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明細書 :トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体を用いるポリペプチドの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-135748 (P2016-135748A)
公開日 平成28年7月28日(2016.7.28)
発明の名称または考案の名称 トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体を用いるポリペプチドの製造方法
国際特許分類 C07K   1/02        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI C07K 1/02 ZNA
C12N 15/00 A
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 30
出願番号 特願2015-011356 (P2015-011356)
出願日 平成27年1月23日(2015.1.23)
発明者または考案者 【氏名】磯部 寛之
【氏名】藤野 智子
【氏名】岡田 滉大
【氏名】鈴木 健
出願人 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100180862、【弁理士】、【氏名又は名称】花井 秀俊
審査請求 未請求
テーマコード 4B024
4H045
Fターム 4B024AA20
4B024CA12
4B024HA20
4H045AA20
要約 【課題】人工核酸を翻訳反応の鋳型として用いて、ポリペプチドを高効率で製造する手段を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、ポリペプチドの製造方法であって、以下:
前記ポリペプチドのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体を準備する、鋳型準備工程;
鋳型準備工程で準備されたオリゴリボヌクレオチド類縁体を鋳型として用いて前記ポリペプチドを合成する、ポリペプチド合成工程;
を含む、前記方法に関する。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
ポリペプチドの製造方法であって、以下:
前記ポリペプチドのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体を準備する、鋳型準備工程;
鋳型準備工程で準備されたオリゴリボヌクレオチド類縁体を鋳型として用いて前記ポリペプチドを合成する、ポリペプチド合成工程;
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記オリゴリボヌクレオチド類縁体が、式(N)、(Q)及び(R)のいずれか:
【化1】
JP2016135748A_000020t.gif
[式中、
k、n、r及びsは、それぞれ独立して、0以上の整数であり、
但し、k及びnは、同時に0になることはなく、
r及びsは、同時に0になることはなく;
pは、1以上の整数であり;
m及びqは、それぞれ独立して、0以上の整数であり;
但し、m及びqは、同時に0になることはなく;
tは、0以上の整数であり;
X1、Xk、Xm、Xn、Xp、Xq、Xr及びXsは、それぞれ独立して、プリン塩基及びピリミジン塩基から選択され;
R12、Rk2、Rm2、Rn2、Rp2、Rq2、Rr2及びRs2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
R13は、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
Ym及びYqは、1,2,3-トリアゾール環を含む二価の基であり;
Pk、Pn、Pp、Pr及びPsは、リン酸ジエステル結合、又はリン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が1個以上の硫黄原子若しくはボラノ基で置換された結合からなる群より選択される二価の基であり;
R5は、ヒドロキシル又はその保護形態であり、
但し、kが2以上の整数の場合、Xk、Rk2及びPkは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく;
mが2以上の整数の場合、Xm、Rm2及びYmは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく;
nが2以上の整数の場合、Xn、Rn2及びPnは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく;
pが2以上の整数の場合、Xp、Rp2及びPpは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく;
qが2以上の整数の場合、Xq、Rq2及びYqは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく;
rが2以上の整数の場合、Xr、Rr2及びPrは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく;
sが2以上の整数の場合、Xs、Rs2及びPsは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく;
tが2以上の整数の場合、Xm及びXs、Rm2及びRs2、Ym、並びにPsは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Ym及びYqが、それぞれ独立して、以下の式(Y-I)及び(Y-II):
【化2】
JP2016135748A_000021t.gif
[式中、
*aは、Xm又はXqを含むヌクレオシド部分との結合位置を示し、
*bは、X1、Xn、Xp、Xr又はXsを含むヌクレオシド部分との結合位置を示す]
からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ポリペプチドのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体と、1個以上のさらなる要素とを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリペプチドの製造方法に使用するためのキット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体を用いるポリペプチドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸は、遺伝情報の蓄積及び伝達を担う重要な生体高分子である。天然に存在する核酸は、リン酸ジエステル結合により連結されたフラノース骨格上に核酸塩基を配し、その配列により遺伝情報が記述される。核酸塩基の配列は、遺伝情報の記述のみならず、リボザイム等にみられるような核酸の機能発現に重要な役割を果たしている。
【0003】
核酸のうち、デオキシリボ核酸(DNA)は、生体内において、タンパク質のアミノ酸配列をコードし、遺伝情報を蓄積する役割を果たす。リボ核酸(RNA)の一種であるメッセンジャーRNA(mRNA)は、DNAにコードされた遺伝情報を転写してタンパク質へ翻訳するために、遺伝情報を伝達する役割を果たす。
【0004】
生体内における翻訳反応を利用してタンパク質を合成する場合、タンパク質のアミノ酸配列に対応するmRNAを化学合成して鋳型として用いればよいようにも考えられる。しかしながら、mRNAは、通常の環境でも容易に加水分解を受ける非常に不安定な物質である。このため、遺伝子工学分野では、通常は、タンパク質のアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する相補的なDNA(cDNA)を合成しておき、このcDNAから転写反応によってmRNAを合成し、さらにこのmRNAを鋳型として翻訳反応によってタンパク質の前駆体となるポリペプチドを合成する。前記方法の場合、翻訳反応の鋳型であるmRNAだけでなく、転写反応の鋳型であるcDNAをも合成する必要があり、時間的及びコスト的な観点から問題が存在した。また、mRNAを迅速に大量合成することが困難という問題が存在した。
【0005】
前記問題に鑑み、mRNAの代替物として使用し得る人工核酸の開発が進められた。人工核酸の開発においては、当初、天然型核酸の骨格を有する化合物を利用した試みが行われてきた。しかしながら、1)標的塩基配列に対する結合力の弱さ、2)標的塩基配列に結合した後の複合体の、酵素等の生体物質に対する安定性、並びに3)細胞内に移行してさらに標的塩基配列に到達するための生体膜透過性の観点から、問題が存在した。特に、天然型核酸の骨格を有する化合物においては、細胞内の核酸分解酵素による分解が大きな問題であった。
【0006】
現在では、非天然型骨格上に核酸塩基を配置した核酸類縁体である人工核酸の使用が検討されている。これまで知られている人工核酸としては、1)リン酸ジエステル結合部分を修飾した人工核酸、2)フラノース部位のグリコシル結合及び/又はヒドロキシル基を修飾した人工核酸、3)核酸塩基部位を修飾した人工核酸、並びに4)糖・リン酸骨格以外の構造を利用した人工核酸等がある。前記人工核酸として、例えば、1)リン酸部位の酸素原子を硫黄原子で置換したホスホロチオエート型、ホスホロジチオエート型、ホスホロジアミデート型、メチルホスホネート型又はメチルホスホノチオエート型の人工核酸、2)フラノース環上の置換基修飾型、糖環骨格が1炭素増炭したピラノース型、又は多環式糖骨格型の人工核酸、3)塩基間スタッキングの強化又は核酸鎖間静電反発の抑制を行う修飾塩基としてピリミジンC-5位修飾塩基型、プリンC-7位修飾塩基型、環拡張修飾塩基型の人工核酸、並びに4)ペプチド鎖を基礎骨格としたペプチド核酸(PNA)等が知られている(例えば、非特許文献1及び2、特許文献1~3)。
【0007】
前記の人工核酸のうち、PNAは、中性のペプチド鎖を骨格に利用するため、特異的塩基配列に対する結合力が高く、さらに加水分解酵素に対する安定性も高い等、多くの利点を有している。さらに、その合成に既存のオリゴペプチド合成手法が利用できるため、固相上で簡便に製造できる。このため、PNAは、もっとも注目されている人工核酸となっている。しかしながら、PNAは、疎水的な骨格を利用するため、溶解性が低い等の短所も報告されている。また合成的にも、ペプチド鎖の伸長及び核酸塩基をもつペプチド鎖の導入と多工程を要し、またこれらの工程に関わる置換基の保護・脱保護の工程が必要である。このため、PNAは、合成が簡便であるとはいえない。
【0008】
これに対し、本発明者らは、核酸のリン酸ジエステル結合に代えて、1,2,3-トリアゾール環を介する結合を有する新規非天然ヌクレオシド誘導体を開発した(特許文献4)。当該文献に記載の非天然ヌクレオシド誘導体は、1,2,3-トリアゾール環を介する結合を主骨格とする。このため、この非天然ヌクレオシド誘導体は、生体内で分解され難く、且つ相補鎖に対する結合力が高いという利点を有する。さらに、当該文献に記載の非天然ヌクレオシド誘導体の製造方法は、鎖長伸長段階に、3-位アジドと5-位エチニルとの付加環化反応を採用している。このため、この製造方法は、簡便な反応条件で鎖長伸長が可能であるという利点も有する(非特許文献3~6)。
【0009】
特許文献5は、前記1,2,3-トリアゾール環を介する結合を有する新規非天然ヌクレオシド誘導体の原料として使用し得る化合物の製造方法を記載する。
【0010】
特許文献6は、1,2,3-トリアゾール環を介する結合を有する非天然ヌクレオチドを記載する。
【先行技術文献】
【0011】

【特許文献1】国際公開第92/20702号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/96355号パンフレット
【特許文献3】国際公開第01/96356号パンフレット
【特許文献4】特許第5075340号公報
【特許文献5】特開2011-153111号公報
【特許文献6】特表2012-513953号公報
【0012】

