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明細書 :シス桂皮酸類縁体、重力屈性調節剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-160246 (P2016-160246A)
公開日 平成28年9月5日(2016.9.5)
発明の名称または考案の名称 シス桂皮酸類縁体、重力屈性調節剤
国際特許分類 A01N  37/10        (2006.01)
A01P  21/00        (2006.01)
A01N  43/12        (2006.01)
A01N  43/38        (2006.01)
A01N  43/76        (2006.01)
A01N  43/42        (2006.01)
A01N  43/16        (2006.01)
A01N  55/00        (2006.01)
A01N  37/38        (2006.01)
A01G   7/06        (2006.01)
FI A01N 37/10
A01P 21/00
A01N 43/12 Z
A01N 43/38
A01N 43/76 101
A01N 43/42 101
A01N 43/16 B
A01N 55/00 D
A01N 37/38
A01G 7/06 A
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 48
出願番号 特願2015-042924 (P2015-042924)
出願日 平成27年3月4日(2015.3.4)
発明者または考案者 【氏名】藤井 義晴
【氏名】和佐野 直也
【氏名】田村 尚幸
【氏名】新藤 充
【氏名】松本 健司
出願人 【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
審査請求 未請求
テーマコード 2B022
4H011
Fターム 2B022EA01
4H011AB03
4H011BA01
4H011BB06
4H011BB08
4H011BB09
4H011BB10
4H011BC19
4H011BC22
4H011DA13
4H011DA17
4H011DD04
4H011DH10
要約 【課題】植物の匍匐性や果実の糖度等に影響を及ぼす重力屈折性調節剤の提供。
【解決手段】シス桂皮酸及び/又は下式(1)で示される桂皮酸類縁体を有効成分として含む重力屈折性調節剤。
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[Aは置換基を有してもよい環状炭化水素;Xは結合又はC1~5の飽和又は不飽和炭化水素鎖;RはH、水酸基、アルカリ土類金属塩等;Rは結合又はC1~5の飽和又は不飽和炭化水素鎖;R及びRはH又は共に形成するC5~8の環状炭化水素]
【選択図】図6
特許請求の範囲 【請求項1】
シス桂皮酸及び/又は桂皮酸類縁体を有効成分として含む、重力屈性調節剤。
【請求項2】
上記桂皮酸類縁体は、下記式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の重力屈性調節剤。
【化1】
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式(1)において、Aは置換基を有してもよい環状炭化水素を示し、Xは直接の結合又は炭素数1~5の飽和又は不飽和炭化水素鎖を示し、R1は水素、ヒドロキシ基、アルカリ土類金属塩、アミノ基、炭素数1~5のアルキルアンモニウム塩、置換基を有してもよい炭素数1~5の直鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分枝鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数5~8のシクロアルキル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよい複素環基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフラノシル基、又はピラノシル基を示し、R2は直接の結合又は炭素数1~5の飽和又は不飽和炭化水素鎖を示し、R3及びR4は水素又は共に形成する炭素数5~8の環状炭化水素を示している。
【請求項3】
上記桂皮酸類縁体は、下記式(2)又は(3)で表されるシス桂皮酸類縁体であることを特徴とする請求項1記載の重力屈性調節剤。
【化2】
JP2016160246A_000044t.gif
【化3】
JP2016160246A_000045t.gif
式(2)及び(3)において、Aは置換基を有してもよい環状炭化水素を示し、R1は水素、ヒドロキシ基、アルカリ土類金属塩、アミノ基、炭素数1~5のアルキルアンモニウム塩、置換基を有してもよい炭素数1~5の直鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分枝鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数5~8のシクロアルキル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよい複素環基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフラノシル基、又はピラノシル基を示し、式(3)においてR5はハロゲン、炭素数1~8の直鎖又は分枝アルキル基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数2~8のアルキニル基、又はアリール基を示す。
【請求項4】
上記桂皮酸類縁体は、下記式(4)で表されるシス桂皮酸類縁体であることを特徴とする請求項1記載の重力屈性調節剤。
【化4】
JP2016160246A_000046t.gif
式(4)において、R1は水素、ヒドロキシ基、アルカリ土類金属塩、アミノ基、炭素数1~5のアルキルアンモニウム塩、置換基を有してもよい炭素数1~5の直鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分枝鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数5~8のシクロアルキル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよい複素環基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフラノシル基、又はピラノシル基を示し、R6はハロゲン、置換基を有しても良い炭素数1~5の直鎖アルキル基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分岐鎖アルキル基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、トリメチルシリル基又はアリール基を示す。
【請求項5】
上記桂皮酸類縁体は、下記式(5)~(40)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることを特徴とする請求項1記載の重力屈性調節剤。
【化5】
JP2016160246A_000047t.gif
JP2016160246A_000048t.gifJP2016160246A_000049t.gif
【請求項6】
下記一般式[I]~[XIII]のいずれかで表される化合物。
【化6】
JP2016160246A_000050t.gif
式[I]~[XIII]においてR7は水素、アルカリ土類金属、アミノ基、炭素数1~5のアルキルアンモニウム塩、置換基を有してもよい炭素数1~5の直鎖アルキル基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分枝鎖アルキル基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数5~8のシクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよい複素環基を示し、式[XI]においてR8は塩素原子、臭素原子、フッ素原子、tert-ブチル基、フェニル基、フェニルアセチレン基又は1-ヘキシン基を示す。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、シス桂皮酸:(Z)3-フェニル-2-プロペン酸の新規類縁体に関し、シス桂皮酸又は桂皮酸類縁体を含む重力屈性調節剤に関する。
【背景技術】
【0002】
重力屈性は、重力ベクトルに対応して器官が成長運動を変化させながら姿勢制御を行う植物に特異的な生理作用である。地下部では重力の方向に成長する正の重力屈性が、地上部では重力と逆方向に成長する負の重力屈性があり、側根・側枝など重力方向と一定の角度を保って成長する傾斜重力屈性もある。
【0003】
重力屈性に関しては、植物ホルモンであるオーキシン(インドール-3-酢酸(IAA)やインドール-3-酪酸(IBA))が関与していることが知られている。また、ナフタレン酢酸(NAA)、ナフトキシ酢酸、フェニル酢酸、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)等の合成オーキシンについても、抗オーキシンとして作用して重力屈性を阻害することがある。
【0004】
オーキシンは主に茎の先端で作られ、基部(根の方向)に向かって移動していく。これを極性移動という。この移動には、細胞膜に存在するオーキシン取り込み輸送体と、排出輸送体(PINタンパク質など)が関与している。オーキシンの極性移動を阻害する物質としては、1-ナフチルフタラミン酸(NPA)やGravacinなどが知られている。例えば、非特許文献1には、オーキシン輸送の特異的阻害剤(IAA誘導体やNAA誘導体)がシロイヌナズナの幼根の重力屈性を阻害するとともに伸長を阻害することが開示されている。また、非特許文献2には、GravacinがP-Glycoprotein19を標的としてオーキシンの極性輸送を阻害し、根と地上部の重力屈性を阻害することが開示されている。
【0005】
特許文献1には、植物の茎の重力屈性に関係する新規タンパク質とそれをコードする遺伝子、およびそれらの用途、重力屈性の強化または低下した植物の生産方法が開示されている。特許文献2には、植物の根の重力屈性に関わるAGR遺伝子、その類似遺伝子、これら遺伝子がコードするタンパク質が開示され、これらの遺伝子を利用して植物の根の重力屈性刺激応答を改良することが開示されている。
【0006】
一方、特許文献3には、内在性のオーキシンの合成阻害剤を使用する植物成長抑制剤または除草剤が開示されるものの、重力屈性に対する影響は検討されていない。特許文献4には、植物の深根性を制御する遺伝子座(Dro1遺伝子座)の高精度連鎖解析を試みた結果、Dro1の遺伝子領域がInDelマーカーであるDro1-INDEL09からCAPSマーカーであるDro1-CAPS05で挟まれた6.0kbpの領域であること、Dro1の遺伝子の形質転換植物体は、優位に深根率が高いことを確認し、Kinandang Patong 型のDro1遺伝子を有する個体は耐乾性であることを確認している。しかし、特許文献4に開示された遺伝子についても重力屈性に関与するものではない。
【0007】
なお、シロイズナズナでは、多くの重力屈性遺伝子が報告されている(非特許文献3)。ただし、イネでは根の屈性に関与する遺伝子の報告は少なく、光屈性遺伝子CPT1(非特許文献4)や冠根形成遺伝子Crl1(非特許文献5)が報告されているのみである。
【0008】
また、特許文献5及び6には、シス桂皮酸及び/又はその誘導体化合物を有効成分とする植物成長調節剤が開示されている。特許文献5及び6では、植物のアレロパシー(他感作用)の研究から得た、シス桂皮酸が強い植物成長抑制活性を有するといった知見に基づいている。特許文献5及び6では、レタスの催芽種子から伸長した根の長さを測定することで、供試化合物による植物成長阻害活性を検証している。ただし、特許文献5及び6では、供試化合物により重力屈性に対する影響については何ら検討されていない。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2004-344046号公報
【特許文献2】特開平11-318463号公報
【特許文献3】特開2013-67656号公報
【特許文献4】WO2011/078308
【特許文献5】特開2006-62967号公報
【特許文献6】特開2011-46631号公報
【0010】

