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明細書 :アシスト機能を備えた風力発電装置およびその制御方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-133002 (P2016-133002A)
公開日 平成28年7月25日(2016.7.25)
発明の名称または考案の名称 アシスト機能を備えた風力発電装置およびその制御方法
国際特許分類 F03D   7/00        (2006.01)
F03D   9/11        (2016.01)
F03D  80/00        (2016.01)
H02P   9/00        (2006.01)
H02J   3/38        (2006.01)
H02J   3/32        (2006.01)
FI F03D 7/00
F03D 9/02 B
F03D 11/02
H02P 9/00 F
H02J 3/38 160
H02J 3/32
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2015-006276 (P2015-006276)
出願日 平成27年1月16日(2015.1.16)
発明者または考案者 【氏名】石原田 秀一
【氏名】谷口 慶一郎
出願人 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
【識別番号】515014989
【氏名又は名称】株式会社S-style
個別代理人の代理人 【識別番号】100133271、【弁理士】、【氏名又は名称】東 和博
審査請求 未請求
テーマコード 3H178
5G066
5H590
Fターム 3H178AA02
3H178AA12
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB02
3H178BB04
3H178BB22
3H178BB31
3H178DD04Z
3H178DD12Z
3H178DD22X
3H178DD51X
3H178DD52Z
3H178DD54X
3H178EE02
3H178EE05
3H178EE08
3H178EE23
3H178EE25
3H178EE28
3H178EE29
5G066HB04
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
5H590AA02
5H590CA14
5H590CC01
5H590CC08
5H590CD03
5H590CE01
5H590CE05
5H590EB07
5H590FA08
5H590GA06
5H590GA09
5H590HA02
5H590HA12
5H590HA27
要約 【課題】商用電力系統への非連系時間帯に発電された電気を利用して、商用電力系統への連系時間帯に安定した発電出力が得られ、また、発電効率を高めることが可能な風力発電装置とその制御方法を提供する。
【解決手段】土台100上に支持された風車200と、風車の回転により発電を行う発電機300と、パワーコンディショナー400と、蓄電池500と、回転アシスト部600と、制御ユニット700を備える。制御ユニット700は、商用電力系統への非連系時間帯に蓄電池500に蓄電された電気に基づき、風速が風車200を回転起動させる風速未満であるとき回転アシスト部を作動させ、風車200を回転起動させる。また、供給電圧がパワーコンディショナー400の動作下限電圧未満であるとき、定格電圧未満であるとき、蓄電された電気をパワーコンディショナー400に補充的に供給する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
土地または建物に設置される架台と、当該架台上に回転軸を介して回転可能に支持された風車と、当該風車の回転により発電を行う発電手段と、当該発電手段に接続されたパワーコンディショナーと、前記発電手段に接続された蓄電手段と、前記風車の回転をアシストする回転アシスト手段と、商用電力系統への連系時間帯の風速が前記風車を回転起動させる風速未満であるとき、商用電力系統への非連系時間帯に蓄電手段に蓄電された電気に基づき、前記風車を回転起動させるように前記回転アシスト手段を作動させる制御手段を備える、ことを特徴とする風力発電装置。
【請求項2】
前記制御手段が、前記回転アシスト手段に対する回転アシスト制御部と、前記蓄電手段に蓄電された電気に基づき、前記パワーコンディショナーに対する電力アシストを行う電力アシスト制御部を備えることを特徴とする請求項1記載の風力発電装置。
【請求項3】
土地または建物に設置される架台と、当該架台上に回転軸を介して回転可能に支持された風車と、当該風車の回転により発電を行う発電手段と、当該発電手段に接続されたパワーコンディショナーと、前記発電手段に接続された蓄電手段と、前記風車の回転をアシストする回転アシスト手段と、制御手段を備える風力発電装置の制御方法であって、
