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明細書 :スフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法及びその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-096740 (P2016-096740A)
公開日 平成28年5月30日(2016.5.30)
発明の名称または考案の名称 スフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法及びその装置
国際特許分類 C12M   1/00        (2006.01)
C12N   5/073       (2010.01)
FI C12M 1/00 A
C12N 5/00 202B
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2014-234097 (P2014-234097)
出願日 平成26年11月19日(2014.11.19)
発明者または考案者 【氏名】藤井 輝夫
【氏名】阿久津 英憲
【氏名】川田 治良
出願人 【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査請求 未請求
テーマコード 4B029
4B065
Fターム 4B029AA01
4B029BB11
4B029CC03
4B029GA08
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BC50
4B065BD50
4B065CA44
要約 【課題】スフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法及びその装置の提供。
【解決手段】下層チャンバー1と上層チャンバー4から構成されているスフェロイド12の特定部位に対する培養条件制御デバイス8を用いて、最初にデバイス8に培養液11Aを導入し、スフェロイド12を上層チャンバー4の中に入れ、少量の培養液11Aを上層チャンバー4側に足し、その後、上下層チャンバー1,4間の培養液11Aの流れによってスフェロイド12が移動し、スフェロイド12が上層チャンバー4の底に形成された孔7に固定され、スフェロイド12が固定された後に、異なる培養液11を下層チャンバー1の片側からピペット(13)で流し込み、下層チャンバー1の反対側からアスピレーター(14)で吸い続けることで、下層チャンバー1内の培養液11Aを置き換えるスフェロイド12の特定部位に対する培養条件制御方法及びその装置。
【選択図】図6
特許請求の範囲 【請求項1】
下層チャンバーと上層チャンバーから構成されているスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイスを用いて、最初に前記デバイスに培養液を導入し、スフェロイドを前記上層チャンバーの中に入れ、少量の前記培養液を前記上層チャンバー側に足し、その後、前記上下層チャンバー間の前記培養液の流れによって前記スフェロイドが移動し、前記スフェロイドが前記上層チャンバーの底に形成された孔に固定され、前記スフェロイドが固定された後に、異なる培養液を前記下層チャンバーの片側からピペットで流し込み、前記下層チャンバーの反対側からアスピレーターで吸い続けることで、前記下層チャンバー内の前記培養液を置き換えることを特徴とするスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法。
【請求項2】
請求項1記載のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法において、前記下層チャンバー内の培養条件を連続的かつなだらかに変更できることを特徴とするスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法。
【請求項3】
請求項1記載のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法において、前記培養液を前記デバイスに導入する際、前記培養液が前記上層チャンバーに少量残るようにすることを特徴とするスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法。
【請求項4】
請求項1記載のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法において、前記スフェロイドが多能性幹細胞からなる胚様体であることを特徴とするスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法。
【請求項5】
請求項1記載のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法において、前記スフェロイドに対して特定部位に物質を作用させる際に、培養条件を途中で変更する場合にも、コンタミネーションリスクを減らし、スフェロイドに対してダメージを与えずに安定して培養を続けられるようにすることを特徴とするスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法。
【請求項6】
下層チャンバーとドーナツ型の上層チャンバーから構成されるスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイスであって、
前記上層チャンバーのウェルの底に貼られたPDMSの薄膜と、該薄膜に形成された孔とを備え、
前記デバイスに培養液を導入し、スフェロイドを前記上層チャンバーの中に入れ、少量の前記培養液を前記上層チャンバー側に足し、その後、前記上下層チャンバー間の前記培養液の流れによって前記スフェロイドが移動し、前記スフェロイドが前記上層チャンバー底に形成された孔に固定され、前記スフェロイドが固定された後に、異なる培養液を前記下層チャンバーの片側からピペットで流し込み、前記下層チャンバーの反対側からアスピレーターで吸い続けることで、前記下層チャンバー内の前記培養液を置き換えることを特徴とするスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御装置。
