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明細書 :触媒構造体及びその製造方法、並びに水素発生装置。

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-159266 (P2016-159266A)
公開日 平成28年9月5日(2016.9.5)
発明の名称または考案の名称 触媒構造体及びその製造方法、並びに水素発生装置。
国際特許分類 B01J  35/02        (2006.01)
C01B   3/26        (2006.01)
B01J  23/42        (2006.01)
C07C  15/06        (2006.01)
C07C   5/367       (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI B01J 35/02 Z
C01B 3/26
B01J 23/42 M
C07C 15/06
C07C 5/367
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2015-042438 (P2015-042438)
出願日 平成27年3月4日(2015.3.4)
発明者または考案者 【氏名】福原 長寿
【氏名】渡部 綾
出願人 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100124800、【弁理士】、【氏名又は名称】諏澤 勇司
【識別番号】100140578、【弁理士】、【氏名又は名称】沖田 英樹
審査請求 未請求
テーマコード 4G140
4G169
4H006
4H039
Fターム 4G140DA03
4G140DB05
4G140DC03
4G140DC07
4G169AA03
4G169BA04B
4G169BA17
4G169BB02B
4G169BC16B
4G169BC75B
4G169CB07
4G169CB81
4H006AA02
4H006AC12
4H006BA26
4H006BA55
4H039CA41
4H039CC10
要約 【課題】コンパクトな装置を用いて有機ハイドライドから効率的に水素を回収することを可能にする装置及びそのために用いることのできる触媒を提供すること。
【解決手段】一定の軸線に沿って延在する基材と、脱水素触媒、及び該脱水素触媒を担持する担体を含む、触媒粒子と、を備える触媒構造体。基材が、軸線を中心として回転する方向にねじれながら軸線に沿って延在する板状部を含んでいる。板状部の表面上に触媒粒子が配置されている。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
一定の軸線に沿って延在する基材と、
触媒金属、及び該触媒金属を担持する担体を含む、触媒粒子と、
を備え、
前記基材が、前記軸線を中心として回転する方向にねじれながら前記軸線に沿って延在し粗面化された表面を有する板状部を含んでおり、該板状部の粗面化された前記表面上に前記触媒粒子が配置されている、
触媒構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の触媒構造体を製造する方法であって、
前記触媒粒子、及び前記触媒粒子が分散している分散媒を含有する、分散液を、前記基材の前記板状部の粗面化された前記表面に付着させ、その後、前記表面に付着している前記分散液から前記分散媒を除去することにより、前記表面上に前記触媒粒子を配置する工程と、
を備える、方法。
【請求項3】
反応管と、
該反応管内に収容された請求項1に記載の触媒構造体と、
を具備し、
前記触媒構造体が、前記軸線が前記反応管の長手方向に平行になる向きで前記反応管に挿入されている、
水素発生装置。
【請求項4】
当該水素発生装置が、流体入口及び流体出口を有する筒状体を更に具備し、
前記流体入口及び前記流体出口が、前記筒状体の内部を流路として互いに連通しており、
前記流路内に前記反応管が配置されている、
請求項3に記載の水素発生装置。
【請求項5】
前記反応管の外周面上に設けられた燃焼触媒層を更に備える、請求項3又は4に記載の水素発生装置。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか一項に記載の水素発生装置の前記反応管に有機ハイドライドを含む反応流体を供給し、前記反応管内で前記有機ハイドライドの脱水素により水素を生成させる工程を含む、有機ハイドライドから水素を回収する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒構造体及びその製造方法、並びに水素発生装置に関する。本発明はまた、水素発生装置を用いて有機ハイドライドから水素を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素の効率的な貯蔵及び輸送のために、有機ハイドライドの脱水素反応を利用する方法が検討されている。これまでにも、有機ハイドライドの脱水素反応のために種々の反応装置が提案されている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2007-238341号公報
【特許文献2】特開2008-239451号公報
【特許文献3】特開2006-182598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水素を用いた燃料電池等を含めた水素を利用するシステム全体のエネルギー利用率を高めるために、有機ハイドライドからの水素の回収を高い効率で行うことが強く求められる。
【0005】
そこで、本発明の主な目的は、コンパクトな装置を用いて有機ハイドライドから効率的に水素を回収することを可能にする水素発生装置及びそのための触媒構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一定の軸線に沿って延在する基材と、触媒金属、及び該触媒金属を担持する担体を含む、触媒粒子とを備える触媒構造体に関する。前記基材は、前記軸線を中心として回転する方向にねじれながら前記軸線に沿って延在し粗面化された表面を有する板状部を含んでいる。該板状部の粗面化された前記表面上に前記脱水素触媒が配置されている。
【0007】
本発明はまた、反応管と、該反応管内に収容された前記触媒構造体とを具備する、水素発生装置に関する。当該水素発生装置において、前記触媒構造体は、前記軸線が前記反応管の長手方向に平行になる向きで前記反応管に挿入されている。
【0008】
上記本発明に係る触媒構造体及びこれを用いた水素発生装置によれば、反応管の長手方向に平行な軸線を中心として回転する方向にねじれながら延在する板状部の表面上に脱水素触媒層が設けられていることから、反応管内を流れる有機ハイドライドと脱水素触媒層との大きな接触面積が確保される。加えて、板状部のねじれによって、反応管内の物質が混合され、特に径方向での混合が促進される。そのため、反応管の特に径方向における有機ハイドライドの分布の均一性が高まるとともに、反応管外部から供給される熱を効率的に脱水素触媒層の全体に伝えることができる。その結果、反応管内に供給された有機ハイドライドをより確実に脱水素することができる。
【0009】
別の側面において、本発明は、触媒構造体を製造する方法に関する。この方法は、前記触媒粒子、及び前記触媒粒子が分散している分散媒を含有する、分散液を、前記基材の前記板状部の粗面化された前記表面に付着させ、その後、前記表面に付着している前記分散液から前記分散媒を除去することにより、前記表面上に触媒粒子を配置する工程と、を備える。
【0010】
この方法によれば、触媒活性及び耐久性が特に優れた触媒構造体を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コンパクトな装置を用いて有機ハイドライドから効率的に水素を回収することを可能にする水素発生装置及びそのために用いることのできる触媒構造体を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】水素発生装置の一実施形態を示す模式図である。
【図2】触媒構造体の一実施形態を示す模式図である。
【図3】図2のIII-III線端面を示す図である。
【図4】メチルシクロヘキサンの転化率と反応温度との関係を表すグラフである。
【図5】メチルシクロヘキサンの転化率及びトルエン選択性と反応時間との関係を表すグラフである。
【図6】触媒粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。