商用電力系統への非連系時間帯に発電された電気を前記蓄電手段に蓄電しておき、
商用電力系統への連系時間帯の風速が前記風車を回転起動させる風速未満であるとき、前記蓄電手段に蓄電された電気に基づき、前記制御手段により、前記風車を回転起動させるように前記回転アシスト手段を作動させることを特徴とする風力発電装置の制御方法。
【請求項4】
風車の回転起動後の、発電手段からパワーコンディショナーへの供給電圧が当該パワーコンディショナーの動作下限電圧未満であるとき、前記制御手段により、前記蓄電手段に蓄電された電気を、前記パワーコンディショナーへの供給電圧が前記動作下限電圧以上になるように、補助的に供給することを特徴とする請求項3記載の風力発電装置の制御方法。
【請求項5】
風車の回転起動後の、発電手段からパワーコンディショナーへの供給電圧が当該パワーコンディショナーの定格電圧未満であるとき、前記蓄電手段に蓄電された電気を、前記パワーコンディショナーへの供給電圧が前記定格電圧を維持するように補助的に供給することを特徴とする請求項3または請求項4記載の風力発電装置の制御方法。
【請求項6】
商用電力系統への連系時間帯であるときは、前記制御手段により、前記発電手段により発電された電気を前記パワーコンディショナー側へ、それ以外の時間帯であるときは前記蓄電手段側へ、それぞれ切り替えて供給することを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の風力発電装置の制御方法。
【請求項7】
発電手段からパワーコンディショナーへの供給電圧が当該パワーコンディショナーの動作上限電圧または設定上限電圧を超えるとき、前記制御手段により、余剰電気を前記蓄電手段に分配して蓄電することを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれか一項に記載の風力発電装置の制御方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置、特に風車の回転やパワーコンディショナーの動作に対するアシスト機能を備えた風力発電装置とその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギー分野において、太陽光、地熱、水力、バイオマス等と並び、風力を利用した風力発電が注目を集めている。風力発電は風力という自然エネルギーがほぼ無尽蔵に得られ、二酸化炭素等の温暖化ガスが発生しない等の利点がある反面、風が常に変化して風向きや風速が絶えず変動するため、安定した発電出力が得にくいという課題もある。
【0003】
このため、従来より、風力発電手段により発電した電力を貯蔵する貯蔵手段と、貯蔵した電力を利用して低風速時に風車が回転するように補助駆動する回転補助駆動手段を備えた風力発電装置(特許文献1~2)や、簡易なシステム構成で発電抵抗を減らすことにより風力発電の効率を従来よりも大きくした風力発電とその制御方式(特許文献3)、太陽光と風力を利用したハイブリッド型の発電装置(特許文献4~5)の各提案がなされている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2008-25432号公報
【特許文献2】特開2008-25433号公報
【特許文献3】特開2002-276537号公報
【特許文献4】特開2008-11589号公報
【特許文献5】特開2008-11590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1~2の風力発電装置は、低風速時に風車が回転するように補助駆動制御するに留まり、上記特許文献3の風力発電は、全体システムの構成と運用制御が複雑になりがちであり、上記特許文献4~5の発電装置は、太陽光発電による電力を風車の回転アシストに利用するに留まっている。
【0006】
一方、商用電力における再生可能エネルギーの系統連系においては、昼間の日照時間帯に太陽光発電設備と連系する場合、当該時間帯の電力の需給バランスおよび送電網の容量制限等の理由から、他の発電設備に対しては連系できない時間帯が発生する。このため、当該時間帯に風力発電により発電した電気は廃棄され、有効活用する手段がこれまで提案されていなかった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、商用電力系統への非連系時間帯に発電された電気を利用して、商用電力系統への連系時間帯に安定した発電出力が得られ、また、発電効率を高めることが可能な風力発電装置とその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る風力発電装置は、
