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明細書 :サファイア基板の製造方法、および半導体装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5196403号 (P5196403)
公開番号 特開2010-225787 (P2010-225787A)
登録日 平成25年2月15日(2013.2.15)
発行日 平成25年5月15日(2013.5.15)
公開日 平成22年10月7日(2010.10.7)
発明の名称または考案の名称 サファイア基板の製造方法、および半導体装置
国際特許分類 C30B  33/12        (2006.01)
H01L  33/30        (2010.01)
H01L  33/22        (2010.01)
C23C  14/18        (2006.01)
C23C  14/14        (2006.01)
C23C  14/58        (2006.01)
C23C  16/02        (2006.01)
C23C  16/34        (2006.01)
H01L  21/3065      (2006.01)
FI C30B 33/12
H01L 33/00 184
H01L 33/00 172
C23C 14/18
C23C 14/14 D
C23C 14/58 A
C23C 16/02
C23C 16/34
H01L 21/302 101C
H01L 21/302 105B
請求項の数または発明の数 8
全頁数 11
出願番号 特願2009-070630 (P2009-070630)
出願日 平成21年3月23日(2009.3.23)
審査請求日 平成23年12月20日(2011.12.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】只友 一行
【氏名】岡田 成仁
個別代理人の代理人 【識別番号】100077931、【弁理士】、【氏名又は名称】前田 弘
【識別番号】100110939、【弁理士】、【氏名又は名称】竹内 宏
【識別番号】100110940、【弁理士】、【氏名又は名称】嶋田 高久
【識別番号】100113262、【弁理士】、【氏名又は名称】竹内 祐二
【識別番号】100115059、【弁理士】、【氏名又は名称】今江 克実
【識別番号】100115691、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 篤史
【識別番号】100117581、【弁理士】、【氏名又は名称】二宮 克也
【識別番号】100117710、【弁理士】、【氏名又は名称】原田 智雄
【識別番号】100121728、【弁理士】、【氏名又は名称】井関 勝守
【識別番号】100124671、【弁理士】、【氏名又は名称】関 啓
【識別番号】100131060、【弁理士】、【氏名又は名称】杉浦 靖也
審査官 【審査官】伊藤 光貴
参考文献・文献 特開2005-314121(JP,A)
特開2004-35275(JP,A)
特開平9-17975(JP,A)
特許第3595277(JP,B2)
調査した分野 C30B 1/00-35/00
C23C 14/00-14/58
C23C 16/00-16/56
H01L 33/22
H01L 33/30
H01L 21/3065
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
サファイア薄板の一面に金属を蒸着する工程Aと、
前記工程Aの後に前記サファイア薄板を熱処理して前記金属を微粒子状態とする工程Bと、
前記微粒子状態の金属をマスクとして前記サファイア薄板の前記一面をエッチングする工程Cと
を含む、サファイア基板の製造方法。
【請求項2】
前記工程Aでは、1nm以上20nm以下の厚みで前記金属を蒸着する、請求項1に記載のサファイア基板の製造方法。
【請求項3】
前記工程Cでは、前記一面に複数の凸起が形成されており、
前記複数の凸起は、前記一面のランダムな位置に設けられているとともに、底部から頂部にかけて先細の形状を有しており、
前記凸起の頂部の平面の面積は、0μm以上0.05μm以下である、請求項1または2に記載されているサファイア基板の製造方法。
【請求項4】
前記凸起の底面の長径は、100nm以上1μm以下であり、短径は50nm以上0.5μm以下であり、
前記凸起は、1×10個/cm以上5×1010個/cm以下の密度で配置されている、請求項3に記載されているサファイア基板の製造方法。
【請求項5】
前記凸起の側面は曲面である、請求項3又は4に記載されているサファイア基板の製造方法。
【請求項6】
前記凸起の高さは、100nm以上1μm以下である、請求項3から5のいずれか一つに記載されているサファイア基板の製造方法。
【請求項7】
前記サファイア薄板は、前記一面に複数の凸形状がランダムな位置に設けられており、
