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明細書 :アジュバント組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-108250 (P2016-108250A)
公開日 平成28年6月20日(2016.6.20)
発明の名称または考案の名称 アジュバント組成物
国際特許分類 A61K  39/39        (2006.01)
A61K  39/00        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI A61K 39/39
A61K 39/00 Z
A61P 35/00
C12N 15/00 ZNAA
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2014-244421 (P2014-244421)
出願日 平成26年12月2日(2014.12.2)
発明者または考案者 【氏名】瀬谷 司
【氏名】松本 美佐子
出願人 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100077012、【弁理士】、【氏名又は名称】岩谷 龍
審査請求 未請求
テーマコード 4B024
4C085
Fターム 4B024AA01
4B024BA31
4B024CA01
4B024CA04
4B024CA09
4B024CA11
4B024CA20
4B024DA02
4B024EA02
4B024EA04
4B024GA11
4B024HA01
4B024HA08
4B024HA17
4C085AA03
4C085AA38
4C085BB01
4C085DD86
4C085EE06
4C085FF12
4C085FF17
要約 【課題】強いアジュバント活性と高い安全性を有し、かつ、化学合成により製造可能な核酸を含有するアジュバント組成物、および当該アジュバント組成物と抗原または抗原性成分を含むワクチン組成物を提供すること。
【解決手段】配列番号1に示される塩基配列およびその相補配列からなる二本鎖RNAと、配列番号2に示される塩基配列からなる一本鎖DNAとが結合している核酸を含有するアジュバント組成物、および当該アジュバント組成物と抗原または抗原性成分を含むワクチン組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号3に示される塩基配列からなる一本鎖核酸Aと、配列番号4に示される一本鎖核酸Bにより形成されている二本鎖核酸を含有することを特徴とするアジュバント組成物。
【請求項2】
一本鎖核酸Aおよび一本鎖核酸Bが化学合成されていることを特徴とする請求項1に記載のアジュバント組成物。
【請求項3】
一本鎖核酸Aおよび一本鎖核酸Bが、化学合成された複数のフラグメントをライゲーションにより連結させて作製されていることを特徴とする請求項1または2に記載のアジュバント組成物。
【請求項4】
一本鎖核酸Aおよび一本鎖核酸Bのいずれの末端にもリン酸基が結合していないことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のアジュバント組成物。
【請求項5】
一本鎖DNAを構成するヌクレオチドの全部がホスホロチオエート修飾されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のアジュバント組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のアジュバント組成物および抗原または抗原性成分を含むワクチン組成物。
【請求項7】
前記抗原ががん抗原である請求項6に記載のワクチン組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアジュバント組成物およびそれを含有するワクチン組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
がん免疫療法はがん抗原としてペプチドワクチンを投与する方法が主流であるが、有効率を上げる方法として、がん抗原の投与と同時に、樹状細胞を活性化させるアジュバントを同時投与する方法が提唱されている。本発明者らは、がん免疫療法に用いるアジュバントについて研究を進めており、麻疹ウイルス由来のdiRNA(defective interference RNA)が、アジュバントの機能を有することを見出した。具体的には、当該diRNAは、ヒト細胞に対してIFN-β発現を誘導し、NK細胞のNK活性を増強させ、B16メラノーマ細胞を移植した担がんマウスに対してがん抗原エピトープと共に投与すると顕著な腫瘍退縮効果を示したことを見出した(特許文献1)。また、本発明者らは、ポリICのTLR3を介したIFN-β発現誘導を阻害するオリゴDNAを見出し、当該オリゴDNAは、ポリICと共通のレセプターを介して細胞内に取り込まれ、取り込まれたオリゴDNAの一部がTLR3に局在することを報告している(非特許文献1)。さらに、本発明者らは、非特許文献1に記載のオリゴDNAと特許文献1に記載のdiRNAに基づいて設計した新規な核酸が、エンドソーム上のTLR3に到達し、強いアジュバント活性を有することを見出した(特許文献2)。
【0003】
一方、アジュバント活性を有する核酸を医薬品として供給するためには、GMP基準を遵守して製造する必要があるため、化学合成により核酸を製造することが不可欠である。しかしながら、100merを超えるような長鎖RNAを化学合成する技術は未だ確立されておらず、専らインビトロ転写により合成されている。それゆえ、ヒトに適用する医薬品としてのアジュバント製剤を開発するためには、強いアジュバント活性と高い安全性を有し、かつ、化学合成により製造可能な核酸の創製が強く求められている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】国際公開WO2008/065752号
【特許文献2】国際公開WO2012/014945号
【0005】

