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明細書 :環化触媒、クロマン類の製法、ピロリジン類の製法及びリン酸ジエステルアミド

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-165693 (P2016-165693A)
公開日 平成28年9月15日(2016.9.15)
発明の名称または考案の名称 環化触媒、クロマン類の製法、ピロリジン類の製法及びリン酸ジエステルアミド
国際特許分類 B01J  31/02        (2006.01)
C07F   9/6574      (2006.01)
C07D 311/58        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI B01J 31/02 102Z
C07F 9/6574 CSPZ
C07D 311/58
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 23
出願番号 特願2015-047543 (P2015-047543)
出願日 平成27年3月10日(2015.3.10)
発明者または考案者 【氏名】石原 一彰
【氏名】仲辻 秀文
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000017、【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C062
4G169
4H039
4H050
Fターム 4C062FF11
4G169AA06
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BE14A
4G169BE14B
4G169BE29A
4G169BE29B
4G169BE32A
4G169BE32B
4G169BE37A
4G169BE37B
4G169CB38
4G169CB65
4G169CB71
4G169FA01
4G169FB05
4G169FB77
4H039CA42
4H039CH40
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB40
要約 【課題】ヨードエーテル環化反応又はヨードアミノ環化反応に適した触媒を提供する。
【解決手段】本発明の一例では、ヨードエーテル環化反応により2-(3-メチル-3-ブテニル)フェノールから対応するクロマンを製造するにあたり、ヨード化剤としてヨウ素(I2 )、ルイス酸としてハロイミド類又はハロヒダントイン類(ハロゲン原子は塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、触媒としてリン酸ジエステルアミドを使用する。
【化1】
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【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
ヨードエーテル環化反応又はヨードアミノ環化反応に用いられる、式(1)で表されるリン酸ジエステルアミドからなる環化触媒。
【化1】
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(R1は、水素原子か炭化水素基であり、
2は、炭化水素基であり、
1とR2は、互いに結合して炭化水素鎖を形成していてもよく、
Zは、1,1’-ビアリール骨格又は1,1’-ジアリールメチル骨格を含む基であり、リン原子に結合した2つの酸素原子は1,1’-ビアリール骨格又は1,1’-ジアリールメチル骨格の2,2’位で結合している)
【請求項2】
Zは、式(2)で表される光学活性な基である、請求項1に記載の環化触媒。
【化2】
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(R3、R4は、同じでも異なっていてもよく、炭化水素基又は有機シリル基であり、
1、X2は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基であり、
1,1’-ビ-2-ナフトール部位はRかSの光学異性体である)
【請求項3】
3、R4は、両方ともアリール基又はトリアリールシリル基であり、X1、X2は、両方とも水素原子である、請求項2に記載の環化触媒。
【請求項4】
1、R2は、一方が水素原子で他方がアリール基であるか、一方が水素原子で他方がアラルキル基であるか、互いに結合して炭素数5~7の炭化水素鎖を形成している、請求項1~3のいずれか1項に記載の環化触媒。
【請求項5】
ヨードエーテル環化反応により2-アルケニルフェノール類からクロマン類を製造する方法であって、
ヨード化剤としてヨウ素(I2 )、ルイス酸としてハロイミド類又はハロヒダントイン類(ハロゲン原子は塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、触媒として請求項1~4のいずれか1項に記載の環化触媒を使用する、
クロマン類の製法。
【請求項6】
前記2-アルケニルフェノール類は、アルケニル基として-CH2CH2C(=CHRa)Rb(Ra、Rbは同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭化水素基であり、幾何異性体がある場合はシスでもトランスでもよい)又は-CH2CH=CHRc(Rcは炭化水素基であり、幾何異性体がある場合はシスでもトランスでもよい)を有している、請求項5に記載のクロマン類の製法。
【請求項7】
前記2-アルケニルフェノール類に対して、前記ヨード化剤を0.5倍モル以上、前記ルイス酸を等モル以上、前記触媒を0.1~30mol%の範囲で使用する、請求項5又は6に記載のクロマン類の製法。
【請求項8】
ヨードアミノ環化反応によりN-アルケニルスルホンアミド類からピロリジン類を製造する方法であって、
ヨード化剤としてヨウ素(I2 )、ルイス酸としてハロイミド類又はハロヒダントイン類(ハロゲン原子は塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、触媒として請求項1~4のいずれか1項に記載の環化触媒を使用する、
ピロリジン類の製法。
【請求項9】
前記N-アルケニルスルホンアミド類は、アルケニル基として-CH2CH2CH2C(=CHRd)Re(Rd、Reは同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭化水素基であり、幾何異性体がある場合はシスでもトランスでもよい)を有している、請求項8に記載のピロリジン類の製法。
【請求項10】
前記N-アルケニルスルホンアミド類に対して、前記ヨード化剤を0.5倍モル以上、前記ルイス酸を等モル以上、前記触媒を0.1~30mol%の範囲で使用する、請求項8又は9に記載のピロリジン類の製法。
【請求項11】
下記式(3)で表されるリン酸ジエステルアミド。
【化3】
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(R1は、水素原子か炭化水素基であり、
2は、炭化水素基であり、
1とR2は、互いに結合して炭化水素鎖を形成していてもよく、
3、R4は、同じでも異なっていてもよく、炭化水素基又は有機シリル基であり、
1,1’-ビ-2-ナフトール部位はRかSの光学異性体である)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、環化触媒、クロマン類の製法、ピロリジン類の製法及びリン酸ジエステルアミドに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、既に、キラルなリン酸トリエステルが4-置換-4-ペンテン酸のヨードラクトン化反応を促進し、対応するヨードラクトンを高収率且つ高いエナンチオ選択性で得られることを報告した(非特許文献1)。一例として、下記スキームに示すように、ヨード化剤としてI2 、ルイス酸としてN-クロロフタルイミド、触媒としてリン酸トリエステルを使用した場合、4-ベンジル-4-ペンテン酸から対応するヨードラクトンを収率95%、93%eeで得られることを報告した。
【0003】
【化1】
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【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Angew. Chem. Int. Ed. 2014, vol. 53, pp 6974-6977
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、天然には、クロマン骨格を有する生理活性物質が数多く存在する。また、ピロリジン骨格を有する生理活性物質も数多く存在する。そこで、本発明者らは、キラルなリン酸トリエステルがクロマン類やピロリジン類の合成触媒として有用か否かを検討した。すなわち、上記スキームにおいて、触媒のフェノール部分の2,6位にn-ブチルを導入したリン酸トリエステルを用いて、2-アルケニルフェノール類のヨードエーテル環化反応を試みた。同様に、N-アルケニルスルホンアミド類のヨードアミノ環化反応を試みた。そうしたところ、いずれにおいても目的とする環化物は得られたものの、収率が不十分であったり、エナンチオ選択性が低かったりした。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、ヨードエーテル環化反応又はヨードアミノ環化反応に適した触媒を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明者は、ヨードエーテル環化反応又はヨードアミノ環化反応を促進する触媒として、種々のリン酸エステルを試したところ、ある種のリン酸ジエステルアミドがリン酸トリエステルよりも優れた触媒活性を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の環化触媒は、ヨードエーテル環化反応又はヨードアミノ環化反応に用いられる、式(1)で表されるリン酸ジエステルアミドからなる触媒である。
【0009】
【化2】
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【0010】
(R1は、水素原子か炭化水素基であり、
2は、炭化水素基であり、
1とR2は、互いに結合して炭化水素鎖を形成していてもよく、
Zは、1,1’-ビアリール骨格又は1,1’-ジアリールメチル骨格を含む基であり、リン原子に結合した2つの酸素原子は1,1’-ビアリール骨格又は1,1’-ジアリールメチル骨格の2,2’位で結合している)
【0011】
本発明のクロマン類の製法は、ヨードエーテル環化反応により2-アルケニルフェノール類からクロマン類を製造する方法であって、ヨード化剤としてヨウ素(I2 )、ルイス酸としてハロイミド類又はハロヒダントイン類(ハロゲン原子は塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、触媒として上述した環化触媒を使用するものである。
【0012】
本発明のピロリジン類の製法は、ヨードアミノ環化反応によりN-アルケニルスルホンアミド類からピロリジン類を製造する方法であって、ヨード化剤としてヨウ素(I2 )、ルイス酸としてハロイミド類又はハロヒダントイン類(ハロゲン原子は塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、触媒として上述した環化触媒を使用するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の環化触媒は、2-アルケニルフェノール類からクロマン類へのヨードエーテル環化反応やN-アルケニルスルホンアミド類からピロリジン類へのヨードアミノ環化反応において、高い反応促進効果を発現したり、高いエナンチオ選択性を発現したりする。そのため、本発明によれば、クロマン類やピロリジン類(特に光学活性なもの)を効率よく合成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の環化触媒は、上述した式(1)で表されるリン酸ジエステルアミドからなる触媒である。

