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明細書 :粉塵測定方法及び粉塵測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5207185号 (P5207185)
登録日 平成25年3月1日(2013.3.1)
発行日 平成25年6月12日(2013.6.12)
発明の名称または考案の名称 粉塵測定方法及び粉塵測定装置
国際特許分類 G01N  15/06        (2006.01)
FI G01N 15/06 D
G01N 15/06 C
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願2008-542992 (P2008-542992)
出願日 平成19年11月6日(2007.11.6)
国際出願番号 PCT/JP2007/001210
国際公開番号 WO2008/056444
国際公開日 平成20年5月15日(2008.5.15)
優先権出願番号 2006299946
優先日 平成18年11月6日(2006.11.6)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年10月28日(2010.10.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】進士 正人
審査官 【審査官】渡▲辺▼ 純也
参考文献・文献 特開2003-083868(JP,A)
特開平04-095757(JP,A)
特開2003-302333(JP,A)
実開平06-049988(JP,U)
特開平08-117533(JP,A)
野村英一,空気中の浮遊粉塵を撮影,写真工業,日本,1993年 3月,Vol. 51, No. 3,p76 - p80
調査した分野 G01N 15/00 ~ 15/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
粉塵微粒子の浮遊する自由空間にカメラのレンズ近傍から閃光を発し、レンズ近傍から50mm程度の位置を照射し、同時にカメラにより、浮遊する微粒子を白斑画像として撮影し、該白斑画像の数をカウントすることを特徴とする粉塵測定方法。

【請求項2】
請求項1において、背景を黒色として撮影する粉塵測定方法。
【請求項3】
請求項1において、撮影装置の焦点距離を50mm以下として撮影する粉塵測定方法。
【請求項4】
前記請求項1乃至3記載のいずれかの方法により、カメラのレンズ近傍から50mm程度以内に存在する粉塵に基づき撮影された画像中の白斑画像を抽出する画像抽出手段、白斑画像の面積を計算する面積計算手段、及び面積計算手段で得られた数値が設定範囲内にあるかを判定する比較手段、設定範囲内の白斑画像の数をカウントする手段、及びカウント結果を表示する表示手段とからなる粉塵測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子の粉塵を簡易な方法によって測定する方法及び装置に関するものである。特に、トンネル建設工事現場において、掘削、ずり積み、ロックボルト打設、吹付けコンクリートなどの作業に伴い発生する粉塵を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルは閉じられた空間であり、掘削による粉塵と共に空間を補強するための吹付け工法によって吹き付けられたセメントモルタルが地山及びモルタル粒子同士の衝突により飛散することから、多量のセメント微粒子がトンネル内に飛散するので、劣悪な作業環境となる。
作業環境における粉塵濃度を測定して粉塵濃度が規定より高い場合は、換気を強化するなどして作業環境を良好に維持する必要がある。
【0003】
空気中に浮遊している粉塵の粒径を測定する装置として、従来、1個の粒子が光照射位置を通過したときに生じる散乱光等を検出することにより、単位体積当たりの気体中に含まれる粒子の数と個々の粒子の大きさを検出するダストカウンタや、レーザ光を用いて干渉縞を作ると共に、そこを1個の粒子が通過することによる干渉縞の変化を検出してその粒子の大きさを測定するフェーズドップラー方式の測定装置が知られている。
【0004】
また、粒子群の粒度分布を測定する装置として、従来、分散状態の被測定粒子群にレーザ光を照射することによって生じる回折/散乱光の空間強度分布を測定し、その測定結果を散乱理論に基づいて被測定粒子群の粒度分布に換算する、いわゆるレーザ回折/散乱式の粒度分布測定装置が知られている。このレーザ回折/散乱式の粒度分布測定装置において被測定粒子群を分散させるには、測定粒子を液体中に分散させて懸濁液とする液相法と、測定粒子を気体中に分散させてエアロゾルとする気相法とがある。