【非特許文献1】J. Biol. Chem. 2011 286:2354-2364.
【非特許文献2】Chemistry & Biology 14、1366-1376、December 2007
【非特許文献3】Morita and Tasaka Current Opinion in Plant Biology 7(6):712-718. 2004
【非特許文献4】Haga et al. Plant Cell 17(1):103-115. 2005
【非特許文献5】Inukai et al. Plant Cell 17(5):1387-1396. 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、抗オーキシンとして作用する物質やオーキシン極性輸送を阻害する物質において重力屈性を阻害する活性が指摘されるものの、実際に重力屈性調節剤として実用化されていないのが現状である。また、重力屈性に影響を与える遺伝子に関する上記技術についても、実際に重力屈性調節剤として実用化される段階にはない。
【0012】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑み、重力屈性に影響を及ぼす生理活性物質として新規の桂皮酸類縁体、及び、シス桂皮酸及び/又は新規の桂皮酸類縁体を有効成分とする重力屈性調節剤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成した本発明は以下を包含する。
(1)シス桂皮酸及び/又は桂皮酸類縁体を有効成分として含む、重力屈性調節剤。
(2)桂皮酸類縁体は、下記式(1)で表される化合物であることを特徴とする(1)記載の重力屈性調節剤。
【化1】
JP2016160246A_000003t.gif
式(1)において、Aは置換基を有してもよい環状炭化水素を示し、Xは直接の結合又は炭素数1~5の飽和又は不飽和炭化水素鎖を示し、R1は水素、ヒドロキシ基、アルカリ土類金属塩、アミノ基、炭素数1~5のアルキルアンモニウム塩、置換基を有してもよい炭素数1~5の直鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分枝鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数5~8のシクロアルキル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよい複素環基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフラノシル基、又はピラノシル基を示し、R2は直接の結合又は炭素数1~5の飽和又は不飽和炭化水素鎖を示し、R3及びR4は水素又は共に形成する炭素数5~8の環状炭化水素を示している。
(3)桂皮酸類縁体は、下記式(2)又は(3)で表されるシス桂皮酸類縁体であることを特徴とする(1)記載の重力屈性調節剤。
【化2】
JP2016160246A_000004t.gif
【化3】
JP2016160246A_000005t.gif
式(2)及び(3)において、Aは置換基を有してもよい環状炭化水素を示し、R1は水素、ヒドロキシ基、アルカリ土類金属塩、アミノ基、炭素数1~5のアルキルアンモニウム塩、置換基を有してもよい炭素数1~5の直鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分枝鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数5~8のシクロアルキル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよい複素環基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフラノシル基、又はピラノシル基を示し、式(3)においてR5はハロゲン、炭素数1~8の直鎖又は分枝アルキル基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数2~8のアルキニル基、又はアリール基を示す。
(4)桂皮酸類縁体は、下記式(4)で表されるシス桂皮酸類縁体であることを特徴とする(1)記載の重力屈性調節剤。
【化4】
JP2016160246A_000006t.gif
式(4)において、R1は水素、ヒドロキシ基、アルカリ土類金属塩、アミノ基、炭素数1~5のアルキルアンモニウム塩、置換基を有してもよい炭素数1~5の直鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分枝鎖アルキルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニルを有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数5~8のシクロアルキル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよい複素環基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフラノシル基、又はピラノシル基を示し、R6はハロゲン、置換基を有しても良い炭素数1~5の直鎖アルキル基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分岐鎖アルキル基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、トリメチルシリル基又はアリール基を示す。
(5)桂皮酸類縁体は、下記式(5)~(40)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることを特徴とする(1)記載の重力屈性調節剤。
【化5】
JP2016160246A_000007t.gif
JP2016160246A_000008t.gifJP2016160246A_000009t.gif (6)下記一般式[I]~[XIII]のいずれかで表される化合物。
【化6】
JP2016160246A_000010t.gif
式[I]~[XIII]においてR7は水素、アルカリ土類金属、アミノ基、炭素数1~5のアルキルアンモニウム塩、置換基を有してもよい炭素数1~5の直鎖アルキル基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分枝鎖アルキル基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数5~8のシクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよい複素環基を示し、式[XI]においてR8は塩素原子、臭素原子、フッ素原子、tert-ブチル基、フェニル基、フェニルアセチレン基又は1-ヘキシン基を示す。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、重力屈性に対して影響を及ぼす新規な重力屈性調節剤を提供することができる。また、本発明によれば、重力屈性に対して影響を及ぼす機能を有する新規化合物を提供することができる。
【0015】
本発明に係る重力屈性調節剤は、雑草防除資材としての利用、植物の匍匐性を高めることを目的とする利用、根による水分吸収を抑制することを目的とする利用、根を水平方向に曲げて湿害を防止することを目的とする利用等、様々な目的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】角シャーレ内の寒天培地に、レタス種子を播種した状態を撮像した写真である。
【図2】角シャーレを垂直に立ててレタス種子を栽培した状態を撮像した写真である。
【図3】供試化合物を含む寒天培地に芽生えを移植した状態を撮像した写真である。
【図4】角シャーレを90度回転させて更に栽培した状態を撮像した写真である。
【図5】供試化合物としてTIBA、NAP及びIAAを用いて重力屈性に対する影響を検討した結果を示す写真である。
【図6】シス桂皮酸による重力屈性に対する影響を検討した結果を示す図である。
【図7】シス桂皮酸による重力屈性に対する影響及び伸長阻害を検討した結果を示す図である。
【図8】式(5)~(38)に示した桂皮酸類縁体について重力屈性に対する影響を検討した結果を示す図である。
【図9】式(5)~(38)に示した桂皮酸類縁体について重力屈性に対する影響を検討した結果を示す図である。
【図10】式(5)~(38)に示した桂皮酸類縁体について重力屈性に対する影響を検討した結果を示す図である。
【図11】式(5)~(38)に示した桂皮酸類縁体について重力屈性に対する影響を検討した結果を示す図である。
【図12】式(5)~(38)に示した桂皮酸類縁体について重力屈性に対する影響を検討した結果を示す図である。
【図13】式(5)~(38)に示した桂皮酸類縁体について重力屈性に対する影響を検討した結果を示す図である。
【図14】式(5)~(38)に示した桂皮酸類縁体について重力屈性に対する影響を検討した結果を示す図である。
【図15】式(5)~(38)に示した桂皮酸類縁体について重力屈性に対する影響を検討した結果を示す図である。
【図16】式(5)~(38)に示した桂皮酸類縁体について重力屈性に対する影響を検討した結果を示す図である。
【図17】ku-45について、重力屈性に対する影響及び伸長阻害を検討した結果を示す図である。
【図18】ku-72について、重力屈性に対する影響及び伸長阻害を検討した結果を示す図である。
【図19】ku-33について、重力屈性に対する影響及び伸長阻害を検討した結果を示す図である。
【図20】ku-239について、重力屈性に対する影響及び伸長阻害を検討した結果を示す図である。
【図21】ku-46について、重力屈性に対する影響及び伸長阻害を検討した結果を示す図である。
【図22】ku-27について、重力屈性に対する影響及び伸長阻害を検討した結果を示す図である。
【図23】ku-50について、重力屈性に対する影響及び伸長阻害を検討した結果を示す図である。
【図24】ku-90について、重力屈性に対する影響及び伸長阻害を検討した結果を示す図である。
【図25】ku-94について、重力屈性に対する影響及び伸長阻害を検討した結果を示す図である。
【図26】ku-98について、重力屈性に対する影響及び伸長阻害を検討した結果を示す図である。
【図27】ku-257、ku-258及びku-259について、重力屈性に対する影響及び伸長阻害を検討した結果を示す図である。
【図28】ku-258について、地上部(胚軸)の重力屈性に対する影響を検討した結果を示す写真である。
【図29】ku-258について、地上部(胚軸)の重力屈性に対する影響を検討した結果を示す特性図である。
【図30】ku-94、ku-98及びku-262について、重力屈性に対する影響及び伸長阻害を検討した結果を示す図である。
【図31】ku-266、ku-271及びku-283について、重力屈性に対する影響及び伸長阻害を検討した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。

【0018】
本発明に係る重力屈性調節剤は、シス桂皮酸及び/又は桂皮酸類縁体を有効成分として含むものである。重力屈性とは、重力ベクトルに対応して器官が成長運動を変化させながら姿勢制御を行う植物に特異的な生理作用である。重力屈性を調節するとは、言い換えると、常態における重力屈性を変化させることと同義である。すなわち、本発明に係る重力屈性調節剤は、常態(当該重力屈性調節剤が存在しない条件)における重力屈性を変化させるものである。より具体的に、本発明に係る重力屈性調節剤は、根の重力屈性を調節する機能を有する。常態において、地下茎や根等の地下部では重力の方向に成長する正の重力屈性を示す。本発明に係る重力屈性調節剤は、特に地下部における正の重力屈性を変化させることができる。

【0019】
なお、本発明に係る重力屈性調節剤は、上述した重力屈性を変化させる機能を有していれば、他の機能を併有するものであってもよい。他の機能としては、例えば、地下部及び/又は地上部に対する成長抑制作用や成長促進作用といった成長調節作用を挙げることができる。すなわち、本発明に係る重力屈性調節剤は、地下部に対する重力屈性調節作用に加えて、成長調節作用を有していても良い。

【0020】
<シス桂皮酸及び桂皮酸類縁体>
シス桂皮酸とは、(Z)3-フェニル-2-プロペン酸であり下記構造式により示される化合物である。

【0021】
【化7】
JP2016160246A_000011t.gif

【0022】
桂皮酸類縁体とは、上記シス桂皮酸を含む桂皮酸の化学構造に類似した構造を有する化合物であり、重力屈性を調節する機能を有する化合物を意味する。より具体的に、桂皮酸類縁体としては、下記一般式(1)に示す構造を有する化合物である。

【0023】
【化8】
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【0024】
式(1)において、Aは置換基を有してもよい環状炭化水素を示し、Xは直接の結合又は炭素数1~5の飽和又は不飽和炭化水素鎖を示し、R1は水素、ヒドロキシ基、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム、マグネシウム)、アミノ基、炭素数1~5のアルキルアンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩)、置換基を有してもよい炭素数1~5の直鎖アルキル(例えばエチル基、プロピル基、ブチル基)を有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分枝鎖アルキル(例えばイソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基)を有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニル(アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基)を有するアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数5~8のシクロアルキル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよい複素環基を有するアルコキシ基、置換基を有してもよいフラノシル基、又はピラノシル基を示し、R2は直接の結合又は炭素数1~5の飽和又は不飽和炭化水素鎖を示し、R3及びR4は水素又は共に形成する炭素数5~8の環状炭化水素を示している。

【0025】
Aで示される環状炭化水素としては、ベンゼン、ピリジン、シクロヘキサン、シクロヘキシン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、1,2-ジヒドロナフタレン等のジヒドロナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、インデン、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン、ベンゾオキサゾール及びキノリン等を挙げることができる。また、Aで示される環状炭化水素としては、これらに限定されず、例えば、後述する複素環を挙げることができる。