【0015】
1は、水素原子か炭化水素基であり、R2は、炭化水素基であり、R1とR2は、互いに結合して炭化水素鎖を形成していてもよい。炭化水素基とは、炭素と水素とで構成された基であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、トリル基、ジアルキルフェニル基、トリアルキルフェニル基などが挙げられる。このうち、ジアルキルフェニル基としては、キシリル基、ジエチルフェニル基、ジ-n-プロピルフェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジ-n-ブチルフェニル基、ジイソブチルフェニル基、ジ-sec-ブチルフェニル基、ジ-tert-ブチルフェニル基などが挙げられる。トリアルキルフェニル基としては、トリメチルフェニル基、トリエチルフェニル基、トリイソプロピルフェニル基などが挙げられる。アラルキル基とは、アルキル基の水素原子の1つがアリール基で置換されたものであり、ベンジル基やフェネチル基などが挙げられる。アラルキル基中のアリール基には、更にアルキル基やアルケニル基が結合されていてもよい。炭化水素基は、1以上の置換基を有していてもよい。炭化水素基が有する置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基などが挙げられる。R1とR2とが互いに結合して炭化水素鎖を形成する場合、炭化水素鎖は-(CH2n-(nは1~7の整数)としてもよい。こうした炭化水素鎖は、置換基を有していてもよい。この場合の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基などが挙げられる。なお、ハロゲン原子やアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基の具体例は、上述した通りである。

【0016】
1、R2は、一方が水素原子で他方がアリール基であるか、一方が水素原子で他方がアラルキル基であるか、互いに結合して炭素数5~8の炭化水素鎖を形成していることが好ましい。アリール基やアラルキル基の具体例は、上述した通りであるが、アリール基としては、2,6-ジアルキルフェニル基が好ましい。アラルキル基としては、ベンジル基のほか、ベンジル基中のフェニル基にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基を有していてもよい。

