TOP > 国内特許検索 > 組電池システム > 明細書

明細書 :組電池システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-158368 (P2016-158368A)
公開日 平成28年9月1日(2016.9.1)
発明の名称または考案の名称 組電池システム
国際特許分類 H02J   7/00        (2006.01)
H01M  10/48        (2006.01)
H01M  10/42        (2006.01)
H01M   2/10        (2006.01)
H01M   2/20        (2006.01)
H01M   2/22        (2006.01)
FI H02J 7/00 Y
H01M 10/48 P
H01M 10/48 301
H01M 10/42 A
H01M 2/10 E
H01M 2/10 M
H01M 2/20 A
H01M 2/22 C
H01M 2/10 S
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 22
出願番号 特願2015-033935 (P2015-033935)
出願日 平成27年2月24日(2015.2.24)
発明者または考案者 【氏名】福井 正博
出願人 【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
個別代理人の代理人 【識別番号】110000280、【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 5G503
5H030
5H040
5H043
Fターム 5G503BA03
5G503BA05
5G503EA08
5H030AS08
5H030DD15
5H030DD21
5H030DD27
5H030FF22
5H030FF41
5H040AA12
5H040AS07
5H040AT01
5H040AT02
5H040AY05
5H040CC13
5H040DD03
5H040DD04
5H040DD06
5H040DD22
5H040DD26
5H043AA02
5H043AA13
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA05
5H043DA05
5H043DA13
5H043DA20
5H043FA04
5H043FA40
5H043HA07F
5H043HA11D
5H043HA11F
5H043JA02F
5H043JA13D
5H043JA13F
5H043JA26F
5H043KA08D
5H043KA08F
5H043KA09D
5H043KA09F
要約 【課題】使用可能な単電池を無駄なく利用し、長期に亘って安定した電池性能を維持するための情報を提供する。
【解決手段】 組電池システム1は、ベース板6に配列された複数の電池モジュール4を互いに接続して構成されている組電池2と、複数の電池モジュール4それぞれの充放電電力を測定するセンサ部40と、センサ部40の測定結果を表す測定情報(SOC、電流値、電圧値)に基づいて複数の電池モジュール4それぞれの劣化度としての容量Cを求める処理部3と、を備え、複数の電池モジュール4は、それぞれベース板6上の所定の位置に着脱可能に配列され、処理部3は、複数の電池モジュール4それぞれの劣化度に基づいて、組電池2の劣化度を求め、組電池2の劣化度を示す情報を出力する。
【選択図】図7
特許請求の範囲 【請求項1】
ベース板に配列された複数の電池モジュールを互いに接続して構成されている組電池と、
前記複数の電池モジュールそれぞれの充放電電力を測定する測定部と、
前記測定部の測定結果に基づいて前記複数の電池モジュールそれぞれの劣化度を求める処理部と、を備え、
前記複数の電池モジュールは、それぞれ前記ベース板における所定の位置に着脱可能に配列され、
前記処理部は、前記複数の電池モジュールそれぞれの劣化度に基づいて、前記組電池の劣化度を求め、前記組電池の劣化度を示す情報を出力する
組電池システム。
【請求項2】
前記処理部は、前記複数の電池モジュールそれぞれの残寿命を劣化度として求めることで、前記組電池の残寿命を劣化度として求める請求項1に記載の組電池システム。
【請求項3】
前記測定部は、前記複数の電池モジュールそれぞれの温度を測定可能であり、
前記処理部は、前記複数の電池モジュールそれぞれの充放電電力の測定結果及び温度に基づいて前記複数の電池モジュールそれぞれの劣化度を求める請求項1又は2に記載の組電池システム。
【請求項4】
前記処理部は、
前記複数の電池モジュールそれぞれの劣化度に基づいて、交換すべき電池モジュールを特定し、
特定した電池モジュールを示す情報を出力する請求項2又は3に記載の組電池システム。
【請求項5】
前記処理部は、
前記複数の電池モジュールそれぞれの劣化度に基づいて、前記組電池の劣化度を低減し得る一又は複数の電池モジュールの交換の仕方を特定し、
前記一又は複数の電池モジュールの交換の仕方を示す情報を出力する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の組電池システム。
【請求項6】
前記複数の電池モジュールは、それぞれ、溶着固定された導通部材によって互いに接続された複数の単電池によって構成されるとともに、前記複数の単電池を収納する筐体に設けられた当該電池モジュールの正極及び負極となる電極を備え、
前記電極は、圧着によって他の電池モジュールの電極に接続されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の組電池システム。
【請求項7】
前記処理部は、
前記複数の電池モジュールが配列されている前記ベース板における位置を特定するための位置情報を取得する管理部を備え、
前記特定した電池モジュールを示す情報、又は前記複数の電池モジュールそれぞれの交換の仕方を示す情報を、前記位置情報によって表す請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の組電池システム。
【請求項8】
前記複数の電池モジュールは、それぞれ、当該複数の電池モジュールを識別するための識別情報を出力する識別情報出力部を備え、
前記識別情報出力部が出力する前記識別情報を受け付け、前記識別情報と、当該識別情報に対応する電池モジュールの前記位置情報とを対応付けて前記管理部に与える受付部をさらに備えている請求項7に記載の組電池システム。
【請求項9】
複数の電池モジュールを互いに接続して構成されている組電池を備えた組電池システムであって、
前記複数の電池モジュールは、それぞれ、導通部材を電極端子に溶着固定することによって互いに接続された複数の単電池によって構成されるとともに、前記複数の単電池を収納する筐体に設けられた当該電池モジュールの正極及び負極となる電極を備え、前記電極同士を圧着することで互いに接続されている
組電池システム。
【請求項10】
ベース板に配列された複数の電池モジュールを互いに接続して構成されている組電池を備えた組電池システムであって、
前記複数の電池モジュールが配列されている前記ベース板における位置を特定するための位置情報を取得する管理部を備えている
組電池システム。
【請求項11】
前記複数の電池モジュールは、それぞれ、当該複数の電池モジュールを識別するための識別情報を出力する識別情報出力部を備え、
前記識別情報出力部が出力する前記識別情報を受け付け、前記識別情報と、当該識別情報に対応する電池モジュールの前記位置情報とを対応付けて前記管理部に与える受付部をさらに備えている請求項10に記載の組電池システム。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池を接続して構成される組電池を備えた組電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車、住宅等に設置される太陽光発電システム等は、通常電力を貯蔵するために畜電池を備えている。
上記蓄電池としては、二次電池からなる単電池を複数接続して構成されている組電池が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2002-142370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記組電池において、複数の単電池は、それぞれ個々に性能のばらつきを有しているとともに、組電池として配列されたときの位置における環境によって劣化の進行度合にばらつきが生じる。
このため、組電池を継続的に使用したとき、当該組電池を構成する複数の単電池は、全てが同じように経時劣化するわけではなく、劣化の度合が異なる単電池が混在することとなる。
【0005】
ここで、仮に複数の単電池の内、1つでも極端に劣化が進んだものが存在すると、組電池全体としての電池性能が、最も劣化が進んだ単電池の性能に引きずられて劣化してしまうばかりでなく、相対的に劣化が進んでいない単電池に充電ロスや放電ロスを生じさせることとなり、相対的に劣化が進んでいない単電池の劣化までも助長することになる。