土地または建物に設置される架台と、当該架台上に回転軸を介して回転可能に支持された風車と、当該風車の回転により発電を行う発電手段と、当該発電手段に接続されたパワーコンディショナーと、前記発電手段に接続された蓄電手段と、前記風車の回転をアシストする回転アシスト手段と、商用電力系統への連系時間帯の風速が前記風車を回転起動させる風速未満であるとき、商用電力系統への非連系時間帯に蓄電手段に蓄電された電気に基づき、前記風車を回転起動させるように前記回転アシスト手段を作動させる制御手段を備える、ことを主要な特徴とする。
【0009】
なお、商用電力系統への非連系時間帯とは、本発明に係る風力発電装置が商用電力系統に接続されていない状態の時間帯を指し、風力発電装置により発電された電気の商用電力系統への送電が禁止されている指定の時間帯の他、商用電力系統への送電が認められている時間帯であっても発電者側が送電することなく蓄電手段に蓄電を行う任意の時間帯も含まれる。
【0010】
本発明に係る風力発電装置は、前記制御手段が、前記回転アシスト手段に対する回転アシスト制御部と、前記蓄電手段に蓄電された電気に基づき、前記パワーコンディショナーに対する電力アシストを行う電力アシスト制御部を備えることを第2の特徴とする。
【0011】
本発明に係る風力発電装置の制御方法は、
土地または建物に設置される架台と、当該架台上に回転軸を介して回転可能に支持された風車と、当該風車の回転により発電を行う発電手段と、当該発電手段に接続されたパワーコンディショナーと、前記発電手段に接続された蓄電手段と、前記風車の回転をアシストする回転アシスト手段と、制御手段を備える風力発電装置の制御方法であって、
商用電力系統への非連系時間帯に発電された電気を前記蓄電手段に蓄電しておき、
商用電力系統への連系時間帯の風速が前記風車を回転起動させる風速未満であるとき、前記蓄電手段に蓄電された電気に基づき、前記制御手段により、前記風車を回転起動させるように前記回転アシスト手段を作動させることを主要な特徴とする。
【0012】
本発明に係る風力発電装置の制御方法は、
風車の回転起動後の、発電手段からパワーコンディショナーへの供給電圧が当該パワーコンディショナーの動作下限電圧未満であるとき、前記制御手段により、前記蓄電手段に蓄電された電気を、前記パワーコンディショナーへの供給電圧が前記動作下限電圧以上になるように、補助的に供給することを第2の特徴とする。
【0013】
本発明に係る風力発電装置の制御方法は、
風車の回転起動後の、発電手段からパワーコンディショナーへの供給電圧が当該パワーコンディショナーの定格電圧未満であるとき、前記制御手段により、前記蓄電手段に蓄電された電気を、前記パワーコンディショナーへの供給電圧が前記定格電圧を維持するように、補助的に供給することを第3の特徴とする。
【0014】
本発明に係る風力発電装置の制御方法は、
商用電力系統への連系時間帯であるときは、前記制御手段により、前記発電手段により発電された電気を前記パワーコンディショナー側へ、それ以外の時間帯であるときは前記蓄電手段側へ、それぞれ切り替えて供給することを第4の特徴とする。
【0015】
本発明に係る風力発電装置の制御方法は、
発電手段からパワーコンディショナーへの供給電圧が当該パワーコンディショナーの動作上限電圧または設定上限電圧を超えるとき、前記制御手段により、余剰電気を前記蓄電手段に分配して蓄電することを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によると、商用電力系統への連系時間帯に発電された電気はそのままパワーコンディショナーに供給し、風速が風車の回転起動に足らないときは、商用電力系統への非連系時間帯に蓄電手段に蓄電した電気に基づき回転アシスト手段を作動させて風車を常時回転させ、風速の変動にかかわらず、安定した発電出力を得ると共に、風力発電の発電効率を向上させることができる。
【0017】
また、本発明によると、パワーコンディショナーへの供給電圧がパワーコンディショナーの動作下限電圧に満たないときやパワーコンディショナーの定格電圧に至らないときは、蓄電手段に蓄電された電気をパワーコンディショナーに直接供給することで、風力の不安定な風力発電にあっても、パワーコンディショナーの動作を安定させ、定格出力運転を安定して行うことができ、これにより収益性の高い風力発電装置を実現することができる。
【0018】
さらに、本発明によると、昼間の太陽光発電設備が稼動する時間帯に蓄電しておき、蓄電された電気に基づき、太陽光発電設備が稼働しない夜間等の時間帯に風力発電を安定して稼動できるから、昼間の太陽光発電設備と夜間の風力発電設備を併用することで、商用電力系統への常時安定した系統連系を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る風力発電装置の全体構成例を示す図、
【図2】図1に示す風力発電装置の回転アシスト部の構造を示す図、
【図3】図1に示す風力発電装置の制御ユニットの構成を示す図、
【図4】従来の風力発電装置による時間毎の発電出力例を示す図、
【図5】本発明に係る風力発電装置による時間毎の発電出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。

