TOP > 国内特許検索 > 吸着冷凍機 > 明細書

明細書 :吸着冷凍機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6004381号 (P6004381)
登録日 平成28年9月16日(2016.9.16)
発行日 平成28年10月12日(2016.10.12)
発明の名称または考案の名称 吸着冷凍機
国際特許分類 F25B  17/08        (2006.01)
FI F25B 17/08 B
請求項の数または発明の数 3
全頁数 18
出願番号 特願2014-522643 (P2014-522643)
出願日 平成25年6月25日(2013.6.25)
国際出願番号 PCT/JP2013/067404
国際公開番号 WO2014/003013
国際公開日 平成26年1月3日(2014.1.3)
優先権出願番号 2012143509
優先日 平成24年6月26日(2012.6.26)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年4月19日(2016.4.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
発明者または考案者 【氏名】秋澤 淳
【氏名】ラーマン ミザヌール
個別代理人の代理人 【識別番号】110000925、【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
審査官 【審査官】鈴木 充
参考文献・文献 特表2010-526983(JP,A)
特開平5-248727(JP,A)
特開平6-180159(JP,A)
特開平2-230069(JP,A)
調査した分野 F25B 17/08
特許請求の範囲 【請求項1】
減圧雰囲気で冷媒を蒸発させて気化させることで冷熱を発生させる蒸発器と、
前記蒸発器から生じる、気化された前記冷媒を吸着する吸着剤と、前記吸着剤を時分割にて温めると共に冷やす吸脱着ラジエータを内包する第一下層吸着反応器と、
前記蒸発器から生じる、気化された前記冷媒を吸着する吸着剤と、前記吸着剤を時分割にて温めると共に冷やす吸脱着ラジエータを内包する第二下層吸着反応器と、
前記第一下層吸着反応器及び前記第二下層吸着反応器から生じる、気化された前記冷媒を交互に受け取って吸着する吸着剤と、前記吸着剤を時分割にて温めると共に冷やす吸脱着ラジエータを内包する第一上層吸着反応器と、
前記第一上層吸着反応器から生じる、気化された前記冷媒を減圧雰囲気で冷却させて凝縮させて、液化した前記冷媒を前記蒸発器に供給する凝縮器と、
前記凝縮器と前記第一上層吸着反応器の間と、前記第一上層吸着反応器と前記第一下層吸着反応器の間と、前記第一上層吸着反応器と前記第二下層吸着反応器の間と、前記第一下層吸着反応器と前記蒸発器の間と、前記第二下層吸着反応器と前記蒸発器の間に設けられる複数の開閉弁と、
前記第一上層吸着反応器の前記吸脱着ラジエータに前記吸着剤を時分割にて温めると共に冷やすための第一冷温切替弁と、
前記第一下層吸着反応器と前記第二下層吸着反応器の夫々の前記吸脱着ラジエータに前記吸着剤を時分割にて温めると共に冷やすための第二冷温切替弁と、
前記複数の開閉弁の開閉状態及び前記第一冷温切替弁と前記第二冷温切替弁を制御すると共に、第一の時点で、前記第一下層吸着反応器と前記第二下層吸着反応器のうちの一方を冷やして他方を温め、かつ前記第一上層吸着反応器を冷やし、第二の時点で、前記第一下層吸着反応器と前記第二下層吸着反応器のうちの一方を冷やした状態を継続しつつ他方を冷やし、かつ前記第一上層吸着反応器を温めるシーケンス制御を行う、制御部と
を具備する吸着冷凍機。
【請求項2】
前記制御部は、前記第一下層吸着反応器を冷やして、前記蒸発器から生じる、気化された前記冷媒を吸着させる吸着プロセスを実行する間に、前記第二下層吸着反応器を冷やして、前記蒸発器から生じる、気化された前記冷媒を吸着させる吸着プロセスを実行し、その後、前記第二下層吸着反応器を温めて、前記吸着材から前記冷媒を脱着させる脱着プロセスを実行し、更にその後、前記第二下層吸着反応器を冷やして、前記蒸発器から生じる、気化された前記冷媒を吸着させる吸着プロセスを実行するべく、前記複数の開閉弁の開閉状態及び前記第一冷温切替弁と前記第二冷温切替弁を制御する、請求項2に記載の吸着冷凍機。
【請求項3】
更に、
前記第一上層吸着反応器から生じる、気化された前記冷媒を吸着する吸着剤と、前記吸着剤を時分割にて温めると共に冷やす吸脱着ラジエータを内包する第二上層吸着反応器と
を具備する、請求項2に記載の吸着冷凍機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会における省エネルギーや環境保護等の要求の高まりを受けて、吸着冷凍機が注目されている。吸着冷凍機は、主要な構成要素として、一対の吸着反応器と、凝縮器と、蒸発器を有する。なお、吸着反応器は吸着剤熱交換器とも呼ぶ。更に吸着冷凍機は、吸着反応器と、凝縮器と、蒸発器の中を真空にするための真空ポンプを有する。
凝縮器は、左右に並べられた一対の吸着反応器の上部に設けられる。蒸発器は、吸着反応器の下部に設けられる。また、吸着反応器には、温水又は冷却水を循環させるための第一の水路が設けられる。凝縮器と蒸発器には、冷媒液を循環させるための第二の水路が設けられる。蒸発器には、冷却対象を冷却させる冷水を循環させるための第三の水路が設けられる。凝縮器には、冷却水を循環させるための第四の水路が設けられる。
更に、一対の吸着反応器には、温水又は冷却水を交互に循環させるための切替弁が設けられる。また、一対の吸着反応器と、凝縮器と、蒸発器には、それぞれ開閉弁が設けられており、開閉弁を通じて冷媒液が蒸発した冷媒蒸気が通過可能である。そして、吸着冷凍機は真空ポンプと開閉弁を制御する制御装置を備えている。
【0003】
吸着反応器にはシリカゲル又はゼオライト等、冷媒蒸気を吸着及び脱着するための吸着剤が充填される。
吸着反応器と、凝縮器と、蒸発器が形成する空間は、真空ポンプによって減圧雰囲気になる。その後、冷媒液が蒸発器で蒸発して冷媒蒸気になる。この時、冷媒液は蒸発して気化するために冷水から熱を奪うので、冷水は冷媒液によって冷やされる。そして、冷媒蒸気は吸着反応器の吸着剤によって吸着される。吸着された冷媒蒸気は吸着剤を温水で温めることで吸着剤から脱着される。吸着剤から脱着された冷媒蒸気は凝縮器で冷却水によって再び冷媒液に凝縮される。凝縮された冷媒液は、配管を通じて蒸発器に送られ、再度蒸発して水蒸気になる。
【0004】
以上説明した吸着冷凍機は、吸着反応器と、凝縮器と、蒸発器の内部を減圧雰囲気に維持しながら、80℃程度の温水と、30℃程度の冷却水を与えることで、9℃前後の冷水を生成できる。この9℃という温度は、空調用として十分利用可能な冷熱である。
吸着冷凍機は、代替フロン等の冷媒を用いる同等規模の一般的な気化圧縮型冷凍機と比べると、消費電力が極めて少ないこと、冷媒に水等の自然作動媒体が使えること、及び比較的低温度の温水を有効に活用できること等の利点がある。つまり、吸着冷凍機は、極めて環境負荷が小さく、安全性が高く、電力消費が小さく、汎用性が高いといえる。
【0005】
特に、第一の水路に用いる温水又は冷却水は、吸着剤、冷媒液及び冷水と全く接触しないので、化学的安定性等の所定の条件さえ満たせば、何を使ってもよい。極端な例で言えば、海水でも利用可能である。また、通常なら発電には利用できず、様々な工業的用途には利用し難い低温の温水でも十分利用できる。例えば、工場から得られる排熱を利用した温水のみならず、ごみ焼却施設等から得られる温水等の、比較的低温の温水でも十分に利用可能である。