このように、複数の単電池の中に1つでも相対的に劣化の進んだものが含まれていると、それが原因となって組電池の寿命を低下させてしまうことがあった。
【0006】
そこで、組電池の中に相対的に劣化の進んだ単電池が存在する場合、その相対的に劣化の進んだ単電池を、より劣化が進行し難い環境の配列位置に変更したり、又は新品と交換したりといった対策を採ることが有効であると考えられる。
【0007】
しかし、上記組電池を構成している複数の単電池は、互いの電極端子を接続する接続部材が溶接やろう付によって取り付けられており、一の組電池としてパッケージングされているのが通常である。
このため、組電池全体として電池性能が劣化すると、当該組電池を構成している個々の単電池の劣化の度合に関係なく、組電池全体としての寿命に達したものとして交換がなされたり、当該組電池が廃棄されたりすることがある。
この場合、まだ使用可能な単電池までも交換や廃棄されてしまうこととなり無駄が生じていた。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、使用可能な単電池を無駄なく利用し、長期に亘って安定した電池性能を維持するための情報を提供することができる組電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る組電池システムは、ベース板に配列された複数の電池モジュールを互いに接続して構成されている組電池と、前記複数の電池モジュールそれぞれの充放電電力を測定する測定部と、前記測定部の測定結果に基づいて前記複数の電池モジュールそれぞれの劣化度を求める処理部と、を備え、前記複数の電池モジュールは、それぞれ前記ベース板における所定の位置に着脱可能に配列され、前記処理部は、前記複数の電池モジュールそれぞれの劣化度に基づいて、前記組電池の劣化度を求め、前記組電池の劣化度を示す情報を出力する。
【0010】
上記のように構成された組電池システムによれば、複数の電池モジュールが着脱可能に配列されているので、当該組電池システムを使用する使用者は、ベース板に配列された電池モジュールを交換し再配列することができる。
よって、組電池の劣化度を示す情報を前記使用者に出力することによって、新たな電池モジュールの交換や複数の電池モジュール同士を交換することによる再配列等を前記使用者に対して促し、できるだけ複数の電池モジュールを用いつつ組電池の寿命を維持させることができる。このように、本発明によれば、使用可能な電池モジュールを無駄なく利用し、長期に亘って安定した電池性能を維持するための情報を提供することができる。
【0011】
(2)上記組電池システムにおいて、前記処理部は、前記複数の電池モジュールそれぞれの残寿命を劣化度として求めることで、前記組電池の残寿命を劣化度として求めることが好ましい。
この場合、複数の電池モジュール及び組電池の将来の劣化傾向を把握することができる。
【0012】
(3)また、前記測定部は、前記複数の電池モジュールそれぞれの温度を測定可能であり、前記処理部は、前記複数の電池モジュールそれぞれの充放電電力の測定結果及び温度に基づいて前記複数の電池モジュールそれぞれの劣化度を求めるものであることが好ましい。
電池モジュールの寿命つまり将来の劣化度は温度に依存する。よってこの場合、処理部は、充放電電力の測定結果に加えて温度も考慮することで、より高い精度で複数の電池モジュール及び組電池の残寿命を求めることができる。
【0013】
(4)前記処理部は、前記複数の電池モジュールそれぞれの劣化度に基づいて、交換すべき電池モジュールを特定し、特定した電池モジュールを示す情報を出力するものであってもよい。
この場合、組電池の劣化度を低減することができる電池モジュールの交換を容易に行うことができる。
【0014】
(5)また、前記処理部は、
前記複数の電池モジュールそれぞれの劣化度に基づいて、前記組電池の劣化度を低減し得る一又は複数の電池モジュールそれぞれの交換の仕方を特定し、前記一又は複数の電池モジュールの交換の仕方を示す情報を出力することが好ましい。
この場合、処理部が出力する交換の仕方を示す情報によって、組電池の劣化度の度合が効果的に低減されるような電池モジュールの交換を容易に行うことができる。
なお、一又は複数の電池モジュールそれぞれの交換には、新品の電池モジュールへの交換と、配列された複数の電池モジュール4を再配列するための電池モジュール4同士の交換を含む。
【0015】
(6)また、上記組電池システムにおいて、前記複数の電池モジュールは、それぞれ、溶着固定された導通部材によって互いに接続された複数の単電池によって構成されるとともに、前記複数の単電池を収納する筐体に設けられた当該電池モジュールの正極及び負極となる電極を備え、前記電極は、圧着によって他の電池モジュールの電極に接続されていてもよい。
この場合、互いに接続されている電池モジュール同士を容易に切り離し、再配列して容易に再接続することができる。
【0016】
(7)また、前記処理部は、
前記複数の電池モジュールが配列されている前記ベース板における位置を特定するための位置情報を取得する管理部を備え、
前記特定した電池モジュールを示す情報、又は前記複数の電池モジュールそれぞれの交換の仕方を示す情報を、前記位置情報によって表すものであってもよい。
(8)さらにこの場合、前記複数の電池モジュールは、それぞれ、当該複数の電池モジュールを識別するための識別情報を出力する識別情報出力部を備え、
前記識別情報出力部が出力する前記識別情報を受け付け、前記識別情報と、当該識別情報に対応する電池モジュールの前記位置情報とを対応付けて前記管理部に与える受付部をさらに備えていてもよい。
この場合、受付部が、複数の電池モジュールの識別情報と、識別情報に対応する電池モジュールの位置情報とを対応付けて管理部に与えるので、識別情報により特定される電池モジュールが配列されている位置を容易に特定することができる。
【0017】
(9)また、本発明は、複数の電池モジュールを互いに接続して構成されている組電池を備えた組電池システムであって、
前記複数の電池モジュールは、それぞれ、導通部材を電極端子に溶着固定することによって互いに接続された複数の単電池によって構成されるとともに、前記複数の単電池を収納する筐体に設けられた当該電池モジュールの正極及び負極となる電極を備え、前記電極同士を圧着することで互いに接続されている。
上記構成によれば、互いに接続されている電池モジュール同士を容易に切り離し、再配列して容易に再接続することができる。
【0018】
(10)また、本発明は、ベース板に配列された複数の電池モジュールを互いに接続して構成されている組電池を備えた組電池システムであって、
前記複数の電池モジュールが配列されている前記ベース板における位置を特定するための位置情報を取得する管理部を備えている。
【0019】
(11)上記組電池システムにおいて、前記複数の電池モジュールは、それぞれ、当該複数の電池モジュールを識別するための識別情報を出力する識別情報出力部を備え、
前記識別情報出力部が出力する前記識別情報を受け付け、前記識別情報と、当該識別情報に対応する電池モジュールの前記位置情報とを対応付けて前記管理部に与える受付部をさらに備えていることが好ましい。
この場合、受付部が、複数の電池モジュールの識別情報と、識別情報に対応する電池モジュールの位置情報とを対応付けて管理部に与えるので、識別情報により特定される電池モジュールの配列されている位置を容易に特定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、使用可能な単電池を無駄なく利用し、長期に亘って安定した電池性能を維持するための情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】組電池システムの外観図である。
【図2】電池モジュールの構成を示す図である。
【図3】電池モジュール同士の接続態様を示す図である。
【図4】(a)は、電池モジュールがベース板に取り付けられる前の状態を示した図、(b)は、電池モジュールがベース板に取り付けられ保持された状態を示した図である。
【図5】処理部と、電池モジュールのセンサ部との信号経路を示す図である。
【図6】電池モジュール及びセンサ部の回路図である。
【図7】処理部の機能的構成をを示すブロック図である。
【図8】ベース板上の位置に対して割り当てられている位置情報の一例を示す図である。
【図9】処理部が行う劣化度評価処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】残寿命推定部が行う残寿命推定値の求め方を説明するためのグラフである。
【図11】配列特定部が求めた新たな配列位置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔システムの全体構成について〕
図1は、組電池システムの外観図である。図中、組電池システム1は、組電池2と、処理部3とを備えている。