【非特許文献1】ゲノムケミストリー、関根光雄・齋藤烈編、講談社サイエンティフィク、2003年
【非特許文献2】Peptide nucleic acids, 2nd ed. P. E. Nielsen著、Horizon Bioscience、2004年
【非特許文献3】Sharpless, K. B.ら, Angrew. Chem. Int. Ed., 2001年, 第40巻, p. 2004-2021
【非特許文献4】Zhang, L.ら, J. Am. Chem. Soc., 2005年, p. 15998-15999
【非特許文献5】Isobe, H.ら, Org. Lett., 2008年, 第10 (17)巻, p. 3729-3732
【非特許文献6】Fujino, T.ら, Tetrahedron Lett., 2009年, 第50 (28)巻, p. 4101-4103
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記のように、いくつかの人工核酸が開発された。しかしながら、前記文献に記載のこれらの人工核酸を、翻訳反応の鋳型として使用し得ることは明確に示されていなかった。
【0014】
それ故、本発明は、人工核酸を翻訳反応の鋳型として用いて、ポリペプチドを高効率で製造する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した。本発明者らは、最近、1,2,3-トリアゾール環を含む有機基を介して結合した構造を含むトリアゾール連結型非天然ヌクレオチドを合成するための、5-位がヒドロキシル基である非天然ヌクレオシド類縁体を製造する方法を開発した。本発明者らはまた、前記方法を用いて、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体を開発した(特願2014-046396)。
【0016】
本発明者らは、前記トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体を鋳型として用いることにより、翻訳反応によって対応するポリペプチドを製造できることを見出した。本発明者らは、前記知見に基づき本発明を完成した。
【0017】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) ポリペプチドの製造方法であって、以下:
前記ポリペプチドのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体を準備する、鋳型準備工程;
鋳型準備工程で準備されたオリゴリボヌクレオチド類縁体を鋳型として用いて前記ポリペプチドを合成する、ポリペプチド合成工程;
を含む、前記方法。
(2) 前記オリゴリボヌクレオチド類縁体が、式(N)、(Q)及び(R)のいずれか:
【化1】
JP2016135748A_000002t.gif
[式中、
k、n、r及びsは、それぞれ独立して、0以上の整数であり、
但し、k及びnは、同時に0になることはなく、
r及びsは、同時に0になることはなく;
pは、1以上の整数であり;
m及びqは、それぞれ独立して、0以上の整数であり、
但し、m及びqは、同時に0になることはなく;
tは、0以上の整数であり;
X1、Xk、Xm、Xn、Xp、Xq、Xr及びXsは、それぞれ独立して、プリン塩基及びピリミジン塩基から選択され;
R12、Rk2、Rm2、Rn2、Rp2、Rq2、Rr2及びRs2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
R13は、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
Ym及びYqは、1,2,3-トリアゾール環を含む二価の基であり;
Pk、Pn、Pp、Pr及びPsは、リン酸ジエステル結合、又はリン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が1個以上の硫黄原子若しくはボラノ基で置換された結合からなる群より選択される二価の基であり;
R5は、ヒドロキシル又はその保護形態であり、
但し、kが2以上の整数の場合、Xk、Rk2及びPkは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく;
mが2以上の整数の場合、Xm、Rm2及びYmは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく;
nが2以上の整数の場合、Xn、Rn2及びPnは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく;
pが2以上の整数の場合、Xp、Rp2及びPpは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく;
qが2以上の整数の場合、Xq、Rq2及びYqは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく;
rが2以上の整数の場合、Xr、Rr2及びPrは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく;
sが2以上の整数の場合、Xs、Rs2及びPsは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよく;
tが2以上の整数の場合、Xm及びXs、Rm2及びRs2、Ym、並びにPsは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、前記(1)に記載の方法。
(3) Ym及びYqが、それぞれ独立して、以下の式(Y-I)及び(Y-II):
【化2】
JP2016135748A_000003t.gif
[式中、
*aは、Xm又はXqを含むヌクレオシド部分との結合位置を示し、
*bは、X1、Xn、Xp、Xr又はXsを含むヌクレオシド部分との結合位置を示す]
からなる群より選択される、前記(2)に記載の方法。
(4) ポリペプチドのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体と、1個以上のさらなる要素とを含む、前記(1)~(3)のいずれかに記載のポリペプチドの製造方法に使用するためのキット。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、人工核酸を翻訳反応の鋳型として用いて、ポリペプチドを高効率で製造する手段を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、13量体のキメラ型TLRNA-RNA(10 pmol)又は13量体のRNA(10 pmol)を鋳型として用いた翻訳反応によるジペプチド合成の結果を示すグラフである。
【図2】図2は、13量体のキメラ型TLRNA-RNA(1000 pmol)又は13量体のRNA(1000 pmol)を鋳型として用いた翻訳反応によるジペプチド合成の結果を示すグラフである。
【図3】図3は、24量体のキメラ型TLRNA-RNA(10 pmol)又は24量体のRNA(10 pmol)を鋳型として用いた翻訳反応によるジペプチド合成の結果を示すグラフである。
【図4】図4は、24量体のキメラ型TLRNA-RNA(1000 pmol)又は24量体のRNA(1000 pmol)を鋳型として用いた翻訳反応によるジペプチド合成の結果を示すグラフである。
【図5】図5は、24量体のキメラ型TLRNA-RNA(10~1000 pmol)を鋳型として用いた翻訳反応によるジペプチド合成の結果を示すグラフである。

【0020】
前記以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。

【0022】
<1. ポリペプチドの製造方法>
本発明は、ポリペプチドの製造方法に関する。本発明の方法は、鋳型準備工程及びポリペプチド合成工程を含む。以下、各工程について詳細に説明する。

【0023】
[1-1. 鋳型準備工程]
本工程は、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体を準備することが必要である。

【0024】
本工程において準備されるトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体は、本発明の方法による生成物であるポリペプチドのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有することが必要である。前記塩基配列を有することにより、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体を、以下において説明するポリペプチド合成工程における鋳型として使用することができる。

【0025】
本発明において、「トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチド」は、天然型RNAのリン酸ジエステル結合が1,2,3-トリアゾール環を含む有機基に置換された構造を有する非天然型RNAを意味し、「トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体」は、前記構造を有する非天然型RNAを分子内に含むRNA類縁体を意味する。トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体は、前記構造を有する非天然型RNAのみからなる構造を有していてもよく、前記非天然型RNAの構造及び天然型RNAの構造のいずれも含む構造を有していてもよい。後者の実施形態の場合、前記構造を有する非天然型RNAの5’-末端及び3’-末端の少なくともいずれかに天然型RNAがリン酸ジエステル結合で連結された構造を有していてもよく、天然型RNAの5’-末端及び3’-末端の少なくともいずれかに前記非天然型RNAが1,2,3-トリアゾール環を含む有機基で連結された構造を有していてもよく、前記2種の構造の繰り返し構造を有していてもよい。本発明において、前記非天然型RNAの構造及び天然型RNAの構造のいずれも含む構造を有する実施形態を、「トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むキメラ型オリゴリボヌクレオチド(RNA)類縁体」又は単に「キメラ型オリゴリボヌクレオチド(RNA)類縁体(TLRNA-RNA)」と記載する場合がある。

【0026】
本明細書において、「プリン塩基」は、プリン核を有する塩基性化合物又はその9-位窒素原子上の水素原子を除去した1価の基を意味する。プリン塩基としては、限定するものではないが、例えば、アデニン及びグアニン等のプリン核酸塩基、並びにこれらの誘導体を挙げることができる。本明細書において、「ピリミジン塩基」は、ピリミジン核を有する塩基性化合物又はその1-位窒素原子上の水素原子を除去した1価の基を意味する。ピリミジン塩基としては、限定するものではないが、例えば、ウラシル、シトシン及びチミン等のピリミジン核酸塩基、並びにこれらの誘導体を挙げることができる。ピリミジン核酸塩基及びプリン核酸塩基の誘導体としては、限定するものではないが、例えば、ウラシル、シトシン、チミン、アデニン又はグアニンのハロゲン化誘導体及び脱アミノ誘導体、前記化合物の酸素原子が硫黄原子に置換された誘導体、ピリミジンのC-5位修飾塩基、プリンのC-7位修飾塩基、並びに環拡張型修飾塩基等を挙げることができる。

【0027】
例えば、プリン核酸塩基及びその誘導体としては、以下の式で表される化合物を挙げることができる。

【0028】
【化3】
JP2016135748A_000004t.gif

【0029】
式中、D1は、酸素原子又は硫黄原子であり、D2は、ヒドロキシル又はアミノであり、E1及びE2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルケニル又はアルキニルである。この場合、プリン核酸塩基及びその誘導体は、9-位の窒素原子を介してヌクレオシド部分の糖の1-位の炭素原子と結合する。

【0030】
前記化合物に包含されるプリン核酸塩基及びその誘導体としては、例えば、ヒポキサンチンのような脱アミノグアニン誘導体、8-フルオログアニン、8-ブロモグアニン及び8-ヨードグアニンのようなハロゲン化グアニン誘導体等の、グアニンの誘導体;8-フルオロアデニン、8-ブロモアデニン及び8-ヨードアデニンのようなハロゲン化アデニン誘導体、並びに1,N6-エテノアデニン等の、アデニンの誘導体を挙げることができる。

