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明細書 :VEPパッド及び視機能モニタリング装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-106735 (P2016-106735A)
公開日 平成28年6月20日(2016.6.20)
発明の名称または考案の名称 VEPパッド及び視機能モニタリング装置
国際特許分類 A61B   3/10        (2006.01)
FI A61B 3/10 E
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2014-245290 (P2014-245290)
出願日 平成26年12月3日(2014.12.3)
発明者または考案者 【氏名】鈴木 倫保
【氏名】野村 貞宏
【氏名】丸田 雄一
【氏名】井上 貴雄
【氏名】山川 俊貴
出願人 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001601、【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
審査請求 未請求
要約 【課題】VEPパッドを複数のLEDへの電力供給を制御する変換基板に着脱自在とすることでリユースのみならずシングルユースも可能とする。また、ゴーグル型のような明瞭な明暗の差を作り出す、及び、各LEDの発光周期や発光強度等を個別に制御し瞳孔の位置同定や半側視野刺激を可能とする。
【解決手段】平板状のパッド部9、ライン引き出し部10及びプリント配線部5を有するフレキシブルプリント基板6と、パッド部9に配置されるとともにプリント配線部5に独立して駆動できるように接続され、パッド部9の表面側から光を出射することができる複数のLED7と、パッド部9に設けた反射体と、プリント配線部5を接続するためのコネクタ8を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
平板状のパッド部、ライン引き出し部及び前記パッド部から前記ライン引き出し部の端部に至るプリント配線部を有するフレキシブルプリント基板と、
前記パッド部に配置されるとともに前記プリント配線部に独立して駆動できるように接続され、前記パッド部の表面側から光を出射することができる複数のLEDと、
前記ライン引き出し部の端部に設けられ、前記複数のLEDへの電力供給を制御する変換基板と前記プリント配線部を電気的に接続するためのコネクタを備えている
ことを特徴とするVEPパッド。
【請求項2】
前記パッド部の裏面側又は表面側に前記複数のLEDから出射する光を反射する反射体が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のVEPパッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のVEPパッドと、
前記変換基板と、
前記VEPパッドから出射した光が被験者のまぶたを通して網膜に照射された時に生じるVEPを測定するVEP測定装置を備えており、
前記変換基板は、前記複数のLEDに対して、それぞれ個別に電力供給を制御することが可能である
ことを特徴とする視機能モニタリング装置。
【請求項4】
前記変換基板は、前記パッド部の中心部近傍に設置されているLED群を1つ又は隣接する同数のLEDで構成される複数のグループに分け、それぞれのグループを構成するLEDに対して順次電力供給が可能である
ことを特徴とする請求項3に記載の視機能モニタリング装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、脳神経外科手術における術中モニタリングの1つである視覚誘発電位(以下「VEP」という。)の評価精度を飛躍的に向上させる光刺激パッド(以下「VEPパッド」という。)に関するものである。
なお、VEPはVisual Evoked Potentialの略称である。
【背景技術】
【0002】
脳神経外科手術における術中モニタリングは、手術精度や術後合併症の発生を抑えるべく、近年盛んに用いられるようになってきており、今や不可欠な手術手技となっている。
この術中モニタリングには様々な手技・手法が用いられるが、視覚路近傍の脳腫瘍や眼動脈の分枝近傍の内頚動脈瘤の手術では、失明などの術後合併症の発生を抑えるべく、視機能のモニタリングが実施される。
そして、視機能のモニタリングを実施するには、網膜に光刺激を与えるとともに、VEPを測定する必要がある。
【0003】
VEPは多シナプスを介する長潜時の皮質活動を反映するため、麻酔薬の影響を受けやすい評価法であり、安定した電気記録が困難と言われてきたが、近年ではVEPへの影響が少ない麻酔薬であるプロポフォールの導入や高輝度LED等の出現により、モニタリング精度が向上している。
【0004】
