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明細書 :ピロリン酸エステル化合物、ビスリン酸エステル化合物及び触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6168665号 (P6168665)
登録日 平成29年7月7日(2017.7.7)
発行日 平成29年7月26日(2017.7.26)
発明の名称または考案の名称 ピロリン酸エステル化合物、ビスリン酸エステル化合物及び触媒
国際特許分類 C07F   9/12        (2006.01)
C07F   9/6574      (2006.01)
B01J  31/02        (2006.01)
C07F   7/08        (2006.01)
C07C  29/56        (2006.01)
C07C  35/17        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
C07C 271/20        (2006.01)
C07C 269/06        (2006.01)
C07C 231/14        (2006.01)
C07C 233/73        (2006.01)
FI C07F 9/12 CSP
C07F 9/6574 Z
B01J 31/02 Z
C07F 7/08 W
C07C 29/56 Z
C07C 35/17
C07B 61/00 300
C07C 271/20
C07C 269/06
C07C 231/14
C07C 233/73
請求項の数または発明の数 9
全頁数 20
出願番号 特願2014-525854 (P2014-525854)
出願日 平成25年7月17日(2013.7.17)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 (1)http://www.csj.jp/nenkai/93haru/index.html 掲載年月日 平成25年2月19日 (2)発行者名 公益社団法人日本化学会刊行物名日本化学会第93春季年会(2013)講演予稿集IV 発行年月日 平成25年3月8日 (3)発行者名 公益社団法人日本化学会 刊行物名 日本化学会第93春季年会(2013)プログラム 発行年月日 平成25年3月8日 (4)集会名 日本化学会第93春季年会(2013) 開催日 平成25年3月22日~平成25年3月25日
国際出願番号 PCT/JP2013/069443
国際公開番号 WO2014/014035
国際公開日 平成26年1月23日(2014.1.23)
優先権出願番号 2012160092
優先日 平成24年7月19日(2012.7.19)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年7月19日(2016.7.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
発明者または考案者 【氏名】石原 一彰
【氏名】坂倉 彰
個別代理人の代理人 【識別番号】110000017、【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
審査官 【審査官】笠原 暢子
参考文献・文献 国際公開第11/111677(WO,A1)
国際公開第07/114445(WO,A1)
特開2006-35125(JP,A)
国際公開第04/96753(WO,A1)
特開昭50-69090(JP,A)
岡本遼、外3名,1,1’-ビナフチルピロリン酸ジエステルの合成とキラルBronsted酸触媒への展開,日本化学会第93春季年会(2013) 講演予稿集IV,2013年 3月 8日,p.1365
堀部貴大、外2名,キラル第一、二族金属ビナフトラート触媒を用いるアルジミンへの直截的不斉Mannich型反応及びα,β-不飽和,第101回有機合成シンポジウム講演要旨集,2012年 5月30日,p.81-84
宇佐美良太、外4名,キラル超分子触媒を用いるα-置換アクロレインに対する異常な高エンド選択的不斉ディールス・アルダー反応,日本化学会第91春季年会(2011) 講演予稿集IV,2011年,p.1252
調査した分野 C07F 9/12
B01J 31/02
C07F 9/6574
C07B 61/00
C07C 29/56 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)

C07C 35/17
C07C 231/14
C07C 233/73
C07C 269/06
C07C 271/20
C07F 7/08
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
式(1)で表される、ピロリン酸エステル化合物。
【化1】
JP0006168665B2_000016t.gif
(Rは、アリール基、有機シリル基又はハロゲン原子である)
【請求項2】
前記アリール基は、少なくとも1つの置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基又はアントラセニル基であり、前記置換基は、アリール基、ペルフルオロアルキル基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子である、
請求項1に記載のピロリン酸エステル化合物。
【請求項3】
Rは、2-ナフチル基、3,5-ジフェニルフェニル基又は3,5-ビス(2-ナフチル)フェニル基である、
請求項1に記載のピロリン酸エステル化合物。
【請求項4】
式(2)で表される、ビスリン酸エステル化合物。
【化2】
JP0006168665B2_000017t.gif
(Rは、アリール基、有機シリル基又はハロゲン原子である)
【請求項5】
前記アリール基は、少なくとも1つの置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基又はアントラセニル基であり、前記置換基は、アリール基、ペルフルオロアルキル基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子である、
請求項4に記載のビスリン酸エステル化合物。
【請求項6】
Rは、2-ナフチル基、3,5-ジフェニルフェニル基又は3,5-ビス(2-ナフチル)フェニル基である、
請求項4に記載のビスリン酸エステル化合物。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1項に記載のピロリン酸エステル化合物を含む分子内エン反応用触媒。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載のピロリン酸エステル化合物を含むマンニッヒ反応用触媒。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか1項に記載のピロリン酸エステル化合物を含むフリーデル-クラフツ反応用触媒。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なピロリン酸エステル化合物、ビスリン酸エステル化合物及び触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リン酸エステル化合物をブレンステッド酸触媒として用いる反応が報告されている。例えば、特許文献1では、リン酸エステル化合物である3,3’-ジアリール-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイル ハイドロジェンホスフェートを、マンニッヒ反応やヒドロホスホリル化反応、アザ ディールスアルダー反応などの触媒として利用している。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】国際公開第2004/096753号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまでに知られているリン酸エステル化合物は、酸性度があまり高くなかったため、例えばアルデヒドやケトンなどのカルボニル化合物を十分活性化することができなかった。そのため、基質一般性が十分とはいえなかった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、新規なピロリン酸エステル化合物やビスリン酸エステル化合物を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、3,3’位に置換基を有するBINOL誘導体(BINOLは1,1’-ビ-2-ナフトールの略)に対して、水素化ナトリウム及び塩化ジアリルリン酸を反応させた後、アリル保護基を除去することにより、新規なビスリン酸エステル化合物を得た。また、このビスリン酸エステル化合物を塩化オキサリルと反応させることにより、新規なピロリン酸エステル化合物を得た。このようにして得られた新規なピロリン酸エステル化合物やビスリン酸エステル化合物を触媒として分子内エン反応やマンニッヒ反応を行ったところ、従来のリン酸エステル化合物を触媒とした場合に比べて活性が高いことを確認し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明のピロリン酸エステル化合物は、式(1)で表されるものである。但し、式(1)中、Rは、アリール基、有機シリル基又はハロゲン原子である。