【0023】
組電池2は、複数の電池モジュール4と、複数の電池モジュール4を収納しているハウジング5とを備えている。なお、図1では、ハウジング5の一部を破断して示している。
各電池モジュール4は、ハウジング5内の所定位置に配列されている。なお、図例では、16個の電池モジュールが縦横に並べられて格子状に配列されている。
各電池モジュール4は、後述するように、内部に1又は複数の二次電池からなる単電池を備えており、それぞれが所定の容量の蓄電池を構成している。各電池モジュール4は、接続部材20及び接続バー9によって、互いに並列又は直列に接続されている。組電池2は、複数の電池モジュール4を互いに接続し組み合わせることによって蓄電池として構成されている。
直列に接続された複数の電池モジュール4それぞれの正極端同士(負極端同士)を接続している接続バー9の先端部9aには、組電池2の電極端子(図示省略)が設けられている。

【0024】
ハウジング5は、複数の電池モジュール4を保持しているベース板6と、ベース板6上の複数の電池モジュール4を覆っているカバー7とを備えている。
ベース板6は、各電池モジュール4をハウジング5内の所定位置に着脱可能に保持している。また、ベース板6には、電池モジュール4に設けられているセンサ部(後に説明する)と、処理部3とが接続されている。
ベース板6は、前記センサ部からの出力を受け付けて処理部3に与えるための機能を有している。

【0025】
カバー7は、ベース板6の上面側に設けられ、複数の電池モジュール4を覆うことで当該複数の電池モジュール4をハウジング5内に収納し、複数の電池モジュール4を外部環境から保護している。

【0026】
処理部3は、組電池2から延びている通信ケーブル8により組電池2と接続されており、組電池2の現状の容量や、寿命予測といった劣化度を求める処理を行う。
処理部3は、プロセッサと、ROMやRAM等からなる記憶部と、入出力部とを備えたマイコンによって構成されている。前記記憶部には処理部3を動作させるためのオペレーティングシステムの他、後述する処理部3が有する機能を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されている。

【0027】
〔電池モジュールについて〕
図2は、電池モジュール4の構成を示す図である。
図2に示すように、電池モジュール4は、複数の単電池10(図例では4つ)と、複数の単電池10を収納しているケース11とを備えている。
各単電池10は、例えば、リチウムイオン電池であり、銅板やアルミニウム合金板等によって形成された導通部材12によって直列に接続されている。
導通部材12は、一端が単電池10の電極端子10a(正極端子)に溶接固定されているとともに、他端が他の単電池の電極端子10a(負極端子)に溶接固定されている。これによって、各単電池10は、電極端子10aに溶接固定された導通部材12によって直列接続されている。

【0028】
直列接続された複数の単電池10群の正極端を構成する電極端子10bには、電池モジュール4の正極となる第1電極タブ13が溶接されている。
また、直列接続された複数の単電池10群の負極端を構成する電極端子10cには、電池モジュール4の負極となる第2電極タブ14が溶接されている。

【0029】
第1電極タブ13及び第2電極タブ14は、銅板やアルミニウム合金板等によって形成された板状の部材であり、ケース11の内部から外部に向けて突出し、ケース11の外部に露出するように設けられている。
また、第1電極タブ13及び第2電極タブ14の先端部には、後述する圧着用のボルトを挿通するための孔部13a及び孔部14aが設けられている。

【0030】
各電池モジュール4の電極タブ13,14は、他の電池モジュール4の電極タブ13,14に接続されている。これによって、各電池モジュール4は互いに接続されている。
図3は、電池モジュール4同士の接続態様を示す図である。
図3に示すように、電池モジュール4の第1電極タブ13は、接続部材20を介して隣接する他の電池モジュール4の第2電極タブ14に接続されている。
接続部材20は、銅板やアルミニウム合金板等によって形成された板状の部材である。
接続部材20の一端部20aには、第1電極タブ13の先端部に取り付けられたボルト21が挿通可能な孔部が形成されている。接続部材20の一端部20aと、第1電極タブ13とは、共にボルト21が挿通された状態でナット22が締め付けられることで共締めされ、互いに圧着されている。

