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明細書 :フルオロアルキル基誘導体を含むゲル化剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5376453号 (P5376453)
登録日 平成25年10月4日(2013.10.4)
発行日 平成25年12月25日(2013.12.25)
発明の名称または考案の名称 フルオロアルキル基誘導体を含むゲル化剤
国際特許分類 C07C 317/22        (2006.01)
C09K   3/00        (2006.01)
FI C07C 317/22 CSP
C09K 3/00 103M
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2009-546206 (P2009-546206)
出願日 平成20年11月21日(2008.11.21)
国際出願番号 PCT/JP2008/071749
国際公開番号 WO2009/078268
国際公開日 平成21年6月25日(2009.6.25)
優先権出願番号 2007324705
優先日 平成19年12月17日(2007.12.17)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成23年8月5日(2011.8.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】岡本 浩明
【氏名】森田 由紀
個別代理人の代理人 【識別番号】100080609、【弁理士】、【氏名又は名称】大島 正孝
審査官 【審査官】前田 憲彦
参考文献・文献 国際公開第2007/083843(WO,A1)
特開2007-191626(JP,A)
特開平10-175901(JP,A)
特開平03-218381(JP,A)
Transactions of the Materials Research Society of Japan,2007年,32(2),p.383-386
調査した分野 C07C 317/00
C09K 3/00
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)で表される化合物。
【化1】
JP0005376453B2_000007t.gif
ここで、mは5~15の整数であり、nは1~6の整数であり、xは1~12の整数である、
【請求項2】
請求項1に記載の化合物よりなる有機液体のゲル化剤。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物の有機液体のゲル化剤としての使用。


発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、新規化合物に関する。また該化合物よりなる有機溶媒のゲル化を可能とするゲル化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池の電解質、塗料、インク、潤滑油、農業、水産、化粧品、医薬品、繊維、樹脂、高分子、ゴム、金属などの分野において有機液体類を固化するのに、低分子量もしくは高分子量の有機ゲル化剤が用いられてきた。これらの有機ゲル化剤の多くは分子内に水素結合性官能基(例えば、アミノ基、アミド基、尿素など)を持つ低分子量化合物群もしくは、三次元的なネットワーク構造を持つ高分子化合物群が知られている。後者に比べ、前者の開発は比較的遅いものの、ジアルキルウレア誘導体(特許文献1参照)、ペルフルオロアルキル誘導体(特許文献2および非特許文献1参照)が知られている。
しかし、前記化合物はゲル化可能な溶媒の種類が少なく、しかもゲルの安定性に難があり、高濃度の電解質を含む有機電解液のゲル化は、比較的大量のゲル化剤を必要とするなどに問題点があった。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開平8-231942号公報
【特許文献2】特開2007-191626号公報
【0004】

【非特許文献1】J.Fluorine Chem.111,47-58(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、多様な有機溶媒を少量の添加でゲル化もしくは固化できる新規化合物及び該化合物よりなるゲル化剤を提供することにある。
本発明の他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、下記式(1)で表される化合物により達成される。
【0007】
【化1】
JP0005376453B2_000002t.gif

【0008】
(ここで、mは5~15の整数であり、nは1~6の整数であり、xは1~12の整数である)
また、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、上記化合物よりなることを特徴とする有機液体のゲル化剤により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1で製造した本発明の化合物(1)の濃度と、ゲルからゾルに変化する温度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、下記式(1)で表される新規化合物である。

【0011】
【化2】
JP0005376453B2_000003t.gif

【0012】
(ここで、mは5~15の整数であり、nは1~6の整数であり、xは1~12の整数である)
上記式(1)の化合物は特にゲル化剤として有用である。式(1)の化合物は多くの有機溶媒、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノールなどのアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル、ジメチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等のカーボネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等のラクトン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素、アセトニトリル等のニトリル、その他の溶媒、或いはそれらの混合物及びそれらの有機溶媒にLiClO、LiPF、LiBF、或いはイオン性液体、例えば、下記化学式