【0014】
図1は、水素発生装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示す水素発生装置10は、筒状体30と、筒状体30の内部に配列された反応管20とを備える。それぞれの反応管20に触媒構造体50が挿入されている。筒状体30の内部に設けられる反応管20の数は、特に制限されないが、例えば1~200本であってもよい。1本の反応管20に収容される触媒構造体50の数は、特に制限されないが、例えば1~50本である。1本の反応管20内に複数の触媒構造体50が収容されるとき、通常、それらは反応管20の長手方向に沿って間隔を空けて又は間隔を詰めて配置される。

【0015】
筒状体30は、その長手方向における一方の端部に設けられた流体入口31及び他方の端部に設けられた流体出口32を有しており、これらは筒状体30の内部を流路として互いに連通している。この流路内に反応管20が配置されている。筒状体30の長さは、例えば100~5000mmであってもよい。円筒形の筒状体30の外径は、例えば10~500mmであってもよい。

【0016】
反応管20の一方の端部から、有機ハイドライドとしてのメチルシクロヘキサンを含む反応流体25が導入される。反応流体25は、メチルシクロヘキサン以外の有機ハイドライドを含んでいてもよい。有機ハイドライドは、水素化及び脱水素のプロセスを繰り返すことが可能な芳香族炭化水素の水素化物であればよい。反応管20内を流れる反応流体25は、通常、気体である。反応流体25は、反応管20の内部で気化されてもよいし、予め気化されていてもよい。反応管20内における有機ハイドライドの流量は、特に制限されないが、例えば0.1~10.0g/時間であってもよい。反応流体25は、有機ハイドライドとともに、窒素ガス等の不活性ガスを含んでいてもよい。

【0017】
本実施形態の反応管20は、円筒形である。円筒形の反応管を用いることで、高温での反応管内部の十分な気密性を維持し易い。触媒構造体50の挿入と取り出しの容易性等の観点から、図示されるように、一本の反応管20が、筒状体30の長手方向に沿って、両端(又は片端)が筒状体30の外部に出るように延在していてもよい。これにより、触媒構造体50の反応管20への挿入及び反応管20からの取り出しを容易に行うことができる。