【0031】
接続部材20の他端部20bも一端部20aと同様にボルト21が挿通可能な孔部が形成されている。接続部材20の他端部20bと、第2電極タブ14とは、共にボルト21が挿通された状態でナット22が締め付けられることで共締めされ、互いに圧着されている。
以上のようにして、電極タブ13,14は、当該電極タブ13,14に圧着された接続部材20を介して他の電池モジュール4の電極タブ13,14に接続されている。
このように、各電池モジュール4は、電極タブ13,14に圧着されている接続部材20によって接続されているので、互いに接続されている電池モジュール4同士を容易に切り離し、再配列して容易に再接続することができる。

【0032】
なお、図2及び図3に示した電池モジュール4の電極タブ13,14は、共にケース11の上面縁であって、同一の辺縁から突出させた場合を例示したが、例えば、図1中、接続バー9に接続された電池モジュール4のように、電極タブ13,14それぞれを異なる辺縁から突出させてもよいし、一方の辺縁に電極タブ13を設け反対側の辺縁に電極タブ14を設けてもよい。また、電極タブ13,14は、ケース11の下側から突出させてもよいし、圧着可能であれば、ケース11の外面に沿って設けてもよい。

【0033】
図4(a)は、電池モジュール4がベース板6に取り付けられる前の状態を示した図である。
図4(a)に示すように、ベース板6には、電池モジュール4を保持するための保持凹部25が形成されている。保持凹部25は、ベース板6の上面6aに対して矩形状に凹むように形成されている。保持凹部25は、電池モジュール4が挿入可能な寸法とされており、当該保持凹部25の内側に挿入される電池モジュール4を保持する。
また、保持凹部25は、ハウジング5内で電池モジュール4の配列位置に従って設けられており、各電池モジュール4は、保持凹部25に挿入保持されることでハウジング5内の所定の位置に位置決めされる。

【0034】
本実施形態では、上述のように、16個の電池モジュールが縦横に並べられて格子状に配列されている。よって、保持凹部25は、ベース板6の上面6aに電池モジュール4の位置に対応して16箇所形成されている。

【0035】
電池モジュール4のケース11には、第1コネクタ30が設けられている。
第1コネクタ30は、電池モジュール4のケース11内に設けられた電池モジュール4の状態を測定するためのセンサ部(後に詳述する)に接続されており、センサ部からの信号を出力する。

【0036】
また、ベース板6の上面6aには、第1コネクタ30に接続可能な第2コネクタ31が各保持凹部25に対応して設けられている。第2コネクタ31は、上面6aにおける各保持凹部25の縁部26に設けられており、電池モジュール4が保持凹部25に挿入保持されたときに、第1コネクタ30に接続される位置に設けられている。
第2コネクタ31は、図示しない通信経路によって処理部3(図1)に接続されている。よって、前記センサ部からの信号は、第2コネクタ31から前記通信経路を通じて処理部3に与えられる。

【0037】
図4(b)は、電池モジュール4がベース板6に取り付けられ保持された状態を示した図である。
図4(b)に示すように、電池モジュール4が保持凹部25に挿入保持された状態で、第1コネクタ30と第2コネクタ31とは互いに接続されている。
このように、電池モジュール4を保持凹部25に挿入保持すれば、第1コネクタ30、及び第2コネクタ31は、互いに接続される。

【0038】
ベース板6上に配列される各電池モジュール4の第1コネクタ30は、電池モジュール4が配列された保持凹部25の縁部26に設けられた第2コネクタ31に接続される。
よって、各電池モジュール4が備えるセンサ部は、全て処理部3に接続される。

【0039】
図5は、処理部3と、電池モジュール4のセンサ部との信号経路を示す図である。
図5に示すように、各電池モジュール4の第1コネクタ30にはセンサ部40が接続されている。
複数の電池モジュール4に対応する複数の第2コネクタ31は、信号経路33に順次接続されており、信号経路33の端部に処理部3が接続されている。
また、各第2コネクタ31それぞれの後段には、フリップフロップ35が接続されている。
処理部3は、各フリップフロップ35に対してクロック信号を与える。これによって、処理部3には、各センサ部40が出力した信号が順次与えられる。
つまり、信号経路33と、各フリップフロップ35とは、シフトレジスタを構成している。

【0040】
また、処理部3に与えられる信号は、シフトレジスタを構成している信号経路33及び各フリップフロップ35から与えられるため、処理部3に最も近い位置に接続されているセンサ部40から順番に信号が与えられる。
よって、各第2コネクタ31の接続順と、そのベース板6上の位置との関係を対応付けておくことで、処理部3は、信号が与えられるときの順番によって、その信号を出力したセンサ部40のベース板6上の位置を特定することができる。

【0041】
図6は、電池モジュール4及びセンサ部40の回路図である。
図6に示すように、電池モジュール4は、複数の単電池10(図例では4つ)が直列に接続されている。直列接続された複数の単電池10の正極端には、第1電極タブ13が設けられている。また、直列接続された複数の単電池10の負極端には、第2電極タブ14が設けられている。

【0042】
センサ部40は、電池モジュール4が放電する直流電力の電流値を測定するための電流センサ41と、電池モジュール4の端子間電圧を測定するための電圧センサ42と、電池モジュール4の内部温度を測定するための温度センサ43と、電池モジュール4の状態測定に関する処理を行う制御部44と、各種情報を記憶するための記憶部45とを備えている。

【0043】
電流センサ41は、電池モジュール4が充放電する際の直流電力の電流値を測定し、測定結果を示す信号を制御部44に与える。
電圧センサ42は、電池モジュール4が充放電する際の直流電力の電圧値を測定し、測定結果を示す信号を制御部44に与える。
温度センサ43は、現状の電池モジュール4内部の温度を測定し、測定結果を示す信号を制御部44に与える。
つまり、センサ部40は、電池モジュール4の充放電電力を測定するとともに、電池モジュール4の内部温度を測定する機能を有している。