【0026】
Aで示される環状炭化水素に導入しても良い置換基としては、特に限定されないが、ハロゲン、置換基を有しても良い炭素数1~5の直鎖アルキル基(例えばメチル基)、置換基を有してもよい炭素数1~5の分岐鎖アルキル基(例えば、tert-ブチル基)、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルコキシ基(例えばフェノキシ基)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、トリメチルシリル基又はアリール基(例えば、フェニル基)を挙げることができる。

【0027】
R1において炭素数5~8シクロアルキル基としては、単環式飽和一価基の他に、単環式不飽和炭化水素の一価基を含み、中でもシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテンイル基、シクロヘキセンイル基がより好ましい。

【0028】
R1において複素環或いはAにおける複素環としては、例えばフリル、テトラヒドロフリル、ピラニル、テトラヒドロピラル、クロメニル、クロマニル、イソベンゾフラニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリニル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサジアゾリル、オキサジアゾリニル、チアジアゾリニル、トリアゾリル、トリアゾリニル、トリアゾリジニル、テトラゾリル、テトラゾリニル、ピリジル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピペリジル、オキサジニル、ジヒドロオキサジニル、モルホリノ、チアジニル、ジヒドロチアジニル、チアモルホリノ、ピリダジニル、ジヒドロピリダジニル、テトラヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、オキサジアジニル、ジヒドロオキサジアジニル、テトラヒドロオキサジアジニル、チアジアゾリル、チアジアジニル、ジヒドロチアジアジニル、テトラヒドロチアジアジニル、ピリミジニル、ジヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラジニル、ジヒドロピラジニル、テトラヒドロピラジニル、ピペラジニル、トリアジニル、ジヒドロトリアジニル、テトラヒドロトリアジニル、ヘキサヒドロトリアジニル、テトラジニル、ジヒドロテトラジニル、インドリル、インドリニル、イソインドリル、インダゾリル、キナゾリニル、ジヒドロキナゾリル、テトラヒドロキナゾリル、カルバゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソチアゾリニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリニル、キノリニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ピリドインドリル、ジヒドロベンゾオキサジニル、シンノリニル、ジヒドロシンノリニル、テトラヒドロシンノリル、フタラジニル、ジヒドロフタラジニル、テトラヒドロフタラジニル、キノキサリニル、ジヒドロキノキサリニル、テトラヒドロキノキサリニル、プリニル、ジヒドロベンゾトリアジニル、ジヒドロベンゾテトラジニル、フェノチアジニルフラニル、チエニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル等が挙げられる。これら複素環は置換可能な任意の位置にオキソ体又はチオケトン体となっているものも含むことができる。

【0029】
また、Xは、特に、直接の結合であるか、或いはエチレン基(-C2H4-)、ビニレン基(-C2H2-)又はアセチレン基(-C2-)であることが好ましい。

【0030】
さらに、R2は、直接の結合であることが好ましく、或いは炭素数1のメチレン基であることが好ましい。

【0031】
さらにまた、R3及びR4はそれぞれ水素であることが好ましく、共に環状炭化水素を形成する場合には当該環状炭化水素がベンゼン環であることが好ましい。

【0032】
また、特に、上記式(1)においてR2が直接の結合であってシス位であることが好ましく、且つ、R3及びR4がそれぞれ水素であることが更に好ましい。この場合、上記式(1)は下記式(2)及び(3)と記述することができる。すなわち、桂皮酸誘導体としては、下記式(2)又は(3)に示されるシス桂皮酸類縁体であることが好ましい。

【0033】
【化9】
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【0034】
【化10】
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【0035】
式(3)においてR5はハロゲン(フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等)、炭素数1~8の直鎖又は分枝アルキル基(例えば、メチル基、tert-ブチル基)、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数2~8のアルキニル基(例えば、フェニルアセチレン基)、又はアリール基(例えばフェニル基)を示す。

【0036】
さらに式(2)においてAが置換基を有してもよいベンゼンであることが好ましい。この場合上記式(2)は下記式(4)を記述することができる。

【0037】
【化11】
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【0038】
ここで、置換基をR6として示しており、上述したように、ハロゲン、置換基を有しても良い炭素数1~5の直鎖アルキル基(例えばメチル基)、置換基を有してもよい炭素数1~5の分岐鎖アルキル基(例えば、tert-ブチル基)、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルコキシ基(例えばフェノキシ基)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、トリメチルシリル基又はアリール基(例えば、フェニル基)を挙げることができる。

【0039】
特に、本発明において、桂皮酸類縁体としては、下記式(5)~(40)に示す化合物とすることが好ましい。これら化合物は、特に重力屈性に対する影響が大きく、優れた重力屈性調節剤として利用することができるためである。

【0040】
【化12】
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【0041】
さらに、本発明において、重力屈性調節剤として使用可能な桂皮酸類縁体は、上述した式(5)~(40)に示した化合物に限定されず、下記式(41)に示したシス桂皮酸、下記式(42)~(126)に示した化合物を挙げることができる。

【0042】
【化13】
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【0043】
上述したシス桂皮酸及び/又は桂皮酸類縁体を重力屈性調節剤として使用する場合、シス桂皮酸及び/又は桂皮酸類縁体それ自体で用いてもよいが、重力屈性調節剤として活性を示す量のシス桂皮酸及び/又は桂皮酸類縁体と、製剤化に一般的に用いられる不活性な液体担体及び/又は固体担体の1種類以上に、必要に応じて使用される界面活性剤の1種類以上、更には補助剤等の1種類以上を混合して、粉剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、乳剤、液剤、微粒剤又は粒剤等の除草剤組成物に製剤して使用することも好ましい。

【0044】
製剤化に際して用いられる液体担体としては、例えばイソプロピルアルコール、キシレン、シクロヘキサン、メチルナフタレン、水等の担体等が挙げられ、又、固体担体としては、例えばタルク、ベントナイト、クレー、カオリン、珪藻土、ホワイトカーボン、バーミキュライト、炭酸カルシウム、消石灰、珪砂、硫安、尿素等、が挙げられる。

【0045】
界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物金属塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート等が挙げられる。

【0046】
また、補助剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、アラビアゴム等が挙げられる。

【0047】
なお、本発明の重力屈性調節剤には、必要に応じて殺虫剤、殺菌剤、除草剤、植物生長調節剤、微生物、肥料等を混用してもよい。

【0048】
本発明の除草剤組成物は使用に際し、直接施用してもよいし、使用目的に応じた濃度に希釈して、茎葉散布、土壌施用又は水面施用等により使用される。

【0049】
本発明に係る重力屈性調節剤中の有効成分量は、必要に応じて適宜選ばれるが、例えば0.001~100%(重量)の濃度とすることができる。本発明の重力屈性調節剤の施用量は、使用される有効成分の種類、対象雑草、発生傾向、環境条件ならびに使用する剤型等によって変わる。

【0050】
特に本発明に係る重力屈性調節剤は、特に根の重力屈性を変化させるといった作用を示す。このため、植物の種類や重力屈性に対する変化の度合いよれば、根からの給水を抑制し植物を枯死させることができる。すなわち、本発明に係る重力屈性調節剤は除草剤として使用することができる。

【0051】
特に、本発明に係る重力屈性調節剤のうち地上部の重力屈性を強く阻害する活性があるものは、難防除雑草である蔓植物の蔓の巻きつき防止剤として利用できる。蔓植物としては例えば、クズ、ヤブガラシ、カナムグラなどの在来蔓性雑草と、外来植物で最近河川敷等で広がって問題となっているアレチウリ等を対象とすることができる。

【0052】
また、本発明に係る重力屈性調節剤は、根等の地下部に対する重力屈性を変化させるため、植物の匍匐性を高めることができる。このため、所定の植物により土地表面を被覆することが可能となり土壌流出の防止、光の競合による雑草の抑制が可能となる。すなわち、本発明に係る重力屈性調節は、植物の匍匐性を向上させる肥料として使用することができる。この用途は、休耕地の管理、庭園や果樹園下草管理に適している。

【0053】
さらに、本発明に係る重力屈性調節剤によれば、根の重力屈性を変化させることで水分吸収を抑制することができる。その結果、植物に実った果実の糖度を向上させることができる。これまでの方法は、土壌中の水分を減らす水切りという方法でメロン、トマト、スイカなどの糖度を向上したり、塩水を灌水することで浸透圧を高め、作物が水分を吸うのを妨害して糖度を向上したりしていた。しかし、これまでの方法では植物体に対する負担が大きいため、枯死したり、収量が低下する問題があった。本発明に係る重力屈性調節剤のうち生育阻害活性がないものは、重力屈性のみを阻害することができるため、植物体を弱めることなく、根の重力方向への伸長を抑制して水分吸収を阻害するので、耕種的技術を必要としない糖度上昇技術となる。

【0054】
さらにまた、本発明に係る重力屈性調節剤は、ムギ類など、湿害に弱い植物に適用することで、根を水平方向に曲げて湿害を防止することができる。さらにまた、本発明に係る重力屈性調節剤は、根が地下10mほど深く貫入することで半乾燥地域や砂漠で難防除雑草となっているマメ科植物メスキートのような雑草・雑木に投与することで、このような難防除性の雑草・雑木を防除することが可能となる。

【0055】
特に、本発明に係る重力屈性調節剤は、重力屈性といった植物に特異的な重力感知機構に作用するので、人間や環境にとって安全性の高い資材となる。

【0056】
ところで、上述した式(5)~(40)に示す化合物のうち、式(6)、式(11)~(21)、式(23)、式(24)、式(26)~(29)及び式(31)は新規化合物である。すなわち、下記一般式[I]~[XIII]のいずれかで表される化合物は、少なくとも重力屈性を変化させる機能を有する新規化合物である。