【非特許文献1】The Journal of Immunology, 2008, 181: 5522-5529
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、強いアジュバント活性と高い安全性を有し、かつ、化学合成により製造可能な核酸を含有するアジュバント組成物、および当該アジュバント組成物と抗原または抗原性成分を含むワクチン組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1]配列番号3に示される塩基配列からなる一本鎖核酸Aと、配列番号4に示される一本鎖核酸Bにより形成されている二本鎖核酸を含有することを特徴とするアジュバント組成物。
[2]一本鎖核酸Aおよび一本鎖核酸Bが化学合成されていることを特徴とする前記[1]に記載のアジュバント組成物。
[3]一本鎖核酸Aおよび一本鎖核酸Bが、化学合成された複数のフラグメントをライゲーションにより連結させて作製されていることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のアジュバント組成物。
[4]一本鎖核酸Aおよび一本鎖核酸Bのいずれの末端にもリン酸基が結合していないことを特徴とする前記[1]~[3]のいずれかに記載のアジュバント組成物。
[5]一本鎖DNAを構成するヌクレオチドの全部がホスホロチオエート修飾されていることを特徴とする前記[1]~[4]のいずれかに記載のアジュバント組成物。
[6]前記[1]~[5]のいずれかに記載のアジュバント組成物および抗原または抗原性成分を含むワクチン組成物。
[7]前記抗原ががん抗原である前記[6]に記載のワクチン組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、化学合成で製造され、強いアジュバント活性と高い安全性を有する核酸を含有するアジュバント組成物を提供することができる。当該核酸は、インビトロ転写により製造された核酸と比較して安定性が高く、副作用が少ないので、ヒトに適用するためのアジュバントとして非常に有用である。また、当該アジュバント組成物と抗原または抗原性成分とを組み合わせることにより、優れたワクチン組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)はcM362-140の構造を示す図であり、(B)はcM362-140のセンスRNAおよびアンチセンスRNAを7%尿素含有8%PAGEに供した結果を示す図である。
【図2】cM362-139の構造を示す図である。
【図3】cM362-140およびcM362-139の、血清を添加したPBSに対する安定性を検討した結果を示す図であり、(A)はcM362-140の結果、(B)はcM362-139の結果である。
【図4】cM362-140およびcM362-139の、血清を添加したRNaseフリー水に対する安定性を検討した結果を示す図である。
【図5】cM362-140によるIFN-βプロモーター活性化を、レポーターアッセイにより評価した結果を示す図である。
【図6】野生型マウスおよびTLR3ノックアウトマウス由来の脾臓樹状細胞を用いて、cM362-140によるサイトカイン産生誘導をインビトロで評価した結果を示す図である。
【図7】野生型マウスおよびTLR3ノックアウトマウスにcM362-140を腹腔内投与し、サイトカイン産生誘導をインビボで評価した結果を示す図である。
【図8】EG7細胞の担がん野生型マウスを用いて、cM362-140および/またはOVAによる退縮効果を評価した結果を示す図である。
【図9】EG7細胞の担がん野生型マウスにcM362-140および/またはOVAを投与し、脾臓細胞のOVA特異的CD8陽性T細胞を検出した結果を示す図である。
【図10】EG7細胞の担がん野生型マウスにcM362-140および/またはOVAを投与し、脾臓細胞のIFN-γ産生量を測定した結果を示す図である。
【図11】B16メラノーマ細胞(B16D8)担がんマウス(野生型マウスまたはTICAM-1ノックアウトマウス)を用いてcM362-140による退縮効果を評価した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔アジュバント組成物〕
本発明は、配列番号1に示される塩基配列およびその相補配列からなる二本鎖RNAと、配列番号2に示される塩基配列からなる一本鎖DNAとが結合している核酸を含有するアジュバント組成物を提供する。本発明のアジュバント組成物に含有される核酸(以下、「本発明の核酸」と記す)は、配列番号1に示される塩基配列およびその相補配列からなる二本鎖RNAと、配列番号2に示される塩基配列からなる一本鎖DNAとが結合している核酸であればよい。本発明の核酸の二本鎖RNA部分はTLR3活性化能を有しており、一本鎖DNA部分は樹状細胞のエンドソームに送達されることが確認されている。したがって、本発明の核酸は、樹状細胞のエンドソームに効率よく送達され、TLR3を活性化することにより免疫機能を賦活化することができる。

