TOP > 国内特許検索 > 2次元左手系メタマテリアル > 明細書

明細書 :2次元左手系メタマテリアル

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5219148号 (P5219148)
登録日 平成25年3月15日(2013.3.15)
発行日 平成25年6月26日(2013.6.26)
発明の名称または考案の名称 2次元左手系メタマテリアル
国際特許分類 H01P   1/00        (2006.01)
FI H01P 1/00 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2008-536337 (P2008-536337)
出願日 平成19年9月18日(2007.9.18)
国際出願番号 PCT/JP2007/068095
国際公開番号 WO2008/038542
国際公開日 平成20年4月3日(2008.4.3)
優先権出願番号 2006260907
優先日 平成18年9月26日(2006.9.26)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年7月29日(2010.7.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】真田 篤志
個別代理人の代理人 【識別番号】100093687、【弁理士】、【氏名又は名称】富崎 元成
【識別番号】100106770、【弁理士】、【氏名又は名称】円城寺 貞夫
【識別番号】100139789、【弁理士】、【氏名又は名称】町田 光信
審査官 【審査官】岸田 伸太郎
参考文献・文献 特開2006-114489(JP,A)
G.Lovat,et al.,"Analysis of Directive Radiation From a Line Source in a Metamaterial Slab With Low Permittivity",IEEE Trans.Antennas and Propagation,2006年 3月27日,Vol.54,No.3,pp.1017-1030
上田哲也(ほか1名),「導波管からなる金属格子における左手系伝送特性」,2004年電子情報通信学会総合大会講演論文集,2004年 3月 8日,Vol.2004年エレクトロニクス(1),pp.133,C-2-98
調査した分野 H01P 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
IEEE Xplore
CiNii
特許請求の範囲 【請求項1】
導体からなる単位構造体(10)が基準となる平面上に規則的に配置された2次元左手系メタマテリアルであって、
前記単位構造体(10)は、
中心軸が前記平面に対して垂直方向を向く柱状の第1柱体(11)と、
前記第1柱体(11)と同一方向の中心軸を有し、前記第1柱体(11)と中心軸方向に離間して配置された柱状の第2柱体(12)と、
前記第1柱体(11)と前記第2柱体(12)とを互いに電気的に接続する接続体(13)とからなるものであり、
前記単位構造体(10)は、前記平面に対する垂線方向の位置が同一となるように配置され、さらに、互いに他の単位構造体(10)と接触しないように配置されたものであり、
前記接続体(13)は、その中心軸に垂直な方向の寸法が前記第1柱体(11)および前記第2柱体(12)の中心軸に垂直な方向の寸法よりも小さいものである2次元左手系メタマテリアル。
【請求項2】
請求項1に記載した2次元左手系メタマテリアルであって、
前記第1柱体(11)および前記第2柱体(12)は、中心軸に垂直な断面形状が正方形である2次元左手系メタマテリアル。
【請求項3】
請求項1に記載した2次元左手系メタマテリアルであって、
前記第1柱体(11)および前記第2柱体(12)は、中心軸に垂直な断面形状が正六角形である2次元左手系メタマテリアル。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載した2次元左手系メタマテリアルであって、