【0031】
例えば、ピリミジン核酸塩基及びその誘導体としては、以下の式で表される化合物を挙げることができる。

【0032】
【化4】
JP2016135748A_000005t.gif

【0033】
式中、D3及びD4は、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子であり、D5は、ヒドロキシル又はアミノであり、D6は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ又はアミノアルコキシであり、E3は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル又はアルコキシである。この場合、ピリミジン核酸塩基及びその誘導体は、1-位の窒素原子を介してヌクレオシド部分の糖の1-位の炭素原子と結合する。

【0034】
以下において説明する本発明の化合物に包含されるピリミジン核酸塩基及びその誘導体としては、例えば、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル及び5-ヨードウラシルのようなハロゲン化ウラシル誘導体、2-チオウラシル、4-チオウラシル及び2,4-ジチオウラシルのような酸素原子に代えて硫黄原子を有するウラシル誘導体、5-メチルウラシル、5-ビニルウラシル、並びに5-エチニルウラシル等の、ウラシルの誘導体;5-フルオロシトシン、5-ブロモシトシン及び5-ヨードシトシンのようなハロゲン化シトシン誘導体、5-エチニルシトシンのようなアルキニルを有するシトシン誘導体等の、シトシンの誘導体を挙げることができる。

【0035】
本明細書において、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C1~C6アルキル」は、少なくとも1個且つ多くても6個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖を意味する。好適なアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル及びヘキシル等の直鎖又は分枝鎖のC1~C6アルキルを挙げることができる。

【0036】
本明細書において、「アルケニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なアルケニルとしては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチルアリル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル及び1,3-ブタンジエニル等の直鎖又は分枝鎖のC2~C6アルケニルを挙げることができる。

【0037】
本明細書において、「アルキニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なアルキニルとしては、例えば、エチニル、2-プロピニル、2-ブチニル、2-ペンチニル、2-ヘキシニル及び2-ペンテン-4-イニル等の直鎖又は分枝鎖のC2~C6アルキニルを挙げることができる。

【0038】
本明細書において、「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、脂環式アルキルを意味する。例えば、「C3~C6シクロアルキル」は、少なくとも3個且つ多くても6個の炭素原子を含む、環式の炭化水素基を意味する。好適なシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等を挙げることができる。

【0039】
本明細書において、「シクロアルケニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルケニルは、限定するものではないが、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニル等を挙げることができる。

【0040】
本明細書において、「ヘテロシクリル」は、前記シクロアルキル又はシクロアルケニルの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素原子(N)、硫黄原子(S)及び酸素原子(O)から選択されるヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロシクリルは、限定するものではないが、例えばピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びピペラジニル等を挙げることができる。

【0041】
本明細書において、「アリール」は、6~15の炭素原子数を有する芳香環基を意味する。好適なアリールは、限定するものではないが、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチル及びアントリル(アントラセニル)等を挙げることができる。

【0042】
本明細書において、「アリールアルキル」は、前記アルキルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばベンジル、1-フェネチル及び2-フェネチル等を挙げることができる。

【0043】
本明細書において、「アリールアルケニル」は、前記アルケニルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルケニルは、限定するものではないが、例えばスチリル等を挙げることができる。

【0044】
本明細書において、「ヘテロアリール」は、前記アリールの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素原子(N)、硫黄原子(S)及び酸素原子(O)から選択されるヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロアリールは、限定するものではないが、例えばフラニル、チエニル(チオフェンイル)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル及びインドリル等を挙げることができる。

【0045】
本明細書において、「ヘテロアリールアルキル」は、前記アルキルの水素原子の1個が前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。

【0046】
本明細書において、「アシル」は、前記で説明した基から選択される1価基とカルボニルとが連結した基を意味する。好適なアシルは、限定するものではないが、例えばアセチル、プロピオニル及びベンゾイル等を挙げることができる。

【0047】
本明細書において、「アルコキシ」及び「アルコキシル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの1個以上の水素原子が酸素原子に置換された基を意味する。好適直鎖又は分枝鎖のC1~C6アルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ及びイソブトキシ等を挙げることができる。

【0048】
本明細書において、「アミノアルコキシ」及び「アミノアルコキシル」は、前記アルコキシの1個以上の水素原子がアミノ基に置換された基を意味する。好適な直鎖又は分枝鎖のアミノC1~C6アルコキシとしては、アミノメトキシ、2-アミノエトキシ及び3-アミノプロポキシ等を挙げることができる。

【0049】
本明細書において、「ハロゲン」は、フッ素、臭素、ヨウ素又は塩素を意味する。好適なハロゲンとしては、例えば、フッ素、臭素又はヨウ素を挙げることができる。

【0050】
本明細書において、「ヘテロ原子」は、酸素原子(O)、窒素原子(N)、硫黄原子(S)、ケイ素原子(Si)又はリン原子(P)を意味する。

【0051】
前記で説明した基は、それぞれ独立して、非置換であるか、或いは1個若しくは複数のハロゲン、OH、NQ1Q2(Q1及びQ2は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル若しくはアルキニルである)、NO2、C(O)Q3(Q3は水素、ヒドロキシル、NH2若しくは前記で説明した基から選択される1価基である)、又は前記で説明した基から選択される1価基によってさらに置換することもできる。

【0052】
本明細書において、「保護基」は、望ましくない反応の進行を防止するために、特定の官能基に導入される基であって、特定の反応条件において定量的に除去され、且つそれ以外の反応条件においては実質的に安定、即ち反応不活性である基を意味する。本明細書において、「保護(化)」及び「脱保護(化)」は、それぞれ官能基に保護基を導入すること、及び保護基を定量的に除去することを意味する。また、本明細書において、「保護形態」は、1個又は複数の官能基に保護基が導入された形態を意味し、「保護誘導体」は、特定の化合物において、1個又は複数の官能基に保護基が導入された誘導体、すなわち保護形態の基を有する該化合物の誘導体を意味する。保護誘導体は、以下で説明する保護化を実施することによって調製してもよく、予め所望の保護基が導入されている市販の保護誘導体を用いてもよい。

【0053】
本工程において準備されるトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体は、式(N)、(Q)及び(R)のいずれか:
【化5】
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で表される化合物であることが好ましい。本発明において、式(N)、(Q)及び(R)のいずれかで表される化合物を、「1,2,3-トリアゾール環を含む有機基で連結されたオリゴリボヌクレオチドを含むキメラ型オリゴリボヌクレオチド(RNA)類縁体」、「トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むキメラ型オリゴリボヌクレオチド(RNA)類縁体」又は単に「キメラ型オリゴリボヌクレオチド(RNA)類縁体(TLRNA-RNA)」と記載する場合がある。式(N)で表されるオリゴリボヌクレオチド類縁体は、本発明者らが開発した、特願2014-046396の明細書等に開示される新規化合物である。式(N)、(Q)及び(R)のいずれかで表されるオリゴリボヌクレオチド類縁体は、分子内にリン酸ジエステル結合、又はリン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が1個以上の硫黄原子若しくはボラノ基で置換された結合を有するため、一定の水溶性を有する。それ故、式(N)、(Q)及び(R)のいずれかで表されるオリゴリボヌクレオチド類縁体は、親化合物である天然オリゴリボヌクレオチド分子と比較して、生体内における安定性、標的細胞内に移行するための細胞膜透過性、及び/又は相補鎖に対する結合力だけでなく、水溶性を実質的に維持した非天然オリゴリボヌクレオチド分子として使用することができる。

【0054】
式(N)、(Q)及び(R)において、k、n、r及びsは、それぞれ独立して、0以上の整数であることが必要である。但し、k及びnは、同時に0になることはない。また、r及びsは、同時に0になることはない。pは、1以上の整数であることが必要である。m及びqは、それぞれ独立して、0以上の整数であることが必要である。但し、m及びqは、同時に0になることはない。tは、0以上の整数であることが必要である。kは、0~30の範囲の整数であることが好ましく、1~20の範囲の整数であることがより好ましい。mは、0~30の範囲の整数であることが好ましく、1~20の範囲の整数であることがより好ましい。nは、0~30の範囲の整数であることが好ましく、1~20の範囲の整数であることがより好ましい。pは、1~30の範囲の整数であることが好ましく、1~20の範囲の整数であることがより好ましい。qは、0~30の範囲の整数であることが好ましく、1~20の範囲の整数であることがより好ましい。rは、0~30の範囲の整数であることが好ましく、1~20の範囲の整数であることがより好ましい。sは、0~30の範囲の整数であることが好ましく、1~20の範囲の整数であることがより好ましい。tは、0~30の範囲の整数であることが好ましく、1~20の範囲の整数であることがより好ましい。