【0044】
制御部44は、各センサ41,42,43から与えられる信号に基づいて、電池モジュール4の蓄電残量を示す値である蓄電率(SOC:State of charge)を推定する。また、制御部44は、各センサ41,42,43から与えられる信号に基づいて各センサ41,42,43による測定値を示す情報を生成する。さらに、制御部44は、推定したSOCを示す情報と、各センサ41,42,43による測定値を示す情報とを含んだ測定信号を生成し、第1コネクタ30及び第2コネクタ31を介して処理部3に向けて出力する。

【0045】
記憶部45には、各電池モジュール4それぞれに与えられた固有のID情報(識別情報)が記憶されている。
制御部44は、生成した測定信号にID情報を付加し、ID情報を付加した測定信号を処理部3に向けて出力する。

【0046】
よって、処理部3は、センサ部40から与えられた測定信号に付加されているID情報を参照することで、与えられた測定信号がいずれの電池モジュール4の測定結果を示すものであるかを把握することができる。

【0047】
〔処理部について〕
図7は、処理部3の機能的構成をを示すブロック図である。
図7に示すように、処理部3は、管理部50と、容量演算部51と、交換モジュール特定部52と、出力部53と、残寿命推定部54と、配列特定部55と、データベースDBとを機能的に有している。

【0048】
管理部50は、各電池モジュール4が配列されているベース板6上の位置を特定するための位置情報を取得する機能を有している。

【0049】
図8は、ベース板6上の位置に対して割り当てられている位置情報の一例を示す図である。
図8に示すように、16個の電池モジュール4を配列するためのベース板6上の各位置それぞれに対して、固有の位置情報として「1」から「16」までの位置番号が割り当てられている。
管理部50は、予め、各位置番号と、ベース板6上の各位置との対応関係を記憶している。よって、管理部50は、位置番号を取得することによって、電池モジュール4の配列位置を特定することができる。

【0050】
管理部50は、各電池モジュール4のセンサ部40に接続されており、各センサ部40からの測定信号が与えられる。
ここで、ベース板6上の各位置に対応して設けられている第2コネクタ31は、位置番号の順番に従って信号経路33(図5)に接続されている。
つまり、位置番号「1」の位置に設けられている第2コネクタ31は、信号経路33において最も処理部3に近い位置に接続され、以降、順番に位置番号「2」の位置の第2コネクタ31、位置番号「3」の位置の第2コネクタ31、・・・と接続され、位置番号「16」の位置の第2コネクタ31が信号経路33において最も処理部3に遠い位置に接続されている。

【0051】
上述したように、処理部3に与えられる信号は、シフトレジスタを構成している信号経路33及び各フリップフロップ35から与えられるため、処理部3に最も近い位置に接続されているセンサ部40から順番に信号が与えられる。

【0052】
よって、フリップフロップ35にクロック信号を与えることで管理部50に順次与えられる複数の測定信号の内、1番目に与えられる測定信号は、位置番号「1」の位置の第2コネクタ31に接続されたセンサ部40が出力する測定信号であり、2番目に与えられる測定信号は、位置番号「2」の位置に設けられている第2コネクタ31に接続されたセンサ部40が出力する測定信号である。以降、管理部50に順次与えられる複数の測定信号は、各センサ部40が接続されている第2コネクタ31の位置番号の順番に従って管理部50に与えられる。

【0053】
よって、管理部50は、測定信号が与えられるときの順番によって、その測定信号を出力したセンサ部40の位置番号を取得することができる。
また、上述したように測定信号には、各電池モジュール4のID情報が付加されている。よって、管理部50は、測定信号を受け付けると、その測定信号が与えられるときの順番からその測定信号を出力したセンサ部40の位置番号を取得し、そのセンサ部40が設けられている電池モジュール4の配列位置を特定することができる。
また、管理部50は、当該測定信号に付加されているID情報から、当該測定信号を送信したセンサ部40の電池モジュール4を特定することができる。

【0054】
以上のように、管理部50に測定信号が与えられると、管理部50には、電池モジュール4のID情報と、当該ID情報に対応する電池モジュール4の位置情報とが対応付けて与えられる。
これにより、管理部50は、ID情報によって特定される電池モジュール4の配列されている位置を容易に特定することができる。

【0055】
つまり、シフトレジスタを構成している信号経路33及び各フリップフロップ35、並びに信号経路33に接続されている各第2コネクタ31は、センサ部40が出力するID情報を受け付け、ID情報と、当該ID情報に対応する電池モジュール4の位置情報とを対応付けて管理部50に与える受付部を構成している。

【0056】
仮に、管理部50に与えられる測定信号に付加されているID情報が、1番目に与えられる測定信号から順番に、ID=「1」、ID=「2」、ID=「3」・・・ID=「16」と設定されているとすると、管理部50は、図8に示すように、各電池モジュール4のID情報と、位置番号とを対応付け、データベースDBに登録する。

【0057】
データベースDBは、各電池モジュール4のID情報に対応付けて、各種情報を経時的に登録することができるように構成されている。

【0058】
このように、受付部を構成する各部が各電池モジュール4のID情報と、ID情報に対応する電池モジュール4の位置情報である位置番号とを対応付けて管理部50に与えるので、各電池モジュール4が配列されている位置を容易に特定することができる。

【0059】
図7に戻って、管理部50は、さらに、各センサ部40からの測定信号から各電池モジュール4の測定値(SOC、電流値、電圧値、及び温度)を表す測定情報を取得し、測定情報を各電池モジュール4のID情報に対応付けてデータベースDBに登録する。

【0060】
処理部3は、データベースDBに登録されている各種情報に基づいて、各電池モジュール4及び組電池2の劣化度を評価する処理(劣化度評価処理)を行う。
図9は、処理部3が行う劣化度評価処理の手順を示すフローチャートである。
図9及び図7も参照して、管理部50が測定情報を取得し(ステップS1)、位置番号及び測定情報を各電池モジュール4のID情報に対応付けてデータベースDBに登録すると、処理部3は、容量演算部51に各電池モジュール4の現状の容量を演算させる(ステップS2)。

【0061】
容量演算部51は、測定情報に基づいて各電池モジュール4の現状の容量を求める機能を有している。
容量演算部51は、下記式(1)に基づいて各電池モジュール4の現状の容量を求める。

