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明細書 :内視鏡用処置具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-150044 (P2016-150044A)
公開日 平成28年8月22日(2016.8.22)
発明の名称または考案の名称 内視鏡用処置具
国際特許分類 A61B  17/221       (2006.01)
A61B   1/00        (2006.01)
FI A61B 17/22 320
A61B 1/00 334D
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2015-027810 (P2015-027810)
出願日 平成27年2月16日(2015.2.16)
発明者または考案者 【氏名】松本 和也
【氏名】植木 賢
【氏名】上原 一剛
【氏名】野澤 誠子
出願人 【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001896、【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C160
4C161
Fターム 4C160EE22
4C160EE28
4C160KK06
4C160MM32
4C160NN01
4C160NN09
4C160NN14
4C161FF43
4C161GG15
4C161HH56
要約 【課題】ポリープ等の病変部を安定して保持することができ、病変部の切除を確実に行うことができる内視鏡用処置具の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、体腔内の病変部を切除する内視鏡用処置具1であって、シース2と、シース2内に挿通される操作ワイヤ31と、操作ワイヤ31を操作する操作部と、操作ワイヤ31の先端側に設けられたループ部Lを有し、シース2の先端側開口から出没する先端部材32と、先端部材32から離脱可能に取り付けられ、ループ部Lの広がりに伴ってループを形成する糸状の絞扼部材5とを備え、絞扼部材5がシース2の基端側に操作されると、絞扼部材5が先端部材32から離脱し、絞扼部材5のループが、ループ部Lのループに対して相対的に小さくなり、病変部を絞扼して切除するように構成されていることを特徴とする。
【選択図】図3a
特許請求の範囲 【請求項1】
体腔内の病変部を切除する内視鏡用処置具であって、前記内視鏡用処置具が、
シースと、
前記シース内に挿通される操作ワイヤと、
前記操作ワイヤを前記シースの長手方向に操作する操作部と、
前記操作ワイヤの先端側に設けられたループ部を有し、前記操作部の操作により前記シースの先端側開口から出没する先端部材と、
前記先端部材のループ部に沿って、前記先端部材から離脱可能に、前記先端部材に取り付けられ、前記先端部材が前記先端側開口から突出して前記ループ部が広がった際に、前記ループ部の広がりに伴ってループを形成する糸状の絞扼部材とを備え、
前記絞扼部材が前記シースの基端側に操作されると、前記絞扼部材が前記先端部材から離脱し、前記絞扼部材のループが、前記ループ部のループに対して相対的に小さくなり、前記病変部を絞扼して切除するように構成された内視鏡用処置具。
【請求項2】
前記絞扼部材と前記先端部材とが、前記絞扼部材が引き操作されると、前記絞扼部材が前記先端部材から離脱するように構成された脆弱部により取り付けられている請求項1記載の内視鏡用処置具。
【請求項3】
前記先端部材が、前記ループ部に取り付けられ、切除された前記病変部を回収可能な回収部を備え、
前記絞扼部材が前記ループ部または回収部に離脱可能に取り付けられている請求項1または2記載の内視鏡用処置具。
【請求項4】
前記絞扼部材が、前記先端部材のループ部に沿った複数のループを形成するように前記先端部材に取り付けられ、複数の病変部を除去可能な請求項1~3のいずれか1項に記載の内視鏡用処置具。
【請求項5】
前記絞扼部材が複数本設けられている請求項4記載の内視鏡用処置具。
【請求項6】
前記シースの先端部に、前記病変部を切除する切断刃が形成されている請求項1~5のいずれか1項に記載の内視鏡用処置具。
【請求項7】
前記先端部材の先端側に、前記先端部材から離脱可能に前記先端部材に取り付けられた留置スネアをさらに備え、前記留置スネアと前記先端部材とが、前記先端部材が基端側に操作されたときに、前記留置スネアが前記先端部材から離脱するように構成された第2脆弱部により取り付けられている請求項1~6のいずれか1項に記載の内視鏡用処置具。
【請求項8】
前記内視鏡用処置具が、前記シースを挿通可能な第2シースをさらに備え、
前記留置スネアが、病変部を結紮する結紮ループ部と、前記結紮ループ部から基端側に延び、前記結紮ループ部と前記先端部材とを接続する接続部と、前記接続部が挿通され、前記結紮ループ部のループが小さくなったときに、ループの広がりを防止する止め具とを備え、
前記操作ワイヤが基端側に操作されると、前記接続部が前記先端部材とともに基端側に引き操作され、前記止め具が前記シースの先端と当接し、前記止め具が前記接続部に対して相対的に先端側に移動して前記結紮ループ部のループを小さくし、前記結紮ループ部により前記病変部が結紮された後、前記操作ワイヤがさらに基端側に操作されると、前記第2脆弱部において、前記接続部の基端側が前記先端部材から離脱して、前記留置スネアが前記先端部材から離脱する請求項7記載の内視鏡用処置具。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用処置具に関する。さらに詳しくは、本発明は、体腔内の病変部を切除する内視鏡用処置具に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリープ等、体腔内の病変部を切除するにあたって、様々なタイプの内視鏡用処置具が用いられている。ポリープ等の病変部は、体腔内で所定の処置具により切除された後、体腔内から回収される。特許文献1および2には、内視鏡の鉗子口等から挿入されたポリープ切除用の処置具により切除されたポリープを、ポリープ切除用の処置具とは別に用意されたポリープ回収用の処置具で回収する内視鏡装置が開示されている。
【0003】
特許文献1および2に記載された内視鏡装置は、内視鏡または内視鏡の外側に設けられた挿入管路内に、図14に示される回収用処置具100が挿入されるように構成されている。この回収用処置具100は、柔軟なポリープ等の回収用ネット101と、回収用ネット101の開口端側に環状に通された極細の糸からなる環状リング102と、一端が環状リング102の一部に結合され、他端が長くのばされた極細の糸103と、極細の糸103に摺動可能に取り付けられたネット止め具104と、極細の糸103の他端が通され、ネット止め具104よりも小径である第1のシース105と、第1のシース105およびネット止め具104よりも大径であり、内部に先端が分離されたスネア106が通されている第2のシース107とを備えている。図14に示されるように、第1のシース105は第2のシース107内に配置され、先端が分離されたスネア106は、回収用ネット101の開口端側に通されて、回収用ネット101の開口端側を開口状態で保持している。
【0004】
この特許文献1および2に記載された回収用処置具100は、それ自体ポリープを切除する機能は有しておらず、回収用処置具100とは別に設けられたポリープ切除用の処置具等によりポリープを切除し、回収用処置具100はポリープの切除後、ポリープを回収する際に用いられる。ポリープの回収は、ポリープ切除用の処置具等によりポリープを切除して、回収用ネット101内にポリープを入れた後、極細の糸103およびスネア106の端部108を同時に引っ張ることにより行われ、その際に、ネット止め具104が第1のシース105の入り口端で引っかかり、回収用ネット101の開口端が絞られ、先端が分離されたスネア106は、環状リング102から抜けるように構成されている。
【0005】
上述した特許文献1および2の回収用処置具は、ポリープの回収をすることはできるが、ポリープの切除は、内視鏡の鉗子口から挿入されたポリープ切除用の処置具により行っており、ポリープ等の病変部を切除することはできない。
【0006】
