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明細書 :振動提示装置及び電子機器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-081366 (P2016-081366A)
公開日 平成28年5月16日(2016.5.16)
発明の名称または考案の名称 振動提示装置及び電子機器
国際特許分類 G06F   3/0488      (2013.01)
G06F   3/01        (2006.01)
FI G06F 3/048 620
G06F 3/01 310Z
G06F 3/01 310A
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2014-213404 (P2014-213404)
出願日 平成26年10月20日(2014.10.20)
発明者または考案者 【氏名】久保 雅義
【氏名】青島 駿太
【氏名】川崎 修
【氏名】益田 雄司
出願人 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 5E555
Fターム 5E555AA08
5E555AA25
5E555BA05
5E555BB05
5E555BC04
5E555DA24
5E555DC09
5E555DC27
5E555DC82
5E555DD08
5E555FA30
要約 【課題】機器の多機能化に対応した動作確認の分解能の高い振動提示装置を提供する。
【解決手段】振動提示装置100は、振動を発生することができるアクチュエータ部101と、アクチュエータ部101を制御する振動制御部102と、を備え、振動制御部102がアクチュエータ部101に発生させる振動パターンは、少なくても、所定の振幅が実質的に一定時間連続する振動を含む第1の振動パターンと、振動開始から最大振幅に達するまでの時間よりも長い時間をかけて振幅が最大振幅から連続的に減衰する振動を含む第2の振動パターンと、を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
振動を発生することができるアクチュエータ部と、
前記アクチュエータ部を制御する振動制御部と、
を備え、
前記振動制御部が前記アクチュエータ部に発生させる振動パターンは、少なくても、
所定の振幅が実質的に一定時間連続する振動を含む第1の振動パターンと、
振動開始から最大振幅に達するまでの時間よりも長い時間をかけて振幅が前記最大振幅から連続的に減衰する振動を含む第2の振動パターンと、
を含む、振動提示装置。
【請求項2】
前記第1の振動パターンにおける前記所定の振幅は、人が感知できる最小振幅レベルである第1のレベルよりも大きい、請求項1に記載の振動提示装置。
【請求項3】
前記第2の振動パターンにおける前記最大振幅は、人が感知できる最小振幅レベルである第2のレベルよりも大きい、請求項1に記載の振動提示装置。
【請求項4】
前記第2の振動パターンは、
前記第2のレベルよりも小さい振幅から前記第2のレベルより大きい振幅に連続的に変化する振動、及び、
前記第2のレベルより小さい振幅から前記第2のレベルより大きい振幅に連続的に変化した後、前記第2のレベルより大きい振幅から前記第2のレベルより小さい振幅に連続的に変化する振動、
の少なくても一方をさらに含む、請求項3に記載の振動提示装置。
【請求項5】
前記振動制御部は、前記所定の振幅および前記最大振幅の少なくても一方を可変する、請求項1から4のいずれかに記載の振動提示装置。
【請求項6】
前記振動制御部が前記アクチュエータ部に発生させる振動パターンは、前記第1の振動パターン及び前記第2の振動パターンが連続して形成されている、請求項1から5のいずれかに記載の振動提示装置。
【請求項7】
前記振動制御部は、前記第1の振動パターン及び前記第2の振動パターンの、振動周波数及び振動時間の少なくても一方を可変する、請求項1から6のいずれかに記載の振動提示装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の振動提示装置と、
前記アクチュエータ部が発生した振動が伝達するように設けられ、使用者による接触入力操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部が受け付けた操作の種類を認識する操作認識部と、
を備え、
前記振動制御部は、前記操作認識部が認識した操作の種類に応じて、前記アクチュエータ部に発生させる振動パターンを決定する、電子機器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者に振動を提示する振動提示装置に関し、より詳細には、使用者がメンブレンスイッチやタッチパネル等のスイッチを操作した時に、アクチュエータ部によりメンブレンスイッチやタッチパネル等のスイッチを振動させることにより、複雑な多くの機能の中からどの機能を選択したかを確認できる振動提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、パソコン、テレビ、携帯電話、ポータブル・オーディオ機器、ならびに調理機器などの電子機器は著しい発展を遂げている。特に、機器の高性能化・多機能化に伴って、入力装置(マン・マシン・インターフェース)が進化し、タッチパネルやメンブレンスイッチ等のスイッチのフラット化・複雑化が進んでいる。これらのスイッチによるインターフェースはキー選択の動作確認が健常者でも難しく、特に、目の不自由な人にとっては、これらの機器の導入を妨げる大きな問題となっている。この問題点に対して、使用者がスイッチ選択(選択動作)を確認できるように、タッチパネルやメンブレンスイッチ等の接触部に振動を与える振動提示装置が提案されているが、従来方式では複雑で多種多様な機能を識別できる振動提示装置は実現されていない。
