TOP > 国内特許検索 > プロテクトフレーム軸の傾きと独立に飛行体本体を水平にできる陸上走行可能な飛行体 > 明細書

明細書 :プロテクトフレーム軸の傾きと独立に飛行体本体を水平にできる陸上走行可能な飛行体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-026946 (P2016-026946A)
公開日 平成28年2月18日(2016.2.18)
発明の名称または考案の名称 プロテクトフレーム軸の傾きと独立に飛行体本体を水平にできる陸上走行可能な飛行体
国際特許分類 B64C  37/00        (2006.01)
B64C  39/02        (2006.01)
B64C  29/00        (2006.01)
B60F   5/02        (2006.01)
FI B64C 37/00
B64C 39/02
B64C 29/00 A
B60F 5/02
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 17
出願番号 特願2015-051760 (P2015-051760)
出願日 平成27年3月16日(2015.3.16)
優先権出願番号 2014131355
優先日 平成26年6月26日(2014.6.26)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】山田 学
【氏名】高橋 七奈
【氏名】大塚 真生
【氏名】小澤 愛
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
要約 【課題】1個の推進部また複数の推進部を有する飛行体本体と、主たる進行方向に垂直となるように配置された車軸と、飛行体本体を立体的に包み込むプロテクトフレームを提供する。
【解決手段】車軸11は、飛行体本体1に、弾性体13およびダンパ15を介して、取り付けたことを特徴とする飛行体である。飛行体が鉛直の壁ロを水平に走行する場合、推進部は水平方向に傾いている。飛行体本体には鉛直下向きの重力が働いているので、推進部は、重力により鉛直上向きにも2次元的に傾き、上向きの揚力を得ることができ、飛行体は鉛直の壁を水平に走行することができる。また、天井イを走行してカメラ撮影をする場合、天井面に凹凸があっても、カメラである検査機器を搭載した飛行体本体を水平に保つことができ、天井面を水平に撮影できる。また、弾性体およびダンパによる衝撃や振動の吸収機能により、飛行体本体や搭載した検査機器などを保護することができる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
中心に配置した1個の推進部または主たる進行方向に対して左右対称に配置される複数の前記推進部を有する飛行体本体と、
前記主たる進行方向に垂直となるように配置された車軸と、
前記車軸に、回転可能な、一対の車輪または一対の前記飛行体本体を立体的に包み込むプロテクトフレームと、
を備えた飛行体において、
前記車軸は、前記飛行体本体に、
弾性体およびダンパを介して、取り付けたことを特徴とする飛行体。
【請求項2】
一対の前記弾性体および前記ダンパを、
前記主たる進行方向に対して、対称に備えたことを特徴とする請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
前記車軸は分割されたことを特徴とする請求項2に記載の飛行体。
【請求項4】
前記車軸を、前記飛行体本体に、
2次元的に拘束して、取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の飛行体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、中心に配置した1個の推進部または主たる進行方向に対して左右対称に配置される複数の推進部を有する飛行体本体と、主たる進行方向に垂直となるように配置された車軸と、車軸に、回転可能な、一対の車輪または一対の飛行体本体を立体的に包み込むプロテクトフレームと、を備えた陸上走行可能な飛行体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の対象である陸上走行可能な回転する車輪またはプロテクトフレーム付の飛行体に関する従来技術は、プロテクトフレームの無い、推進器(プロペラ駆動装置やジェット型推進装置など)をもつ飛行体(以下、飛行体本体)である。例えば非特許文献1と2のようなヘリコプタ型のものや、非特許文献3のような飛行船型や、非特許文献4のような航空機型のものである。一方、特許文献1では、機体に複数のロータ(プロペラ)が配設された飛行体本体であって、ロータを2次元的にプロテクトフレームで囲うことによって、フレームの内側に配設される前記ロータと障害物との接触を防止する飛行体本体を開示している。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2011-046355号公報
【0004】

【非特許文献1】田原誠、野波建蔵「マルチロータ型ヘリコプタの汎用的な機体設計手法と低コスト化による実現」日本機械学会論文集(C編)78巻787号(2012年)、pp.872-882
【非特許文献2】藤原大吾、辛振玉、羽沢建作、野波健蔵「自律小型無人ヘリコプタH∞ホバリング制御と誘導制御」日本機械学会論文集(C編)70巻697号(2004年)、pp.1708-1714
【非特許文献3】山田学、多喜康博、舟橋康行「定常風に対する飛行船システムの大域的な位置と姿勢の制御」日本機械学会論文集(C編)76巻767号(2010年)、pp.1770-1779
【非特許文献4】Rogelio Lozano 「Unmanned Aerial Vehicles」ISTE Ltd and JohnWiley& Sons、Inc.(2010年)pp.2-6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし従来技術の飛行体本体には以下の件の問題がある。即ち、前記非特許文献1~4で開示された推進器(プロペラ駆動装置やジェット型推進装置など)をもつ飛行体本体、および特許文献1で開示された飛行体本体には、以下の問題点がある。