【0017】
Zは、1,1’-ビアリール骨格又は1,1’-ジアリールメチル骨格を含む基であり、リン原子に結合した2つの酸素原子は1,1’-ビアリール骨格又は1,1’-ジアリールメチル骨格の2,2’位で結合している。Zはキラルでもアキラルでもよい。キラルなZとしては、2つのアリール基の回転障害に起因する軸不斉を持つ1,1’-ビアリール骨格を含む基やスピロ型1,1’-ジアリールメチル骨格を含む基などが挙げられる。下記式のうち、左側は前者の骨格の一例であり、右側は後者の骨格一例である。式中、R11~R18は同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、有機シリル基、シアノ基、ニトロ基又はアルコキシ基であり、これらのうち2つが互いに結合して炭化水素鎖を形成していてもよい。また、R21~R24は同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、有機シリル基、シアノ基、ニトロ基又はアルコキシ基であり、これらのうち2つが互いに結合して炭化水素鎖を形成していてもよい。なお、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、炭化水素鎖の具体例は、上述した通りである。有機シリル基としては、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基、アルキルとアリールとを有するシリル基、トリアラルキルシリル基、トリアルコキシシリル基などが挙げられる。トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、イソプロピルジエチルシリル基、エチルジメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。トリアリールシリル基としては、トリフェニルシリル基、トリキシリルシリル基などが挙げられる。アルキルとアリールとを有するシリル基としては、tert-ブチルジフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基などが挙げられる。トリアラルキルシリル基としては、トリベンジルシリル基などが挙げられる。トリアルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。他にも嵩高いシリル基としてトリス(トリメチルシリル)シリル基を挙げることができる。

【0018】
【化3】
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【0019】
Zが軸不斉を持つ1,1’-ビアリール骨格を含む光学活性な基である場合、そのような基としては、例えば、下記式に示すものが挙げられる。ビフェニルのHiは2つのフェニル基が自由に軸回転するのを拘束する置換基である。なお、これらは基本骨格を表すものであるため、適当な位置に置換基を1以上有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素基、有機シリル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基などが挙げられる。ハロゲン原子や炭化水素基、有機シリル基、アルコキシ基の具体例は、上述した通りである。

【0020】
【化4】
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【0021】
Zは、式(2)で表される光学活性な基であることが好ましい。式(2)中、R3、R4は、同じでも異なっていてもよく、炭化水素基又は有機シリル基であり、X1、X2は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基であり、1,1’-ビ-2-ナフトール部位はRかSの光学異性体である。炭化水素基、有機シリル基、ハロゲン原子の具体例は、上述した通りである。式(2)において、R3、R4は、両方ともアリール基又はトリアリールシリル基であり、X1、X2は、両方とも水素原子であることが好ましく、R3、R4は、両方とも9-アントラセニル基又はトリフェニルシリル基であり、X1、X2は、両方とも水素原子であることがより好ましい。

【0022】
【化5】
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【0023】
本発明のクロマン類の製法は、ヨードエーテル環化反応により2-アルケニルフェノール類からクロマン類を製造する方法であって、ヨード化剤としてヨウ素(I2 )、ルイス酸としてハロイミド類又はハロヒダントイン類(ハロゲン原子は塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、触媒として上述した環化触媒を使用するものである。

【0024】
本発明のクロマン類の製法において、2-アルケニルフェノール類は、ヨードエーテル環化反応によりクロマン類へ変換されるものであればよく、例えば、アルケニル基として-CH2CH2C(=CHRa)Rb(Ra、Rbは同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭化水素基であり、幾何異性体がある場合はシスでもトランスでもよい)又は-CH2CH=CHRc(Rcは炭化水素基であり、幾何異性体がある場合はシスでもトランスでもよい)を有しているものが好ましい。なお、炭化水素基の具体例は、上述した通りである。また、2-アルケニルフェノール類のフェノールの芳香環は置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基などが挙げられる。これらの具体例は、上述した通りである。

【0025】
本発明のクロマン類の製法において、ヨード化剤であるヨウ素(I2 )は、2-アルケニルフェノール類に対して0.5倍モル以上使用するのが好ましく、0.55~1.1倍モルの範囲で使用するのがより好ましい。I2 は、分子を構成する2つのヨウ素原子がヨード化に用いられるため、理論的には0.5倍モル使用すれば十分である。

【0026】
本発明のクロマン類の製法において、ルイス酸として使用するハロイミド類としては、N-クロロスクシンイミド(NCS)、N-ブロモスクシンイミド(NBS)、N-ヨードスクシンイミド(NIS)、N-クロロフタルイミド(NCP)、N-ブロモフタルイミド(NBP)、N-ヨードフタルイミド(NIP)、N-クロロマレイミド、N-ブロモマレイミド、N-ヨードマレイミドなどが挙げられる。ルイス酸として使用するハロヒダントイン類は、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(DCH)、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBH)、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン(DIH)などが挙げられる。こうしたルイス酸は、2-アルケニルフェノール類に対して等モル以上使用するのが好ましく、1~1.5倍モルの範囲で使用するのがより好ましい。

【0027】
本発明のクロマン類の製法において、環化触媒は、2-アルケニルフェノール類に対して、0.1~30mol%の範囲で使用するのが好ましく、1~10mol%の範囲で使用するのがより好ましい。

【0028】
本発明のピロリジン類の製法は、ヨードアミノ環化反応によりN-アルケニルスルホンアミド類からピロリジン類を製造する方法であって、ヨード化剤としてヨウ素(I2 )、ルイス酸としてハロイミド類又はハロヒダントイン類、触媒として上述した環化触媒を使用するものである。

【0029】
本発明のピロリジン類の製法において、N-アルケニルスルホンアミド類は、アルケニル基として-CH2CH2CH2C(=CHRd)Re(Rd、Reは同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭化水素基であり、幾何異性体がある場合はシスでもトランスでもよい)を有していことが好ましい。スルホンアミド部位は、-NHSO2f (Rf は炭化水素基である)と表すことができる。なお、炭化水素基の具体例は、上述した通りである。また、アルケニル基は置換基を有していてもよい。また、アルケニル基の炭化水素鎖の一部が芳香環骨格に組み込まれていてもよい。例えば、-CH2CH2CH2C(=CHRd)Reのうちの1位と2位の炭素原子が芳香環(例えばベンゼン環)の2つの炭素原子を構成していてもよいし、2位と3位の炭素原子が芳香環の2つの炭素原子を構成していてもよい。その場合、芳香環に置換基がついていても構わない。置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基などが挙げられる。これらの具体例は、上述した通りである。