【0011】
配列番号1に示される塩基配列は、馴化麻疹ウイルス株であるEdmonston(ED)株由来のdiRNAのセンス鎖の塩基配列(配列番号5)の第1位~第140位の塩基配列である。その相補配列は、配列番号4に示される塩基配列である。配列番号2に示される塩基配列からなる一本鎖DNAは、二本鎖RNAのいずれの鎖に連結していてもよい。一本鎖DNAと二本鎖RNAは直接連結していてもよく、他の核酸(例えば、リンカー核酸)を介して連結していてもよいが、直接連結していることが好ましい。また、一本鎖DNAの3’がRNA鎖の5’側と結合していてもよく、一本鎖DNAの5’側がRNA鎖の3’側と結合していてもよい。一本鎖DNAの3’末端がRNA鎖の5’末端と直接共有結合していることがより好ましく、一本鎖DNAの3’末端がRNAセンス鎖(配列番号1)の5’末端と直接共有結合していることがさらに好ましい。すなわち、本発明の核酸は配列番号3に示される塩基配列からなる一本鎖核酸A(一本鎖DNAとRNAセンス鎖とのキメラ核酸)と、配列番号4に示される一本鎖核酸B(RNAアンチセンス鎖)により形成されていることが好ましい。

【0012】
一本鎖DNAを構成するヌクレオチドは、ホスホロチオエート修飾(「S化修飾」とも称される)されていることが好ましい。ホスホロチオエート修飾されているヌクレオチドは一本鎖DNAを構成するヌクレオチドの一部でもよく、全部でもよいが、全部がホスホロチオエート修飾されていることがより好ましい。ホスホロチオエート修飾により、ヌクレアーゼ耐性を示すとともに、エンドソームへの送達性が向上する。

【0013】
本発明の核酸は、化学合成により製造された二本の核酸鎖により形成されていることが好ましい。すなわち、上記一本鎖核酸Aおよび一本鎖核酸Bが化学合成された核酸鎖であることが好ましい。通常、長鎖RNAの合成にはインビトロ転写法が用いられるが、本発明の核酸は、インビトロ転写法を用いず、化学合成により配列特異的に製造することにより、例えば、凍結乾燥状態で安定に提供されるほか、合成された塩基配列が正確であるなどの点で有用性が高い。核酸の化学合成法は特に限定されず、公知の一般的な化学合成法を好ましく用いることができる。例えばホスホロアミダイト法などが挙げられる。

【0014】
各一本鎖核酸は、全長を一度に化学合成してもよく、いくつかのフラグメントに分けて合成した後、各フラグメントをライゲーションにより連結させてもよい。フラグメントの長さ(塩基数)は特に限定されないが、約30~約80merが好ましく、約35~約70merがより好ましく、約40~約60merがさらに好ましい。ライゲーションには、公知のライゲーション方法を用いることができるが、例えばMooreら(Moore MJ, & Sharp PA. Site-specific modification of pre-mRNA: the 2’-hydroxyl groups at the splice sites. Science 256: 992-997 (1992))、Jingら(Jing Xu, Lapham J, & Crothers DM. Determining RNA solution structure by segmental isotopic labeling and NMR: Application to Caenorhabditis elegans spliced leader RNA 1. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 44-48 (1996))等に記載のスプリントDNAによって媒介されるライゲーション反応を用いることが好ましい(実施例1参照)。

【0015】
本発明の核酸を形成する各一本鎖核酸は、いずれの末端にもリン酸基が結合していないことが好ましい。インビトロ転写により合成されたRNA鎖の5’末端には、3リン酸が付加されるが、本発明の核酸は化学合成により製造することができるので、5’末端および3’末端のいずれにもリン酸基が結合していない一本鎖核酸を用いて製造することができる。5’末端にリン酸基が残っていると、生体内での大量投与により細胞質内RIG-I経路を活性化し、大量のサイトカイン産生が誘導され副作用の原因となることから(Robinson RA, DeVita VT, Levy HB, Baron S, Hubbard SP, Levine AS. A phase I-II trial of multiple-dose polyriboinosic-polyribocytidylic acid in patieonts with leukemia or solid tumors. J Natl Cancer Inst. 1976 Sep;57(3):599-602)、本発明の核酸を用いれば、安全性の高いアジュバント組成物を提供することができる。

【0016】
また、本発明の核酸は、ポリICと異なり、TLR3下流のTICAM-1を介するシグナル伝達系を選択的に活性化し、TLR3以外の細胞内RNAセンサー活性化しないので、サイトカインストームを引き起こす懸念がない点で、安全性が高いことが確認されている(実施例5,7等参照)。さらに、本発明の核酸は、インビトロ転写により合成されたRNA鎖を用いて形成された類似構造の核酸と比較して、安定性に優れていることが確認されている(実施例2参照)。