前記第1柱体(11)、前記第2柱体(12)および前記接続体(13)は、それぞれの中心軸が同一直線となるように配置されたものである2次元左手系メタマテリアル。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は電磁波を伝播させるための人工的な媒質(メタマテリアル)に関し、詳しくは、2次元の電磁波伝播媒質として機能し、媒質の等価的な誘電率と透磁率の両者が負となる2次元左手系メタマテリアルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属、誘電体、磁性体、超伝導体などの小片(単位構造体)を、波長に対して十分短い間隔(波長の10分の1程度以下)で並べることで自然にはない性質を持った媒質を人工的に構成することができる。この媒質を自然にある媒質のカテゴリに比べてより大きいカテゴリに属する媒質と言う意味でメタマテリアル(metamaterials)と呼んでいる。メタマテリアルの性質は、単位構造体の形状、材質およびそれらの配置により様々に変化する。
【0003】
中でも、等価的な誘電率εと透磁率μとが同時に負となるメタマテリアルは、その電界と磁界と波数ベクトルが左手系をなすことから「左手系媒質(LHM:Left-Handed Materials)」と名付けられた。この左手系媒質を本明細書においては左手系メタマテリアルと呼ぶ。これに対して、等価的な誘電率εと透磁率μとが同時に正となる通常の媒質は「右手系媒質(RHM:Right-Handed Materials)」と呼ばれる。これら誘電率ε、透磁率μと媒質との関係領域は、図1に示すように、誘電率εの正負および透磁率μの正負に応じた第1象限~第4象限の媒質に分類できる。右手系媒質は第1象限の媒質であり、左手系媒質は第3象限の媒質である。
【0004】
特に、左手系メタマテリアルは、波の群速度(エネルギーの伝播する速度)と位相速度(位相の進む速度)の符号が逆転している波(バックワード波と呼ばれる)の存在や、また、非伝播領域で指数関数的に減衰する波であるエバネセント波の増幅、等の特異な性質を持つものである。そして、左手系メタマテリアルによるバックワード波を伝送する線路を人工的に構成することができる。このことは、下記の非特許文献1、非特許文献2にも記載されているように公知である。
【0005】
この左手系媒質構成の概念に基づき、金属パターンからなる単位セルを周期的に並べてバックワード波を伝播させる線路が提案されている。これまで、その伝送特性が理論的に取り扱われ、この線路が左手系伝送帯域を持つこと、左手系伝送帯域と右手系伝送帯域との間にバンドギャップが生じること、そのバンドギャップ幅は単位セル中のリアクタンスによりコントロールすることができること等が理論的に明らかになっている。これらに関しては、下記の非特許文献3に記載されている。
【0006】

【非特許文献1】D. R. Smith, W. J. Padilla, D. C. Vier, S. C. Nemat-Nasser, and S. Schultz, “Composite medium with simultaneously negative permeability and permittivity,” Phys. Rev. Lett., vol. 84, no. 18, pp.4184-4187, May 2000
【非特許文献2】C. Caloz, and T. Itoh, “Application of the transmission line theory of left-handed (LH) materials to the realization of a microstrip LH line”, IEEE-APS Int'l Symp. Digest, vol. 2, pp. 412-415, June 2002
【非特許文献3】Atsushi Sanada, Chritophe Caloz and Tatsuo Itoh,“Characteristics of the Composite Right/Left-Handed Transmission Lines,” IEEE Microwave and Wireless Component Letters, Vol.14, No.2, pp. 68-70, February 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