【0008】
【化1】
JP0006168665B2_000002t.gif

【0009】
本発明のビスリン酸エステル化合物は、式(2)で表されるものである。但し、式(2)中、Rは、アリール基、有機シリル基又はハロゲン原子である。
【0010】
【化2】
JP0006168665B2_000003t.gif

【発明の効果】
【0011】
本発明の新規なピロリン酸エステル化合物やビスリン酸エステル化合物は、分子内に複数のリン酸水酸基を有するため、従来のリン酸エステル化合物に比べて酸性度が高い。そのため、カルボニル化合物やイミン化合物などを活性化する能力が高い。また、配位子としても有用性が期待される。更に、ビナフチル骨格を有するため、キラルなピロリン酸エステル化合物やビスリン酸エステル化合物とすることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のピロリン酸エステル化合物は、上記式(1)で表されるものであり、Rは、アリール基、有機シリル基又はハロゲン原子である。また、本発明のビスリン酸エステル化合物は、上記式(2)で表されるものであり、Rは、アリール基、有機シリル基又はハロゲン原子である。

【0013】
ここで、アリール基としては、例えば、フェニル基やナフチル基、アントラセニル基などが挙げられる。ナフチル基は、1-ナフチル基でもよいし、2-ナフチル基でもよい。アントラセニル基は、1-アントラセニル基でもよいし、2-アントラセニル基でもよいし、9-アントラセニル基でもよい。また、フェニル基やナフチル基、アントラセニル基は、少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば、アリール基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ペルフルオロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。その場合、アリール基としては、フェニル基やナフチル基、アントラセニル基などのほか、これらの少なくとも1つの水素原子がアルキル基、アルコキシ基、ペルフルオロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子などで置換されていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブチトキシ基、tert-ブトキシ基などが挙げられる。ペルフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。

【0014】
このようなアリール基としては、特に、2-ナフチル基、3,5-ジフェニルフェニル基又は3,5-ビス(2-ナフチル)フェニル基が好ましい。

【0015】
有機シリル基としては、例えば、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、アリールジアルキルシリル基、トリス(トリアルキルシリル)シリル基、トリス(トリアリールシリル)シリル基などが挙げられる。トリアルキルシリル基は、3つのアルキル基がすべて同じでもよいし、2つが同じでもよいし、すべて異なっていてもよい。トリアリールシリル基は、3つのアリール基がすべて同じでもよいし、2つが同じでもよいし、すべて異なっていてもよい。アルキルジアリールシリル基は、2つのアリール基が同じでもよいし異なっていてもよい。アリールジアルキルシリル基は、2つのアルキル基が同じでもよいし異なっていてもよい。トリアルキルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジ-tert-ブチルメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基などが挙げられる。トリアリールシリル基としては、例えばトリフェニルシリル基などが挙げられる。アルキルジアリールシリル基としては、例えば、ジフェニルメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基などが挙げられる。アリールジアルキルシリル基としては、例えば、ジメチルフェニルシリル基などが挙げられる。トリス(トリアルキルシリル)シリル基としては、例えば、トリス(トリメチルシリル)シリル基などが挙げられる。トリス(トリアリールシリル)シリル基としては、例えば、トリス(トリフェニルシリル)シリル基などが挙げられる。

【0016】
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。

【0017】
本発明のピロリン酸エステル化合物やビスリン酸エステル化合物の製法は、特に限定されるものではないが、一例を以下に示す。すなわち、ビスリン酸エステル化合物は、例えば、3,3’位に置換基R(Rは前出のとおり)を有するBINOL誘導体に対して、水素化ナトリウム及び塩化ジアリルリン酸を反応させた後、アリル保護基を除去することにより、得ることができる。また、ピロリン酸エステル化合物は、例えば、上述したビスリン酸エステル化合物を塩化オキサリルと反応させることにより、得ることができる。

【0018】
本発明のピロリン酸エステル化合物やビスリン酸エステル化合物の用途は、特に限定されるものではないが、反応触媒や配位子などが挙げられる。例えば、6-オクテナール誘導体(シトロネラールなど)の分子内エン反応の触媒やマンニッヒ反応の触媒、フリーデル-クラフツ反応の触媒として用いることができる。また、BINOL骨格はC2対称を持つため、キラルなピロリン酸エステル化合物やキラルなビスリン酸エステル化合物を容易に得ることができる。こうしたキラルな化合物は、不斉合成反応の触媒として用いることが期待される。なお、ビスリン酸エステル化合物は、ピロリン酸エステル化合物の合成中間体としても有用である。
【実施例】
【0019】
1.ビスリン酸エステル化合物の合成
ビスリン酸エステル化合物を下記のスキーム1にしたがって合成した。以下の実施例1~3にその詳細を示す。
【実施例】
【0020】
【化3】
JP0006168665B2_000004t.gif
【実施例】
【0021】
[実施例1]
(R)-3,3’-ジフェニルBINOL(4.4g,10mmol)のTHF(50mL)溶液に0℃にて60%水素化ナトリウム鉱油分散物(0.89g,22mmol)を加え、30分間撹拌した。この溶液に塩化ジアリルリン酸(7.8g,40mmol)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応混合物に水を加え、ジクロロメタンで抽出した後、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。この溶液を濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘキサン-酢酸エチル=20:1→5:1)で精製し、BINOLビスリン酸アリルエステル(6.6g,87%)を得た。そのスペクトルデータは、以下のとおり。31P NMR (160MHz, CDCl3) δ-6.0 ppm.