【0017】
このように、本発明の核酸は、樹状細胞のエンドソームに送達されてTLR3を活性化することができるので、種々の免疫反応を増強することができる。さらに、本発明の核酸は、安全性および安定性が高いので、アジュバント組成物の有効成分として非常に有用である。本発明のアジュバント組成物は、本発明の核酸および薬学的に許容される担体または添加剤を適宜配合して製剤化することができる。具体的には錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤、注射剤、輸液、坐剤、軟膏、パッチ剤等の非経口剤とすることができる。担体または添加剤の配合割合については、医薬品分野において通常採用されている範囲に基づいて適宜設定すればよい。配合できる担体または添加剤は特に制限されないが、例えば、水、生理食塩水、その他の水性溶媒、水性または油性基剤等の各種担体;賦形剤、結合剤、pH調整剤、崩壊剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の各種添加剤が挙げられる。

【0018】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などに溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D-ソルビトール、D-マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO-50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。

【0019】
このようにして得られる製剤は、例えば、ヒトや他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。本発明のアジュバント組成物の投与量、投与頻度は、投与目的、投与対象の年齢、体重、性別、既往歴、投与方法などを考慮して、適宜設定することができる。

【0020】
〔ワクチン組成物〕
本発明は、上記本発明のアジュバント組成物と抗原または抗原性成分を含むワクチン組成物を提供する。抗原または抗原性成分としては、ウイルス抗原、細菌抗原、がん抗原、およびこれらの成分等が挙げられる。好ましくは、がん抗原である。がん細胞を皮下に移植して腫瘍を形成させたマウスに対して本発明の核酸とがん抗原を併用投与したところ、腫瘍を顕著に退縮させることができたことから、本発明のワクチン組成物は、がんワクチンとして非常に有用であることが確認されている。本発明のワクチン組成物は、上記本発明のアジュバント組成物に抗原または抗原性成分を添加することにより製造することができる。また、本発明のワクチン組成物は、上記本発明のアジュバント組成物と同様に製剤化して実施することができる。

【0021】
ウイルス抗原としては、例えば、アデノウイルス、レトロウイルス、ピコルナウイルス、ヘルペスウイルス、ロタウイルス、ハンタウイルス、コロナウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、オルソミクソウイルス、ブニヤウイルス、アレナウイルス、レオウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、ポックスウイルス、ヘパドナウイルス、海綿状ウイルス、HIV、CMV、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ポリオウイルス、天然痘ウイルス、風疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタイン-バーウイルス、日本脳炎ウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス等のウイルス抗原またはこれらの組み合わせが挙げられる。

【0022】
細菌抗原としては、例えば、バチルス属、エスケリキア属、リステリア属、ナイセリア属、ノカルジア属、サルモネラ属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属等の細菌抗原またはこれらの組み合わせが挙げられる。

【0023】
がん抗原としては、例えば、白血病、リンパ腫、星状細胞腫、神経膠芽腫、メラノーマ、乳癌、肺癌、頭頸部癌、消化器系腫瘍、胃癌、結腸癌、肝癌、膵癌、子宮癌、卵巣癌、膣癌、精巣癌、前立腺癌、陰茎癌、骨腫瘍、血管腫瘍、食道癌、胃癌、直腸癌、大腸癌、膵臓癌、胆嚢癌、胆管癌、喉頭癌、肺癌、気管支癌、膀胱癌、腎臓癌、脳腫瘍、甲状腺癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発骨髄腫等のがん抗原またはこれらの組み合わせが挙げられる。