【0030】
本発明のピロリジン類の製法において、ヨード化剤であるヨウ素(I2)は、N-アルケニルスルホンアミド類に対して、0.5倍モル以上使用するのが好ましく、0.55~1.1倍モルの範囲で使用するのがより好ましい。I2 は、分子を構成する2つのヨウ素原子がヨード化に用いられるため、理論的には0.5倍モル使用すれば十分である。

【0031】
本発明のピロリジン類の製法において、ルイス酸として使用するハロイミド類やハロヒダントイン類の具体例は、クロマン類の製法で説明したとおりである。こうしたルイス酸は、N-アルケニルスルホンアミド類に対して、等モル以上使用するのが好ましく、1~1.5倍モルの範囲で使用するのがより好ましい。

【0032】
本発明のピロリジン類の製法において、環化触媒は、N-アルケニルスルホンアミド類に対して、0.1~30mol%の範囲で使用するのが好ましく、1~10mol%の範囲で使用するのがより好ましい。

【0033】
本発明のクロマン類の製法及びピロリジン類の製法において、反応溶媒は、環化反応に影響しない溶媒であれば特に限定されないが、例えば炭化水素系溶媒やニトリル系溶媒、ニトロ系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン系溶媒が好ましい。炭化水素系溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。ニトリル系溶媒としては、ブチロニトリル、プロピオニトリルなどが挙げられる。ニトロ系溶媒としては、ニトロメタン、ニトロエタンなどが挙げられる。エーテル系溶媒としては、フェニルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテルなどが挙げられる。アミド系溶媒としては、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ブチルピロリドンなどが挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、α,α,α-トリフルオロトルエン、フルオロベンゼンなどが挙げられる。また、これらの混合溶媒を用いてもよい。

【0034】
本発明のクロマン類の製法及びピロリジン類の製法において、反応温度は反応速度などを考慮して適宜設定すればよいが、例えば、-80~-40℃の範囲で設定するのが好ましい。また、反応時間は、反応基質、反応温度などに応じて適宜設定すればよいが、通常は数分間~数10時間である。なお、環化反応は反応基質が完全に消費されるまで行ってもよいが、反応が進むにつれて反応基質の消失速度が極端に遅くなる場合には反応基質が完全に消費されなくても反応を終了して環化物(クロマン類やピロリジン類)を取り出した方が好ましい場合もある。

【0035】
本発明のクロマン類の製法及びピロリジン類の製法において、目的とする環化物を単離するには、通常知られている単離手法を適用すればよい。例えば、反応混合物中の反応溶媒を減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーや再結晶などで精製することにより、目的とする環化物を単離することができる。

【0036】
本発明のクロマン類の製法は、クロマン骨格を有する医薬品又はその中間体の合成に用いることができる。例えば、α-トコフェノールの中間体の合成に用いることができる。また、本発明のピロリジン類の製法は、ピロリジン骨格を有する医薬品又はその中間体の合成に用いることができる。

【0037】
本発明のリン酸ジエステルアミドは、式(3)で表される化合物である。式(3)中、R1は、水素原子か炭化水素基であり、R2は、炭化水素基であり、R1とR2は、互いに結合して炭化水素鎖を形成していてもよく、R3、R4は、同じでも異なっていてもよく、炭化水素基又は有機シリル基であり、1,1’-ビ-2-ナフトール部位はRかSの光学異性体である。なお、炭化水素基や炭化水素鎖、有機シリル基の具体例は上述した通りである。

