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明細書 :電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-151568 (P2016-151568A)
公開日 平成28年8月22日(2016.8.22)
発明の名称または考案の名称 電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出方法及び装置
国際特許分類 G01R  31/26        (2014.01)
G01R  33/10        (2006.01)
G01R  33/02        (2006.01)
G01R  33/025       (2006.01)
G01R  15/20        (2006.01)
G01R  19/00        (2006.01)
H01L  21/60        (2006.01)
H01L  25/07        (2006.01)
H01L  25/18        (2006.01)
FI G01R 31/26 A
G01R 33/10
G01R 33/02 K
G01R 33/025
G01R 15/20
G01R 19/00 L
H01L 21/60 321Y
H01L 25/04 C
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2015-030900 (P2015-030900)
出願日 平成27年2月19日(2015.2.19)
発明者または考案者 【氏名】大村 一郎
【氏名】附田 正則
【氏名】田代 勝治
【氏名】篠原 長勇喜
【氏名】中野 繁太
【氏名】大胡田 清一
【氏名】長友 一則
出願人 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
【識別番号】505246848
【氏名又は名称】株式会社豊光社
【識別番号】597019609
【氏名又は名称】株式会社 シーディエヌ
【識別番号】593212378
【氏名又は名称】コペル電子株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】100099508、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100093285、【弁理士】、【氏名又は名称】久保山 隆
【識別番号】100182567、【弁理士】、【氏名又は名称】遠坂 啓太
審査請求 未請求
テーマコード 2G003
2G017
2G025
2G035
Fターム 2G003AA02
2G003AB18
2G003AC09
2G003AE06
2G003AG03
2G003AH05
2G003AH10
2G017AA08
2G017AB01
2G017AC02
2G017AD02
2G017AD53
2G017AD55
2G017BA05
2G025AA04
2G025AA17
2G025AB02
2G035AA08
2G035AA12
2G035AC08
2G035AC14
2G035AD23
2G035AD65
2G035AD66
要約 【課題】電力用半導体デバイスの複数本のボンディングワイヤに流れる電流の分布を、既存の電力用半導体デバイス試験装置の電力用半導体デバイス・パルス・スイッチング試験に特に影響を及ぼす、試験電気回路系の配線長や電極配置変更等に大きく手を加えることなく、低コスト、非接触、高精度で高速にボンディングワイヤ障害を検出する。
【解決手段】複数の電力用半導体デバイスのそれぞれと基板間を、複数のボンディングワイヤ7,8で接合した電力用半導体デバイス1のボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置において、複数のボンディングワイヤ7,8に流れる電流をそれぞれ検出する複数の電流センサ10と、電流センサ10により、計測目標位置と、その計測目標位置から離れた少なくとも1箇所の偏位位置で電流を測定する手段と、計測目標位置と偏位位置とで測定した電流の差分を演算する手段とを備えた。
【選択図】 図2
特許請求の範囲 【請求項1】
複数の電力用半導体デバイスのそれぞれと基板間を、複数のボンディングワイヤで接合した電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出方法において、
前記複数のボンディングワイヤに流れる電流により生じる磁界を検出するとともに、前記磁界に応じた電流を各ボンディングワイヤの電流としてそれぞれ出力する電流センサを複数設け、
前記電流センサにより、計測目標位置と、その計測目標位置から離れた少なくとも1箇所の偏位位置で電流磁界を測定し、
前記計測目標位置と、前記偏位位置とで測定した電流磁界の差分をボンディングワイヤ電流信号としてボンディングワイヤ電流磁界分布を検出することを特徴とする電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出方法。
【請求項2】
前記複数の電流センサのうち少なくとも1つの電流センサを、前記計測目標位置と前記偏位位置とに移動させることにより前記各位置で電流磁界を測定することを特徴とする請求項1記載の電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出方法。
【請求項3】
前記複数の電流センサは、前記計測目標位置と前記偏位位置とでそれぞれ電流磁界を検出するためのセンサ素子を備え、前記複数の電流センサを予め固定された位置に配置させた状態で前記各位置でそれぞれ同時に電流磁界を測定することを特徴とする請求項1記載の電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出方法。
【請求項4】
複数の電力用半導体デバイスのそれぞれと基板間を、複数のボンディングワイヤで接合した電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出方法において、
前記複数のボンディングワイヤに流れる電流により生じる磁界をそれぞれ検出する電流センサを複数設け、
前記各電流センサは、計測目標位置と、その計測目標位置から離れた少なくとも1箇所の偏位位置とに、それぞれ独立したセンサ素子を備えるとともに、各センサ素子の出力信号を電流磁界方向に対して互いに信号を打ち消し合う逆相接続した構成とし、
前記逆相接続したセンサ素子の総合的な出力信号をボンディングワイヤの電流磁界信号としてボンディングワイヤ電流磁界分布を検出することを特徴とする電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出方法。
【請求項5】
複数の電力用半導体デバイスのそれぞれと基板間を、複数のボンディングワイヤで接合した電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置において、
前記複数のボンディングワイヤに流れる電流により生じる磁界を検出するとともに、前記磁界に応じた電流を各ボンディングワイヤの電流としてそれぞれ出力する複数の電流センサと、
前記電流センサにより、計測目標位置と、その計測目標位置から離れた少なくとも1箇所の偏位位置で電流磁界を測定する電流磁界測定手段と、
前記計測目標位置と、前記偏位位置とで測定した電流磁界の差分を演算する電流磁界差分演算手段と
を備えたことを特徴とする電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置。
【請求項6】