【請求項7】
請求項6記載のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御装置において、前記下層チャンバー及び上層チャンバーはシリコーンゴムのポリジメチルシロキサン(PDMS)で作製されており、前記上層チャンバーの前記ウェルの底に貼られた前記PDMSの薄膜の厚さが約20μmであることを特徴とするスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御装置。
【請求項8】
請求項6記載のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御装置において、前記薄膜の孔の直径が100μm~3mmであることを特徴とするスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御装置。
【請求項9】
請求項6記載のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御装置において、前記スフェロイドが多能性幹細胞からなる胚様体であることを特徴とするスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体力学、細胞培養、多能性幹細胞研究などに用いる、スフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ES細胞やiPS細胞を利用してさまざまな細胞組織への分化誘導が行われており、先行研究では自己組織化によって細胞が自発的に複雑な構造を形成する例が報告されている(後述の非特許文献1参照)。体内のいくつかの組織では部位特異的な物質分布に反応して形態形成が行われるが、そのような分化現象を分析するには細胞を部位特異的なパターンに従って様々な因子に曝露しなければならない。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特願2013-105816号
【0004】

【非特許文献1】Eiraku,M. ,Takata,N. ,Ishibashi,H. ,Kawada,M. ,Sakakura,E. ,Okuda,S. ,Sekiguchi,K. ,Adachi,T. ,and Sasai、Y. ,“Self-organising optic-cup morphogenesis in three-dimensional culture”Nature 472,pp. 51-56,2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スフェロイドの特定部位に異なる物質を作用させる方法として、
(1)マイクロ流路内に形成した多層流に曝露する方法
(2)ゲルに埋包したあとにゲルの外側から液性因子を導入して作用させる方法等が提案されてきたが、長期的に同じ濃度で物質を作用させ得るような実験には不十分であった。
【0006】
そこで、本出願人は、長期的な培養の際でも、一定濃度の物質をスフェロイドに対して部位特異的に作用させることができるインサート型デバイスを開発した。このデバイスは、カルチャーインサート底面の薄膜に形成した孔をふさぐように静水圧によってスフェロイドを固定し, 膜の上下で異なる培養条件で培養を行うというものである(上記特許文献1参照)。
【0007】
この方法は従来のインサートを筐体とするために、汎用性が高い反面、操作時のコンタミネーションのリスクが高いこと、また培養条件を途中で変更しようとする際には急激な変更しか行えないこと、液面の急激な変動による細胞への物理的な衝撃が大きいことなどの問題があった。
【0008】
本発明は、上記状況に鑑みて、スフェロイドの特定部位に物質を作用させる際に、培養条件を途中で変更する場合にも、コンタミネーションリスクを減らし、スフェロイドに対してダメージを与えずに長時間安定して培養を続けられるようにすることができる、スフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕スフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法において、下層チャンバー(1)と上層チャンバー(4)から構成されているスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイス(8)を用いて、最初に前記デバイス(8)に培養液(11A)を導入し、スフェロイド(12)を前記上層チャンバー(4)の中に入れ、少量の前記培養液(11A)を前記上層チャンバー(4)側に足し、その後、前記上下層チャンバー(1,4)間の前記培養液(11A)の流れによって前記スフェロイド(12)が移動し、前記スフェロイド(12)が前記上層チャンバー(4)の底に形成された孔(7)に固定され、前記スフェロイド(12)が固定された後に、異なる培養液(11B)を前記下層チャンバー(1)の片側からピペット(13)で流し込み、前記下層チャンバー(1)の反対側からアスピレーター(14)で吸い続けることで、前記下層チャンバー(1)内の前記培養液を置き換えることを特徴とする。
【0010】
〔2〕上記〔1〕記載のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法において、前記下層チャンバー(1)内の培養条件を連続的かつなだらかに変更できることを特徴とする。
【0011】
〔3〕上記〔1〕記載のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法において、前記培養液(11A)を前記デバイスに導入する際、前記培養液(11A)が前記上層チャンバーに少量残るようにすることを特徴とする。
【0012】
〔4〕上記〔1〕記載のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法において、前記スフェロイドが多能性幹細胞からなる胚様体であることを特徴とする。