【0057】
【化14】
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【0058】
式[I]~[XIII]においてR7は水素、アルカリ土類金属、アミノ基、炭素数1~5のアルキルアンモニウム塩、置換基を有してもよい炭素数1~5の直鎖アルキル基、置換基を有してもよい炭素数1~5の分枝鎖アルキル基、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数5~8のシクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよい複素環基を示し、式[XI]においてR8は塩素原子、フッ素原子、tert-ブチル基、フェニル基、フェニルアセチレン基又は1-ヘキシン基を示す。
【実施例】
【0059】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0060】
〔実験例〕
供試化合物による重力屈性の変化を検出する手法を開発した。本手法では、先ず、プロピオペトリディッシュ(角シャーレと称す(アズワン社製))を用い、2%寒天培地にレタス種子を播種した(図1)。そして、角シャーレをアルミホイルで二重に包み、角シャーレを垂直に立てた状態で25℃、暗条件下で2日間培養する。培養後の角シャーレは図2に示すように、種子から鉛直下方向に根が進展している。なお、以下の実験では、寒天培地から根が浮いている芽生えは使用しない。
【実施例】
【0061】
次に、図3に示すように、供試化合物を含む寒天培地に芽生えを移植する。このとき、根の先端部分に印を付けておくか、角シャーレに付された格子の線に根の先端をあわせるように移植する。そして、再びアルミホイルで角シャーレを包み、元の重力方向を保ったまま(根の進展方向が鉛直下方向と平行)、25℃暗条件下で1時間放置する(バイオトロン内)。その後、角シャーレを左方向に90度回転し、重力刺激を与える。この状態で18時間培養する(図4)。
【実施例】
【0062】
その後、アルミホイルを外して撮像し、画像解析ソフトにより、根の進展方向の屈曲角度(curvature)を測定する。ここで、屈曲角度は、根端約200μm部分の中心を通る直線の水平に対する角度として測定する。一例として、オーキシンの極性移動阻害物質であるトリヨード安息香酸(TIBA)を10μM添加した培地、1-ナフチルフタラミン酸(NPA)を20μM添加した培地、及びIAAを500nM添加した培地を用いて、根の重力屈性に対する影響を見た結果を図5に示す。図5から分かるように、コントロールでは、重力刺激に呼応して根の進展方向が変化するのに対して、TIBAやNPA、IAAを添加した培地では重力屈性が変動し、重力方向とは異なる方向に根が進展していることが分かる。以上のように、本手法により、供試物質による根の重力屈性に対する影響を判定できることが示された。
【実施例】
【0063】
〔実施例1〕
本実施例では、上述した手法においてシス桂皮酸を1μM、2μM又は5μM含有する培地を用いて、シス桂皮酸による重力屈性に対する影響を測定した。その結果を図6及び7に示す。図6及び7に示すように、シス桂皮酸を2μM含有する培地を用いた場合には、根の重力屈性に対して影響を与えることが明らかとなり、また、根の伸長阻害も見られた。本実施例により、シス桂皮酸は、根の重力屈性を変化させる活性と根の伸長を阻害する活性を有することが明らかとなった。
【実施例】
【0064】
また、上述したシス桂皮酸と同様にして、多くの桂皮酸類縁体について重力屈性に対する影響を測定した。具体的には、上記式(5)~(36)に示した桂皮酸類縁体(ku-76、ku-243、ku-245、ku-250、ku-45、ku-46、ku-253、ku-255、ku-256、ku-257、ku-259、ku-260、ku-281、ku-268、ku-269、ku-258、ku-280、ku-94、ku-98、ku-262、ku-90、ku-266、ku-271、ku-283、ku-296、ku-294、ku-292、ku-239、ku-275、ku-286、ku-290及びku-288)について根の進展方向の屈曲角度を測定した結果を図8~16に示した。なお、ku-275及びku-286については、屈曲角度の測定に代えて、重力刺激を与えてから18時間後に撮像した写真を掲載した。
【実施例】
【0065】
これら図8~16に示すように、供試したku-76、ku-243、ku-245、ku-250、ku-45、ku-46、ku-253、ku-255、ku-256、ku-257、ku-259、ku-260、ku-281、ku-268、ku-269、ku-258、ku-280、ku-94、ku-98、ku-262、ku-90、ku-266、ku-271、ku-283、ku-296、ku-294、ku-292、ku-239、ku-275、ku-286、ku-290及びku-288の全てに、重力屈性を変化させる活性があることが明らかとなった。
【実施例】
【0066】
さらに、ku-45について、濃度を0.25μM或いは0.5μMとした時の重力屈性に対する影響及び伸長阻害活性を測定した結果を図17に示した。図17から分かるように、ku-45は0.25μMといった濃度では伸長阻害活性を示さないものの、同濃度で重力屈性に対して影響を与えていた。
【実施例】
【0067】
さらにまた、ku-72について、同様に重力屈性に対する影響及び伸長阻害活性を測定した結果を図18に示した。図18から分かるように、ku-72は0.25μMといった濃度では伸長阻害活性を示さないものの、同濃度で重力屈性に対して影響を与えていた。
【実施例】
【0068】
さらにまた、ku-33について、同様に重力屈性に対する影響及び伸長阻害活性を測定した結果を図19に示した。図19から分かるように、ku-33は供試した濃度では伸長阻害活性を示さないものの、重力屈性に対する影響を示していた。
【実施例】
【0069】
さらにまた、ku-239について、同様に重力屈性に対する影響及び伸長阻害活性を測定した結果を図20に示した。図20から分かるように、ku-239は供試した50μMといった高濃度になっても伸長阻害活性を示さないが、低濃度から高濃度の範囲で重力屈性に対する影響を示していた。
【実施例】
【0070】
さらにまた、ku-46について、同様に重力屈性に対する影響及び伸長阻害活性を測定した結果を図21に示した。図21から分かるように、ku-46は伸長阻害活性を示さない濃度において、重力屈性に対する影響を示していた。
【実施例】
【0071】
さらにまた、ku-27について、同様に重力屈性に対する影響及び伸長阻害活性を測定した結果を図22に示した。図22から分かるように、ku-27は50μMといった高濃度で強い伸長阻害活性を示し、供試した全ての濃度で重力屈性に対する影響を示していた。
【実施例】
【0072】
さらにまた、ku-50について、同様に重力屈性に対する影響及び伸長阻害活性を測定した結果を図23に示した。図23から分かるように、ku-50は、根に対する伸長阻害活性が見られない濃度で、他と異なる重力屈性に対する影響を示していた。
【実施例】
【0073】
さらにまた、ku-90について、同様に重力屈性に対する影響及び伸長阻害活性を測定した結果を図24に示した。図24から分かるように、ku-90は、供試した濃度範囲では根に対する伸長阻害活性を示さなかったが、全ての濃度範囲で重力屈性に対する影響を示していた。
【実施例】
【0074】
さらにまた、ku-94について、同様に重力屈性に対する影響及び伸長阻害活性を測定した結果を図25に示した。図25から分かるように、ku-90は、供試した濃度範囲では根に対する伸長阻害活性を示さなかったが、全ての濃度範囲で重力屈性に対する影響を示していた。
【実施例】
【0075】
さらにまた、ku-98について、同様に重力屈性に対する影響及び伸長阻害活性を測定した結果を図26に示した。図26から分かるように、ku-98は、供試した濃度範囲では根に対する伸長阻害活性を示さなかったが、全ての濃度範囲で重力屈性に対する影響を示していた。
【実施例】
【0076】
一方、ku-257(上記式(14))、ku-258(上記式(20))及びku-259(上記式(15))について、重力屈性に対する影響及び伸長阻害活性を測定し、それぞれの結果をまとめて図27に示した。図27に示すように、ku-257、ku-258及びku-259の全てが、重力屈性に対する強い影響を示すことがわかった。また、ku-257は比較的に弱い伸長阻害活性を示し、ku-259は比較的に強い伸長阻害活性を示し、ku-258は根の伸長に対して殆ど影響を示さなかった。
【実施例】
【0077】
また、50μMのku-258を含む培地を用いて栽培したときの、地上部の屈性を検証した結果を図28に示した。図28に示すように、50μMのku-258は、胚軸の重力屈性にも強く影響することが明らかとなった(例えば、図6と比較)。ku-258について、胚軸の重力屈性に対する影響をku-258の濃度を変化させて検討した結果を図29に示す。図29に示すように、ku-258における胚軸の重力屈性に対する影響は濃度依存的であることが分かる。
【実施例】
【0078】
さらに、ku-94、ku-98及びku-262といった異なるハロゲンで置換された類似する化合物について、同様に根の重力屈性及び伸長阻害活性を検討した結果を図30に示した。図30に示すように、ハロゲンのうち塩素及び臭素を置換基とした場合には、重力屈性に対してより大きな影響及びより大きな伸長阻害活性を示すことが明らかとなった。
【実施例】
【0079】
さらにまた、ku-266、ku-271及びku-283について、同様に根の重力屈性及び伸長阻害活性を検討した結果を図31に示した。図31に示すように、根の重力屈性に対する影響は、ku271が最も強いことが明らかとなった。また、これらku-266、ku-271及びku-283は、根に対する伸長阻害活性は僅かであることが明らかとなった。
【実施例】
【0080】
〔実施例2〕
本実施例は、実施例1で供試した桂皮酸類縁体のうち新規な化合物に関する合成例である。
【実施例】
【0081】
本合成例では、下記の反応式に示すように、先ずアルデヒドをZ-オレフィン化反応(反応式中、aで示す)によりエステルを合成し、その後、エステルを加水分解反応(反応式中、bで示す)によりカルボン酸とした。
【実施例】
【0082】
【化15】
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【実施例】
【0083】
<合成例1>
【化16】
JP2016160246A_000024t.gif
【実施例】
【0084】
上記反応式におけるku-76を以下のようにして合成した(反応式中のa)。アルゴン雰囲気下でethyl 2-(bis(2-isopropylphenoxy)phosphoryl)acetate(4.3g、10.7mmol)のTHF溶液(15mL)を-78度に冷却し、トリトンB(5.5mL、14.0mmol)を加えた。20分撹拌後、桂皮アルデヒド(1.32 g、10.0mmol)のTHF溶液(10mL)を加えた。1時間後反応に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し減圧化溶媒を溜去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成し(ethyl acetate in hexane、3%~5%)、1.57 g(78%、Z:E=85:15)のエステルku-76を淡黄色オイルとして得た。
【実施例】
【0085】
1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:1.33(3H、t、J=7.0Hz)、4.23(2H、q、J=7.3Hz)、5.73(1H、d、J=11.3Hz)、6.72(1H、d、J=11.1Hz)、6.82(1H、d、J=16.7Hz)、7.26-7.54(5H、m)、8.15(1H、ddd、J=1.1、11.3、15.7Hz);スペクトルデータは文献と一致した(M. Abe, et al. Phytochem. 84, 56 (2012))。
【実施例】
【0086】
次に、上記反応式におけるku-76を以下のようにして合成した(反応式中のb)。ku-76(1.23 g、6.08mmol)のエタノール溶液(8mL)に3Mの水酸化ナトリウム溶液(10mL)を室温で加え、2時間後ヘキサンで希釈し水(20mL×3)で抽出した。水層を3Mの塩酸で酸性とし、酢酸エチルで抽出した(40mL×3)。有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧で溜去した。粗生成物を塩化メチレン/ヘキサンから再結晶しku-77を無色針状結晶として得た(774.1mg、73%)。