【0003】
特許文献1には、触覚を提示するためのパネルと、パネルを平面に対して垂直方向へ振動させることによって触覚を提示する制御手段とを有する触覚提示装置が開示されている。該制御手段は、図9(特許文献1の図4)に示すように、発生させた振動波形の立ち上がり部分に変曲点があるように前記パネルを振動させるものである。この変曲点前後の勾配の差や変曲点の位置を変えることにより様々な押下感を得ることができる。例えば、スイッチの重さがより重くなった様に感じさせるためには無振動部分の時間を長くするか、又は勾配をきつくする。また、強いクリック感を得るためには、勾配変化度合いを大きくすれば良い。すなわち、特許文献1に記載の発明は、振動により触覚を提示するパネルにおいて、振動波形の立ち上がり部分に変曲点があるようにパネルを制御して、変曲点前後の勾配の差や変曲点の位置を変えることにより、様々な押下感を得る技術に関するものである。多機能化に対応するためには変曲点前後の勾配の差や変曲点の位置の変化に多くのパターンが必要になる。つまり、振動パターン間に微妙な変化をつけることにより、多機能化を実現することになる。しかし、多くの試験結果によれば通常の人では変化の程度がかなり大きくないと、変化を検知することは難しいので、特許文献1に記載の発明は、多機能化に対応することは難しいという問題点を有する。
【0004】
特許文献2には、タッチパネルに表示されているキーが選択されたかどうかを検知するキー選択検知手段と、キーが選択されたことを音で知らせるための音出力手段と、音出力の開始時間を設定する音出力開始時間設定手段と、出力する時間を設定する音出力時間設定手段と、音の周波数を設定する音周波数設定手段と、操作パネルに振動を伝える操作パネル振動手段と、タッチパネルを振動させる振動開始時間を設定する振動開始時間設定手段と振動波形を設定する振動波形設定手段と振動周波数を設定する振動周波数設定手段とを備える画像形成装置が開示されている。キーが押された時、設定された時間と周波数により、音を出力すると共に、設定された時間と振動周波数及び振動波形によって、タッチパネルを振動させるようにしている。つまり、特許文献2に記載の発明は、タッチパネル上のキーが押された時、そのキーが正しく押されたことを使用者に確認させるために、図10(特許文献2の図5)に示すように、タッチパネルを振動させる振動波形を複数種類の波形を組み合わせて設定する技術に関するものである。しかし、使用者は振動波形および振動周波数の微妙な相違を認識することは難しいため、特許文献2に記載の発明は多機能化に対応することは困難であるという問題点を有する。
【0005】
特許文献3には、コンピュータに信号を入力するとともに、操作者に力を出力するフォースフィードバック制御機器であって、操作者からの入力信号を検知する略平面状のタッチパネルと2つのインパクト駆動型アクチュエータ部を有するフォースフィードバック制御機器が開示されている。タッチパネルは水平方向X,Yに移動可能なタッチ入力部として機能し、アクチュエータ部にてX-Y平面上で駆動される。コンピュータは、タッチパネルに対して操作者から付与される力、力点、移動位置、速度、加速度を含む物理量の少なくともいずれか一つの情報に基づいて、アクチュエータ部を駆動する少なくとも2種類の電圧プロファイルから所定の一つを選択又は演算し、アクチュエータ部を駆動する。つまり、特許文献3に記載の発明は、タッチ入力部に対して操作者から付与される物理情報に基づいて、少なくとも2種類の電圧プロファイルから一つを選択又は演算し、アクチュエータ部を駆動して操作者に力を出力するフォースフィードバック制御機器に関するものである。しかし、アクチュエータ部を駆動する電圧プロファイルはパルス幅と位置を変えるものであるので、操作者は微妙な変化を認識することは難しく、多機能化に対応することは困難である。
【0006】
特許文献4には、表示画面上の入力検出面における操作体の押下操作に対して触覚を与える触覚機能付き入力装置であって、入力情報を表示する表示手段と、この表示手段上に入力検出面を有して、当該入力検出面における操作体の押下位置の加圧力を検出すると共に、当該押下位置に表示された入力情報を入力する入力検出手段と、この入力検出手段によって検出された操作体の加圧力に対応する振動パターンに基づいて入力検出面を振動するアクチュエータ部とを備える入力装置が開示されている。この構成によって、操作者の指等による押下操作に対応した振動パターン(振幅と周波数と振動回数)により複数種類の振動を発生させることができる。これらの振動パターンには波形振幅が徐々に変化しているものが提示されているが、これらの振動パターンは振動振幅が一回だけ徐々に変化して、基本的には振動の周波数変化により多機能化に対応しているので、使用者は振動パターンの相違を検知することが難しいという問題点がある。
