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明細書 :放射線曝露原因の推定方法及び推定システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-114505 (P2016-114505A)
公開日 平成28年6月23日(2016.6.23)
発明の名称または考案の名称 放射線曝露原因の推定方法及び推定システム
国際特許分類 G01T   1/167       (2006.01)
G01T   1/16        (2006.01)
FI G01T 1/167 C
G01T 1/16 A
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2014-254228 (P2014-254228)
出願日 平成26年12月16日(2014.12.16)
発明者または考案者 【氏名】田村 拓也
【氏名】盛武 敬
【氏名】石垣 陽
出願人 【識別番号】506087705
【氏名又は名称】学校法人産業医科大学
【識別番号】513232598
【氏名又は名称】ヤグチ電子工業株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】100090697、【弁理士】、【氏名又は名称】中前 富士男
【識別番号】100176142、【弁理士】、【氏名又は名称】清井 洋平
【識別番号】100127155、【弁理士】、【氏名又は名称】来田 義弘
審査請求 未請求
テーマコード 2G188
Fターム 2G188AA08
2G188AA19
2G188AA23
2G188CC08
2G188CC28
2G188EE25
2G188EE27
2G188GG09
要約 【課題】放射線をもたらす原因を、簡便に推定する放射線曝露原因の推定方法及びそのシステムを提供する。
【解決手段】放射線曝露原因の推定システムは、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度と複数種の放射線曝露原因それぞれとの関係を定めた判定基準17を記憶した記憶部15と、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度を計測する計測部11と、判定基準17を基に、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測値から、計測部11が空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度を計測した場所の放射線曝露原因を導き出す推定部12とを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度と複数種の放射線曝露原因それぞれとの関係を定めた判定基準を作成する準備工程と、
前記放射線曝露原因の調査対象地点で、前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度をそれぞれ計測する測定工程と、
前記判定基準を基に、前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値から、前記調査対象地点の前記放射線曝露原因を導き出す推定工程とを有する放射線曝露原因の推定方法。
【請求項2】
請求項1記載の放射線曝露原因の推定方法において、前記判定基準は、X軸及びY軸の一方及び他方がそれぞれ前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度を示す二次元座標系に、前記複数種の放射線曝露原因がマッピングされた二次元マップであり、前記推定工程では、前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値を座標とする点が前記二次元マップ上にプロットされることを特徴とする放射線曝露原因の推定方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の放射線曝露原因の推定方法において、前記調査対象地点は複数の異なる場所に存在し、前記複数の調査対象地点それぞれで計測された前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値から、進入が制限されるべき場所を特定する制限特定工程を、更に有することを特徴とする放射線曝露原因の推定方法。
【請求項4】
請求項3記載の放射線曝露原因の推定方法において、前記複数の調査対象地点それぞれで計測された前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値と、それぞれの計測時刻の情報とを基にして、放射線の拡散を推定する拡散予測工程を、更に有することを特徴とする放射線曝露原因の推定方法。
【請求項5】
空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度と複数種の放射線曝露原因それぞれとの関係を定めた判定基準を記憶した記憶部と、
前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度を計測する計測部と、
前記判定基準を基に、前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値から、前記計測部が前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度を計測した場所の前記放射線曝露原因を導き出す推定部とを備える放射線曝露原因の推定システム。
【請求項6】
請求項5記載の放射線曝露原因の推定システムにおいて、前記判定基準は、X軸及びY軸の一方及び他方がそれぞれ前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度を示す二次元座標系に、前記複数種の放射線曝露原因がマッピングされた二次元マップであり、前記推定部は前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値を座標とする点を前記二次元マップ上にプロットすることを特徴とする放射線曝露原因の推定システム。
【請求項7】
請求項5又は6記載の放射線曝露原因の推定システムにおいて、前記計測部は、複数あって、2か所以上の異なる場所に分散して、前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度を計測し、
前記複数の計測部それぞれから前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値を測定位置情報と共に取得する演算部を設け、前記演算部は、進入が制限されるべき場所を特定することを特徴とする放射線曝露原因の推定システム。
【請求項8】
請求項7記載の放射線曝露原因の推定システムにおいて、前記演算部は、前記複数の計測部それぞれから前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値を、前記測定位置情報及び計測時刻の情報と共に取得して、放射線の拡散を推定することを特徴とする放射線曝露原因の推定システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線をもたらす原因を推定する放射線曝露(暴露)原因の推定方法及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線源に関しては、調査対象地点の空気を採取し、放射線エネルギーのスペクトル解析により、その空気に含まれる放射性物質を同定した後、核物理学の専門家やCBRNテロ(化学、生物、放射性物質、核兵器を用いるテロ)の専門家によって放射線をもたらす原因が推定される。
