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明細書 :ゲル化剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5419210号 (P5419210)
公開番号 特開2010-280799 (P2010-280799A)
登録日 平成25年11月29日(2013.11.29)
発行日 平成26年2月19日(2014.2.19)
公開日 平成22年12月16日(2010.12.16)
発明の名称または考案の名称 ゲル化剤
国際特許分類 C09K   3/00        (2006.01)
FI C09K 3/00 103M
請求項の数または発明の数 2
全頁数 20
出願番号 特願2009-134774 (P2009-134774)
出願日 平成21年6月4日(2009.6.4)
審査請求日 平成24年3月13日(2012.3.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】岡本 浩明
【氏名】森田 由紀
審査官 【審査官】福永 千尋
参考文献・文献 国際公開第2007/083843(WO,A1)
国際公開第2009/078268(WO,A1)
調査した分野 C09K 3/00
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)の化合物よりなるゲル化剤
【化20】
JP0005419210B2_000025t.gif
但し、n,mはそれぞれ2~18の整数、R,Rはそれぞれ炭素数0~6の分枝又は直鎖状のアルキレン基、Rは炭素数3~18の分枝又は直鎖状のアルキレン基、Zはフェニレン基又はビフェニレン基である。
【請求項2】
前記請求項1記載のゲル化剤の0.4~5重量パーセントと定温下で液状である有機化合物99.6~95重量パーセントを含むゲル。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は有機化合物をゲル化又は増粘するためのゲル化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来各種産業分野において、液体状物質を固化、すなわちゼリー状に固めるとか、又は増粘する目的でゲル化剤が用いられている。例えば接着剤、塗料、印刷インキ、化粧品等の流動性の制御、チクソトロピー性の付与、海上への石油類の流出対策、家庭等における食用油の処分、その他食品製造業、医療分野等において使用されている。これらのゲル化剤としては、水分を固化させるもの、例えばコラーゲン、ゼラチン、寒天、アガー(カラギーナン)、ペクチン等があり、また有機物、特に炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類その他の有機溶剤及びそれらを主として含む溶液等を固化させるゲル化剤がある。
【0003】
これらのうち、有機溶液を固化させるためのゲル化剤としては、低分子量又は高分子量の有機化合物があり、低分子量ゲル化剤としては、例えばアミノ基、イミド基、尿素基など水素結合性官能基を分子内に有する低分子量有機化合物群が知られている。また高分子ゲル化剤としては、親油性を有する高分子ポリマーの絡み合った分子中に油類を取り込み膨油はするが、固体状を保つものとして例えばポリビニルアルコール/ポリエチレン/各種エラストマーや、尿素樹脂、ポリオレフィン不織布などが知られている。
【0004】
本発明は、有機溶液を固化させるための低分子量ゲル化剤を提供する。
【0005】
従来有機溶液を固化させるゲル化剤は、一般に大量のゲル化剤、例えば溶液に対して、5~10%程度用いる必要があったこと及び比較的低い温度例えば30~40℃程度でゾルに転移し、液状に戻る傾向があった。
【0006】
ゲル化させるために多くのゲル化剤を使用することは、経済的に不利であるばかりでなく、ゲル化される溶媒中への異物の混入量が多くなることを意味しており、ゲル化された溶媒を利用する場合にあっては不純物としてのゲル化剤の影響も無視し得ない場合がある。
【0007】
またゲル化温度の上限が低い場合は、少しの温度上昇により、形状が保てなくなり、流動化して液洩れ等の原因となる場合がある。
【0008】
そこで、より少量で且つ比較的高温までゲル状態が保たれるゲル化剤の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2007-191661
【特許文献2】特開2007-191627
【特許文献3】特開2007-191626
【特許文献4】特願2007-324705
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、より少量の使用で、且つ比較的高温下でもゲル状態を保持し得るゲル化剤の開発を目指し、すでに特許文献1乃至4として、パーフルオロアルキル基と炭化水素基をそれぞれ有する、特定構造のエーテル類、チオエーテル類及びスルホン類を提案した。
【0011】
これらの低分子量有機ゲル化剤にあっては比較的少量の使用で、或いは比較的高い温度下でも有機溶液をゲル状に保つことは可能となった。
【0012】
本発明は更に少量のゲル化剤の使用で、且つ高い温度例えば50~70℃においてもゲル状を保つことが可能なゲル化剤を目的として、鋭意開発を行い、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する手段として、本願の請求項1に記載の発明は、下記一般式(1)の化合物よりなるゲル化剤を提供する。
【0014】
【化1】
JP0005419210B2_000002t.gif
(但しn、mはそれぞれ2~18の整数、R、Rは、それぞれ炭素数0~6の分枝又は直鎖状のアルキレン基、Rは炭素数3~18の分枝又は直鎖状のアルキレン基、Zはフェニレン基又はビフェニレン基である。)
また本願の請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載のゲル化剤0.4~5重量パーセントと室温(20~25℃)で液状である有機化合物99.6~95重量パーセントを含むゲルを提供する。