前記凸形状は底部から頂部にかけて先細の形状を有していて、1×10個/cm以上5×10個/cm以下の密度で配置されており、
前記凸形状の頂部の平面の面積は0よりも大きく10μm以下であり、
前記凸形状の底面の長径は1μm以上50μm以下であり、短径は100nm以上10μm以下である、請求項1または2に記載されているサファイア基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載されているサファイア基板の製造方法により製造されたサファイア基板を備え、前記一面の上に化合物半導体層が設けられている半導体装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はサファイア基板の製造方法、および半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、エネルギー変換効率が良いことや長寿命であることから種々の照明デバイスやイルミネーション、電子機器等に多く使われている。可視光線の発光が可能なLEDは、AlGaInN(以後、GaNで代表させる)あるいはAlGaInPからなるIII-V族化合物半導体材料を用いて主に作製されている。GaNは、緑色光、青色光および紫外光を発するLEDで使われる。AlGaInPは、赤色光、橙色光、および黄色光を発するLEDで使われる。
【0003】
現在コストや品質等の理由から、GaN結晶はサファイア(Al)基板の上に成長させている。しかし、サファイア基板の上に成長させたGaN層には、サファイア結晶格子とGaN結晶格子との間の格子不整合が原因でGaN結晶中に高密度の非発光再結合中心として働く貫通転位が発生し、そのため光出力(外部量子効率)および耐久寿命が減少し、またリーク電流が増加してしまうという現象が生じていた。
【0004】
さらに、青色領域の波長においてGaNの屈折率が約2.4、サファイア基板の屈折率が約1.8と、GaNとサファイア基板の屈折率差が大きいためにInGaN/GaN多重量子井戸層から発光した光のおよそ70%は、全反射の制限から多重量子井戸層を含んだGaN層に閉じ込められてGaN層中を伝搬する間に多重量子井戸層に自己吸収され、あるいは電極などに吸収され最終的に熱に変換される。すなわち、屈折率差に起因する全反射の制限のためにLEDの光取り出し効率が大幅に低下するという現象が生じている。
【0005】
このような貫通転位を減らすために、また光取り出し効率を向上させるために、サファイア基板のGaN層を成長させる面を予めエッチングして凹凸を形成し、いわゆるパターン化されたサファイア基板(PSS)を作製し、このPSSを用いてGaN層及びAlGaN層を成長させる技術が開示されている。(例えば、特許文献1)

【特許文献1】特許第3595277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているような従来のPSSは、複数本の平行溝やドーム型、円柱形、四角柱、さらには六角形の凸起が規則正しく並んだ幾何学的図形のパターンがサファイア基板の一面に設けられているものである。
【0007】
このような規則的なパターンを作製するためには通常、内部量子効率を低下させないように設計したパターンのフォトマスク、あるいは金型を作製し、高価な露光装置、あるいはナノインプリント装置を使用し多くの工程を経る必要があり、LED素子の製造コストを引き上げる要因となる。
【0008】
さらに周期的なパターンは光の取り出し効率の方向依存性を生み、LED素子からの発光の配光性に異方性を生じる。すなわち、GaN層中の光の伝搬方向にパターンの周期配列が直交する場合はLED素子の表面からの光取り出し効率が向上し、周期配列が平行の場合は通常の平坦な表面のサファイア基板と同程度の光取り出し効率となる。
【0009】
このように従来の規則的なパターンのPSSでは製造コストが大きくなる可能性があり、さらに光取り出し効率の異方性によりLED素子からの発光の配光性に異方性を生じ高効率かつ均一発光を必要とする照明や電子機器等に使用するのに支障が生じていた。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、サファイア基板上に作製したLED素子の配光性の異方性が少なく、光取り出し効率の高い半導体装置の基板となるサファイア加工基板を簡単かつ安価に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のサファイア基板の製造方法は、サファイア薄板の一面に金属を蒸着する工程Aと、前記工程Aの後に前記サファイア薄板を熱処理して前記金属を微粒子状態とする工程Bと、前記微粒子状態の金属をマスクとして前記サファイア薄板の前記一面をエッチングする工程Cとを含む構成とした。
【0012】
前記工程Aでは、前記金属の厚みを1nm以上20nm以下とすることができる。
【0013】
前記工程Cでは、前記一面に複数の凸起が形成されており、前記複数の凸起は、前記一面のランダムな位置に設けられているとともに、底部から頂部にかけて先細の形状を有しており、前記凸起の頂部の平面の面積は、0μm以上大きく0.05μm以下とすることが可能である。