【0018】
反応管20の長さは、例えば100mm以上又は1000mm以上であってもよく、3000mm以下又は5000mm以下であってもよい。円筒形の筒状体30の内径は、例えば100mm以上又は200mm以上であってもよく、300mm以下又は500mm以下であってもよい。

【0019】
反応管20を流れる有機ハイドライドは、触媒構造体50が有する脱水素触媒層と接触し、脱水素触媒層中の脱水素触媒の作用により、脱水素される。反応管20の他方の端部から、脱水素反応により生成した水素が、芳香族炭化水素(例えばトルエン)とともに排出される。これにより、有機ハイドライドから水素が回収される。芳香族炭化水素は、水素化することで有機ハイドライドとして再利用することができる。

【0020】
吸熱反応である脱水素反応を促進するために、触媒構造体50及び反応流体25を加熱してもよい。そのために、反応管20を加熱することができる。加熱の温度は、脱水素反応の速度、触媒の耐久性の観点から、300℃以上、350℃以上又は370℃以上であってもよいし、400℃以下、380℃以下又は360℃以下であってもよい。

【0021】
図1の装置の場合、加熱のための流体35が流体入口31から供給される。流体35は反応管20の外周面と接触しながら筒状体30の内部の流路を流れ、流体出口32から排出される。流体35自体の熱により反応管20を加熱してもよい。あるいは、反応管20の外周面上に燃焼触媒層を設け、流体35として燃料流体を用い、燃焼流体の燃焼反応で生じる熱によって反応管20を加熱してもよい。燃焼流体としては、例えば、可燃性の高い物質を用いることができる。反応管20を加熱する手段はこれらに限られず、任意の加熱方法を採用することができる。

【0022】
脱水素触媒層1は、脱水素反応の前に、酸素を含む雰囲気下で加熱してもよい。通常、白金を含む触媒は、使用される前に還元処理されることが多いが、本実施形態に係る触媒の場合、酸素を含む雰囲気下での前処理を経ることで、さらに高い耐久性が発現し得る。酸素を含む雰囲気の酸素濃度は、雰囲気の全体積を基準として、例えば5~40体積%であってもよい。あるいは、大気雰囲気下で加熱を行うこともできる。

【0023】
図2は、触媒構造体の一実施形態を示す模式図であり、図3は図2のIII-III線端面図である。図2及び図3に示す触媒構造体50は、一定の軸線Xに沿って延在する基材5と、基材5の表面Sを覆う脱水素触媒層1とを有する。基材5において、軸線Xは基材5の中心線でもある。脱水素触媒層1は、基材5の表面全体を覆っていなくてもよい。基材5は、全体として、軸線Xを中心として回転する方向にねじれながら軸線Xに沿って延在する板状部から構成される。図1の水素発生装置10において、触媒構造体50は、軸線Xが反応管20の長手方向に平行になる向きで反応管20に挿入される。

【0024】
基材5(板状部)の軸線Xに沿う方向における長さL、軸線Xに垂直な方向における最大幅W、及び板状部の厚みTは、反応管の形状、サイズ等に応じて、適宜設定される。長さLは、例えば20mm以上又は40mm以上であってもよく、1000mm以下又は500mm以下であってもよい。長さLは、最大幅Wよりも大きいことが多いが、最大幅Wよりも小さくてもよい。

【0025】
基材5(板状部)の最大幅Wは、触媒構造体50を反応管20に挿入できるように設定される。最大幅Wが反応管の内径に近いと、装置のコンパクト化の点で有利であるとともに、反応管からの伝熱の効率が高められ得る。具体的には、基材5の最大幅Wの反応管20の内径に対する比が、0.85以上又は0.90以上であってもよいし、1.0以下又は0.95以下であってもよい。最大幅Wは、例えば3mm以上又は6mm以上であってもよく、30mm以下又は20mm以下であってもよい。

【0026】
図2に示す実施形態に係る触媒構造体の場合、基材の板状部は、軸線Xの周りに一方向にねじれているが、基材(板状部)の形状はこれに限定されず、適宜変形が可能である。例えば、基材(板状部)が、軸線Xに沿う方向から基材を見たときに、時計周りの方向にねじれている部分と、反時計周りの方向にねじれている部分とを含んでいてもよい。ねじれの周期は一定である必要はなく、変化していてもよい。効率的な混合の観点から、基材(板状部)がスタティックミキサーエレメントであってもよい。ねじれている板状体を含む基材は、当業者には理解されるように、成形体を通常の方法により加工して得ることができる。