【0007】
特許文献1~4に記載の発明は、振動波形の立ち上がり波形の変化、振動の波形や振幅、および周波数を変化させて、複数の情報を使用者に伝えるものである。しかし、いずれの発明においても、使用者が微妙な変化を検知することは困難であるため、多数の情報を使用者に知らせることは困難である。従って、従来の技術では、複雑で種類の多い機能を識別できるような装置は達成できていない。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2006-079135号公報
【特許文献2】特開2006-150865号公報
【特許文献3】特開2012-104077号公報
【特許文献4】特開2005-332063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、使用者が正確に高感度で検知できる振動パターンを提示し、この振動パターンをタッチパネルやメンブレンスイッチ等の操作受付部に与えることにより、所望の機能が選択されたかを正確に確認可能な振動提示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る振動提示装置は、上記課題を解決するためになされたものであり、振動を発生することができるアクチュエータ部と、前記アクチュエータ部を制御する振動制御部と、を備え、前記振動制御部が前記アクチュエータ部に発生させる振動パターンは、少なくても、所定の振幅が実質的に一定時間連続する振動を含む第1の振動パターンと、振動開始から最大振幅に達するまでの時間よりも長い時間をかけて振幅が前記最大振幅から連続的に減衰する振動を含む第2の振動パターンと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、上記振動提示装置において、前記第1の振動パターンにおける前記所定の振幅は、人が感知できる最小振幅レベルである第1のレベルよりも大きい構成としてもよい。
【0012】
また、上記振動提示装置において、前記第2の振動パターンにおける前記最大振幅は、人が感知できる最小振幅レベルである第2のレベルよりも大きい構成としてもよい。
【0013】
また、上記振動提示装置において、前記第2の振動パターンは、前記第2のレベルよりも小さい振幅から前記第2のレベルより大きい振幅に連続的に変化する振動、及び、前記第2のレベルより小さい振幅から前記第2のレベルより大きい振幅に連続的に変化した後、前記第2のレベルより大きい振幅から前記第2のレベルより小さい振幅に連続的に変化する振動、の少なくても一方をさらに含む構成としてもよい。
【0014】
また、上記振動提示装置において、前記振動制御部は、前記所定の振幅および前記最大振幅の少なくても一方を可変する構成としてもよい。
【0015】
また、上記振動提示装置において、前記振動制御部が前記アクチュエータ部に発生させる振動パターンは、前記第1の振動パターン及び前記第2の振動パターンが連続して形成されている構成としてもよい。
【0016】
また、上記振動提示装置において、前記振動制御部は、前記第1の振動パターン及び前記第2の振動パターンの、振動周波数及び振動時間の少なくても一方を可変する構成としてもよい。
【0017】
本発明に係る電子機器は、本発明に係る振動提示装置と、前記アクチュエータ部が発生した振動が伝達するように設けられ、使用者による接触入力操作を受け付ける操作受付部と、前記操作受付部が受け付けた操作の種類を認識する操作認識部と、を備え、前記振動制御部は、前記操作認識部が認識した操作の種類に応じて、前記アクチュエータ部に発生させる振動パターンを決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果は、使用者が正確に高感度で検知できる振動パターンを提示し、この振動パターンをタッチパネルやメンブレンスイッチ等の操作受付部に与えることにより、所望の機能が選択されたかを正確に確認可能な振動提示装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施の形態1の振動提示装置を備える電子機器の機能ブロック図である。
【図2】図2は、実施の形態1の振動制御部から出力される制御信号の波形図である。
【図3】図3は、実施の形態1の操作受付部の振幅波形図である。
【図4】図4は、実施の形態1の操作受付部の振幅波形図である。
【図5】図5は、実施の形態1の振動の包絡線パターンを示す図である。
【図6】図6は、実施の形態2の振動の包絡線パターンを示す図である。
【図7】図7は、実施例で用いた振動の包絡線パターンを示す図である。
【図8】図8は、実施例で用いた評価項目を示す図である。
【図9】図9は、従来技術の振動パターンを説明するための波形図である。
【図10】図10は、他の従来技術の振動パターンを示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明を説明する。