【0024】
本発明には、さらに以下の発明が含まれる。
(1)配列番号3に示される塩基配列からなる一本鎖核酸Aと、配列番号4に示される一本鎖核酸Bにより形成されていることを特徴とする核酸。
(2)哺乳動物に対して、前記(1)に記載の核酸およびがん抗原を投与することを特徴とするがんの治療方法。
(3)がんの治療に使用するための前記(1)に記載の核酸。
(4)がん治療薬を製造するための前記(1)に記載の核酸使用。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0026】
〔実施例1:核酸の作製〕
(1)cM362-140(化学合成核酸)の作製
表1に記載の各一本鎖核酸(S1、S2、S3、AS1、AS2およびAS3)は、株式会社ジーンデザインに委託して合成した。RNA部分の化学合成にはtBDMS RNA amiditeを、DNA部分の化学合成には一般的なDNA amiditeを、S化(ホスホロチオエート)部分はPADSを使用した。合成方法は固相担体を用いたホスホロアミダイト法(Scaringe, S. A.et al, ;J Am Chem 1998;120:11820-11821)を基本とし、最適化したパラメーターを用いて実行した。合成完了後、一般的な方法を用いて塩基部分および2’位に存在する保護基を除去し、逆相HPLCにて精製を行った後脱塩し、各一本鎖核酸を得た。
【実施例】
【0027】
【表1】
JP2016108250A_000002t.gif
【実施例】
【0028】
化学合成長鎖RNAであるcM362-140は、スプリントDNAによって媒介されるライゲーション反応(参考文献:Moore MJ, & Sharp PA. Site-specific modification of pre-mRNA: the 2’-hydroxyl groups at the splice sites. Science 256: 992-997 (1992)、Jing Xu, Lapham J, & Crothers DM. Determining RNA solution structure by segmental isotopic labeling and NMR: Application to Caenorhabditis elegans spliced leader RNA 1. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 44-48 (1996))により作製した。
【実施例】
【0029】
cM362-140のセンス鎖RNA(一本鎖核酸A)は、二段階のライゲーション反応により作製した。第一のライゲーションとして、S2フラグメント(配列番号7、40 nmol)、S3フラグメント(配列番号8、40 nmol)およびライゲーション部位に特異的なスプリントDNA(配列番号12、40-48 nmol)を混合し、95℃で5分間加熱した後、4℃までゆっくり冷却し、ハイブリダイズさせた。続いてT4DNAリガーゼ(タカラバイオ)を添加して室温で16~22時間インキュベートした。ライゲーション反応混合物は、15.4μMのアニール複合体、66mMのTris-HCl(pH7.6)、6.6mMのMgCl2,10mMのDTT、0.1mMのATPおよび~31unit/μLのT4DNAリガーゼを含む。第二のライゲーションとして、S1フラグメント(配列番号6、40 nmol)と第二のライゲーション部位に特異的なスプリントDNA(配列番号13、40-48 nmol)を第一のライゲーション反応混合物に添加し、第一のライゲーションと同様にハイブリダイズさせ、T4DNAリガーゼを添加して室温で16~22時間インキュベートした。第二のライゲーション反応混合物は、8.9μMのアニール複合体、66mMのTris-HCl(pH7.6)、6.6mMのMgCl,10mMのDTT、0.1mMのATPおよび~31unit/μLのT4DNAリガーゼを含む。得られた全長165merのセンス鎖RNA(一本鎖核酸A)は、7Mの尿素を含む8%PAGEで分離し、UV照射によって可視化した後、目的のバンドを切り出し、0.3M酢酸ナトリウムで溶出した。溶出したRNAはエタノール沈殿させ、RNaseフリー水に再懸濁した。RNAの大規模調製のために、電気溶出はD-チューブダイアライザーマキシ(Novagen社)を使用して実施し、溶出したRNAを透析し、濃縮し、エタノールで沈殿させた。RNAの濃度は、分光光度計で260nmの吸光度を測定することによって決定した。収率は8~10%であった。
【実施例】
【0030】
cM362-140のアンチセンスRNA(一本鎖核酸B)を作製するために、3つのフラグメント、AS1(配列番号9、33 nmol)、AS2(配列番号10、33 nmol)およびAS3(配列番号11、33 nmol)ならびに二箇所のライゲーション部位に特異的な二種類のスプリントDNA(配列番号14および15、各 33 nmol)を混合し、ハイブリダイズし、その後T4DNAリガーゼを添加し室温で16~22時間インキュベートした。ライゲーション反応混合物は、15μMのアニール複合体、66mMのTris-HCl(pH7.6)、6.6mMのMgCl,10mMのDTT、0.1mMのATPおよび~31unit/μLのT4DNAリガーゼを含む。得られた全長140merのアンチセンスRNA(一本鎖核酸B)は、上記センスRNAと同様の手順で精製した。収率は15~22%であった。
【実施例】
【0031】