放射線エネルギーのスペクトル解析についての具体例は、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2000-241555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、放射線エネルギーのスペクトル解析には、空気採取装置やスペクトル解析装置等の大掛かりな装置が必要とされ、更に、放射線源の推定精度は、測定者の熟練度や専門家の知識レベルにも依存する傾向がある。
また、たとえ、放射性物質が正確に特定されたとしても、放射線をもたらしている直接の原因を推定するのは容易でなく、高度な専門家集団による危機管理対策が必要であった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、簡便な方法で、放射線をもたらす原因を推定する放射線曝露原因の推定方法及びそのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係る放射線曝露原因の推定方法は、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度と複数種の放射線曝露原因それぞれとの関係を定めた判定基準を作成する準備工程と、前記放射線曝露原因の調査対象地点で、前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度をそれぞれ計測する測定工程と、前記判定基準を基に、前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値から、前記調査対象地点の前記放射線曝露原因を導き出す推定工程とを有する。
【0006】
第1の発明に係る放射線曝露原因の推定方法において、前記判定基準は、X軸及びY軸の一方及び他方がそれぞれ前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度を示す二次元座標系に、前記複数種の放射線曝露原因がマッピングされた二次元マップであり、前記推定工程では、前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値を座標とする点が前記二次元マップ上にプロットされるのが好ましい。
【0007】
第1の発明に係る放射線曝露原因の推定方法において、前記調査対象地点は複数の異なる場所に存在し、前記複数の調査対象地点それぞれで計測された前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値から、進入が制限されるべき場所を特定する制限特定工程を、更に有するのが好ましい。
【0008】
第1の発明に係る放射線曝露原因の推定方法において、前記複数の調査対象地点それぞれで計測された前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値と、それぞれの計測時刻の情報とを基にして、放射線の拡散を推定する拡散予測工程を、更に有するのが好ましい。
【0009】
前記目的に沿う第2の発明に係る放射線曝露原因の推定システムは、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度と複数種の放射線曝露原因それぞれとの関係を定めた判定基準を記憶した記憶部と、前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度を計測する計測部と、前記判定基準を基に、前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値から、前記計測部が前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度を計測した場所の前記放射線曝露原因を導き出す推定部とを備える。
【0010】
第2の発明に係る放射線曝露原因の推定システムにおいて、前記判定基準は、X軸及びY軸の一方及び他方がそれぞれ前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度を示す二次元座標系に、前記複数種の放射線曝露原因がマッピングされた二次元マップであり、前記推定部は前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値を座標とする点を前記二次元マップ上にプロットするのが好ましい。
【0011】
第2の発明に係る放射線曝露原因の推定システムにおいて、前記計測部は、複数あって、2か所以上の異なる場所に分散して、前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度を計測し、前記複数の計測部それぞれから前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値を測定位置情報と共に取得する演算部を設け、前記演算部は、進入が制限されるべき場所を特定するのが好ましい。
【0012】
第2の発明に係る放射線曝露原因の推定システムにおいて、前記演算部は、前記複数の計測部それぞれから前記空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値を、前記測定位置情報及び計測時刻の情報と共に取得して、放射線の拡散を推定するのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明に係る放射線曝露原因の推定方法、及び、第2の発明に係る放射線曝露原因の推定システムは、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度と複数種の放射線曝露原因それぞれとの関係を定めた判定基準を基にして、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測値から、放射線曝露原因を導き出すので、放射線をもたらす原因を、簡便に推定することが可能である。これは、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度と、放射線をもたらす原因、即ち、放射線曝露原因とが、密接に関連している点が確認されたこと、並びに、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の高精度な計測が、大掛かりな装置を用いることなく、行えることによるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る放射線曝露原因の推定システムの説明図である。
【図2】判定基準である二次元マップを示す説明図である。
【図3】放射線曝露原因の推定システムの変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る放射線曝露原因の推定システム10は、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度を計測する計測部11と、計測部11の計測結果を基にして、放射線をもたらしている原因(以下、「放射線曝露原因」とも言う)を導き出す推定部12とを備えている。以下、これらについて詳細に説明する。

