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明細書 :カーボンナノチューブの製造装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-153353 (P2016-153353A)
公開日 平成28年8月25日(2016.8.25)
発明の名称または考案の名称 カーボンナノチューブの製造装置
国際特許分類 C01B  31/02        (2006.01)
FI C01B 31/02 101F
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 21
出願番号 特願2015-032114 (P2015-032114)
出願日 平成27年2月20日(2015.2.20)
発明者または考案者 【氏名】野田 優
【氏名】山口 麻衣
【氏名】大沢 利男
出願人 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100080089、【弁理士】、【氏名又は名称】牛木 護
【識別番号】100161665、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 知之
【識別番号】100133639、【弁理士】、【氏名又は名称】矢野 卓哉
審査請求 未請求
テーマコード 4G146
Fターム 4G146AA11
4G146BA12
4G146BA48
4G146BB22
4G146BC23
4G146BC42
4G146BC44
4G146BC47
4G146DA03
4G146DA13
4G146DA23
4G146DA25
4G146DA32
4G146DA34
4G146DA35
4G146DA36
4G146DA39
要約 【課題】大量生産を目指した生産性のよいプロセスであって、主にチャンバー内の反応領域の温度と触媒原料ガス・キャリアガス・炭素源ガスの混合過程を制御することにより、結晶性に優れた良質なカーボンナノチューブを、低コストかつ高い収率・収量で合成可能な製造装置の提供。
【解決手段】製造装置1の内部に設けられたカーボンナノチューブが合成されるチャンバー3と、チャンバー3に接続され、触媒原料を含む予混合火炎12を形成し、触媒原料を分解する1つ以上の第一の管4と、チャンバー3に接続され、キャリアガス14を供給して、分解した触媒原料と混合し、触媒粒子を発生させる1つ以上の第二の管5と、チャンバー3に接続され、炭素源ガス16を供給して触媒粒子と混合し、カーボンナノチューブを成長させる1つ以上の第三の管6と、チャンバー3の外周に設けられた保温手段7とを備える構成としたカーボンナノチューブの製造装置1。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
カーボンナノチューブの製造装置であって、
その内部に設けられたカーボンナノチューブが合成されるチャンバーと、
前記チャンバーに接続され、触媒原料を含む予混合火炎を形成し、前記触媒原料を分解する1つ以上の第一の管と、
前記チャンバーに接続され、キャリアガスを供給して、分解した前記触媒原料と混合し、触媒粒子を発生させる1つ以上の第二の管と、
前記チャンバーに接続され、炭素源ガスを供給して前記触媒粒子と混合し、前記カーボンナノチューブを成長させる1つ以上の第三の管と、
前記チャンバーの外周に設けられた保温手段とを備えることを特徴とするカーボンナノチューブの製造装置。
【請求項2】
前記第一の管から流出するガスが、前記第二の管から流出するガスと合流した後に、前記第三の管から流出するガスが合流するように、第一の管流出口、第二の管流出口および第三の管流出口が設置されていることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造装置。
【請求項3】
前記第三の管は、前記炭素源ガスが、前記保温手段によって直接、または、前記チャンバー内部のガスと熱交換して、または、前記第三の管に設置された予熱器によって予熱された後に、前記カーボンナノチューブを成長させる反応領域に供給されるように、前記チャンバーに接続されることを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノチューブの製造装置。
【請求項4】
前記第一の管および第二の管の少なくとも一方から助触媒を供給することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブの製造装置。
【請求項5】
前記保温手段が加熱炉または断熱材からなることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブの製造装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はカーボンナノチューブの製造装置に関し、特に予混合火炎用の管・バーナーを備えたカーボンナノチューブの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
単層カーボンナノチューブは、直径が0.6~数nmで長さが数μm以上になり、アスペクト比が非常に大きい。こうした細長い形状から走査プローブの針や電子放出源として省電力の薄型テレビへの応用が期待されている。また、その優れた電気・電子的特性と安定性から、トランジスタや透明電極、バッテリー・キャパシタの電極等、様々な応用が提案されている。
【0003】
カーボンナノチューブの合成法は種々開発されてきた。しかしながら、特に直径が小さい単層カーボンナノチューブの大量合成は実現しておらず、1gあたり数万円以上と依然として非常に高価である。
【0004】
一方、火炎合成法は、カーボンブラックやフラーレン等の炭素材料を無触媒反応で大量合成する方法として実績がある。この火炎合成法をカーボンナノチューブの合成に適用する例が報告されている(例えば、非特許文献1および2参照)。非特許文献1ではアセチレンおよび酸素の混合ガスの燃料等量比が1.6~1.8という狭い領域で単層カーボンナノチューブが合成できたとしている。非特許文献2では燃料をメタン、触媒原料をフェロセンとし、フラーレン合成でスケールアップした実績のあるバーナーを用いることで、5g/hの生産量が得られたとしている。
【0005】
また、すす無し火炎を確立し、ポスト火炎領域中で単層ナノチューブを合成するための非担持触媒を提供することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、燃料に炭素を含む予混合火炎に対して触媒金属を近接させ、触媒金属上にカーボンナノチューブを合成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、燃料、酸化剤および金属触媒微粒子を供給して火炎を形成し、浮遊する金属触媒微粒子上にカーボンナノチューブを生成・成長させる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
そして、その他の燃焼法によるカーボンナノチューブの製造方法も、多数報告されている(例えば、特許文献4~7参照)。
【0009】
また、支持体上に担持された触媒上に炭素源を供給してカーボンナノチューブを合成する際に、加熱炉により支持体を加熱することで触媒を高温化して、カーボンナノチューブを合成する提案がなされている(例えば、特許文献8参照)。
【0010】
また、硫黄を添加することでカーボンナノチューブの収量が増加することが知られている(例えば、非特許文献3参照)。硫黄源としてはパウダーの硫黄やチオフェン、硫化水素を用いる例がある(例えば、非特許文献4~6参照)。また、触媒に硫黄を添加すると、鉄の表面エネルギーを下げ、小さい粒子を安定化させる効果があるとされている(例えば、非特許文献7参照)。さらに、FeSの共晶を作ることで鉄触媒粒子からの炭素析出を促進するとも言われている(例えば、非特許文献7および8参照)。
【先行技術文献】
【0011】

【非特許文献1】Murry J.height et al, Proceedings of the Combustion Institute 30, 2537-2543(2005).