【0014】
前記凸起の底面の長径は、100nm以上1μm以下であり、短径は50nm以上0.5μm以下であり、前記凸起を、1×10個/cm以上5×1010個/cm以下の密度で配置することが可能である。
【0015】
前記凸起の側面を曲面とすることが可能である。
【0016】
前記凸起の高さを100nm以上1μm以下とすることが可能である。
【0017】
前記サファイア薄板は、前記一面に複数の凸形状がランダムな位置に設けられており、前記凸形状は底部から頂部にかけて先細の形状を有していて、1×10個/cm以上5×10個/cm以下の密度で配置されており、前記凸形状の頂部の平面の面積は0よりも大きく10μm以下であり、前記凸形状の底面の長径は1μm以上50μm以下であり、短径は100nm以上10μm以下とすることが可能である。
【0018】
本発明の半導体装置は、上記のサファイア基板の製造方法により製造されたサファイア基板を備え、前記一面の上に化合物半導体層が設けられている構成である。
【発明の効果】
【0019】
少ない工程で且つ簡単・安価な方法で、サファイア基板上のランダムな位置に先細の複数の凸起を設けることができる。さらに、その基板を使うことで光取り出し効率の高い発光ダイオードを作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。
【0021】
(実施形態1)
図1に示す模式的な製造フローによって実施形態1に係るサファイア基板1の製造方法を説明する
<サファイア薄板の準備>
Alのコランダム構造の単結晶からなる円盤状のサファイア薄板100を用意した。サファイア薄板100の直径は50~300mm、厚みは0.3~3mmである。サファイア薄板100はGaN薄板に比較してコストが圧倒的に低く、Si薄板に比較して光透過性を考慮したデバイス性能が圧倒的に優れている。また後に化合物半導体を形成する際にGaN層を成長させることとなるサファイア薄板100の一面(主面)は、a面<{11-20}面>、c面<(0001)面>、m面<{1-100}面>、若しくはr面<{1-102}面>のいずれでも良く、あるいは他の面方位の結晶面であっても良い。
【0022】
<蒸着工程>
サファイア薄板100の一面(主面)に金属を蒸着して金属薄膜102を該主面に形成した(工程S1)。金属は、金属そのもののコスト及び工程のコストを考慮して選べばよいが、例えばNi、Pd等を挙げることができる。金属薄膜102の厚みは、必要とする凸起の大きさやこの後の工程の条件などによって変わってくるが、1nm以上20nm以下が好ましい。ここでは金属としてNiを用い、5nmの厚みの金属薄膜102とした。
【0023】
<熱処理工程>
金属薄膜102が載ったサファイア薄板100を真空下あるいは窒素雰囲気下で熱処理(アニール)した(工程S2)。この熱処理によって金属薄膜102は微粒子103状態になった。図2にサファイア薄板100上に微粒子103が載っている状態を示す。
【0024】
微粒子103は球あるいは半球状であることが好ましい。熱処理の条件は、金属種、金属薄膜102の厚み、形成したい微粒子103の形状・大きさなどによって調整する。金属の微粒子103の大きさは、サファイア薄板100の上から見た時に(上方よりの平面視)、径が50nm以上1μm以下であることが好ましい。微粒子103の大きさにはばらつきがある。ここでは、850℃22秒の条件でアニールし、出来上がった金属の微粒子103は大きさにばらつきがあったが、大きいもので径が約100nmの球状であった。
【0025】
<エッチング工程>
金属の微粒子103をマスクとして用いて、サファイア薄板100の主面を誘導結合プラズマ型反応性イオンエッチング(Inductive Coupled Plasma Reactive Ion Etching:ICP-RIE)によってエッチングを行った(工程S3)。エッチングの条件を調節することにより、金属の微粒子103が除去されるくらい十分にエッチングを行い、図1の最下部分に示す複数の凸起2,2,…が主面上にランダムに配置されたサファイア基板1を作製した。図3にこのサファイア基板1の斜視状態のSEM写真を示す。
【0026】
図4はこのサファイア基板1を主面の上方から見た平面図であり、図5はその断面図である。また、図8は凸起2の模式的な拡大断面図である。
【0027】
図8に示すように、サファイア基板1の主面上に形成した凸起2は、略円錐状であって側面がやや上に凸の曲面により構成されており、底部6から頂部4にかけて先細である。底部6はほぼ円形である。これは金属の微粒子103の形状に由来するものであり、金属薄膜102の厚みやアニール条件によっては底部6の形状は変化する。頂部4は十分なエッチングによって削られてほぼ平面が無くなってやや尖り形状となっている。頂部4の平面部分の面積は、0.05μmを越えるものはなく、平均でも0.001μm未満である。なお、頂部4の平面部分の面積は、断面SEM写真より、平面部分を円形と仮定して算出する。