前記複数の電流センサのうち少なくとも1つの電流センサを、前記計測目標位置と前記偏位位置とに移動させる電流センサ移動手段を設け、前記各位置で前記電流磁界測定手段により電流磁界を測定することを特徴とする請求項5記載の電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置。
【請求項7】
前記複数の電流センサは、前記計測目標位置と前記偏位位置とでそれぞれ電流磁界を検出するためのセンサ素子を備え、前記複数の電流センサを予め固定された位置に配置させた状態で前記各位置でそれぞれ同時に電流磁界を測定する電流センサユニットを設けた請求項5記載の電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置。
【請求項8】
複数の電力用半導体デバイスのそれぞれと基板間を、複数のボンディングワイヤで接合した電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置において、
前記複数のボンディングワイヤに流れる電流により生じる磁界を検出するとともに、前記磁界に応じた電流を各ボンディングワイヤの電流としてそれぞれ出力する複数の電流センサであって、各電流センサは、一つの基板に位置の異なる少なくとも2つのセンサ素子を備えたものであり、
前記電流センサにより、計測目標位置と、その計測目標位置から離れた少なくとも1箇所の偏位位置で電流磁界を測定する電流磁界測定手段と、
前記計測目標位置と、前記偏位位置とで測定した電流磁界の差分を演算する差動信号演算手段と
を備えたことを特徴とする電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置。
【請求項9】
複数の電力用半導体デバイスのそれぞれと基板間を、複数のボンディングワイヤで接合した電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置において、
前記複数のボンディングワイヤに流れる電流により生じる磁界を検出するとともに、前記磁界に応じた電流を各ボンディングワイヤの電流としてそれぞれ出力する複数の電流センサであって、各電流センサは、計測目標位置と、その計測目標位置から離れた箇所の偏位位置で電流磁界を測定するセンサ素子の出力信号を電流磁界方向に対して互いに信号を打ち消し合う逆相で接続されたものであり、
前記電流センサにより、計測目標位置と、その計測目標位置から離れた箇所の偏位位置における電流磁界の差分を測定する電流磁界差分測定手段と
を備えたことを特徴とする電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電力用半導体デバイス、特にIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)と呼ばれる、1kW以上の電気機器および電子機器の電源やインバータ等に広く使われているデバイスの後工程、すなわちチップを実装してパッケージングする工程で不良品を検出し、市場での当該デバイスの故障を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
IGBTの市場は、産業機器向け、車載機器向け、民生機器向けの3分野に大きく分けられる。産業機器向けで大きいのは、電車や産業ロボット、工作機械のモータ制御インバータ用途である。車載機器向けでも、ハイブリッド自動車の駆動用モータとカー・エアコン制御用のインバータ用途が多い。民生機器ではカメラのストロボ向けとエアコンのインバータ用途が主流である。特にハイブリッド自動車や電気自動車におけるIGBT需要により、市場は拡大している。
【0003】
IGBTを用いた電力用半導体モジュールは、複数の電力用半導体デバイスを同一基板上に密接して併設し、各電力用半導体デバイスと端子間を接合するボンディングワイヤも、高密度で配線されている。電力用半導体デバイスと端子間をボンディングワイヤで接合する場合、接合部やボンディングワイヤ表面の酸化膜の状態や作業上のボンディングワイヤ装着圧力の変化などによりボンディングワイヤ接合不良が生じることがある。すなわち、見掛け上は完全接合しているようでも、接合が不完全であると、接合部の抵抗がばらつき、電流が各電力用半導体デバイスに均等に流れず、一部の電力用半導体デバイスに大電流が流れて破壊することにつながる。また、接合強度が低いと、機械的振動やヒートサイクル負荷により、接合部の断線につながるおそれがある。
【0004】
このようなボンディングワイヤ接合不良を、製造段階のボンディング工程後に検査できると、出荷後の故障やトラブルを防止することができる。ボンディング工程後の検査に際し、複数のボンディングワイヤに流れる電流を同時に測定するために、特許文献1には、ボンディングワイヤに流れる電流により発生する磁束を測定する磁束検出装置をボンディングワイヤの数だけ所定の間隔を開けて積層したセンサが開示されている。
【0005】
非特許文献1では、スイッチング電流のオンオフを繰り返すことで、ボンディングワイヤ接合不良が発生し、接合部の接触抵抗が大きくなる等の問題点が指摘されている。
【0006】
特許文献2~4には、ボンディング方法に関する技術が開示されている。これらの技術は、ボンディングワイヤを介してチップ電流を検出しており、チップの全電流しか測定できない。また接触型の測定であり、電流分布も測定できない。
【0007】
特許文献5には、試験片に荷重(外力)を印加して材料試験を行うよう構成された材料試験機において、材料試験中の試験片の磁気データを検出する検出磁気検出手段を複数具備して、試験片における異なる箇所の磁気データを検出するようにした材料試験機が開示されているが、複数のボンディングワイヤに流れる電流を同時に測定するものではない。
【0008】
特許文献6には、所定周波数の電流を被測定物の一対の電極間に通電する通電手段と、被測定物の複数の部分に対向して位置し、前記複数の部分に流れる電流によってそれぞれ発生する磁界を検出して、検出磁界を表す信号を出力する磁界検出手段と、前記磁界検出手段から出力される検出磁界を表す信号から、前記所定周波数に等しい周波数の信号成分を取出す周波数成分取出手段と、前記周波数成分取出手段によって取出された信号成分から、被測定物の複数の部分に前記所定周波数と等しい周波数でそれぞれ流れる電流の大きさ及び向きを検出する電流分布検出手段とを備えた電流分布測定装置において、被測定物の一対の電極のうちの一方の電極は、被測定物の複数の異なる位置にそれぞれ接合される複数の電極端子を有し、前記通電手段は、前記複数の電極端子にそれぞれ異なる周波数の電流を通電し、前記周波数成分取出手段は、前記磁界検出手段から出力される検出磁界を表す信号から、前記異なる周波数にそれぞれ等しい周波数の信号成分を取出し、前記電流分布検出手段は、前記異なる周波数ごとに、被測定物の複数の部分に流れる電流の大きさ及び方向を検出する電流分布測定装置が開示されている。
【0009】
しかし、この電流分布測定装置では、磁界センサを複数配置する検出構造を取るが、一つのセンサを2つの直交する磁界方向を検出できるように構成し、太陽光発電パネルの発電セルの特性不良を電流磁界ベクトルの方向で検出する事が目的であり、複数のボンディングワイヤに流れる電流を同時に測定する用途には適用できない。
【0010】
非特許文献2においては、電力用半導体モジュールの初期不良を防ぐために、IGBTチップのボンディングワイヤ上に、小さなコイルを有する非接触センサを有する電流信号分布測定装置を開示しているが、外部磁界やノイズの影響への対策には触れていない。
【先行技術文献】
【0011】