【0021】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の振動提示装置100を備える電子機器110の構成を示す機能ブロック図である。同図において、振動提示装置100は、振動を発生することができるアクチュエータ部101と、アクチュエータ部101の振動を制御する振動制御部102とを含む。電子機器110は、振動提示装置100と、使用者に振動を伝達する操作受付部103と、操作受付部103への操作の種類を認識する操作認識部104とを含む。

【0022】
アクチュエータ部101は振動制御部102からの制御信号を正確に振動に変換する役目を果たす。アクチュエータ部101として、電磁駆動方式、圧電駆動方式等のアクチュエータ部を用いることができるが、高速応答性の点から圧電駆動方式のアクチュエータ部を用いることが好ましい。振動制御部102は、操作受付部103への操作の種類に応じた制御信号をアクチュエータ部101に出力する。

【0023】
操作受付部103は、使用者による接触入力操作を受け付けるメンブレンスイッチ、タッチパネル等のスイッチを構成要素として構成されている。また、操作受付部103は、アクチュエータ部101が発生した振動が伝達するようにアクチュエータ部101に接触して設けられている。これにより、電子機器110の使用者が操作受付部103のスイッチを操作すると、操作認識部104は選択機能を認識し振動制御部102に伝達する。振動制御部102は選択機能に応じた制御信号をアクチュエータ部101に出力し、アクチュエータ部101が振動し、操作受付部103を介して使用者に振動が伝達する。電子機器110が携帯電話やモバイル・オーディオ機器等のモバイル機器の場合は、使用者に振動を感知させるために、アクチュエータ部101は電子機器110全体を振動させても良い。一方、電子機器110が調理器、洗濯機や電子レンジ等の白物家電の場合は、効率の点からアクチュエータ部101は操作受付部103を含む電子機器110の一部を振動させることが好ましい。

【0024】
すなわち、電子機器110の持つ機能選択操作(入力操作)のために使用者が操作受付部103にタッチ、または押下すると、操作認識部104は操作の種類を認識し振動制御部102に操作の種類を伝達する。振動制御部102は操作の種類認識し、認識結果に応じた制御信号を出力することによりアクチュエータ部101を駆動して、操作の種類に応じた振動パターンを発生させる。アクチュエータ部101が発生した振動は、例えば操作受付部103を介して使用者に伝達される。これにより、使用者は所望の操作が確実に行われたか否かを認識することができる。さらに本願発明では、電子機器110が高性能化、多機能化している機器であっても、振動提示装置100が提示する振動により使用者は多くの種類の操作の確認が可能である。

【0025】
従来の振動提示装置では、振動の振幅を変える、振動の周波数を変える、振動の時間を変えるなどの手段で多種類の振動を提示していたが、振動の変化の相違が微妙であるために、使用者は操作の種類を確実に確認することが困難であった。例えば、振動振幅、振動周波数、振動時間を微妙に変化させても使用者はその微妙な変化を検知できないことが多かった。従って、使用者が振動の変化を検知可能にするためには、振動振幅、振動周波数、振動時間に大きな変化を付けることが必要になるが、大きな変化を付けることは提示できる振動パターンが少ないことを意味する。このことは、使用者が多くの種類の機能を識別することができないことを意味する。