【実施例】
【0022】
次に、BINOLビスリン酸アリルエステル(5.4g,7.1mmol)およびピロリジン(1.3mL,15.7mmol)のDMF(72mL)溶液に、Pd(PPh34(3.3g,2.9mmol)を加え、0℃にて4時間撹拌した。反応混合物に塩酸を加え、ジクロロメタンで抽出した後、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。この溶液を濃縮して得られた粗生成物をAmberlite IR-120(H form)に通した。次いで、DOWEX(Na form)に吸着させて洗浄した後、濃塩酸-THF(1:5)で溶出させた。溶媒を減圧濃縮した後、ジクロロメタンに溶解して水で洗浄した。ジクロロメタンを減圧濃縮することにより、目的とするBINOLビスリン酸エステル(化合物B1,4.2g,98%)を得た。このビスリン酸エステルの構造は、NMRスペクトルおよびマススペクトルを測定することにより確定した。そのスペクトルデータは、以下のとおり。1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ7.31 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.36-7.43 (m, 6H), 7.47 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 7.54 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.69 (d, J = 6.9 Hz, 4H), 7.82 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 8.02 (s, 2H)ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ125.5 (2C), 125.9 (2C), 126.2 (2C), 126.9 (2C), 127.5 (2C), 128.1 (4C), 128.6 (2C), 130.6 (4C), 131.6 (2C), 132.2 (2C), 133.0 (2C), 136.3 (2C), 139.1 (2C), 146.9 (2C)ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ-0.2 ppm; HRMS (FAB, negative mode) calcd for C32H23O8P2[M-H]- 597.0868, found 597.0826.
【実施例】
【0023】
[実施例2]
実施例1で用いた(R)-3,3’-ジフェニルBINOLの代わりに、(R)-3,3’-ビス[4-(2,4,6-トリメチルフェニル)フェニル]BINOLを用いた以外は、実施例1と同様にしてビスリン酸エステル化合物(化合物B2)を得た。そのスペクトルデータは、以下のとおり。1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ2.05 (s, 12H), 2.28 (s,6H), 6.90 (s, 4H), 7.16 (d, J = 8.2 Hz, 4H), 7.40 (dd, J = 6.9, 7.8 Hz, 2H), 7.47 (dd, J = 6.9, 7.8 Hz, 2H), 7.55 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.72 (d, J = 8.2 Hz, 4H), 7.99 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 8.10 (s, 2H)ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ20.6 (4C), 20.7 (2C), 125.2 (2C), 125.8 (2C), 126.1 (2C), 126.8 (2C), 128.2 (4C), 128.4(2C), 129.0 (4C), 130.8 (4C), 131.1 (2C), 132.1 (2C), 133.0 (2C), 136.0 (4C), 136.3 (2C), 136.4 (2C), 137.1 (2C), 139.4 (2C), 140.5 (2C), 147.1 (2C)ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ-1.3 ppm; HRMS (FAB, negative mode) calcd for C50H43O8P2[M-H]- 833.2433, found 833.2427.
【実施例】
【0024】
[実施例3]
実施例1で用いた(R)-3,3’-ジフェニルBINOLの代わりに、(R)-3,3’-ビス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]BINOLを用いた以外は、実施例1と同様にしてビスリン酸エステル化合物(化合物B3)を得た。そのスペクトルデータは、以下のとおり。1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ7.46-7.61 (m, 6H), 8.02 (s,2H), 8.07 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 8.23 (s, 2H), 8.30 (s, 4H)ppm; 13C NMR (100 MHz,THF-d8) δ121.2 (2C), 124.1 (d, J = 270.8 Hz, 4C), 125.3 (2C), 126.0 (2C), 126.4 (2C), 127.9 (2C), 128.7 (2C), 131.1 (4C), 131.2 (d, J = 32.4 Hz, 4C), 131.9 (2C), 132.1 (2C), 132.8 (2C), 133.4 (2C), 141.0 (2C), 146.1 (2C)ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ-0.4 ppm; HRMS (FAB, negative mode)) calcd for C36H19F12O8P2[M-H]- 869.0364, found 869.0379.