【0055】
式(N)において、k、m及びnは、k+nとmとの比が1:30~60:1の範囲であることが好ましく、2:30~30:1の範囲であることがより好ましく、2:1~20:1の範囲であることがさらに好ましい。式(Q)において、m、p及びqは、pとq+mとの比が1:30~60:1の範囲であることが好ましく、2:30~30:1の範囲であることがより好ましく、2:1~20:1の範囲であることがさらに好ましい。式(R)において、m、q、r、s及びtは、r+s×tとq+m×tとの比が1:30~60:1の範囲であることが好ましく、2:30~30:1の範囲であることがより好ましく、2:1~20:1の範囲であることがさらに好ましい。前記の条件を満たす場合、式(N)、(Q)及び(R)で表される化合物は、ヌクレオシドの架橋基中に、リン酸ジエステル結合、又はリン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が1個以上の硫黄原子若しくはボラノ基で置換された結合を一定の割合で含む。前記の条件を満たす場合、式(N)、(Q)及び(R)で表される化合物は高い水溶性を有することができる。前記特徴を有する式(N)、(Q)及び(R)のいずれかで表される化合物をポリペプチド合成工程における鋳型として使用することにより、ポリペプチドを高効率で製造することができる。

【0056】
式(N)、(Q)及び(R)において、X1、Xk、Xm、Xn、Xp、Xq、Xr及びXsは、それぞれ独立して、プリン塩基及びピリミジン塩基から選択されることが必要である。但し、kが2以上の整数の場合、Xkは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。mが2以上の整数の場合、Xmは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。nが2以上の整数の場合、Xnは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。pが2以上の整数の場合、Xpは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。qが2以上の整数の場合、Xqは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。rが2以上の整数の場合、Xrは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。sが2以上の整数の場合、Xsは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。tが2以上の整数の場合、Xm及びXsは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。X1、Xk、Xm、Xn、Xn、Xp、Xq、Xr及びXsは、それぞれ独立して、アデニン及びグアニン等のプリン核酸塩基、及びこれらの誘導体、並びに、ウラシル、シトシン及びチミン等のピリミジン核酸塩基、及びこれらの誘導体からなる群より選択されることが好ましい。

【0057】
式(N)、(Q)及び(R)において、R12、Rk2、Rm2、Rn2、Rp2、Rq2、Rr2及びRs2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル又はその保護形態であることが必要である。但し、kが2以上の整数の場合、Rk2は、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。mが2以上の整数の場合、Rm2は、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。nが2以上の整数の場合、Rn2は、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。pが2以上の整数の場合、Rp2は、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。qが2以上の整数の場合、Rq2は、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。rが2以上の整数の場合、Rr2は、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。sが2以上の整数の場合、Rs2は、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。tが2以上の整数の場合、Rm2及びRs2は、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。R12、Rk2、Rm2、Rn2、Rp2、Rq2、Rr2及びRs2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、或いはアセチル(Ac)若しくはベンゾイル(Bz)のようなアシル、又はtert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)若しくはtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)のようなシリルによって形成されるヒドロキシルの保護形態であることが好ましく、ヒドロキシルであることがより好ましい。

【0058】
式(N)、(Q)及び(R)において、R13は、ヒドロキシル又はその保護形態であることが必要である。R13は、ヒドロキシル、或いはアセチル(Ac)若しくはベンゾイル(Bz)のようなアシル、又はtert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)若しくはtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)のようなシリルによって形成されるヒドロキシルの保護形態であることが好ましく、ヒドロキシルであることがより好ましい。前記特徴を有する式(N)、(Q)及び(R)のいずれかで表される化合物をポリペプチド合成工程における鋳型として使用することにより、ポリペプチドを高効率で製造することができる。

【0059】
式(N)、(Q)及び(R)において、Pk、Pn、Pp、Pr及びPsは、リン酸ジエステル結合、又はリン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が1個以上の硫黄原子若しくはボラノ基で置換された結合からなる群より選択される二価の基であることが必要である。但し、kが2以上の整数の場合、Pkは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。nが2以上の整数の場合、Pnは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。pが2以上の整数の場合、Ppは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。rが2以上の整数の場合、Prは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。sが2以上の整数の場合、Psは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。tが2以上の整数の場合、Psは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。リン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が1個以上の硫黄原子若しくはボラノ基で置換された結合としては、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合及びボラノホスフェート結合等を挙げることができる。分子中に、リン酸ジエステル結合をヌクレオシドの架橋基として一定の割合で含むことにより、本発明の式(N)、(Q)及び(R)で表される化合物は、高い水溶性を有することができる。前記特徴を有する式(N)、(Q)及び(R)のいずれかで表される化合物をポリペプチド合成工程における鋳型として使用することにより、ポリペプチドを高効率で製造することができる。

【0060】
式(N)、(Q)及び(R)において、Ym及びYqは、1,2,3-トリアゾール環を含む二価の基であることが必要である。但し、mが2以上の整数の場合、Ymは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。qが2以上の整数の場合、Yqは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。tが2以上の整数の場合、Ymは、互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。Ym及びYqは、それぞれ独立して、以下の式(Y-I)及び(Y-II):
【化6】
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[式中、
*aは、Xm又はXqを含むヌクレオシド部分との結合位置を示し、
*bは、X1又はXn、Xp、Xr又はXsを含むヌクレオシド部分との結合位置を示す]
からなる群より選択されることが好ましい。分子中に、1,2,3-トリアゾール環を含む二価の基をヌクレオシドの架橋基として一定の割合で含むことにより、本発明の式(N)、(Q)及び(R)で表される化合物は、生体内における高い安定性、標的細胞内に移行するための高い細胞膜透過性、及び/又は相補鎖に対する高い結合力を有することができる。前記特徴を有する式(N)、(Q)及び(R)のいずれかで表される化合物をポリペプチド合成工程における鋳型として使用することにより、ポリペプチドを高効率で製造することができる。

【0061】
式(N)、(Q)及び(R)において、R5は、ヒドロキシル又はその保護形態であることが必要である。R5は、ヒドロキシル、或いはトリチル若しくはジメトキシトリチル(DMTr)のような非置換、モノ置換若しくはジ置換トリチル、又はベンジル(Bn)のようなエーテルによって形成されるヒドロキシルの保護形態であることが好ましく、ヒドロキシルであることがより好ましい。R5が前記の特徴を有することにより、本発明の式(N)、(Q)及び(R)で表される化合物は、標的細胞内に移行するための細胞膜透過性、及び/又は相補鎖に対する結合力をさらに向上させることができる。前記特徴を有する式(N)、(Q)及び(R)のいずれかで表される化合物をポリペプチド合成工程における鋳型として使用することにより、ポリペプチドを高効率で製造することができる。

【0062】
本発明の方法において使用される式(N)、(Q)及び(R)で表される化合物、並びにそれらの化合物の原料又は中間体として使用される化合物は、前記化合物自体だけでなく、それらの保護形態も包含する。前記化合物の保護形態は、R12、Rk2、Rm2、Rn2、Rp2、Rq2、Rr2、Rs2、R13及びR5の少なくともいずれかに、前記で説明した保護基を含む形態であることが好ましい。

【0063】
本発明の方法において使用される式(N)、(Q)及び(R)で表される化合物は、該化合物及びその保護形態自体だけでなく、それらの塩も包含する。前記化合物の塩の対イオンとしては、限定するものではないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン若しくはマグネシウムイオンのようなカチオン、又は塩化物イオン、臭化物イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、安息香酸イオン、アスコルビン酸イオン、パモ酸イオン、コハク酸イオン、ビスメチレンサリチル酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンジスルホン酸イオン、プロピオン酸イオン、酒石酸イオン、サリチル酸イオン、クエン酸イオン、グルコン酸イオン、アスパラギン酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、イタコン酸イオン、グリコール酸イオン、p-アミノ安息香酸イオン、グルタミン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、シクロヘキシルスルファミン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、イセチオン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン又は過塩素酸イオンのようなアニオンが好ましい。式(N)、(Q)及び(R)で表される化合物が前記の対イオンとの塩の形態である場合、親化合物である天然オリゴリボヌクレオチド分子と比較して、生体内における安定性、標的細胞内に移行するための細胞膜透過性、及び/又は相補鎖に対する結合力を実質的に低下させることなく該化合物を使用することができる。それ故、式(N)、(Q)及び(R)のいずれかで表される化合物又はその保護形態の塩をポリペプチド合成工程における鋳型として使用することにより、式(N)、(Q)及び(R)のいずれかで表される化合物自体を用いた場合と同様にポリペプチドを高効率で製造することができる。

【0064】
本発明の方法において使用される式(N)、(Q)及び(R)で表される化合物及びその保護形態、並びにそれらの塩は、前記化合物及びその保護形態、並びにそれらの塩自体だけでなく、それらの溶媒和物も包含する。前記化合物又はその塩と溶媒和物を形成し得る溶媒としては、限定するものではないが、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、エタノールアミン若しくは酢酸エチルのような有機溶媒、又は水が好ましい。式(N)、(Q)及び(R)で表される化合物又はその塩が前記の溶媒との溶媒和物の形態である場合、親化合物である天然オリゴリボヌクレオチド分子と比較して、生体内における安定性、標的細胞内に移行するための細胞膜透過性、及び/又は相補鎖に対する結合力を実質的に低下させることなく該化合物を使用することができる。それ故、式(N)、(Q)及び(R)のいずれかで表される化合物又はその保護形態の塩の溶媒和物をポリペプチド合成工程における鋳型として使用することにより、式(N)、(Q)及び(R)のいずれかで表される化合物自体を用いた場合と同様にポリペプチドを高効率で製造することができる。