【0026】
本願の発明者たちは、多くの研究とフィールドテストの結果、振動振幅、振動周波数、振動時間を微妙に変化させるのではなく、
(1)第1の振動パターン(例えば、増加・上昇等の操作を示す振動パターン)と第2の振動パターン(例えば、減少・低下等の操作を示す振動パターン)とを組み合わせて多種類の振動パターンを作り、
(2)第1の振動パターンは、所定の振幅が一定時間連続する振動を含み、
(3)第2の振動パターンは、振動開始から最大振幅に達するまでの時間よりも長い時間をかけて振幅が前記最大振幅から連続的に減衰する振動を含み、
(4)前記所定の振幅および/または前記最大振幅は任意に可変できるようにする
ことにより機器の高性能・多機能化に対応できる振動提示装置が実現できることを見出した。

【0027】
図1に示すアクチュエータ部101は、振動制御部102から出力される制御信号の波形に応じて振動を発生し、操作受付部103に振動を誘発する。図2は、振動制御部102から出力される制御信号の波形図であり、(a)は第1の振動パターンに対応し、(b)は第2の振動パターンに対応する。図2(a)に示す制御信号は、第1の電圧V1より大きいパルスが連続する波形を有しており、図2(b)に示す制御信号は、第2の電圧V2より大きいパルスから連続的に小さいパルスに変化する波形を有している。第1の電圧V1は、アクチュエータ部101を後述する第1のレベルL1の振幅で振動させる電圧であり、第2の電圧V2は、アクチュエータ部101を後述する第2のレベルL2の振幅で振動させる電圧である。

【0028】
図3は操作受付部103の振動波形図であり、(a)は第1の振動パターンに対応し、(b)は第2の振動パターンに対応する。図3(a)および(b)に示す波形はそれぞれ、図2(a)および(b)に示す波形よりアクチュエータ部101の応答時間の分だけ遅れて立ち上がっている。図3(a)に示すように、第1の振動パターンは、第1のレベルL1よりも大きい振幅の振動が一定時間t1連続する振動パターンである。第1のレベルL1は、使用者が検知できる最小振幅レベルである(最小振幅レベルL1は個人により、また機器の使用環境により差がある)。なお、立ち上がり後に連続する各波形の振幅は、完全に同一でなくてもよく、使用者が同程度の振動が継続していると感じることができれば、連続する各波形の振幅に多少のバラつきがあってもよい。

【0029】
図3(b)に示すように、第2の振動パターンは、振動開始(立ち上がり)から第2のレベルL2より大きい最大振幅に短時間で達し、当該時間よりも長い時間をかけて振幅が前記最大振幅から第2のレベルL2より小さい振幅に連続的に減衰する振動パターンである。第2のレベルL2も、使用者が感知できる最小振幅レベルであるが(最小振幅レベルL2も個人により、また機器の使用環境により差がある)、一般に第2のレベルL2のほうが第1のレベルL1よりも大きい。その理由は、振動パターンにおいては、大きな振動振幅レベルから小さな振動振幅レベルに連続的に変化する時間t1またはt2が短いほど使用者が検知できる最小振動振幅は大きくなる傾向にあり、第2の振動パターンの時間t2は第1の振動パターンの時間t1より短いからである。なお、第1の振動パターンにおいても、振動が連続する時間t1が短いほど使用者が検知できる最小振動振幅は大きくなる傾向にある。

【0030】
使用者は、第1の振動パターンにおいては連続する振動の振幅が第1のレベルL1よりも大きいほど、あるいは、振動の持続時間t1が長いほど、アクチュエータ部101の振動が大きいと感じる。第2の振動パターンにおいては、第2のレベルL2よりも大きい振幅から第2のレベルL2よりも小さい振幅に連続的に変化する時間t2が短いほど、使用者は振動が小さいと感じる。ここで、使用者が2つの振動パターンを確実に区別するためには、いずれの振動パターンにおいても、振動の立ち上がりが急であることが大切であり、特に第2の振動パターンでは、従来のように振幅、周波数、立ち上がりの時間を微妙に変化させるのではなく、立ち上がりを急峻にして時間t2の長短によって使用者が感じる振動の強弱を付けていることが重要である。すなわち、時間t2が短ければ使用者は第2の振動パターンの中でも比較的振動が小さいと感じ、時間t2が長ければ使用者は第2の振動パターンの中でも比較的振動が大きいと感じる。