【実施例】
【0025】
[追加実施例]
更に、下記のビスリン酸エステル化合物B4~B12も合成した。このうち、化合物B4~B10は、実施例1で用いた(R)-3,3’-ジフェニルBINOLの代わりに、化合物B4~B10に対応するBINOLを用いた以外は、実施例1と同様にして合成した。化合物B11,B12は、下記式に示す別法にしたがって合成した。
【実施例】
【0026】
【化4】
JP0006168665B2_000005t.gif
【実施例】
【0027】
【化5】
JP0006168665B2_000006t.gif
【実施例】
【0028】
化合物B11,B12の合成手順を以下に説明する。1段階目の反応は、実施例1に準じて行った。但し、ここでは3,3’位の置換基が嵩高いため、リン酸基は1つしか導入されなかった。2段階目以降の反応は以下のようにして行った。1段階目の反応生成物のTHF溶液に対して、トリエチルアミン(4当量)を加え、0℃まで冷却し、三塩化リン(1.2当量)を加えた後、室温まで昇温し、10分間撹拌した。この混合溶液を再び0℃まで冷却しアリルアルコール(4当量)を加え、室温まで昇温し、30分間撹拌した。水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで通常の分液操作を行い、有機層を減圧留去して得られた粗生成物に対して、ジクロロメタンを加えた。この溶液にTBHP(2当量)のノナン溶液を0℃で加え、室温まで昇温し、30分間撹拌した。チオ硫酸ナトリウムを加えて反応を停止し、酢酸エチルで通常の分液操作を行った。フラッシュカラムクロマトグラフィ-(ヘキサン:酢酸エチル=5:1~3:1)で生成し、目的のビスリン酸エステル化合物B11,B12を表記の収率で得た。
【実施例】
【0029】
化合物B4~B12のスペクトルデータは、以下のとおり。
【実施例】
【0030】
化合物B4:1H NMR(400 MHz, THF-d8) δ 7.42-7.51 (m, 8H), 7.62 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 7.86-7.94(m, 8H), 8.01 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 8.15 (s, 2H), 8.23 (s, 2H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 126.1 (2C), 126.2 (2C), 126.3 (4C), 126.7 (2C), 127.3 (2C), 127.8 (2C), 128.2 (2C), 128.9 (2C), 129.1 (2C), 129.3 (2C), 129.9 (2C), 132.3 (2C), 132.6 (2C), 133.5 (2C), 133.7 (2C), 134.5 (2C), 136.5 (2C), 137.2 (2C) , 147.6 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ -0.4 ppm.
【実施例】
【0031】
化合物B5:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 7.32 (t, J = 7.3, 4H), 7.38-7.49 (m, 12H), 7.56 (d, J = 8.2, 2H), 7.81 (d, J = 6.9 Hz, 8H), 7.87 (s, 2H), 8.01-8.03 (m, 6H), 8.23 (s, 2H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 125.7 (2C), 126.1 (2C), 126.5 (2C), 126.7 (2C), 127.6 (2C), 128.0 (4C), 128.2 (8C), 129.0 (4C), 129.1 (2C), 129.5 (8C), 132.5 (2C), 132.7 (2C), 133.6 (2C), 136.4 (2C), 140.4 (2C), 142.3 (4C), 142.4 (4C), 147.4 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ 0.02 ppm.
【実施例】
【0032】
化合物B6:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 7.48-7.51 (m, 14H), 7.62 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.89 (d, J = 7.3 Hz, 4H), 8.00-8.06 (m, 12H), 8.19 (s, 2H), 8.21 (s, 4H), 8.31 (s, 2H), 8.36 (s, 4H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 126.0 (2C), 126.1 (2C), 126.4 (8C), 126.6 (4C), 126.8 (4C), 127.5 (2C), 128.2 (4C), 128.9 (6C), 129.0 (6C), 129.2 (4C), 132.4 (2C), 132.6 (2C), 133.5 (2C), 133.7 (4C), 134.8 (4C), 136.2 (2C), 139.5 (4C), 140.4 (2C), 142.1 (4C), 147.3 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ 0.2 ppm.
【実施例】
【0033】
化合物B7:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 2.37 (s, 24H), 6.99 (s, 4H), 7.38-7.48 (m, 12H), 7.57 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 7.78 (s, 2H), 7.94 (s, 4H), 8.01 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 8.18 (s, 2H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 21.4 (8C), 125.6 (2C), 126.0 (10C), 126.3 (2C), 126.6 (2C), 127.3 (2C), 128.7 (4C), 128.9 (2C), 129.4 (4C), 132.3 (2C), 132.6 (2C), 133.5 (2C), 136.6 (2C), 138.6 (8C), 140.2 (2C), 142.3 (4C), 142.4 (4C), 147.4 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ -0.5 ppm.
【実施例】
【0034】
化合物B8:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 7.20 (t, J = 5.4 Hz, 8H), 7.40 (t, J = 4.7 Hz, 2H), 7.48 (t, J = 4.3 Hz, 2H), 7.55 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 7.82- 7.85 (m, 10H), 7.99 (s, 4H), 8.02 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 8.23 (s, 2H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 116.1 (d, 8C), 125.3 (2C), 126.0 (2C), 126.5 (d, 4C), 127.5 (2C), 128.8 (4C), 128.9 (2C), 129.9 (d, 8C), 132.3 (2C), 132.6 (2C), 133.5 (2C), 136.5 (2C), 138.5 (4C), 140.4 (2C), 141.1 (4C), 147.3 (2C), 162.2 (2C), 164.7 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ 0.3 ppm.
【実施例】
【0035】
化合物B9:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 7.42 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 7.52 (t, J = 4.6 Hz, 2H), 7.60 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 8.05 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 8.06 (s, 4H), 8.12 (s, 2H), 8.20 (s, 4H), 8.32 (s, 2H), 8.46 (s, 8H) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ -0.7 ppm.