左手系メタマテリアルは、その構成上から共振型と非共振型に大別できる。最初に作成された左手系メタマテリアルは共振型である。共振型の左手系メタマテリアルは、人工誘電体の誘電率および人工磁性体の透磁率が、共振周波数の近傍でともに負になる領域を使用するものである。このため、左手系媒質として機能する周波数帯域幅が狭いという欠点がある。さらに、共振周波数の近傍周波数を使用するため損失が大きくなるという欠点がある。
【0008】
これに対して、非共振型の左手系メタマテリアルは、通常の媒質における伝送線路の分布定数インダクタンス(L)、分布定数キャパシタンス(C)を逆に配置した伝送線路の特性に基づいている。このような分布定数LCを逆転させた伝送線路においては、前述のバックワード波が伝送され、左手系メタマテリアルとしての性質を持つのである。非共振型の左手系メタマテリアルは、共振型と比較すると、左手系媒質として機能する周波数帯域幅が広く、損失が小さくなるという特徴がある。
【0009】
非共振型の左手系メタマテリアルとしては、集中定数LC素子(チップインダクタ、チップコンデンサ等)を使用した伝送回路や、伝送路に周期的な構造を配置した分布定数型の媒質があった。しかし、集中定数LC素子を使用したものは動作周波数に上限(素子の自己共振周波数以下でのみ動作可能)があるという問題点があり、数GHz以上で動作する左手系メタマテリアルは実現困難であった。また、集中定数LC素子を多数使用するため製作が困難であり、製造コストも高くなる。分布定数型の媒質は、主に誘電体基板上に構成された平面回路型構造のものが研究されている。しかし平面回路中の電磁波に対してではなく放射電磁界に対する非共振型の左手系媒質はこれまで実現されていない。
【0010】
そこで、本発明は、2次元の電磁波伝播媒質として機能し、媒質の等価的な誘電率と透磁率の両者が同時に負となる左手系メタマテリアルであり、左手系媒質としての特性に優れ、構造も簡素で製造コストを低減させることのできる2次元左手系メタマテリアルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の2次元左手系メタマテリアルは、導体からなる単位構造体が基準となる平面上に規則的に配置された2次元左手系メタマテリアルであって、前記単位構造体は、中心軸が前記平面に対して垂直方向を向く柱状の第1柱体と、前記第1柱体と同一方向の中心軸を有し、前記第1柱体と中心軸方向に離間して配置された柱状の第2柱体と、前記第1柱体と前記第2柱体とを互いに電気的に接続する接続体とからなるものであり、前記単位構造体は、前記平面に対する垂線方向の位置が同一となるように配置され、さらに、互いに他の単位構造体と接触しないように配置されたものであり、前記接続体は、その中心軸に垂直な方向の寸法が前記第1柱体および前記第2柱体の中心軸に垂直な方向の寸法よりも小さいものである
【0012】
また、上記の2次元左手系メタマテリアルにおいて、前記第1柱体および前記第2柱体は、中心軸に垂直な断面形状が正方形のものとすることができる。
【0013】
また、上記の2次元左手系メタマテリアルにおいて、前記第1柱体および前記第2柱体は、中心軸に垂直な断面形状が正六角形のものとすることができる。
【0014】
また、上記の2次元左手系メタマテリアルにおいて、前記第1柱体、前記第2柱体および前記接続体は、それぞれの中心軸が同一直線となるように配置されたものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
【0017】
第1柱体と第2柱体とを互いに接続した構成の単位構造体を使用しているので、第1柱体と第2柱体との間のインダクタンスを大きくでき、動作周波数を低下させることができる。換言すれば、電磁波の波長と比較した単位構造体の寸法を小さくでき、左手系メタマテリアルをより均一媒質に近付けることができる。
【0018】
第1柱体と第2柱体の断面形状を正方形としたので、隣接する単位構造体の間の静電容量をさらに大きくでき、動作周波数をさらに低下させてより均一媒質に近付けることができる。
【0019】
第1柱体と第2柱体の断面形状を正六角形としたので、動作周波数を低下させてより均一媒質に近付けることができるとともに、異方性をさらに減少させて等方媒質により近付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】誘電率ε、透磁率μの正負領域と媒質との関係を示す図である。