【0027】
基材5は金属の成形体であってもよい。成形体を構成する金属は、例えば、アルミニウム、チタン及びジルコニウムから選ぶことができる。これらの金属は成形が容易である。また、容易に表面を粗面化することができる。

【0028】
基材5の表面Sは、予め粗面化されている。表面Sが粗面化されていることにより、触媒粒子を容易に表面S上に配置することができる。また、脱水素触媒層の高い比表面積を確保し易い。

【0029】
表面Sの粗面化は、通常の方法により行うことができる。表面Sは、例えば、化学的若しくは電気化学的エッチング、機械的エッチングから選ばれる方法により、粗面化されている。化学的エッチングは、例えば、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液によるアルカリエッチングである。これらの方法によって、容易に表面Sを粗面化することができる。

【0030】
脱水素触媒層1は、基材5の表面S上に配置された触媒粒子の集合体である。触媒粒子は、触媒金属と、触媒金属を担持する担体とを含み得る。脱水素触媒層1の厚さは、特に制限されないが、例えば2~200μmであってもよい。

【0031】
触媒構造体50における脱水素触媒層1の割合は、所望の触媒活性が得られるように設定できるが、例えば、触媒構造体50の質量を基準(100質量%)として、10~90質量%であってもよい。

【0032】
触媒金属は、通常、粒子状の形態で担体中に分散している。触媒金属は、白金、レニウム、ロジウム、イリジウム及びルテニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含んでいてもよい。触媒活性向上の効果の観点から、触媒金属は、白金と、レニウム、ロジウム、イリジウム及びルテニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の添加金属とを含んでいてもよい。添加金属は、レニウム及び/又はロジウムであってもよく、パラジウムであってもよい。脱水素触媒における触媒金属全体の割合は、担体の質量を基準として、0.1~10質量%であってもよい。

【0033】
脱水素触媒(触媒粒子)における白金の割合(担持量)は、脱水素触媒(触媒粒子、担体、白金、及び添加金属の合計)の質量を基準(100質量%)として、0.1質量%以上、又は0.5質量%以上であってもよく、2.5質量%以下、又は2.0質量%以下であってもよい。触媒がこのような量の白金を含んでいると、適切な触媒活性が特に得られ易い。

【0034】
触媒金属が白金と添加触媒との組み合わせである場合、添加金属の白金に対する質量割合(添加金属の質量/白金の質量)は、0.7以下であってもよい。これにより、触媒金属が白金のみを含む場合と比較して、触媒活性及び耐久性が特に顕著に向上する。同様の観点から、添加金属の質量割合は、0.65以下、又は0.6以下であってもよく、0.01以上、0.1以上、0.15以上、又は0.2以上であってもよい。

【0035】
担体は、例えば、金属酸化物の粒子から構成される。担体は、凝集した多数の一次粒子から構成される多孔質体であり得る。担体又は触媒粒子の粒径(二次粒径)は、100~500μmであってもよい。特に低温での触媒活性等の観点から、担体の比表面積は、100m/g以上、200m/g以上、又は300m/g以上であってもよい。担体の比表面積の上限は、特に制限されないが、例えば500m/g以下であってもよい。比表面積は、ガス吸着法などで測定することができる。

【0036】
担体は、例えば、酸化チタン、及び/又は酸化アルミニウムを含んでいてもよい。アナターゼ型の酸化チタンの粒子を担体として用いることで、特に高い触媒活性を得ることができる。担体は、担体の全質量のうち80質量%以上又は90質量%以上の酸化チタンを含んでいてもよい。

【0037】
触媒粒子は、例えば、金属を含むアニオン及び水を含有する酸性の溶液を担体と接触させることにより担体にアニオンを吸着させ、その後、担体を焼成して、担体に金属を脱水素触媒として担持させることを含む方法により、得ることができる。この方法は、本明細書において「イオン吸着法」と称されることがある。イオン吸着法によれば、脱水素触媒としての金属を、極めて微小な粒径の形態で担体に均一に分散させることができる。そのため、特に効率的な脱水素反応が可能となる。触媒金属が複数の金属を含む場合、金属の担持の順序は任意であり、複数種の金属を含有する溶液を準備して、複数種の金属を同時に担体に担持させてもよい。触媒金属が白金及び上述の添加金属を含む場合、添加金属、白金の順で担体に担持させることで、特に顕著な活性向上効果を得ることができる。