半導体産業など粉塵を嫌う産業における粉塵の測定には、投光器と受光器をガスの流れに対して直角方向に対向させて光を横断させ、粉塵による光の透過量の大小を測定して粉塵濃度と関連付けがおこなわれている。

【特許文献1】特開2006-10514号公報
【特許文献2】特開平11-264796号公報
【特許文献3】特開平9-243547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の粉塵測定は、いずれの測定方法を採用するにしても、サンプルの空気を採取して測定装置にかけるものであり、手間がかかると共に、測定装置が高価であった。
本発明は、トンネル工事現場に限らず携帯可能なデジタルカメラ等の撮影装置を使用して簡単に粉塵を測定できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、フラッシュ等によって閃光を発して空間を撮影すると、該自由空間の空気中に浮遊している微粒子は閃光を反射し、白色円形画像等の白斑が撮影されるという知見に基づきなされたものである。すなわち、本発明は、粉塵微粒子の浮遊する自由空間にカメラのレンズ近傍から閃光を発し、レンズ近傍から50mm程度の位置を照射し、同時にカメラにより浮遊する微粒子を白斑画像として撮影し、該白斑画像の数をカウントすることを特徴とする粉塵測定方法である。また、白斑画像の明るさを計測することによって微粒子の粒径を推定するものである。

【0007】
微粒子は、空間にほぼ均一に存在していると考えられ、撮影装置から一定距離内にある微粒子からの反射に基づいて白斑画像が撮影されるので、画像中の白斑画像の個数を計測することによって粉塵の濃度を推定することが可能である。白斑画像として撮影される微粒子は、カメラレンズの近傍域に存在するものであり、レンズから微粒子までの距離が大きくなると反射光がカメラに到達しないので白斑画像は撮影されず、一般的な光量のストロボを使用した撮影における限界距離はカメラのレンズから50mm程度である。
白斑画像は、オートフォーカスで撮影した場合、多くのデジタルカメラでは白色系の円形画像として撮影されるが、特定のデジタルカメラで撮影すると、図2に示すように白斑画像は、六角形の画像として撮影される。これは、デジタルカメラのCCD素子の配列の特異性によるものと考えられる。
【0008】
一眼レフカメラに外付けのストロボを装着して撮影すると、ストロボの装着位置がカメラのレンズの位置より高いため、レンズの直前の領域にはフラッシュが届かず、白斑画像は撮影されない。一方、同じ場所を内蔵ストロボを有するコンパクトカメラでフラッシュ撮影すると白斑画像が撮影されることから、ストロボはレンズの近傍に位置させ、微粒子からの反射光がレンズに入射するようにする必要がある。すなわち、本願におけるレンズと閃光を発するストロボ等の発光器の関係について、カメラのレンズの近傍とは、このようにレンズ直前特にレンズの50mm程度を照射し得る閃光を発する位置関係をいうものである。外付けのストロボを使用する場合は、レンズに装着することができるリングフラッシュを使用する。
前述のように、微粒子の反射光が画像として捉えることができるのは、レンズから約50mm以内であることから、撮影装置の焦点距離を50mm以内に設定して撮影すると、背景の映りこみがなくなり、白斑画像の識別が容易となり、個数のカウントがしやすくなる。
【0009】
撮影場所の背景が白色系であると、微粒子からの反射光に基づく白斑画像がマスキングされてしまうので、撮影時には背景を黒色とするように配慮する。
撮影装置がカラー画像用の場合は、モノクロ処理、エッジ強調処理、減色処理、反転処理などの適宜の画像処理を施して円形画像を抽出して測定の精度を向上させることが可能である。
デジタルカメラがモノクロ撮影モードを有している場合は、その機能を利用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】トンネル内に閃光を発した場合と発しない場合の撮影画像。
【図2】白斑が六角形となり撮影されるデジタルカメラの画像。
【図3】マクロモードとオートフォーカスで撮影した場合の対比画像。
【図4】トンネル内の粉塵の粒径分布図。
【図5】本発明の粉塵測定装置のブロック図。
【符号の説明】
【0011】
1 画像読取手段
2 円形画像抽出手段
3 面積算定手段
4 比較手段
5 基準値設定手段
6 カウント手段
7 表示手段
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明をトンネル内のセメント系の粉塵測定に適用した場合について説明する。