一方で、高い冷却能力を得るために、吸着冷凍機はどうしても大型化せざるを得ないのが唯一の短所ではあるものの、それを補って余りある上述の利点によって、吸着冷凍機は近年大変注目を集めている。
【0006】
このような吸着冷凍機の性能を更に向上すべく、多くの技術者によって様々な技術開発が進められている。その一つが、吸着反応器を多段化する技術である。
吸着剤が吸着した冷媒蒸気を脱着させるためには、温水が必要である。この温水は温度が高ければ高いほど短時間で冷媒蒸気を分離できる。このため、従来技術の吸着冷凍機は80℃程度の温水を用いている。しかし、吸着冷凍機を設置する場所や施設によっては、80℃に至らない温度の温水しか得られない場合もある。つまり、利用可能な温水の温度が低ければ低いほど、吸着冷凍機の利用範囲は拡大する。しかし、従来より低い温度の温水を利用する場合、吸着剤の脱着能力が低下する。したがって、従来と比べて吸着反応器が吸脱着する冷媒蒸気量が少なくなるため、十分な冷却効果が得られない。
そこで、低温の温水を利用する場合でも、吸着反応器における冷媒蒸気の吸脱着量を従来の装置と同等の量に確保するため、吸着反応器を多段化する。つまり、凝縮器と蒸発器の間に二段あるいは三段の、多段化した吸着反応器を設けて、冷媒液を二段階または三段階に渡って吸着反応器へ通過させる。こうすることで、低温の温水を用いることによる、吸着反応器の冷媒蒸気吸着性能の低下を補うことができる。このように吸着冷凍機の吸着反応器を多段化することで、60℃程度の温水でも実用的な冷却能力を備える吸着冷凍機が実現可能になる。
特許文献1には、二段階の吸着反応器を設けた吸着冷凍機の技術内容が開示されている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開平5-248727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図11は、従来技術における、二段階(二層式)の吸着反応器を設けた吸着冷凍機の模式図である。
吸着冷凍機1101は、蒸発器1102の上に開閉弁1103a及び1103bを介して、第一下層吸着反応器1104と第二下層吸着反応器1105が設けられる。
第一下層吸着反応器1104の上には、開閉弁1103cを介して第一上層吸着反応器1106が設けられる。
第二下層吸着反応器1105の上には、開閉弁1103dを介して第二上層吸着反応器1107が設けられる。
第一上層吸着反応器1106と第二上層吸着反応器1107の上には、開閉弁1103e及び1103fを介して凝縮器1108が設けられる。
図11を見て判るように、特許文献1に示されるような従来の多段化吸着冷凍機は、吸着反応器の数が段数に応じて二つずつ増加する。二段型であれば4個、三段型であれば6個である。吸着反応器は容積が大きいため、多段化に伴い吸着冷凍機全体の容積が比例して大きく増加する。このため、吸着冷凍機の設置スペースを大きく占有してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は係る課題を解決し、装置全体の体積の増加を抑えつつ、高い冷却能力を実現する、吸着冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の吸着冷凍機は、減圧雰囲気で冷媒を蒸発させて気化させることで冷熱を発生させる蒸発器と、蒸発器から生じる、気化された冷媒を吸着する吸着剤と、吸着剤を時分割にて温めると共に冷やす吸脱着ラジエータを内包する第一下層吸着反応器を具備する。更に、蒸発器から生じる、気化された冷媒を吸着する吸着剤と、吸着剤を時分割にて温めると共に冷やす吸脱着ラジエータを内包する第二下層吸着反応器を具備する。更に、第一下層吸着反応器及び第二下層吸着反応器から生じる、気化された冷媒を交互に受け取って吸着する吸着剤と、吸着剤を時分割にて温めると共に冷やす吸脱着ラジエータを内包する第一上層吸着反応器と、第一上層吸着反応器から生じる、気化された冷媒を減圧雰囲気で冷却させて凝縮させて、液化した冷媒を蒸発器に供給する凝縮器とを具備する。更に、凝縮器と第一上層吸着反応器の間と、第一上層吸着反応器と第一下層吸着反応器の間と、第一上層吸着反応器と第二下層吸着反応器の間と、第一下層吸着反応器と蒸発器の間と、第二下層吸着反応器と蒸発器の間に設けられる複数の開閉弁とを具備する。更に、第一上層吸着反応器の吸脱着ラジエータに吸着剤を時分割にて温めると共に冷やすための第一冷温切替弁と、第一下層吸着反応器と第二下層吸着反応器の夫々の吸脱着ラジエータに吸着剤を時分割にて温めると共に冷やすための第二冷温切替弁とを具備する。制御部は、複数の開閉弁の開閉状態及び第一冷温切替弁と第二冷温切替弁を制御すると共に、第一の時点で、第一下層吸着反応器と第二下層吸着反応器のうちの一方を冷やして他方を温め、かつ第一上層吸着反応器を冷やし、第二の時点で、第一下層吸着反応器と第二下層吸着反応器のうちの一方を冷やした状態を継続しつつ他方を冷やし、かつ第一上層吸着反応器を温めるシーケンス制御を行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、装置全体の体積の増加を抑えつつ、高い冷却能力を実現する、吸着冷凍機を提供できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一の実施形態である、吸着冷凍機の全体構成図である。
【図2】第一冷温切替弁の模式図である。
【図3】第二冷温切替弁の模式図である。
【図4】吸着冷凍機の機能ブロック図である。
【図5】吸着冷凍機のタイムチャートである。
【図6】吸着冷凍機の動作状態を示す模式図である。
【図7】吸着冷凍機の動作状態を示す模式図である。
【図8】従来技術に係る二層式の吸着冷凍機と、本発明の第一の実施形態に係る吸着冷凍機との性能を比較したグラフである。
【図9】本発明の第二の実施形態である、吸着冷凍機の構成図である。
【図10】吸着冷凍機のタイムチャートである。
【図11】従来技術に係る二段階の吸着反応器を設けた吸着冷凍機の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第一の実施形態:全体構成]
図1は、本発明の第一の実施形態である、吸着冷凍機の全体構成図である。
図1に示すように、吸着冷凍機101は、最上部に凝縮器102が設けられ、最下部に蒸発器103が設けられる。そして凝縮器102と蒸発器103との間に、三つの吸着反応器が設けられる。
蒸発器103の上側には、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105が並んで設けられる。そして、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105の上側で凝縮器102の下側には、上層吸着反応器106が設けられる。
更に吸着冷凍機101は、凝縮器102と、蒸発器103と、第一下層吸着反応器104と、第二下層吸着反応器105と、上層吸着反応器106の空気を抜くための真空ポンプ107を有する。真空ポンプ107は、凝縮器102と、蒸発器103と、第一下層吸着反応器104と、第二下層吸着反応器105と、上層吸着反応器106をおよそ10hpa程度(1/100気圧)に減圧する。