【0062】
【数1】
JP2016158368A_000003t.gif

【0063】
なお、式(1)中、Cは、容量、iは、電流を示している。また、時間tは、ある時間を示しており、時間tは、時間tから所定期間だけ経過した時間を示しており、SOCは、時間tにおけるSOC、SOCは、時間t2におけるSOCを示している。
上記式(1)は、一定期間における電流の積算値をSOCの変化で除算することで容量を求めている。
容量演算部51は、最新の測定情報に含まれる測定値が測定されたときを時間tとし、時間tよりも所定期間過去のときである時間tとして、時間tから時間tまでの間の測定値(SOC、電流値)を用いて各電池モジュール4の現状の容量Cを求める。

【0064】
なお、データベースDBには、各電池モジュール4の過去の測定情報がID情報に対応付けて経時的に登録されている。よって、各機能部は必要な情報をデータベースDBから取得ことができる。
容量演算部51は、データベースDBに登録されている最新の測定情報、及び過去の測定情報を用いることで各電池モジュール4の現状の容量Cを求める。

【0065】
各電池モジュール4の現状の容量Cを求めると、容量演算部51は、求めた各電池モジュール4の現状の容量Cを、各電池モジュール4のID情報に対応付けてデータベースDBに登録する。

【0066】
容量演算部51が、現状の容量Cを各電池モジュール4のID情報に対応付けてデータベースDBに登録すると、処理部3は、交換モジュール特定部52に各電池モジュール4の現状の容量Cに関する判定を実行させる(ステップS3)。

【0067】
交換モジュール特定部52は、各電池モジュール4の内、現状の容量Cが予め設定された容量の閾値CThよりも小さい電池モジュール4が含まれていないか否かを判定する(ステップS3)。

【0068】
現状の容量Cが予め設定された容量の閾値CThよりも小さい電池モジュール4が含まれている場合、交換モジュール特定部52は、ステップS4に進み、現状の容量Cが閾値CThよりも小さい電池モジュール4を特定し、特定した電池モジュール4が交換すべき電池モジュール4であることを示す情報をデータベースDBに登録する(ステップS4)。このように、交換モジュール特定部52は、電池モジュール4の劣化度を示す現状の容量Cに基づいて、交換すべき電池モジュール4を特定する機能を有している。

【0069】
なお、閾値CThは、本実施形態の電池モジュール4が実用上使用できず寿命に到達していると判断することができる容量に設定されている。よって、交換モジュール特定部52は、現状寿命に到達しているために新品と交換すべき電池モジュールを特定する。

【0070】
交換モジュール特定部52が交換すべき電池モジュール4であることを示す情報をデータベースDBに登録すると、処理部3は、出力部53に、データベースDBに登録されている情報を当該組電池システム1の使用者に対して出力させ(ステップS5)、処理を終える。

【0071】
出力部53は、データベースDBに登録されている情報を前記使用者に対して出力する機能を有している。
出力部53は、データベースDBに登録されている電池モジュール4の現状の容量C、位置番号に加え、電池モジュール4が交換すべき電池モジュール4であることを示す情報を電池モジュール4のID情報ごとに出力する。
また、組電池2全体の残寿命は、各電池モジュール4の残寿命の内、最も少ない残寿命に依存する。このため、処理部3は、交換すべき電池モジュール4の存在によって、組電池2全体が寿命に達していることを当該組電池2の劣化度を示す情報として出力する。
これによって、出力部53は、新品と交換すべき電池モジュール4のID情報及び位置番号といった情報や、組電池2の劣化度を示す情報を前記使用者に提供することができる。

【0072】
出力部53は、新品と交換すべき電池モジュール4のID情報及び位置番号を、前記使用者に対して「新品と交換しなければならない電池モジュール」として表示し、前記使用者に対して、新品と交換すべき電池モジュール4を新品に交換することを促すことができる。
つまり、処理部3の交換モジュール特定部52は、組電池2の劣化度を低減し得る一又は複数の電池モジュール4それぞれの交換の仕方(新品への交換)を特定し、処理部3の出力部53は、一又は複数の電池モジュール4それぞれの交換の仕方を示す情報を出力する。

【0073】
なお、出力部53は、ディスプレイや印刷等による表示や、スピーカ等から発せられる音等によって、前記使用者に対して上述の情報を提供することができる。

【0074】
ステップS3において、現状の容量Cが予め設定された容量の閾値CThよりも小さい電池モジュール4が含まれていないと判定する場合、処理部3は、残寿命推定部54に各電池モジュール4の残寿命の推定値を求めさせる(ステップS6)。

【0075】
残寿命推定部54は、各電池モジュール4の測定情報に基づいて、各電池モジュール4の残寿命の推定値を求める機能を有している。
残寿命推定部54は、予め実験的に得た電池モジュール4の容量と、使用時間との関係に基づいて最小二乗法によって求めた容量の劣化を示す劣化予測式を記憶しており、この劣化予測式に基づいて、電池モジュール4の残寿命を求める。

【0076】
図10は、残寿命推定部54が行う残寿命推定値の求め方を説明するためのグラフである。
図10中、劣化予測曲線として表現される劣化予測式は、以下のようにして求めた。
すなわち、予め、電池モジュール4の容量Cと、使用時間tとの関係を実際の電池モジュール4を使用して実験的に測定し、その測定値を用いて、最小二乗法によって近似式を求め、電池モジュール4の容量Cを使用時間tで表した近似式を劣化予測式とした。劣化予測式は、下記式(2)のように表すことができる。
C = f(t) ・・・(2)

【0077】
なお、式(2)中、Cは電池モジュール4の容量、tは使用時間である。
ここで、電池の容量劣化は、使用温度に依存しているため、使用温度についても考慮が必要である。そこで、実際の電池モジュール4を使用した実験であって式(2)を求めるための実験について、所定の複数の使用温度それぞれの場合について行い、各温度における劣化予測式を求めた。

【0078】
さらに、電池の内部反応は化学反応であるため、電池の容量劣化はアレニウスの法則に従うと仮定し、電池モジュール4の容量Cと、使用温度との関係をアレニウスの式によって近似化し、下記式(3)に示すように、使用温度も考慮した劣化予測式を求めた。
C = f(t,Temp) ・・・(3)