一方、特許文献3には、ポリープ等の病変部を切除かつ回収する高周波スネア200が開示されている。この高周波スネア200は、図15に示されるように、導電性ワイヤからなり、先端にループ部を形成したスネアワイヤ201と、スネアワイヤ201を内部で進退させることが可能なシースチューブ202とを備えている。また、スネアワイヤ201のループ部には、ネット部203が接続固定されている。スネアワイヤ201は、高周波電流を通電可能な導電性材料から形成され、スネアワイヤ201以外の、シースチューブ202やネット部203は絶縁性のある材料または絶縁性材料を被覆する絶縁体から構成され、高周波電流を流したときの熱により破損しない耐熱性材料が用いられている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2004-166876号公報
【特許文献2】特開2010-213796号公報
【特許文献3】特開平10-137260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献3のような構造の場合、スネアワイヤ201、ネット部203の材料は限られてしまい、材料の選択の幅が非常に狭い。また、特許文献3のスネアワイヤ201では、ポリープの切除は高周波電流に依存しており、ポリープを物理的に挟み込むだけではポリープを切除することはできない。
【0009】
また、高周波電流に依存しないコールドスネアがポリープの切除に用いられるケースもあるが、特許文献3のような構造に用いた場合は、ネット部203がポリープの切除に邪魔となるうえ、ポリープの形状が平坦に近い山形のものになると、スネアのみでポリープをつかむことが困難であるという問題もある。
【0010】
そこで、本発明はかかる問題点に鑑みて、ポリープ等の病変部を安定して保持することができ、病変部の切除を確実に行うことができる内視鏡用処置具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、体腔内の病変部を切除する内視鏡用処置具であって、前記内視鏡用処置具が、シースと、前記シース内に挿通される操作ワイヤと、前記操作ワイヤを前記シースの長手方向に操作する操作部と、前記操作ワイヤの先端側に設けられたループ部を有し、前記操作部の操作により前記シースの先端側開口から出没する先端部材と、前記先端部材のループ部に沿って、前記先端部材から離脱可能に、前記先端部材に取り付けられ、前記先端部材が前記先端側開口から突出して前記ループ部が広がった際に、前記ループ部の広がりに伴ってループを形成する糸状の絞扼部材とを備え、前記絞扼部材が前記シースの基端側に操作されると、前記絞扼部材が前記先端部材から離脱し、前記絞扼部材のループが、前記ループ部のループに対して相対的に小さくなり、前記病変部を絞扼して切除するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、前記絞扼部材と前記先端部材とが、前記絞扼部材が引き操作されると、前記絞扼部材が前記先端部材から離脱するように構成された脆弱部により取り付けられていることが好ましい。
【0013】
また、前記先端部材が、前記ループ部に取り付けられ、切除された前記病変部を回収可能な回収部を備え、前記絞扼部材が前記ループ部または回収部に離脱可能に取り付けられていることが好ましい。
【0014】
また、前記絞扼部材が、前記先端部材のループ部に沿った複数のループを形成するように前記先端部材に取り付けられ、複数の病変部を除去可能であることが好ましい。
【0015】
また、前記絞扼部材が複数本設けられていることが好ましい。
【0016】
また、前記シースの先端部に、前記病変部を切除する切断刃が形成されていることが好ましい。
【0017】
また、前記先端部材の先端側に、前記先端部材から離脱可能に前記先端部材に取り付けられた留置スネアをさらに備え、前記留置スネアと前記先端部材とが、前記先端部材が基端側に操作されたときに、前記留置スネアが前記先端部材から離脱するように構成された第2脆弱部により取り付けられていることが好ましい。
【0018】
また、前記内視鏡用処置具が、前記シースを挿通可能な第2シースをさらに備え、前記留置スネアが、病変部を結紮する結紮ループ部と、前記結紮ループ部から基端側に延び、前記結紮ループ部と前記先端部材とを接続する接続部と、前記接続部が挿通され、前記結紮ループ部のループが小さくなったときに、ループの広がりを防止する止め具とを備え、前記操作ワイヤが基端側に操作されると、前記接続部が前記先端部材とともに基端側に引き操作され、前記止め具が前記シースの先端と当接し、前記止め具が前記接続部に対して相対的に先端側に移動して前記結紮ループ部のループを小さくし、前記結紮ループ部により前記病変部が結紮された後、前記操作ワイヤがさらに基端側に操作されると、前記第2脆弱部において、前記接続部の基端側が前記先端部材から離脱して、前記留置スネアが前記先端部材から離脱することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の内視鏡用処置具によれば、ポリープ等の病変部を安定して保持することができ、病変部の切除を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の内視鏡用処置具が内視鏡に挿入された状態を示す全体図である。
【図2】本発明の一実施形態の内視鏡用処置具が、内視鏡の先端に取り付けられる補助具に設けられた挿入管路に挿入された状態を示す図である。
【図3a】本発明の一実施形態の内視鏡用処置具の先端側を示し、内視鏡処置具に設けられた回収部の開口部側から見た図である。
【図3b】図3aの内視鏡用処置具の斜視図である。
【図3c】図3aの内視鏡用処置具の側面図である。
【図4】図3bに示す内視鏡用処置具において、絞扼部材が引き操作された状態を示す斜視図である。
【図5】絞扼部材のループ形成方法の一例を示す概略図である。
【図6】先端部材と絞扼部材との間の他の取付方を示す概略図である。
【図7a】本発明の一実施形態の内視鏡用処置具の使用状態を説明する図であり、内視鏡用処置具を病変部の近傍まで移動させた状態を示している。
【図7b】本発明の一実施形態の内視鏡用処置具の使用状態を説明する図であり、内視鏡用処置具を病変部に被せた状態を示している。
【図7c】本発明の一実施形態の内視鏡用処置具の使用状態を説明する図であり、絞扼部材により病変部を絞扼した状態を示している。
【図7d】本発明の一実施形態の内視鏡用処置具の使用状態を説明する図であり、絞扼部材により病変部を切除した状態を示している。
【図8】(a)は、複数の絞扼部材を備えた他の実施形態を示す図であり、(b)は、(a)の複数の絞扼部材のうち、1つの絞扼部材のループが小さくなった状態を示す図である。
【図9】複数の絞扼部材が接続された変形例を示す概略図である。
【図10】(a)は、図9の複数の絞扼部材の操作の一例を示す概略図であり、(b)は、(a)の複数の絞扼部材のうちの1つの絞扼部材のループが小さくなった状態を示す図である。
【図11】(a)はシースに切断刃が形成されたさらに他の実施形態の内視鏡用処置具を示す図であり、(b)は(a)の内視鏡用処置具を病変部に被せた状態を示す図であり、(c)は絞扼部材および切断刃により病変部が切除された状態を示す図である。
【図12】先端部材の先端側に留置スネアが設けられた、さらに他の実施形態を示す概略図である。
【図13a】図12の実施形態において、留置スネアが第2シース内に収容された状態を示す図である。
【図13b】図13aの状態から留置スネアを第2シースの先端から突出させた状態を示す図である。
【図13c】図13bの状態において、ポリープを留置スネアのループに通した状態を示す図である。
【図13d】図13cの状態から留置スネアのループを絞り、ポリープを結紮した状態を示す図である。
【図13e】図13dの状態から操作ワイヤを基端側に操作して、留置スネアが先端部材から離脱した状態を示す図である。
【図13f】図13eの状態から先端部材をシースから突出させた、ポリープを絞扼する前の状態を示す図である。
【図14】従来のポリープを回収する回収用処置具を示す斜視図である。
【図15】従来の高周波スネアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の内視鏡用処置具を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態の内視鏡用処置具はあくまで一例であり、本発明の内視鏡用処置具は図面に記載された実施形態に限定されるものではない。