【特許文献1】特開2013-76569号公報
【特許文献2】欧州特許公開第2677541号公報
【特許文献3】米国特許第8541892号明細書
【特許文献4】米国特許第8004304号明細書
【特許文献5】特開2000-155083号公報
【特許文献6】特許第5152280号公報
【0012】

【非特許文献1】Hamidi et al, "Reliability and lifetime evaluation of different wire bonding technologies for high power IGBT modules" Microelectronics Reliability 39 (1999) 1153-1158.
【非特許文献2】Tsukuda et al, "High-throughput DBC-assembled IGBT screening for power module," CIPS 2014.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、電力用半導体モジュールは、電力用半導体デバイス電極とパッケージ電極との間を複数本のボンディングワイヤで接合し、電力用半導体デバイス電極とパッケージ電極との間での熱膨張係数の違いや車載搭載時の振動や衝撃を吸収しつつ、大電流伝送を可能とする構造を形成している。
【0014】
ボンディングワイヤはボンディングワイヤ装着装置により接合されるが、ボンディングワイヤ接合不良により、断線や接触抵抗値が高い状態にある場合、他の正常なボンディングワイヤに分流することになる。
【0015】
このデバイス電流分流の変化は、電力用半導体試験工程における非常に短い時間での電力用半導体デバイス・パルス・スイッチング特性試験では、電力用半導体デバイスに流れる総合電流の特性計測を目的としているため、各ボンディングワイヤに流れる電流信号の微妙な特性変化は検出不可能である。これらの試験をすり抜け、隠れた瑕疵が存在する電力用半導体モジュール製品は、市場にて車両や各種パワー制御機器に搭載され、過酷な環境下で長時間動作する内に、ボンディングワイヤに局在する負荷の偏りが、電力用半導体デバイスのデバイス寿命を著しく低下させ、予期せぬ機能障害をもたらす危険性をはらんでいる。
【0016】
しかも、これら電力用半導体デバイス製品は、大電力小型化、高集積化されながら、社会インフラの重要な運輸機構あるいは自然エネルギー生成などのエネルギーコントロール部に搭載され、非常な勢いでその応用範囲を拡大しつつある。
【0017】
このため、これら機能障害は単なる装置機能停止では止まらず、社会生活根幹に多大な影響及ぼすものとなる。
【0018】
本発明は、電力用半導体デバイスの複数本のボンディングワイヤに流れる電流の分布を、既存の電力用半導体デバイス試験装置の電力用半導体デバイス・パルス・スイッチング試験に特に影響を及ぼす、試験電気回路系の配線長や電極配置変更等に大きく手を加えることなく、低コスト、非接触、高精度で高速にボンディングワイヤ障害を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するため、本発明の第1の構成は、複数の電力用半導体デバイスのそれぞれと基板間を、複数のボンディングワイヤで接合した電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出方法において、前記複数のボンディングワイヤに流れる電流により生じる磁界を検出するとともに、前記磁界に応じた電流を各ボンディングワイヤの電流としてそれぞれ出力する電流センサを複数設け、前記電流センサにより、計測目標位置と、その計測目標位置から離れた少なくとも1箇所の偏位位置で電流磁界を測定し、前記計測目標位置と、前記偏位位置とで測定した電流磁界の差分をボンディングワイヤ電流信号としてボンディングワイヤ電流磁界分布を検出することを特徴とする電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出方法である。
【0020】
本発明の第2の構成は、第1の構成において、前記複数の電流センサのうち少なくとも1つの電流センサを、前記計測目標位置と前記偏位位置とに移動させることにより前記各位置で電流磁界を測定することを特徴とする。
【0021】
本発明の第3の構成は、第1の構成において、前記複数の電流センサは、前記計測目標位置と前記偏位位置とでそれぞれ電流磁界を検出するためのセンサ素子を備え、前記複数の電流センサを予め固定された位置に配置させた状態で前記各位置でそれぞれ同時に電流磁界を測定することを特徴とする。
【0022】
本発明の第4の構成は、複数の電力用半導体デバイスのそれぞれと基板間を、複数のボンディングワイヤで接合した電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出方法において、前記複数のボンディングワイヤに流れる電流により生じる磁界を検出するとともに、前記磁界に応じた電流を各ボンディングワイヤの電流としてそれぞれ出力する電流センサを複数設け、前記各電流センサは、計測目標位置と、その計測目標位置から離れた少なくとも1箇所の偏位位置とに、それぞれ独立したセンサ素子を備えるとともに、各センサ素子の出力信号を電流磁界方向に対して互いに信号を打ち消し合う逆相接続した構成とし、前記逆相接続したセンサ素子の総合的な出力信号をボンディングワイヤの電流磁界信号としてボンディングワイヤ電流磁界分布を検出することを特徴とする電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出方法である。
【0023】
本発明の第5の構成は、複数の電力用半導体デバイスのそれぞれと基板間を、複数のボンディングワイヤで接合した電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置において、前記複数のボンディングワイヤに流れる電流により生じる磁界を検出するとともに、前記磁界に応じた電流を各ボンディングワイヤの電流としてそれぞれ出力する複数の電流センサと、前記電流センサにより、計測目標位置と、その計測目標位置から離れた少なくとも1箇所の偏位位置で電流磁界を測定する電流磁界測定手段と、前記計測目標位置と、前記偏位位置とで測定した電流磁界の差分を演算する電流磁界差分演算手段とを備えたことを特徴とする電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置である。