【0014】
上層吸着反応器106は、図示しない吸着剤と吸脱着ラジエータ108aを内包する。
同様に、第一下層吸着反応器104も、図示しない吸着剤と吸脱着ラジエータ108bを内包する。第二下層吸着反応器105も、図示しない吸着剤と吸脱着ラジエータ108cを内包する。
更に、吸着冷凍機101は、上層吸着反応器106、第一下層吸着反応器104及び第二下層吸着反応器105の内部に設けられた吸脱着ラジエータ108a、108b及び108cに循環する温水を供給する温水槽109を備える。また、吸脱着ラジエータ108a、108b及び108cと、凝縮器102に設けられた冷却水ラジエータ110に循環する冷却水を供給する冷却水槽111を備える。

【0015】
凝縮器102は、その内部が減圧雰囲気の状態で、上層吸着反応器106から流入する冷媒蒸気を冷却水ラジエータ110で凝縮する。凝縮された冷媒液112は、凝縮器102の底に貯まり、冷媒液パイプ114を伝って蒸発器103へ供給される。

【0016】
凝縮器102の底には冷媒液パイプ114の一端が接続される。冷媒液パイプ114の他端は、蒸発器103の内部に設けられる冷媒滴下器115に接続される。冷媒滴下器115の下には冷水タンク116から冷水が循環する第一冷水ラジエータ117が設けられる。
蒸発器103は、その内部が減圧雰囲気の状態で、冷媒液パイプ114から流入する冷媒液112を冷媒滴下器115で第一冷水ラジエータ117に滴下する。すると、減圧雰囲気の中では液体の沸点が低くなるので、冷媒液112は第一冷水ラジエータ117から熱を奪い、蒸発する。冷媒液112が蒸発して生じた冷媒蒸気は、後述する開閉弁を介して第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105へ交互に導かれる。

【0017】
第一冷水ラジエータ117は冷水タンク116を介して、冷水ポンプ118の一端に接続される。冷水ポンプ118の他端は冷却対象119の内部に設けられる第二冷水ラジエータ120に接続される。第一冷水ラジエータ117にて冷やされた冷水は、冷水タンク116から冷水ポンプ118を介して第二冷水ラジエータ120に供給されることで、冷却対象119を冷やす。