【発明の効果】
【0015】
本発明は、新規な化合物である前記一般式(1)の化合物よりなるゲル化剤であって、本発明のゲル化剤は、室温下に液体である種々の有機化合物、例えば炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、カルボン酸類、アミン類、ニトリル類、アミド類等をゲル化又は増粘することができる。
【0016】
特に後述する実施例に示す如く、本発明のゲル化剤は、適用する有機化合物との組合せを適宜選ぶことによって1%以下の使用で、室温下で有機化合物をゲル化することも可能となり、また或る組み合わせを選択することにより80℃近くまでの温度下においてもゲルを保持することが可能となるので、産業上きわめて有用なゲル化剤である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】は、本発明におけるゲル化剤を得る中間体の1例である下記化合物AのIRスペクトルを示す図である。

【0018】
【化2】
JP0005419210B2_000003t.gif
【図2】は、化合物Aから誘導される本発明のゲル化剤の中間体1-5のIRスペクトルを示す図である。

【0019】
【化3】
JP0005419210B2_000004t.gif
【図3】は、本発明のゲル化剤の一つである下記化合物2-5のIRスペクトルを示す図である。

【0020】
【化4】
JP0005419210B2_000005t.gif
【図4】は、本発明の別のゲル化剤の中間体である下記化合物1-6のIRスペクトルを示す図である。

【0021】
【化5】
JP0005419210B2_000006t.gif
【図5】は、中間体1-6から誘導される本発明の別のゲル化剤である下記化合物2-6のIRスペクトルを示す図である。

【0022】
【化6】
JP0005419210B2_000007t.gif
【図6】は、本発明の別のゲル化剤を得るための中間体である下記化合物1-10のIRスペクトルを示す図である。

【0023】
【化7】
JP0005419210B2_000008t.gif
【図7】は化合物1-10から誘導される本発明の別のゲル化剤である下記化合物2-10のIRスペクトルを示す図である。

【0024】
【化8】
JP0005419210B2_000009t.gif
【図8】は、化合物AのNMRスペクトルを示す図である。
【図9】は、化合物1-5のNMRスペクトルを示す図である。
【図10】は、化合物2-5のNMRスペクトルを示す図である。
【図11】は、化合物1-6のNMRスペクトルを示す図である。
【図12】は、化合物2-6のNMRスペクトルを示す図である。
【図13】は、化合物1-10のNMRスペクトルを示す図である。
【図14】は、化合物2-10のNMRスペクトルを示す図である。
【図15】は、化合物2-5の濃度とゾル-ゲル転移温度の関係を示すグラフである。
【図16】は、化合物2-6の濃度とゾル-ゲル転移温度の関係を示すグラフである。
【図17】は、化合物2-10の濃度とゾル-ゲル転移温度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、下記一般式(1)で示される新規化合物よりなるゲル化剤である。

【0026】
【化9】
JP0005419210B2_000010t.gif
ここで、n及びmは、同じでも異なっていてもよい。それぞれ2~18の整数、好ましくは4~8の整数である。該数がそれぞれ8よりも大きくなると合成が難しくなり、しかも環境面で懸念の恐れがある。また2より小さくすることは、ゲル化能を減ずる。