【非特許文献2】Henning Richter et al, Nanoscience and Nanotechnology 8, 6065-6074(2008).
【非特許文献3】Hui Ming Cheng at al, Applied Physics Letters 72 (25), 3282-3284 (1998)
【非特許文献4】Wencai Ren et al, Journal of Nanoscience and Nanotechnology 6, 1339-1345(2006).
【非特許文献5】Cui et al. Nanoscale Research Letters 6, 77(2011).
【非特許文献6】Gary C. Tibbetts at al, Carbon 32 (4), 569-576(1994)
【非特許文献7】Lili Zhang et al, J. Phys. Chem. Lett. 5, 1427-1432(2014).
【非特許文献8】Wencai Ren, Feng Li, Hui-Ming Cheng, J. Phys. Chem. B 110, 16941-16946(2006).
【0012】

【特許文献1】特表2006-523175号公報
【特許文献2】特開2005-247644号公報
【特許文献3】特開2010-126390号公報
【特許文献4】特開平11-116218号公報
【特許文献5】特表2009-502730号公報
【特許文献6】国際公開第WO2009/116261号公報
【特許文献7】国際公開第WO2007/088867号公報
【特許文献8】国際公開第WO2008/029927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述の先行技術文献に記載された従来の火炎合成または燃焼合成では、火炎の未燃分の炭素を原料にカーボンナノチューブを合成していたり、触媒を担持してしまっているので燃焼法の長所を失していたりして、良質なカーボンナノチューブの効率的な合成には至っていない。これに対し、本発明では、火炎を触媒原料の分解および加熱に用い、炭素原料は別に供給することで、本発明によるカーボンナノチューブの合成法を化学気相成長(CVD)法の一種とみなし、結晶性に優れたカーボンナノチューブ、特に単層カーボンナノチューブの大量合成を目指す。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、カーボンナノチューブを合成する製造装置において、大量生産を目指した生産性のよいプロセスを確立し、主にチャンバー内の反応領域の温度と触媒原料ガス・キャリアガス・炭素源ガスの混合過程を制御することにより、結晶性に優れた良質なカーボンナノチューブを、低コストかつ高い収率・収量で合成可能な装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1記載の発明は、カーボンナノチューブの製造装置であって、その内部に設けられたカーボンナノチューブが合成されるチャンバーと、前記チャンバーに接続され、触媒原料を含む予混合火炎を形成し、前記触媒原料を分解する1つ以上の第一の管と、前記チャンバーに接続され、キャリアガスを供給して、分解した前記触媒原料と混合し、触媒粒子を発生させる1つ以上の第二の管と、前記チャンバーに接続され、炭素源ガスを供給して前記触媒粒子と混合し、前記カーボンナノチューブを成長させる1つ以上の第三の管と、前記チャンバーの外周に設けられた保温手段とを備えることを特徴とする装置である。
【0016】
請求項2記載の発明は、前記第一の管から流出するガスが、前記第二の管から流出するガスと合流した後に、前記第三の管から流出するガスが合流するように、第一の管流出口、第二の管流出口および第三の管流出口が設置されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3記載の発明は、前記第三の管は、前記炭素源ガスが、前記保温手段によって直接、または、前記チャンバー内部のガスと熱交換して、または、前記第三の管に設置された予熱器によって予熱された後に、前記カーボンナノチューブを成長させる反応領域に供給されるように、前記チャンバーに接続されることを特徴とするものである。
【0018】
請求項4記載の発明は、前記第一の管および第二の管の少なくとも一方から助触媒を供給することを特徴とするものである。
【0019】
請求項5記載の発明は、前記保温手段が加熱炉または断熱材からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の装置によれば、保温手段を設けることでカーボンナノチューブの合成温度を維持してカーボンナノチューブの成長を持続させ、長尺で純度が高く良質のカーボンナノチューブを高収率で合成可能な製造装置を提供することができる。
【0021】
請求項2記載の装置によれば、第二の管からキャリアガスを流して第一の管からのガスに合流させることで、触媒粒子の形成を最適化することができる。
【0022】
請求項3記載の装置によれば、第三の管から炭素原料を含む炭素源ガスを予熱した上で供給することで、カーボンナノチューブの成長に適切な温度を維持し、結晶性の高いカーボンナノチューブを合成することができる。