【0038】
【化6】
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【実施例】
【0039】
以下、実験例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
【実施例】
【0040】
[実験例A]リン酸ジエステルアミドの合成
下記スキームにしたがってリン酸ジエステルアミドを合成した。まず、市販のBINOLにトリス(ジメチルアミノ)ホスフィンとテトラゾールを作用させ、ジメチルホスホラミダイトへと導いた。その後、アミンとフェニルイミダゾリウムトリフラートを作用させた後、tert-ブチルヒドロペルオキシドを作用させてリン酸ジエステルアミドへ導いた。合成したリン酸ジエステルアミドのR1~R4を下記スキームと共に示した。
【実施例】
【0041】
【化7】
JP2016165693A_000008t.gif
【実施例】
【0042】
主なリン酸ジエステルアミド1a~1eのスペクトルデータを以下に示す。
【実施例】
【0043】
【化8】
JP2016165693A_000009t.gif
【実施例】
【0044】
リン酸ジエステルアミド1a(実験例B1-3等で使用):無色の結晶;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.07 (s, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.82 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 6.0 Hz, 6H), 7.40 (d, J = 7.4 Hz, 6H), 7.50-7.06 (m, 21H), 6.87 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 6.61 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 1.78-1.60 (m, 2H), 1.60-1.45 (m, 2H), 0.52 (t, J = 6.9 Hz, 6H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ152.3 (d, JC-P = 10.5 Hz), 151.2 (d, JC-P = 10.5 Hz), 142.4, 141.9, 141.1 (2C), 136.5 (6C), 136.2 (6C), 134.8, 134.5, 133.4 (3C), 133.3 (3C), 132.1, 130.9, 129.7 (3C), 129.0 (3C), 128.6, 128.0 (6C), 127.5, 127.4 (6C), 126.8, 126.6, 126.5, 126.02, 125.95, 125.31, 125.27, 124.6(2C) , 121.4, 121.0, 23.1 (2C), 13.2 (2C); 31P NMR (162 MHz, CDCl3) δ4.1.
【実施例】
【0045】
リン酸ジエステルアミド1b(実験例B3-2等で使用):無色の結晶;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.12 (s, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.81 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 6.9 Hz, 6H), 7.57 (d, J = 6.9 Hz, 6H), 7.53-7.38 (m, 1H), 7.46-7.17 (m, 22H), 7.07 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 2.35-2.25 (m, 2H), 1.80-1.63 (m, 2H), 0.98-0.83 (m, 2H), 0.81-0.62 (m, 6H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ153.0 (d, JC-P = 10.5 Hz), 151.2 (d, JC-P = 8.6 Hz), 142.2, 141,6, 136.7 (6C), 136.5 (6C), 134.2, 134.0 (3C), 133.6 (3C), 130.7, 130.0, 129.5 (3C), 129.3 (3C), 128.9, 128.6, 128.4, 128.1, 127.8 (6C), 127.6 (6C), 127.4, 127.3, 126.6, 126.4, 126.2, 126.1, 125.1, 46.2 (2C), 28.5 (2C), 26.4 (2C); 31P NMR (162 MHz, CDCl3) δ9.6.
【実施例】
【0046】
リン酸ジエステルアミド1c(実験例B5-4で使用):無色の結晶;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.10 (s, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.82 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.67-7.55 (m, 6H), 7.49-7.37 (m, 2H), 7.37-7.10 (m, 28H), 6.62 (t, J = 8.2 Hz, 2H), 6.44-6.33 (m, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ161.6 (d, JC-F = 244.4 Hz), 152.1 (d, JC-P = 11.5 Hz), 151.0 (d, JC-P = 8.6 Hz), 142.4, 141.6, 136.8 (6C), 136.7 (6C), 134.4, 134.3, 134.2 (d, JC-F = 1.9 Hz), 133.9 (3C), 133.4 (3C), 130.8, 130.5, 129.8 (3C), 129.5 (3C), 128.8, 128.74 (2C), 128.67, 128.0 (6C), 127.6 (6C), 127.5, 126.9, 126.6, 126.3 (d, JC-P = 2.9 Hz), 126.0 (d, JC-P = 3.8 Hz), 125.5, 125.4, 121.2, 121.1, 114.5 (d, JC-F = 114.5 Hz), 44.9; 31P NMR (162 MHz, CDCl3) δ8.6.
【実施例】
【0047】
リン酸ジエステルアミド1d(実験例C1-3等で使用):黄色の結晶;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.47 (s, 2H), 8.15 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 8.07-7.89 (d, J = 8.7 Hz, 7H), 7.81 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.78-7.57 (m, 6H), 7.56-7.46 (m, 2H), 7.44-7.20 (m, 8H), 1.80-1.65 (m, 2H), 1.54-1.38 (m, 2H), 0.50-0.38 (m, 4H), 0.36-0.17 (m, 4H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ147.8 (d, JC-P = 11.5 Hz), 146.0 (d, JC-P = 8.6 Hz), 133.8, 133.5, 132.8, 132.7, 131.6, 131.6, 131.4, 131.3, 131.2 (2C), 131.2, 131.0, 130.9, 130.7, 130.57, 130.47, 130.2, 128.7, 128.6, 128.5, 128.4, 128.1, 127.9, 127.7, 127.6, 127.5, 127.4, 127.1, 126.9, 126.8 (2C), 126.7, 126.4, 126.1, 126.0, 125.8, 125.5, 125.43, 125.36, 125.26, 125.0, 124.6, 124.5, 122.5, 122.1, 48.14, 48.11, 28.6 (2C), 25.2 (2C); 31P NMR (162 MHz, CDCl3) δ12.0.
【実施例】
【0048】