【0021】
図1に示すように、風力発電装置Sは、一例として一定の風力が期待できる土地G(例えば、高台、斜面、風が通過する山間や平地など)に設置される。当該風力発電装置Sは、土台(支持部)100と、風車200と、発電機300と、パワーコンディショナー400と、蓄電池500と、回転アシスト部600と、制御ユニット700を備えている。なお、パワーコンディショナー400には商用電力用の送電網800が接続されている。

【0022】
風車200は、本実施形態では垂直軸型風車、すなわち風向きに依存しない全方位型の風車が採用されており、風車本体210に垂直回転軸220と複数の重り230を備えている。前記垂直回転軸220は土地Gに設置された土台100に回転自在に支持されており、全方位からの風力エネルギを風車本体210が回転エネルギに変換し、垂直回転軸220を回転させるようになっている。本実施形態の風車200は、低速(1.0~1.5m/S)の風力で回転起動する。

【0023】
発電機300は、風車200の垂直回転軸220に接続されており、同垂直回転軸220と発電機300の間には、垂直回転軸220の回転数を増速させる増速歯車装置(図示せず)が介在されている。したがって、発電機300は増速された回転数による発電を行う。発電機300には通常、交流発電機(誘導発電機、同期発電機)が用いられる。交流発電機のうち、誘導発電機は構造が簡単で低コストである。一方、同期発電機は電圧制御が可能で、系統連系への影響が殆どなく、また、独立運転も可能とされている。

【0024】
パワーコンディショナー400は、発電機300に接続されており、発電機300により発電された電気を商用電力系統に系統連系するにあたり、直流電力を交流電力に変換する。本実施形態のパワーコンディショナー400は、一定範囲(例:50V~450V)の入力電圧で動作し、定格電圧(例:350V)の入力で定格出力し、最も効率よい出力運転を行う。

【0025】
上記パワーコンディショナー400は、発電機300からの入力電圧が動作下限電圧(上記例:50V)を下回ると動作せず、また、強風時など動作上限電圧(上記例:450V)を上回ると動作しない。さらに、入力電圧が動作上限電圧以内であっても、電力会社により設定された上限電圧を超える場合は、出力抑制機能が働くようになっている。

【0026】
蓄電池500は、通常の鉛蓄電池やアルカリ蓄電池等が用いられるが、本実施形態の場合、風車200の発電容量に応じて1~複数台(直列または並列接続)の蓄電池が用いられる。同蓄電池500には、風車200の回転により発電機300で発電された電気が、商用電力の系統に連系していない時間帯(以下、非連系時間帯という)に蓄電されるようになっている。

【0027】
また、蓄電池500には、商用電力の系統に連系する時間帯(以下、連系時間帯という)であっても、強風時等に余剰電力(パワーコンディショナー400の動作上限電圧や設定された上限電圧を超える余剰電力)が生じると、パワーコンディショナー400の手前に配置された分配器310により余剰電力が蓄電池500側へ分配され、蓄電されるようになっている。

【0028】
回転アシスト部600は、蓄電池500に蓄電された電気に基づき、風車200の回転をアシストするもので、風速が風車200を回転起動させる風速に達しないとき、制御ユニット700からの制御信号により、風車200の回転起動をアシストする。