【0038】
イオン吸着法の場合、例えば、担体を、金属を含むアニオン及び水を含有する溶液に分散又は浸漬し、溶液から取り出した担体に付着している水を除去することにより、金属を含むアニオンを担体に吸着させることができる。溶液における上記アニオンの濃度は、例えば、溶媒(水)の体積を基準として、2.0×10-3~1.0×10-2モル/Lであってもよい。水溶液のpHは、例えば2.0~4.0であってもよい。

【0039】
レニウム等の添加金属を含むアニオンは、例えば、ヘキサクロロレニウム(IV)酸イオン、過レニウム(VII)酸イオン、テトラクロロパラジウム(II)イオン、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸イオン、ヘキサクロロロジウム(III)酸イオン、ヘキサクロロルテニウム(III)酸イオンから選ばれる。ヘキサクロロレニウム(IV)酸イオンを含有する酸性の溶液は、例えば、ヘキサレニウム(IV)酸塩(カリウム塩等)を水に溶解させて、調製することができる。

【0040】
白金を含むアニオンは、例えば、ヘキサクロロ白金(IV)酸イオンである。ヘキサクロロ白金(IV)酸イオンを含有する酸性の溶液は、例えば、ヘキサクロロ白金(IV)酸を水に溶解させて、調製することができる。

【0041】
溶液から取り出された担体を、通常は付着している水を除去してから、焼成する。焼成の温度は、担体に担持される白金又は添加金属が生成する温度であればよく、例えば300~600℃であってもよい。

【0042】
あるいは、担体に脱水素触媒を担持させる方法は、金属塩を含む金属塩水溶液を担体と接触させ、次いで担体に付着している金属塩水溶液から水を除去して担体を乾固させることと、その後の焼成により担体に脱水素触媒として金属を担持させることとを含む方法であってもよい。この方法は、本明細書において「蒸発乾固法」と称されることがある。金属塩としては、例えば、テトラアンミン白金(II)硝酸塩、ヘキサクロロ白金(IV)酸塩を用いることができる。

【0043】
触媒構造体50は、例えば、基材5(板状部)の表面Sを粗面化する工程と、粗面化された表面S上に触媒粒子を配置することで、脱水素触媒層1を形成する工程と、を含む方法により、製造することができる。表面Sは、上述の方法により粗面化することができる。ねじれている基材5(板状部)の表面Sを粗面化してもよいし、表面Sを粗面化してから基材5(板状部)をねじれるように成形してもよい。

【0044】
脱水素触媒層1は、例えば、触媒粒子と該触媒粒子が分散している分散媒とを含有する分散液を、基材5の表面Sに付着させることと、基材5の表面Sに付着している分散液から分散媒を除去することと、を含む方法により、形成することができる。分散液の付着及び分散媒の除去は、通常の方法によって行うことができ、所望の量の触媒粒子が表面S上に配置されるまで、繰り返すことができる。