【0013】
【化3】
JP0005376453B2_000004t.gif

【0014】
で表されるイオン性物質を溶解した溶媒のゲル化に有利に用いられている。その使用量は比較的少量、例えば0.5~5重量%、好適には1~3重量%程度であり、この程度の量の添加でゲル化することができる。
上記化合物の好ましい例は、上記式(1)において、mは好ましくは6~12、nは好ましくは2であり、xは好ましくは6~8である。
本発明の化合物はそれ自体公知の反応により製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳述する。
【実施例】
【0015】
実施例1
次のスキームに従って、本発明の化合物(1)を合成した。
【実施例】
【0016】
【化4】
JP0005376453B2_000005t.gif
【実施例】
【0017】
化合物(A)の合成
化合物(A)は本出願人の出願に係る特開2007-191626号公報に記載された方法により次の手順で合成した。まず、4-メルカプトフェノール1.86gのTHF(テトラヒドロフラン)溶液に1.5当量のトリエチルアミン(EtN)および1.0当量のC1021Iを加え、24時間環流した。その後1N塩酸を加えエーテルで抽出し、水(2回),食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(a)を得た(5.89g,収率59%)。
化合物(a); HNMR(CDCl3)δ=2.33(2H,m),2.99(2H,m), 4.90(1H,s),6.81(2H,d,J=8.9 Hz),7.31(2H, d, J=8.9Hz)ppm。
IR(KBr)=1151,1209,3400cm-1
【実施例】
【0018】
上の反応により得られた化合物(a)0.5gの3-ペンタノン溶液に1.0当量の1-ブロモヘキサンと1.5当量の炭酸カリウムを加え、20時間環流した。反応溶液に析出する沈殿を濾別し、濾液の溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(A)を得た(0.5g,収率76%)。
IR(KBr)=1147,1201,1244,2917cm-1
化合物(A); HNMR(270MHz,CDCl)δ=0.88(3H,t,J=6.8Hz),1.22-1.45(6H,m),1.75(2H,quin,J=6.9Hz),2.51(2H,m),2.96(2H,m),3.96(2H,t,J=6.6Hz),6.86(2H,d,J=8.9Hz),7.36(2H,d,J=8.9Hz)ppm.
上記合成を繰り返し、以下の実験に必要な量の化合物(A)を得、次の手順で本発明のゲル化剤である化合物(1)を合成した。
【実施例】
【0019】
化合物(1)の合成
化合物(A)の1.0gを氷酢酸(AcOH)溶液(70mL)に加え、これに過酸化水素水(35%)を0.5mL加え、70℃で12時間撹拌した。撹拌後室温まで放冷したのち、エーテル150mL、水200mLを加えたのち、分液漏斗に移し、水相を除いた。有機相を水100mL、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mLおよび飽和食塩水で順次洗滌した。有機相をMgSOで乾燥した。MgSOを瀘別した後、有機相の溶媒を減圧除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィにより精製し、化合物(1)を0.7g得た。
mp=126-131℃
IR(KBr Disc)ν=1092,1290,1209,2936cm-1
HNMR(CDCl)σ=0.91,(3H,t,J=6.9Hz),1.28-1.40(6H,m),1.82(2H,qui.,J=7.0Hz),2.57(2H,m),3.29(2H,t,J=8.2Hz),4.04(2H,t,J=6.6Hz),7.04(2H,d,J=8.0Hz),7.84(2H,d,J=8.0Hz)ppm。
分子量(計算値):788
実験値
EI-MSスペクトル:m/z788(M)、m/z769(M-F)、m/z705(M-C11)、m/z241(M-C1021
CI-MSスペクトル:m/z789(M+1)
【実施例】
【0020】
こうして得られた化合物(1)に有機溶媒を加え、加熱・撹拌・溶解した後、放冷し、ゲル化を目視で確認した。また、このゲルを再び加熱し、溶液(ゾル)になる温度を測定した。
有機溶媒として、エタノール、γ-ブチロラクトン、プロポレンカーボネート、シクロヘキサノン、プロピレンカーボネート(1MのLiClOを含む)を用いた場合のゾルゲル転移温度を表1に示す。また、これらの結果を図1に示す。
図1は、ゲル化剤の濃度と、ゲルからゾルに変化する温度との関係を示すグラフである。図1から明らかなとおり、本発明のゲル化剤は少量の添加で有機溶媒のゲル化ができる。
【実施例】
【0021】
【表1】
JP0005376453B2_000006t.gif
【実施例】
【0022】
本発明のフルオロアルキル誘導体のゲル化剤は、少量の添加で有機溶媒をゲル化もしくは固化できるとともに、ゲル化した物質の安定性にも優れ、安定なゲルを与える。
本発明のゲル化剤は、製造が容易で、各種電池の電解質、塗料、インク、潤滑油、農業、水産、化粧品、医薬品、繊維、樹脂、高分子、ゴム、金属などの加工分野において利用することができる。
図面
【図1】
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