【実施例】
【0036】
化合物B10:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 7.31 (t, J = 4.0 Hz, 2H), 7.40-7.45 (m, 6H), 7.49 (t, J = 4.3 Hz, 2H), 7.58 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 7.70-7.73 (m, 8H), 7.82 (d, J = 5.2 Hz, 4H), 8.00 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 8.10 (s, 2H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 125.9 (2C), 126.3 (2C), 126.6 (2C), 127.0 (4C), 127.3 (2C), 127.6 (4C), 127.9 (2C), 128.9 (2C), 129.4 (4C), 131.4 (4C), 132.0 (2C), 132.6 (2C), 133.3 (2C), 136.2 (2C), 138.5 (2C), 140.6 (2C), 141.7 (2C), 147.2 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ 0.1 ppm.
【実施例】
【0037】
化合物B11:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 7.34-7.46 (m, 22H), 7.55 (d, J = 5.0 Hz, 2H), 7.59-7.63 (m, 16H), 7.72 (d, J = 4.9 Hz, 4H), 7.96 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 8.04 (s, 2H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 125.7 (2C), 126.2 (2C), 126.6 (2C), 127.3 (2C), 128.6 (12C), 128.9 (2C), 130.2 (6C), 130.5 (4C), 131.7 (2C), 132.5 (2C), 133.4 (4C), 135.3 (6C), 136.6 (2C), 136.6 (4C), 137.2 (12C), 140.7 (2C), 147.3 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ -0.6 ppm.
【実施例】
【0038】
化合物B12:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 1.65-1.89 (m, 6H), 2.11-2.16 (m, 2H), 2.75-2.96 (m, 8H), 7.26 (s, 2H), 7.31 (t, J = 4.3 Hz, 4H), 7.43 (t, J = 4.3 Hz, 8H), 7.76-7.81 (m, 14H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 23.8, (2C), 24.1 (2C), 28.1 (2C), 30.4 (2C), 125.2 (2C), 127.9 (4C), 128.1 (8C), 128.8 (4C), 129.4 (8C), 130.8 (2C), 132.7 (2C), 133.9 (2C), 135.1 (2C), 137.1 (2C), 140.9 (2C), 142.0 (4C), 142.5 (4C), 146.2 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ 0.3 ppm.
【実施例】
【0039】
2.ピロリン酸エステル化合物の合成
ピロリン酸エステル化合物を下記のスキーム2にしたがって合成した。以下の実施例4~6にその詳細を示す。
【実施例】
【0040】
【化6】
JP0006168665B2_000007t.gif
【実施例】
【0041】
[実施例4]
BINOLビスリン酸エステル(化合物B1,62mg,0.10mmol)およびDMF(0.010mL)のジクロロメタン(1.0mL)溶液に塩化オキサリル(0.030mL,0.35mmol)を室温にて加えた後、速やかに40℃に昇温して30分間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮することにより、目的とするBINOLピロリン酸エステル(化合物A1,5.9mg,100%)を得た。このピロリン酸エステルの構造は、NMRスペクトルおよびマススペクトルを測定することにより確定した。スペクトルデータは以下のとおり。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.02-7.20 (m, 8H), 7.30-7.40 (m, 6H), 7.52 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.94-8.02 (m, 2H), 7.98 (s, 2H)ppm; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ125.0 (2C), 125.3 (2C), 126.4 (2C), 127.2 (2C), 128.1 (4C), 128.3 (2C), 129.6 (2C), 131.6 (2C), 131.7 (2C), 132.8 (2C), 137.8 (2C), 144.8 (2C), 164.2(2C)ppm; 31P NMR (160 MHz, CDCl3) δ-21.2 ppm; HRMS (FAB, negative mode) calcd for C32H21O7P2[M-H]- 579.0763, found 579.0772.
【実施例】
【0042】
[実施例5]
実施例4で用いた化合物B1の代わりに、化合物B2を用いた以外は、実施例4と同様にしてピロリン酸エステル化合物(化合物A2)を得た。そのスペクトルデータは、以下のとおり。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.02 (s, 12H), 2.32 (s, 6H), 6.93 (s, 4H), 7.10 (d, J = 8.5 Hz, 4H), 7.15 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.36 (dd, J = 8.2, 8.3 Hz, 2H), 7.50-7.63 (m, 6H), 8.06 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 8.15 (s, 2H) ppm; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 20.8 (4C), 21.1 (2C), 125.2 (4C), 126.6 (2C), 127.3 (2C), 128.1 (4C), 128.3 (2C), 129.2 (4C), 129.5 (4C), 131.4 (2C), 131.7 (2C), 132.8 (2C), 134.4 (2C), 135.9 (6C), 136.5 (2C), 138.8 (2C), 140.1 (2C), 145.1 (2C) ppm; 31P NMR(160 MHz, CDCl3) δ -21.7 ppm; HRMS (FAB, negative mode) calcd for C50H41O7P2[M-H]- 815.2328, found 815.2347.
【実施例】
【0043】
[実施例6]
実施例4で用いた化合物B1の代わりに、化合物B3を用いた以外は、実施例4と同様にしてピロリン酸エステル化合物(化合物A3)を得た。そのスペクトルデータは、以下のとおり。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.08 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.40 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.55 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.77 (s, 2H), 7.92-8.14 (m, 8H) ppm; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ121.1 (2C), 123.5 (d, J = 270.8 Hz, 4C), 125.4 (2C), 126.9 (2C), 128.3 (2C), 128.6 (2C), 129.8 (4C), 131.39 (d, J = 33.4 Hz, 4C), 131.42 (2C), 131.5 (2C), 132.1 (2C), 133.5 (2C), 140.3 (2C), 144.3 (2C), 165.4 (2C)ppm; 31PNMR (160 MHz, CDCl3) δ-21.1 ppm; HRMS (FAB, negative mode) calcd for C36H17F12O7P2[M-H]- 851.0258, found 851.0251.