【0065】
本工程において、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体を準備する態様は特に限定されない。例えば、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体が式(N)で表される化合物である実施形態の場合、式(N)で表される化合物は、n個のリボヌクレオチドを連結して得られるオリゴリボヌクレオチドと式(M):
【化7】
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[式中、
mは、1以上の整数であり;
X1及びXm、R12及びRm2、R13、Ym、並びにR5は、前記と同義であり;
但し、mが2以上の整数の場合、Xm、Rm2及びYmは、それぞれ互いに同一の基であってもよく、異なる基であってもよい]
で表されるトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチド類縁体とを連結反応させる工程、前記工程で得られた連結体とk個のリボヌクレオチドとを順次連結反応させる工程を含む方法によって製造することができる。前記製造方法において、リボヌクレオチドを連結反応させる工程は、当該技術分野で通常使用される核酸の固相合成法を適用することにより、実施することができる。また、式(N)において、Pk又はPnが、リン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が1個以上の硫黄原子若しくはボラノ基で置換された結合の場合、リボヌクレオチドを連結反応させる工程は、該結合を形成する段階を含むことが好ましい。リン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が1個以上の硫黄原子若しくはボラノ基で置換された結合を形成する段階は、当該技術分野で通常使用される該結合の形成反応を適用することにより、実施することができる。

【0066】
本実施形態において、式(M)で表されるトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチド類縁体は、式(IA):
【化8】
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[式中、
XIAは、それぞれ独立して、プリン塩基及びピリミジン塩基から選択され;
RIA2は、水素、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
RIA5は、水素又は保護基である]
で表される化合物と式(IB):
【化9】
JP2016135748A_000010t.gif
[式中、
XIBは、それぞれ独立して、プリン塩基及びピリミジン塩基から選択され;
RIB2は、水素、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
RIB3は、ヒドロキシル又はその保護形態若しくは活性化形態であり;
RIB5は、水素又は保護基である]
で表される化合物とを連結反応させる工程、前記工程で得られた連結体とm-2個の式(IA)で表される化合物とを順次連結反応させる工程、前記工程で得られた連結体と式(IC):
【化10】
JP2016135748A_000011t.gif
[式中、
R5は、前記と同義であり;
R2は、Rm2と同義であり;
Xは、Xmと同義である]
で表される化合物とを連結反応させる工程を含む方法によって製造することができる。

【0067】
本実施形態において、式(IC)で表される化合物は、D-キシロースを出発原料として、D-キシロースの3α-ヒドロキシルを3β-アジド化し、且つ1-位にプリン塩基又はピリミジン塩基を結合させることを含む方法によって製造することができる。

【0068】
前記式で表される各化合物は、特願2014-046396の明細書等に開示される方法に基づき製造することができる。或いは、予め合成されたトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体を購入等して準備してもよい。いずれの場合も本工程の実施形態に包含される。

【0069】
例えば、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体が式(Q)で表される化合物である実施形態の場合、式(Q)で表される化合物は、式(M)で表されるトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチド類縁体とp-1個のリボヌクレオチドとを順次連結反応させる工程、前記工程で得られた連結体と式(IB)で表される化合物とを連結反応させる工程、前記工程で得られた連結体とq-1個の式(IA)で表される化合物とを順次連結反応させる工程、前記工程で得られた連結体と式(IC)で表される化合物とを連結反応させる工程を含む方法によって製造することができる。また、式(Q)において、Xqを含むトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチド部分とXmを含むトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチド部分とが同一である、すなわち、qがmと同義であり、XqがXmと同義であり、Rq2がRm2と同義であり、且つYqがYmと同義である実施形態の場合、式(Q)で表される化合物は、式(M)で表されるトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチド類縁体とp-1個のリボヌクレオチドとを順次連結反応させる工程、前記工程で得られた連結体と式(M)で表される化合物とを連結反応させる工程を含む方法によって製造することができる。前記製造方法において、リボヌクレオチドを連結反応させる工程は、当該技術分野で通常使用される核酸の固相合成法を適用することにより、実施することができる。また、式(Q)において、Ppが、リン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が1個以上の硫黄原子若しくはボラノ基で置換された結合の場合、リボヌクレオチドを連結反応させる工程は、該結合を形成する段階を含むことが好ましい。リン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が1個以上の硫黄原子若しくはボラノ基で置換された結合を形成する段階は、当該技術分野で通常使用される該結合の形成反応を適用することにより、実施することができる。

【0070】
例えば、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド縁体が式(R)で表される化合物である実施形態の場合、式(R)で表される化合物は、r個のリボヌクレオチドを連結して得られるオリゴリボヌクレオチドと式(M)で表されるトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチド類縁体とを連結反応させる工程、前記工程で得られた連結体とs-1個のリボヌクレオチドとを順次連結反応させる工程、前記工程で得られた連結体と式(IB)で表される化合物とを連結反応させる工程、次いで、前記工程で得られた連結体とm-1個の式(IA)で表される化合物とを順次連結反応させる工程と、前記工程で得られた連結体と式(IC)で表される化合物とを連結反応させる工程と、前記工程で得られた連結体とs-1個のリボヌクレオチドとを順次連結反応させる工程と、前記工程で得られた連結体と式(IB)で表される化合物とを連結反応させる工程とをt-1回繰り返す工程、そして、前記工程で得られた連結体とq-1個の式(IA)で表される化合物とを順次連結反応させる工程、前記工程で得られた連結体と式(IC)で表される化合物とを連結反応させる工程を含む方法によって製造することができる。また、式(R)において、Xqを含むトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチド部分とXmを含むトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチド部分とが同一である、すなわち、qがmと同義であり、XqがXmと同義であり、Rq2がRm2と同義であり、且つYqがYmと同義である実施形態の場合、式(R)で表される化合物は、r個のリボヌクレオチドを連結して得られるオリゴリボヌクレオチドと式(M)で表されるトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチド類縁体とを連結反応させる工程、前記工程で得られた連結体とs-1個のリボヌクレオチドとを順次連結反応させる工程、次いで、前記工程で得られた連結体と式(M)で表される化合物とを連結反応させる工程と、前記工程で得られた連結体とs-1個のリボヌクレオチドとを順次連結反応させる工程とをt-1回繰り返す工程、そして、前記工程で得られた連結体と式(M)で表されるトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチド類縁体とを連結反応させる工程を含む方法によって製造することができる。前記製造方法において、リボヌクレオチドを連結反応させる工程は、当該技術分野で通常使用される核酸の固相合成法を適用することにより、実施することができる。また、式(R)において、Pr又はPsが、リン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が1個以上の硫黄原子若しくはボラノ基で置換された結合の場合、リボヌクレオチドを連結反応させる工程は、該結合を形成する段階を含むことが好ましい。リン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が1個以上の硫黄原子若しくはボラノ基で置換された結合を形成する段階は、当該技術分野で通常使用される該結合の形成反応を適用することにより、実施することができる。

【0071】
[1-2. ポリペプチド合成工程]
本工程は、鋳型準備工程で準備されたオリゴリボヌクレオチド類縁体を鋳型として用いて、ポリペプチドを合成することが必要である。

【0072】
本工程において、オリゴリボヌクレオチド類縁体の塩基配列に対応するポリペプチドは、当該技術分野で通常使用される手段により、in vitro(インビトロ)又はin vivo(インビボ)で製造することができる。本工程を、インビトロにおけるポリペプチドの合成手段を用いて実施する場合、本工程は、例えば、オリゴリボヌクレオチド類縁体を鋳型として、翻訳反応に必要となる酵素等の翻訳因子及び反応溶液の存在下、基質となるアミノ酸とともにインビトロで反応させることにより、実施することができる。或いは、本工程は、オリゴリボヌクレオチド類縁体を鋳型として、インビトロにおいて翻訳反応を行ってタンパク質を合成するための市販のキット(例えば、PURExpressインビトロタンパク質合成キット(NEB社))に適用することにより、実施することができる。本工程を、インビボにおけるポリペプチドの合成手段を用いて実施する場合、本工程は、例えば、鋳型として用いるオリゴリボヌクレオチド類縁体を、大腸菌又は出芽酵母等の形質転換系に導入し、該形質転換系においてインビボで組換えタンパク質を大量発現させることにより、実施することができる。いずれの場合も、本工程の実施形態に包含される。

【0073】
本工程において、鋳型として用いるオリゴリボヌクレオチド類縁体の量は、適用されるポリペプチドの合成手段に基づき、適宜設定することができる。例えば、本工程をインビトロにおけるポリペプチドの合成手段を用いて実施する場合、鋳型として用いるオリゴリボヌクレオチド類縁体の量は、1~5000 pmolの範囲であることが好ましく、5~5000 pmolの範囲であることがより好ましく、10~1000 pmolの範囲であることがさらに好ましい。前記量でオリゴリボヌクレオチド類縁体を用いることにより、該オリゴリボヌクレオチド類縁体を鋳型として、ポリペプチドを高効率で製造することができる。

【0074】
本工程をインビトロにおけるポリペプチドの合成手段を用いて実施する場合、翻訳反応に使用される翻訳因子としては、リボソーム、開始因子、伸長因子及び終結因子を挙げることができる。また、翻訳反応に使用される反応溶液としては、酢酸マグネシウムを含むHEPES-水酸化カリウム等の緩衝液を挙げることができる。基質となるアミノ酸としては、インビトロにおける翻訳反応に通常使用される天然型又は非天然型の各種アミノ酸を挙げることができる。前記アミノ酸は、所望により放射性同位元素等によって標識されていてもよい。前記条件でインビトロにおける翻訳反応を実施することにより、オリゴリボヌクレオチド類縁体を鋳型として、ポリペプチドを高効率で製造することができる。