【実施例】
【0087】
mp. 115-117 ℃. 1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:5.77(1H、d、J=13.5Hz)、6.86(2H、t、J=10.8Hz)、7.35-7.55(5H、m)、8.10(1H、dd、J=10.8、16.2Hz);スペクトルデータは文献と一致した(M. Abe, et al. Phytochem. 84, 56 (2012))。
【実施例】
【0088】
<合成例2~7>
合成例1と同様にして、ku-90、ku-98、ku-262、ku-266、ku-271及び283をそれぞれ合成例2~7として合成した。合成例2~7について、使用したアルデヒド、Z-オレフィン化反応(Ando-HWE)及び加水分解反応について以下の表にまとめた。
【実施例】
【0089】
【表1】
JP2016160246A_000025t.gif
【実施例】
【0090】
合成したku-090:(2Z,4E)-4-methyl-5-phenylpenta-2,4-dienoic acidについてスペクトルデータは以下の通りであった。無色針状結晶(5% CH2Cl2in hexane、mp. 57-58 ℃、74%). 1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:2.13(3H、s)、5.80(1H、d、J=12.7Hz)、6.71(2H、d、J=12.7Hz)、7.35-7.37(5H、m);13C-NMR(100MHz、CDCl3)δ:17.3(s)、117.1(t)、127.5(t)、128.2(t)、129.6(t)、134.3(q)、136.7(t)、148.4(t)、171.5(q). IR(KBr):1679 cm-1. MS(EI)m/z :188(M+). HRMS(EI)Calcd for C12H12O2(M+)188.0832、Found:188.0842.(Black、T. Howard;Zhang、Yong;Huang、Jianhua;Smith、Douglas C.;Yates、Bryan E. Synthetic Communications(1995)、25(1)、15-20.)
【実施例】
【0091】
合成したku-098:(2Z,4Z)-4-chloro-5-phenylpenta-2,4-dienoic acidについてスペクトルデータは以下の通りであった。無色針状結晶(hexane、mp. 95-96℃、74%). 1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:5.89(1H、d、J=12.4Hz)、6.58(1H、d、J=12.4Hz)、7.07(1H、s)、7.30-7.71(5H、m);13C-NMR(100MHz、CDCl3)δ:119.9(t)、125.3(q)、128.3(t)、128.9(t)、129.7(t)、132.6(t)、134.0(q)、140.8(t)、171.2(q). IR(KBr):1693 cm-1. MS(EI)m/z :208(M+). Anal. Calcd for C11H9ClO2:C、63.32;H、4.35、Found:C、63.22;H、4.35.
【実施例】
【0092】
<合成例8>
本合成例8では、下記反応式に従ってku-239を合成した。
【化17】
JP2016160246A_000026t.gif
【実施例】
【0093】
先ず、3-(trimethylsilyl)benzene(860.0mg、3.8mmol)のEt2O(5.7mL)溶液にn-BuLi(2.2mL、5.7mmol)を-78度で加えた。30分後室温に昇温し、20分後 DMF(441.0mg、6.0mmol)のEt2O(2.8mL)溶液を加えた。2時間後、水(15mL)を加えクロロホルム(20mL×3)で抽出し、飽和重曹水及び飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧溜去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマト(ethyl acetate in hexane、3%~10%)で精製し511.5mg の3-(trimethylsilyl)benzaldehydeを無色オイルとして得た(76%)。
【実施例】
【0094】
1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:0.32(9H、s)、7.49-8.02(4H、m)、10.0(1H、d、s);スペクトルは文献(Bao-Hui Ye;Naruta、Y. Tetrahedron 2003、59、3593.)と一致した。
【実施例】
【0095】
次に、合成例1と同様にシスオレフィン化し、加水分解した。light yellow oil(88%). 1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:0.27(9H、s)、5.97(1H、d、J=12.4Hz)、7.08(1H、d、J=12.7Hz)、7.32-7.74(4H、m);スペクトルデータは文献(Okuda、K. et al. Chem. Pharm. Bull. 2014、62、600)と一致した。
【実施例】
【0096】
<合成例9>
本合成例9では、下記反応式に従ってku-253を合成した。
【化18】
JP2016160246A_000027t.gif
【実施例】
【0097】
先ず、α-tetralone(1.5g,10.0mmol)のメタノール溶液に0度でNaBH4(129.1mg、3.4mmol)を加え4.5時間撹拌した。水を加えてから酢酸エチル(40mL×3)で抽出し有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。有機溶媒を減圧溜去後、1-hydroxy-1,2,3,4- tetrahydronaphthaleneを1.45g得た。これをDMF(5mL)に溶かし0度でPOCl3(2.5mL、27.0mmol)を加え室温まで昇温した。48時間後反応液を100度に加熱し、5.5時間後、反応液に氷水を加えた。これに3M NaOH aqを加え酢酸エチル(40mL×3)で抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧溜去した。これをシリカゲルカラムクロマト(2% ethyl acetate in hexane)で精製し378.8mg(24%)の3,4-dihydronaphthalene-2-carboxaldehydeを黄色オイルとして得た。1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:2.57(2H、t、J=8.1Hz)、2.88(2H、t、J=8.6Hz)、7.22-7.35(5H、m)、9.67(1H、s);スペクトルデータは文献(Niranjan、T. et al. Eur. J. Med. Chem. 2010、45、3607)と一致した。
【実施例】
【0098】
次に、合成例1と同様に、オレフィン化した。淡黄色オイル(86%、Z:E=99:1) 1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:1.30(3H、t、J=7.3Hz)、2.60(2H、t、J=7.8Hz)、2.83(2H、t、J=7.8Hz)、4.20(2H、q、J=7.3Hz)、5.75(1H、d、J=12.4Hz)、6.56(1H、d、J=12.4Hz)、6.71(1H、s)、7.07-7.18(4H、m). 13C-NMR(100MHz、CDCl3)δ:14.2(q)、25.8(t)、28.1(t)、60.3(t)、117.9(d)、126.5(d)、127.1(d)、127.2(d)、128.1(d)、131.3(s)、133.8(d)、136.1(s)、136.2(s)、142.9(d)、166.7(s). IR(neat)1715 cm-1. EIMS m/z 228(M+)、153(100%);Anal. calcd for C15H16O2:C、78.68;H、7.07、found:C、78.92;H、7.06.
【実施例】
【0099】
次に合成例1と同様に加水分解してku-253を合成した。淡黄色粉(5% ethyl acetate in hexane、mp. 93℃、70%). 1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:2.65(2H、t、J=8.1Hz)、2.84(2H、t、J=8.4Hz)、5.78(1H、d、J=12.7Hz)、6.69(1H、d、J=12.4Hz)、6.76(1H、s)、7.08-7.19(4H、m). 13C-NMR(100MHz、CDCl3)δ:25.9(t)、28.1(t)、116.5(d)、126.6(d)、127.2(d)、128.3(d)、133.6(s)、135.1(d)、136.3(s+s)、146.2(d)、171.9(s). IR(neat)1690 cm-1. EIMS m/z 200(M+、100%);Anal. calcd for C13H12O2:C、77.86;H、6.00、found:C、77.98;H、6.04.
【実施例】
【0100】
<合成例10>
本合成例10では、下記反応式に従ってku-255を合成した。
【化19】
JP2016160246A_000028t.gif
【実施例】
【0101】
先ず、CH(OEt)3(3.3mL、20.0mmol)の塩化メチレン溶液(10mL)を-30度に冷却しBF3・OEt2(3.0mL、24.0mmol)を加え0度に昇温した。40分後-78度に冷却し、1-Indanone(1.3 g、10.0mmol)のCH2Cl2(5mL)溶液とiPr2NEt(3.9mL、30.0mmol)を加え、1時間後、飽和重層水を加え、塩化メチレン(50mL×3)で抽出した。有機層を0.5 M H2SO4 aqで洗浄し、飽和食塩水で洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧溜去した。粗生成物をシリカカラムで精製(ethyl acetate in hexane、2%~10%)し、1.6 g(70%)の2-(dietoxymethyl)-2,3-dihydro-1H-inden-1-ol を淡黄色オイルとして得た。1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:1.02(3H、t、J=7.3Hz)、1.25(3H、t、J =7.3Hz)、3.00-3.77(7H、m)、4.99(1H、d、J=3.0Hz)、7.31-7.75(4H、m).
【実施例】
【0102】
次に、これをエタノール(35mL)に溶かし0度に冷却しNaBH4(794.0mg、21.0mmol)を加え、次に80度まで加熱した。1時間後、0度に冷却し3M HCl aqを加え80度に加熱した。5時間後、酢酸エチルで抽出し(40mL×3)、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧溜去した。粗生成物をシリカカラム(Et2O in hexane、3%~8%)で精製し393.0mg(39%)の1H-inden-2-carbaldehyde を淡黄色オイルとして得た。1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:3.68(2H、s)、7.34-7.63(4H、m)、7.74(1H、s)、9.99(1H、s).
【実施例】
【0103】
次に、合成例1と同様に、オレフィン化した。黄色オイル(22%、Z:E=74:26). 1H-NMR(600MHz、CDCl3)δ:1.33(3H、t、J=7.2Hz)、3.94(2H、s)、4.24(2H、q、J=6.6Hz)、5.75(1H、d、J=12.0Hz)、6.85(1H、d、J=12.6Hz)、7.22(1H、s)、7.24-7.48(4H、m). 13C-NMR(150MHz、CDCl3)δ:14.3(q)、40.9(t)、60.1(t)、116.7(d)、122.0(d)、123.9(d)、126.5(d)、138.0(d)、140.7(d)、143.2(s)、143.5(s)、145.5(s)、166.3(s). IR(neat)1721 cm-1. EIMS m/z 214(M+)、168(100%). HRMS(FAB)Calcd for C14H14O2(M+):214.0993、found:214.0994.