【0013】
〔5〕上記〔1〕記載のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法において、前記スフェロイドに対して特定部位に異なる物質を作用させる際に、培養条件を途中で変更する場合にも、コンタミネーションリスクを減らし、スフェロイドに対してダメージを与えずに安定して培養を続けられるようにすることを特徴とする。
【0014】
〔6〕スフェロイドの特定部位に対する培養条件制御装置において、下層チャンバー(1)とドーナツ型の上層チャンバー(4)から構成されるスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイス(8)であって、前記上層チャンバーのウェルの底に貼られたPDMSの薄膜(6)と、この薄膜に形成された孔とを備え、前記デバイス(8)に培養液(11A)を導入し、スフェロイド(12)を前記上層チャンバー(4)中に入れ、少量の前記培養液(11A)を前記上層チャンバー(4)側に足し、その後、前記上下層チャンバー(1,4)間の前記培養液(11A)の流れによって前記スフェロイド(12)が移動し、前記スフェロイド(12)が前記上層チャンバー(4)の底に形成された孔(7)に固定され、前記スフェロイド(12)が固定された後に、異なる培養液(11B)を前記下層チャンバー(1)の片側からピペット(13)で流し込み、前記下層チャンバー(1)の反対側からアスピレーター(14)で吸い続けることで、前記下層チャンバー(1)内の前記培養液を置き換えることを特徴とする。
【0015】
〔7〕上記〔6〕記載のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御装置において、前記下層チャンバー(1)及び上層チャンバー(4)はシリコーンゴムのポリジメチルシロキサン(PDMS)で作製されており、前記上層チャンバー(4)の前記ウェル(5)の底に貼られた前記PDMSの薄膜(6)の厚さが約20μmであることを特徴とする。
【0016】
〔8〕上記〔6〕記載のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御装置において、前記薄膜の孔(7)の直径が100μm~3mmであることを特徴とする。
【0017】
〔9〕上記〔6〕記載のスフェロイドの部位の培養条件制御装置において、前記スフェロイドが多能性幹細胞からなる胚様体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スフェロイドの特定部位に物質を作用させる際に、培養条件を途中で変更する場合にも、コンタミネーションリスクを減らし、スフェロイドに対してダメージを与えずに安定して培養を続けられるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例を示すスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイス(装置)の下層チャンバーの構成図である。
【図2】本発明の実施例を示すスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイス(装置)のドーナツ型の上層チャンバーの構成図である。
【図3】本発明の実施例を示す下層チャンバー上に上層チャンバーが組み合わされたスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイス(装置)を示す図である。
【図4】本発明の実施例を示すスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイス(装置)に培養液と細胞のスフェロイドが満たされた様子を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例を示す下層チャンバー内の培養液を換える様子を示す斜視図である。
【図6】本発明のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御プロセスを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
スフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法は、下層チャンバー1と上層チャンバー4から構成されているスフェロイド12の特定部位に対する培養条件制御デバイス8を用いて、最初に前記デバイス8に培養液11Aを導入し、スフェロイド12を前記上層チャンバー4の中に入れ、少量の前記培養液11Aを前記上層チャンバー4側に足し、その後、前記上下層チャンバー間の前記培養液11Aの流れによって前記スフェロイド12が移動し、前記スフェロイド12が前記上層チャンバー4の底に形成された孔7に固定され、前記スフェロイド12が固定された後に、異なる培養液11Bを前記下層チャンバー1に片側からピペット13で流し込み、前記下層チャンバー1の反対側からアスピレーター14で吸い続けることで、下層チャンバー1内の前記培養液を置き換える。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例】
【0022】
図1は本発明の実施例を示すスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイス(装置)の下層チャンバーの構成図であり、図1(a)はその平面図、図1(b)はその斜視図、図2は本発明の実施例を示すスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイス(装置)のドーナツ型の上層チャンバーの構成図であり、図2(a)はその平面図、図2(b)はその斜視図、図3は本発明の実施例を示す下層チャンバー上に上層チャンバーが組み合わされたスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイス(装置)を示す図、図4は本発明の実施例を示すスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイス(装置)に培養液と細胞のスフェロイドが満たされた様子を示す斜視図、図5は本発明の実施例を示す下層チャンバー内の培養液を換える様子を示す斜視図である。