【0075】
本工程をインビトロにおけるポリペプチドの合成手段を用いて実施する場合、翻訳反応の温度及び時間は、使用される翻訳因子に基づき当業者が適宜設定することができる。例えば、翻訳反応の温度は、通常は30~40℃の範囲であり、典型的には約37℃である。また、翻訳反応の時間は、通常は1時間以上であり、典型的には1~48時間の範囲であり、特に2~24時間の範囲である。前記条件でインビトロにおける翻訳反応を実施することにより、オリゴリボヌクレオチド類縁体を鋳型として、ポリペプチドを高効率で製造することができる。

【0076】
前記手段で本工程を実施することにより、オリゴリボヌクレオチド類縁体を鋳型として用いて、ポリペプチドを高効率で合成することができる。

【0077】
<2. ポリペプチドの製造方法に使用するためのキット>
本発明はまた、本発明のポリペプチドの製造方法に使用するためのキットに関する。本発明のキットは、ポリペプチドのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体と、1個以上のさらなる要素とを含むことが必要である。前記キットを用いることにより、オリゴリボヌクレオチド類縁体を鋳型として用いて、ポリペプチドを合成することができる。

【0078】
本発明のキットに含まれる、ポリペプチドのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体は、前記で説明した本発明の方法に使用されるトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体である。

【0079】
本発明のキットは、所望により1個以上のさらなる要素を含んでもよい。前記さらなる要素は、翻訳反応に必要となる酵素等の翻訳因子及び反応溶液、基質となるアミノ酸、並びに使用説明書からなる群より選択される1個以上の要素であることが好ましい。ここで、前記翻訳因子、反応溶液及びアミノ酸は、前記で説明した本発明の方法に使用し得るものの中から適宜選択することができる。前記1個以上のさらなる要素を含む本発明のキットを用いて、本発明のポリペプチドの製造方法を実施することができる。

【0080】
本発明のキットにおいて、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体と1個以上のさらなる要素とは、一体化された形態で提供される必要はなく、前記オリゴリボヌクレオチド類縁体及び1個以上のさらなる要素が別々に包装された形態で提供されてもよい。いずれの形態も前記キットに包含される。

