微小になる。しかし、空室数の少ない方を残しても良い。また、空室数の多い方を残した場合、このリスクを減少するために、統合後も2つのデータの採取を続け、統合の適否及びデータの適否を確認し、修復できるようにしておくようにしても良い。また、実施例1では、プラン名および宿泊予定人数が完全に一致するプランを共通プラン候補として抽出する例を説明したが、ホテル名および住所に関しては信頼できると仮定し、ホテル名と住所が一致するプランを共通プラン候補として抽出しても良い。また、統合の範囲は、行政区に限定されず、例えば主要駅が2つの市の境界付近にある場合等には、当該駅を中心とする半径xkmの地域とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は宿泊情報の提供に利用される。
【符号の説明】
【0060】
1 宿泊情報提供システム
10 パーソナルコンピュータ
11 データ収集部
12 データ編集部
13 データ統合部
14 自動予測部
15 操作部
16 制御部
17 表示部
20 記憶部
21 宿泊データ記憶部
22 統合データ記憶部
23 予測情報記憶部
24 編集情報記憶部
131 空室情報変化量算出部
132 プランデータ統合可否判定部
133 共通プランデータ統合部
141 空室状況予測部
pj,d 空室数
(p,d) 空室数データ群
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10