【0079】
なお、式(3)中、Tempは、使用温度である。式(3)は、電池モジュール4の容量Cを、使用時間tと、使用温度Tempとの関数fによって表している。

【0080】
残寿命推定部54は、上記式(3)を記憶しており、測定情報に含まれる現状の容量C、及び電池モジュール4の内部温度を式(3)に代入する。
これにより、残寿命推定部54は、図10中、予測曲線における現状の使用時間tを求めることができる。
また、残寿命推定部54は、上述の容量の閾値CTh、及び電池モジュール4の内部温度を式(3)に代入する。
これにより、残寿命推定部54は、図10中、予測曲線における閾値CThとなることによって寿命に達すると推定されるときの寿命時間tを求めることができる。
残寿命推定部54は、この寿命時間tと、現状の使用時間tとの差を残寿命推定値tとして求める。

【0081】
残寿命推定部54は、データベースDBに登録されている各電池モジュール4の測定情報それぞれに基づいて残寿命推定値tを求める。
次いで、残寿命推定部54は、求めた各電池モジュール4の残寿命推定値tの内、最大残寿命推定値trmaxと、最小残寿命推定値trminとの差である最大残寿命差Δtを求める。
図9に戻って、残寿命推定部54は、この最大残寿命差Δtが予め設定された所定の閾値tThより小さいか否かを判定する(ステップS7)。

【0082】
最大残寿命差Δtrが閾値tThより小さくない(閾値tTh以上である)場合、残寿命推定部54は、各電池モジュール4の間で残寿命推定値trの乖離が大きいと判断し、処理部3は、配列特定部55に各電池モジュール4の新たな配列位置を求めさせる(ステップS8)。
組電池2全体の残寿命は、各電池モジュール4の残寿命の内、最も少ない残寿命に依存する。このため、処理部3は、最小残寿命推定値trminをできるだけ大きくし得る新たな配列位置を配列特定部55に求めさせる。

【0083】
配列特定部55は、原則として、最大残寿命推定値trmaxである電池モジュール4の位置と、最小残寿命推定値trminである電池モジュール4の位置との間にある電池モジュール4の順番を並べ換えることで、最小残寿命推定値trminをできるだけ大きくし、組電池2全体の劣化度を低減し得る新たな配列位置を求める。

【0084】
図11は、配列特定部55が求めた新たな配列位置の一例を示す図である。
図11は、配列特定部55が、図8に示す配列位置に対して、新たな配列位置を求めた場合を示している。

【0085】
電池は、使用温度が高くなれば容量の劣化が早く、寿命短縮の要因となる。
ここで、電池モジュール4の周囲が電池モジュール4で囲まれていれば、囲まれていない電池モジュール4と比較して、その内部温度は相対的に高くなる。
図8の配列の場合、ベース板6の四隅である位置番号「1」「4」「13」「16」に配列される電池モジュール4の内部温度が相対的に低くなり、ベース板6の中心部である位置番号「6」「7」「13」「16」に配列される電池モジュール4の内部温度が相対的に高くなる。
このため、ベース板6の中心部である位置番号「6」「7」「13」「16」に配列される電池モジュール4は、他の電池モジュール4よりも電池寿命が短くなる傾向がある。

【0086】
そこで、図10では、ベース板6の中心部である位置番号「6」「7」「13」「16」に配列される電池モジュール4が最小残寿命推定値trminであり、ベース板6の四隅である位置番号「1」「4」「13」「16」に配列される電池モジュール4が最大残寿命推定値trmaxである場合に、配列特定部55が求める新たな配置を示している。

【0087】
図11では、図8において位置番号「1」に配列されていたID=「1」の電池モジュール4と、図8において位置番号「6」に配列されていたID=「6」の電池モジュール4とを交換している。同様に、図8において位置番号「4」に配列されていたID=「4」の電池モジュール4と、図8において位置番号「7」に配列されていたID=「7」の電池モジュール4とを交換し、図8において位置番号「10」に配列されていたID=「10」の電池モジュール4と、図8において位置番号「13」に配列されていたID=「13」の電池モジュール4とを交換し、図8において位置番号「11」に配列されていたID=「11」の電池モジュール4と、図8において位置番号「16」に配列されていたID=「16」の電池モジュール4とを交換している。
なお、他の電池モジュール4については、配列に変更はなく、記載を省略している。

【0088】
このように、図11では、図8においてベース板6の中心部である位置番号「6」「7」「13」「16」に配列されていた電池モジュール4と、図8においてベース板6の四隅である位置番号「1」「4」「13」「16」に配列されていた電池モジュール4とを入れ換えた配列位置を示している。

【0089】
新たな配列位置を求めると、配列特定部55は、新たな配列位置を示す情報を残寿命推定部54に与える。
図9を参照して、新たな配列位置を示す情報が残寿命推定部54に与えられると、処理部3は、再度ステップS6に戻り、残寿命推定部54に各電池モジュール4の残寿命推定値tを求めさせる(ステップS6)。
残寿命推定部54は、新たな配列位置とされた場合における、各電池モジュール4の残寿命推定値tを求める。

【0090】
なお、ここで、新たな配列位置に基づいて残寿命推定値trを求める場合、容量については、その電池モジュール4の現状の容量を用いるが、内部温度(使用温度Temp)については、配列位置を変更する前に配列されていた電池モジュール4の測定情報に含まれている内部温度を用いる。
上述したように、電池モジュール4の内部温度は、電池モジュール4の配列位置に依存している。このため、内部温度については、電池モジュール4を交換したとしても、その配列位置で測定された値を用いる。

【0091】
例えば、図11中、位置番号「6」に配列位置が変更されたID=「1」の電池モジュール4については、残寿命推定値trを求めるために、ID=「1」の電池モジュール4の現状の容量と、ID=「6」の電池モジュール4の測定情報に含まれるID=「6」の電池モジュール4の内部温度とを用いる。
これによって、残寿命推定部54は、ID=「6」の電池モジュール4を位置番号「6」に配置したときの残寿命推定値tを求めることができる。

【0092】
残寿命推定部54は、他の電池モジュール4の残寿命推定値tについても上記と同様の手法によって求め、新たな配列位置としたときの最大残寿命推定値trmaxと、最小残寿命推定値trminとの最大残寿命差Δtを求める。
次いで、残寿命推定部54は、この最大残寿命差Δtが所定の閾値tThより小さいか否かを判定する(ステップS7)。