【0022】
図1に示されるように、本実施形態の内視鏡用処置具1(以下、単に処置具1という)は、内視鏡Eの鉗子口等、体外から体腔内に挿入され、体腔内のポリープ等の病変部を切除するように構成されている。なお、処置具1は、図1では内視鏡Eの鉗子口に挿入され、内視鏡Eの先端側のレンズにより病変部を観察しながら病変部を切除するように構成されているが、処置具1は内視鏡Eの鉗子口以外に、内視鏡Eの先端に取り付けられる、挿入管路Cを有する補助具(たとえば、図2参照)に挿入されて用いられてもよい。なお、挿入管路Cを有する補助具としては、たとえば、図2に示されるような、内視鏡Eの先端に取り付けられる透明な環状樹脂材料からなる先端キャップCaと、先端キャップCaに取り付けられるチューブ状の挿入管路Cとを備え、挿入管路Cには挿入管路Cの先端から基端にかけてスリットSが形成されたものを用いることができる。

【0023】
図1および図3a~3cに示されるように、本実施形態の処置具1は、シース2と、シース2内に挿通される操作ワイヤ31(図3c参照)と、操作ワイヤ31をシース2の長手方向に操作する操作部4(図1参照)と、操作ワイヤ31の先端側に設けられたループ部Lを有し、操作部4の操作によりシース2の先端側開口2aから出没する先端部材32と、先端部材32のループ部Lに沿って先端部材32に、先端部材32から離脱可能に取り付けられた糸状の絞扼部材5とを備えている。また、本実施形態では、図1および図3a~3cに示されるように、処置具1により切除された病変部を回収可能な回収部6を備えている。なお、以下に示す実施形態では、回収部6を設けたものを示しているが、病変部の切除のみを目的とする場合には、回収部6を設ける必要はない。

【0024】
シース2は、本実施形態では、内視鏡Eの鉗子口や、図2に示される挿入管路C等に挿入される。シース2は、施術者の手元側である基端側から、内視鏡Eの先端側へと延び、内部に挿入路が形成された可撓性を有する管状部材である。シース2内には、操作ワイヤ31と糸状の絞扼部材5(後述する線状部52(図3c参照))が挿通され、操作ワイヤ31や線状部52が基端側で操作されたときに、内視鏡Eの先端側に基端側の操作力が伝達されるように構成されている。図1および図3a~3cでは、先端部材32、先端部材32に取り付けられた絞扼部材5(後述するループ状絞扼部51)および回収部6は、シース2の先端側開口2aから突出して示されているが、内視鏡Eや挿入管路Cへの基端側開口からの処置具1の挿入時には、先端部材32、絞扼部材5および回収部6は、シース2内に収容された状態とすることができる。これにより、内視鏡Eや挿入管路Cへの処置具1の挿入を容易にすることができる。なお、図1および図2に示す実施形態では、内視鏡Eの鉗子口や挿入管路Cにシース2が挿入されたものを示しているが、内視鏡Eの鉗子口や、挿入管路C自体をシースとして機能させてもよい。

【0025】
処置具1は、シース2の先端側の先端側開口2aから先端部材32が出没するように構成されている。先端部材32は、シース2内に収容された状態と、シース2から突出して広がった状態との間で変形できるように弾性を有している。具体的には、先端部材32はシース2内に収容されたときには圧縮されて細長く変形し、シース2の先端側開口2aから先端部材32が突出すると、先端部材32の弾性によりループ部Lが広がって、ポリープ等の病変部を通すことができる大きさのループを形成する。

【0026】
先端部材32(先端部材32の回収部6)は、図3a~3cに示されるように、病変部を切除する前において、糸状の絞扼部材5を保持する。後述するように、糸状の絞扼部材5は、先端部材32に取り付けられ、シース2から出没する際に変形する先端部材32の形状に応じた形で保持される。病変部を切除する前において、シース2内に先端部材32が収容されている際には、絞扼部材5も先端部材32とともにシース2内に収容され、先端部材32がシース2の先端側開口2aから突出し、ループ部Lが広がった際には、図3a~3cに示されるように、ループ部Lの広がりに伴って絞扼部材5もループを形成する。なお、絞扼部材5の詳細については後述する。