【0023】
請求項4記載の装置によれば、助触媒を添加することで、カーボンナノチューブの収量を増大させることができる。
【0024】
請求項5記載の装置によれば、加熱炉または断熱材を用いることで、チャンバー内において、カーボンナノチューブの成長温度の範囲を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1を示すカーボンナノチューブの製造装置の概略図である。
【図2】同上、フェロセン供給部の概略図である。
【図3】同上、予混合火炎を通過するガスの流れを示す概念図である。
【図4】同上、加熱炉の有無によるチャンバー内の温度分布の違いを示すシミュレーション結果を示す図である。
【図5】同上、バーナーの長さを説明するための概略図である。
【図6】同上、カーボンナノチューブの合成メカニズムを説明するための概念図である。
【図7】同上、カーボンナノチューブの合成メカニズムを説明するための概念図である。
【図8】同上、カーボンナノチューブの合成メカニズムを説明するための概念図である。
【図9】同上、カーボンナノチューブの合成メカニズムを説明するための概念図である。
【図10】同上、加熱炉の温度を変化させた各条件で生成され、メンブレンフィルター上に捕集された生成物のSEM画像である。
【図11】本発明の実施例2を示すカーボンナノチューブの製造装置の概略図である。
【図12】同上、第一の管、第二の管および第三の管の概略図である。
【図13】本発明の実施例3を示すカーボンナノチューブの製造装置の概略図である。
【図14】同上、メンブレンフィルターで捕集した合成後の生成物の写真である。
【図15】同上、メンブレンフィルターからはがれた生成物の写真である。
【図16】同上、硫黄の供給量を変化させた各条件で生成され、メンブレンフィルター上に捕集された生成物のSEM画像である。
【図17】同上、硫黄の供給量を変化させた各条件で生成され、メンブレンフィルター上に捕集された生成物のラマンスペクトルである。
【図18】同上、メンブレンフィルター上に捕集された生成物のSEM画像である。
【図19】本発明の実施例4の製造装置で生成され、メンブレンフィルター上に捕集された生成物のSEM画像である。
【図20】本発明の実施例4の製造装置で生成され、メンブレンフィルター上に捕集された生成物のラマンスペクトルである。
【図21】本発明のその他の実施例を示す製造装置の概略図である。
【図22】本発明のその他の実施例を示す製造装置の概略図である。
【図23】本発明のその他の実施例を示す製造装置の概略図である。
【図24】本発明のその他の実施例を示す製造装置の概略図である。
【図25】本発明のその他の実施例を示す製造装置の概略図である。
【図26】本発明のその他の実施例を示す製造装置の概略図である。
【図27】本発明のその他の実施例を示す製造装置の概略図である。
【図28】本発明のその他の実施例を示す製造装置の概略図である。
【図29】本発明のその他の実施例を示す製造装置の概略図である。
【図30】本発明の実施例1、3および4に用いた製造装置の概略図である。
【図31】本発明のその他の実施例を示す製造装置の概略図である。
【図32】本発明のその他の実施例を示す製造装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】【実施例1】
【0026】
以下、本発明に係るカーボンナノチューブの製造装置について、図面に基づいて説明する。図1は、例えば図8に示すカーボンナノチューブ2を合成するための製造装置1の実施例1を示す概略図である。
【実施例1】
【0027】
本実施例は、製造装置1の内部に設けられたカーボンナノチューブ2が合成されるチャンバー3と、チャンバー3に接続される第一の管4、第二の管5および第三の管6と、チャンバー3の外周に設けられる保温手段7とを備える。
【実施例1】
【0028】
チャンバー3は例えばセラミックスないしステンレス鋼からなる円筒状の容器で形成される。チャンバー3内の反応領域8は、後述するメカニズムによりカーボンナノチューブ2の成長が行われる領域である。
【実施例1】
【0029】
第一の管4は、チャンバー3のチャンバー底部26に接続され、予混合火炎12のバーナーを構成する。第一の管4aには、第一の管ガス供給部21から、例えばエチレン(C)等の燃料ガス10aがアルゴン(Ar)とともに供給される。一方で、触媒原料11であるフェロセン(Fe(C)を供給する目的で、第一の管ガス供給部21から第一の管4bを経由して、例えば酸素(O)等の酸化ガス10bをアルゴン等とともに、例えば触媒原料11たるフェロセンを供給する触媒原料供給部35に供給する。そして、触媒原料供給部35で昇華されたフェロセンを含むガスを前述の燃料ガス10aと混合する。こうして第一の管4たるバーナーの先端に触媒原料11を含む予混合火炎12を形成し、第一の管4から第一の管流出口50を経由してチャンバー3内に触媒原料11を含む予混合ガス13が供給される。この触媒原料11を含む予混合ガス13が予混合火炎12を通過する際に、触媒原料11が分解される。
【実施例1】
【0030】