リン酸ジエステルアミド1e(実験例B1-3等で使用):無色の結晶;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.13 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.82 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 7.67 (d, J = 6.9 Hz, 6H), 7.53 (d, J = 7.3 Hz, 6H), 7.46-7.24 (m, 23H), 7.19-7.11 (m, 1H), 1.50 (s, 3H), 1.47 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ153.1 (d, JC-P = 10.5 Hz), 151.0 (d, JC-P = 10.5 Hz), 141.7 (2C), 141.6 (2C), 136.8 (6C), 136.8 (6C), 134.6 (3C), 134.0, 133.9, 133.7 (3C), 130.7, 130.1, 129.6 (3C), 129.2 (3C), 128.64 (2C), 128.57 (2C), 127.8 (6C), 127.5 (6C), 127.4 (2C), 127.3, 126.9, 126.5 (2C), 126.27, 126.26, 125.26, 125.23, 121.2, 120.9, 36.26, 36.22; 31P NMR (162 MHz, CDCl3) δ10.8.
【実施例】
【0049】
[実験例B]クロマン類の合成
[実験例B1]
出発原料(基質)である2-(3-ベンジル-3-ブテニル)フェノールを下記のスキームにしたがって合成した。市販の3-(2-メトキシフェニル)プロピオン酸を塩化チオニルで酸クロリドへと変換した後、ワインレブアミドに導いた。グリニャール(Grignard)試薬を作用させてケトンへと導き、ウィティッヒ(Wittig)反応によりオレフィンへと変換した後、エタンチオール、水素化ナトリウムによりメトキシ基を脱保護し、2-(3-ベンジル-3-ブテニル)フェノールを合成した。
【実施例】
【0050】
【化9】
JP2016165693A_000010t.gif
【実施例】
【0051】
表1の上段に示した反応式にしたがってヨードエーテル環化反応を行った。シュレンク管に、触媒(0.005mol)及びトルエン(0.5mL)を加え、窒素を充填した。-78℃でルイス酸としてNIS(0.11mol)及びヨード化剤としてI2(0.11mol)を加えた後、トルエン(0.5mL)に溶かした2-(3-ベンジル-3-ブテニル)フェノール(0.1mol)を滴下した。15時間攪拌後、チオ硫酸ナトリウムの飽和水溶液を加え、酢酸エチルで3度分液を行い、ろ液をエバポレータを用いて濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてヘキサン-酢酸エチル混合溶媒で分離・精製した。その結果、目的の2-ヨードメチル-2-ベンジルクロマンが油状物質として得られた。
【実施例】
【0052】
実験例B1-1ではRが2,6-ジエチルフェニル基のリン酸トリエステルアミドを触媒として用いたのに対して、実験例B1-2ではRが2,6-ジエチルアニリノ基のリン酸ジエステルアミド1aを触媒として用いた。その結果、実験例B1-2は、実験例B1-1に比べて反応促進効果もエナンチオ選択性も格段に高かった。また、実験例B1-3ではRがジメチルアミノ基のリン酸ジエステルアミド1eを触媒として用いたところ、エナンチオ選択性は更に向上した。以上の結果から、リン酸ジエステルアミドはリン酸トリエステルに比べてヨードエーテル環化触媒としての活性が高いと判断した。
【実施例】
【0053】
【表1】
JP2016165693A_000011t.gif
【実施例】
【0054】
2-ベンジル-2-ヨードメチルクロマンのスペクトルデータは以下の通り。無色のオイル; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.46-7.23 (5H, m), 7.18-7.04 (2H, m), 6.92 - 6.81 (2H, m), 3.25 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 3.18 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 3.16 (d, J = 14.2 Hz, 1H), 3.09 (d, J = 14.2 Hz, 1H), 2.81-2.74 (m, 2H), 2.27-2.15 (m, 2H), 1.96-1.84 (m, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 152.9, 135.9, 130.6 (2C), 129.5, 128.1, 127.6, 126.8, 120.7, 120.4, 117.5, 75.9, 42.8, 28.3, 21.3, 11.9; eeはHPLC分析により決定した(Daicel Chiralpack IC-3 column, hexane-iPrOH = 1000:1, flow rate = 0.5 mL/min) tR= 18.6 (minor enantiomer), 27.4 (major enantiomer) min.
【実施例】
【0055】
[実験例B2]
表2の上段に示した反応式にしたがってヨードエーテル環化反応を行った。基質の合成手順や環化反応の手順は、実験例B1に準じて行った。ここでは、実験例B1-2で用いた触媒(リン酸ジエステルアミド1a)のもと、基質一般性について検討した。その結果、実験例B2-1~B2-4に示すように、R’がオクチル基、シクロヘキシル基、メチル基の基質でもベンジル基の基質と同様に高収率で目的物が得られると共に、エナンチオ選択性も高かった。一方、Rがフェニル基の基質では、高収率で目的物が得られたものの、エナンチオ選択性は中程度であった。
【実施例】
【0056】
【表2】
JP2016165693A_000012t.gif
【実施例】
【0057】
実験例B2-1で得られた2-ヨードメチル-2-オクチルクロマンのスペクトルデータは以下の通り。淡黄色のオイル; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.14-7.01 (m, 2H), 6.90-6.78 (m, 2H), 3.34 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 3.31 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 2.80-2.65 (m, 2H), 2.20-2.03 (m, 1H), 2.00-1.88 (m, 1H), 1.49-1.18 (m, 12H), 0.88 (t, J = 6.9 Hz, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 153.3, 129.4, 127.4, 120.8, 120.1, 117.4, 75.9, 37.5, 31.8, 29.8, 29.5, 29.2, 28.1, 22.7, 21.5, 14.1, 12.1. eeはHPLC分析により決定した(Daicel Chiralpack IB-3 column, hexane-iPrOH = 1000:1, flow rate = 0.5 mL/min) tR= 11.1 (major enantiomer), 11.8 (minor enantiomer) min.
【実施例】
【0058】
実験例B2-2で得られた2-シクロヘキシル-2-ヨードメチルクロマンのスペクトルデータは以下の通り。無色のオイル; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.17-6.99 (2H, m), 6.93-6.78 (2H, m), 3.45 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 3.38 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 2.90-2.60 (m, 2H), 2.13-1.97 (m, 2H), 1.94-1.76 (m, 5H), 1.76-1.74 (m, 2H), 1.41-1.02 (m, 5H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 153.4, 129.3, 127.4, 120.9, 120.0, 117.5, 76.8, 43.6, 26.6, 26.51, 26.48, 26.4 (2C), 21.4, 12.2; eeはHPLC分析により決定した(Daicel Chiralpack IB-3 column, hexane-iPrOH = 1000:1, flow rate = 0.5 mL/min) tR= 11.5 (major enantiomer), 12.3 (minor enantiomer) min.
【実施例】
【0059】