【0027】
ループ部Lのループの形状は、本実施形態では略楕円形または卵型として示されているが、円形や、多角形等、全体として略ループ形状を呈していればよく、図示する形状に限定されるものではない。ループ部Lを含む先端部材32は、弾性を有する材料であれば特に限定されないが、絞扼部材5や回収部6が広がった状態を保持することができる、剛性および形状保持性を有していることが好ましく、たとえば金属や合成樹脂製の先端部材32を用いることができる。なお、ここでいうループ部Lのループとは、完全に切れ目のないループとする必要はなく、シース2の先端側開口2aから出没可能であれば、ループ部Lに切れ目があっても構わない。

【0028】
先端部材32のループ部Lの基端側(図3a中、下側)には、シース2内に挿通された操作ワイヤ31が延び、操作ワイヤ31の基端側は操作部4に連結されている。操作ワイヤ31は、操作部4の操作によりシース2内で基端側および先端側への押し引き操作を先端部材32に伝達する。操作ワイヤ31は、先端部材32に押し引き操作を伝達できるように先端部材32の基端側に設けられていればよく、操作ワイヤ31と先端部材32とは一体として設けられていても、別体として設けられていてもよい。また、操作ワイヤ31の材料は特に限定されるものではなく、先端部材32をシース2の先端側開口2aから出没させることができるように、所定の剛性を有し、操作部4からの操作力を先端部材32に伝達することができればよい。

【0029】
操作部4は、上述したように先端部材32を操作する。本実施形態では、操作部4は、図1に示されるように、操作部本体41と、操作部本体41にスライド可能に設けられた操作桿42とを備えている。本実施形態では、操作部本体41は、シース2の基端側の端部が接続された、細長いスライド溝を有する細長部材として示され、操作部本体41の自由端には、指掛けリングが設けられている。操作桿42は、操作部本体41のスライド溝に係合し、スライド溝に沿って移動可能に設けられている。操作桿42は、スライド溝の形成方向に直交する方向に延びており、操作桿42の両端には指掛けリングが設けられている。操作桿42には操作ワイヤ31の基端側の端部が連結され、操作部本体41に対して操作桿42をスライドさせることにより、シース2に対して操作ワイヤ31を操作して、先端部材32を操作できるように構成されている。なお、操作部4の構成は、操作ワイヤ31および先端部材32を操作することが可能であれば、その構造は特に限定されるものではなく、他の公知の操作構造を用いることができる。

【0030】
回収部6は、後述する絞扼部材5により切除されたポリープ等の病変部を処置具1により回収する場合に設けられる。回収部6はポリープ等の病変部を回収することができる形状および構造であれば、特にその形状および構造は限定されないが、本実施形態では、回収部6はループ部Lに取り付けられたネット状の回収部として示されている。回収部6は、病変部の切除前はループ部Lとともにシース2内に収容され、病変部を切除する際にはシース2内に収容された状態から操作部4が操作されることにより、回収部6はシース2の先端側開口2aからループ部Lとともに突出する。また、ポリープ等の病変部を切除して回収部6に回収した後は、ループ部Lの少なくとも一部または大部分(または全て)をシース2内に収容することにより、ループ部Lの開口幅が狭くなり、回収部6の開口部も狭くなり、切除した病変部の回収部6からの脱落が防止される。

【0031】
つぎに、糸状の絞扼部材5について説明する。絞扼部材5は先端部材32のループ部Lとは別にループを形成し、施術者等によるシース2の基端側での操作により、絞扼部材5はループ部Lに対してループを小さくして、ポリープ等の病変部を絞扼する。絞扼部材5は、病変部を絞扼のみにより切除してもよいし、後述するように、絞扼した後、絞扼部材5で病変部を掴みながら、切断刃により切断してもよい。糸状の絞扼部材5は、たとえば、糸、紐、ワイヤのような細長い部材であり、絞扼部材5の材料は、先端部材32の変形に追従して変形可能な柔軟な材料であり、病変部の絞扼時に絞扼部材5が切れない程度の剛性を有することが好ましく、たとえば、ナイロン等のポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン等の樹脂糸の他、木綿、絹、合成繊維等が用いられる。糸状の絞扼部材5の細さは、特に限定されないが、病変部を切除しやすくするために細い絞扼部材5を用いることが好ましく、たとえば径が0.1~1mm、より好ましくは、0.3~0.5mmの絞扼部材5を用いることができる。また、絞扼部材5は導電性材料により形成され、高周波電流を通電できるようにしてもよいが、絞扼部材5は、絞扼部材5による病変部の締め付けにより、または絞扼部材5による病変部の締め付けと切断刃によって病変部を切除する、いわゆるコールドポリペクトミーにより病変部を切除することが好ましい。コールドポリペクトミーによる病変部の切除は、熱により病変部を焼切るのではなく、物理的に病変部を切除するため、術後しばらく経過してからの、炎症などによる体腔内の出血のリスクを減らすことができる。本実施形態の処置具1は、後述するように、高周波電流を用いないコールドポリペクトミーによる病変部の切除に適している。

【0032】
本実施形態では、絞扼部材5は、図3a~3cに示されるように、病変部を絞扼するループ状絞扼部51と、シース2内に挿通され、シース2の先端側から基端側に延びる線状部52とを備え、ループ状絞扼部51の部分のループを小さくして病変部を切除する。本実施形態では、線状部52の基端側には、図1に示されるように、糸状の絞扼部材5を操作する第2の操作部7が設けられ、第2の操作部7を引き操作することにより、線状部52を引っ張り、図4に示されるように、ループ状絞扼部51のループを小さくする。なお、第2の操作部7は本実施形態では、図1に示されるように、指掛けリングとして示されているが、絞扼部材5の線状部52を基端側に引き操作することができるものであれば、その構造は特に限定されない。また、第2の操作部7は、本実施形態では、操作部4(第1の操作部)と第2の操作部7とは、物理的に分離した別々の部材として示されているが、例えば、操作部4と第2の操作部7とを物理的に一体化させた1つの装置としてもよい。