【0024】
本発明の第6の構成は、第5の構成において、前記複数の電流センサのうち少なくとも1つの電流センサを、前記計測目標位置と前記偏位位置とに移動させる電流センサ移動手段を設け、前記各位置で前記電流磁界測定手段により電流磁界を測定することを特徴とする。
【0025】
本発明の第7の構成は、第5の構成において、前記複数の電流センサは、前記計測目標位置と前記偏位位置とでそれぞれ電流磁界を検出するためのセンサ素子を備え、前記複数の電流センサを予め固定された位置に配置させた状態で前記各位置でそれぞれ同時に電流磁界を測定する電流センサユニットを設けたことを特徴とする。
【0026】
本発明の第8の構成は、複数の電力用半導体デバイスのそれぞれと基板間を、複数のボンディングワイヤで接合した電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置において、前記複数のボンディングワイヤに流れる電流により生じる磁界を検出するとともに、前記磁界に応じた電流を各ボンディングワイヤの電流としてそれぞれ出力する複数の電流センサであって、各電流センサは、一つの基板に位置の異なる少なくとも2つのセンサ素子を備えたものであり、前記電流センサにより、計測目標位置と、その計測目標位置から離れた少なくとも1箇所の偏位位置で電流磁界を測定する電流磁界測定手段と、前記計測目標位置と、前記偏位位置とで測定した電流磁界の差分を演算する差動信号演算手段とを備えたことを特徴とする電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置である。
【0027】
本発明の第9の構成は、複数の電力用半導体デバイスのそれぞれと基板間を、複数のボンディングワイヤで接合した電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置において、前記複数のボンディングワイヤに流れる電流により生じる磁界を検出するとともに、前記磁界に応じた電流を各ボンディングワイヤの電流としてそれぞれ出力する複数の電流センサであって、各電流センサは、計測目標位置と、その計測目標位置から離れた箇所の偏位位置で電流磁界を測定するセンサ素子の出力信号を電流磁界方向に対して互いに信号を打ち消し合う逆相で接続されたものであり、前記電流センサにより、計測目標位置と、その計測目標位置から離れた箇所の偏位位置における電流磁界の差分を測定する電流磁界差分測定手段とを備えたことを特徴とする電力用半導体デバイスのボンディングワイヤ電流磁界分布検出装置である。
【0028】
本発明においては、計測目標近傍と少なくとも一点の計測目標から離れた地点の電流磁界を測定し、必要により、前述の少なくとも2つの測定信号のそれぞれの信号強度や周波数特性等の重み付け差分を取った信号を計測目標信号であるとして扱う。
計測目標の少なくとも一つの電流磁界を測定する場合において、測定目標の電流磁界を妨害する外部(計測目標と異なる周辺)磁界の影響を相殺するために、電流センサの高さを変えて測定するか、複数の電流センサを配置して、それらの差分をとることにより、ノイズ信号を相殺することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、電力用半導体デバイスのボンディングワイヤに流れる電流の偏りなどの異常を、高さの異なる位置における電流磁界を電流センサで検出しその差分をとることにより非接触で検査診断し、デバイスの信頼性を損なう可能性のある電力用半導体デバイスを選別することが可能になり、市場における当該デバイスの不良発生を未然に防ぐことが可能になる。結果として品質の高い電力用半導体デバイスを提供することができる。また、本発明によるボンディングワイヤ電流磁界分布検出試験行程は、既存の電力用半導体デバイスの特性試験(電力用半導体デバイス・パルス・スイッチング特性試験)のパルス・スイッチング波形をそのまま使用し、特性試験行程と並行して実行することができるため、特殊な周波数やの位相の試験信号や試験タイミングなどを用いた個別の試験行程が不要であり、安価に試験工数を増加させることなく実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1に係る単体センサの三次元位置制御による立体配置法を示すものであり、(a)は概略全体図、(b)は要部詳細図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る単体センサの三次元位置制御による立体配置法を示すものであり、(a)はセンサ位置ロボット制御・演算フルディジタル方式のブロック図、(b)は差分演算手段による演算の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る単体センサの三次元位置制御による立体配置法を示すものであり、(a)はセンサーコイルを第1の高さ位置に配置して測定する状態、(b)はセンサーコイルを第2の高さ位置に配置して測定する状態を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係るセンサ自体の立体配置法を示すものであり、(a)はセンサ配置図、(b)は差分演算の一例を示すブロック図、(c)は差分演算の他の例を示すブロック図、(d)はx座標複数積層のセンサを示す図、(e)はy座標配置なしの場合のセンサを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態4に係るセンサ位置立体配置法による演算フルディジタル方式を示すものであり、(a)はブロック図、(b)は差分演算手段による演算の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態5に係るセンサ位置立体配置法による演算アナログ方式を示すものであり、(a)はブロック図、(b)は信号記憶エリアの説明図である。
【図7】本発明の実施の形態6に係るセンサ位置立体配置法とセンサ素子の出力信号を電流磁界方向に対して互いに打ち消しあう様に逆相接続した方式を示すものであり、(a)はブロック図、(b)は信号記憶エリアの説明図である。
【図8】複数のボンディングワイヤの形成例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は電流センサとボンディングワイヤの配置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。