図2に、触媒原料11たるフェロセンを供給する場合の触媒原料供給部35の一例を示す。触媒原料供給部35は、例えば石英管からなる触媒原料供給部の壁36内に直接フェロセン粉末37を仕込み、その両側を例えば石英綿からなる触媒原料保持材38で塞ぐ。このような構成により、フェロセンの供給量を、フェロセン粉末37の仕込み量に依らず、蒸気圧、すなわち温度のみに依存するようにすることができる。温度管理は熱電対39を用いて行う。
【実施例1】
【0031】
触媒原料11は、触媒成分に鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン、イットリウムおよび銅の中から選択される1以上の金属元素を含むものを使用することができる。これらの中で特に好ましいものは鉄であり、触媒原料11として特に好ましいものはフェロセンである。
【実施例1】
【0032】
予混合火炎12は、自己発熱であるので、スケールアップが容易である。また、火炎伝播とガス流速が釣り合う位置に自動的に火炎面が形成されるため制御しやすく、安定な火炎面を形成することができるので、図3に示すように全ての触媒原料11が高温の火炎面を通過し分解される。そして、燃料等量比が1付近、好ましくは0.9~1.1の安定な火炎を形成し、燃料ガス10とともに昇華させたフェロセン等の触媒原料11を流すことにより、火炎の2000℃以上の高温で、フェロセンが一瞬で分解されることができる。
【実施例1】
【0033】
第二の管5は、第一の管4と同様に、チャンバー3のチャンバー底部26に接続される。第二の管5には、第二の管ガス供給部22から、例えばアルゴン等のキャリアガス14が供給され、第一の管4の端部の予混合火炎12で分解された触媒原料11と混合し、触媒粒子15を発生させる。キャリアガス14は、第二の管流出口51からチャンバー3内に供給される。本実施例では、第二の管5の第二の管流出口51が第一の管4の周囲に一体的に形成される。しかしながら、キャリアガス14が分解された触媒原料11と混合されることができれば、第二の管流出口51は第一の管4と別体として設けられてもよい。本実施例では、分解された触媒原料11をキャリアガス14と混合して触媒粒子15を形成した後に、炭素源ガス16と混合する。これにより、炭素源ガス16と予混合火炎12が直接触れることを防ぐことができる。その結果、十分に成長する前の触媒粒子15の炭化失活を防ぎ、触媒利用率の向上を図ることができる。
【実施例1】
【0034】
第三の管6は、チャンバー3の外周に、チャンバー3のチャンバー側部27を覆うようにして設けられる。第三の管6には、第三の管ガス供給部23から、例えばメタン(CH)等の炭素源ガス16が、アルゴンとともに供給される。炭素源ガス16は触媒粒子15と混合し、カーボンナノチューブ2を成長させる。炭素源ガス16は、チャンバー上部25からチャンバー底部26の方向、すなわち上から下方向に向かって流れ、チャンバー側部27に設けられた第三の管流出口52から、水平方向にチャンバー3内に供給される。
【実施例1】
【0035】
以上のような構成により、第一の管流出口50、第二の管流出口51および第三の管流出口52は、第一の管4から流出するガスが、第二の管5から流出するガスと合流した後に、第三の管6から流出するガスが合流するように設置されている。
【実施例1】
【0036】
本実施例では、第一の管4、第二の管5および第三の管6は、それぞれ1つずつであるが、それぞれ複数個設けてもよい。この場合の実施例は[その他の実施例]で後述する。
【実施例1】
【0037】
保温手段7は、チャンバー3の外周に設けられる。本実施例では、保温手段7は、加熱炉33で構成される。加熱炉33は、第三の管6の外周に設けられ、温度制御部24により温度を管理する。加熱炉33は例えばニクロム線等に電流を流して加熱する電気炉を使用することができる。後述する本実施例の製造条件では、加熱炉33の温度は900~1000℃に保つことが好ましい。この加熱炉33により、チャンバー3内の反応領域8の温度を管理して、カーボンナノチューブ2の成長温度を維持し、成長時間の増大を図る。さらに、加熱炉33により、第三の管6内を流れる炭素源ガス16を予熱する。炭素源ガス16は、この予熱後に、チャンバー3内に供給される。
【実施例1】
【0038】
図4は(A)加熱炉33ありの場合、および、(B)加熱炉33なしの場合のチャンバー3内の温度分布を示すシミュレーション結果である。加熱炉33なしの場合、反応領域8におけるガスの冷却が早く、カーボンナノチューブ2の成長温度にあたる空間が狭い。これに対し、加熱炉33ありの場合、加熱炉33で加熱を行うことにより、当該成長温度の範囲を増大させることができる。
【実施例1】
【0039】
さらに、第三の管6が、炭素源ガス16を上から下方向に流す過程で予熱される構造とすることにより、炭素源ガス16と反応領域8のガスとの熱交換によって、反応領域8から排出されるガスを冷却し、炭素源ガス16の予熱を補助し、加熱炉33に必要なエネルギーを削減できる。
【実施例1】
【0040】
保温手段7は、加熱炉33を用いずに、第三の管6の外周を覆うように断熱材56(図5等を参照)を設けるものであってもよい。炭素源ガス16は、加熱炉33を用いなくても、チャンバー3内の反応領域8のガスとの熱交換により予熱されることができる。断熱材56を使用する場合には、温度制御部24の構成を省略することができる。
