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明細書 :ミューオン-プラズモイド複合核融合炉

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-114370 (P2016-114370A)
公開日 平成28年6月23日(2016.6.23)
発明の名称または考案の名称 ミューオン-プラズモイド複合核融合炉
国際特許分類 G21B   3/00        (2006.01)
FI G21B 3/00
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 6
出願番号 特願2014-250765 (P2014-250765)
出願日 平成26年12月11日(2014.12.11)
発明者または考案者 【氏名】浅井 朋彦
【氏名】稲垣 滋
出願人 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100124257、【弁理士】、【氏名又は名称】生井 和平
審査請求 未請求
要約 【課題】エネルギ生産効率を高めるためにミューオンの再活性化を行うことが可能なミューオン-プラズモイド複合核融合炉を提供する。
【解決手段】核融合反応を得るためのミューオン-プラズモイド複合核融合炉は、標的容器10と固体水素氷霧発生源20とプラズモイド発生源30とミューオン発生源40とからなる。固体水素氷霧発生源20は、標的容器10に接続され、標的容器10内に固体水素を入射し固体水素氷霧21を形成する。プラズモイド発生源30は、標的容器10に接続され、磁化プラズモイド31を発生すると共に標的容器10内の固体水素氷霧21中に磁化プラズモイドを移送し、固体-プラズマ複合領域32を形成する。ミューオン発生源40は、標的容器10に接続され、固体-プラズマ複合領域32にミューオン41を入射し核反応を得る。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
核融合反応を得るためのミューオン-プラズモイド複合核融合炉であって、該ミューオン-プラズモイド複合核融合炉は、
核融合反応を起こすための標的容器と、
前記標的容器に接続され、標的容器内に固体水素を入射し固体水素氷霧を形成するための固体水素氷霧発生源と、
前記標的容器に接続され、磁化プラズモイドを発生すると共に標的容器内の固体水素氷霧中に磁化プラズモイドを移送し、固体-プラズマ複合領域を形成するためのプラズモイド発生源と、
前記標的容器に接続され、固体-プラズマ複合領域にミューオンを入射し核反応を得るためのミューオン発生源と、
を具備することを特徴とするミューオン-プラズモイド複合核融合炉。
【請求項2】
請求項1に記載のミューオン-プラズモイド複合核融合炉において、前記固体水素氷霧発生源及びプラズモイド発生源は、生成される固体-プラズマ複合領域がミューオンの寿命に比べて長い時間維持されるように制御されることを特徴とするミューオン-プラズモイド複合核融合炉。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のミューオン-プラズモイド複合核融合炉において、前記プラズモイド発生源は、磁化プラズモイドをプラズマの拡散又は緩和の時間スケールより速く、標的容器内の固体水素氷霧中に移送することを特徴とするミューオン-プラズモイド複合核融合炉。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のミューオン-プラズモイド複合核融合炉において、前記ミューオン発生源は、固体水素氷霧が昇華する間にミューオンを入射することを特徴とするミューオン-プラズモイド複合核融合炉。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のミューオン-プラズモイド複合核融合炉であって、さらに、前記標的容器に接続され、核融合生成物を回収するためのエネルギ変換器を具備することを特徴とするミューオン-プラズモイド複合核融合炉。
【請求項6】
請求項5に記載のミューオン-プラズモイド複合核融合炉において、前記プラズモイド発生源は、発生する磁化プラズモイドを閉じ込める磁場をガイド磁場として用いて核融合生成物をエネルギ変換器に誘導することを特徴とするミューオン-プラズモイド複合核融合炉。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は核融合炉に関し、特に、反応効率を高めた核融合炉に関する。
【背景技術】
【0002】
現存する核融合炉の方式は主に3種類あり、1つ目は高温プラズマの磁気閉じ込め方式でありトカマク方式、ステラレータ方式等である(例えば特許文献1)。2つ目はレーザ光等でターゲットを爆縮し高温高密度状態で短時間に反応を起こす慣性閉じ込め方式である。さらに3つ目はミューオンを用いたミューオン触媒方式である(例えば非特許文献1)。
【0003】
水素や重水素のアイスペレットをターゲットとしたミューオン触媒核融合炉は、核物理や加速器科学の分野で研究が進められ、安定的に核融合反応を得られることが知られている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2009-139153号公報
【0005】