【図2】本発明の第1の形態のメタマテリアル1を示す斜視図である。
【図3】単位構造体10の構成を示す正面図である。
【図4】単位構造体10の構成および配置を示す平面図である。
【図5】単位構造体10を配列した左手系メタマテリアル1の等価回路を示す図である。
【図6】メタマテリアル1の分散特性を示す図である。
【図7】本発明の第2の形態のメタマテリアル1aを示す図である。
【図8】第3の形態のメタマテリアルの単位構造体20の構成を示す正面図である。
【図9】単位構造体20の構成および配置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0021】
1,1a メタマテリアル
10,20 単位構造体
11,21 第1柱体
12,22 第2柱体
13,23 接続体
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図2は、本発明の第1の形態のメタマテリアル1を示す斜視図である。導体(典型的には金属)からなる単位構造体10が平面上(ここではxy平面上)に規則的(ここでは周期的)に配置されている。このメタマテリアル1では、単位構造体10が縦横等間隔(等ピッチ)の格子状に配列されている。
【0023】
それぞれの単位構造体10は、隣接する単位構造体10と接触しないように隙間をあけて配置されている。単位構造体10は、全体が絶縁体内に埋め込まれてもよいし、その一部が絶縁体の平板等によって固定され位置決めされていてもよい。図2では、16×8=128個の単位構造体10のみが表示されているが、実際のメタマテリアルではさらに多数の単位構造体10が配列される。
【0024】
図3は、単位構造体10の構成を示す正面図である。また、図4は、単位構造体10を上方から見た平面図である。単位構造体10は、第1柱体11と第2柱体12とを接続体13によって接続した構造である。第1柱体11、第2柱体12および接続体13は導体(典型的には金属)からなるものである。第1柱体11は、図3の上下方向を中心軸方向とし、中心軸に垂直な平面での断面形状が正方形となる四角柱である。図示のように、第1柱体11の断面の正方形の1辺の長さを寸法Aとし、第1柱体11の中心軸方向の長さを寸法Bとする。
【0025】
第2柱体12は、第1柱体11と同じ形状の四角柱であり、第1柱体11とは中心軸方向に間隔を持って配置される。第1柱体11と第2柱体12との中心軸方向の間隔を寸法Cとする。第1柱体11と第2柱体12とは、それらと同種の導体からなる接続体13によって電気的に接続されている。接続体13は、断面寸法が第1柱体11と第2柱体12より小さく、断面形状が正方形の四角柱である。接続体13の断面の正方形の1辺の長さを寸法Dとする。第1柱体11、第2柱体12および接続体13は、それらの中心軸が一致するように配置されている。
【0026】
図5は、単位構造体10を配列した左手系メタマテリアル1の等価回路を示す図である。図は簡単のために1次元の配列状態のみを示している。本媒質は、隣接する第1柱体11間および隣接する第2柱体12間で直列に容量を持ち、かつ第1柱体11と第2柱体12との間にインダクタンスを持つため非共振型の左手系メタマテリアルである。したがって、共振型のものと比べて本質的に低損失かつ広帯域な左手系特性を有することができる。
【0027】
図4には単位構造体10の平面上の配列状態も示されている。単位構造体10は、xy平面上に等間隔(等ピッチ)で配置されている。x軸方向のピッチとy軸方向のピッチは等しくされており、双方のピッチは寸法Pで表されている。このようなメタマテリアル1の各部の寸法の実例を示すと、寸法Aを4.8mm、寸法Bを10.0mm、寸法Cを4.0mm、寸法Dを1.0mm、寸法Pを5.0mmとする。このような寸法・配置のメタマテリアル1は、2GHz付近で左手系媒質の特性を示す。なお、この寸法例は一例であり、他の任意の寸法とすることができる。メタマテリアルの寸法・配置を変更すれば、左手系媒質の特性を示す周波数も変化する。
【0028】