【実施例】
【0104】
次に合成例1と同様に加水分解してku-255を合成した。淡黄色粉(10% ethyl acetate in hexane、mp. 121-123℃、50%). 1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:3.97(2H、s)、5.80(1H、d、J=12.8Hz)、6.99(1H、d、J=12.6Hz)、7.28(1H、s)、7.29-7.51(4H、m). 13C-NMR(150MHz、CDCl3)δ:40.9(t)、115.2(d)、122.2(d)、124.0(d)、126.6(d)、126.9(d)、140.5(d)、142.3(d)、143.0(s)、143.3(s)、145.7(s)、171.0(s). IR(neat)1686 cm-1. EIMS m/z 186(M+)、168(100%). HRMS(FAB)Calcd for C12H10O2(M+):186.0685、found:168.0681.
【実施例】
【0105】
<合成例11>
本合成例11では、下記反応式に従ってku-256を合成した。
【化20】
JP2016160246A_000029t.gif
【実施例】
【0106】
先ず、6,7-dihydro-5H-benzo[7]annulene-8-carbaldehyde:黄色オイル(23%). 1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:2.01(2H、quin、J=5.9Hz)、2.60(2H、t、J=6.5Hz)、2.91(2H、t、J=5.9Hz)、7.17-7.40(4H、m)、9.87(1H、s)を得た。
【実施例】
【0107】
次に、合成例1と同様にオレフィン化及び加水分解してku-256を合成した。無色針状結晶(hexane、mp. 58-59 ℃、94%). 1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:2.15(2H、quin、J=6.0Hz)、2.49(t、2H、J=6.4Hz)、2.80(2H、t、J=6.4Hz)、5.76(1H、d、J=12.0Hz)、6.71(1H、d、J=12.8Hz)、6.75(1H、s)、7.15-7.19(4H、m). 13C-NMR(150MHz、CDCl3)δ:29.9(t)、31.6(t)、34.7(t)、116.8(d)、125.9(d)、127.6(d)、129.2(d)、131.1(d)、136.2(s)、137.1(d)、139.1(s)、142.1(s)、148.9(d)、171.6(s). IR(neat)1686cm-1. EIMS m/z 214(M+、100%);Anal. calcd for C14H14O2:C、78.28;H、6.71、found:C、78.48;H、6.59.
【実施例】
【0108】
<合成例12>
本合成例12では、下記反応式に従ってku-257を合成した。
【化21】
JP2016160246A_000030t.gif
【実施例】
【0109】
合成例1と同様にオレフィン化及び加水分解してku-257を合成した。無色粉(CH3CN、mp.154-156℃、87%). 1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:5.92(1H、d、J=12.8Hz)、7.17(1H、d、J=12.8Hz)、7.33-7.40(2H、m)、7.67(1H、s)、7.78-7.83(2H、m). 13C-NMR(100MHz、ACETN-d6)δ:117.5(d)、122.9(d)、125.1(d)、125.3(d)、126.8(d)、133.3(d)、137.6(d)、138.8(s)、139.2(s)、143.9(s)、167.2(s). IR(KBr)1680 cm-1. EIMS m/z 204(M+、100%);Anal. calcd for C11H8O2S:C、64.58;H、3.87、found:C、64.69;H、3.95.
【実施例】
【0110】
<合成例13>
本合成例13では、下記反応式に従ってKu-258及びku-259を合成した。
【化22】
JP2016160246A_000031t.gif
【実施例】
【0111】
先ず、合成例1と同様にしてオレフィン化してKu-258:ethyl(Z)-3-(benzofuran-2-yl)acrylateを合成した。無色オイル(97%、Z:E=99:1). 1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:1.35(3H、t、J=7.2Hz)、4.28(2H、q、J=6.8Hz)、5.96(1H、d、J=13.2Hz)、6.88(1H、d、J=13.2Hz)、7.23(1H、td、J=0.8、8.4Hz)、7.33(1H、td、J=1.2、8.0Hz)、7.44(1H、d、J=8.4Hz)、7.62(1H、dd、J=1.2、7.6Hz)、7.95(1H、s). 13C-NMR(100MHz、CDCl3)δ:14.3(q)、60.5(t)、111.2(d)、112.5(d)、118.6(d)、122.2(d)、123.1(d)、126.1(d)、128.8(s)、130.2(d)、151.6(s)、154.8(s)、165.8(s). IR(neat)1180、1718 cm-1. EIMS m/z 216(M+、100%);Anal. calcd for C13H12O3:C、72.30;H、5.51、found:C、72.21;H、5.59.
【実施例】
【0112】
次に、合成例1と同様にして加水分解することでku-259を合成した。無色粉(CH3CN、mp.147-149 ℃、93%). 1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:5.99(1H、d、J=13.2Hz)、6.91(1H、d、J=13.2Hz)、7.24(1H、t、J=7.2Hz)、7.34(1H、td、J=0.8、7.6Hz)、7.46(1H、d、J=8.0Hz)、7.62(1H、d、J=7.6Hz)、7.89(1H、s). 13C-NMR(100MHz、ACETN-d6)δ:111.9(d)、112.9(d)、120.2(d)、123.1(d)、124.1(d)、127.1(d)、129.8(s)、130.7(d)、152.8(s)、154.8(s)、167.0(s). IR(KBr)1222、1701 cm-1. EIMS m/z 188(M+、100%);Anal. calcd for C11H8O3:C、69.91;H、4.24、found:C、70.21;H、4.29.
【実施例】
【0113】
<合成例14>
本合成例14では、下記反応式に従ってku-260を合成した。
【化23】
JP2016160246A_000032t.gif
【実施例】
【0114】
合成例1と同様にしてオレフィン化及び加水分解することでku-260を合成した。黄色粉(benzene、mp.133-135 ℃、98%). 1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:5.85(1H、d、J=12.8Hz)、6.84(1H、s)、7.06(1H、d、J=13.2Hz)、7.11(1H、t、J=7.2Hz)、7.30(1H、t、J=8.4Hz)、7.44(1H、d、J=8.0Hz)、7.64(1H、d、7.6Hz)、11.6(1H、s). 13C-NMR(100MHz、CD3OD)δ:112.2(d)、112.7(d)、114.4(d)、121.0(d)、122.3(d)、125.5(d)、129.0(s)、135.1(s)、136.1(d)、138.9(s)、171.2(s). IR(KBr)1676、3329 cm-1. EIMS m/z 187(M+)、169(100%);Anal. calcd for C11H9NO2:C、70.38;H、4.79;N、7.39、found:C、70.58;H、4.85;N、7.48
【実施例】
【0115】
<合成例15>
本合成例15では、下記反応式に従ってku-280及びku-281を合成した。
【化24】
JP2016160246A_000033t.gif
【実施例】
【0116】
先ず、以下のようにしてbenzo[d]oxazole-2-carbaldehydeを合成した。すなわち、2-methylbenzooxazole(798.9mg、6.0mmol)のDMF(6mL)溶液に1,1-dimethoxy-N,N-dimethylmethaneamine(929.4mg、7.8mmol)を加え140度に加熱した。15時間後、溶媒を減圧溜去し968.6mgの(E)-2-(benzo[d]oxazol2-yl)-N,N-dimethylethenamineを得た。1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:2.97(6H、s)、5.06(1H、d、J=13.2Hz)、7.09-7.48(4H、m)、7.57(1H、d、J=13.6Hz).
【実施例】
【0117】
そして、(E)-2-(benzo[d]oxazol2-yl)-N,N-dimethylethenamine(968.6mg、5.2mmol)のTHF:water=1:1(30mL)溶液にNaIO4(3.3 g、15.5mmol)を加え4.5時間後セライトでろ過した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトで精製し(10% ethyl acetate in CHCl3)292.4mg(39%)のbenzo[d]oxazole-2-carbaldehyde を黄色固体として得た。1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:7.48-7.98(4H、m)、10.0(1H、s)(Micheal G. V.;Jotham W. C. Tetrahedron Lett、1994、35、2).
【実施例】
【0118】
次に、合成例1と同様にしてオレフィン化することでku-280:ethyl(Z)-3-(benzo[d]oxazol-2-yl)acrylateを合成した。淡黄色液体(79%、Z:E=80:20). 1H-NMR(600MHz、CDCl3)δ:1.35(3H、t、J=7.2Hz)、4.37(2H、q、J=7.2Hz)、6.44(1H、d、J=12.0Hz)、6.78(1H、d、J=12.0Hz)、7.34-7.76(4H、m). 13C-NMR(150MHz、CDCl3)δ:14.0(q)、61.3(t)、110.6(d)、120.6(d)、122.4(d)、124.7(d)、126.1(d)、129.0(d)、141.2(s)、150.4(s)、159.3(s)、165.6(s). IR(KBr)1718 cm-1. EIMS m/z 217(M+、100%);Anal. calcd for C12H11NO3:C、66.20;H、5.08;N、6.24、found:C、66.35;H、5.10;N、6.45.
【実施例】
【0119】
次に、合成例1と同様にして加水分解することでku-281を合成した。淡褐色針状結晶(5% ethyl acetate in hexane、mp.92-94℃、77%). 1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:6.59(1H、d、J=12.8Hz)、6.97(1H、d、J=13.2Hz)、7.48-7.83(4H、m). 13C-NMR(100MHz、CDCl3)δ:111.5(d)、120.0(d)、121.7(d)、126.4(d)、127.8(d)、133.3(d)、138.2(s)、149.6(s)、159.8(s)、164.3(s). IR(KBr)1718 cm-1. EIMS m/z 189(M+)、145(100%);Anal. calcd for C10H7NO3:C、63.56;H、3.74;N、7.45、found:C、63.49;H、3.73;N、7.40.
【実施例】
【0120】
<合成例16>
本合成例16では、下記反応式に従ってku-268を合成した。
【化25】
JP2016160246A_000034t.gif
【実施例】
【0121】