【0032】
<実施の形態1>
本発明の実施の形態1を、図1及び図2を参照しながら説明する。
これらの図、特に図2において、被測定デバイスである電力用半導体デバイス(以下、単に「半導体デバイス」と言うことがある。)1は、複数の半導体デバイスが併設された第1基板2と、正極導体3を設けた正極基板4と、負極導体5を設けた負極基板6と、第1基板2の複数の各半導体デバイスと正極基板4間および負極基板6間の対応する電極をそれぞれ接合するボンディングワイヤ7,8を有している。

【0033】
各ボンディングワイヤ7,8に電流が流れるとき、各ボンディングワイヤの周りに電流磁界が生じる。この電流磁界を外部から電流センサ10により測定することにより、ボンディングワイヤ7,8に流れる電流を非接触で検出することができる。本実施の形態では電流センサ10として基板11に渦巻状のパターンのコイル12を形成し、コイル12に誘起される電流を測定する方式(特許文献1参照)を採用しているが、ホール素子や磁気抵抗効果素子等の他の方式のセンサを用いることができることは勿論である。

【0034】
図1(a)は電流センサ10を用いて半導体デバイス1に流れる電流を測定する試験装置20を示すものであり、検査台21に載せられた半導体デバイス1のボンディングワイヤ7,8に対して電流センサ10の高さや前後左右位置を精密制御する多軸ロボット22が設けられている。

【0035】
図1(b)に示すように、電流センサ10のコイル12には、ボンディングワイヤ7,8に流れる電流(分流電流)によって生じる磁界の磁束のほか、正極導体3,負極導体5に流れる電流(総合電流)によって生じる磁界の磁束も鎖交し、後者の電流が大きいため、前者に対して後者が大きな電流磁界ノイズとなる。この電流磁界ノイズを除去ないし低減することにより、測定目的の個々のボンディングワイヤ7または8に流れる電流の分布を正確に測定することが本発明の目的である。