【0016】
計測部11は、図1に示すように、空間放射線量を測定する放射線量測定モジュール13及び浮遊粒子状物質の濃度を測定する浮遊粒子測定モジュール14を有している。本実施の形態では、放射線量測定モジュール13において、放射線の検出用にフォトダイオードが採用され、浮遊粒子測定モジュール14において、浮遊粒子状物質の検出用に受光素子が用いられているが、これに限定されない。例えば、シンチレーター又は半導体を利用してスペクトル解析により、空間放射線量を測定するようにしてもよい。
浮遊粒子測定モジュール14が検出する浮遊粒子状物質は、粒子径がマイクロメートルオーダの微粒子であり、本実施の形態では、粒子径が2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質(PM2.5)である。

【0017】
推定部12は、プログラム及びCPUを有し、放射線量測定モジュール13及び浮遊粒子測定モジュール14それぞれからデジタル情報として出力された空間放射線量の計測値及び浮遊粒子状物質の濃度の計測値を取得することができる。
放射線曝露原因の推定システム10は、計測部11及び推定部12に加え、記憶部15及び表示手段16を備えている。記憶部15は、ハードディスクや、フラッシュメモリからなる記憶装置の一部であり、推定部12が有するプログラムは、記憶装置において、記憶部15が格納されている領域とは別の領域に記憶されている。表示手段16には、液晶ディスプレイを採用可能である。
なお、推定部12のプログラムは、記憶部15が記憶されている記憶装置とは、別の記憶装置に記憶されていてもよい。

【0018】
記憶部15は、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度と複数種の放射線曝露原因それぞれとの関係を定めた判定基準(以下、単に「判定基準」ともいう)を記憶している。
本実施の形態において、判定基準は、図2に示すように、X軸及びY軸がそれぞれ空間放射線量(放射線量)及び浮遊粒子状物質の濃度(PM濃度)を示す二次元座標系に、複数種の放射線曝露原因がマッピングされた(対応付けられた)二次元マップ17である。

【0019】
二次元マップ17にマッピングされた各放射線曝露原因は、P1が喫煙によるものであり、P2が大気汚染によるものであり、P3が原子力発電所の事故によるものであり、P4が拡散する放射性物質を用いたテロによるものである。そして、P5は放射性雲(プルーム)によるものであり、P7は放射性物質の放置によるものであり、P8は航空機内や宇宙環境にいることによるものである。なお、P7の放射性物質の放置とは、放射性物質の付着や、拡散しない放射性物質を用いたテロ等を意味し、P6は通常の環境であることを示す領域である。

【0020】
ここで、スペクトル解析を採用した場合には、空間放射線量上昇の原因となる核種を同定でき、放射線曝露原因の推定において有用な情報を得ることが可能となる。これにより、例えば、図2においてP3とP4とが重なった領域で、放射線曝露原因が原子力発電所の事故によるものかその他のものかの切り分けが可能となる。

【0021】
記憶部15に記憶されている二次元マップ17は、必要に応じて、図示しないランダムアクセスメモリに展開される。記憶装置に記憶されている推定部12のプログラムも、適宜、ランダムアクセスメモリに展開される。
推定部12は、放射線量測定モジュール13から取得した空間放射線量の計測値をX座標とし、浮遊粒子測定モジュール14から取得した浮遊粒子状物資の濃度の計測値をY座標とする点(以下、「検出対象点」とも言う)を、ランダムメモリ上に展開された二次元マップ17上にプロットする(反映させる)。
本実施の形態において、空間放射線量の計測値とは、放射線量測定モジュール13が所定時間中に計測した空間放射線量の平均値であり、浮遊粒子状物質の濃度の計測値とは、浮遊粒子測定モジュール14が所定時間中に計測した浮遊粒子状物質の濃度の平均値を意味する。

【0022】
そして、推定部12は、二次元マップ17上にプロットされた検出対象点がP1、P2、P3、P4、P5、P6、P7及びP8のいずれの領域に属するかを検出し、計測部11が空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度を計測した場所(以下、「調査対象地点」とも言う)の放射線曝露原因を導出する。即ち、推定部12は、二次元マップ17を基に、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測値から、調査対象地点の放射線曝露原因を導き出す。

【0023】
P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7及びP8の各領域は、二次元マップ17において、全部又は一部が、他の領域に重なっている。二次元マップ17上で複数の領域が重なった場所に、検出対象点がプロットされた場合、推定部12は、放射線曝露原因として複数の原因を導き出し、二次元マップ17上で一つの領域のみが割り当てられた場所に検査対象点がプロットされた場合、一つの放射線曝露原因が導き出される。

【0024】
また、記憶部15に、通常の環境下における所定時間中の空間放射線量の平均値及び所定時間中の浮遊粒子状物質の濃度の平均値を記憶させ、推定部12によって導出される放射線曝露原因に、その2つの平均値が反映されるように推定部12を設計してもよい。
具体的には、通常の環境下における所定時間中の空間放射線量の平均値及び所定時間中の浮遊粒子状物質の濃度の平均値を、予め計測し、その計測値を基に調整された二次元マップを作成する。