図6に、上記の寸法・配置によるメタマテリアル1の分散特性を示す。これは図4の単位構造体10においてxおよびy軸方向に周期境界条件を与えて計算した有限要素法による電磁界シミュレーション結果である。x軸方向の波数をkxとし、y軸方向の波数をkyとすると、伝搬定数βは、β=(kx2+ky21/2である。図6の横軸のΓ、X、およびMはそれぞれ波数(kx,ky)空間上の高対称点すなわち点Γ(0,0)、点X(π/P,0)、点M(π/P,π/P)である。ここでπは円周率である。図6において、Γ-X区間はβを0≦kx≦π/Pかつky=0なる関係で変化させた区間を、X-M区間はβをkx=π/Pかつ0≦ky≦π/Pなる関係で変化させた区間を、およびM-Γ区間はβをπ/P≧(kx=ky)≧0なる関係で変化させた区間をそれぞれ示す。
【0029】
また図6の縦軸は周波数である。この分散曲線のΓ-X区間およびM-Γ区間中の任意の点において、点Γから引いた直線の傾き接線の傾きに2πを乗じたもの2πf/β(=ω/β;ωは角周波数)は位相速度(vp)を示し、またこの点における接線の傾きに2πを乗じたもの2π∂f/∂β(=∂ω/∂β)は群速度(vg)を示す。本分散曲線のΓ-X区間およびM-Γ区間において、βの絶対値が増加するに従って周波数が低くなる領域があることから、これらの領域では群速度と位相速度との符号が異なるバックワード波が伝播することが分かる。これは、この領域でメタマテリアル1が左手系媒質の特性となっていることを示すものである。
【0030】
このように、単位構造体10を、断面正方形の角柱形状の第1柱体11と第2柱体12を接続体13によって接続した構成としたので、単位構造体10同士が平面と平面で隣接し、隣接する単位構造体10間の静電容量を大きくすることができる。そのため、左手系媒質として動作する周波数を低下させることができる。換言すると、電磁波の波長と比較した単位構造体10の寸法を小さくでき、左手系メタマテリアルをより均一媒質に近付けることができる。
【0031】
図7は、本発明の第2の形態のメタマテリアル1aにおける単位構造体10の配列を示す平面図である。単位構造体10の構成は図3に示すものと同じである。図2のメタマテリアル1では単位構造体10が縦横等ピッチの格子状に配列されていたが、メタマテリアル1aは1列ごとにy軸方向に1/2ピッチずらすように配列されている。このような配置でも、メタマテリアル1aは左手系媒質の特性を示す。
【0032】
単位構造体10の配列方法は、図2や図7の配列以外にも種々可能であるが、等方媒質に近付けるにはできるだけ異方性を減少させるような配列が望ましい。単位構造体10の規則的な配置とは、完全に等間隔で周期的な配置ばかりでなく、単位構造体同士が接触しない範囲での周期的位置からのずれを含んでいてもよい。また、単位構造体10の間隔を所定の数式に従って変化させるような場合をも含むものである。
【0033】
なお、単位構造体10における接続体13の断面形状は、ここでは第1柱体11と第2柱体12と相似形の正方形としているが、基本的にはどのような断面形状でもよく、特に相似形に限定されるわけではない。接続体13の断面形状の寸法は、第1柱体11および第2柱体12の寸法よりも小さくしているが、必ずしもこれが絶対条件ではない。接続体13の断面形状の寸法が第1柱体11および第2柱体12と同程度であっても左手系媒質とすることは可能である。
【0034】
また、図3に示す単位構造体10では、第1柱体11、第2柱体12および接続体13の中心軸が同一直線上にあるように配置されているが、これも必須の条件ではない。接続体13は、任意の位置で第1柱体11と第2柱体12とを接続するものでよい。第1柱体11と第2柱体12の中心軸も、互いに異なる位置であってもよい。
【0035】
図8は、第3の形態のメタマテリアルにおける単位構造体20の構成を示す正面図である。また、図9は単位構造体20の平面図であり、単位構造体20の配列も示している。単位構造体20は、第1柱体21と第2柱体22とを接続体23によって接続した構造である。第1柱体21、第2柱体22および接続体23は導体(典型的には金属)からなるものである。第1柱体21は、図8の上下方向を中心軸方向とし、中心軸に垂直な平面での断面形状が正六角形となる六角柱である。図示のように、第1柱体21の断面の正六角形の互いに平行な辺と辺との距離を寸法Eとし、第1柱体21の中心軸方向の長さを寸法Fとする。