現在、術中モニタリングに用いられている光刺激装置としては大きく分けて2種類ある。神経機能検査として用いられてきたゴーグル型とシリコンシート等の柔軟なシートに複数の発光点を設けたシート型である。
例えば、特許文献1(特開2007-185326号公報)には、背景技術として光刺激ゴーグルが記載され(段落0005~0007及び図3を参照)、実施例としてプラスチック樹脂の板に導波路20を埋め込むとともに、導波路20から射出される光201を眼球の方向に向ける反射面130を設けた光刺激めがね11が記載されている(特に、段落0014~0015及び図1を参照)。
【0005】
ところが、ゴーグル型は眼瞼上を完全に覆うため、光の漏れが少なく明暗の差を出しやすいものの、特許文献1(段落0006~0007)にも記載されているように、麻酔によって意識を喪失している患者においては、その目にきちんとあてておくことが困難であり、手術に伴って光軸にズレが生じると刺激強度が大きく減衰するという問題や、まぶたが開いたままになることがあるにもかかわらず医師及び看護士が患者の目が開いていることに気づきにくいという問題等があった。
【0006】
また、特許文献1に記載されている実施例の光刺激めがねは、リユースを前提とした装置であるとともに、LED又はレーザーで発生した光を導波路に導き、導波路の端から射出される光を眼球の方向に向けるため、発光強度をそれほど高くすることができず、照射範囲も狭いといった問題がある。
さらに、特許文献1(段落0020)には、制御部のデジタル的な操作で光の発光間隔、発光強度、光の周波数などを制御することについても記載されてはいるが、瞳孔の位置同定については全く考慮されていない。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2007-185326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、安価なフレキシブルプリント基板を用い、そのフレキシブルプリント基板のプリント配線部に独立して駆動できるように複数のLEDを接続、配置するとともに、フレキシブルプリント基板の端部に複数のLEDへの電力供給を制御する変換基板との接続用コネクタを設けてVEPパッドを構成し、VEPパッドを変換基板に着脱自在とすることで、リユースのみならずシングルユースも可能とすることを第1の目的としている。
また、VEPパッドの裏面側又は表面側に複数のLEDから出射する光を反射する反射体を設けることによってLED光の無駄を最小限に抑え、網膜へより多くの光を照射できるようにするとともに、取り付け時の遮光操作を不要としてゴーグル型のような明瞭な明暗の差を作り出すことが本発明の第2の目的である。
さらに、変換基板上に各LEDに対する光強度調整機構を搭載することにより、各LEDの発光周期や発光強度等の多彩な制御を可能とした視機能モニタリング装置を提供すること及び瞳孔の位置同定が可能な視機能モニタリング装置を提供することが本発明の第3の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明のVEPパッドは、平板状のパッド部、ライン引き出し部及び前記パッド部から前記ライン引き出し部の端部に至るプリント配線部を有するフレキシブルプリント基板と、前記パッド部に配置されるとともに前記プリント配線部に独立して駆動できるように接続され、前記パッド部の表面側から光を出射することができる複数のLEDと、前記ライン引き出し部の端部に設けられ、前記複数のLEDへの電力供給を制御する変換基板に前記プリント配線部を接続するためのコネクタを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のVEPパッドにおいて、前記パッド部の裏面側又は表面側に前記複数のLEDから出射する光を反射する反射体が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明の視機能モニタリング装置は、請求項1又は2に記載のVEPパッドと、前記変換基板と、前記VEPパッドから出射した光が被験者のまぶたを通して網膜に照射された時に生じるVEPを測定するVEP測定装置を備えており、前記変換基板は、前記複数のLEDに対して、それぞれ個別に電力供給を制御することが可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の視機能モニタリング装置において、前記変換基板は、前記パッド部の中心部近傍に設置されているLED群を隣接する同数のLEDで構成される複数のグループに分け、それぞれのグループを構成するLEDに対して順次電力供給が可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明のVEPパッドは、フレキシブルプリント基板と、複数のLEDと、プリント配線部を接続するためのコネクタで構成されているが、それらはいずれもありふれたものであって単価を引き下げることができるので、リユースのみならずシングルユースも可能となる。