【0031】
本発明では、以上述べたように、第2の振動パターンの立ち上がりが急であることが大切であり、立ち上がり時間が短いほど効果が大きい。実験では第2の振動パターンの立ち上がり時間は10ミリ秒程度以下であれば効果は大きく好ましいが、30ミリ秒程度以下であれば効果があり、50ミリ秒程度より長くなると効果が小さくなる。従って、電磁駆動方式よりも立ち上がり特性の優れた圧電駆動方式のアクチュエータ部を用いることが好ましいが、立ち上がり特性の優れた電磁駆動方式のアクチュエータであれば効果を発揮することができる。

【0032】
これまでの説明では、第2の振動パターンは、振動の立ち上がりにおいて第2のレベルL2よりも大きい振幅に短時間で達し、その後第2のレベルL2よりも小さい振幅に連続的に変化する振動パターンであったが、階段状に変化させる等、不連続に変化させても同様の効果が得られる。本発明では、以上説明した第1の振動パターンと第2の振動パターンとを組み合わせて多機能に対応した振動パターンを作ることができる。

【0033】
本発明は、多くの研究と多くの人のモニターの結果、一定レベルの小さな振幅にする、周波数を変化させる、信号と信号の時間を変化させる等の振動パターンは、使用者が減少・低下等の操作を示す振動(第2の振動パターン)として感知しにくいが、一定レベルの大きな振幅の振動を急速に立ち上げ、その後小さな振幅の振動に変化させる振動パターンは、第2の振動パターンとして感知しやすいことを見出したものである。そして、使用者は特に変化に敏感であるので、時間t2を変えることにより第2の振動パターンの種類を多くすることができることを見出したものである。

【0034】
ここで、基本的に第2の振動パターンは、図3(b)に示すように、第2のレベルL2より大きい振幅から第2のレベルL2より小さい振幅に連続的に変化する振動パターンを含む。しかし、多機能化に対応するため第2の振動パターンの種類を増やしたい時には、第2の振動パターンは、第2のレベルL2より大きい振幅から第2のレベルL2より小さい振幅に連続的に変化する振動パターンだけでなく、図4(a)に示すような、第2のレベルL2より小さい振幅から第2のレベルL2より大きい振幅に連続的に変化する振動パターン、及び、図4(b)に示すような、第2のレベルL2より小さい振幅から第2のレベルL2より大きい振幅に連続的に変化した後、第2のレベルL2より大きい振幅から第2のレベルL2より小さい振幅に連続的に変化する振動パターンをさらに含んでもよい。これらの振動パターンを用いると使用者の感知感度は多少低下するが、表現できる機能の種類を増やすことができるという実用上の大きな特徴がある。

【0035】
図5は実施の形態1の振動の包絡線パターンの一例を示す図である。同図における包絡線パターンは、1つの第1の振動パターンと3つの第2の振動パターンとを組み合わせたものである。第1の振動パターンにおける最大振幅と第2の振動パターンにおける最大振幅は、第3のレベルL3より大きく設定されている。第3のレベルL3は、図3における第1のレベルL1および第2のレベルL2よりも大きい。一般的には、使用者は第1の振動パターンの後の第2の振動パターンを感知しにくいが、図5のように第2の振動パターンを複数回繰り返すこと、および第3のレベルL3を適切に選ぶことにより、使用者は第1の振動パターンの後に第2の振動パターンを続けても正確に認識することができる。また、第2の振動パターンと第2の振動パターンとの間隔も短くできるという効果があるので、多くの複雑な機能に対する振動提示が可能な振動提示装置を実現することができる。また、第1のレベルL1よりも大きい第2のレベルL2を大きめに設定することにより、認識の感度を高めることができる。