【0018】
冷却水槽111には30℃程度の冷却水が満たされており、図示しないポンプで上層吸着反応器106、第一下層吸着反応器104及び第二下層吸着反応器105の吸脱着ラジエータ108a、108b及び108cと、凝縮器102に設けられた冷却水ラジエータ110に循環する冷却水を供給する。また、温水槽109には50℃以上の温水が満たされており、図示しないポンプで上層吸着反応器106、第一下層吸着反応器104及び第二下層吸着反応器105の内部に設けられた吸脱着ラジエータ108a、108b及び108cに循環する温水を供給する。

【0019】
第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105には、同じ容積の容器に図示しない吸着剤と、吸着剤を網羅する吸脱着ラジエータ108b及び108cが設けられる。吸着剤は周知のシリカゲル、ゼオライト又は活性炭等である。吸着剤は、冷却されると冷媒蒸気を吸着し、加熱されると吸着した冷媒蒸気を脱着する。
吸脱着ラジエータ108b及び108cは、銅やアルミニウム等の金属パイプに、熱交換を促進するフィンが多数設けられる。このフィンは一般的で周知の形状のものである。この吸脱着ラジエータ108b及び108cのフィンの隙間またはフィン表面に、吸着剤が敷き詰められている。このような吸脱着ラジエータ108b及び108cが吸着反応器の容器の内部に多数積層されるように吸着反応器を構成することによって、吸着剤による冷媒蒸気の吸着と脱着が促進される。

【0020】
上層吸着反応器106は、その容器内に図示しない吸着剤と、吸着剤を網羅する吸脱着ラジエータ108aが設けられる。つまり、上層吸着反応器106は第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105の形状と同じ構造にて構成される。

【0021】
上層吸着反応器106の吸脱着ラジエータ108aは、第一冷温切替弁121に接続される。第一冷温切替弁121は更に冷却水槽111と温水槽109に接続される。第一冷温切替弁121の構造の一例を図2に示す。
図2A及びBは、第一冷温切替弁121の模式図である。
第一冷温切替弁121の可動部201が図2Aの状態の時、上層吸着反応器106の吸脱着ラジエータ108aは温水槽109に接続されるので、吸脱着ラジエータ108aには温水が循環される。
図2Aの状態から第一冷温切替弁121の可動部201が、紙面において90°右方向に回転すると、図2Bの状態になる。図2Bの状態の時、上層吸着反応器106の吸脱着ラジエータ108aは冷却水槽111に接続されるので、吸脱着ラジエータ108aには冷却水が循環される。

【0022】
一方、図1に示すように、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105は、第二冷温切替弁122に接続される。第二冷温切替弁122は冷却水槽111と温水槽109に接続される。第二冷温切替弁122の構造の一例を図3A、図3B及び図3Cに示す。
図3A、図3B及び図3Cは、第二冷温切替弁122の模式図である。
第二冷温切替弁122には、図3Aに示す可動部301と固定部302よりなる水路が、図3の紙面の垂直方向に二連装の形態で形成される。二連装の水路のうち一方の水路は冷却水又は温水の供給用水路であり、他方の水路は冷却水又は温水の回収用水路である。
第二冷温切替弁122の可動部301が図3Aの状態の時、第一下層吸着反応器104の吸脱着ラジエータ108bと第二下層吸着反応器105の吸脱着ラジエータ108cは、共に冷却水槽111に接続される。したがって、冷却水が吸脱着ラジエータ108bと吸脱着ラジエータ108cの両方に循環される。一方、温水槽109の温水供給は断たれるので、温水はどこにも循環しない。

【0023】
第二冷温切替弁122は、図3Aの状態から、第一冷温切替弁121の可動部301が紙面において60°右方向に回転すると、図3Bの状態になる。
第二冷温切替弁122が図3Bの状態の時、第二下層吸着反応器105の吸脱着ラジエータ108cには冷却水槽111に接続される。したがって、吸脱着ラジエータ108cには冷却水が循環される。そして、第一下層吸着反応器104の吸脱着ラジエータ108bには温水槽109に接続されるので、吸脱着ラジエータ108bには温水が循環される。

【0024】
第二冷温切替弁122は、図3Aの状態から第一冷温切替弁121の可動部301が紙面において60°左方向に回転すると、図3Cの状態になる。
第二冷温切替弁122が図3Cの状態の時、第一下層吸着反応器104の吸脱着ラジエータ108bには冷却水槽111に接続される。したがって、吸脱着ラジエータ108bには冷却水が循環される。そして、第二下層吸着反応器105の吸脱着ラジエータ108cには温水槽109に接続されるので、吸脱着ラジエータ108cには温水が循環される。

【0025】
再び、図1を参照して、吸着冷凍機101の説明を続ける。
図1に示すように、凝縮器102と上層吸着反応器106との間には、第一開閉弁123が設けられる。また、上層吸着反応器106と第一下層吸着反応器104との間には、第二開閉弁124が設けられる。更に、上層吸着反応器106と第二下層吸着反応器105との間には、第三開閉弁125が設けられる。

【0026】
また、第一下層吸着反応器104と蒸発器103との間には、第四開閉弁126が設けられる。第二下層吸着反応器105と蒸発器103との間には、第五開閉弁127が設けられる。これら、第一開閉弁123、第二開閉弁124、第三開閉弁125、第四開閉弁126及び第五開閉弁127が、第一冷温切替弁121と第二冷温切替弁122と共に制御部128によって適切に開閉制御されることで、冷却対象119によって暖められた冷水は再び冷却される。