【非特許文献1】N.Nakamura et al.「Measurements of 3He accumulation effect on muon catalyzed fusion in the solid/liquid DT mixtures」Physics Letters B, Volume 465, Issues 1-4, 21 October 1999, Pages 74-80
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁気閉じ込め方式は、不安定性に伴うディスラプションや炉壁材料等、実用炉の実現には多くの課題がある。また、慣性封じ込め方式は、レーザ光の開発やエネルギ回収方法等において課題も多い。そして、ミューオン触媒方式は、安定的に核融合反応を得られることが知られているが、エネルギ生産効率としては10倍以上のさらなる向上が必要であり、ミューオン生成効率のみで解決するのは困難であった。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑み、エネルギ生産効率を高めるためにミューオンの再活性化を行うことが可能なミューオン-プラズモイド複合核融合炉を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明によるミューオン-プラズモイド複合核融合炉は、核融合反応を起こすための標的容器と、標的容器に接続され、標的容器内に固体水素を入射し固体水素氷霧を形成するための固体水素氷霧発生源と、標的容器に接続され、磁化プラズモイドを発生すると共に標的容器内の固体水素氷霧中に磁化プラズモイドを移送し、固体-プラズマ複合領域を形成するためのプラズモイド発生源と、標的容器に接続され、固体-プラズマ複合領域にミューオンを入射し核反応を得るためのミューオン発生源と、を具備するものである。
【0009】
ここで、固体水素氷霧発生源及びプラズモイド発生源は、生成される固体-プラズマ複合領域がミューオンの寿命に比べて長い時間維持されるように制御されるものであれば良い。
【0010】
また、プラズモイド発生源は、磁化プラズモイドをプラズマの拡散又は緩和の時間スケールより速く、標的容器内の固体水素氷霧中に移送するものであれば良い。
【0011】
また、ミューオン発生源は、固体水素氷霧が昇華する間にミューオンを入射するものであれば良い。
【0012】
さらに、標的容器に接続され、核融合生成物を回収するためのエネルギ変換器を具備するものであっても良い。
【0013】
また、プラズモイド発生源は、発生する磁化プラズモイドを閉じ込める磁場をガイド磁場として用いて核融合生成物をエネルギ変換器に誘導するものであっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明のミューオン-プラズモイド複合核融合炉には、ミューオンの再活性化を行うことが可能でありエネルギ生産効率が高まるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、ミューオンの反応サイクルを説明するための概略模式図である。
【図2】図2は、本発明のミューオン-プラズモイド複合核融合炉を説明するための概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、ミューオンの反応サイクルについて説明する。図1に、ミューオンの反応サイクルを説明するための概略模式図を示す。ミューオンの反応サイクルにおいて、1つのミューオンが何回触媒として反応するかがエネルギ生産効率を決定する。即ち、エネルギ生産効率を支配する最大の因子は、触媒として作用したミューオンが、核融合生成されたα粒子と結合してαμとなり、反応サイクルから遁走する割合、即ち、α-付着率である。このαμは、数十eV程度のプラズマ中で電離することが知られており、これが固体水素中に再入射することで再度触媒として作用する。そこで、本発明では、固体水素の周囲を「ぬるい」プラズマが取り巻く状況を作り、これを標的としてミューオンを入射することを考えた。

【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。図2は、本発明のミューオン-プラズモイド複合核融合炉を説明するための概略側断面図である。図示の通り、本発明のミューオン-プラズモイド複合核融合炉は、標的容器10と、固体水素氷霧発生源20と、プラズモイド発生源30と、ミューオン発生源40とから主に構成されている。

【0018】
標的容器10は、核融合反応を起こすための容器である。例えば真空容器であり、真空排気設備等により内部が真空に保たれるものである。また、核融合反応では放射線の発生を伴うため、放射線の遮蔽が可能な遮蔽材が用いられる。標的容器10は、核融合炉でこれまで用いられているものや今後開発されるべきものを用いることが可能であり、特定の物には限定されない。

【0019】
固体水素氷霧発生源20は、標的容器10に接続されるものである。そして、標的容器10内に固体水素を入射し固体水素氷霧21を形成するものである。固体水素氷霧21は、固体水素を霧状に噴射することで、雲状に形成されたものである。固体水素氷霧発生源20としては、例えば細かいペレット状に水素を冷却し、これを標的容器10内に注入することが可能なものを用いれば良い。固体水素氷霧発生源20としても、既存のものや今後開発されるべきものを用いることが可能である。