【0028】
複数の凸起2,2,…は大きさにばらつきがあるが、その高さhは平均すると100nm以上1μm以下の範囲内にあることが好ましく、ここでは平均約300nmであった。また、底部6の直径(長径)Rは平均すると100nm以上1μm以下の範囲内にあることが好ましく、ここでは平均約300nmであった。凸起2の分布密度は、1×10個/cm以上5×1010個/cm以下の範囲内にあることが好ましく、ここでは5×10個/cmであった。凸起2の側面が曲面であることは、側面では結晶面が連続的に変化していることを意味している。
【0029】
複数の凸起2,2,…の位置は金属の微粒子103の位置と同じ位置であり、金属の微粒子103は主面3上にランダムに散らばっているので、主面3上に複数の凸起2,2,…はランダムに配置されており、凸起2,2,…同士の間の位置関係には規則性が無い。また、複数の凸起2,2,…それぞれの大きさも所定の範囲内でランダムである。従って、複数の凸起2,2,…に起因する光の反射・屈折・減衰等が互いに相互作用(例えば干渉)を起こしてもその相互作用に方向性がなく、光は全方向に均一に発せられる。そしてこれら複数の凸起2,2,…が存在しない平坦なサファイア基板を用いて半導体発光素子を作製した場合に比べて光取り出し効率が大きくなり、従って光出力が大きくなる。このことを確認するために、以下のようにこのサファイア基板1を用いて化合物半導体層を有する半導体発光素子を作製した。
【0030】
<GaN層の作製>
複数の凸起2,2,…を有するサファイア基板1の主面3上に、有機金属気相成長法(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy:MOPVE)によってGaN層を成長させた。なお、このときSiをドープすることによりn-GaNとした。図6はGaN層10の成長の初期の状態を示す模式的な断面図であり、図7はGaN層10の厚みが凸起2の高さよりも大きくなるまでGaN層10が成長した状態を示す模式的な断面図である。
【0031】
図6に示すようにGaN層10は、凸起2部分を除くサファイア基板1の主面3から成長し、凸起2の側面及び頂部4からは成長しない。凸起2の側面は特定の面方位の結晶面が露出しているのではないので、GaNの成長の始点となる核が生成しにくいのであるが、サファイア基板1の主面3は特定の面方位の結晶面が全面に露出しているので、GaNの核が生成しやすくGaN層10が成長していく。すなわち、凸起2の側面では結晶面が連続的に変化しているため、凸起2側面からのGaNの結晶成長を抑制している。凸起2の頂部4は平らな部分がほとんど無いか非常に狭いため、GaN層10が成長しない。
【0032】
図7に示すように、GaN層10が厚くなって行くに連れて、凸起2は横方向(水平方向)に成長するGaN層10によって全面が覆われる。最終的にGaN層10の厚みが凸起2の高さ以上になると、凸起2はGaN層10に覆い隠され、上面から見ると、平らなGaN層10の表面が観察されるだけとなる。
【0033】
本実施形態においては、最終的にGaN層10の厚みが6μmになるまでGaN層10を成長させた。カソードルミネッセンス(CL)によって、このGaN層10の転位密度の評価を行った。CLによって観察される暗点はGaN層10の表面に現れている貫通転位であり、従って暗点密度はほぼ転位密度である。本実施形態において観測される暗点密度は、従来のストライプ状のサファイア基板(基板表面に複数の平行な溝を形成したPSS)上に成長させたGaN層において観察される暗点密度と同程度であった。なお、次に説明する半導体発光素子を作製する場合には、GaN層10を成長させた後に、暗点観察をすることなく、連続して次の化合物半導体層を成長させる。
【0034】
<半導体発光素子の作製>
上記のサファイア基板1上のGaN層10の上に更に複数の化合物半導体層および電極を形成して、図10に示す半導体発光素子を作製した。以下にその作製について説明する。
【0035】
まずGaN層10の上に、InGaN層とGaN層とを交互に複数回成長させて多重量子井戸層12を形成した。それから多重量子井戸層12の上にMgをドープしたp-AlGaN層14を成長させ、更にその上にMgをドープしたp-GaN層16を成長させた。それからp-GaN層16の上に透明電極であるITO層18を電子ビーム蒸着法により形成した。
【0036】
次に上記の積層させた化合物半導体層の一部に対してICP-RIEを使ってエッチング加工を行うことによってGaN層10を露出させる。そして露出したGaN層10の上にTi/Al(積層構造)からなるn型電極22を電子ビーム蒸着法により形成し、ITO層18の上にTi/Alからなるp型電極21を形成して半導体発光素子を作製した。
【0037】
<半導体発光素子の特性>
上述のように作製した本実施形態の半導体発光素子(半導体装置)の発光出力を、OPTO-SYSTEM社製の自動プローブテスターWPSR3100を用いて測定した。比較のため、サファイア基板として主面がフラット(凸起を形成していない)な基板を用い、それ以外の構成・製法は本実施形態の半導体発光素子と同じ比較用発光素子を作製し、同じように発光出力を測定した。