【0033】
絞扼部材5は、図3a、3bおよび図4等では、1本の線状の絞扼部材5が、シース2の基端側から先端側に延びて、先端部材32のループ部Lに沿ってループ状に折り返された後、再びシース2内に入ってシース2の先端側から基端側に延びるように構成されている。しかし、絞扼部材5は基端側に操作された際に、絞扼部材5のループが小さくなるように構成されていれば、ループの形成方法は特に限定されない。たとえば、1本の線状の絞扼部材5の一端に、図5(図5においては、ループ部Lや回収部6等は省略している)に示されるように、小さなリングRを形成し、そのリングRに絞扼部材5を通してループ状に形成した後、シース2の先端側から基端側に絞扼部材5を延ばしたものとして、絞扼部材5をシース2の基端側に引き操作することにより絞扼部材5のループを小さくするように構成してもよい。

【0034】
糸状の絞扼部材5は、先端部材32のループ部Lに沿って先端部材32に離脱可能に取り付けられている。絞扼部材5のループ部Lへの沿い方は、ループ部Lのループの輪郭に応じた形状で絞扼部材5が配索されていればよく、ループ部Lからわずかに離れて絞扼部材5が配索されていてもよい。絞扼部材5の先端部材32への取付位置は、本実施形態では図3a~3cに示されるように、回収部6に取り付けられているが、ループ部Lに取り付けられていてもよいし、回収部6またはループ部Lに絞扼部材5が他部材を介して間接的に取付けられてもよい。本実施形態では、図3bおよび3cに示されるように、回収ネットとして示された回収部6は、病変部が回収される袋状に広がる病変部回収部位61と、ループ部Lを挟んで病変部回収部位61の反対側に設けられた絞扼部材取付部位62とを有し、絞扼部材取付部位62に絞扼部材5が取り付けられている。絞扼部材取付部位62は、図3bおよび3cに示されるように、ループ部Lに沿って帯状かつ環状に設けられている。なお、絞扼部材取付部位62は、ループ部Lに沿ってループを形成するように絞扼部材5を取り付けることができればよく、必ずしも環状に形成される必要はない。例えば、図6(回収部6については図示を省略している)に示されるように、絞扼部材取付部位62は、ループ部Lのループ形成方向で離間した複数の絞扼部材取付部位62aとしてもよく、複数の絞扼部材取付部位62aを結んだ線が、ループ部Lに沿った形状となるため、絞扼部材5はループ部Lに沿って広がることができる。

【0035】
先端部材32と絞扼部材5との間の離脱可能な取り付けは、先端部材32と絞扼部材5との間の取付部位に脆弱部F(図3a~3c等参照)を形成することにより行われる。脆弱部Fは、絞扼部材5を引き操作する前は、先端部材32のシース2内への出没動作等によっては、先端部材32と絞扼部材5との間は接合されたまま(絞扼部材5が離脱していない状態)であり、絞扼部材5が引き操作されると、絞扼部材5が先端部材32から離脱する接合強度または離脱する構造を有する部位である。脆弱部Fは、本実施形態では、図3a~3cに示されるように、回収ネットとして示された回収部6の網目部分であり、網目部分に部分的に縫い付けられて通された絞扼部材5を引き操作したときに、この網目部分が破れるように構成されている。このように構成することにより、絞扼部材5を引き操作したときに、回収部6の絞扼部材取付部位62の脆弱部Fが破れて、絞扼部材5が先端部材32から離脱する。この場合、絞扼部材取付部位62が破れても、病変部回収部位61は破れないため、病変部の回収に影響を与えることがない。

【0036】
脆弱部Fは、本実施形態に示したものに限定されるものではなく、たとえば、回収部6の網目を、絞扼部材5を引き操作することにより、破れるのではなくほどけるように構成してもよいし、先端部材32と絞扼部材5とを全体的または点状に接着剤で接合し、絞扼部材5を引き操作することにより、接着接合が解除されるようにしてもよい。その他、脆弱部Fは点状に熱融着することにより形成してもよい。脆弱部Fは、本実施形態では回収部6側に設けられているが、ループ部L側に設けてもよいし、図6に示されるように回収部6、ループ部Lとは別に、小さなリング状の絞扼部材取付部位62aを切れやすくして脆弱部Fとし、脆弱部Fをループ部Lのループ形成方向に複数離間して設け、このリング状の脆弱部Fが、絞扼部材5が引き操作されたときに破れるように構成してもよい。

【0037】
一方、先端部材32をシース2から突出させる際には絞扼部材5が先端部材32から離脱しないように、絞扼部材5が先端部材32に取り付けられている。このため、先端部材32がシース2の先端側開口2aから出たときには、絞扼部材5は先端部材32の広がりに応じて広がって、ループを形成し、絞扼部材5のループが病変部を囲むことができる大きさにセットすることができる。したがって、糸状の絞扼部材5は、シース2内から先端部材32を突出させた際にはシース2と絞扼部材5とが接合されているため、形状が安定しない糸状の絞扼部材5は、ポリープ等の病変部を囲むことが可能な大きさのループを容易に形成することができる。

【0038】
絞扼部材5のループによって病変部を囲んだ後には、絞扼部材5によって病変部を切除することができる。具体的には、絞扼部材5は、ポリープ等の病変部を絞扼部材5のループにより囲んだ後、絞扼部材5がシース2の基端側に操作されると、脆弱部Fにおける絞扼部材5と先端部材32との間の接合(離脱しない状態)が解除され、絞扼部材5が先端部材32から離脱する。そして、絞扼部材5をシース2の基端側にさらに操作すると、絞扼部材5のループが、図4に示されるように、ループ部Lのループに対して相対的に小さくなり、病変部を絞扼して切除することができる。このとき、先端部材32はポリープ等の病変部の切除には直接関与しないが、先端部材32を基端側に操作することにより、先端部材32のループ部Lの大きさを小さくして、ポリープ等の病変部を把持することが可能である。これにより、小さくなったループ部Lによりポリープ等の病変部を把持し、ポリープ等の病変部が病変部の根本部位とループ部Lにより把持された部位との2点により安定し、安定した病変部は、その2点の間で絞扼部材5のループを小さくすることにより絞扼される。したがって、絞扼中の病変部が不安定になって絞扼する際の力が伝わらずにうまく病変部を切除することができないという状態が回避され、病変部を安定させて、病変部の切除を確実に行うことができる。

【0039】
また、本実施形態の処置具1は、上記構成によって、形状が安定しない絞扼部材5を用いることができるため、絞扼部材5の材料の選択の幅が広がり、病変部の切除に高周波電流を用いる必要がなく、コールドポリペクトミーによる病変部の切除に適している。絞扼部材5を、高周波電流を用いないコールドスネアとして用いた場合には、病変部を焼切ることがないため、熱による火傷等、炎症が生じるリスクを大きく減らすことができ、術後しばらくしてから体腔内で出血するリスクを減らすことができる。本実施形態では、このように病変部を安定させて切除することができ、さらに術後の炎症、出血などを抑えることができる。