【0093】
残寿命推定部54により最大残寿命差Δtが閾値tThより小さいと判定されると、処理部3は、ステップS9に進む。つまり、処理部3は、最大残寿命差Δtが閾値tThより小さいと判定されるまで、ステップS6からステップS8を繰り返し実行する。
これによって、処理部3は、最小残寿命推定値trminをできるだけ大きくし、組電池2全体の劣化度を低減し得る新たな配列位置を求めることができる。

【0094】
なお、ステップS7において、新たな配列位置としたときの最小残寿命推定値trminが、現状の配列位置での最小残寿命推定値trminよりも大きくなっていることをステップS9に進む条件としてさらに加えてもよい。

【0095】
ステップS9において、処理部3は、現状の配列位置での最小残寿命推定値trminを現状の組電池2の残寿命として出力部53に出力させる。また、処理部3は、新たな配列位置を求めた場合、最後に求めた、新たな配列位置としたときの最小残寿命推定値trminを、各電池モジュール4を新たな配列位置に配列し直したときの組電池2の推定残寿命として出力部53に出力させる。
さらに、処理部3は、最後に求めた、新たな配列位置を示す情報を出力させる。
加えて、処理部3は、データベースDBに登録されている各電池モジュール4の現状の容量C及び位置番号を電池モジュール4のID情報ごとに出力させてもよい。

【0096】
処理部3は、上述の現状の組電池2の残寿命や、新たな配列位置に配列し直したときの組電池2の推定残寿命、新たな配列位置を示す情報を出力させると、処理を終える。
このように、処理部3は、複数の電池モジュール4それぞれの劣化度としての最小残寿命推定値tに基づいて新たな配列位置を求め、複数の電池モジュール4同士で交換すべき電池モジュールを特定し、特定した電池モジュール4を示す情報を出力する。

【0097】
つまり、処理部3は、組電池2の劣化度を低減し得る複数の電池モジュール4それぞれの交換の仕方(配列された複数の電池モジュール4を再配列するための電池モジュール4同士の交換)を特定し、複数の電池モジュール4それぞれの交換の仕方を示す情報を出力する。

【0098】
本実施形態では、処理部3が現状の配列位置での組電池2の残寿命と、新たな配列位置に配列し直したときの組電池2の推定残寿命とを出力するので、新たな配列位置を採用することで、どの程度劣化度合の軽減がなされるのかを使用者に対して提示することができる。

【0099】
〔効果について〕
本実施形態の組電池システム1は、ベース板6に配列された複数の電池モジュール4を互いに接続して構成されている組電池2と、複数の電池モジュール4それぞれの充放電電力を測定するセンサ部40と、センサ部40の測定結果を表す測定情報(SOC、電流値、電圧値)に基づいて複数の電池モジュール4それぞれの劣化度としての容量Cを求める処理部3と、を備え、複数の電池モジュール4は、それぞれベース板6上の所定の位置に着脱可能に配列され、処理部3は、複数の電池モジュール4それぞれの劣化度に基づいて、組電池2の劣化度を求め、組電池2の劣化度を示す情報を出力する。

【0100】
上記のように構成された組電池システム1によれば、複数の電池モジュール4が着脱可能に配列されているので、当該組電池システム1を使用する使用者は、電池モジュール4を交換し再配列することができる。
よって、電池モジュール4それぞれの劣化度を示す情報である、現状の容量Cや残寿命推定値を出力することによって、新たな電池モジュール4への交換や複数の電池モジュール4同士を交換することによる再配列等を前記使用者に対して促すことができる。このように、本発明によれば、使用可能な電池モジュール4を無駄なく利用し、長期に亘って安定した電池性能を維持するための情報を提供することができる。

【0101】
また、上記実施形態では、処理部3は、複数の電池モジュール4それぞれの残寿命推定値tを劣化度として求め、さらに残寿命推定値tに基づいて組電池2の残寿命を劣化度として求めるので、複数の電池モジュール4及び組電池2の将来の劣化傾向を把握することができる。

【0102】
また、センサ部40は、複数の電池モジュール4それぞれの内部温度を測定可能であり、処理部3は、複数の電池モジュール4それぞれの充放電電力の測定結果(SOC、電流値、電圧値)及び内部温度に基づいて複数の電池モジュール4それぞれの残寿命推定値tを求める。
ここで、各電池モジュール4及び組電池2の残寿命推定値、つまり、将来の劣化度を示す将来の容量Cは、温度に依存する傾向がある。よってこの場合、処理部3は、充放電電力の測定結果に加えて内部温度を考慮することで、各電池モジュール4及び組電池2の残寿命推定値をより高い精度で求めることができる。

【0103】
また、処理部3は、複数の電池モジュール4それぞれの劣化度としての現状の容量Cに基づいて、寿命に到達しているために新品と交換すべき電池モジュールを特定するとともに(ステップS3)、複数の電池モジュール4それぞれの劣化度としての最小残寿命推定値tに基づいて新たな配列位置を求め、複数の電池モジュール4同士で交換すべき電池モジュールを特定する(ステップS6-S8)。さらに処理部3は、特定した電池モジュール4を示す情報を出力する(ステップS5、S9)。これにより、組電池の劣化度を低減することができる電池モジュールの交換を容易に行うことができる。

【0104】
〔その他〕
本発明は、上記各実施形態に限定されない。例えば、上記各実施形態では、単電池としてリチウムイオン電池を用いた場合を示したが、他の種類の単電池を用いて電池モジュールを構成してもよい。
また、上記実施形態では、センサ部40の制御部44が電池モジュール4のSOCを求めるように構成した場合を例示したが、センサ部40が、各センサ41,42,43が測定した電流値、電圧値、及び温度に関する情報を処理部3に与え、処理部3でSOCを求めるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 組電池システム
2 組電池
3 処理部
4 電池モジュール
5 ハウジング
6 ベース板
6a 上面
7 カバー
8 通信ケーブル
10 単電池
10a 電極端子
10b 電極端子
10c 電極端子
11 ケース
12 導通部材
13 第1電極タブ
13a 孔部
14 第2電極タブ
14a 孔部
20 接続部材
20a 一端部
20b 他端部
21 ボルト
22 ナット
25 保持凹部
26 縁部
30 第1コネクタ
31 第2コネクタ
33 信号経路
35 フリップフロップ
40 センサ部
41 電流センサ
42 電圧センサ
43 温度センサ
44 制御部
45 記憶部
50 管理部
51 容量演算部
52 交換モジュール特定部
53 出力部
54 残寿命推定部
55 配列特定部
DB データベース
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10