【0036】
また、使用者が感知できる最小振幅レベルは、個人差、時間帯、季節などに応じて変化する。すなわち最小振幅レベルL1、L2、L3は変化する。振動制御部102は、第1の振動パターンの前記所定の振幅、及び/又は、第2の振動パターンの最大振幅を、それぞれ最小振幅レベルL1、L2よりも大きい範囲で、あるいは実施の形態1のように第1の振動パターンの前記所定の振幅、及び、第2の振動パターンの最大振幅を共にレベルL3よりも大きい範囲で可変とすることもできる。なお、第1の振動パターンの前記所定の振幅を第1のレベルL1以上のできるだけ低い振幅に設定し、第2の振動パターンの前記最大振幅を第2のレベルL2以上のできるだけ低い振幅に設定すれば、アクチュエータ部101を振動させるための効率を向上することができる。

【0037】
(実施の形態2)
図6は実施の形態2の振動の包絡線パターンの一例を示す図である。同図における包絡線パターンは、1つの第1の振動パターンと3つの第2の振動パターンとを組み合わせたものである。第1の振動パターンにおける使用者が感知可能な最小振幅は、第2の振動パターンにおける使用者が感知可能な最小振幅よりも小さいので、図5に示す包絡線パターンのように、必ずしも第1の振動パターンと第2の振動パターンとで振幅を同じにする必要はない。

【0038】
そこで、図6に示す包絡線パターンに示すように、第2の振動パターンの最大振幅を第1の振動パターンの振幅よりも大きくしている。なお、第1の振動パターンの振幅は、第1の振動パターンにおける最小振幅レベルである第1のレベルL1より大きく設定しており、第2の振動パターンの最大振幅は、第2の振動パターンにおける最小振幅レベルである第2のレベルL2よりも大きく設定している。第1および第2の振動パターンの振幅を、別々に各振動パターンの最小振幅レベルより大きく設定することにより、使用者の振動検知感度を低下させることなく低消費電力化が可能となる。また、第1の振動パターンにおける検知可能な最小振幅レベル、および第2の振動パターンにおける検知可能な最小振幅レベルには個人差があり、さらに、同一人であっても、上記の最小振幅レベルは時間帯や季節などで変化する。よって、第1の振動パターンの振幅、及び第2の振動パターンの最大振幅を共に可変にすることにより、さらに感度と効率を最適化した振動提示装置を実現することができる。

【0039】
なお、実施の形態1および2では、第1の振動パターンと第2の振動パターンとの組み合わせで振動パターンを作ったが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1の振動パターンの最大振幅と第2の振動パターンの最大振幅を別々に各振動パターンの最小振幅レベルより大きく設定するという条件を満たした上で、第1の振動パターンと第2の振動パターンのそれぞれの振幅、周波数の変化、時間間隔などを変化させた振動パターンを作れば、より多くの機能に対応した振動提示装置を実現することができる。

【0040】
また、実施の形態2では、第1の振動パターンと組み合わされる第2の振動パターンは、第2のレベルL2より大きい振幅から第2のレベルL2より小さい振幅に連続的に変化する振動パターン(図3(b))であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1の振動パターンの振幅と第2の振動パターンの最大振幅を別々に各振動パターンの最小振幅レベルより大きく設定するという条件を満たした上で、第2の振動パターンとして、第2のレベルL2より小さい振幅から第2のレベルL2より大きい振幅に連続的に変化する振動パターン(図4(a))、及び第2のレベルL2より小さい振幅から第2のレベルL2より大きい振幅に連続的に変化した後、第2のレベルL2より大きい振幅から第2のレベルL2より小さい振幅に連続的に変化する振動パターン(図4(b))をさらに用いてもよい。その理由は、第2のレベルL2より大きい振幅から第2のレベルL2より小さい振幅に連続的に変化する振動パターン(図3(b))を共に用いることにより、図4に示した他の振動パターンを単独で用いた時よりも感度を上げることができるためである。これによって、より多くの機能に対応した振動提示装置を実現することができる。