【実施例】
【0044】
[追加実施例]
更に、下記のピロリン酸エステル化合物A4~A12も合成した。化合物A4~A12は、実施例4で用いた化合物B1の代わりに化合物B4~B12を用いた以外は、実施例4と同様にして合成した。
【実施例】
【0045】
【化7】
JP0006168665B2_000008t.gif
【実施例】
【0046】
化合物A4~A12のスペクトルデータは、以下のとおり。
【実施例】
【0047】
化合物A4:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 7.12 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 7.31 (t, J = 4.9 Hz, 2H), 7.39-7.49 (m, 6H),7.71-7.81 (m, 6H), 7.90 (s, 4H), 8.02-8.06 (m, 4H), 8.15 (s, 2H) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ -19.5 ppm.
【実施例】
【0048】
化合物A5:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 7.12 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.29-7.32 (m, 4H), 7.39-7.48 (m, 12H), 7.79 (d, J = 7.4 Hz, 8H), 7.85 (s, 2H), 7.99 (s, 4H), 8.04 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 8.30 (s, 2H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 125.4 (2C), 125.9 (2C), 126.1 (2C), 126.6 (2C), 127.7 (2C), 127.8 (4C), 128.0 (8C), 128.2 (4C), 128.9 (2C), 129.3 (8C), 132.2 (2C), 132.5 (2C), 134.0 (2C), 135.2 (2C), 140.3 (2C), 142.1 (4C), 142.3 (4C), 146.4 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ -20.1 ppm.
【実施例】
【0049】
化合物A6:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 7.16 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.31 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.46 (br, 12H), 7.85-8.08 (m, 16H), 8.14 (s, 2H), 8.20 (s, 4H), 8.36 (s, 4H), 8.39 (s, 2H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 125.9 (2C), 126.2 (2C), 126.5 (4C), 126.6 (4C), 126.7 (8C), 127.8 (2C), 128.2 (4C), 128.6 (4C), 129.0 (12C), 132.4 (2C), 132.6 (2C), 133.6 (4C), 134.1(2C), 134.7 (4C), 135.2 (2C), 139.4 (4C), 140.6 (2C), 142.2 (4C), 146.6 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ -20.1 ppm.
【実施例】
【0050】
化合物A7:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 2.35 (s, 24H), 6.97 (s, 4H), 7.09 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 7.30 (t, J = 4.6 Hz, 2H), 7.40 (s, 8H), 7.46 (t, J = 4.6 Hz, 2H), 7.77 (s, 2H), 7.94 (s, 4H), 8.03 (d, J = 4.9 Hz, 2H), 8.29 (s, 2H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 21.4 (8C), 126.0 (10C), 126.3 (2C), 126.6 (2C), 127.7 (2C), 128.0 (4C), 128.9 (4C), 129.4 (4C), 132.3 (2C), 132.6 (2C), 134.1 (2C), 135.6 (2C), 138.6 (8C), 140.3 (2C), 142.3 (4C), 142.6 (4C), 146.4 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ -20.3 ppm.
【実施例】
【0051】
化合物A8:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 7.11 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 7.14-7.19 (m, 8H), 7.31 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 7.48 (t, J = 4.9 Hz, 2H), 7.80-7.83 (m, 8H), 7.90 (s, 2H), 7.95 (s, 4H), 8.03 (d, J = 4.9 Hz, 2H), 8.30 (s, 2H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 116.1 (d, 8C), 125.3 (2C), 125.9 (2C), 126.7 (2C), 127.9 (2C), 128.1 (6C), 128.8 (2C), 129.0 (4C), 129.9 (d, 8C), 132.3 (2C), 132.6 (2C), 134.1 (2C), 135.1 (2C), 138.4 (d, 4C), 140.5 (2C), 141.4 (4C), 146.3 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ -20.1 ppm.
【実施例】
【0052】
化合物A9:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 7.13 (d, J = 5.5 Hz, 2H), 7.34 (t, J = 4.9 Hz, 2H), 7.52 (t, J = 4.6 Hz, 2H), 8.06 (s, 6H), 8.09 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 8.19 (s, 4H), 8.40 (s, 2H), 8.49 (s, 8H) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ -20.0 ppm.
【実施例】
【0053】
化合物A10:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 7.13 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 7.29-7.34 (m, 4H), 7.39-7.48 (m, 8H), 7.59-7.72 (m, 10H), 8.03 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 8.15 (s, 2H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 125.8 (2C), 126.7 (2C), 127.1 (4C), 127.5 (4C), 127.7 (2C), 128.8 (2C), 129.0 (2C), 129.4 (4C), 130.8 (4C), 131.4 (2C), 132.0 (2C), 132.6 (2C), 133.9 (2C), 135.3 (2C), 138.4 (2C), 140.2 (2C), 141.6 (2C), 146.2 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ -20.2 ppm.
【実施例】
【0054】
化合物A11:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 7.08 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 7.21 (t, J = 4.9 Hz, 2H), 7.31-7.38 (m, 20H), 7.54-7.61 (m, 16H), 7.67 (d, J = 4.9 Hz, 4H), 7.97 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 8.13 (s, 2H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 125.7 (2C), 126.1 (2C), 126.8 (2C), 127.7 (2C), 128.6 (12C), 129.0 (2C), 129.9 (4C), 130.2 (6C), 132.2 (2C), 132.6 (2C), 133.3 (2C), 133.8 (2C), 135.2 (6C), 136.8 (4C), 137.1 (12C), 140.6 (2C), 146.1 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ -20.4 ppm.