また、フレキシブルプリント基板は鋏等を用いて容易にカットすることができるので、プリント配線部のない位置においてパッド部に適宜切れ目を入れ、パッド部の表面をまぶた及び目の周辺にフィットさせることができる。
さらに、複数のLEDはプリント配線部に独立して駆動できるように接続されているので、各LEDの発光周期や発光強度等を個別に制御することができ、ひいては瞳孔の位置同定及び確実な半側視野刺激を実現できる。
【0014】
請求項2に係る発明のVEPパッドは、パッド部の裏面側又は表面側に複数のLEDから出射する光を反射する反射体を設けている。
そして、反射体はアルミ箔等のありふれたものとすることができ、まぶたで一旦反射されたLEDの光を反射体によって反射させ再度網膜に向かわせることができるので、請求項1に係る発明の効果に加え、LED光の無駄を最小限に抑え、網膜へより多くの光を照射できるとともに、取り付け時の遮光操作を不要としてゴーグル型のような明瞭な明暗の差を作り出すことができる。
【0015】
請求項3に係る発明の視機能モニタリング装置は、複数のLEDに対して、それぞれ個別に電力供給を制御することが可能な変換基板と、VEPパッドから出射した光が被験者のまぶたを通して網膜に照射された時に生じるVEPを測定するVEP測定装置を備えているので、各LEDの発光周期や発光強度などの多彩な制御を行いつつ、VEPを測定することができる。
また、すでに医療用神経機能モニタリング装置を保有している医療機関においては、その装置に付属していたゴーグル型やシート型の光刺激装置を、本発明の変換基板とVEPパッドに置き換えるだけでVEPモニタリングを実施できる。
【0016】
請求項4に係る発明の視機能モニタリング装置によれば、請求項3に係る発明の効果に加え、変換基板が、パッド部の中心部近傍に設置されているLED群を、1つ又は隣接する同数のLEDで構成される複数のグループに分け、順次それぞれのグループを構成するLEDに対して電力供給が可能であるので、あるグループのLEDに対して電力供給を行った時に他のグループのLEDに対して電力供給を行った時よりも大きなVEPが測定されたことによって、瞳孔の直上にあるグループのLEDを特定できる。
そして、瞳孔の直上にあるグループのLEDを特定できれば、網膜の左半分又は右半分のみに光刺激を与える半側視野刺激を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例に係る視機能モニタリング装置の概要図。
【図2】実施例に係るVEPパッドの平面図。
【図3】針電極の設置位置を示す図。
【図4】頂点間振幅の説明図。
【図5】人間の眼球における視覚経路を示す図。
【図6】瞳孔中心の真上にあるLEDを特定する原理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施例によって本発明の実施形態を説明する。
【実施例】
【0019】
図1は実施例に係る視機能モニタリング装置1の概要図である。図1に示すように、実施例の視機能モニタリング装置1は、VEPパッド2、変換基板3及びVEP測定装置4を備えている。
【実施例】
【0020】
図2は実施例に係るVEPパッド2の平面図である。図1及び図2に示すように、実施例のVEPパッド2は、プリント配線部5を有する平板状で光透過性が高く柔軟性のあるポリイミド製のフレキシブルプリント基板6と、12個のLED7と、変換基板3とプリント配線部5を電気的に接続するためのコネクタ8を備えている。
そして、フレキシブルプリント基板6は、まぶたを完全に覆うことが可能なサイズである縦3~5cm、横5~8cmの矩形状のパッド部9と、幅0.5~1.5cm、長さ10~20cmのライン引き出し部10を有し、プリント配線部5は、パッド部9からライン引き出し部10の端部まで延びる厚さ10μm、幅20μm程度の細長い15個の配線パターンを有している。
また、ライン引き出し部10の端部にはコネクタ8が設けてあり、変換基板3から延びる延長コード11の先端部に設けてある接続端子12を用いて、15個の配線パターンと延長コード11を構成する15本の電線とが、それぞれ電気的に接続される。
【実施例】
【0021】
12個のLED7は、パッド部9に縦方向に3個、横方向に4個マトリクス状に配置されて固定されるとともに、プリント配線部5に電気的に接続され、変換基板3を介して給電されることで、パッド部9の表面側から所定波長の光が出射される。
図2から分かるように、横方向に並んでいる4個のLED7は1個の共通する配線パターンと電気的に接続されるとともに、4個の配線パターンと別々に電気的に接続されているので、それぞれ個別に発光を制御できるようになっている。
【実施例】
【0022】