【0040】
つぎに、図7a~7dを用いて、本実施形態の処置具1を用いた病変部(以下の説明においては、ポリープPという)の切除・回収までの操作について詳細に説明する。なお、以下の説明はあくまで一例であり、本発明は以下の内容に限定されるものではない。図7a~7dにおいて、左側の図は回収部6を側方から見た図であり、右側の図は回収部6の開口部側から見た図であり、右側の図においては、ループ部Lおよび絞扼部材5を見えやすくするために、回収部6の図示は省略している。

【0041】
まず、内視鏡Eを体腔内に挿入した後、内視鏡EによりポリープPを発見すると、ポリープPを切除するために、図1に示されるように、内視鏡Eの鉗子口または内視鏡Eに取り付けられた挿入管路Cに処置具1を挿入する。処置具1を内視鏡Eや挿入管路Cに挿入する際には、先端部材32(ループ部Lおよび回収部6)は、シース2内に収容された状態であり、絞扼部材5は先端部材32とともにシース2内に収容されている。シース2の先端が内視鏡Eの先端側まで送り込まれると、ポリープPを切除するために、先端部材32および絞扼部材5をシース2の先端側開口2aから突出させる(図1および図7a参照)。具体的には、操作部4を操作することにより、操作ワイヤ31をシース2に対して先端側に押すことにより、先端部材32をシース2の先端側開口2aから突出させる。この状態が図7aに示す状態である。

【0042】
先端部材32がシース2の先端側開口2aから突出すると、シース2内で圧縮されていた先端部材32のループ部Lが図7aの右側の図に示されるように広がり、ループ部Lに取り付けられている回収部6も広がる。また、回収部6と脆弱部Fを介して接合されている糸状の絞扼部材5のループ状絞扼部51は、ループ部Lおよび回収部6の広がりに伴って、ポリープPを囲むことができる大きさのループを形成するように広がる。このように、形状が安定しない糸状の絞扼部材5を用いていても、先端部材32と絞扼部材5が脆弱部Fを介して接合されていることにより、先端部材32がシース2の先端側開口2aから突出したときの変形によって絞扼部材5を容易に広げることができる。

【0043】
つぎに、ループ部Lおよび絞扼部材5が広がった状態の処置部1をポリープPに向かって移動させ、ポリープPをループ部Lおよび絞扼部材5により取り囲む。ポリープPを取り囲んだ後、必要に応じて、操作部4を操作して操作ワイヤ31を基端側に引き、図7bの右側の図に示されるように、ループ部Lの幅(シース2の長手方向に垂直な方向。図7bの右側の図中、左右方向)が狭くなるように変形させ、ポリープPを挟み込む。この操作により、ループ部Lにより挟み込まれて把持された部位P1(図7bの左側の図参照)と、ポリープPの根元部位P2(図7bの左側の図参照)との2点(2か所)でポリープPが保持され、ポリープPの部位P1とP2の間が安定する。

【0044】
このポリープPが安定した状態で、第2の操作部7を基端側に向かって引き操作する。第2の操作部7を引き操作すると、絞扼部材5の線状部52が引き操作され、ループ状絞扼部51も基端側に向かって力を受ける。ループ状絞扼部51が基端側に向かって所定の力を受けると、ループ状絞扼部51と絞扼部材取付部位62の脆弱部Fとの間の接合が解除される。すなわち、ループ状絞扼部51が引っ張られることにより、ループ状絞扼部51が編み込まれたネット(脆弱部F)が破れ、ループ状絞扼部51のループが図7cに示されるように、ループ部Lのループに対して小さくなるとともに、ポリープPの外周部を絞扼する。

【0045】
ポリープPの外周部を絞扼部材5のループ状絞扼部51により絞扼した状態で、さらに第2の操作部7に引き操作を加えると、ループ状絞扼部51のループはさらに小さくなり、ポリープPは、ポリープPの外周部よりも小さくなるループ状絞扼部51のループにより切除される。このループ状絞扼部51の切除時に、ループ状絞扼部51により絞扼されるポリープPの部位の両側は、上述したようにループ部Lにより挟み込まれた部位P1と、ポリープPの根元部位P2とにより安定して保持されている。ポリープPが安定して保持された状態で、ループ状絞扼部51がループ部Lに対して独立して移動およびループの大きさを小さくすることができ、ポリープPの切除時に、ループ状絞扼部51の絞扼によりポリープPに加わる力が逃げにくく、ポリープPの切除が容易になる。

【0046】
ポリープPの切除が完了すると、図7dに示されるように、ポリープPはそのまま回収部6により回収される。ポリープPの絞扼に用いられた絞扼部材5は、図7dの状態から第2の操作部7をそのまま基端側に引っ張ることにより、シース2内を通って、シース2の基端側から外部へと取り外すことができる。ポリープPを回収した回収部6は、ポリープPの回収部6からの脱落を防止するために、操作部4を操作して、ループ部Lをシース2内に引き込むように操作して、ループ部Lの開口を閉鎖する。回収部6に回収されたポリープPは、図2に示される挿入管路Cに形成されたスリットSを伝って、回収部6ごと基端側に移動し、体外に回収される。このように、回収部6が設けられた処置具1は、切断と同時にポリープPを回収することができる。そして、回収部6に設けられた脆弱部Fは、絞扼部材5により破られても、回収部6の病変部回収部位61が破られることがないため、ポリープPの回収も確実に行うことができる。

【0047】
つぎに、上記実施形態の変形例について説明する。以下の変形例はそれぞれ単なる例示として示すものであり、本発明は以下の変形例に限定されるものではない。なお、以下の変形例においては、共通する事項については説明を省略し、相違点を中心に説明する。

【0048】
上述した実施形態では病変部を一度だけ切断する1つの絞扼部材5を用いたものを示したが、複数の病変部を除去可能とするために、絞扼部材5は先端部材32のループ部Lに沿って複数のループを形成するように先端部材32に取り付けられていてもよい。