【0036】
第2柱体22も第1柱体21と同じ形状の六角柱である。第2柱体22は、第1柱体21とは中心軸方向に間隔を持って配置される。第1柱体21と第2柱体22との中心軸方向の間隔を寸法Gとする。第1柱体21と第2柱体22とは、それらと同種の導体からなる接続体23によって電気的に接続されている。接続体23は、断面寸法が第1柱体21と第2柱体22より小さく、断面形状が正六角形の六角柱である。接続体23の断面の正六角形の互いに平行な辺と辺との距離を寸法H(図示せず)とする。第1柱体21、第2柱体22および接続体23は、それらの中心軸が一致するように配置されている。
【0037】
単位構造体20の図9の配列状態において、単位構造体20のx軸方向のピッチを寸法Qとする。寸法Qは寸法Eより大きく、それぞれの単位構造体20は、隣接する単位構造体20と接触しないように隙間をあけて配置されている。このようなメタマテリアルの各部の寸法の実例を示すと、寸法Eを4.157mm、寸法Fを10.0mm、寸法Gを16.0mm、寸法Hを0.173mm、寸法Qを4.33mmとする。このとき単位構造体20間の隙間の幅は0.173mmとなる。このような寸法・配置のメタマテリアルは左手系媒質の特性を示す。なお、この寸法例は一例であり、他の任意の寸法とすることができる。
【0038】
このように、単位構造体20を、断面正六角形の六角柱形状の第1柱体21と第2柱体22を接続体23によって接続した構成としたので、単位構造体20同士が平面と平面で隣接し、隣接する単位構造体20間の静電容量を大きくすることができる。それに加えて、断面正六角形の単位構造体20を使用したメタマテリアルでは、異方性をさらに減少させて等方媒質により近付けることができる。
【0039】
なお、単位構造体20における接続体23の断面形状は、ここでは第1柱体21と第2柱体22と相似形の正六角形としているが、基本的にはどのような断面形状でもよく、特に相似形に限定されるわけではない。また、接続体23の断面形状の寸法は、第1柱体21および第2柱体22の寸法よりも小さくしているが、必ずしもこれが絶対条件ではない。さらに、第1柱体21、第2柱体22および接続体23の中心軸が同一直線上にあることも必須の条件ではない。接続体23は、任意の位置で第1柱体21と第2柱体22とを接続するものでよい。第1柱体21と第2柱体22の中心軸も、互いに異なる位置であってもよい。
【0040】
第1柱体、第2柱体の断面形状は、隣接する単位構造体間の静電容量を増加させ、顕著な異方性をなくすためには正多角形が望ましい。正多角形としては、正三角形、正方形、正六角形があり得るが、異方性を減少させるためには正六角形が望ましい。なお、第1柱体、第2柱体の断面形状は、必ずしも正多角形でなくともよい。第1柱体、第2柱体が、円柱や他の断面形状の柱体であっても左手系媒質とすることは可能である。
【0041】
以上のような、2次元左手系メタマテリアルの応用例としては、媒質が負の屈折率となることを利用した2次元レンズがある。この負屈折率レンズは結像した像の分解能が波源の大きさと同等になり、いわゆるスーパーレンズとして動作する。スーパーレンズとは、分解能が波の回折限界(波長以下)を超えて高くなるレンズである。通常の右手系媒質によるレンズでは、結像の分解能は波の回折限界によって波源の波長よりも大きくなってしまう。
【0042】
2次元左手系メタマテリアルの応用例としては、さらに、上記の2次元レンズを使用したレンズアンテナや、分散特性を利用したカプラや共振器および2次元ビームスキャンアンテナ、漏洩放射を利用したアンテナやリフレクタ、表面波を利用した遅延線や共振器、人工磁気壁などが考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の2次元左手系メタマテリアルを利用して2次元スーパーレンズを実現することができ、その2次元スーパーレンズを使用したレンズアンテナを実現することができる。さらに、本発明の2次元左手系メタマテリアルは、分散特性を利用したカプラや共振器および2次元ビームスキャンアンテナ、漏洩放射を利用したアンテナやリフレクタ、表面波を利用した遅延線や共振器、人工磁気壁などに利用することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8