【0029】
図2は回転アシスト部600の構成例を示している。同図に示すように回転アシスト部600は、ケース610内に、蓄電池500を動力源とするアシスト用モータ620と、風車200の垂直回転軸220に固定されたラチェット機構付き歯車630と、前記アシスト用モータ620の出力軸621に連結された歯車622と前記歯車630の間に設けられた歯車又はベルト等からなる動力伝達機構640を備えている。

【0030】
制御ユニット700は、風力発電装置S全体を制御すると共に、タイマー制御部710と、回転アシスト部600に対する回転アシスト制御部720と、パワーコンディショナー400に対する電力アシスト制御部730を備えている。制御部ユニット700による各制御の内容については後述する。なお、風車200の近傍に風速を測定する風速センサー741、風車200の垂直回転軸220に風車200の回転数を測定する回転数センサー742、パワーコンディショナー400の手前に供給電圧を測定する電圧センサー743が、それぞれ配置されている。

【0031】
次に、以上のように構成された風力発電装置Sの制御方法について述べる。

【0032】
本実施形態では、風力発電装置による電力会社への非連系時間帯(=太陽光発電装置による電力会社への連系時間帯)を9時から15時まで、風力発電装置による電力会社への連系時間帯(=太陽光発電装置による電力会社への非連系時間帯)を15時から翌9時までとし、説明を進める。

【0033】
図4は、従来の風力発電装置による時間毎の発電出力例を示している。同図に示すように、15時から翌9時の時間帯は風力の変動により、発電出力がゼロの時間帯(範囲A)、定格出力未満の時間帯(範囲B1、B2)が存在する。

【0034】
そこで、風力発電装置の非連系時間帯である9時から15時の間は、風力発電装置Sで発電された電気を蓄電池500に蓄電する。すなわち、制御ユニット700のタイマー制御部710が、発電された電気の供給先をパワーコンディショナー400から蓄電池500に切り替え、風車200の回転により発電された電気を蓄電池500に蓄電する。

【0035】
次に、風力発電装置Sの連系時間帯である15時から翌9時の間は、制御ユニット700のタイマー制御部710により、発電された電気の供給先をパワーコンディショナー400側に切り替える。図4を参照して、同連系時間帯で風速が風車200を回転起動させる速度に満たないとき(図4の範囲A)、風速センサー741からの信号に基づき、制御ユニット700の回転アシスト制御部720が、蓄電池500に蓄電された電気に基づき、回転アシスト部600を作動させ、風車200を回転起動させる。

【0036】
風車200の回転起動後、発電機300で発電された電気がパワーコンディショナー400へ供給されるが、供給電圧がパワーコンディショナー400の定格電圧(定格出力)に満たないとき(図4の範囲B1、B2)、電圧センサー743からの信号に基づき、制御ユニット700の電力アシスト制御部730が、蓄電された電気をパワーコンディショナー400に補充的に供給し、定格電圧(定格出力)を維持するようにパワーコンディショナー400を電力アシスト制御する。これにより、風車発電装置Sは安定した定格出力運転を行う。

【0037】
ここで、上述した定格電圧(定格出力)を維持するとは、機器の負荷変動等を考慮し、定格電圧付近のみならず、設定された上限電圧を超えない限り、定格電圧を超える供給電圧がある場合も許容することを意味する。

【0038】
なお、供給電圧がパワーコンディショナー400の動作下限電圧に満たないときも、電圧センサー743からの信号に基づき、制御ユニット700の電力アシスト制御部730が、蓄電された電気をパワーコンディショナー400に補充的に供給し、動作下限電圧を超えてパワーコンディショナー400が安定動作するように電力アシスト制御する。

【0039】
図5に、風力発電装置Sの制御方法、すなわち、制御ユニット700の回転アシスト制御部720および電力アシスト制御部730の組合せ制御による発電出力例を示す。同図に示すように、風力発電装置の非連系時間帯(9時から15時)に太陽光発電による発電を行い、その間に風力発電装置により蓄電された電気を利用して、風力発電装置の連系時間帯(15時から翌9時)に安定した定格出力運転が行われることが分かる。