【0049】
たとえば、図8(a)および(b)に示されるように、複数の絞扼部材5がループ部Lに沿って先端部材32(たとえば回収部6の絞扼部材取付部位62)に取り付けられる。なお、図8(a)および(b)では、絞扼部材5を見えやすくするために、ループ部Lおよび回収部6は二点鎖線で示している。図8(a)および(b)では、3本の絞扼部材5が取り付けられているが、絞扼部材5の本数は特に限定されるものではない。図8(a)に示されるように、複数の絞扼部材5a、5b、5cは、ループ部Lを挟んで病変部回収部位61とは反対側に設けられた絞扼部材取付部位62(図3b参照)に、同心状に配置され、それぞれが脆弱部Fを介して離脱可能に取り付けられている。絞扼部材5a、5b、5cのそれぞれは、独立して操作が可能であり、1つの病変部に対して1つの絞扼部材が用いられる。複数の絞扼部材5のうちの1つで1つの病変部を切除して回収部6に回収した後は、病変部の切除・回収の都度、体外に取り出してもよいし、複数の病変部を回収部6に回収した後、体外に取り出してもよい。なお、脆弱部Fが破れる(回収部6の絞扼部材取付部位62aが破れる)ように構成した場合、図8(b)に示すように、外側の絞扼部材5aから離脱させることが好ましい。このようにすることにより、回収部6の絞扼部材取付部位62aのうち、ループ部Lから遠い側から破れることによって、残りの絞扼部材5b、5cは絞扼部材取付部位62aに取り付けられたままの状態となり、絞扼部材5aにより破られた脆弱部Fが他の絞扼部材5b、5cの取付状態に影響を及ぼさない。

【0050】
また、絞扼部材5により形成される複数のループは、図9の概略図に示されるように、糸状の接続部53により互いに接続されていてもよい。この変形例では、複数のループ5d、5e、5fが糸状の接続部53により接続され、複数のループ5d、5e、5fが1つの線状部52を引き操作することにより、順次先端部材32から離脱して、病変部を切除するように構成される。具体的には、複数のループ5d、5e、5fは、ループ部Lを挟んで病変部回収部位61とは反対側に設けられた絞扼部材取付部位62に、図8(a)に示した配置と同様の状態で同心状に配置され、それぞれが脆弱部Fを介して離脱可能に取り付けられている。線状部52が引き操作されると、複数のループ5d、5e、5fのうちの1つが、絞扼部材取付部位62から離脱して、ループを小さくし、病変部を切除する。別の病変部を切除する場合は、線状部52をさらに引き操作して、2つ目のループを絞扼部材取付部位62から離脱させ、ループを小さくし、病変部を切除する。この場合、たとえば線状部52を操作する第2の操作部7による引き操作を調整するために、所定の操作量で線状部52の引き操作が停止する停止手段を設けることができる。より具体的には、たとえば、図10(a)および(b)に示されるように、シース2の基端側にダイヤルDなどの操作手段を設け、線状部52を巻き取るように構成し、所定量だけ線状部52が巻き取られると、ダイヤルDの回転を停止させることにより、線状部52の引きすぎを防止して、1つのループにより病変部を切除した後に、次の病変部を切除するまで次のループが絞扼部材取付部位62から離脱しないようにすることができる。

【0051】
また、さらに他の変形例として、図11(a)~(c)に示されるように、シース2の先端部に、病変部を切除する切断刃2cを形成することもできる。切断刃2cは、絞扼部材5により絞扼された病変部を切断するために用いられる。より具体的には、図11(a)~(c)に示されるように、切断刃2cは、シース2の先端において、シース2の外周部が一部切り欠かれた切欠部21を形成し、この切欠部21内に切断刃2cがシース2の端面および外周側に突出しないように取り付けられる。この変形例では、図11(b)に示されるように、絞扼部材5によりポリープPを囲んだ後、絞扼部材5により、病変部を絞扼しながらシース2の端面側に引き寄せ、図11(c)に示されるように、シース2の端面側に引き寄せられたポリープPを切断刃2cにより切断する。このように構成することにより、より容易にポリープP等の病変部を切除することが可能となる。なお、図11(a)~(c)では、シース2の切欠部21に切断刃2cが形成されたものを示しているが、切断刃2cを設けずに、絞扼部材5によりポリープPを絞扼しながらポリープPを切欠部21に入り込ませてポリープPを切除しても構わない。

【0052】
また、さらに他の変形例として、図12および図13a~図13fに示されるように、先端部材32の先端側に留置スネア8を設けることもできる。留置スネア8は、例えばポリープの径が太い場合などにポリープの切除後に切除した部分からの出血を防ぐために、ポリープの基部を結紮して、血流を遮断するために用いられる。本変形例では、図12に示されるように、内視鏡用処置具1は、シース2を挿通可能な、シース2の外径よりも内径が大きい第2シース9を有し、留置スネア8は、第2シース9の先端側から出没可能に構成されている。留置スネア8は、第2シース9内に収容できるように、そして、第2シース9の先端側から突出したときにループを形成できるように、所定の弾性または形状保持性を有する材料から形成されている。留置スネア8の材料は、留置スネア8が第2シース9内に収容可能で、第2シース9の先端側から突出したときにループを形成することができれば、特に限定されるものではなく、上述した絞扼部材5に用いられる材料の他、公知の留置スネアとして用いられる材料を用いることができる。

【0053】
留置スネア8は、図12に示されるように、病変部を結紮する結紮ループ部81と、結紮ループ部81から基端側に延び、結紮ループ部81と先端部材32とを接続する接続部82と、接続部82が挿通され、結紮ループ部81のループが小さくなったときに、ループの広がりを防止する止め具83とを備えている。後述するように、操作ワイヤ31が基端側に操作されると、接続部82が先端部材32とともに基端側に引き操作され、止め具83がシース2の先端と当接し、止め具83が接続部82に対して相対的に先端側に移動して結紮ループ部81のループを小さくするように構成されている。なお、止め具83の基端側は、シース2内には入らず、第2シース9内には入るような大きさとされており、具体的には、止め具83の基端側の幅(径)は、シース2の内径よりも大きく、第2シース9の内径よりも小さくなっている。