先ず、合成例1と同様にしてオレフィン化することでKu-267:ethyl(Z)-3-(quinolin-2-yl)acrylateを合成した。淡黄色液体(>99%.、Z:E=80:20). 1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:1.23(3H、t、J=7.6Hz)、4.23(2H、q、J=7.6Hz)、6.26(1H、d、J=12.4Hz)、7.16(1H、d、J=12.4Hz)、7.54(1H、t、J=7.2Hz)、7.70(2H、t、J=8.4Hz)、7.81(1H、d、J=7.6Hz)、8.04(1H、d、J=8.0Hz)、8.13(1H、d、J=8.8Hz). 13C-NMR(100MHz、CDCl3)δ:14.0(q)、60.5(t)、121.9(d)、124.0(d)、126.8(d)、127.3(s)、127.4(d)、129.4(d)、129.5(d)、135.6(d)、140.3(d)、147.6(s)、154.1(s)、166.4(s). IR(neat)1721 cm-1. EIMS m/z 227(M+)、182(100%);Anal. calcd for C14H13NO2:C、73.74;H、5.83;N、6.03、found:C、73.99;H、5.77;N、6.16.
【実施例】
【0122】
次に、合成例1と同様にして加水分解することでku-268を合成した。colorless needles(hexane、mp.72-74℃、23%).1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:6.48(1H、d、J=13.2Hz)、7.01(1H、d、J=13.2Hz)、7.55(1H、d、J=8.4Hz)、7.70(1H、t、J=7.2Hz)、7.89(2H、dt、J=8.4、14.8Hz)、8.12(1H、d、J=8.0Hz)、8.42(1H、d、J=8.4Hz). 13C-NMR(150MHz、CD3OD)δ:125.3(d)、126.4(d)、129.4(s)、129.5(d)、130.1(d)、132.0(d)、133.6(d)、137.6(d)、142.1(d)、144.3(s)、152.7(s)、170.0(s). IR(KBr)1707 cm-1. EIMS m/z 199(M+)、155(100%);Anal. calcd for C12H9NO2:C、72.46;H、4.49;N;6.92、found:C、72.35;H、4.55、N;7.03.
【実施例】
【0123】
<合成例17>
本合成例17では、下記反応式に従ってku-269を合成した。
【化26】
JP2016160246A_000035t.gif
【実施例】
【0124】
合成例1と同様にしてオレフィン化及び加水分解することでku-269を合成した。colorless powder(EtOH、mp.175-177 ℃、88%). 1H-NMR(270MHz、CD3OD)δ:6.21(1H、d、J=12.7Hz)、7.20(1H、d、J=13.0Hz)、7.63(1H、t、J=7.3Hz)、7.80(1H、t、J=7.0Hz)、7.98(2H、q、J=8.1Hz)、8.89(1H、s)、9.02(1H、s). 13C-NMR(150MHz、ACETN-d6)δ:122.8(d)、127.7(d)、128.2(s)、129.3(d)、130.0(d)、130.8(d)、137.2(d)、140.7(d)、145.6(s)、148.6(s)、152.3(d)、167.2(d). IR(KBr)1686 cm-1. FAB-MS m/z 200(M+ +H);Anal. calcd for C12H9NO2:C、71.93;H、4.51;N;7.01、found:C、72.35;H、4.55、N;7.03.
【実施例】
【0125】
<合成例18>
本合成例18では、下記反応式に従ってku-98を合成した。
【化27】
JP2016160246A_000036t.gif
【実施例】
【0126】
合成例1と同様にしてオレフィン化及び加水分解することでku-98を合成した。無色針状結晶(hexane、mp. 95-96 ℃、74%). 1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:5.89(1H、d、J=12.4Hz)、6.58(1H、d、J=12.4Hz)、7.07(1H、s)、7.30-7.71(5H、m);13C-NMR(100MHz、CDCl3)δ:119.9(t)、125.3(q)、128.3(t)、128.9(t)、129.7(t)、132.6(t)、134.0(q)、140.8(t)、171.2(q). IR(KBr):1693 cm-1. MS(EI)m/z :208(M+). Anal. Calcd for C11H9ClO2:C、63.32;H、4.35、Found:C、63.22;H、4.35.
【実施例】
【0127】
<合成例19>
本合成例19では、下記反応式に従ってku-262を合成した。
【化28】
JP2016160246A_000037t.gif
【実施例】
【0128】
先ず、以下のようにして(Z)-2-fluoro-3-phenylacrylaldehydeを合成した。すなわち、benzaldehyde(1.1 g、10.0mmol)とethyl 2-fluoroacetate(1.2 g、11.0mmol)の塩化メチレン溶液(15mL)にTiCl4(1.3mL、12.0mmol)を加え、40分後 Et3N(2.8mL、20.0mmol)を加えた。3時間後反応液に水を加え塩化メチレンで抽出した(20mL×3)。有機層を1M塩酸、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、有機溶媒を減圧溜去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマト(3% ethyl acetate in hexane)で精製し、1.2 g(61%)の(Z)-2-fluoro-3-phenylacrylate を無色オイルとして得た。1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:1.38(3H、t、J=7.0Hz)、4.35(2H、q、J=7.0Hz)、6.91(1H、dd、J=2.2、35.1Hz)、7.37-7.66(5H、m).
【実施例】
【0129】
得られた(Z)-2-fluoro-3-phenylacrylate(1.2g、6.1mmol)in THF(25mL)を-78度に冷却しDIBAL(14.7mL、14.7mmol)を加えた。2時間後、反応液に水を加え塩化メチレンで抽出した(40mL×3)。有機層を1M塩酸、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、有機溶媒を減圧溜去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマト(20% ethyl acetate in hexane)で精製し695.3mg(75%)の(Z)-2-fluoro-3-phenylprop-2-en-1-olを無色固体として得た。1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:4.30(2H、dd、J=6.8、14.3Hz)、5.79(1H、d、J=38.9Hz)、7.23-7.53(5H、m).
【実施例】
【0130】
得られた(Z)-2-fluoro-3-phenylprop-2-en-1-ol(695.3mg、4.6mmol)のCH2Cl2(30mL)溶液にMnO2(11.9 g、1.3 mol)を加え、4時間後、反応液をセライトでろ過し溶媒を溜去し912.5mg の(Z)-2-fluoro-3-phenylacrylaldehydeを黄色オイルとして得た。1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:6.63(1H、d、J=34.3Hz)、7.45-7.74(5H、m)、9.37(1H、t、J=16.7Hz);スペクトルは文献と一致した(Funabiki、K. et al. Tetrahedron 1999、55、4637.)。
【実施例】
【0131】
次に、合成例1と同様にしてオレフィン化することでKu-261:ethyl(2Z,4Z)-4-fluoro-5-phenylpenta-2,4-dienoateを合成した。黄色液体(65%、Z:E=99:1). 1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:1.33(3H、t、J=7.2Hz)、4.26(2H、q、J=6.8Hz)、5.87(1H、d、J=13.2Hz)、6.10(1H、d、JH-F=36.2Hz)、6.19(1H、dd、J=12.6Hz、JH-F=28.4Hz)、7.25-7.57(5H、m). 13C-NMR(100MHz、CDCl3)δ:14.1(q)、60.1(t)、115.6(d、d:JC-F=9.0Hz)、120.5(d)、128.4(d、d:JC-F=2.5Hz)、128.6(d)、129.1(d、d:JC-F=25.4Hz)、129.4(d、d:JC-F=7.4Hz)、139.5(d)、132.8(s、d:JC-F=3.3Hz)、154.8(s、d:JC-F=263Hz)、166.4(s). IR(neat)1028、1728 cm-1. EIMS m/z 220(M+)、147(100%);Anal. calcd for C13H13FO2:C、70.97;H、6.00、found:C、70.90;H、5.95.
【実施例】
【0132】
次に、合成例1と同様にして加水分解することでku-262を合成した。無色針状結晶(hexane、mp.85-87 ℃、92%). 1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:5.90(1H、d、J=10.4Hz)、6.09(1H、d、JH-F=36.4Hz)、6.30(1H、dd、J=13.2Hz、JH-F=28.4Hz)、7.28-7.60(5H、m). 13C-NMR(150MHz、CDCl3)δ:117.1(d、JC-F=8.7Hz)、119.0(d)、128.6(d+d)、129.6(d、JC-F=8.7Hz)、131. 7(d、JC-F=26.0Hz)、132.6(s、JC-F=2.9Hz)、154.5(s、JC-F=263Hz)、171.6(s). IR(KBr)1697 cm-1. EIMS m/z 192(M+)、147(100%);Anal. calcd for C11H9FO2:C、68.58;H、4.67、found:C、68.75;H、4.72.
【実施例】
【0133】
<合成例20>
本合成例20では、下記反応式に従ってku-266を合成した。
【化29】
JP2016160246A_000038t.gif
【実施例】
【0134】
先ず、以下のようにして(E)-2-benzylidene-3,3-dimethylbutanalを合成した。すなわち、ethyl 3,3-dimethylbutanoate(2.1 g、7.0mmol)のTHF(20mL)溶液を-78度に冷却しtBuLi(17.8mL、28.5mmol in pentane)を滴下した。30分後0度に昇温し、1時間後、室温に昇温した。そこに、benzaldehyde(530.6mg、5.0mmol)を加え2.5時間後ヘキサンを加え1M NaOH aq(20mL×3)で抽出した。塩酸で酸性にしたのち酢酸エチル(50mL×3)で抽出し飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧溜去した。701.8mg(69%)の(E)-2-benzylidene-3,3-dimethylbutanoic acidを黄色オイルとして得た。1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:1.15(9H、s)、7.19-7.38(5H、m)、7.44(1H、s).
【実施例】
【0135】
そして、LiAlH4(261.0mg、6.9mmol)をEt2O(20mL)に懸濁させ0℃に冷却し、上記で得た(E)-2-benzylidene-3,3-dimethylbutanoic acid(701.8mg、3.4mmol)を加え室温に昇温した。4時間後、0度に冷却し、H2O(1mL)、1M NaOH(1mL)、H2O(1mL)で順次処理し、室温で30分撹拌した。ろ過、溶媒の減圧溜去後、シリカゲルカラムクロマト(Et2O in hexane、10%~20%)で精製し228.0mg(35%)の(E)-2-benzylidene-3,3-dimethylbutan-1-olを淡黄色オイルとして得た。1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:1.03(9H、s)、4.29(2H、s)、6.72(1H、s)、7.13-7.30(5H、m).