【0027】
及びRは、同種又は異種の炭素数0~6のアルキレン基であり、それらは枝分かれしてもよいし、また直鎖状であってもよい。更になくてもよい。好ましくはエテン基又はプロペン基である。

【0028】
は炭素数3~18の枝分かれしていてもよいし、直鎖状であってもよいアルキレン基であり、該炭素数が3より短い場合はゲル化し難いし、また18より大きい場合はゲル化は行われるが合成上難しい。好ましく4~12のアルキレン基である。

【0029】
またZは、フェニレン基又はビフェニレン基であり、場合によっては置換基が存在していてもよい。一般にビフェニレン基である場合、より少量のゲル化剤でゲル化し得る傾向にあるが、中間体が容易に入手し得る等の理由から、フェニレン基が有利に使用することができる。
本発明のゲル化剤の特徴は、比較的長い分子であって、2個のエーテル結合を持っていること及び2個のスルホン基を持っている点である。かかる分子構造において、前者は化合物内の回転の自由度を増し、分子に柔軟性を与え、スルホン基の部分の水素結合性により、分子間にゆるやかな結合を生じ、液晶に見られるような針状の分子塊を形成し集合体となり、その間に液体状有機化合物が存在することにより、ゲル化するものではないかと推測される。
すなわち、本発明のゲル化剤は、従来知られている多くのゲル化剤とは異なるゲル化機構による可能性も強い。
本発明のゲル化剤は、図15~17に示すように、ゲル化剤の使用量、ゲル化する有機化合物の種類によってゾル-ゲル転移温度は、著しく変化する。従って、当業者が実際に使用する場合は、あらかじめ予備的にテストし、ゲル化しようとする液体有機化合物と使用するゲル化剤及びその使用量を決定すべきである。

【0030】
本発明のゲル化剤の製法は何ら限定されるものでないが、一般に次のスキームによって合成することができる。

【0031】
すなわち、すでに市販されている下記化合物(I)より化合物(II)を合成する。

【0032】
【化10】
JP0005419210B2_000011t.gif
勿論(I)は、4-ヒドロキシ-4´-メルカプトビフェニルであってもよい。以下フェニルとして示す。次いで、(II)を次のとおり、2量化して、化合物(III)を得る。

【0033】
【化11】
JP0005419210B2_000012t.gif
この場合、(II)について、左右のパーフルオロアルキル基の炭素数を変えnからmにすることもまたRをRに変更することは任意にできるが、確率的に両者が1対1で反応するとは限らないため、化10に示すように同じ化合物(II)を用いるのが好ましい。

【0034】
ここで、(III)の化合物はゲル化能を有するが更に次の反応式に示すように、チオエーテル部分を酸化し、スルホン化することにより、化合物(IV)として本発明のゲル化剤を得る。


【0035】
【化12】
JP0005419210B2_000013t.gif
本発明のゲル化剤の使用にあたっては、従来のゲル化剤の使用方法と何ら変わるものではなく、例えばゲル化対象物である液体状の有機化合物をゾルーゲル転移温度以上に加温して、ゲル化剤を均一に混合溶解した後、放冷等により冷却すればゲルが得られる。勿論液体状有機化合物は一種であることを要せず、複数種の混合物であってもよいし、溶質を溶解した溶液であってもよい。また使用済の食油のように多くの分解成分やテンプラ滓等の食材残滓を含んだもの或いは、機械洗浄後の廃油の如く、鉄サビや泥等を含んだものであってもよい。

【0036】
本発明のゲル化剤は、一般に1~5重量パーセント使用すればよいが、場合によっては0.4重量パーセントでも十分の場合もある。勿論、10重量パーセントの如く多量に用いることも何等指しつかえない。使用に当たっては、目的とするゲルの状態における温度や強度を勘案して、あらかじめテストを行い本発明のゲル化剤の中から最適の化合物及び使用量を選定すべきであり、当業者が極めて簡単な予備テストによってそれらを決定し得るものである。