【0081】
以上説明したように、本発明の方法で使用されるトリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体は、生体内における高い安定性、標的細胞内に移行するための高い細胞膜透過性、及び/又は相補鎖に対する高い結合力を有する。前記特徴を有することにより、トリアゾール連結型オリゴリボヌクレオチドを含むオリゴリボヌクレオチド類縁体は、cDNAのように鋳型として使用することができる。それ故、本発明の方法を実施することにより、cDNAを調製することなく、ポリペプチドを高効率で製造することができる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0083】
<I:キメラ型TLRNA-RNA鋳型の合成>
〔I-I:一般的実験方法〕
全ての反応は、窒素の不活性雰囲気下で実施した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による反応混合物の分析及び生成物の精製は、ODSカラム(COSMOSIL C18-MS-II, 4.6×250 mm, ナカライテスク;カラム温度:40℃)を装着し、0~25% H2O (100 mM CH3CO2NEt4にて緩衝化, pH 7)/CH3CNで60分間、流速:1.0 mL/minのグラジエント溶出を用いるHPLCシステム上で実施した。分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、蛍光検出試薬を含有するシリカゲル(230-400メッシュ、0.25 mm厚)を塗布したガラスプレート(Silica gel 60F254, Merck社)を用いて実施した。フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル60N (球状且つ中性ゲル, 40~50 μm, 関東化学)を用いて実施した(Still, W. C.; Kahn, M.; Mitra, A. J. Org. Chem. 1978年, 43巻, p. 2923-2925)。中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)は、シリカゲルカラム (SNAP Ultra, 100 g; Biotage社)を装着したMPLCシステムを用いて実施した。赤外吸収(IR)スペクトルは、全反射測定法(ATR)を備えたNicolet iS10 FT-IRを用いて記録し、波数(ν)をcm-1単位で出力した。プロトン(1H)及びカーボン(13C)核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL JNM-ECS 400 (1H: 400 MHz; 13C: 100 MHz)及びBruker AVANCE 400 (1H: 400 MHz, 13C: 100 MHz)分光計を用いて測定した。13C NMRスペクトル中のメチル (CH3)、メチレン (CH2)及びメチン (CH) シグナルを、DEPTスペクトルによって帰属した。CDCl3中で測定した1H NMRスペクトル13C NMRスペクトルを、溶媒の吸収に対して補正した。質量分析は、JEOL JMS-T100LC (ESI-TOF MS)質量分析計を用いて、レセルピン(1 ng/μL)を内部標準として測定した。
【実施例】
【0084】
〔I-II:材料〕
全ての標準的なβ-シアノエチルRNAホスホロアミダイト、試薬及び固相担体は、グレンリサーチ社から購入した。全ての改変オリゴヌクレオチドは、日本テクノサービス M-2-MX DNA/RNA合成機を用いて合成した。全ての市販ホスホロアミダイトは、無水アセトニトリルに溶解して70 mMの濃度とした。化学合成されたトリアゾール連結型ホスホロアミダイトは、70 mMの濃度に溶解した。
【実施例】
【0085】
〔I-III:オリゴヌクレオチドの合成〕
[I-III-1:5-O-ベンジル-1,2-O-イソプロピリデン-α-D-キシロフラノース(1-3)の合成]
【化11】
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【実施例】
【0086】
D-キシロース(1-1) (20.0 g, 133 mmol), 硫酸 (20.0 mL, 375 mmol)及びアセトン (533 mL)の混合物を、室温で4.5時間撹拌した。炭酸ナトリウム水溶液 (1.1 M, 218 mL)の添加後、得られた混合物を、室温で4時間さらに撹拌した。得られた沈殿を濾過して集め、さらなるベンジル化に用いる粗アルコール(1-2)(26.6 g)を得た。粗アルコール、ヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム (14.7 g, 39.9 mmol)、ベンジルブロミド (25.0 mL, 210 mmol)及びジ-i-プロピルエチルアミン(46.0 mL, 264 mmol)の混合物を、90℃で6時間加熱した。次いで、ベンジルブロミド (25.0 mL, 210 mmol)及びジ-i-プロピルエチルアミン(46.0 mL, 264 mmol)を添加した。得られた混合物を、90℃で16時間さらに加熱した。ジクロロメタン (60 mL)を添加した後、混合物をジクロロメタン (30 mL×6)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン)、及び続けてMPLC (溶出液:クロロホルム、4分間の単一組成; 0~10%酢酸エチル/クロロホルム、11分間のグラジエント)で精製して、標題化合物(1-3)を白色固体として得た(24.6 g, 106 mmol, 80%(化合物(1-1)からの3段階の収率))。化合物(1-3)の物性値: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.32 (s, 3H), 1.48 (s, 3H), 3.59 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 3.93 (dd, J = 3.6, 11 Hz, 1H), 3.96 (dd, J = 4.0, 11 Hz, 1H), 4.25 (dd, J = 3.6, 6.8 Hz, 1H), 4.29 (dd, J = 2.8, 3.2 Hz, 1H), 4.51 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 4.57 (d, J = 12 Hz, 1H), 4.65 (d, J = 12 Hz, 1H), 5.98 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.28-7.38 (m, 5H).
【実施例】
【0087】
[I-III-2:5-O-ベンジル-1,2-O-イソプロピリデン-3-O-トリフルオロメタンスルホニル-α-D-キシロフラノース(1-4)の合成]
【化12】
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【実施例】
【0088】
アルコール(1-3)(1.01 g, 3.60 mmol)の1,2-ジクロロエタン溶液(18 mL)に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物 (709 mL, 4.32 mmol)及びピリジン (406 μL, 5.04 mmol)を-10℃で添加した。得られた混合物を、-10℃で1時間撹拌した。得られた混合物を室温まで温めた後、該混合物に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (15 mL)を添加した。得られた混合物を、ジクロロメタン (15 mL×4)で抽出した。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン)で精製して、標題化合物(1-4)を黄色油状物として得た(1.40 g, 3.40 mmol, 95%)。化合物(1-4)の物性値:1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ1.33 (s, 3H), 1.50 (s, 3H), 3.68 (dd, J = 7.6, 9.6 Hz, 1H), 3.79 (dd, J = 5.6 Hz, 1H), 4.49-4.54 (m, 2H), 4.61 (d, J = 12 Hz, 1H), 4.73 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 5.28 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.00 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.28-7.38 (m, 5H).
【実施例】
【0089】
[I-III-3:3-アジド-5-O-ベンジル-3-デオキシ-1,2-O-イソプロピリデン-α-D-リボフラノース(1-5)の合成]
【化13】
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【実施例】
【0090】
トリフラート(1-4) (5.83 g, 14.1 mmol)及びアジ化ナトリウム (923 mg, 14.1 mmol)のDMF (35 mL) 中の混合物を、室温で43時間撹拌した。水を0℃で添加後、前記混合物をジエチルエーテル (30 mL×5)で抽出した。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗物質を、0.5% トリエチルアミンで処理されたシリカゲルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:15% ジエチルエーテル/ヘキサン)で精製して、標題化合物(1-5)を黄色油状物として得た(2.12 g, 6.96 mmol, 49%)。化合物(1-5)の物性値:1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ1.37 (s, 3H), 1.57 (s, 3H), 3.60-3.67 (m, 2H), 3.81 (dd, J = 2.8, 12 Hz, 1H), 4.20 (ddd, J = 2.4, 3.6, 9.6 Hz, 1H), 4.58 (d, J = 12 Hz, 1H), 4.64 (d, J = 12 Hz, 1H), 4.71 (dd, J = 3.6 Hz, 1H), 5.82 (d, J =3.6 Hz, 1H), 7.27-7.37 (m, 5H).
【実施例】
【0091】
[I-III-4:1,2-ジ-O-アセチル-3-アジド-5-O-ベンジル-5-デオキシ-D-リボフラノース(1)の合成]
【化14】
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【実施例】
【0092】
アセタール(1-5) (353 mg, 1.16 mmol)及び60%トリフルオロメタンスルホン酸水溶液の混合物を、室温で4時間撹拌した。減圧下で揮発性物質を除去した後、得られた混合物に、無水酢酸 (335 μL, 3.55 mmol)、トリエチルアミン (500 μL, 3.58 mmol)、N,N-ジメチルアミノピリジン (DMAP; 58.2 mg, 0.477 mmol)及びジクロロメタン (2.7 mL)を添加した。得られた混合物を、室温で1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液 (3 mL)の添加後、混合物をジクロロメタン(2 mL×6)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン)で精製して、標題化合物(1)を黄色油状物として得た(370 mg, 1.06 mmol, 92%, ラセミ混合物)。化合物(1)の物性値:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.95 (s, 3H), 2.13 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 3.61 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 3.66 (dd, J = 3.2, 11 Hz, 1H), 3.70 (dd, J = 3.6, 11 Hz, 1H), 4.16 (dd, J = 3.6, 7.2 Hz, 1H), 4.19-4.29 (m, 3H), 4.53 (d, J = 12 Hz, 1H), 4.58 (d, J = 12 Hz, 1H), 4.61 (d, J = 12 Hz, 1H), 4.62 (d, J = 12 Hz, 1H), 5.26 (dd, J = 4.8, 7.6 Hz, 1H), 5.32 (dd, J = 0.8, 4.4 Hz, 1H), 6.10 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 6.42 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 7.29-7.36 (m, 10H).
【実施例】
【0093】
[I-III-5:1-(2-O-アセチル-3-アジド-5-O-ベンジル-3-デオキシ-β-D-リボフラノシル)ウラシル(2)の合成]
【化15】
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【実施例】
【0094】
ウラシル (130 mg, 1.16 mmol)、クロロトリメチルシラン (50.0 μL, 0.579 mmol) 及びヘキサメチルジシラザン (3.0 mL)の混合物を、還流温度で11時間加熱した。減圧下で揮発性物質を除去した後、残留したガム状物を、ジアセテート(1) (203 mg, 0.581 mmol)、トリメチルシリルトリフラート (104 μL, 0.575 mmol)及び1,2-ジクロロエタン (5 mL)と混合した。得られた混合物を、還流温度で2時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (5 mL)を添加した後、混合物をジクロロメタン (6×5 mL)で抽出した。合わせた有機層を、炭酸水素ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:0~10% メタノール/ジクロロメタン)で精製して、標題化合物(2)を無色油状物として得た(174 mg, 0.434 mmol, 75%)。化合物(2)の物性値:IR (neat) 3189, 3063, 2867, 2361, 2113, 1751, 1690, 1223, 1088, 670 cm-1; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.90 (s, 3H), 3.60 (dd, J = 2.0, 11.2 Hz, 1H), 3.80 (dd, J = 2.4, 11.2 Hz, 1H), 4.05 (ddd, J = 2.0, 2.4, 5.2 Hz, 1H), 4.28 (dd, J = 5.0, 5.2 Hz, 1H), 4.51 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 4.54 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 5.33 (dd, J = 4.8, 5.0 Hz, 1H), 5.38 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.03 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.20-7.35 (m, 5H), 7.61 (d, J = 8.0 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 21.0 (CH3), 61.1 (CH), 69.6 (CH2), 74.5 (CH2), 76.0 (CH), 82.4 (CH), 87.6 (CH), 103.5 (CH), 128.7 (CH), 129.1 (CH), 129.4 (CH), 137.5, 140.4 (CH), 151.0, 163.8, 170.5; HRMS (ESI-TOF), C18H19N5O6Na [M+Na]+に対する計算値:424.1233, 実測値:424.1239.