【0027】
図4は、吸着冷凍機101の機能ブロック図である。
制御部128は、周知のシーケンス制御にて、第一開閉弁123、第二開閉弁124、第三開閉弁125、第四開閉弁126及び第五開閉弁127、第一冷温切替弁121、第二冷温切替弁122、真空ポンプ107、冷水ポンプ118、温水槽109の温水ポンプ401、冷却水槽111の冷却水ポンプ402を制御する。周知のマイコンで構成される制御部128は、タイマ403から受け取る計時情報に基づいて、蒸発器103の内部に設けられる真空圧力計404、温水槽109の内部に設けられる温水温度計405、冷却水槽111の内部に設けられる冷却水温度計406から情報を得て、吸着冷凍機101の運転可否状態を判断し、適切なシーケンスタイミングを調整する。

【0028】
例えば、真空ポンプ107が形成する減圧雰囲気が不完全である場合、蒸発器103内部で冷媒液112が迅速に蒸発しない。したがって、蒸発器103等の空気圧が適切な減圧雰囲気に至っているか否かを確認することは重要である。このために、真空圧力計404が設けられる。
また、温水槽109の温水の温度は、第一下層吸着反応器104、第二下層吸着反応器105及び上層吸着反応器106における脱着プロセスの脱着反応進行速度に大きく影響する。温水の温度が高ければ高いほど、短時間に冷媒蒸気を吸着剤から脱着させることができる。しかし、温水の温度が高い場合、不必要に吸着剤を温め過ぎると、吸着剤に熱が過剰に溜まってしまい、冷却水で吸着剤を冷却しようとしても十分に冷却できなくなってしまう。したがって、温水の温度が高い場合には、脱着プロセスの時間を短くしなければならなくなる。
このように、制御部128は、真空圧力計404から得られる情報に基づいて吸着冷凍機101の運転可否状態を判断すると共に、温水温度計405及び冷却水温度計406から得られる情報に基づいて、適切なシーケンスタイミングを調整する。

【0029】
以上の説明から判るように、第一の実施形態に係る吸着冷凍機101は、吸着反応器が二層(二段)になっている。しかし、上の段に該当する吸着反応器は、上層吸着反応器106一つだけでよいので、従来技術の吸着冷凍機(図11参照)と比べて一つ少なくて済む。このように、大型の部品が一つ削減できることにより、従来技術と比べて吸着冷凍機の小型化とコストの削減を図ることができる。

【0030】
[第一の実施形態:動作]
以下、図5、図6A、図6B、図6C、図6D、図7E、図7F、図7G及び図7Hを参照して、本発明の第一の実施形態に係る吸着冷凍機101の動作の流れを説明する。
図5は、吸着冷凍機101のタイムチャートである。図6A、図6B、図6C及び図6D、図7E、図7F、図7G及び図7Hは、吸着冷凍機101の動作状態を示す模式図である。

【0031】
図5中、(a)は第四開閉弁126のタイムチャートである。
図5中、(b)は第一下層吸着反応器104のタイムチャートである。
図5中、(c)は第二開閉弁124のタイムチャートである。
図5中、(d)は第五開閉弁127のタイムチャートである。
図5中、(e)は第二下層吸着反応器105のタイムチャートである。
図5中、(f)は第三開閉弁125のタイムチャートである。
図5中、(g)は上層吸着反応器106のタイムチャートである。
図5中、(h)は第一開閉弁123のタイムチャートである。
図5中、「開」は開閉弁が開いている状態を示し、「閉」は開閉弁が閉じている状態を示す。

【0032】
図6A、図6B、図6C、図6D、図7E、図7F、図7G及び図7H中、第一開閉弁123、第二開閉弁124、第三開閉弁125、第四開閉弁126及び第五開閉弁127のうち、黒く塗り潰されているものは各開閉弁が閉じていることを示し、白抜きのものは各開閉弁が開いていることを示す。
図5、図6A、図6B、図6C、図6D、図7E、図7F、図7G及び図7H中、「吸着」とは、第一下層吸着反応器104、第二下層吸着反応器105及び上層吸着反応器106のうちの指定された吸着反応器が冷媒蒸気を吸着するために冷却水が通過する状態を示す。つまり、下側の開閉弁が開放され、上側の開閉弁が閉成されて、該当する吸着反応器がその直下にある設備から冷媒蒸気を吸い取る、吸着プロセスを示している。

【0033】
図5、図6A、図6B、図6C、図6D、図7E、図7F、図7G及び図7H中、「脱着」とは、第一下層吸着反応器104、第二下層吸着反応器105及び上層吸着反応器106のうちの指定された吸着反応器が冷媒蒸気を脱着するためにに温水が通過する状態を示す。つまり、下側の開閉弁が閉成され、上側の開閉弁が開放され、該当する吸着反応器がその上にある設備へ冷媒蒸気を吐き出す、脱着プロセスを示している。

【0034】
また、図5、図6A、図6B、図6C、図6D、図7E、図7F、図7G及び図7H中、「予冷」とは、第一下層吸着反応器104、第二下層吸着反応器105及び上層吸着反応器106のうちの指定された吸着反応器を吸着プロセスの準備のために冷却水が通過する状態を示す。つまり、下側の開閉弁と上側の開閉弁の双方が閉成され、次の吸着プロセスに備えて該当する吸着反応器が冷却される、予冷プロセスを示している。

【0035】
図5、図6A、図6B、図6C、図6D、図7E、図7F、図7G及び図7H中、「予熱」とは、第一下層吸着反応器104、第二下層吸着反応器105及び上層吸着反応器106のうちの指定された吸着反応器を脱着プロセスの準備のために温水が通過する状態を示す。つまり、下側の開閉弁と上側の開閉弁の双方が閉成され、次の脱着プロセスに備えて該当する吸着反応器が加熱される、予熱プロセスを示している。