【0025】
次に、推定部12が、放射線曝露原因を導出するために計測された空間放射線量の値から、通常の環境下における所定時間中の空間放射線量の平均値を差し引いた値をX座標とし、放射線曝露原因を導出するために計測した浮遊粒子状物質の濃度から、通常の環境下における所定時間中の浮遊粒子状物質の濃度の平均値を差し引いた値をY座標とする点を、二次元マップ上にプロットして、放射線曝露原因を導き出す。
これは、通常の環境下における空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度が、場所によって異なる際に有効である。

【0026】
放射線曝露原因の推定システム10は、図1に示すように、推定部12に命令信号を与えることが可能な入力手段18を有している。推定部12によって導出された放射線曝露原因は、入力手段18で入力操作が行われることによって、表示手段16に出力され、あるいは、記憶部15に記憶される。
本実施の形態では、入力手段18が、キーボード及びマウスを有しているが、これに限定されず、例えば、入力手段18に、タッチパネルを採用してもよい。

【0027】
判定基準は、二次元マップ17に限定されず、例えば、各放射線曝露原因と空間放射線量の対応関係が定められた第1の対応表、及び、各放射線曝露原因と浮遊粒子状物質の濃度の対応関係が定められた第2の対応表を有して構成されていてもよい。第1、第2の対応表を判定基準とする場合、第1の対応表を基に、空間放射線量の測定値から放射線曝露原因の候補を選出し、第2の対応表を基に、浮遊粒子状物質の濃度の測定値から放射線曝露原因の候補を選出し、第1、第2の対応表それぞれから共通して選出された放射線曝露原因の候補を、最終的な放射線曝露原因として導出すればよい。

【0028】
放射線量測定モジュール13による空間放射線量の計測と、浮遊粒子測定モジュール14による浮遊粒子状物質の濃度の計測は、同じタイミングで行うことが好ましいが、一方の計測から、時間(例えば、1~5秒)をおいて他方の計測を行ってもよい。
計測部11は、所定の場所に固定されていてもよいし、モバイル端末に装着され、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測を、計測ごとに場所を変えて行うようにしてもよい。

【0029】
以下、放射線曝露原因の推定システム10に適用される放射線曝露原因の推定方法について、説明する。
放射線曝露原因の推定システム10に適用される放射線曝露原因の推定方法は、(1)二次元マップ17を作成する準備工程と、(2)放射線曝露原因の調査対象地点で、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度をそれぞれ計測する測定工程と、(3)二次元マップ17を基に、空間放射線量及び前記浮遊粒子状物質の濃度の各計測値から、調査対象地点の放射線曝露原因を導き出す推定工程とを有している。

【0030】
また、放射線曝露原因の推定システム10は、計測部11が1つであるが、これに限定されない。以下、放射線曝露原因の推定システム10の変形例であり、複数の計測部11を備える放射線曝露原因の推定システム30について説明する。
なお、放射線曝露原因の推定システム30において、放射線曝露原因の推定システム10と同様の構成については、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。

【0031】
放射線曝露原因の推定システム30は、図3に示すように、計測部11、推定部12、記憶部15、表示手段16及び入力手段18を有する複数の端末31と、複数の端末31に通信接続されたサーバ32とを備えている。即ち、放射線曝露原因の推定システム30は、複数の計測部11を備えている。
各端末31は、推定部12が、記憶部15に記憶されている二次元マップ17を基に、計測部11により計測された空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度から調査対象地点の放射線曝露原因を導き出すことが可能である。従って、各端末31は、単体で、放射線曝露原因を導出することができる。

【0032】
そして、各端末31は、計測部11、推定部12、記憶部15、表示手段16及び入力手段18に加え、位置情報を検出する位置検出部33と、時刻を管理する時計部34とを備えている。
位置検出部33は、GPS(全地球測位システム)によって、端末31(即ち、計測部11)の現在位置を検出する。時計部34は、端末11に装備された内蔵時計である。

【0033】
本実施の形態において、複数の端末31は、それぞれモバイル端末であり、人によって持ち運ばれることを前提としているが、これに限定されず、それぞれ所定の場所で固定されていてもよい。
複数の端末31は、計測部11によって、適宜、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度を計測し、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測値に、計測を行った位置の情報(以下、「測定位置情報」ともいう)、及び、計測を行った時刻の情報(以下、「計測時刻の情報」ともいう)を対応付ける。測定位置情報には、位置検出部33が検出した位置情報が用いられ、計測時刻の情報は、時計部34によって管理されている時刻から得られる。