【実施例1】
【0041】
第一の管4、第二の管5および第三の管6の内部を流れるガスの流量は、第一の管ガス供給部21、第二の管ガス供給部22および第三の管ガス供給部23が備える図示しないマスフローコントローラにより制御されることができる。
【実施例1】
【0042】
第一の管4からチャンバー3内に伸びるバーナーとして、内径1mmと2mmの石英管を使用した。図5に示すように、バーナーの長さが長く、予混合火炎12と、炭素源ガス16がチャンバー3内に吹き出す第三の管流出口52との距離が近いと、炭素源ガス16が燃焼してすすの発生する量が増えてしまう。したがって、バーナーの長さは、バーナーの先端が第三の管流出口52よりも下方の位置になるようにすることが好ましい。なお、本実施例ではバーナーは1本であるが、複数本設けてもよい。
【実施例1】
【0043】
触媒原料を含む予混合ガスの流れ17は、チャンバー3内に伸びる第一の管4の先端の第一の管流出口50に向かって流れる。キャリアガスの流れ18は、第二の管5から第二の管流出口51に向かって流れる。炭素源ガスの流れ19は、第三の管6から第三の管流出口52に向かって流れる。第三の管6内の炭素源ガスの流れ19は、バーナー内の触媒原料を含む予混合ガスの流れ17、および、第二の管流出口51からのキャリアガスの流れ18と逆方向である。そして、第三の管流出口52から吹き出す炭素源ガスの流れ19は、バーナーの端部の予混合火炎12で分解された触媒原料20aの流れ、および、第二の管流出口51からのキャリアガスの流れ18と直交する方向(水平方向)である。
【実施例1】
【0044】
反応領域8で合成されたカーボンナノチューブ2は、チャンバー上部25の下流に設けられた捕集手段(図示せず)により捕集される。捕集手段は例えばメンブレンフィルター(図示せず)を備える。
【実施例1】
【0045】
第一の管4においてエチレンと酸素を原料に形成した予混合火炎12の温度を火炎温度Tflame、第一の管4からの分解された触媒原料11と、第二の管5から供給されるアルゴンとの混合後の温度を触媒形成温度Tcat、この混合後に第三の管6から供給される炭素源ガスを混合したときの温度を混合温度TCVDとする。火炎温度Tflameおよび触媒形成温度Tcatは、燃焼熱がすべて顕熱になったときの温度と定義し、燃焼熱をガスの熱容量で割ることにより算出した。ただし、気体分子の分解および熱損失があるため、実際の温度は算出した温度よりも低いと考えられる。火炎温度Tflameの算出式を数1に示す。ここで、ΔHは燃焼熱、Fは体積流量、Pは圧力(=101325[Pa])、Rは気体定数(=8.31[Jmol-1-1])、Tは温度、Cpは定圧熱容量、ρは密度、T0は予混合ガス13の第一の管4の中での温度である。
【実施例1】
【0046】
【数1】
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【実施例1】
【0047】
本実施例におけるカーボンナノチューブ2の合成メカニズムを説明する。まず、図6に示すように、触媒原料11(フェロセン)が予混合火炎12の火炎面を通って分解される。次に、図7に示すように、分解された触媒原料11は第二の管5から供給されるキャリアガス(アルゴン)の流れ18と合流して冷却され、触媒粒子15(鉄粒子)が核生成される。このとき、図9に示すように、一部の触媒粒子15からは、炭素が核発生し、カーボンナノチューブ2が合成される場合もある。そして、図8に示すように、横方向から炭素源ガスの流れ19が合流し、失活していない触媒粒子15からカーボンナノチューブが成長する。
【実施例1】
【0048】
上記の各工程における各反応場の好ましい温度は以下の通りである。まず、触媒原料11の分解においては、実温度が2000~4000℃の範囲内に、Tflameで2000~5000℃の範囲内にあることが好ましい。次に、触媒粒子の核生成においては、実温度で900~1500℃の範囲内に、Tcatで900~2000℃の範囲内にあることが好ましい。さらに、カーボンナノチューブの成長においては、実温度で800~1400℃の範囲内に、TCVDで800~2000℃の範囲内にあることが好ましい。
【実施例1】
【0049】
本実施例の製造装置1で、カーボンナノチューブを合成し、評価を行った。製造条件を表1に示す。触媒反応を制御する目的で、加熱炉温度を900~1000℃の範囲内で変化させた。
【実施例1】
【0050】
【表1】
JP2016153353A_000004t.gif
【実施例1】
【0051】
図10に、加熱炉33の温度を変化させた各条件で生成され、メンブレンフィルター上に捕集された生成物のSEM画像を示す。加熱炉33の温度は、図10(A)が900℃、(B)が960℃、(C)が1000℃である。図10(D)~(F)は、それぞれ(A)~(C)の温度条件におけるサンプルをさらに拡大して観察したものである。
【実施例1】
【0052】