得られたセンスRNA(一本鎖核酸A)およびアンチセンスRNA(一本鎖核酸B)をアニールさせて、cM362-140を得た。図1にcM362-140の構造(A)および合成された165merのセンスRNA(一本鎖核酸A)および140merのアンチセンスRNA(一本鎖核酸B)を8%PAGEに供した結果(B)を示した。センスRNAおよびアンチセンスRNAは、それぞれの塩基長に相当する位置に単一のバンドとして検出された。
【実施例】
【0032】
(2)対照核酸cM362-139の作製
cM362-139の構造を図2に、cM362-139を構成する核酸の塩基配列を表2に示す。
【表2】
JP2016108250A_000003t.gif
【実施例】
【0033】
一本鎖DNA(ODN+リンカーDNA)は、株式会社ジーンデザインに委託して合成した。二本鎖RNAのテンプレートとして、馴化麻疹ウイルス株であるEdmonston(ED)株由来のdiRNA(defective interference RNA)を用いた。MVゲノムのこの領域およびT7プロモーター配列をカバーするDNA断片は、プラスミドpCR-T7MVを鋳型として用いたPCRで増幅した。用いたプライマーを以下に示す。
ODN-139 sense RNA (5’ primer)
5’-tgtaatacgactcactatagggaccagacaaagctggga-3’(配列番号19)
下線部はT7プロモーター配列
ODN-139 sense RNA (3’ primer)
5’-ggatacagtgccctgattaa-3’(配列番号20)
ODN-139 antisense RNA (5’ primer)
5’-tgtaatacgactcactataggatacagtgccctgattaa-3’(配列番号21)
下線部はT7プロモーター配列
ODN-139 antisense RNA (3’ primer)
5’-ccgtggtcatgctccgggaccagacaaagctggga-3’(配列番号22)
【実施例】
【0034】
AmpliScribeTMT7転写キット(Epicentre Technologies)を用いて、製造業者のプロトコールに従い、PCR産物からセンスRNAおよびアンチセンスRNAをそれぞれインビトロ転写により作製した。得られた転写産物は、7M尿素を含む8%PAGEで分離し、上記実施例1と同じ方法で精製した。最後に、一本鎖DNA(ODN+リンカーDNA)、センスRNAおよびアンチセンスRNAを混合し、アニールさせて、cM362-139を得た。
【実施例】
【0035】
〔実施例2:核酸の安定性〕
(1)血清を添加したPBS中の安定性
cM362-140およびcM362-139をそれぞれ、血清を含まないPBS、10%熱不活化FBS(ウシ胎児血清)、10%MS(マウス血清)または10%HS(ヒト血清)を含むPBSに20μg/mLの濃度で溶解し、37℃または42℃で60分間インキュベートした。インキュベート開始前(0分、血清を含まないPBSのみ)、5分後、15分後、30分後および60分後に、0.1μgの核酸が含まれるように溶液を取り、10×ローディングダイ(タカラバイオ)と混合し、臭化エチジウムを含む4%アガロースゲル(Nusieve 3:1 Agarose, Ronza)で電気泳動した。
結果を図3に示した。(A)がcM362-140の結果、(B)がcM362-139の結果である。37℃30分のインキュベーションでは、どちらの核酸も安定であったが、42℃30分のインキュベーションでは、インビトロ転写により作製したcM362-139は、血清(FBS、MS、HS)を含むPBS中で少し分解した。
【実施例】
【0036】
(2)血清を添加したRNaseフリー水中の安定性
PBSに代えてRNaseフリー水を用い、電気泳動に3%アガロースゲルを用いたこと以外は上記と同じ条件で安定性を検討した。
結果を図4に示した。(A)がcM362-140の結果、(B)がcM362-139の結果である。cM362-140はいずれの条件下でも安定であったが、cM362-139は、血清(FBS、MS、HS)存在下では部分的な分解が見られた。
以上の結果から、cM362-139よりcM362-140のほうが安定性に優れていることが明らかになった。
【実施例】
【0037】
〔実施例3:IFN-βプロモーター活性化〕
HEK293細胞(8×105cells/well)を6穴培養プレートに播種した。ヒトTLR3発現ベクター(400ng/well)または空ベクター(400ng/well)を、レポータープラスミドp-125(400ng/well)および内部コントロールベクターのphRL-TK(20ng/well、Promega)と共に、Lipofectamine2000(Invitrogen)を用いてHEK293細胞にトランスフェクションした。ヒトIFN-βプロモーター(-125~+19)を含むレポータープラスミドp-125は、東京大学の谷口博士から提供された。培地には、10%熱不活化ウシ胎児血清(FCS、Invitrogen)および抗生物質を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Invitrogen)を用いた。
【実施例】
【0038】
トランスフェクションから24時間後に細胞を回収し、培地に再懸濁して96穴培養プレートに播種した。核酸濃度が10μg/mLとなるようにcM362-140、cM362-139、ポリIC(Amersham)またはcM362-140の二本鎖RNA部分(dsRNA140)を以下の条件で添加した。
(A)ヒトTLR3発現HEK293細胞の培地に核酸を直接添加