【0036】
本発明の実施の形態1では、図2に示すように、試験装置制御手段30は試験信号発生手段31に試験信号発生指令を出力し、試験信号発生手段31は試験パルスを生成し、試験電流供給手段32で所定の電流値の試験パルス電流を生成して、正極導体3、負極導体5に供給する。この試験パルス電流は、半導体デバイス1の複数のボンディングワイヤ7,8に分流して供給される。試験装置制御手段30はまた、x軸位置制御手段33、y軸位置制御手段34、z軸位置制御手段35を有しており、電流センサのx軸位置、y軸位置、z軸位置を制御する。なお、x軸方向はボンディングワイヤ7,8の隣接する各ボンディングワイヤの方向(図1の(b)に示すX軸方向)、y軸方向はボンディングワイヤ7から8の並び(左右方向)の方向、z軸方向はボンディングワイヤ7,8に接近、離脱する方向(高さ方向)である。

【0037】
一方、試験信号発生手段31から出力される試験パルスはトリガ信号検出手段39に入力され、数値計測制御手段38に記録開始のタイミングを与える。数値計測制御手段38はA/D変換手段37にサンプリング開始信号を出力しサンプリングを起動する。起動したA/D変換手段37は、電流センサ10で検出され、信号増幅手段36で増幅された出力をサンプリングし、ディジタル信号情報に変換し、信号情報第一次記憶手段40への保存を開始する。所定のサイクルのサンプリングが終了したらA/D変換手段37はサンプリング終了通知を数値計測制御手段38に出力し、第一の位置での電流センサ10による測定と信号情報第一次記憶手段40への保存を終了する。

【0038】
次に、x軸位置制御手段33、y軸位置制御手段34、z軸位置制御手段35により多軸ロボット22(図1参照)を制御し、電流センサ10を第二の位置に移動して、数値計測制御手段38は試験信号発生手段31より試験パルスを発生させ、同様にボンディングワイヤ7,8に流れる電流により発生する磁界を電流センサ10で検出し、信号増幅手段36で増幅し、A/D変換手段37でディジタル信号情報に変換し、信号情報第一次記憶手段40に保存する。第二の位置とはX軸位置とY軸位置が同じで、Z軸に沿ってボンディングワイヤから遠ざかる位置に変位した位置である。第二の位置での測定及びサンプリングデータ保存が全て終了すると、信号情報第一次記憶手段40に保存された第一の位置での測定データと第二の位置での測定データを読み出し、差分演算手段41で両者の差を演算して信号情報第二次記憶手段42に保存する。この差分演算手段41での差分演算時、補正を加える信号情報第一次記憶手段40内の目的の記憶エリアと、同じく信号情報第一次記憶手段40の複数の補正に使用する記憶エリアを選択することが可能であり、補正時の信号強度及び周波数特性等の重み付け演算は任意に可能である。図2(b)は、差分演算手段41による入力信号と出力信号の様子を示している。信号情報第二次記憶手段42に保存された情報は、検査診断処理の際に読み出される。

【0039】
<実施の形態2>
図1及び図2に示した例では電流センサ10は検出解像度を得るために必要なのは1個であるが、本発明の実施の形態2として図3に示すように、複数のボンディングワイヤ7(または8)に流れる電流を同時に測定するために、ボンディングワイヤ7(または8)の数(チャンネル数)に対応する複数の電流センサ10を図3の(a-2)及び(b-2)に示すように、ボンディングワイヤ7(または8)の設置間隔で併設した電流センサユニット100を用いることにより、1個の電流センサ10でチャンネル数と同じ回数の電流測定をする煩雑さと時間を節減することができる。

【0040】
なお、図3ではボンディングワイヤ数と電流センサ数が同じであるが、ボンディングワイヤ数に対して電流センサ数が多いほど、検出する電流磁界の解像度は向上する。図3(a)((a-1)は正面図、(a-2)は側面図)はボンディングワイヤ7に流れる電流Ijにより生じる磁界φjと鎖交するように電流センサ10のコイル12の位置を決めて電流磁界を測定している状態を示している(第一の位置)。この状態では、正極導体3に流れる電流Icにより生じる磁界φcも鎖交している。このときの電流センサ10の検出電圧をVaとする。

【0041】
図3(b)((b-1)は側面図、(b-2)は正面図)はボンディングワイヤ7に流れる電流Ijにより生じる磁界φjとの影響が小さくなる位置に電流センサ10のコイル12の位置を決めて電流磁界を測定している状態を示している(第二の位置)。この状態では、正極導体3に流れる電流Icにより生じる磁界φcが主に鎖交している。このときの電流センサ10の検出電圧をVbとする。

【0042】
ここで、ボンディングワイヤ7(8)に流れる電流Ijにより生成される磁界による正味検出電圧Vjは
Vj=A・Va-B・Vb
A及びBはそれぞれの検出電圧に対する周波数特性に基づく増幅度特性などの重み付けファクターである。
となり、正極導体3に流れる電流に基づく外部影響磁界によるノイズ電圧を相殺することができる。

【0043】
<実施の形態3>
以上の実施の形態1,2では、電流センサ10を第一の位置と第二の位置に移動させてそれぞれの位置の電流磁界を測定することによりノイズを除去し、ボンディングワイヤ7(8)に流れる電流磁界を検出する例を示したが、実施の形態3では、図4(e)に示すように、同一の基板11上に、Z軸上の位置の異なる2個のコイル12,13を形成した電流センサ10Aとして、コイルの位置を移動させることなく第一の位置と二の位置の電流磁界を同時に検出するようにしている。