各LED7は、120度程度の広い出射角度、1800mcd程度の高い発光輝度及び可視光波長帯域(単波長又は複数波長の組合せ)のものを用い、パッド部9には縦方向に3個、横方向に4個マトリクス状に配置されて固定されるとともに、プリント配線部5に上述のように電気的に接続されているので、変換基板3から電力供給を受けることによって、それぞれ個別にパッド部9の表面側から出射される光の強度を制御できるようになっている。
さらに、図示していないが、パッド部5の裏面側にはアルミコーティングを施している。
そのため、VEPパッド2を取り付ける時に遮光部材を貼る等の遮光操作を行わなくても、ゴーグル型のような明瞭な明暗の差を作り出すことができ、また、LED7から出射され、まぶたの表面で反射された光が、再度パッド部9の表面側へ反射されるので、より多くの光を網膜へ入射させることができる。
【実施例】
【0023】
実施例の視機能モニタリング装置1を利用するVEPの測定は、以下の手順で行う。
(1)パッド部9を、被験者のまぶたが完全に覆われるように、表面側が閉じたまぶたの表面に接するように被せる。
(2)パッド部9の上からアイパッチを貼ってパッド部9を固定する。
(3)VEPを測定するための電極として、図3に示すように、外後頭隆起13の4cm上方、4cm外側の2点(陰極設置点14及び15)に針電極(陰極)を、両側の乳様突起の2点(陽極設置点16及び17)に針電極(陽極)を設置するとともに、ボディーアースを適宜の箇所(通常は前頭部の皮下)からとる。
(4)LEDの発光強度を十分高い値からだんだん下げ、VEP振幅が下がり始める直前の発光強度(最大上刺激)を探す。
なお、1回の刺激時間は20ミリ秒程度、刺激頻度は1秒間に1回程度である。
(5)最大上刺激で刺激を繰り返しながら、VEPを測定し記録する。
【実施例】
【0024】
上記の手順で得られたVEP波形をモニタリングしながら、視覚路近傍の脳腫瘍や眼動脈の分枝近傍の内頚動脈瘤の手術を行うが、モニタリングに際しては、刺激開始から100ミリ秒前後に現れる最大陰性波の頂点(図4の18)に注目し、その前後の陽性波の頂点(図4の19及び20)との振幅のうち大きい方の振幅(以下「頂点間振幅」という。)を指標として評価を行う。
そして、手術前に得られた頂点間振幅を基準として、手術中に得られた頂点間振幅が50%以上上昇した場合を改善、50%以上低下した場合を悪化と定義して評価する。
【実施例】
【0025】
次に実施例のVEPパッドを使用する半側視野刺激について説明する。
人間の眼球は、図5に示すように、網膜の左側における光刺激は左脳への視覚経路21を介して伝達され、網膜の右側における光刺激は右脳への視覚経路22を介して伝達される。
したがって、例えば図5に示すように、パッド部9にあるLED群のうち瞳孔の中心より右側にあるものだけを点滅させて網膜の左側だけに光刺激を与えると、左脳側でVEPが現れ、右脳側ではVEPは現れない。
半側視野刺激とは、このように網膜の左側のみ又は右側のみに光刺激を与えることであり、半側視野刺激によって視覚経路及び部位選択的なVEPの評価を行うことができる。
【実施例】
【0026】
ところで、半側視野刺激を実現するためには、瞳孔の中心部分がどこにあるかを確認する必要があるが、パッド部9の中央が必ず瞳孔中心の真上に固定されるとは限らないため、パッド部9を固定した後に瞳孔中心の真上にあるLEDを特定しなければならない。
図6は、瞳孔中心の真上にあるLEDを特定する原理を示す図である。
ここで、図6のパッド部9の上及び左に付されている符号(a~i)及び数字(1~8)は、パッド部9に固定されているLEDを説明するためのものであり、例えば、図6(a)で発光しているLEDをc4と呼ぶこととする。
図6(a)は瞳孔より左側にあるLED(c4)を発光させた状態とその時に現れるVEP波形、図6(b)は瞳孔より右側にあるLED(f4)を発光させた状態とその時に現れるVEP波形、図6(c)は瞳孔中心の真上にあるLED(e4)を発光させた状態とその時に現れるVEP波形を示している。
これらの図から分かるように、瞳孔中心の真上にあるLED(e4)を発光させた時に最も大きなVEPが得られ、光刺激を受ける部位が網膜の中心から離れれば離れるほどVEPの振幅は小さくなる。その理由は、網膜上における光や色を感知する錐体視細胞の密度が中心窩に近いほど大きいためである。
【実施例】
【0027】
この原理を利用すれば、次のような手順によって瞳孔中心の真上にあるLEDを特定することができる。
(1)パッド部9の中心部近傍に設置されているLED群(例えば、図6のc3~c6、d3~d6、e3~e6、f3~f6及びg3~g6)のうちの1つのLEDに対して、順次電力を供給して発光させ、それぞれVEP波形を記録する。
(2)全てのVEP波形が記録されたら、それぞれの頂点間振幅を求める。
(3)求めた全ての頂点間振幅のうち最大のものに対応するLEDを瞳孔中心の真上にあるLEDと特定する。
【実施例】
【0028】
そして、例えばe4のLEDが瞳孔中心の真上にあるLEDと特定された場合、網膜の右側のみに光刺激を与えるためには、a1~a8、b1~b8、c1~c8及びd1~d8に対して電力を供給して発光させれば良く、網膜の左側のみに光刺激を与えるためには、f1~f8、g1~g8、h1~h8及びi1~i8に対して電力を供給して発光させれば良い。