これらのSEM画像から、加熱炉温度が900℃の場合に、カーボンナノチューブ2がよく合成されたことが分かる。このように、加熱炉温度を調整し、例えば加熱炉温度をTCVDとほぼ同温度にすることで、第二の管5から供給されるキャリアガス14や、第三の管6から供給される炭素源ガス16による十分な冷却速度が得られるとともに、カーボンナノチューブ2の成長時間が長くなったものと考えられる。
【実施例2】
【0053】
図11および12は、本発明の実施例2を示し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。図11は本実施例の製造装置1の概略図であり、図12は第一の管4、第二の管5および第三の管6の構成を示す概略図である。基本構成は実施例1と同じである。実施例1とは、第三の管6がチャンバー3の外周ではなく、第二の管5の外周に設けられる点で相違する。
【実施例2】
【0054】
従来は、本実施例のような第二の管を設けずに、第一の管から触媒原料を含む予混合ガス13を供給し、そのすぐ外周に設けた第三の管から炭素源ガス16を供給していたので、触媒粒子15が十分に成長する前に炭素源ガス16と予混合火炎12が接触することで、触媒粒子15の炭化失活や炭素源ガス16の熱分解による煤生成が起きている可能性があった。また、炭素源ガス16が予混合火炎12に吸い込まれることで燃料等量比が変わり、火炎が消えやすく、合成の再現性が悪かった。そこで本実施例では、予混合火炎12から流出する分解された触媒原料11を第二の管5から供給されるキャリアガス14で冷却した後に、第三の管6から供給される炭素源ガス16と混合することにより、触媒粒子15の生成と炭素源の供給を分ける。その結果、十分に成長する前の触媒粒子15の炭化失活を防ぐことができる。さらに、炭素源ガス16が予混合火炎12に巻き込みを防止することで、炭素源ガス16の流量を増やしながら予混合火炎12の安定化も可能になる。
【実施例2】
【0055】
図11では、燃料ガス43としてエチレン(C)、酸化ガス44として酸素(O)、キャリアガス14としてアルゴン(Ar)、炭素源ガス16としてアセチレン(C)を例示している。
【実施例2】
【0056】
また、図12では、第一の管4の先端が広がるようにテーパーを付けた第一の管テーパー部28が設けられている。また、第二の管5の先端にも同様な第二の管テーパー部29が設けられている。テーパー形状とすることで、分解された触媒原料11の冷却速度等を調整することができる。ただし、テーパー形状を必ず設ける必要はなく、ストレート管であっても構わない。また、第一の管4、第二の管5および第三の管6は、それぞれ別体に設けられてもよい。
【実施例2】
【0057】
尚、図11において、符号34は加熱機構であり、例えばリボンヒーターを使用することができる。
【実施例3】
【0058】
図13は、本発明の実施例3を示し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。図13は本実施例の製造装置1を示す概略図である。基本構成は実施例1と同じである。実施例1とは、第二の管5から助触媒9を供給するための助触媒供給部41を備える点で相違する。
【実施例3】
【0059】
助触媒供給部41から供給される助触媒9は、硫黄であることが好ましい。助触媒供給部41は、例えば石英管からなる助触媒供給部の壁54内で、助触媒粉末55の両側に例えば石英綿からなる助触媒保持材42を配置する構造となっている。硫黄源としては、パウダーの硫黄やチオフェン、硫化水素を使用することができる。
【実施例3】
【0060】
硫黄は、鉄の表面エネルギーを下げ、小さい触媒粒子を安定に形成させる効果があるため、分解された触媒原料11に助触媒9が混合されるとよい。また、硫化鉄(FeS)の共晶を作ることで、鉄の触媒粒子15からの炭素析出を促進することも期待できる。
【実施例3】
【0061】
本実施例では、フェロセンおよび硫黄の供給量を別に制御すること、および、硫黄の燃焼を防ぐことを目的として、第二の管5から硫黄を供給する。熱電対(図示せず)を石英管54内に挿入して、図示しないリボンヒーターで硫黄の温度制御を行う。製造条件を表2に示す。
【実施例3】
【0062】
【表2】
JP2016153353A_000005t.gif
【実施例3】
【0063】
図14は、本実施例の製造装置1において合成された生成物が捕集されたメンブレンフィルターの写真である。図15はメンブレンフィルターからはがれた生成物(カーボンナノチューブ自立膜)の写真である。
【実施例3】
【0064】
図16に、硫黄の供給量を変化させた各条件において生成され、メンブレンフィルター上に捕集された生成物のSEM画像を示す。硫黄と鉄のS/Feモル比は、図15(A)が0、(B)が0.04、(C)が0.13、(D)が0.45である。また、表3に各S/Feモル比に対する炭素と鉄のC/Feモル比を示す。S/Feモル比およびC/Feモル比は、合成された生成物膜の裏側から、エネルギー分散型X線分光分析(Energy dispersive X-ray spectroscopy, EDX)を使用して計算した。また、図17に同条件で合成し、メンブレンフィルター上に捕集された生成物のラマンスペクトルを示す。
【実施例3】
【0065】
【表3】
JP2016153353A_000006t.gif