【0045】
触媒粒子を分散するための分散媒は、アルコール及び/又は水であってもよい。アルコールは、例えば2-プロパノール、ブタノール、エタノール及びメタノールから選ばれる。分散液における触媒粒子の濃度は、分散媒の体積を基準として、0.025~0.25g/mLであってもよい。
【実施例】
【0046】
以下、本実施形態に係る触媒構造体を作製し、これを用いた脱水素反応を行った実験について説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0047】
1.触媒粒子の作製
ヘキサクロロ白金(IV)酸(H[PtCl])0.053gを、純水40mLに溶解させて、塩化白金水溶液(H[PtCl]aq.、pH=3.7、室温)を得た。そこに、2gの酸化チタン粒子(アナターゼ型、JRC-TIO-8、石原産業(株)製、比表面積338m/g)を投入した。次いで、溶液に回転子を入れ、500~700rpmで攪拌しながら24時間保持した。吸引濾過によって固形物を取り出し、取り出された固形物を、蒸発皿に載せて室温で24時間、乾燥させた。乾燥後の固形物を、電気炉を用いて500℃、5時間の条件で焼成して、白金、及び白金を担持する担体としての酸化チタン粒子を含む触媒粒子を得た。触媒粒子全体の質量を基準とする白金の量(担持量)は、1.0質量%である。
【実施例】
【0048】
2.基材の粗面化処理
長尺で板状のアルミニウム基材(幅5mm、長さ50mm)の一方の端部を固定し、他方の端部をペンチで掴み、引張力を加えながら360°捻ることにより、図2、3に示すような、ねじれた形状のアルミニウム基材を準備した。次いで、アルミニウム基材を、NaOH水溶液に3~5分間浸漬した。NaOH水溶液から取り出したアルミニウム基材を、純水に浸漬した状態で超音波を加えることで洗浄した。洗浄後、アルミニウム基材を、HCl水溶液に1~5分浸漬した。HCl水溶液から取り出したアルミニウム基板を、アセトンに浸漬した状態で超音波を加えることで洗浄した。同様のアセトン中での洗浄を6回繰り返した。
【実施例】
【0049】
3.触媒構造体の作製
1gの触媒粒子を、乳鉢で30分かけて粉砕した。粉砕した触媒粒子を5mLの2-プロパノールに投入し、触媒粒子の分散液(コート液)を得た。
下部にドレンコックを備えたガラス製の円筒容器に、粗面化された表面を有するアルミニウム基材を、長手方向に直立する向きで入れた。そこに、上記分散液を、アルミニウム基材が完全に浸かるまで流し込んだ。5~10分後、ドレンコックを開けて、分散液を一定速度で排出した。アルミニウム基材を取り出し、冷風により3~5分間乾燥した。乾燥後のアルミニウム基材の質量を測定して、アルミニウム基材上の触媒粒子(脱水素触媒層)の質量を求めた。その後、アルミニウム基材を、上下の向きを変えて円筒容器に入れ、再度分散液に浸漬した。同様の操作を繰り返して、50mgの触媒粒子を含む脱水素触媒層をアルミニウム基材上に形成させた。
【実施例】
【0050】
4.脱水素試験
(1)触媒構造体
4本の触媒構造体を円筒形の反応管に順に挿入した。反応管にメチルシクロヘキサン(MCH、液空間速度(LHSV):4.0h-1)を窒素ガスとともに流しながら、反応管を300℃に加熱した。反応管から流出するガスにおけるMCHの残存量及び生成したトルエンの量を定量することにより、MCHの転化率を求めた。同様の試験を、温度を310℃、320℃、300℃、340℃又は350℃に変更して行った。
【実施例】
【0051】
(2)触媒粒子
「1.触媒粒子の作製」において作製したものと同様の触媒粒子200mgを、0.5cmの石英砂(粒子径:250~500μm)と混合した。得られた混合粉末を、石英管(内径8mm)に充填し、脱水素触媒層を形成させた。脱水素触媒層の両側に石英ウールを詰めて、脱水素触媒層の位置を固定した。次いで、石英管をPID制御の電気炉内に設置し、電気炉を350℃まで昇温した。反応管の温度が350℃に到達した後、窒素ガスと水素ガスを石英管内に流通させ、触媒粒子を還元処理した。
その後、石英管を300℃に加熱しながら、石英管にメチルシクロヘキサン(LHSV:4.0h-1)を供給した。石英管から流出するガスにおけるMCHの残存量及び生成したトルエンの量を定量することにより、MCHの転化率を求めた。同様の試験を、温度を310℃、320℃、300℃、340℃又は350℃に変更して行った。
【実施例】
【0052】
(3)結果
図4は、MCH転化率と反応温度との関係を示すグラフである。図中、「Equilibrium conversion」は、MCHの脱水素反応の無触媒下での平衡状態におけるMCH転化率を示す。触媒構造体によれば、非常に高いMCH転化率が得られることが確認された。
【実施例】
【0053】
3.耐久性試験
上記と同様の脱水素試験を長時間連続して行うことで、触媒構造体の耐久性を評価した。反応温度は、反応開始から64時間までの間は300℃、64時間から128時間までの間は310℃、128時間から192時間の間は320℃、192時間から200時間の間は330℃に設定した。図5は、MCH転化率及びトルエン選択性と反応時間との関係を示すグラフである。酸化チタン/白金の触媒構造体によれば、30時間に至るまで活性の低下がほとんど認められず、この触媒が非常に優れた耐久性を有することが確認された。
【実施例】
【0054】
図6は、試験後の触媒構造体から取り出した触媒粒子の透過型電子顕微鏡写真である。白金が凝集すると触媒が低下する傾向があるが、観測できる程度の大きさの白金粒子は認められず、白金の凝集がほとんど生じていないことがわかった。
【符号の説明】
【0055】
1…脱水素触媒層、5…基材、10…水素発生装置、20…反応管、25…反応流体、30…筒状体、31…流体入口、32…流体出口、35…流体、50…触媒構造体、W…基材(板状体)の最大幅、X…軸線。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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