【0054】
留置スネア8は、図12に示されるように、第2脆弱部F2により先端部材32に取り付けられ、留置スネア8が先端部材32から離脱可能となっている。第2脆弱部F2は、先端部材32が基端側に操作され、留置スネア8がポリープPを結紮した後に、留置スネア8が先端部材32から離脱するような構造または接合強度にされている。これにより、ポリープP等の病変部を切除する前に、留置スネア8により病変部を結紮することができ、病変部を結紮した後に、第2脆弱部F2により留置スネア8を先端部材32から離脱させるのが容易となるため、施術効率が向上する。第2脆弱部F2としては、上述した脆弱部Fと同様とすることができ、たとえば、接続部82の基端側を、先端部材32の回収部6の網目に取り付け、先端部材32が基端側に操作され、ポリープPが結紮されたとき(または結紮された後)に、回収部6の網目が破れたり、ほどけるようにすることができる。また、接続部82の基端側と先端部材32とを接着剤で接合してもよいし、熱融着により接合してもよい。また、接続部82の基端にフック状の係止部(図示せず)を設けて、回収部6の網目に係止部を係止できるようにすることもでき、留置スネア8が必要なときに、図3aや、図8(a)に示される内視鏡用処置具1に、使用前に留置スネア8を取り付けるようにしてもよい。

【0055】
つぎに、本変形例の動作を、図13a~13fを用いて説明する。なお、図13a~図13eにおいては、見やすくするために、絞扼部材5については省略しており、先端部材32も簡略化して示している。

【0056】
ポリープPを切除する前に、内視鏡用処置具1の先端をポリープPの位置まで移動させる際には、図13aに示されるように、留置スネア8は、第2シース9の内部に収容された状態である。内視鏡用処置具1の先端をポリープPの近傍まで移動させると、図13bに示されるように、留置スネア8を第2シース9の先端側から突出させる。留置スネア8は、第2シース9に対してシース2を先端側に移動させることにより、留置スネア8は、第2シース9の先端側から突出し、留置スネア8の結紮ループ部81が広がる。つぎに、図13cに示されるように、ポリープPを結紮ループ部81のループ内に通した後、図13dに示されるように、ポリープPを結紮する。ポリープPの結紮は、シース2に対して操作ワイヤ31を基端側に操作することにより行う。操作ワイヤ31が基端側に操作されると、留置スネア8の接続部82が図13dに示されるように基端側に引っ張られ、止め具83はシース2の先端側で停止するため、結紮ループ部81のループが小さくなり、ポリープPが結紮される。結紮ループ部81によりポリープPが結紮された後、図13eに示されるように、操作ワイヤ31がさらに基端側に操作されると、先端部材32の回収部6が破れるなどして、第2脆弱部F2において、接続部82の基端側が先端部材32から離脱して、留置スネア8が先端部材32から離脱する。

【0057】
その後、留置スネア8が離脱して分離した後、図13fに示されるように、先端部材32をシース2から突出させ、図7a~図7dにおいて説明したように、ポリープPを絞扼してポリープPの切除が完了する。このように、本変形例では、たとえばポリープPの茎が太い場合などに、ポリープPを結紮してからポリープPを絞扼する必要がある場合に、先端部材32の先端側に留置スネア8が設けられているので、ポリープPの留置スネア8による結紮と、ポリープPの絞扼部材5による絞扼とを、内視鏡用処置具1を体外に抜き取らずに行うことができ、施術効率が向上する。また、留置スネア8は、第2脆弱部F2により先端部材32に取り付けられ、先端部材32から離脱可能であるため、ポリープPを結紮した留置スネア8の取り外しが容易であり、施術の時間を短縮することができ、患者への負担を低減することができる。

【0058】
また、上述した図12~図13fに示した留置スネアは、絞扼部材の先端側に設けられていたが、図12~図13fに示した留置スネアを用いた内視鏡用処置具の変形例として、たとえば、たとえば図8~図10に示される同心状に配置された複数の絞扼部材のうちの1つの絞扼部材を、留置スネアとしても構わない。たとえば、同心状に配置された複数の絞扼部材と留置スネアのうち、最内周に留置スネアが位置するようにし、留置スネアと複数の絞扼部材とは、第2脆弱部により接続される。図12~図13fに関連して説明したように、留置スネアによりポリープを取り囲んだ後、留置スネアのループを小さくしてポリープを結紮し、その後、絞扼部材によりポリープを絞扼し、ポリープを切除することができる。留置スネアと絞扼部材との間は、第2脆弱部により離脱可能に構成されており、この第2脆弱部は、たとえば、留置スネアと絞扼部材の接続部を他の部分よりも細くすることにより、留置スネアが容易に離脱できるように構成することができる。この場合においても、図12~図13fに示した実施形態と同様に、ポリープの留置スネアによる結紮と、ポリープの絞扼部材による絞扼とを、内視鏡用処置具を体外に抜き取らずに行うことができ、施術効率が向上する。さらに、留置スネアと絞扼部材とが同心状に配置されているため、ポリープを結紮した後に、そのまま絞扼部材によりポリープを絞扼することができ、より施術効率が向上する。また、留置スネアは、第2脆弱部により先端部材に取り付けられ、先端部材から離脱可能であるため、ポリープを結紮した留置スネアの取り外しが容易であり、施術の時間を短縮することができ、患者への負担を低減することができる。

【0059】
なお、上述した実施形態および変形例は、図示した態様に限定されるものではなく、それぞれの実施形態および変形例は、上述した目的を達成できる範囲で変更が可能であり、それぞれの実施形態および変形例を組み合わせたものも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 内視鏡用処置具
2 シース
2a シースの先端側開口
2c 切断刃
21 切欠部
31 操作ワイヤ
32 先端部材
4 操作部
41 操作部本体
42 操作桿
5、5a、5b、5c 絞扼部材
51 ループ状絞扼部
52 線状部
53 接続部
5d、5e、5f ループ
6 回収部
61 病変部回収部位
62、62a 絞扼部材取付部位
7 第2の操作部
8 留置スネア
81 結紮ループ部
82 接続部
83 止め具
9 第2シース
C 挿入管路
Ca 先端キャップ
D ダイヤル
E 内視鏡
F 脆弱部
F2 第2脆弱部
L ループ部
P ポリープ
P1 ポリープが把持された部位
P2 ポリープの根元部位
R リング
S スリット
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3a】
2
【図3b】
3
【図3c】
4
【図4】
5
【図5】
6
【図6】
7
【図7a】
8
【図7b】
9
【図7c】
10
【図7d】
11
【図8】
12
【図9】
13
【図10】
14
【図11】
15
【図12】
16
【図13a】
17
【図13b】
18
【図13c】
19
【図13d】
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【図13e】
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【図13f】
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【図14】
23
【図15】
24