【実施例3】
【0066】
図17において、1590cm-1付近に現れるピークは、G-bandと呼ばれ、六員環構造を有する炭素原子の面内方向の伸縮振動に由来するものである。また、1350cm-1付近に現れるピークは、D-bandと呼ばれ、六員環構造に欠陥があると現れやすくなる。相対的なカーボンナノチューブ2の質は、D-bandに対するG-bandの比(G/D比)によって評価することができる。
【実施例3】
【0067】
単層カーボンナノチューブの場合、100~300cm-1付近にRBM(Radial Breathing Mode)と呼ばれる複数のピークが現れる。これは、チューブの直径方向の振動に由来するもので、ピークの位置が単層カーボンナノチューブの直径に反比例することが知られている。孤立の単層カーボンナノチューブの場合、直径d[nm]とピーク波数ω[cm-1]の間にはd=248/ωの関係があるとされている。本実施例では励起波長488nmで分析を行った。
【実施例3】
【0068】
メンブレンフィルターの重量を測定したところ、重量の変化から、硫黄を添加したことで生成物の収量が増えることが分かった。また、図16のSEM画像から、(C)のS/Fe=0.13の場合に最も単層カーボンナノチューブ2が合成されたことが分かる。さらに、(C)の場合に触媒鉄に対する単層カーボンナノチューブ量が最も大きいといえ、純度が向上することが確認された。(D)のS/Fe=0.45では硫黄の供給が過剰であり、(B)のS/Fe=0.04では硫黄の供給不足であることが示唆される。
【実施例3】
【0069】
図17のラマンスペクトルから、合成されたカーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブであること、および、RBMから直径が0.97~1.2nmであることが分かった。(C)のS/Fe=0.13の場合において、生成物膜の内部をSEMで観察したところ、図18に示すように、付着物のないきれいな単層カーボンナノチューブ2が観察された。(C)における硫黄供給温度は80℃である。
【実施例4】
【0070】
実施例3では助触媒9たる硫黄を第二の管5から供給するのに対し、本実施例では硫黄を第一の管4から供給する。硫黄は、助触媒粉末50たる硫黄粉末を触媒原料11たるフェロセンに混ぜ、リボンヒーターで温める昇華法で供給した。供給温度はフェロセンの供給時と同じ60℃とした。硫黄と鉄の比は、混ぜる硫黄とフェロセンの重量比を変えることで制御した。製造条件は実施例3の表2と同じであり、硫黄と鉄の比すなわちS/Feモル比を変えて実験を行った。
【実施例4】
【0071】
表4に各S/Feモル比でのメンブレンフェイルターの重量変化を示す。原料中の硫黄と鉄のS/Feモル比は、(A)が0、(B)が0.1、(C)が0.3、(D)が1.0、(E)が3.0である。図19に、各S/Feモル比で生成され、メンブレンフィルター上に捕集された生成物のSEM画像を示す。図19(F)~(J)は、(A)~(E)と同サンプルを拡大して観察した画像である。また、図20に同条件における生成物のラマンスペクトルを示す。
【実施例4】
【0072】
【表4】
JP2016153353A_000007t.gif
【実施例4】
【0073】
メンブレンフィルターの重量変化およびSEM画像から、硫黄を添加することにより、カーボンナノチューブの収量が増えたことが分かる。また、ラマンスペクトルから、合成されたカーボンナノチューブは単層であり、RBMから、直径が0.97~1.4nmであることが分かった。
(その他の実施例)
【実施例4】
【0074】
図21~23は、実施例1、3および4と同様に、第三の管6がチャンバー3の外周を覆うように設けられた構成において、第一の管4および第二の管5の配置と、第二の管からのガスの合流点61および第三の管からのガスの合流点62とを変更した実施例の概略図である。
【実施例4】
【0075】
図21に示す実施例では、第二の管5とチャンバー3とが一体に形成されている。
【実施例4】
【0076】
図22に示す実施例では、図21に示す実施例に対し、第一の管4が複数設けられている。
【実施例4】
【0077】
図23に示す実施例では、複数の第一の管4のそれぞれの外側に第二の管5が設けられている。
【実施例4】
【0078】
図24~26は、実施例2と同様に、保温手段7が第三の管6を挟まずにチャンバー3の外周を覆うように設けられた構成において、第一の管4および第二の管5の配置と、第二の管からのガスの合流点61および第三の管からのガスの合流点62とを変更した実施例の概略図である。
【実施例4】
【0079】
図24に示す実施例では、第三の管6とチャンバー3とが一体に形成されている。
【実施例4】
【0080】
図25に示す実施例では、第三の管6は、複数設けられており、特に本実施例ではチャンバー側部27からガスが流入するように接続されている。
【実施例4】
【0081】
図26に示す実施例では、第三の管6は、チャンバー3の内部にチャンバー上部25からチャンバー底部26に向かって伸び、第一の管4および第二の管5から供給されるガスに対して逆向きにガスを供給する。
【実施例4】
【0082】