【0020】
プラズモイド発生源30は、標的容器10に接続されるものである。そして、磁化プラズモイド31を発生すると共に、標的容器10内の固体水素氷霧21中に移送し、固体-プラズマ複合領域32を形成するものである。即ち、磁化プラズモイド31を固体水素氷霧21に向けて高速に移動させると、固体水素氷霧21の周囲が「ぬるい」磁化プラズモイド31で取り巻かれる領域である固体-プラズマ複合領域32が形成される。具体的には、プラズモイド発生源30は、磁化プラズモイド31を、プラズマの拡散又は緩和の時間スケールより速く、標的容器10内の固体水素氷霧21中に移送する。これにより、プラズマが消える前に固体水素氷霧21の周囲を磁化プラズモイド31で取り巻くように制御して固体-プラズマ複合領域32が形成される。また、生成される固体-プラズマ複合領域32は、ミューオンの寿命に比べて長い時間維持されるように、固体水素氷霧発生源20及びプラズモイド発生源30により制御される。具体的には、ミューオンの寿命は約2μ秒であるため、これより有意に長い時間、例えば、数十μ秒程度、固体-プラズマ複合領域32が維持されるように制御する。

【0021】
このように、固体水素氷霧発生源20及びプラズモイド発生源30を用いることで、固体水素氷霧21のような高密度で低温(例えば電子温度が2eV未満)の触媒反応領域と、それを取り巻く磁化プラズモイド31のような比較的高温(例えば数十eV)の再活性化領域を同時に得られるようにする。

【0022】
プラズモイド発生源30としては、例えば磁場反転配位(FRC:Field-Reversed Configuration)プラズマ発生装置等、既存のものや今後開発されるべきものを用いることが可能である。例えば、逆磁場シータピンチ型FRC装置により生成された磁化プラズモイドを、磁場コイル(準定常磁場コイル)35が作る外部磁場勾配により固体水素氷霧21に向けて高速に閉じ込め部に移送すれば良い。

【0023】
そして、ミューオン発生源40は、標的容器10に接続されるものである。ミューオン発生源40は、固体-プラズマ複合領域32にミューオン41を入射するものである。具体的には、ミューオン発生源40は、固体水素氷霧21が昇華する間にミューオン41を入射する。これにより、標的容器10内で核反応が得られる。そして、触媒として作用したミューオン41が、核融合生成されたα粒子と結合しαμとなるが、このαμが固体-プラズマ複合領域32内で電離し、ミューオンが再度触媒として作用する。したがって、ミューオンの反応効率が上がり、エネルギ生産効率が高まることになる。ミューオン発生源40としては、位相空間回転方式のものやイオン化冷却方式のもの等、既存のものや今後開発されるべきものを用いることが可能である。

【0024】
このように、本発明のミューオン-プラズモイド複合核融合炉によれば、磁化プラズモイドによりミューオンの再活性化が可能となりミューオンが触媒として何度も作用するような領域を生成したことで、反応効率が上がるためエネルギ生産効率が高まる。

【0025】
さらに、本発明のミューオン-プラズモイド複合核融合炉は、エネルギ回収にも都合が良い。即ち、プラズマを閉じ込める磁場をガイド磁場として用いることで、核融合反応生成物を移送することが可能である。例えば、核融合生成物を回収するためのエネルギ変換器を標的容器10に接続することが可能である。発生した磁化プラズモイドを閉じ込める磁場をガイド磁場として用いて核融合生成物をエネルギ変換器に誘導する。このように、本発明のミューオン-プラズモイド複合核融合炉は、直接エネルギ変換器に核融合生成物を誘導することが可能となり、エネルギ回収システムとしての適合性も高い。

【0026】
なお、本発明のミューオン-プラズモイド複合核融合炉は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
10 標的容器
20 固体水素氷霧発生源
21 固体水素氷霧
30 プラズモイド発生源
31 磁化プラズモイド
32 固体-プラズマ複合領域
35 磁場コイル
40 ミューオン発生源
41 ミューオン
図面
【図1】
0
【図2】
1