【0036】
図6Aに示す、図5における時刻t1の時点では、第一開閉弁123、第二開閉弁124、第三開閉弁125、第四開閉弁126はいずれも閉じており、第五開閉弁127のみが開いている。 この状態では、第一下層吸着反応器104は温水が供給されているので、予熱プロセスである。また、第二下層吸着反応器105は冷却水が供給されているので、吸着プロセスである。上層吸着反応器106は冷却水が供給されているので、予冷プロセスである。
すなわち、時刻t1の時点において、冷媒蒸気は、蒸発器103から第二下層吸着反応器105へのみ移動する。

【0037】
図6Bに示す、図5における時刻t2の時点では、第一開閉弁123、第三開閉弁125及び第四開閉弁126が閉じ、第二開閉弁124と第五開閉弁127が開いている。この状態では、第一下層吸着反応器104は温水が供給されているので、脱着プロセスである。第二下層吸着反応器105は冷却水が供給されているので、吸着プロセスである。上層吸着反応器106も冷却水が供給されているので、吸着プロセスである。
すなわち、時刻t2の時点において、冷媒蒸気は、蒸発器103から第二下層吸着反応器105へ移動すると共に、第一下層吸着反応器104から上層吸着反応器106へ移動する。

【0038】
図6Cに示す、図5における時刻t3の時点では、第一開閉弁123、第二開閉弁124、第三開閉弁125、及び第四開閉弁126はいずれも閉じており、第五開閉弁127のみが開いている。この状態では、第一下層吸着反応器104は冷却水が供給されているので、予冷プロセスである。第二下層吸着反応器105は冷却水が供給されているので、吸着プロセスである。上層吸着反応器106は温水が供給されているので、予熱プロセスである。
すなわち、時刻t3の時点において、冷媒蒸気は、蒸発器103から第二下層吸着反応器105へのみ移動する。

【0039】
図6Dに示す、図5における時刻t4の時点では、第一開閉弁123、第四開閉弁126及び第五開閉弁127が開いている。そして、第二開閉弁124と第三開閉弁125は閉じている。この状態では、第一下層吸着反応器104は冷却水が供給されているので、吸着プロセスである。第二下層吸着反応器105は冷却水が供給されているので、吸着プロセスである。上層吸着反応器106は温水が供給されているので、脱着プロセスである。
すなわち、時刻t4の時点において、冷媒蒸気は、蒸発器103から第一下層吸着反応器104及び第二下層吸着反応器105へ移動すると共に、上層吸着反応器106から凝縮器102へ移動する。

【0040】
図7Eに示す、図5における時刻t5の時点では、第一開閉弁123、第二開閉弁124、第三開閉弁125及び第五開閉弁127が閉じている。そして、第四開閉弁126のみが開いている。この状態では、第一下層吸着反応器104は冷却水が供給されているので、吸着プロセスである。第二下層吸着反応器105は温水が供給されているので、予熱プロセスである。上層吸着反応器106は冷却水が供給されているので、予冷プロセスである。
すなわち、時刻t5の時点において、冷媒蒸気は、蒸発器103から第一下層吸着反応器104へのみ移動する。

【0041】
図7Fに示す、図5における時刻t6の時点では、第一開閉弁123、第二開閉弁124及び第五開閉弁127が閉じている。そして、第三開閉弁125と第四開閉弁126が開いている。この状態では、第一下層吸着反応器104は冷却水が供給されているので、吸着プロセスである。第二下層吸着反応器105は温水が供給されているので、脱着プロセスである。上層吸着反応器106は冷却水が供給されているので、吸着プロセスである。
すなわち、時刻t6の時点において、冷媒蒸気は、蒸発器103から第一下層吸着反応器104へ移動すると共に、第二下層吸着反応器105から上層吸着反応器106へ移動する。

【0042】
図7Gに示す、図5における時刻t7の時点では、第一開閉弁123、第二開閉弁124、第三開閉弁125、及び第五開閉弁127が閉じている。そして、第四開閉弁126のみが開いている。この状態では、第一下層吸着反応器104は冷却水が供給されているので、吸着プロセスである。第二下層吸着反応器105は冷却水が供給されているので、予冷プロセスである。上層吸着反応器106は温水が供給されているので、予熱プロセスである。
すなわち、時刻t7の時点において、冷媒蒸気は、蒸発器103から第一下層吸着反応器104へのみ移動する。

【0043】
図7Hに示す、図5における時刻t8の時点では、第一開閉弁123、第四開閉弁126及び第五開閉弁127が開いている。そして、第二開閉弁124と第三開閉弁125が閉じている。
この状態では、第一下層吸着反応器104は冷却水が供給されているので、吸着プロセスである。第二下層吸着反応器105は冷却水が供給されているので、吸着プロセスである。上層吸着反応器106は温水が供給されているので、脱着プロセスである。
すなわち、時刻t8の時点において、冷媒蒸気は、蒸発器103から第一下層吸着反応器104及び第二下層吸着反応器105へ移動すると共に、上層吸着反応器106から凝縮器102へ移動する。

【0044】
以上に説明した、吸着冷凍機101のシーケンス制御の特徴は、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105のうち、一方を吸着プロセスのまま保持して、他方を予熱、脱着、予冷、吸着と、プロセスを転換させる点にある。この時、上層吸着反応器106は下層の吸着反応器のシーケンス制御に同期して、予冷、吸着、予熱、脱着と、プロセスを転換させる。
また、このようなシーケンス制御を実現するために、第二冷温切替弁122は第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105の両方に、同時に冷却水を供給できる必要がある。図5の時刻t4とt8、つまり図6Dと図7Hが、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105の両方に冷却水を供給する状態である。このために、第二冷温切替弁122は図3Aに示すように、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105の両方に、同時に冷却水を供給すると共に、温水の循環を遮断することが可能な構造が採用される。