(B)ヒトTLR3発現HEK293細胞の培地に核酸とDOTAPリポソーム型トランスフェクション試薬(Roche)を添加
(C)HEK293細胞の培地に核酸とLipofectamine2000(Invitrogen)を添加
ルシフェラーゼ活性の測定には、Dual-Luciferase Reporter Assay System(Promega)を用いた。上記(A)および(B)は核酸添加から6時間後に、上記(C)は核酸添加から24時間後に、それぞれルシフェラーゼ活性の測定を行った。
【実施例】
【0039】
結果を図5に示した。左が上記(A)、中央が上記(B)、右が上記(C)の結果である。データはn=3の平均値および標準偏差で示した。ヒトTLR3発現HEK293細胞の外(培地)にcM362-140を単純添加した場合(A)、およびヒトTLR3発現HEK293細胞のエンドソームにcM362-140を送達した場合(B)のいずれも、cM362-140はcM362-139と同様に、IFN-βプロモーターを効率的に活性化した(図5左および中央)。一方、ヒトTLR3を発現していないHEK293細胞の細胞質にcM362-140を送達した場合(C)には、IFN-βプロモーターを活性化しなかった。この結果から、cM362-140は、TLR3を介してIFN-βプロモーターを活性化し、他のRNA/DNAセンサーを介したIFN-βプロモーター活性化は誘導しないことが示された。
【実施例】
【0040】
〔実施例4:インビトロサイトカイン産生誘導〕
C57BL/6Jマウス(野生型:WT)およびTLR3ノックアウトマウス(TLR3KO、大阪大学の審良博士から提供された)からそれぞれ脾臓を摘出し、コラゲナーゼ処理を行った。フィルターを通過させ、溶血後、培地で洗浄し、anti-CD11c microbeadsを用いたMACS system(miltenyi biotech)でCD11c陽性細胞を単離し、脾臓DCとした。培地には、10%熱不活化ウシ胎児血清(FCS、Invitrogen)および抗生物質を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Invitrogen)を用いた。なお、本明細書に記載の全ての動物実験は、北海道大学動物実験委員会が作成したガイドラインに従って実施された。
脾臓DCを5×10個/500μL培地/wellとなるように24穴プレートに分注し、核酸(cM362-140、cM362-139、ポリIC、またはdsRNA140)20μg/mLを(A)単独で、(B)DOTAPリポソーム型トランスフェクション試薬(Roche)と共に、または(C)Lipofectamine2000(Invitrogen)と共に添加して24時間培養した。24時間後、培養上精を回収し、TNF-α、IL-6およびIFN-βの産生量を測定した。TNF-αおよびIL-6の測定にはBD CBA Flex Set Systemを用いた。IFN-βの測定には、マウスIFN-β用ELISAキット(PBL Assay Science)を用いた。
【実施例】
【0041】
結果を図6に示した。左列が(A)培地に核酸を単独で添加した場合、中央列が(B)培地に核酸とDOTAPリポソーム型トランスフェクション試薬を添加した場合、右列が(C)培地に核酸とLipofectamine2000を添加場合であり、上段がTNF-α、中段がIL-6、下段がIFN-βである。データは独立した3回の試験の平均値および標準偏差で示した。左列の結果からわかるように、脾臓DCの細胞外へのcM362-140を単独で添加することにより、野生型マウス由来の脾臓DCにおいて、TNF-α、IL-6およびIFN-βの産生がわずかに増加した。対照的に、中央列の結果からわかるように、DOTAPリポソーム型トランスフェクション試薬を用いてcM362-140をエンドソームに送達すると、野生型マウス由来の脾臓DCにおいて、TNF-α、IL-6およびIFN-βの産生量が増加した。一方、右列の結果からわかるように、Lipofectamine2000を用いてcM362-140を細胞質に送達した場合は、エンドソームに送達した場合よりTNF-α、IL-6およびIFN-βの産生量が減少した。いずれの場合もTLR3KOマウスの脾臓DCではcM362-140によるサイトカイン産生は見られなかった。これらの結果から、cM362-140は、エンドソームのTLR3を標的とするが、細胞質のRNA/DNAセンサーを標的としないことが示された。
【実施例】
【0042】
〔実施例5:インビボサイトカイン産生誘導〕
野生型C57BL/6Jマウス(9週齢、メス)またはTLR3KOマウス(9週齢、メス)に、50μgのcM362-140、cM362-139またはポリICを腹腔内投与した。一群あたり3匹のマウスを用いた。各核酸溶液は、RNaseフリー水を用いて調製した。核酸投与後、1時間目、3時間目および6時間目に尾静脈から採血し、血清中のTNF-α、IL-6およびIL-10を測定した。測定には、BD CBA Flex Set Systemを用いた。
【実施例】
【0043】
結果を図7に示した。左列がポリIC、中央列がcM362-139、右列がcM362-140、上段がTNF-α、中段がIL-6、下段がIL-10の結果である。データはn=3の平均値±SEで示した。図7から明らかなように、cM362-140はポリICと比較して、インビボでのサイトカイン産生量が顕著に少ないことが示された。この結果から、cM362-140は、生体に投与した際にサイトカインストーム等の副作用の懸念がなく、安全性が高いと考えられた。