【実施例】
【0136】
得られた(E)-2-benzylidene-3,3-dimethylbutan-1-ol(228.0mg、1.2mmol)のCH2Cl2(20mL)溶液にMnO2(3.1g、35.9 mol)を加え、3時間後セライトでろ過した。760.9mg の(E)-2-benzylidene-3,3-dimethylbutanal を淡黄色オイルとして得た。1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:1.14(9H、s)、7.18-7.35(5H、m)、7.39(1H、s)、9.52(1H、s).
【実施例】
【0137】
次に、合成例1と同様にしてオレフィン化することでKu-265:ethyl(Z)-4-((Z)-benzylidene)-5,5-dimethylhex-2-enoateを合成した。無色液体(83%、Z:E=96:4). 1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:1.04(9H、s)、1.31(3H、t、J=7.6Hz)、4.21(2H、q、J=7.2Hz)、5.83(1H、d、J=11.6Hz)、6.46(1H、s)、6.83(1H、d、J=11.2Hz)、7.17-7.29(5H、m). 13C-NMR(150MHz、CDCl3)δ:14.4(q)、31.0(q)、36.3(s)、60.0(t)、119.9(d)、120.4(d)、126.3(d)、127.6(d)、128.0(d)、128.5(d)、139.7(s)、146.0(s)、147.1(d)、147.7(d)、166.6(s). IR(neat)1728 cm-1. EIMS m/z 258(M+)、57(100%). HRMS(FAB)Calcd for C17H22O2(M+):258.1623、found:258.1620.
【実施例】
【0138】
次に、合成例1と同様にして加水分解することでku-266を合成した。無色針状結晶(hexane、mp.72-74 ℃、93%). 1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:1.04(9H、s)、5.86(1H、d、J=11.6Hz)、6.53(1H、s)、7.01(1H、dd、J=2.0、11.6Hz)、7.15-7.26(5H、m). 13C-NMR(150MHz、CDCl3)δ:31.0(q)、36.4(s)、119.5(d)、126.3(d)、127.6(d)、128.3(d)、128.5(d)、139.5(s)、145.5(s)、150.7(d)、172.2(s). IR(KBr)1686 cm-1. EIMS m/z 230(M+)、57(100%);Anal. calcd for C15H18O2:C、78.12;H、7.91、found:C、78.23;H、7.88.
【実施例】
【0139】
<合成例21>
本合成例21では、下記反応式に従ってku-271を合成した。
【化30】
JP2016160246A_000039t.gif
【実施例】
【0140】
先ず、以下のようにして(E)-2-benzylidene-4-phenylbut-3-ynalを合成した。すなわち、α-bromocinnamaldehyde(1.1g、5.0mmol)とphenylacetylene(766.1mg、7.5mmol)のベンゼン溶液(25mL)にPd(PPh3)4(231.1mg、0.2mmol)、CuI(95.2mg、0.5mmol)とiPr2NH(1.4mL)をアルゴン雰囲気下加えた。1.5時間後反応液にヘキサンを加え水(2mL×3)で洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧溜去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマト(10% ethyl acetate in hexane)にて精製し1.0g(86%)の(E)-2-benzylidene-4-phenylbut-3-ynal を褐色オイルとして得た。1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:7.26-7.41(6H、m)、7.48(1H、s)、7.54-7.61(3H、m)、8.14-8.16(2H、m)、9.65(1H、s);スペクトルは文献と一致した(Mark L. et al. Org. Lett. 2002, 4, 83).
【実施例】
【0141】
次に、合成例1と同様にしてオレフィン化及び加水分解することでku-271を合成した。淡黄色結晶(CH3CN、mp.119-121℃、81%). 1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:5.86(1H、d、J=12.0Hz)、6.62(1H、dd、J=1.2、12.0Hz)、6.98(1H、s)、7.32-7.50(8H、m)、7.96(2H、d、J=7.6Hz). 13C-NMR(100MHz、CDCl3)δ:86.3(s)、97.5(s)、116.9(s)、119.4(d)、122.9(s)、128.3(d)、128.6(d)、129.3(d)、129.6(d)、131.5(d)、135.6(s)、141.2(d)、142.0(d+d)、143.3(d)、171.7(s). IR(KBr)1685、2200 cm-1. FAB-MS m/z 274(M+);Anal. calcd for C19H14O2:C、83.07;H、5.08、found:C、83.19;H、5.14.
【実施例】
【0142】
<合成例22>
本合成例22では、下記反応式に従ってku-283を合成した。
【化31】
JP2016160246A_000040t.gif
【実施例】
【0143】
先ず、以下のようにして(E)-2,3-diphenylacrylaldehydeを合成した。すなわち、α-bromocinnamaldehyde(1.1g、5.0mmol)のtoluene:H2O=7:3(17mL)混合溶液にPd(PPh3)4(115.6mg、0.1mmol)、PhB(OH)2(670.6mg、5.5mmol)とK2CO3(2.01g)をアルゴン雰囲気下加え100度に加熱した。5時間後反応液をセライト濾過し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧溜去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマト(20% CH2Cl2 in hexane)にて精製し429.2mg(41%)の(E)-2,3-diphenylacrylaldehyde を黄色液体として得た。1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:7.18-7.52(6H、m)、9.78(1H、s);スペクトルは文献と一致した(Manuel G. Mura et al. Org. Chem. 2014、16、2586.)。
【実施例】
【0144】
次に、合成例1と同様にしてオレフィン化してKu-282:ethyl(2Z,4Z)-4,5-diphenylpenta-2,4-dienoate合成した。淡黄色オイル(53%、Z:E=95:5). 1H-NMR(600MHz、CDCl3)δ:1.09(3H、t、J=7.2Hz)、3.77(2H、q、J=7.2Hz)、5.86(1H、d、J=12.0Hz)、6.46(1H、d、J=12.0Hz)、6.80(1H、s)、6.96-7.31(10H、m). 13C-NMR(150MHz、CDCl3)δ:14.0(q)、60.3(t)、110.6(d)、120.8(d)、127.4(d)、127.6(d)、127.9(d)、128.4(d)、129.5(d)、129.6(d)、133.8(d)、136.2(s)、138.0(s+s)、142.7(d)、166.7(s). IR(KBr)1715 cm-1. EIMS m/z 278(M+)、205(100%);Anal. calcd for C19H18O2:C、81.64;H、6.56、found:C、81.99;H、6.52.
【実施例】
【0145】
次に、合成例1と同様にして加水分解することでku-283を合成した。colorless needles(hexane、mp.85-87℃、94%). 1H-NMR(400MHz、CDCl3)δ:5.83(1H、d、J=12.4Hz)、6.74(1H、d、J=13.2Hz)、6.83(1H、s)、7.00-7.31(10H、m). 13C-NMR(150MHz、CDCl3)δ:119.3(d)、127.5(d)、127.6(d)、127.9(d)、128.5(d)、129.4(d)、129.6(d)、134.0(d)、136.1(s)、137.5(s)、137.9(s)、146.1(d)、171.6(s). IR(KBr)1686 cm-1. FAB-MS m/z 250(M+);Anal. calcd for C17H14O2:C、81.41;H、5.46、found:C、81.58;H、5.64.
【実施例】
【0146】
<合成例23>
本合成例23では、下記反応式に従ってku-296を合成した。
【化32】
JP2016160246A_000041t.gif
【実施例】
【0147】
得られた(E)-2-benzylideneoct-3-ynal brown oil(67%)(1H-NMR(270MHz、CDCl3)δ:0.97(3H、t、J=7.3Hz)、1.45-1.73(4H、m)、2.57(2H、t、J=6.8Hz)、7.42-8.12(6H、m)、9.56(1H、s))を合成例1と同様にしてオレフィン化することでKu-295:ethyl(2Z,4Z)-4-benzylidenedec-2-en-5-ynateを合成した。
【実施例】
【0148】
次に、合成例1と同様にして加水分解することでku-296を合成した。colorless powder(hexane、mp.73-74℃、87%). 1H-NMR(600MHz、CDCl3)δ:0.92(3H、t、J=7.8Hz)、1.44(2H、sex、J=7.8Hz)、1.88(2H、quin、J=7.8Hz)、2.43(2H、t、J=7.8Hz)、5.86(1H、d、J=12.6Hz)、6.57(1H、d、J=12.0Hz)、6.88(1H、s)、7.29-7.92(5H、m). 13C-NMR(150MHz、CDCl3)δ:13.6(q)、19.4(t)、22.1(t)、30.3(t)、77.3(s)、99.8(s)、117.5(s)、118.9(d)、128.2(d)、129.0(d)、129.3(d)、135.7(s)、140.9(d)、142.3(d)、188.9(s).
【実施例】
【0149】
<合成例24>
本合成例24では、下記反応式に従ってku-292を合成した。
【化33】
JP2016160246A_000042t.gif
【実施例】
【0150】
合成例21で合成したku-271:(2E,4Z)-4-benzylidene-6-ynoic acid(200.0mg、0.7mmol)のtoluene(20mL)溶液を130℃に加熱し、18時間後反応液から溶媒を減圧溜去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトで精製し(ethyl acetate in hexane、10%~20%)93.7mg(47%)の6-phenyl-5-(phenylethynyl)-3,6-dihydro-2H-pyran-2-one)を黄色オイルとして得た。1H-NMR(600MHz、CDCl3)δ:3.28(2H、q、J=12.0Hz)、6.01(1h、s)、6.39(1H、s)、7.28-7.45(10H、m). 13C-NMR(150MHz、CDCl3)δ:30.8(t)、82.6(d)、84.9(s)、93.3(s)、121.7(s)、122.2(s)、127.1(d)、127.6(d)、128.4(d)、128.8(d+d)、129.1(d)、131.5(d)、137.1(s)、167.7(s). IR(neat)1710 cm-1. EIMS m/z 274(M+)、229(100%). HRMS(EI)Calcd for C19H14O2(M+):274.0993、found:274.0994.
図面
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