【0045】
[シミュレーション]
以上に説明した吸着冷凍機101の性能について、シミュレーション計算による結果を示す。
図8は、従来技術に係る二層式の吸着冷凍機1101と、本発明の第一の実施形態に係る吸着冷凍機101との性能を比較したグラフである。横軸は温水の温度であり、縦軸はCOP(Coefficient Of Performance:成績係数)と、吸着剤の重量に対する冷凍出力SCP(Specific Cooling Power)である。図8中、線L801は本実施形態のSCPであり、線L802は本実施形態のCOPである。これに対し、線L803は従来技術のSCPであり、線L804は従来技術のCOPである。
第一の実施形態の吸着冷凍機101は、従来技術の吸着冷凍機1101と比べると、COPは僅かに低下する。しかし、吸着剤の重量に対する冷凍出力SCPは大幅に向上している。つまり、本実施形態の吸着冷凍機101は、従来技術と比べて吸着剤の利用効率が大幅に向上するのに対して、COPについては従来型と比べても大幅な低下はないことが分かる。

【0046】
[第二の実施形態:全体構成]
図9は、本発明の第二の実施形態である、吸着冷凍機901の構成図である。
図9中、図1に示した第一の実施形態に係る吸着冷凍機101と共通するものについては、同じ符号を付して説明を省略する。
図9に示す吸着冷凍機901の、図1に示した第一の実施形態に係る吸着冷凍機101との相違点は、上層吸着反応器902の下に中間層吸着反応器903が新たに加わった点である。つまり、第一の実施形態に係る吸着冷凍機101は、吸着反応器が二層を構成しているが、第二の実施形態に係る吸着冷凍機901は、吸着反応器が三層を構成している。
吸着冷凍機901のように吸着反応器を三層式に構成すると、吸着反応器が二層式である吸着冷凍機101に比べて、吸着反応器を温める温水の温度をより低くしても、冷却性能を維持することが可能になる。

【0047】
[第二の実施形態:動作]
図10は、吸着冷凍機901のタイムチャートである。
図10中、(a)は第一下層吸着反応器104のタイムチャートである。
図10中、(b)は第二下層吸着反応器105のタイムチャートである。
図10中、(c)は中間層吸着反応器903のタイムチャートである。
図10中、(d)は第一開閉弁904のタイムチャートである。
図10中、(e)は上層吸着反応器902のタイムチャートである。
図10中、(f)は第六開閉弁905のタイムチャートである。
図10中、「開」は開閉弁が開いている状態を示し、「閉」は開閉弁が閉じている状態を示す。
図10中、「吸着」「脱着」「予冷」「予熱」は、図5、図6及び図7と同じ意味である。

【0048】
第二の実施形態に係る吸着冷凍機901は、中間層吸着反応器903から下側に配置される部分の動作が、第一の実施形態に係る吸着冷凍機101の動作と同じである。図10中、(a)に示す第一下層吸着反応器104のタイムチャートは、図5中(b)の第一下層吸着反応器104のタイムチャートと同じである。図10中、(b)に示す第二下層吸着反応器105のタイムチャートは、図5中(e)の第二下層吸着反応器105のタイムチャートと同じである。
このため、図10では図5の(a)の第四開閉弁126、図5の(c)の第二開閉弁124、図5の(d)の第五開閉弁127、図5の(f)の第三開閉弁125のタイムチャートについては表示を省略した。

【0049】
図10中、(c)に示す中間層吸着反応器903のタイムチャートは、図5の(g)の上層吸着反応器106のタイムチャートと同じである。図10中、(d)に示す第一開閉弁904のタイムチャートは、図5の(h)の第一開閉弁123のタイムチャートと同じである。
図10中、(e)に示す上層吸着反応器902のタイムチャートは、図5の(g)の上層吸着反応器106のタイムチャートと逆になる。図10中、(f)に示す第六開閉弁905のタイムチャートは、図5の(h)の第一開閉弁123のタイムチャートと逆位相の関係になる。

【0050】
第二の実施形態に係る吸着冷凍機901は、吸着反応器が三層式である。従来技術であれば、三層式は合計6個の吸着反応器を設ける必要があったが、本実施形態の吸着冷凍機901は吸着反応器が合計4個で済む。

【0051】
本実施形態は以下のような応用例が可能である。
(1)吸着冷凍機101全般に言えることではあるが、冷媒は必ずしも水でなくてもよい。同様に、温水、冷却水、冷水も必ずしも水でなくてもよい。但し、冷媒は蒸発と凝縮を繰り返すので、不純物が極力混じっていないことが望ましい。

【0052】
(2)第一冷温切替弁121と第二冷温切替弁122、そして第二の実施形態における第三冷温切替弁908を、開閉弁を複数組み合わせて構成することもできる。

【0053】
(3)吸着冷凍機101における蒸発器103、吸着反応器、そして凝縮器102の配置関係は、必ずしも図1や図9に示すような上下の配置関係である必要はない。
図1及び図9において、蒸発器103は、凝縮器102から凝縮した冷媒液を受け取る関係上、凝縮器102に対して下側に配置される方が好ましいが、冷媒液パイプ114にポンプが設けられていれば、その必要はなくなる。
図1において、凝縮器102と蒸発器103との間に設けられる第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105と上層吸着反応器106は、凝縮器102及び蒸発器103とは異なり、冷媒液が気化した冷媒蒸気が通過する。したがって、冷媒蒸気が支障なく通過する構造であれば、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105と上層吸着反応器106と、凝縮器102と蒸発器103との相対的な配置関係は自由である。例えば、凝縮器102の直下に蒸発器103が配置されている限り、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105と上層吸着反応器106は、凝縮器102の上や蒸発器103の下に配置されていても良いし、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105と上層吸着反応器106の相対的な上下の配置関係も限定されない。
この配置関係に関する制約は、図9の上層吸着反応器902、中間層吸着反応器903、第一下層吸着反応器104及び第二下層吸着反応器105においても同様である。