【実施例】
【0044】
〔実施例6:抗原特異的CTLの誘導〕
(1)腫瘍退縮効果
C57BL/6Jマウスの背部を剃毛し、2×10cells/200μL(PBS)のEG7細胞(C57BL/6マウスの胸腺種に由来するEL4細胞にオボアルブミン抗原を発現させたがん細胞)を皮下に移植して腫瘍を形成させ、腫瘍体積(cm)(長径×短径×0.4)を経時的に測定した。移植後8日目(腫瘍体積:約0.6cm)に、cM362-140単独、OVA単独、またはcM362-140+OVAを腫瘍周辺の皮下に投与した。対照としてPBS(-)のみを同様に投与した。一群あたり4匹のマウスを用いた。cM362-140の用量は50μg、OVAの用量は100μgとし、いずれもPBS(-)に溶解して調製した。投与容量は50μLとした。一回目の投与から7日後(移植後15日目)に二回目の投与を行った。OVAには、エンドトキシンフリーOVA(Hyglos)を用いた。
【実施例】
【0045】
結果を図8に示した。cM362-140の単独投与群では腫瘍がほとんど退縮しなかったが、cM362-140+OVA投与群では腫瘍が顕著に退縮した(*:p<0.05)。なお、データは平均値±SEで示し、統計解析には一元配置分散分析およびボンフェローニテストを用いた。【0046】
(2)テトラマーアッセイ
cM362-140のアジュバント活性を評価するために、EG7担がんマウスから脾臓細胞を調製し、テトラマーアッセイを行った。上記(1)において、PBS、cM362-140単独、OVA単独、またはcM362-140+OVAの二回目の投与から7日後(移植後22日目)に、定法に従い脾臓細胞を調製した。得られた脾臓細胞をFITC-CD8α(BioLegend)、PerCP/Cy5.5-7AAD(BD Biosciences)、APC-CD3ε(BioLegend)およびPE-OVA-テトラマー(MBL)で染色し、OVA特異的CD8陽性T細胞(テトラマー/CD8/CD3細胞)を検出し、その割合を求めた。
【実施例】
【0047】
結果を図9に示した。図9から明らかなように、cM362-140+OVA投与群は、他群と比較して、脾臓細胞中のOVA特異的CD8陽性T細胞の割合が有意に増加していた(**:p<0.01)。なお、統計解析には一元配置分散分析およびボンフェローニテストを用いた。【0048】
(3)IFN-γ産生
上記(2)で調製した脾臓細胞(2×106cells/200μL/well)を96穴培養プレートに播種し、OVAペプチド(SL8)100nM存在下で3日間培養した後、培養上清中のIFN-γ量をBD CBA Flex Set Systemを用いて測定した。
結果を図10に示した。図10から明らかなように、cM362-140+OVA投与群は、他群と比較して、脾臓細胞のIFN-γ産生量が有意に増加していた(**:p<0.01)。なお、データは平均値±SEで示し、統計解析には一元配置分散分析およびボンフェローニテストを用いた。【0049】
(4)小括
実施例6の各結果から、cM362-140は抗原特異的細胞傷害性T細胞の増殖と活性化を誘導し、がん抗原と併用することにより優れたアジュバント効果を奏することが明らかになった。
【実施例】
【0050】
〔実施例7:NK細胞の活性化による腫瘍退縮効果〕
C57BL/6-B16同系NK感受性腫瘍移植モデル(Akazawa T., T. Ebihara, M. Okuno, Y. Okuda, K. Tsujimura, T. Takahashi, M. Ikawa, M. Okabe, T. Ebihara, M, Shingai, N. Inoue, M. Tanaka-Okamoto, H. Ishizaki, J. Miyoshi, M. Matsumoto, and T. Seya. 2007. Antitumor NK activation induced by the Toll-like receptor3-TICAM-1 (TRIF) pathway in myeloid dendritic cells. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 104: 252-257.)を用いて、NK細胞の活性化による移植がんの退縮効果を評価した。C57BL/6Jマウス(野生型:WT)およびTICAM-1ノックアウトマウス(TICAM-1 KO、発明者らが作製)の背部を剃毛し、6×10cells/200μL(PBS)のB16メラノーマ細胞(B16D8)を皮下に移植して腫瘍を形成させ、腫瘍体積(cm)(長径×短径×0.4)を経時的に測定した。移植後12日目に、in vivo-JetPEIと混合した150μgのcM362-140または蒸留水(DW)を腫瘍周辺の皮下に投与した。一群あたり3匹のマウスを用いた。
【実施例】
【0051】
結果を図11に示した。左が野生型マウス、右がTICAM-1 KOマウスの結果である。図11から明らかなように、cM362-140は野生型マウスにおいて蒸留水(DW)投与と比較して顕著な腫瘍退縮効果を示したが、TICAM-1 KOマウスにおいては、腫瘍退縮効果を示さなかった。この結果から、本発明の核酸は、TICAM-1を介するシグナル伝達で効果を発揮することが示された。
【実施例】
【0052】
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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