実験例B2-3で得られた2-ヨードメチル-2-メチルクロマンのスペクトルデータは以下の通り。淡黄色のオイル; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.16-7.02 (m, 2H), 6.92-6.75 (m, 2H), 3.35 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.32 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 2.84-2.67 (m, 2H), 2.24-2.12 (m, 1H), 1.98-1.83 (m, 1H), 1.49; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 153.1, 129.3, 127.4, 120.5, 120.2, 117.2, 74.1, 30.0, 25.2, 21.7, 14.1; eeはHPLC分析により決定した(Daicel Chiralpack IA-3 column, hexane-iPrOH = 1000:1, flow rate = 0.5 mL/min) tR= 13.4 (minor enantiomer), 15.1 (major enantiomer) min.
【実施例】
【0060】
実験例B2-4で得られた2-ヨードメチル-2-フェニルクロマンのスペクトルデータは以下の通り。無色のオイル; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.39-7.23 (5H, m), 7.18-7.12 (1H, m), 7.07-7.02 (2H, m), 6.96-6.92 (1H, m), 6.85-6.79 (1H, m), 3.63 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.60 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 2.74-2.60 (m, 2H), 2.51-2.33 (m, 1H), 2.46 - 2.40 (m, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 153.5, 141.1, 129.2, 128.6, 127.7, 127.6, 125.6, 121.3, 120.5, 117.0, 77.9, 30.5, 22.5, 18.3; eeはHPLC分析により決定した(Daicel Chiralpack IB-3 column, hexane-iPrOH = 1000:1, flow rate = 0.5 mL/min) tR= 23.7 (major enantiomer), 26.7 (minor enantiomer) min.
【実施例】
【0061】
[実験例B3]
表3の上段に示した反応式にしたがってヨードエーテル環化反応を行った。環化反応の手順は実験例B1に準じて行った。ここでは、実験例B2-4で用いた基質について、触媒の最適化を検討した。実験例B3-1に示すようにジメチルアミノ基がリン原子に結合したリン酸ジエステルアミド1eを用いた場合、目的物が高収率で得られたが、エナンチオ選択性は向上しなかった。これに対して、実験例B3-2,B3-3に示すように、含窒素7員環がリン原子に結合したリン酸ジエステルアミド1bや含窒素8員環がリン原子に結合したリン酸ジエステルアミドを用いた場合、目的物が高収率で得られると共に、エナンチオ選択性が向上した。表3においては、リン酸ジエステルアミド1bが触媒として最適であると判断した。
【実施例】
【0062】
【表3】
JP2016165693A_000013t.gif
【実施例】
【0063】
[実験例B4]
表4の上段に示した反応式にしたがってヨードエーテル環化反応を行った。環化反応の手順は実験例B1に準じて行った。ここでは、内部にオレフィンを有する基質を用いて検討を行った。実験例B4-1,B4-2に示すように、リン酸ジエステルアミド1bを用い、ルイス酸としてNBSやDBHを用いた場合に反応が進行した。特に、実験例B4-3に示すように、DBHとリン酸ジエステルアミド1a(実験例B1-2で用いた触媒)とを組み合わせると、高収率で目的物が得られると共に、エナンチオ選択性も高くなった。
【実施例】
【0064】
【表4】
JP2016165693A_000014t.gif
【実施例】
【0065】
[実験例B5]
α-トコフェノールをはじめとする生理活性を有するクロマン類の合成に利用可能な中間体を合成した。まず、下記スキームにしたがって基質を合成した。すなわち、入手容易なラクトンの水酸基を保護し、その後、ワインレブアミン(Weinreb amine)を用いて開環し、水酸基をベンジル基で保護した。グリニャール(Grignard)試薬によりメチルケトンとした後、Pd-Cでベンジル保護を脱保護し、ウィティッヒ(Wittig)反応によりケトンをオレフィンに変換し、基質を合成した。
【実施例】
【0066】
【化10】
JP2016165693A_000015t.gif
【実施例】
【0067】
合成した基質のスペクトルデータは以下の通り。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.79 (s, 2H), 4.52 (s, 1H), 3.62 (s, 3H), 2.82-2.67 (m, 2H), 2.23 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 2.14 (s, 3H), 2.30-2.08 (m, 2H), 1.81 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 150.5, 147.8, 146.3, 127.6, 126.8, 124.9, 120.3, 110.0, 60.3, 37.1, 25.9, 22.7, 12.7, 12.1, 11.9.
【実施例】
【0068】
合成した基質を用いて、表5の上段に示した反応式にしたがってヨードエーテル環化反応を行った。手順は実験例B1に準じて行った。実験例B5-1~B5-4に示すように、Rがベンジルアミノ基などのアラルキルアミノ基のリン酸ジエステルアミドを用いたところ、良好なエナンチオ選択性が得られた。表5においては、実験例B5-4のリン酸ジエステルアミド1cが触媒として最適であると判断した。
【実施例】
【0069】
【表5】
JP2016165693A_000016t.gif
【実施例】
【0070】
合成した2-ヨードメチル-6-メトキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマンのスペクトルデータは以下の通り。無色のオイル; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.63 (3H, s), 3.32 (s, 2H), 2,66-2.50 (2H, m), 2.19 (s, 3H), 2.14 (s, 3H), 2.11 (s, 3H), 2.17-2.07 (m, 1H), 1.96 - 1.84 (m, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 150.0, 147.1, 128.3, 125.9, 123.4, 117.1, 73.0, 60.5, 30.2, 25.4, 20.6, 15.3, 12.7, 12.0, 11.8; eeはHPLC分析により決定した(Daicel Chiralpack IB-3 column, hexane-iPrOH = 98:2, flow rate = 0.5 mL/min) tR= 9.04 (major enantiomer), 10.5 (minor enantiomer) min.
【実施例】
【0071】
[実験例C]ピロリジン類の合成
[実験例C1]
出発原料(基質)であるN-(4-シクロヘキシルメチル-4-ペンテニル)-4-メチルベンゼンスルホンアミドを下記のスキームにしたがって合成した。市販のエチルスクシニルクロリドにグリニャール(Grignard)試薬とヨウ化銅を作用させてケトエステルへと導いた。その後、Yeungらの合成法に従い、ウィティッヒ(Wittig)反応によりオレフィンへと導き、水素化アルミニウムリチウムを作用させ、エステルを還元した後、メチルクロリドとトリエチルアミンによりメシル化し、トシルアミンと水素化ナトリウムを作用させて目的とするN-アルケニルスルホンアミドを合成した。
【実施例】
【0072】
【化11】
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【実施例】
【0073】
表6の上段に示した反応式にしたがってヨードアミノ環化反応を行った。シュレンク管に、リン酸ジエステルアミド(0.005mol)及びトルエン(0.5mL)を加え、窒素を充填した。-78℃でNIS(0.11mol)及びI2(0.11mol)を加えた後、トルエン(0.5mL)に溶かしたN-アルケニルスルホンアミド(0.1mol)を滴下した。15時間攪拌後、チオ硫酸ナトリウムの飽和水溶液を加え、酢酸エチルで3度分液を行い、ろ液をエバポレータを用いて濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてヘキサン-酢酸エチル混合溶媒で分離・精製した。その結果、目的の2-ヨードメチルピロリジン誘導体が無色透明の油状物質として得られた。