【0041】
また、実施の形態1および2では、1つの第1の振動パターンの後に3つの第2の振動パターンを連続させて振動パターンを作ったが、第1の振動パターンと第2の振動パターンの順序または回数はこれに限定されない。例えば、第1の振動パターンと第2の振動パターンとを交互に繰り返しても良い。このように、第1の振動パターンと第2の振動パターンとの組み合わせを変えることによって、より多くの機能に対応した振動提示装置を実現することができる。
【実施例】
【0042】
本発明の振動提示装置の効果を確認するためのモニター実験を行った。被験者は、健常若年者30名、高齢者30名、視覚障がい者20名、聴覚障がい者20名であり、様々な波形の振動パターンを被験者に与え、各振動パターンに対する印象を回答させた。具体的には、図7(a)~(e)に示す波形1~5の振動パターンを用いて32種類の振動パターンを作成し、被験者に提示した。そして、提示された各振動パターンに対する印象を、回答表を用いて被験者に回答させた。図8に示すように、回答表は17の評価項目について-3点から+3点の間で印象の程度を記入させるものであり、振動パターン毎に各評価項目の印象の平均点を算出した。
【実施例】
【0043】
その結果、波形1(周期:10ms、振幅:8000μm)の振動パターン(第1の振動パターン)は、被験者の属性に関わらず、「強い」、「大きい」、「多い」、「太い」、「増加する」、「出す」という印象を特に与えやすいことが分かった。また、波形2(周期:160ms、振幅:4000μm)の振動パターン(第2の振動パターン)は、「少ない」、「減少する」という印象を特に与えやすいことが分かった。また、波形2(周期:60ms、振幅:4000μm)と波形4(周期:160ms、振幅:4000μm)を組み合わせた振動パターン(第2の振動パターン)は、「弱い」、「小さい」という印象を特に与えやすく、波形2・3・4(いずれも周期:60ms、振幅:4000μm)を組み合わせた振動パターン(第2の振動パターン)は、「細い」という印象を特に与えやすいことが分かった。
【実施例】
【0044】
以上の結果から、「強くする操作」と「弱くする操作」、及び、「大きくする操作」と「小さくする操作」を振動によって使用者に区別させるためには、波形1の振動パターンと波形2・4を組み合わせた振動パターンとを用いることが適切である。また、「多くする操作」と「少なくする操作」、及び、「増加させる操作」と「減少させる操作」を振動によって使用者に区別させるためには、波形1の振動パターンと波形2・4を組み合わせた振動パターンとを用いることが適切である。また、「太くする操作」と「細くする操作」を振動によって使用者に区別させるためには、波形1の振動パターンと波形2・3・4を組み合わせた振動パターンとを用いることが適切である。
【実施例】
【0045】
すなわち、第1の振動パターンと第2の振動パターンを用いることにより、使用者は、「強い・弱い」、「大きい・小さい」、「多い・少ない」、「増加する・減少する」、「太い・細い」の印象を良好に感知することができることが分かった。
【実施例】
【0046】
以上述べたように、本発明では、第1の振動パターンと第2の振動パターンとを組み合わせて多種類の振動パターンを作る。つまり、第1の振動パターンは、第1のレベルより大きい所定の振幅が一定時間連続する振動パターンであり、第2の振動パターンは、第2のレベルより大きい最大振幅から第2のレベルより小さい振幅に連続的に変化する振動パターンを含む。また、第2の振動パターンは、第2のレベルより小さい振幅から第2のレベルより大きい振幅に連続的に変化する振動パターン、及び、第2のレベルより小さい振幅から第2のレベルより大きい振幅に連続的に変化した後、第2のレベルより大きい振幅から第2のレベルより小さい振幅に連続的に変化する振動パターンをさらに含んでも良い。さらに、第1の振動パターンの所定の振幅、及び/又は第2の振動パターンの最大振幅を任意に可変とすることもできる。これにより、機器の高性能・多機能化に対応できる振動提示装置が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、振動提示装置に関し、より詳細には、使用者が機器の機能を選択した時にアクチュエータ部により振動を誘発して、使用者が振動を感知することにより、選択した機能を確認することができる振動提示装置に関するもので、携帯電話、オーディオプレーヤ、パソコン、テレビなどに広く使用することができる。特に、本発明は、目の不自由な人にとって機器の正確な使用を簡単にするために有用である。
【符号の説明】
【0048】
100 振動提示装置
101 アクチュエータ部
102 振動制御部
103 操作受付部
104 操作認識部
110 電子機器
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図9】
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【図10】
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【図8】
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