【実施例】
【0055】
化合物A12:1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 2.01-2.07 (m, 4H), 2.46-2.52 (m, 4H), 2.84-2.93 (m, 8H), 7.29-7.35 (m, 6H), 7.42 (t, J = 4.6 Hz, 8H), 7.76-7.81 (m, 14H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 23.5 (2C), 23.8 (2C), 27.9 (2C), 30.4 (2C), 125.1 (2C), 127.8 (4C), 128.0 (4C), 128.1 (8C), 129.3 (8C), 131.1 (2C), 132.6 (2C), 133.1 (2C), 135.8 (2C), 136.9 (2C), 140.6 (2C), 142.2 (4C), 142.3 (4C), 144.7 (2C) ppm; 31P NMR (160 MHz, THF-d8) δ -20.4 ppm.
【実施例】
【0056】
3.各種反応例
3-1.分子内エン反応(その1)
シトロネラールの分子内エン反応について、化合物A1~A3を触媒に用いた場合と、従来公知のリン酸エステル化合物C(表1の欄外参照)を触媒に用いた場合との活性を比較した。化合物A1を触媒に用いた場合の具体的手順を以下に説明する。
【実施例】
【0057】
直前に調製した化合物A1(0.01mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)に対して、-78℃にてシトロネラール(0.036mL,0.2mmol)を加えて、24時間撹拌した。反応溶液に対してトリエチルアミン(0.1mL)を加えて反応を停止した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル=20:1)で精製することにより、環化生成物(25.6mg,83%収率)を得た。この環化生成物は既知化合物である。その構造は,NMRスペクトルを文献記載のデータと比較することにより確認した。
【実施例】
【0058】
同様の分子内エン反応を、化合物A2,A3,Cを触媒に用いて行った。それらの結果を表1に示す。なお、表1には反応条件も記載した。表1から、化合物A1~A3を触媒に用いた場合には、化合物Cを触媒に用いた場合に比べて活性がかなり高いことがわかる。
【実施例】
【0059】
【表1】
JP0006168665B2_000009t.gif
【実施例】
【0060】
3-2.分子内エン反応(その2)
上記3-1のシトロネラールの代わりに、3,3,7-トリメチル-6-オクテナールを用いた以外は、上記3-1と同様にして分子内エン反応を行った。それらの結果を表2に示す。なお、表2には反応条件も記載した。表2から明らかなように、化合物A1~A3は優れた触媒活性を示したのに対して、化合物Cを触媒に用いた場合には生成物がほとんど得られなかった。また、反応温度を-78℃としたところ、触媒活性は化合物A2,A3が化合物A1よりも高い触媒活性を示した。このことから、BINOLの3,3’位に無置換のフェニル基が結合している場合よりも置換基を有するフェニル基が結合している場合の方が高い触媒活性を示すことが示唆された。
【実施例】
【0061】
【表2】
JP0006168665B2_000010t.gif
【実施例】
【0062】
3-3.マンニッヒ反応
イミンに対するアミドのマンニッヒ反応について、化合物A1,B1を触媒に用いた場合と、従来公知のリン酸エステル化合物Cを触媒に用いた場合との活性を比較した。化合物A1を触媒に用いた場合の具体的手順を以下に説明する。
【実施例】
【0063】
直前に調製した化合物A1(0.03mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)にモレキュラーシーブス4A(323mg)を加え、0℃に冷却した。この溶液に、4-クロロベンズアミド(32mg,0.2mmol)およびN-(ベンジルオキシカルボニル)ベンズアルジミン(74mg,0.3mmol)を加え、0℃にて30分間撹拌した。反応溶液に水を加えて反応を停止した後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水炭酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-酢酸エチル=50:1→30:1)で精製することにより、目的とする付加体(78.5mg,>99%収率)を得た。この付加体は既知化合物である。その構造は,NMRスペクトルを文献記載のデータと比較することにより確認した。
【実施例】
【0064】
同様のマンニッヒ反応を、化合物B1,Cを触媒に用いて行った。それらの結果を表3に示す。なお、表3には反応条件も記載した。表3から、化合物Cに比べて化合物A1,B1の触媒活性、特に化合物A1の触媒活性が高かった。このことから、ビスリン酸エステル化合物よりもピロリン酸エステル化合物の方が高い触媒活性を示すことが示唆された。
【実施例】
【0065】
【表3】
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【実施例】
【0066】
3-4.フリーデル-クラフツ反応(その1)
アルジミンとクレゾールとのフリーデル-クラフツ反応について、化合物A1~A6を触媒に用いた場合と、従来公知のリン酸エステル化合物Cを触媒に用いた場合との活性を比較した。化合物A1を触媒に用いた場合(表4のエントリー2)の具体的手順を以下に説明する。
【実施例】
【0067】
直前に調製した化合物A1(0.01mmol)の塩化メチレン溶液(1mL)に対して、N-ベンジルオキシカルボニル(Cbz)アルジミン(2mmol)を室温で溶解させた後、o-クレゾール(3mmol)の塩化メチレン溶液を0℃で添加し、3時間撹拌した。反応溶液に対して水(2mL)を加えて反応を停止した後、酢酸エチルで分液し、減圧下で溶媒を除去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル=10:1→5:1)で精製することにより、パラ位に選択的なフリーデル-クラフツ反応の生成物を収率85%、光学収率4%eeで得た。この生成物のスペクトルデータは以下のとおり。
【実施例】
【0068】
1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 2.17 (s, 3H), 5.11 (s, 2H), 5.33 (br, 1H), 5.38 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 5.88 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 6.64 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 6.87 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 6.96 (s, 1H), 7.22-7.35 (m, 10H) ppm;13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 15.9 (1C), 58.4 (1C), 67.1 (1C), 114.9 (1C), 124.3 (1C), 125.8 (1C), 127.1 (2C), 127.3 (2C), 128.2 (2C), 128.5 (4C), 129.8 (1C), 133.2 (1C), 136.1 (1C), 141.8 (1C), 153.5 (1C), 155.2 (1C) ppm.