【0040】
このように、非連系時間帯に蓄電した電気に基づき、風力発電装置Sの連系時間帯に、風車200が回転起動しないときは回転アシスト制御部720により風車200を回転アシストし、風車200の回転後はパワーコンディショナー400への供給電圧が動作下限値以上、さらには定格電圧を維持するように、電力アシスト制御部730によりパワーコンディショナー400への電力アシストを行い、非連系時間帯に蓄電された電気を最大限利用しつつ、連系時間帯に高効率の出力運転を行える。

【0041】
強風等によりパワーコンディショナー400への供給電圧が、設定された上限電圧や動作上限電圧を超える場合(図4の範囲C)、電圧センサー743からの信号に基づき、電力アシスト制御部730が、パワーコンディショナー400の手前に配置された分配器310により余剰電気を蓄電池500側へ分配し、蓄電池500に蓄電する。これにより、従来有効利用されてこなかった余剰電気をも有効利用できるようになる。

【0042】
本実施形態の風力発電装置Sによると、電力会社が買取しない時間帯(上記例の9時から15時)の蓄電分を、買取時間帯(上記例の15時から翌9時)にレバレッジ利用することで、すなわち、風力の変動があって、買取時間帯の発電出力が変動する場合でも、風車の回転アシスト制御およびパワーコンディショナーに対する電力アシスト制御を組み合わせることで、買取時間帯の発電出力を全体にわたり定格以上に安定させることができ、蓄電分を買取時間帯にそのまま売電するよりもレバレッジ(てこ)利用で、売電による収益性を向上させることができる。

【0043】
また、太陽光発電装置と組み合わせて、日照時間帯は太陽光発電による売電、日照時間帯以外は風力発電装置による売電を組み合せ、売電による安定した収益を上げることができる。

【0044】
なお、制御ユニット700による制御方法として、風車200の回転起動後、パワーコンディショナー400への供給電圧が動作下限電圧や定格電圧に満たない場合、蓄電された電気に基づき、回転アシスト部600を作動させ、それらの電圧を満たすように風車200を増速回転させてもよい。

【0045】
上記実施形態では風車200に垂直軸型風車を採用したが、これに限らず、プロペラ形あるいは多翼形等の水平軸型風車等を採用してよい。

【0046】
上記実施形態では連系時間帯の定格出力運転を維持するように制御したがこれに限らない。パワーコンディショナー400への供給電圧が動作下限未満(図4の範囲B1)である場合に動作下限ラインを超えるように電力アシスト制御部730による電力アシストを行うこともできる。これにより、低出力運転ながらも、売電による収益時間帯を増加させることができる。

【0047】
上記実施形態では蓄電池500への蓄電を9時から15時の間に行ったが、これに限らない。15時から翌9時の時間帯であっても、パワーコンディショナー400への供給電圧が定格出力未満である場合(図4の範囲B2)には出力運転することなく、発電された電気の供給先を蓄電池500に切り替えてよい。また、動作下限未満(図4の範囲B1)である場合も、発電された電気を蓄電池500に蓄電させてよい。いずれの場合も蓄電された電気を定格出力運転用に有効利用できる。

【0048】
かくして、従来の風力発電では風の向きや風力が変動し安定した発電出力を得られなかったが、本発明の風力発電ではそれらの変動を解消して安定した高効率の発電出力を実現できるようになった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る風力発電装置は、高台、斜面、風が通過する山間や平地、太陽光発電装置の近傍の土地等に幅広く設置して利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
100 土台(架台)
200 風車
210 風車本体
220 垂直回転軸
230 ブレード
300 発電機(発電手段)
310 分配器
400 パワーコンディショナー
500 蓄電池(蓄電手段)
600 回転アシスト部(回転アシスト手段)
610 ケース
620 アシスト用モータ
621 出力軸
622 歯車
630 ラチェット機構付き歯車
640 動力伝達機構
700 制御ユニット(制御手段)
710 タイマー制御部
720 回転アシスト制御部
730 電力アシスト制御部
741 風速センサー
742 回転数センサー
743 電圧センサー
800 送電網
G 土地
S 風力発電装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4