【0044】
図4(d)の電流センサ10Bはさらに基板11のy座標方向にもコイル12,13,14,15,16,17を形成し、上下位置だけでなく、y方向の複数の位置での磁束測定を同時に行うようにしている。

【0045】
図4(a)は電流センサ10Bをボンディングワイヤ7(8)の隣接する方向(x軸方向)に、ボンディングワイヤ7(8)の数と同じ個数、積み重ねて1つの電流センサユニット100とした例を示している。電流センサ10Bにおける基板11上でのコイル12~17の配置は、電流センサ10BがX1の位置にあるとき、コイル12がX1,Y1,Z1、コイル13がX1,Y1,Z2、コイル14がX1,Y2,Z1、コイル15がX1,Y2,Z2、コイル16がX1,Y3,Z1、コイル17がX1,Y3,Z2の座標位置となる。これらの電流センサ10Bの基板11に形成された6つのコイル12~17の出力は、図4(b)に示すように、それぞれアンプで増幅された後、総て記録しておき、後でディジタル計測処理により差分を取ることができる。あるいは、図4(c)に示すように、上下のコイルの出力を差動アンプに入力し、信号差分を記録することもできる。なお、図4(c)の場合の前記重み付けファクターの設定は、それぞれの差動アンプの入力信号増幅度や周波数特性の設定により行われる。

【0046】
ここで、電流センサ10Bに6つのコイル12~17を設け、Z1の高さとZ2の高さの検出信号の差分を演算するほかにY軸方向にY1,Y2,Y3の3つの位置の信号を同時に検出するようにしたのは、実際の半導体デバイス(IGBT)のボンディングワイヤ7(8)の掛かり方が、きれいに直線上に並んでいるのではなく、デバイスの垂直方向の「面電流」を稼ぐために、図8((a)は斜視図、(b)は電流センサ10BとボンディングワイヤBW-1~BW-8の配置を示す側面図)に示すようにボンディングワイヤBW-1~BW-8の一端が千鳥状に配置されることが多いため、ボンディングワイヤの複数の屈曲頂点位置(電流センサ10Bのコイル12とコイル14の中間に位置する屈曲頂点とコイル14とコイル16の間に位置する屈曲頂点で、最もコイルに近いボンディングワイヤの電流磁界が最も強く作用する。)の電流磁界信号をすべて効率よく取得するためである。
以上の電流センサユニット構造によって、多くの変位位置の電流磁界信号情報を一度に取得でき、計測時間の大幅短縮につながる。

【0047】
<実施の形態4>
本発明の実施の形態4は、図4(b)に示すように各コイルの出力を総て独立したアンプAMP(X[変位位置番号],Y[変位位置番号],Z[変位位置番号])で増幅した後、ディジタル演算する例であり、図5(a)に示すように、試験装置制御手段30は試験信号発生手段31に試験信号発生指令を出力し、試験信号発生手段31は試験パルスを生成し、試験電流供給手段32で所定の電流値の試験パルス電流を生成して、正極導体3、負極導体5に供給する。この試験パルス電流は、半導体デバイス1の複数のボンディングワイヤ7,8に分流して供給される。

【0048】
一方、試験信号発生手段31から出力される試験パルスはトリガ信号検出手段39に入力され、数値計測制御手段38に記録開始のタイミングを与える。数値計測制御手段38はA/D変換手段群120にサンプリング開始信号を出力する。A/D変換手段群120は、電流センサユニット100で検出され、信号増幅手段群110で増幅された出力をサンプリングし、ディジタル信号情報に変換し、信号情報第一次記憶手段40への保存を開始する。所定のサンプリング時間後に保存が終了すると、A/D変換手段群120はサンプリング終了通知を数値計測制御手段38に出力し、第一の位置および第二の位置における電流センサユニット100による同時測定と信号情報第一次記憶手段40への保存を終了する。本実施の形態の場合、電流センサユニット100での検出信号は一度の試験パルスによってすべての位置での測定、保存が完了する。図5(b)は、差分演算手段41による入力信号と出力信号の様子を示している。信号情報第二次記憶手段42に保存された情報は、検査診断処理の際に読み出される。

【0049】
<実施の形態5>
本発明の実施の形態5は、図4(c)に示すように対応するx位置の上下のコイルの出力を差分アンプDAMPで差分増幅する例であり、図6(a)に示すように、試験装置制御手段30は試験信号発生手段31に試験信号発生指令を出力し、試験信号発生手段31は試験パルスを生成し、試験電流供給手段32で所定の電流値の試験パルス電流を生成して、正極導体3、負極導体5に供給する。この試験パルス電流は、半導体デバイス1の複数のボンディングワイヤ7,8に分流して供給される。