【実施例】
【0074】
実験例C1-1,C1-2に示すように、含窒素7員環がリン原子に結合したリン酸ジエステルアミド1bや含窒素8員環がリン原子に結合したリン酸ジエステルアミドを触媒として用いたところ、高収率で目的物が得られると共に、中程度のエナンチオ選択性が発現した。実験例C1-1で反応温度を-78℃に下げて15時間反応させたところ、エナンチオ選択性が70%に向上した。実験例C1-3では、含窒素7員環がリン原子に結合しBINOLの3,3’位に9-アントラセニル基を持つリン酸ジエステルアミド1dを触媒とし、-78℃で15時間反応させたところ、収率及びエナンチオ選択性が大幅に向上した。したがって、表6においては、リン酸ジエステルアミド1dが触媒として最適であると判断した。
【実施例】
【0075】
【表6】
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【実施例】
【0076】
実験例C1-3で得られた2-ヨードメチル-2-シクロヘキシルメチル-1-トシルピロリジンのスペクトルデータは以下の通り。無色のオイル; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.81 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.29 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 3.92 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 3.65 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 3.43-3.32 (m, 1H), 3.31-3.19 (m, 1H), 2.42 (s, 3H), 2.21-1.50 (m, 11H), 1.38-0.98 (m, 6H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 143.2, 138.0, 129.5, 127.6, 71.0, 49.4, 44.6, 38.1, 354, 35.2, 34.8, 26.5, 26.4, 26.0, 22.9, 21.5, 19.4. eeはHPLC分析により決定した (Daicel Chiralpack AD-3 column, hexane-EtOH = 98:2, flow rate = 1.0 mL/min) tR= 20.4 (minor enantiomer), 22.8 (major enantiomer) min.
【実施例】
【0077】
[実験例C2]
表7の上段に示した反応式にしたがってヨードアミノ環化反応を行った。基質の合成手順や環化反応の手順は、実験例C1に準じて行った。ここでは、触媒として、リン酸ジエステルアミド1dを用いて、実験例C1の基質のシクロヘキシルメチル基の代わりにフェニル基、オクチル基やベンジル基を有するものを基質として用いたところ、中程度から高収率で目的物が得られ、中程度から良好のエナンチオ選択性が発現した(実験例C2-1~C2-3)。
【実施例】
【0078】
【表7】
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【実施例】
【0079】
実験例C2-1で得られた2-ヨードメチル-2-フェニル-1-トシルピロリジンのスペクトルデータは以下の通り。無色のオイル; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.37-7.29 (m, 2H), 7.28-7.15 (m, 5H), 7.07-7.05 (m, 2H), 4.36 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 4.19 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.80-3.69 (m, 1H), 3.65-3.53 (m, 1H), 2.64-2.54 (m, 1H), 2.13-1.90 (m, 2H);13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ142.6, 140.5, 137.0, 129.0 (2C), 128.0 (2C), 127.4 (3C), 127.0(2C), 70.6, 50.4, 44.2, 23.1, 21.5, 16.3. eeはHPLC分析により決定した (Daicel Chiralpack AD-3 column, hexane-iPrOH = 9:1, flow rate = 1.0 mL/min) tR= 14.5 (minor enantiomer), 15.3 (major enantiomer) min.
【実施例】
【0080】
実験例C2-2で得られた2-ヨードメチル-2-オクチル-1-トシルピロリジンのスペクトルデータは以下の通り。無色のオイル; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.76 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.27 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 3.81 (d, J = 10.5 Hz, 2H), 3.67 (d, J = 10.5 Hz, 2H), 3.37 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 3.36 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 2.40 (s, 3H), 2.12-1.91 (m, 4H), 1.91-1.79 (m, 1H), 1.77-1.63 (m, 1H), 1.38-1.05 (m, 14H), 0.87 (t, J = 6.9 Hz, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ143.0, 138.0, 129.8, 129.4, 70.3, 50.0, 38.1, 29.9, 29.5, 29.2, 25.2, 22.9, 22.6, 21.4, 19.3, 14.1. eeはHPLC分析により決定した (Daicel Chiralpack AD-3 column, hexane-iPrOH = 20:1, flow rate = 1.0 mL/min) tR= 19.1 (minor enantiomer), 25.6 (major enantiomer) min.
【実施例】
【0081】
実験例C2-3で得られた2-ヨードメチル-2-ベンジル-1-トシルピロリジンのスペクトルデータは以下の通り。無色のオイル; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.83 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.33-7.23 (m, 8H), 3.89 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.75 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.49-3.33 (m, 3H), 3.22-3.11 (m, 1H), 2.42 (s, 3H), 2.10 (ddd, J = 12.8, 7.3, 3.7 Hz, 1H), 1.87 (ddd, J = 13.3, 10.5, 7.3 Hz, 1H), 1.68-1.56 (m, 11H), 1.32-1.15 (m, 1H);13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ143.2, 137.9, 136.9, 130.8, 129.5, 128.3, 127.5, 126.8, 70.6, 49.8, 43.0, 37.9, 22.3, 21.5, 18.5. eeはHPLC分析により決定した (Daicel Chiralpack AD-3 column, hexane-iPrOH = 20:1, tR= 18.6 (minor enantiomer), 25.2 (major enantiomer) min.
【実施例】
【0082】
なお、上述した実験例のうち実験例B1-1以外のものが本発明の実施例に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、主に薬品化学産業に利用可能であり、例えば医薬品や農薬、化粧品の中間体などを製造する際に利用することができる。