【0054】
(4)第一の実施形態にて開示した吸着冷凍機101と、第二の実施形態にて開示した吸着冷凍機901は、従来技術と比べて動作シーケンスを改良することで、吸着反応器の数を減らすことに成功した。これら吸着冷凍機101及び吸着冷凍機901は、使用する吸着反応器に充填される吸着剤の充填量や、吸着剤の材料を制限しない。以下、図1の吸着冷凍機101を参照して、吸着冷凍機101における吸着反応器に関する設計の自由度について説明する。

【0055】
先ず、吸着剤の吸着能力が小さい場合、必要な吸着能力を得るためには吸着反応器に充填する吸着剤の充填量を増やすことが必要となる。したがって、吸着剤の種類が凝縮器102に接続される上層吸着反応器106と、蒸発器103に接続される第一下層吸着反応器104及び第二下層吸着反応器105とで異なれば、充填量が同じである必然性はない。

【0056】
次に、吸着反応器の吸着能力は、一般的に相対圧の関数として示される。
蒸発器103に接続される第一下層吸着反応器104及び第二下層吸着反応器105の相対圧は「蒸発器103内で冷媒が蒸発する際の蒸発温度における、冷媒蒸気の圧力/第一下層吸着反応器104及び第二下層吸着反応器105の吸着剤を冷却水で冷却した時の温度における、冷媒の飽和蒸気圧」で決まる。ここで、蒸発温度は蒸発器103内の気圧に依存する、設計パラメータである。

【0057】
一方、凝縮器102に接続される上層吸着反応器106の相対圧は「第一下層吸着反応器104及び第二下層吸着反応器105の内部で、吸着剤が加熱された時の温度における、吸着平衡圧/凝縮器102に接続される上層吸着反応器106の吸着剤を冷却した時の温度における、冷媒の飽和蒸気圧」で決まる。

【0058】
上記の定義式より、蒸発器103に接続される第一下層吸着反応器104及び第二下層吸着反応器105の相対圧と、凝縮器102に接続される上層吸着反応器106の相対圧は必ずしも同じではない。したがって、第一下層吸着反応器104及び第二下層吸着反応器105と、上層吸着反応器106とで異なる吸着性能を持つ吸着剤を組み合わせる方が、吸着冷凍機101全体としての性能が高くなる可能性がある。あるいは、異なる種類の吸着剤を混合することも考えられる。その際、第一下層吸着反応器104及び第二下層吸着反応器105と、上層吸着反応器106とで吸着剤の配合比を異ならせることも考えられる。

【0059】
また、吸着冷凍機101の構造上、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105は、なるべくなら等しい吸着能力を備えていることが望ましい。しかし、先に説明したように、吸着反応器の吸着能力は相対圧の関数である。つまり、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105とで異なる吸着性能を持つ吸着剤を採用しても、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105の、各々に充填される吸着剤の充填量や、加熱及び冷却のサイクルタイムを調整することで、等しい吸着能力を実現できる。

【0060】
本実施形態では、吸着冷凍機101を開示した。
本実施形態の吸着冷凍機101は、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105のすぐ上に位置する吸着反応器を単一に構成した。そして、本実施形態の吸着冷凍機101は、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105のうち、一方を吸着プロセスのまま保持して、他方を予熱、脱着、予冷、吸着と、プロセスを転換させるシーケンス制御を行う。この時、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105のすぐ上に位置する上層吸着反応器106は、下層の吸着反応器のシーケンス制御に同期して、予冷、吸着、予熱、脱着と、プロセスを転換させる。
このようなシーケンス制御を実現するために、本実施形態の吸着冷凍機101は、第一下層吸着反応器104と第二下層吸着反応器105の両方に、同時に冷却水を供給する能力を備える第二冷温切替弁122を設けた。
このようなシーケンス制御を採用することで、本実施形態の吸着冷凍機101は従来技術と比べて冷却性能に大きな劣化を生じないまま、吸着反応器を一個分減らすことができ、吸着冷凍機101の占有体積を減らすことができる。

【0061】
以上、本発明の実施形態例について説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
【符号の説明】
【0062】
101…吸着冷凍機、102…凝縮器、103…蒸発器、104…第一下層吸着反応器、105…第二下層吸着反応器、106…上層吸着反応器、107…真空ポンプ、108a、108b、108c…吸脱着ラジエータ、109…温水槽、110…冷却水ラジエータ、111…冷却水槽、112…冷媒液、114…冷媒液パイプ、115…冷媒滴下器、116…冷水タンク、117…第一冷水ラジエータ、118…冷水ポンプ、119…冷却対象、120…第二冷水ラジエータ、121…第一冷温切替弁、122…第二冷温切替弁、123…第一開閉弁、124…第二開閉弁、125…第三開閉弁、126…第四開閉弁、127…第五開閉弁、128…制御部、201…可動部、301…可動部、302…固定部、401…温水ポンプ、402…冷却水ポンプ、403…タイマ、404…真空圧力計、405…温水温度計、406…冷却水温度計、901…吸着冷凍機、902…上層吸着反応器、903…中間層吸着反応器、904…第一開閉弁、905…第六開閉弁
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10