【0034】
サーバ32に無線接続された複数の端末31はそれぞれ、所定のタイミングで、記憶部15に記憶された空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測値を、その計測値に関連付けられた測定位置情報及び計測時刻の情報と共に、サーバ32に送信する。
ここで、複数の端末31の全てが、同じ場所で、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度を計測することがないよう、複数の端末31は、2か所以上の異なる場所に分散した状態で、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度を計測する。従って、調査対象地点は、複数の異なる場所に存在している。

【0035】
サーバ32は、ハードディスクからなる記憶手段35を備え、各端末31から受信した空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測値を、各計測値に関連付けられた測定位置情報及び計測時刻の情報と共に、記憶手段35へ記憶する。
サーバ32は、記憶手段35からデータを取得する演算部36を有し、演算部36は、記憶手段35から各端末31が計測した空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測値を測定位置情報及び計測時刻の情報と共に取得する。

【0036】
演算部36は、複数の調査対象地点における空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測値と、各計測値に関連付けられた測定位置情報と、各計測値に関連付けられた計測時刻の情報とを基に、人の進入が制限されるべき場所を特定する。
サーバ32には、キーボードからなる入力手段37、及び、液晶ディスプレイ又は印刷機からなる出力手段38が接続され、サーバ32は、演算部36が導出した人の進入が制限されるべき場所を出力手段38に出力する。また、各端末31は、サーバ32から、人の進入が制限されるべき場所の情報を取得し、表示手段16に表示することが可能である。

【0037】
ここで、各端末31において空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度が計測された後、直ちに(例えば、計測後10分以内に)、演算部36によって、人の進入が制限されるべき場所が導出される場合、人の進入が制限されるべき場所の特定のために、計測時刻の情報は、必ずしも必要でない。これは、演算部36により導出された人の進入を制限すべき場所が、現在の情報として扱われるためである。
従って、演算部36は、記憶手段35から取得した複数の調査対象地点における空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測値を、各計測値に関連付けられた測定位置情報と共に取得し(つまり、計測時刻の情報は取得しない)、これらから、人の進入が制限されるべき場所の情報を導き出すようにしてもよい。

【0038】
そして、演算部36は、複数の調査対象地点における空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測値を計測時刻の情報と共に取得し、空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測値の時間経過による変化から、放射線の拡散を推定することも可能である。
演算部36は、放射線の拡散を基にして、放射線曝露原因を導き出してもよい。例えば、拡散する放射性物質を用いたテロは、原子力発電所の事故に比べ、放射線の拡散が緩やかであることが確認されており、この性質を基にすることで、放射線曝露原因を特定することが可能となる。

【0039】
ここまで説明した放射線曝露原因の推定システム30に適用される放射線曝露原因の推定方法は、放射線曝露原因の推定システム10に適用される放射線曝露原因の推定方法と比較し、更に、別の工程を有しているといえる。その追加の工程とは、(1)複数の異なる場所に存在する調査対象地点それぞれで計測された空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測値から、人の進入が制限されるべき場所を特定する制限特定工程と、(2)複数の調査対象地点それぞれで計測された空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測値と、それぞれの計測時刻の情報とを基にして、放射線の拡散を推定する拡散予測工程である。

【0040】
また、調査対象地点を複数の異なる場所に設ける点においては、計測部が2か所以上の異なる場所に分散していればよく、例えば、異なる場所にそれぞれ設置された複数の計測部と、演算部及び二次元マップを記憶した記憶部等を備えたサーバとを通信接続し、演算部が、複数の計測部それぞれから空間放射線量及び浮遊粒子状物質の濃度の各計測値を、各計測部の位置情報と共に取得し、進入が制限されるべき場所を特定してもよい。

【0041】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、複数の端末とサーバは、無線接続でなく、有線接続であってもよい。また、サーバの代わりに、パーソナルコンピュータを用いてもよい。そして、判定基準である二次元マップにおいて、各放射線曝露原因の領域は、他の領域と重なった部分を有している必要はない。
【符号の説明】
【0042】
10:放射線曝露原因の推定システム、11:計測部、12:推定部、13:放射線量測定モジュール、14:浮遊粒子測定モジュール、15:記憶部、16:表示手段、17:二次元マップ、18:入力手段、30:放射線曝露原因の推定システム、31:端末、32:サーバ、33:位置検出部、34:時計部、35:記憶手段、36:演算部、37:入力手段、38:出力手段
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2