【0037】
以下に実施例を示すが本発明は、これらに限定されるものではない。

〔合成例1〕

【0038】
化合物Aの合成

【0039】
【化13】
JP0005419210B2_000014t.gif
2-(perfluorohexyl)ethyl iodide(25.20g 0.0532mol)、4-Hydroxy thiophenol(6.74g 0.0534mol)、炭酸カリウム(8.74g 0.632mol)、アセトン(100ml程度)を200mlのナスフラスコに入れ、6日間還流した。ひだおり濾過後、エバポレーターで溶媒をとばし、クロロホルムで再結晶した。再び、ひだおり濾過後にエバポレーターで溶媒をとばした。エタノールを加え、加熱して溶かした後、水を加えて氷水で冷やすと固体が析出し、吸引濾過を行った。

性状:白色粉末

収量:14.06g (56.5%)

融点:63.4~68.2℃

IR(KBr):1141.9cm-1(C-O),1186.2,1211.3,1236.4cm-1(C-F),3446.8cm-1(O-H)(図1参照)

H NMR(CDCl):d=2.33(2H,tt,J=18.8,8.0Hz),2.99(2H,tt,J=8.0,4.0Hz),3.56(1H,brs,OH),6.82(2H,d,J=8.6Hz),7.34(2H,d,J=8.6Hz)ppm.(図8参照)

〔合成例2〕

【0040】
化合物1-5の合成

【0041】
【化14】
JP0005419210B2_000015t.gif
ペルフルオロフェノール(化合物A)(5.03g 0.0107mol)、1,5-Dibromopentane(1.48g 0.00644mol)、炭酸カリウム(2.26g 0.0164mol)、3-ペンタノン(100ml)を100mlのナスフラスコに入れ、6日間還流した。水を加えて分液を行い、その後食塩水を加えて分液を行った。濃縮後、エタノールを加えて加熱し、固体を溶かした。放冷すると白色の結晶が析出したので吸引濾過を行った。

性状:白色粉末

収量:3.64g(67.2%)

融点:55~57℃

IR(KBr):1141.9cm-1(C-O),1180.4,1190.1,1209.4,1244.1cm-1(C-F),2870.1,2937.6cm-1(C-H)(図2参照)

H NMR(CDCl):d=1.67(2H,quin,J=7.5Hz),1.87(4H,quin,J=7.5Hz),2.23-2.43(4H, m),2.99(4H,m),3.99(4H,t,J=7.5Hz),6.87(4H,d,J=8.5Hz),7.37(4H,d,J=8.5Hz)ppm.(図9参照)


〔合成例3〕

【0042】
化合物2-5の合成

【0043】
【化15】
JP0005419210B2_000016t.gif
二量体(3.64g 0.00359mol)、H(0.722ml 35パーセント 0.0212mol)、氷酢酸(15ml)を100mlのナスフラスコに入れ、70℃のオイルバスで一晩攪拌した。エーテルと水を加えると固体が析出したので、水層を除いた後、吸引濾過を行った。

NMRを測定した結果、試料の主成分は二量体スルフィドだったので、再び同様の反応を行った。

【0044】
二量体スルフィド(1.04g 0.000996mol)、H(0.198g 35パーセント 0.00582mol)、氷酢酸(5ml)を100mlのナスフラスコに入れ、70℃のオイルバスで5日間攪拌した。エーテルと水を加えると固体が析出したので、水層を除いた後、吸引濾過を行った。その後、クロロホルムで吸引濾過し、濾液をエバポレーターで濃縮した。

性状:白色粉末

収量:0.78g(72.9%)

融点:154~158℃

IR(KBr):1147.7cm-1(C-O),1188.2,1230.6,1267.2cm-1(C-F),2866.2,2941.4cm-1(C-H)(図3参照)

H NMR(CDCl):d=1.70(2H,quin,J=7.5Hz),1.93(4H,quin,J=7.5Hz),2.48-2.67(4H,m),3.28(4H,m),4.10(4H,t,J=7.5Hz),7.05(4H,d,J=8.9Hz),7.86(4H,d,J=8.9Hz)ppm.(図10参照)