【実施例】
【0095】
[I-III-6:1-(3-アジド-5-O-ベンジル-3-デオキシ-2-O-t-ブチルジメチルシリル-β-D-リボフラノシル)ウラシル(3)の合成]
【化16】
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【実施例】
【0096】
アセテート(2)(574 mg, 1.43 mmol)のメタノール溶液(0.16 mL)に、28% 水性アンモニア(0.16 mL)を滴下した。得られた混合物を、室温で撹拌した。1.5時間後、減圧下で溶媒を除去し、粗アルコールを得た。粗アルコールを、続けてシリル化に用いた。アルコールのジクロロメタン溶液(3.6 mL)に、イミダゾール (292 mg, 4.29 mmol)を0℃で加えた。得られた混合物を、室温で撹拌した。30分後、前記混合物に、t-ブチルジメチルシリルクロリド (2.0 M (ジクロロメタン中), 323 mg, 2.15 mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で5時間撹拌した。水(3.6 mL)を添加後、前記混合物をジクロロメタン (6×4 mL)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:75% ジクロロメタン/ヘキサン; 2% メタノール/ジクロロメタン)で精製して、標題化合物(3)を白色固体として得た(174 mg, 0.434 mmol, 75%)。化合物(3)の物性値:IR (粉末) 2930, 2106, 1688, 1265, 1129 cm-1; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.093 (s, 3H), 0.11 (s, 3H), 0.90 (s, 9H), 3.71 (dd, J = 2.0, 11.2 Hz, 1H), 3.92 (dd, J = 4.6, 6.4 Hz, 1H), 3.95 (dd, J = 2.0, 11.2 Hz, 1H), 4.22 (ddd, J = 2.0, 2.0, 6.4 Hz, 1H), 4.38 (dd, J = 3.4, 4.6 Hz, 1H), 4.56 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 4.59 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 5.32 (dd, J = 2.0, 8.0 Hz, 1H), 5.86 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 7.30-7.41 (m, 5H), 7.83 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 9.30-9.32 (br s, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ -5.0 (CH3), -4.80 (CH3), 18.1, 25.7 (CH3), 60.8 (CH), 68.9 (CH2), 74.1 (CH2), 76.7 (CH), 80.8 (CH), 89.7 (CH), 102.1 (CH), 128.2 (CH), 128.6 (CH), 128.9 (CH), 137.1, 140.2 (CH), 150.4, 163.5.
【実施例】
【0097】
[I-III-7:1-(3-アジド-5-O-ベンジル-3-デオキシ-β-D-リボフラノシル)ウラシル(4)の合成]
【化17】
JP2016135748A_000018t.gif
【実施例】
【0098】
ベンジル化合物(3)(686 mg, 1.45 mmol)のジクロロメタン溶液 (14.5 mL)に、ボロントリクロリド ジメチルスルフィド錯体 (2.0 M(ジクロロメタン中), 7.25 mL, 14.5 mmol)を滴下した。得られた混合物を、室温で6時間撹拌した。メタノール (4 mL)及び飽和塩化アンモニウム水溶液 (10 mL)を-78℃で添加後、混合物をジクロロメタン (6×10 mL)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:20-50% 酢酸エチル/ジクロロメタン)で精製して、標題化合物(4)を白色固体として得た(340 mg, 0.887 mmol, 61%)。化合物(4)の物性値:IR (粉末) 2930, 2107, 1691, 1265, 1115 cm-1; 1H NMR (400 MHz, 15% CD3OD/CDCl3) δ -0.015 (s, 3H), -0.019 (s, 3H), 0.80 (s, 9H), 3.62 (dd, J = 2.0, 12.4 Hz, 1H), 3.82 (dd, J = 2.4, 12.4 Hz, 1H), 3.87 (dd, J = 4.8, 5.0 Hz, 1H), 3.99 (ddd, J = 2.0, 2.4, 5.0 Hz, 1H), 4.46 (dd, J = 4.4, 4.8 Hz, 1H), 5.62 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.66 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 7.81 (d, J = 8.0 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, 15% CD3OD/CDCl3) δ -5.3 (CH3), -5.3 (CH3), 17.8, 25.4 (CH3), 60.8 (CH), 60.8 (CH2), 75.9 (CH), 82.4 (CH), 90.5 (CH), 102.1 (CH), 141.3 (CH), 150.6, 164.2.
【実施例】
【0099】
[I-III-8:1-(3-アジド-5-O-ジメトキシトリチル-3-デオキシ-2-O-t-ブチルジメチルシリル・β-D-リボフラノシル)ウラシル(5)の合成]
【化18】
JP2016135748A_000019t.gif
【実施例】
【0100】
アルコール化合物(4) (336 mg, 0.875 mmol)及び4,4'-ジメトキシトリチルクロリド (356 mg, 1.05 mmol)のピリジン溶液 (4.4 mL)を、室温で16時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (4 mL)を0℃で添加後、混合物をジクロロメタン (6×4 mL)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:0-20% 酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、標題化合物(5)を白色固体として得た(578 mg, 0.843 mmol, 96%)。化合物(5)の物性値:IR (粉末) 2972, 2108, 1688, 1254, 1049 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 0.00 (s, 3H), 0.01 (s, 3H), 0.74 (s, 9H), 3.26 (dd, J = 2.0, 9.5 Hz, 1H), 3.46 (dd, J = 1.5, 9.5 Hz, 1H), 3.59 (s, 6H), 3.82 (dd, J = 4.0, 6.0 Hz, 1H), 4.02 (ddd, J = 1.5, 2.0, 6.0 Hz, 1H), 4.30 (dd, J = 2.0, 4.0 Hz, 1H), 5.16 (dd, J = 1.5, 7.0 Hz, 1H), 5.67 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.67 (d, J = 7.5 Hz, 4H), 7.04-7.22 (m, 9H), 7.84 (d, J = 7.0 Hz, 1H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ -5.0 (CH3), -4.7 (CH3), 18.1, 25.7 (CH3), 55.3 (CH3), 60.2 (CH), 61.5 (CH2), 76.9 (CH), 80.6 (CH), 87.4, 90.1 (CH), 102.2 (CH), 113.4 (CH), 127.3 (CH), 128.1 (CH), 128.2 (CH), 130.1 (CH), 130.2 (CH), 134.9, 135.0, 140.1 (CH), 144.2, 150.4, 158.8, 163.8.
【実施例】
【0101】
[I-III-9:13量体のキメラ型TLRNA-RNA及び24量体のキメラ型TLRNA-RNAの合成]
13量体のキメラ型TLRNA-RNA(5'-GpApUpGpUtUtCpUpApApGpCpU-3';p:ホスホジエステル結合;t:トリアゾール結合)及び24量体のキメラ型TLRNA-RNA(5'-ApApGpGpApGpGpUpApApApApApUpGpUtUtCpUpApApGpCpU-3')の合成は、1-(3-アジド-5-O-ジメトキシトリチル-3-デオキシ-2-O-t-ブチルジメチルシリル・β-D-リボフラノシル)ウラシル(5)を用いて、公知文献(例えば特許文献4~6)に基づきトリアゾール連結型RNAを合成し、さらに該トリアゾール連結型RNAを用いる標準的なホスホロアミダイト法を用いて実施した。13量体のキメラ型TLRNA-RNAの固相合成の全収率は、遊離したトリチルカチオンの吸収から、60%と決定された。固相支持体から標題のキメラ型TLRNA-RNAを切断し、精製した。精製されたキメラ型TLRNA-RNAを、ESI-TOF質量分析に供して、その質量を確認した。MS (ESI-TOF),C127H144N52O83P10[M + 2H]8-に対する計算値: 504.0739, 実測値:504.0738. 24量体のキメラ型TLRNA-RNAの固相合成の全収率は、遊離したトリチルカチオンの吸収から、36%と決定された。固相支持体から標題のキメラ型TLRNA-RNAを切断し、精製した。精製されたキメラ型TLRNA-RNAを、ESI-TOF質量分析に供して、その質量を確認した。MS (ESI-TOF), C236H270N104O154P21[M + 8H]13-に対する計算値: 590.5473, 実測値:590.5472.
【実施例】
【0102】
<II:ジペプチドの合成>
〔II-I:一般的実験方法〕
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による生成物の精製は、ODSカラム(COSMOSIL(登録商標)C18-MS-II, 4.6×250 mm, ナカライテスク)を装着したHPLCシステム(JASCO社)上で実施した。液体シンチレーションカウンターによるジペプチドの定量は、液体シンチレーションシステム(LSC-5100, アロカ社)上で実施した。
【実施例】
【0103】
〔II-II:材料〕
PURExpressインビトロタンパク質合成キットは、NEB社から購入した。35S-メチオニンは、室町薬品から購入した。ナノセップデバイス(分画分子量100 kDa)は、PALL社から購入した。Ni-NTAアガロースは、ライフテクノロジーズ社から購入した。ACSIIは、GEヘルスケア社から購入した。
【実施例】
【0104】
〔II-III:キメラ型TLRNA-RNA鋳型を用いるインビトロ翻訳反応〕
翻訳反応は、[35S]メチオニン(37 TBq/mmol, 1 μL)の追加を除き、PURExpressインビトロタンパク質合成キット(24 μL体積)の標準条件で実施した。キメラ型TLRNA-RNA(10~1000 pmol)を加えることにより、反応を開始した。37℃で4時間又は24時間インキュベーションした後、反応を氷上で停止させ、DEPC-水(50 μL)で希釈した。粗混合物を、ナノセップデバイスを通して微量遠心分離した。その後、濾液をNi-NTAアガロース(20 μL)と混合し、4℃で1時間穏やかに振盪した。ゲルを濾過によって除去した。濾液の一部(40 μL)を、分取HPLCで精製して、[35S]fMet-Phe([35S]メチオニン及び[35S]N-ホルミルメチオニンのジペプチド)以外の35S-放射能標識された物質を除去した。精製前に、濾液(40 μL)を、251 nmの波長によって検出可能な標識剤として、非放射能標識物質(fMet-Phe、メチオニン及びN-ホルミルメチオニンのジペプチド)を水/メタノール(2:1体積/体積, 120 μL)中に含む溶液と混合した。得られた溶液(160 μL)を、逆相カラムにロードして、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含む40%メタノール/水で1.0 mL/分の流速で溶出した。[35S]fMet-Pheを含む分画溶液を、溶離液で1.3 mLまで希釈して、シンチレーションカクテルACSII(1.3 mL)と混合した。[35S]fMet-Pheの放射能(cpm)を、定量用シンチレーションカウンターで計数した。非天然型のトリアゾール連結の効果を試験するため、天然型RNAを用いる反応又はRNA鋳型の添加を行わない反応を実施した。
【実施例】
【0105】
翻訳反応によるジペプチド合成の結果を図1に示す。反応は、13量体のキメラ型TLRNA-RNA(10 pmol)又は13量体のRNA(10 pmol)を鋳型として用いて、37℃で4時間行った。空反応は、外的な鋳型無しで実施した。13量体のキメラ型TLRNA-RNA:5'-GpApUpGpUtUtCpUpApApGpCpU-3';13量体のRNA:5'-GpApUpGpUpUpCpUpApApGpCpU-3'(配列番号1)。反応は三連で実施した。誤差線は、三連の標準偏差を示す。
【実施例】
【0106】
翻訳反応によるジペプチド合成の結果を図2に示す。反応は、13量体のキメラ型TLRNA-RNA(1000 pmol)又は13量体のRNA(1000 pmol)を鋳型として用いて、37℃で24時間行った。空反応は、外的な鋳型無しで実施した。13量体のキメラ型TLRNA-RNA:5'-GpApUpGpUtUtCpUpApApGpCpU-3';13量体のRNA:5'-GpApUpGpUpUpCpUpApApGpCpU-3'(配列番号1)。反応は三連で実施した。誤差線は、三連の標準偏差を示す。
【実施例】
【0107】
翻訳反応によるジペプチド合成の結果を図3に示す。反応は、24量体のキメラ型TLRNA-RNA(10 pmol)又は24量体のRNA(10 pmol)を鋳型として用いて、37℃で4時間行った。空反応は、外的な鋳型無しで実施した。24量体のキメラ型TLRNA-RNA:5'-ApApGpGpApGpGpUpApApApApApUpGpUtUtCpUpApApGpCpU-3';24量体のRNA:5'-ApApGpGpApGpGpUpApApApApApUpGpUpUpCpUpApApGpCpU-3'(配列番号2)。反応は三連で実施した。誤差線は、三連の標準偏差を示す。
【実施例】
【0108】
翻訳反応によるジペプチド合成の結果を図4に示す。反応は、24量体のキメラ型TLRNA-RNA(1000 pmol)又は24量体のRNA(1000 pmol)を鋳型として用いて、37℃で24時間行った。空反応は、外的な鋳型無しで実施した。24量体のキメラ型TLRNA-RNA:5'-ApApGpGpApGpGpUpApApApApApUpGpUtUtCpUpApApGpCpU-3';24量体のRNA:5'-ApApGpGpApGpGpUpApApApApApUpGpUpUpCpUpApApGpCpU-3'(配列番号2)。反応は三連で実施した。誤差線は、三連の標準偏差を示す。
【実施例】
【0109】
24量体のキメラ型TLRNA-RNA(10~1000 pmol)を鋳型として用いて、37℃で4時間又は24時間翻訳反応したジペプチド合成の結果を図5に示す。空反応は、外的な鋳型無しで4時間実施した。24量体のキメラ型TLRNA-RNA:5'-ApApGpGpApGpGpUpApApApApApUpGpUtUtCpUpApApGpCpU-3'(配列番号2)。
【実施例】
【0110】
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除及び/又は置換をすることが可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4