【実施例】
【0023】
本発明のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイス(装置)8は、下層チャンバー1とドーナツ型の上層チャンバー4から構成されている。上下層チャンバー1,4はシリコーンゴムのポリジメチルシロキサン(PDMS)で製作されており、それぞれ図1、図2に示したようなウェル2, 5が形成されている。上層チャンバー4のウェル5の底には厚さ約20μmのPDMSの薄膜6が貼られている。その薄膜6には孔7が形成されている。なお、孔7の直径は具体的には100μm以上であり、培養するスフェロイド12のサイズにより変動するが、好適には100μm~3mm、さらに好適には100μm~500μmである。
【実施例】
【0024】
培養時には図4に示すように、上層チャンバー4内にスフェロイド12が配置されており、上層チャンバー4と下層チャンバー1には培養液11(ここでは、最初の培養液11A)が満たされている。スフェロイド12の特定部位に対する培養条件を変更する場合には、図5に示すように下層チャンバー1へ異なる培養液11Bを導入する。その詳細を図6で説明する。
【実施例】
【0025】
図6は本発明のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御プロセスを示す断面図である。
【実施例】
【0026】
まず、培養液を入れていない状態〔図6(a)参照〕のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイス(装置)8に対して、上層チャンバー4から培養液11Aを入れると、孔7を通して培養液11Aは下層チャンバー1へも流れ込み、下層チャンバー1が満たされる。このとき、上層チャンバー4も全て満たすのではなく、上層チャンバー4には少し培養液11Aが残るようにする〔図6(b)参照〕。次いで、スフェロイド(ここでは多能性幹細胞の集合体である胚様体)12を入れ、少量の培養液11Aを上層チャンバー4に足すと、スフェロイド12は直ぐに孔7上に固定される〔図6(c)参照〕。次いで、下層チャンバー1の培養液11Aをアスピレーター14で吸いながら異なる培養液11Bをピペット13で入れていく〔図6(d)参照〕。下層チャンバー1の片側からピペット13で培養液(11B)を入れると、図6(e)のように反対側では培養液11Aの表面張力によって培養液11Aの表面が球面状に高くなってくるので、この球面部分をアスピレーター14で吸い取るようにしてもよい〔図6(f)参照〕。この作業を繰り返すことで、下層チャンバー1内を異なる培地に交換することができる。
【実施例】
【0027】
このように、使用方法として、図6に示すように、最初にデバイス8に培養液11Aを導入する。次に、細胞のスフェロイド12を上層チャンバー4の中に入れ、少しの培養液11Aを上層側に足す。すると、上下チャンバー1,4間の培養液11Aの流れによってスフェロイド12が移動し、スフェロイド12が孔7に固定される。スフェロイド12が固定された後に、異なる培養液11Bを下層チャンバー1にピペット13で流し込み、反対側からアスピレーター14で吸い続けることで、下層チャンバー1内の培養液を換えることができる。
【実施例】
【0028】
従来のインサート型デバイスでは、下層チャンバーに対応する部分の培養条件を変更するためには、インサートを他のウェルに移し替える必要があったため、操作時にコンタミネーションが起こるリスクや液面が急激に動くことによる細胞への影響などを回避することが難しかった。これに対して、本発明では、スフェロイドが固定された上層チャンバーを移動させることなく、下層チャンバーの培養条件を変更することが可能であるため、それらを回避することが可能である。さらに下層チャンバー内の培養条件を連続的かつなだらかに変更することもできる。
【実施例】
【0029】
すなわち、
(1)スフェロイド(胚様体)の特定部位に対して物質を作用させる実験を行う際に、コンタミネーションのリスクを減らし、細胞にダメージを与えずに安定して培養を続けられる。
(2)スフェロイド(胚様体)の特定部位の培養条件を時間的に連続かつなだらかに変化させることができる。
【実施例】
【0030】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、スフェロイド(多能性幹細胞の集合体である胚様体)に対して特定の部位に物質を作用させる際に、培養条件を途中で変更する場合にも、コンタミネーションのリスクを減らしつつ安定的にスフェロイド(胚様体)の特定部位に異なる物質を作用させることができるため、さらに複雑な組織を体外で誘導しうるようなスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御方法及びその装置として利用できる。
【0032】
また、実際に、多能性幹細胞から形成されるスフェロイドである胚様体に対して実験を行ったところ、部位特異的に異なる分化状態を誘導できることを確認できている。
【0033】
本発明のスフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイス(装置)内で神経系等の形成を再現するなどさらに複雑な組織形成を試みることによって、胎児の先天異常などが再現可能になれば、治療薬開発のためのスクリーニングなどへの応用が考えられる。
【符号の説明】
【0034】
1 下層チャンバー
2,5 ウェル
6 薄膜
4 上層チャンバー
7 孔
8 スフェロイドの特定部位に対する培養条件制御デバイス
11、11A、11B 培養液
12 スフェロイド
13 ピペット
14 アスピレーター
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5