【0050】
一方、試験信号発生手段31から出力される試験パルスはトリガ信号検出手段39に入力され、数値計測制御手段38に記録開始のタイミングを与える。数値計測制御手段38はA/D変換手段群140にサンプリング開始信号を出力する。A/D変換手段群140は、電流センサユニット100で検出され、差動信号増幅手段群130で差分増幅された出力をサンプリングし、ディジタル信号情報に変換し、信号情報記憶手段150への保存を開始し全てサンプリングが完了するまで保存を継続する。なお、差動信号増幅手段群130では、電流センサユニット100のZ軸上(Z座標)の上下のコイルのそれぞれの出力に対する信号強度や周波数特性の重み付けが行われる。図6(b)は、信号情報記憶手段150に保存された情報を示しており、検査診断処理の際に読み出される。

【0051】
<実施の形態6>
本発明の実施の形態6は、図7(a)に示すように、高さ方向(z方向)の異なる2つのコイルを逆向きとし、コイル同士をコイルの信号出力が電流磁界方向に対してそれぞれ逆相で結線した電流センサユニット160を用いたものである。この電流センサユニット160の各差分出力端子は信号増幅手段群170により差分出力が増幅され、A/D変換手段群140によりディジタル信号に変換されて信号情報記憶手段150に保存される。なお、この場合の信号強度や周波数特性等の重み付けファクターは、各コイルの巻き数や口径により設定が可能である。試験信号発生手段31から出力される試験パルスはトリガ信号検出手段39に入力され、数値計測制御手段38に記録開始のタイミングを与える。数値計測制御手段38はトリガ信号を受け取るとA/D変換手段群140にサンプリング開始信号を出力する。A/D変換手段群140は、電流センサユニット160で検出され、信号増幅手段群170で増幅された出力をサンプリングし、ディジタル信号情報に変換し、信号情報記憶手段150に保存を開始する。すべてのサンプリングが終了するとA/D変換手段群140は数値計測制御手段38に対してサンプリングが終了した旨を通知する。図7(b)は、信号情報記憶手段150に保存された情報を示しており、検査診断処理の際に読み出される。その他の構成は図6に示す実施の形態5と同様である。
この実施の形態6のように、高さ方向の異なる2つのコイルを逆相で接続することにより1つの信号増幅手段で差分出力を増幅することができる。このため、実施の形態4のように2つのコイルのそれぞれの出力を後に差分演算したり、実施の形態5のように2つコイルの出力を差動アンプを用いて差分演算する必要がなくなり、構成が簡素化するメリットがある。

【0052】
上述したように、本発明の実施の形態1~6によれば、半導体デバイスの各ボンディングワイヤに流れる電流から外部導体(正極導体、負極導体)に流れる大電流による磁界の影響を除去して各ボンディングワイヤに流れる正味電流を検出することができるようになる。このため、ボンディングワイヤに流れる前記正味電流とあらかじめ計測しておいた基準電流との比較を行うことにより、ボンディングワイヤと半導体デバイスとの間の接合不良を判断する際の精度が高くなる。

【0053】
本発明では、電流センサによるボンディングワイヤの電流磁界信号を、高さの異なった位置で信号測定することにより、検査装置の内部で発生する周囲磁界ノイズの影響を差し引くことができるため、装置の試験電極を防磁シールドで遮蔽するような特殊な設計をする必要がなく、製品コストを低減できる効果がある。なお、試験電極を磁性体の防磁シールドで遮蔽すると、シールドの磁性体自身が周囲の磁界を誘導することになり、却ってノイズの影響が増大してしまうし、複数の電流センサに対するシールド効果が不均一となり、検出する電流磁界にムラが生じて外部磁界の影響の除去が困難となる。

【0054】
また、特許文献1~6あるいは非特許文献1、2に記載されたような従来方式と異なり、電流磁界検出のための特殊な周波数信号や、電力用半導体デバイスの特性使用上において通常使わないような位相信号や検査専用信号を使った特殊な試験行程を追加することなく、従来の電力用半導体デバイス・パルス・スイッチング特性試験工数の中に組み込むことができ、試験工数を増加させない効果がある。
また、前記特殊な試験用の設備機器も別途必要なく、試験機器費用を抑えることが可能となる優れた効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、電力用半導体デバイス、特にIGBTのパッケージング時の不良判定を高精度で行うことができる技術として、電気機器および電子機器の電源やインバータ等に広く使われているデバイスの製品の信頼性を著しく向上させることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 電力用半導体デバイス
2 第1基板
3 正極導体
4 正極基板
5 負極導体
6 負極基板
7,8 ボンディングワイヤ
10,10A,10B 電流センサ
11 基板
12,13,14,15,16,17 コイル
20 試験装置
21 検査台
22 多軸ロボット
30 試験装置制御手段
31 試験信号発生手段
32 試験電流供給手段
33 x軸位置制御手段
34 y軸位置制御手段
35 z軸位置制御手段
36 信号増幅手段
37 A/D変換手段
38 数値計測制御手段
39 トリガ信号検出手段
40 信号情報第一次記憶手段
41 差分演算手段
42 信号情報第二次記憶手段
100 電流センサユニット
110 信号増幅手段群
120 A/D変換手段群
130 差動信号増幅手段群
140 A/D変換手段群
150 信号情報記憶手段
160 電流センサユニット
170 信号増幅手段群
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7