また、例えばf4のLEDが瞳孔中心の真上にあるLEDと特定された場合、網膜の右側のみに光刺激を与えるためには、c1~c8、d1~d8及びe1~e8に対して電力を供給して発光させれば良く、網膜の左側のみに光刺激を与えるためには、g1~g8、h1~h8及びi1~i8に対して電力を供給して発光させれば良い。
【実施例】
【0029】
実施例のVEPパッドに関する変形例を列記する。
(1)実施例においては、フレキシブルプリント基板6を光透過性が高く柔軟性のあるポリイミド製のものとしたが、光透過性及び柔軟性のある他の材質のものでも良く、光透過性がなく柔軟性のある材質のものとすることもできる。
(2)実施例においては、パッド部5の裏面側にアルミコーティングを施したが施さなくても良く、アルミコーティングに代えて、アルミ以外の金属コーティング、又は二酸化ケイ素や硫酸バリウムをベースとしたコーティング材の塗布等を施しても良い。
また、フレキシブルプリント基板6を光透過性のない材質のものとした場合には、パッド部5の表面側のプリント配線部5を除く部分又はプリント配線部5と基板表面との間に、非導電性の反射体を設けると良い。要するに、パッド部の裏面側又は表面側に複数のLEDから出射する光を反射する反射体を施してあれば良い。
非導電性の反射体としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム及び硫酸バリウムのいずれかをベースとしたコーティング材等がある。
(3)実施例においては、LED7をパッド部9に縦方向に3個、横方向に4個マトリクス状に配置したが、配置する個数は何個でも良く、また、マトリクス状に限らず千鳥状や放射状に配置しても良い。
さらに、瞳孔中心の真上にあるLEDをより正確に特定できるようにするために、パッド部9の中心部近傍におけるLED群の配置密度を、その周囲におけるLED群の配置密度より高くしても良い。
(4)VEP波形のモニタリングにおける評価の方法として、手術前に得られた頂点間振幅を基準として、手術中に得られた頂点間振幅が50%以上上昇した場合を改善、50%以上低下した場合を悪化と定義する例を示したが、手術部位等を考慮して改善とする場合の上昇割合や、悪化とする場合の低下割合は適宜変更しても良い。
また、VEP測定装置4に頂点間振幅を判定する機能を付加し、手術前に得られた頂点間振幅(以下「基準振幅」という。)を記憶させるとともに、手術中に得られた頂点間振幅と基準振幅を比較し、改善とする場合の上昇割合を超えているか否か、及び悪化とする場合の低下割合を下回っているか否かを判定し、判定結果を音、光、表示等で報知できるようにすると使い勝手の良い視機能モニタリング装置となる。
頂点間振幅を判定するアルゴリズムとしては、次の手順が一例として挙げられる。
a.刺激開始から80~120ミリ秒にわたってVEPを適宜サンプリングする。
b.サンプリングしたVEPから極小値(陽性波の頂点に近似)と極大値(陰性波の頂点に近似)を順次求める。
c.隣接する極小値と極大値の差分値を算出、記録する。
d.サンプリング終了時点において記録された複数の差分値のうち最大のものを頂点間振幅と判定する。
(5)瞳孔中心の真上にあるLEDを特定する手順においては、パッド部9の中心部近傍に設置されているLED群のうちの1つのLEDに対して、順次電力を供給して発光させたが、パッド部9の中心部近傍に設置されているLED群を、隣接する同数のLEDで構成される複数のグループに分け、それぞれのグループを構成するLEDに対して順次電力を供給して発光させても良い。
そうした場合、複数のLEDを発光させ光量を大きくすることができるので、頂点間振幅の差が大きくなり、瞳孔中心の真上にあるLEDをより正確に特定できる。
また、VEP測定装置4に頂点間振幅を判定する機能を付加すれば、順次得られる頂点間振幅に注目して最大の頂点間振幅が得られたときの発光LEDを判断するだけで瞳孔中心の真上にあるLEDを特定できるので使い勝手の良い視機能モニタリング装置となる。
さらに、VEP測定装置4に判定した全ての頂点間振幅から最大の頂点間振幅を抽出する機能及び最大の頂点間振幅が得られたときの発光LEDを表示や音声等で知らせる機能を付加すれば、さらに使い勝手の良い視機能モニタリング装置となる。
【符号の説明】
【0030】
1 視機能モニタリング装置 2 VEPパッド 3 変換基板
4 VEP測定装置 5 プリント配線部 6 フレキシブルプリント基板
7 LED 8 コネクタ 9 パッド部
10 ライン引き出し部 11 延長コード 12 接続端子
13 外後頭隆起 14、15 陰極設置点 16、17 陽極設置点
18 最大陰性波の頂点 19、20 陽性波の頂点
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5