〔合成例4〕

【0045】
化合物1-6の合成

【0046】
【化16】
JP0005419210B2_000017t.gif
ペルフルオロフェノール(5.06g 0.0107mol)、1,6-Dibromohexane(1.33g 0.00545mol)、炭酸カリウム(2.28g 0.0165mol)、3-ペンタノン(50ml)を100mlのナスフラスコに入れ、3日間還流した。水を加えて分液を行い、その後食塩水を加えて分液を行った。固体が析出したので、濁った水層を除き、吸引濾過を行った。

性状:白色粉末

収量:3.94g(70.4%)

融点:75~83℃

IR(KBr):1141.9cm-1(C-O),1180.4,1211.3,1246.0cm-1(C-F),2941.4cm-1(C-H)(図4参照)

H NMR (CDCl):d=1.55(4H,quin,J=7.0Hz),1.82(4H,quin,J=7.0Hz),2.23-2.47(4H,m),3.01(4H,m),3.97(4H,t,=7.0Hz),6.86(4H,d,J=8.6Hz),7.37(4H,d,J=8.6Hz)ppm(図11参照)


〔合成例5〕

【0047】
化合物2-6の合成

【0048】
【化17】
JP0005419210B2_000018t.gif
二量体(1.00g 0.000974mol)、H(0.1ml 35パーセント 0.00288mol)、氷酢酸(5ml)を100mlのナスフラスコに入れ、7日間70℃のオイルバスで攪拌した。エーテルと水を加えると固体が析出したので、水層を除いた後、吸引濾過を行った。その後、クロロホルムで吸引濾過し、濾液をエバポレーターで濃縮。

性状:白色粉末

収量:0.16g(15.1%)

融点:143~147℃

IR(KBr):1139.9,1151.5cm-1(C-O),1193.9,1211.3,1234.4,1253.7cm-1(C-F),2939.5cm-1(C-H)(図5参照)

H NMR(CDCl):d=1.56-1.70(4H,m),1.80-1.90(4H,m),2.45-2.63(4H,m),3.27-3.33(4H,m),4.07(4H,t,=6.5Hz),7.04(4H,d,J=8.9Hz),7.85(4H,d,J=8.9Hz)ppm.(図12参照)


〔合成例6〕

【0049】
化合物1-10の合成

【0050】
【化18】
JP0005419210B2_000019t.gif
ペルフルオロフェノール(5.03g 0.0107mol)、1,10-Dibromodecane(1.61g 0.00537mol)、炭酸カリウム(2.30g 0.0166mol)、3-ペンタノン(50ml)を100mlのナスフラスコに入れ、3日間還流した。水を加えて分液すると固体が析出したので、濁った水層を除き、吸引濾過を行った。

性状:白色粉末

収量:5.13g(88.3%)

融点:75.0~80.0℃

IR(KBr):1141.9cm-1(C-O),1180.4,1192.0,1211.3,1246.0cm-1(C-F),2850.8,2918.3,2939.5cm-1(C-H)(図6参照)

H NMR(CDCl):d=1.33-1.43(12H,m),1.78(4H,qui,J=6.6Hz),2.33(4H,tt,J=17.3,8.0Hz),2.99(4H,tt,J=8.0,4.0Hz),3.94(4H,t,J=6.6Hz),6.86(4H,d,J=8.6Hz),7.36(4H,d,J=8.6Hz)ppm.(図13参照)


〔合成例7〕

【0051】
化合物2-10の合成


【0052】
【化19】
JP0005419210B2_000020t.gif
二量体_化合物1-10(2.00g 1.85mmol)、H(0.9ml 35% 9.3mol)、氷酢酸(10ml)を100mlのナスフラスコに入れ、7日間70℃のオイルバスで攪拌した。エーテルと水を加えると固体が析出したので、水層を除いた後、吸引濾過を行った。その後、クロロホルムで吸引濾過し、濾液をエバポレーターで濃縮。
性状:白色粉末

収量1.5g (70.7%)