図1の右側の画像は、デジタルコンパクトカメラを使用して施工中のトンネル内を撮影したものである。デジタルカメラをオートフォーカスとし、内蔵ストロボで閃光を発して撮影した。空気中に浮遊するセメント微粒子に閃光が反射して白色の円形画像が多数、種々の大きさで撮影された。一方、図1の左側の画像は、ストロボを使用しない場合であり、微粒子からの反射光が発生しないのでストロボ使用時に出現した白色系円形画像は撮影されない。なお、図1の画像は、撮影したカラー画像をモノクロ処理し、白斑を識別しやすいように白黒反転処理をおこなったものであり、白色系円形画像は円形のグレー画像で示されている。デジタルカメラ自体にモノクロ撮影モードがある場合は、その機能を利用しても良い。
【0013】
微粒子からの反射光が撮影されるのは、微粒子がカメラのレンズの近傍であることから、デジタルコンパクトカメラをマクロモードにして撮影したのが図3(1)である。図3(2)は、同一場所をほぼ同時刻にデジタルカメラをオートフォーカスにしてストロボを使用して撮影したものであり、図3(3)はストロボを使用しないでオートフォーカスで撮影したものである。
画面の中央の奥に作業用車輌のヘッドライトと作業用の照明具から光が発せられているが、図3(1)のマクロモードにした場合は、全体的にバックが暗く撮影され、作業用車輌のヘッドライトが円形画像として撮影され、図3(2)では映りこんでいる正面と左側の作業用車輌が撮影されず、背景が黒色系であるので、微粒子の存在を示す白斑画像の識別が容易となっている。
以上のように、ストロボを使用すると、空気中に浮遊している微粒子が照射された光を反射し、この反射光が白斑として撮影される。この現象を利用することによって、撮影した画像中の白斑画像をカウントすることによってセメント微粒子粉塵の濃度を推定することが可能である。
【0014】
吹き付けコンクリートによる粉塵の粒径分布をトンネル内の粉塵を採取して調べた。トンネル内において一定の気体量を吸引し、それに含まれる粉塵をフィルターで採取してサンプルを得、電子顕微鏡で撮影して粉塵をカウントし、粒径と個数を調べた結果のグラフを図4に示す。図4の表からも明らかなように、10μmを超える粉塵は稀で多くは2μmであった。このことから、粉塵の粒径が2μm程度であっても本発明によって計測可能であるといえる。
【0015】
図5は、本発明方法に基づく粉塵測定装置の一例のブロック図である。
すなわち、本発明方法に基づき、カメラのレンズ近傍から50mm程度以内に存在する粉塵に基づき撮影したデジタル画像を記憶した記憶媒体等から画像を読取る手段1と、読み取った画像から白色系円形画像を抽出する手段2と、その抽出画像の面積を算定する手段3と、その面積を予め設定した基準範囲と比較する比較手段4と、基準範囲内の円形画像をカウントする手段6、及びカウント結果を表示する表示手段7からなるものである。基準範囲は、適宜変更することができるように基準値変更手段5が設けてある。
【0016】
読取り手段から読み取った画像から白色系円形画像の抽出を容易または見逃しを抑止して精度を高めるために、適宜の画像処理を施す。
エッジ処理をおこなって円形画像を抽出しやすくしたり、モノクロ処理、減色処理など、デジタル画像の画像処理手段を適宜採用して円形画像を抽出しやすくする。
【産業上の利用可能性】
【0017】
以上のように、本発明は、携帯型の撮影装置を使用して簡易にトンネル等の暗所内の粉塵の濃度等を測定することでき、有用なものといえる。
特に、価格が従来の粉塵測定装置に比較して格段に安価であるデジタルカメラを使用する場合は、ポケットに入れて携行することが可能であり、足場の不確かなトンネル内への持ち込みも容易であり、操作はフラッシュ撮影という単純なものであり、撮影自体は気軽におこなうことができる。
デジタルカメラによる撮影は、通常、撮影者はカメラを目の高さに保持して撮影するので、作業員が吸引する可能性が極めて高い領域の粉塵濃度を簡便に計測することができ、撮影した画像をコンピュータで簡単に解析して濃度を算出することができる。
従って、測定を頻繁におこなうことが可能であり、安価な装置で環境の悪化を即座に認識することができ、粉塵が多く、環境基準を超えたと判断された場合は、換気の強化などで環境改善を図ることができるので作業者は良好な作業環境で仕事をすることができるようになる。
図面
【図4】
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【図5】
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【図1】
2
【図2】
3
【図3】
4