図27~29に示す実施例では、第三の管6の上流に予熱器66を別途設置し、予熱した炭素源ガス16を第三の管6を通してチャンバー3に供給する。第一の管4、第二の管5および第三の管6の配置については、図27は実施例2の構成に対応し、図28は図24の実施例の構成に対応し、図29は図26の実施例の構成に対応する。
【実施例4】
【0083】
図30は実施例1、3および4で使用した装置の第一の管4、第二の管5および第三の管6の配置を示す概略図である。図31に示す実施例では、図30の構成の装置を上下反対にした構成となっている。すなわち、第一の管4および第二の管5がチャンバー上部67に接続され、第三の管6がチャンバー側部68に接続されている。触媒原料を含む予混合ガスの流れ17およびキャリアガスの流れ18はチャンバー3の上から下方向の向きである。炭素源ガスの流れ19は、チャンバー側部68に沿ってチャンバー3の下から上方向に流れ、反応領域8に水平方向に流入する構成となっている。
【実施例4】
【0084】
図32に示す実施例では、図30の構成の装置を横向きにした構成となっている。すなわち、第一の管4および第二の管5がチャンバー側部69に接続され、第三の管6がチャンバー外周部70に接続されている。触媒原料を含む予混合ガスの流れ17およびキャリアガスの流れ18はチャンバー3の左から右方向の向きである。炭素源ガスの流れ19は、チャンバー外周部70に沿ってチャンバー3の右から左方向に流れ、反応領域8に垂直方向に流入する構成となっている。尚、当然ながら、本実施例とは左右反対の構成であってもよい。
【実施例4】
【0085】
このように上下反対および横向きにする構成は、上述したすべての実施例に対して適用可能である。
【実施例4】
【0086】
上記に説明したような実施例1の装置によれば、その内部に設けられたカーボンナノチューブ2が合成されるチャンバー3と、チャンバー3に接続され、触媒原料11を含む予混合火炎12を形成し、触媒原料11を分解する1つ以上の第一の管4と、チャンバー3に接続され、キャリアガス14を供給して、分解した触媒原料11と混合し、触媒粒子15を発生させる1つ以上の第二の管5と、チャンバー3に接続され、炭素源ガス16を供給して触媒粒子15と混合し、カーボンナノチューブ2を成長させる1つ以上の第三の管6と、チャンバー3の外周に設けられた保温手段7とを備えることから、カーボンナノチューブの合成温度を維持してカーボンナノチューブの成長を持続させ、純度が高く良質のカーボンナノチューブ2を高収率で合成可能な製造装置1を提供することができる。また、第三の管6は、炭素源ガス16が、保温手段7によって直接、または、チャンバー3内部のガスと熱交換して、または、第三の管6に設置された予熱器66により予熱された後に、カーボンナノチューブ2を成長させる反応領域8に供給されるように、チャンバー3に接続されるので、結晶性の高いカーボンナノチューブ2を合成することができる。さらに、第二の管5からキャリアガス14を流して第一の管4からのガスに合流させることで、触媒粒子15の形成を最適化することができることができる。
【実施例4】
【0087】
また、実施例2の製造装置1によれば、分解された触媒原料11を第二の管5から供給されるキャリアガス14で冷却した後に、第三の管6から供給される炭素源ガス16と混合することにより、触媒粒子15の生成と炭素源の供給を分ける結果、触媒粒子15形成前の炭化失活を防ぐことができる。さらに、炭素源ガス16が予混合火炎12に巻き込みを防止することで、炭素源ガス16の流量を増やしながら予混合火炎12の安定化も可能になる。
【実施例4】
【0088】
また、実施例3の製造装置1によれば、助触媒9として硫黄を第二の管5から供給することで、純度が高く良質なカーボンナノチューブ2を高収率で合成することができる。
【実施例4】
【0089】
また、実施例4の製造装置1によれば、助触媒9として硫黄を第一の管4から供給することで、カーボンナノチューブの収量を増大させることができる。
【実施例4】
【0090】
さらに、その他の実施例に示したように、第一の管4、第二の管5および第三の管6の配置は種々変更可能である。
【実施例4】
【0091】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は種々の変形実施をすることができる。例えば、上記実施例3および4では、第一の管4または第二の管5の一方から助触媒9を供給しているが、第一の管4および第二の管5の両方から助触媒9を供給してもよい。また、上記実施例においては、小型実験装置を用いたが、プラント等の大型の装置にスケールアップすることも可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 製造装置
2 カーボンナノチューブ
3 チャンバー
4 第一の管
5 第二の管
6 第三の管
7 保温手段
8 反応領域
9 助触媒
11 触媒原料
12 予混合火炎
14 キャリアガス
15 触媒粒子
16 炭素源ガス
33 加熱炉
50 第一の管流出口
51 第二の管流出口
52 第三の管流出口
56 断熱材
66 予熱器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31