融点:156~157℃

IR(KB):1211.3cm-1,1292.3cm-1,1321.2cm-1,1599.0,2918.3cm-1,2937.6cm-1(図7参照)
H NMR(CDCl):δ=1.25-1.60(12H,m)、1.79-1.86(4H,m),2.56-2.60(4H,m),3.27-3.31(4H,m),4.04(4H,t,J=6.5Hz),7.04(4H,d,J=8.9Hz),7.84(4H,d,J=8.9Hz)ppm(図13参照)

分子量(計算値):1146
実験値
M/Z=1147(M+H)
【実施例1】
【0053】
最低ゲル化濃度の測定

最低ゲル化濃度の測定は次のように行った。
[1]化合物をサンプル管に量り取る。
[2]各種溶媒を加える。
[3]加熱し化合物を溶解させる。
[4]放冷し室温でゲル化を確認する。
[5]ゲル化していれば再び溶媒を加え濃度を下げていく。
[6][3]~[6]を繰り返す

最低ゲル化濃度の結果を表1に示した。

【実施例1】
【0054】
【表1】
JP0005419210B2_000021t.gif
化合物2-5,2-6,2-10の各種有機溶媒における最低ゲル化濃度を表1にまとめた。(但し、1-6は比較的)
値が小さいほど、少量の添加により有機ゲルを形成していることを示しており、ゲル化能が高いことを表す。
【実施例1】
【0055】
P13 TFSIやPC,GBLなどの溶媒において、大幅に最低ゲル化濃度は低くなっており、炭素鎖伸長に伴い、ゲル化能が上昇することがわかった。一方、スルホン化した化合物2-5,2-6,2-10を比較すると、中央の炭素数に関わらず最低ゲル化濃度はほぼ同じ値となった。また、化合物1-6と化合物2-6を比較すると、スルホン化した化合物2-6の方がゲル化能は高くなった。

【実施例2】
【0056】
ゾル-ゲル転移温度の測定

ゾル-ゲル転移温度の測定は次のように行った。
[1]化合物をサンプル管に量り取る。
[2]各種溶媒を加え、濃度を10wt%付近に調整する。
[3]加熱し化合物を溶解させる。
[4]放冷し室温でゲル化させる。
[5]リボンヒーターで加熱し、ゾル状態になる温度を確認する。
[6]再び溶媒を加え、濃度を徐々に下げていき、同様にしてゾル状態になる温度を確認する。

化合物2-5,2-6,2-10をP13 TFSI,PC,GBL,1-Octanol溶媒中で測定した。

各化合物について、化合物2-5にあっては、PC,GBLではゾル-ゲル転移温度は濃度に対してあまり変化が見られなかったが、P13 TFSIでは5wt%,1-Octanolでは7wt%で急激にゾル-ゲル転移温度は変化した。
【実施例2】
【0057】
化合物2-6にあっては、P13 TFSI,PC,GBLのゾル-ゲル転移温度は6wt%以上でほぼ同じ値であったが、1-Octanolのゾル-ゲル転移温度は他の溶媒に比べ低くなった。
【実施例2】
【0058】
化合物2-10にあっては、ゾル-ゲル転移温度はP13 TFSIをゲル化したものが最も高くなった。
【実施例2】
【0059】
なお結果は図15~17にそれぞれグラフを示す。
【実施例3】
【0060】
各種油類のゲル化例
実施例1と同様にして、サラダ油、東芝シリコーン社製シリコンオイル(TSF483)(メチルハイドロジェンポリシロキサン-ジメチルポリシロキサン共重合体)及び松村石油株式会社製石油ネオバックMR-200(商標)(物性値:ISO粘度グレード68、密度0.883g/cm at 15℃)について、それぞれゲル化状況を表2~4に示す。

【実施例3】
【0061】
【表2】
JP0005419210B2_000022t.gif
【実施例3】
【0062】
【表3】
JP0005419210B2_000023t.gif
【実施例3】
【0063】
【表4】
JP0005419210B2_000024t.gif

【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明のゲル化剤は、接着剤、塗料、印刷インキ、化粧品分野における流動性の制御、チクソトロピー性の付与、海上での石油流出時の回収、家庭等における廃食用油の処理、医療分野等、各種産業分野において、液体状有機化合物を固化し又は増粘する分野に適用することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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