【0038】
20mAの電流を入力させたときの比較用発光素子の発光出力を100とすると、本実施形態の半導体発光素子の発光出力は144となり、44%の出力向上を確認した。また、本実施形態の半導体発光素子は全面均一に発光していた。このように、サファイア基板1の主面3上に複数の凸起2,2,…をランダムに形成し、そのサファイア基板1上に化合物半導体層を形成して半導体発光素子を作製することにより、発光効率が向上し均一発光する半導体発光素子を得ることができた。本実施形態のサファイア基板1はフォトマスクを用いるフォトリソ工程を経ずに作製されているため、作製コスト、作製時間ともに少ないものとすることができる。
【0039】
(実施形態2)
実施形態2では、サファイア薄板が実施形態1と異なっており、それ以外の構成は実施形態1と同じであるので、実施形態1と異なっている部分を以下に説明する。なお本実施形態に係るサファイア基板1’は図11に示されている。
【0040】
本実施形態のサファイア薄板は、主面3に予め複数の凸形状2’がランダムな位置に設けられており、これらの凸形状2’は底部から頂部にかけて先細の形状を有していて、1×10個/cm以上5×10個/cm以下の密度で配置されており、凸形状2’の頂部4’の平面の面積は0よりも大きく10μm以下であり、凸形状2’の底面の長径は1μm以上50μm以下であり、短径は100nm以上10μm以下である。このサファイア薄板を使用して実施形態1と同様の工程を行って、図11に示すサファイア基板1’を得た。
【0041】
実施形態2では実施形態1と同じ効果を奏する。
【0042】
(その他の実施形態)
上記の実施形態は本発明の例示であって、本発明はこれらの例に限定されない。凸起2の形状は略円錐形状に限らず、例えば略半球形状などであっても構わない。上記の実施形態1又は2において、サファイア薄板を、特許文献1に開示されているような、複数本の平行溝やドーム型、円柱形、四角柱、さらには六角形の凸起が規則正しく並んだ幾何学的図形のパターンと併用してもよい。例えば、四角柱の形状の突起部頂上の平坦な部分の一面に上記実施形態の複数の凸起が設けられているものとしてもよい。
【0043】
凸起2の平均の高さは100nm以上1μm以下が好ましく、800nm以下がより好ましい。
【0044】
凸起2の底部6の形状は円形に限定されず、楕円形や曲線で囲まれた不定形などであってもよい。底部6の長径Rは100nm以上1μm以下が好ましい。
【0045】
凸起2の分布密度は、1×10個/cm以上5×1010個/cm以下が好ましい。1×10個/cm未満であると光取り出し効率の向上効果が小さくなり、5×1010個/cmよりも大きいと凸起間の重なりが大きくなり結晶成長に不具合が生じる可能性が大きい。
【0046】
半導体発光素子の各構成層は、公知の手法で成長させれば良い。
【0047】
サファイア基板1の主面上3に成長させる半導体層はGaN層10に限らず、AlNやInGaNなどの化合物半導体層であってもよい。
【0048】
ランダム配置の複数凸起による光取り出し効率の向上効果は、複数本の平行溝によるPSSの効果と同等であり、凸起がないときは全反射の制限でGaN層中に閉じ込められていた光を光散乱効果によりGaN層の外に(さらにLED素子の外部に)取り出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上説明したように、本発明に係るサファイア基板は、均一に且つ効率よく発光する半導体発光素子の基板となるので、照明用途等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施形態に係るサファイア基板の模式的な製造工程図である。
【図2】実施形態に係る金属微粒子が載ったサファイア薄板のSEM写真である。
【図3】実施形態に係るサファイア基板のSEM写真である。
【図4】実施形態に係るサファイア基板の模式的な平面図である。
【図5】実施形態に係るサファイア基板の模式的な拡大断面図である。
【図6】GaN層が成長初期である実施形態に係る模式的な拡大断面図である。
【図7】GaN層が凸起を埋め込んだ状態である実施形態に係る模式的な拡大断面図である。
【図8】サファイア基板上の凸起を拡大した模式断面図である。
【図9】サファイア基板上の凸起を拡大した模式平面図である。
【図10】実施形態に係る半導体発光素子の模式的な拡大断面図である。
【図11】別の実施形態に係るサファイア基板の模式的な平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1、1’ サファイア基板
2 凸起
2’ 凸形状
3 主面
4 凸起頂部
6 凸起底部
100 サファイア薄板
102 金属薄膜
103 微粒子
図面
【図1】
0
【図4】
1
【図5】
2
【図6】
3
【図7】
4
【図8】
5
【図9】
6
【図10】
7
【図11】
8
【図2】
9
【図3】
10