【実施例】
【0069】
同様のフリーデル-クラフツ反応を、化合物A2~A6,Cを触媒に用いて行った。それらの結果を表4に示す。表4から、化合物Cに比べて化合物A1~A6の触媒活性がかなり高く、フェノールの4位で付加した生成物が選択的に得られた。また、化合物A4~A6(特にA5)を用いた場合に良好なエナンチオ選択性が発現することがわかった。更に、触媒に化合物A5を用い、溶媒にクロロホルムを用いた場合(表4のエントリー7)、より高いエナンチオ選択性を示した。なお、溶媒に二塩化エチレン、トルエン、トリフルオロメチルベンゼン、ニトロエタンを用いたところ、いずれもフリーデル-クラフツ反応の生成物が得られたが、クロロホルムを用いた場合の成績が最も良かった。
【実施例】
【0070】
【表4】
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【実施例】
【0071】
3-5.フリーデル-クラフツ反応(その2)
化合物A5を触媒に用いて、各種の保護基を有するアルジミンとクレゾールとのフリーデル-クラフツ反応を行った。メトキシカルボニルを保護基とするアルジミンを用いた場合(表5のエントリー1)の具体的手順を以下に説明する。
【実施例】
【0072】
直前に調製した化合物A5(0.01mmol)のクロロホルム溶液(1mL)に対して、N-メトキシカルボニルアルジミン(2mmol)を室温で溶解させた後、o-クレゾール(3mmol、アルジミンの1.5当量)のクロロホルム溶液を0℃で添加し、3時間撹拌した。反応溶液に対して水(2mL)を加えて反応を停止した後、酢酸エチルで分液し、減圧下で溶媒を除去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル=10:1→5:1)で精製することにより、パラ位に選択的なフリーデル-クラフツ反応の生成物を得た。この生成物のスペクトルデータは以下のとおり。
【実施例】
【0073】
1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 2.20 (s, 3H), 3.69 (s, 3H), 5.29 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 5.87 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 6.69 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 6.98 (s, 1H), 7.23-7.34 (m, 5H) ppm; 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 15.9 (1C), 52.4 (1C), 58.3 (1C), 114.9 (1C), 124.3 (1C), 125.7 (1C), 127.1 (1C), 127.3 (2C), 128.5 (2C), 129.8 (1C), 133.2 (1C), 141.9 (1C), 153.6 (1C), 156.5 (1C) ppm.
【実施例】
【0074】
保護基がBoc(tert-ブトキシカルボニル)基やBz(ベンゾイル)基であるアルジミンを用いたフリーデル-クラフツ反応を、上述した手順と同様にして行った。それらの結果を表5のエントリー2,3に示す。なお、表5のエントリー1~3では、o-クレゾールをアルジミンの1.5当量用い、触媒使用量、濃度、収率はアルジミンを基準として算出した。
【実施例】
【0075】
一方、表5のエントリー4では、表5のエントリー1の濃度を10mMに変更した以外は、このエントリー1と同様にして反応を行った。そうしたところ、81%eeまでエナンチオ選択性が向上し、収率も97%まで向上した。更に、表5のエントリー5では、表5のエントリー4の触媒使用量を1mol%に変更した以外は、このエントリー4と同様にして反応を行った。そうしたところ、触媒使用量が1mol%であっても、79%eeという高いエナンチオ選択性を示した。なお、表5のエントリー4,5では、N-メトキシカルボニルアルジミンをo-クレゾールの1.5当量用い、触媒使用量、濃度、収率はo-クレゾールを基準として算出した。
【実施例】
【0076】
【表5】
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【実施例】
【0077】
3-6.フリーデル-クラフツ反応(その3)
化合物A5を触媒に用いて、各種の保護基を有するアルジミンと各種の置換基を有するクレゾールとのフリーデル-クラフツ反応を行った。ここでは、表5のエントリー4の手順に準じて反応を行った。その結果を表6に示す。表6のエントリー1~5に示すように、いずれも反応生成物を高エナンチオ選択的に高収率で得ることができた。
【実施例】
【0078】
【表6】
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【実施例】
【0079】
4.応用例
化合物A5を触媒に用いて、PhCH=NCbzと置換基を持たないフェノールとのフリーデル-クラフツ反応を行ったところ、対応する反応生成物を62%eeで得ることができた。また、下記式に示す手順にしたがって、この反応生成物を抗真菌剤であるビフォナゾール(Bifonazol)へ誘導することができた。
【実施例】
【0080】
【化8】
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【実施例】
【0081】
本出願は、2012年7月19日に出願された日本国特許出願第2012-160092号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、主に化学産業に利用可能であり、例えば医薬品や農薬、化粧品及びそれらの中間体などを製造する際に利用したり、金属の配位子として利用したりすることができる。