【0006】
(飛行体本体の問題点)
1)移動するためには常に飛行するしかないため、飛行体本体を持ち上げる力が常に必要である。そのため、多大なエネルギーを要し、飛行時間も制限される。
2)陸上を移動できない。
【0007】
発明者等は前記問題点を解決するため、既存の飛行体本体の必要な部分を保護する3次元のプロテクトフレームを飛行体本体に取り付ける発明(以下、飛行体)を行った。これは、3次元空間に存在する障害物に衝突しても飛行体本体の破損を生じず、着陸時や墜落時のダメージを軽減し、飛行体本体やこれに付加する搭載装置を保護する飛行体である。よって、飛行体が、着陸や墜落をしても、陸上を全方位走行できる。以下、「飛行体」とは、飛行体本体とプロテクトフレームを含む形態をいう。陸上を移動できるので、飛行体を持ち上げる必要がなく移動時間を長くできる。よって、前述の飛行体本体の問題点は解消できる。
【0008】
この発明は、飛行体の用途として老朽化したトンネルや橋梁の天井や壁などの検査に適用できる。即ち、飛行体にカメラや接触センサ等の検査機器を搭載して、トンネルや橋梁の表面の撮影等のデータ収集を行うことができる。
ここで、車輪またはプロテクトフレームをつける車軸を、検査機器を搭載する飛行体本体の本体に固定して取り付けるため、以下の2点の課題がある。
(課題1)
鉛直の壁を水平に走行することができない。本発明の飛行体は、推進部(飛行体本体)を進行方向に傾けて進行する。よって、鉛直の壁を水平に走行する場合、推進部を水平方向に傾け推進力(揚力)を得るが、鉛直上方への揚力がないため、飛行体本体の重力により、壁面を滑り落ちながら水平方向に走行する。
(課題2)
飛行体本体とプロテクトフレーム(車輪)は一体構造であるので、その姿勢は等しくなる。そのため、図9に示す様に、天井に凸凹により、車輪であるプロテクトフレームの車軸が傾くと、飛行体本体および搭載している検査機器(カメラ等)も傾く。よって、カメラでは水平に撮影することができない。
【0009】
本発明は、上記の課題1および課題2を解決する飛行体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は以下のようである。
発明1は、中心に配置した1個の推進部または主たる進行方向に対して左右対称に配置される複数の推進部を有する飛行体本体と、主たる進行方向に垂直となるように配置された車軸と、車軸に、回転可能な、一対の車輪または一対の飛行体本体を立体的に包み込むプロテクトフレームと、を備えた飛行体において、車軸は、飛行体本体に、弾性体およびダンパを介して、取り付けたことを特徴とする飛行体である。
発明2は、一対の弾性体およびダンパを、主たる進行方向に対して、対称に備えたことを特徴とする発明1に記載の飛行体である。
発明3は、車軸は分割されたことを特徴とする発明2に記載の飛行体である。
発明4は、車軸を、飛行体本体に、2次元的に拘束して、取り付けたことを特徴とする発明1に記載の飛行体である。
【発明の効果】
【0011】
発明1は、プロテクトフレームまたは車輪をつける車軸と、検査機器を搭載する飛行体本体を、弾性体およびダンパを介して取り付けたことを特徴とする。よって、飛行体が鉛直の壁を水平に走行する場合、推進部は水平方向に傾いている。ここで、飛行体本体の下部には重量物であるバッテリー等が搭載され鉛直下向きの重力が働いているので、推進部は、重力により鉛直上向きにも2次元的に傾き、上向きの揚力を得ることができる。よって、飛行体は鉛直の壁を水平に走行することができる。
また、天井面を走行してカメラ撮影をする場合、天井面に凹凸があっても、検査機器を搭載した飛行体本体を水平に保つことができ、飛行体は天井面を水平に撮影できる。
加えて、弾性体およびダンパの衝撃や振動の吸収機能により、飛行体本体や搭載した検査機器を保護することができる。
発明2は、一対の弾性体およびダンパを、主たる進行方向に対して、対称に備えているので、車軸に対して飛行体本体を、安定して制御することができる。
発明3は、車軸が分割されているので、一方の車輪またはプロテクトフレームが段差などを乗り越えた際、他方の車輪への影響を少なくすることができる。よって、飛行体の地上走行などを安定にすることができる。
発明4は、車軸を、飛行体本体に、2次元的に拘束して、取り付けることにより、車軸に対して飛行体本体が、水平方向への撓みを抑え、上下方向にのみ撓むようにしたものである。車軸と飛行体本体を、1つの弾性体およびダンパにより、それぞれ一カ所に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態における飛行体αの構成を示す。ただし飛行体本体1および推進部3を軸11の上部に設置してもよい
【図2】本第1実施形態における飛行体αが、鉛直の壁を水平に走行する場合を示す。(b)は正面図、(a)は平面図、(c)は右側面図を示す。Xは鉛直方向、Yは水平方向を表す。
【図3】第1実施形態における飛行体αが、鉛直の壁を水平(Y方向)に走行する場合の力の状態を示す(上から見た図)。
【図4】第1実施形態における飛行体αが、鉛直の壁を水平(Y方向)に走行する場合の力の状態を示す(横から見た図)。
【図5】第1実施形態における飛行体αが、空中を上昇し、天井に当たり、天井を走行する場合を示す。
【図6】第1実施形態における飛行体αが陸上に墜落した場合、衝撃を吸収する状態を示す。
【図7】本発明の第2実施形態における飛行体を示す。
【図8】第2実施形態における飛行体αに用いる弾性体のトーションバネを示す。
【図9】従来例を示す。
【図10】本発明の第3実施形態の構造を示す。
【図11】第3実施形態における飛行体αが天井を走行する状態を示す。
【図12】第3実施形態の構造を示す。(a)は平面図、(b)は正面図を示す。
【図13】第3実施形態の構造を示す。(a)は右側面図、(b)は矢視図を示す。
【図14】第3実施形態の車輪10を取り外した状態の構造を示す。(a)は平面図、(b)は左側の第1車軸11aの正面図を示す。
【図15】第3実施形態の第2車軸11bの構造を示す。(a)は荷重がかからず弾性体13およびダンパ15が変形していない状態、(b)は荷重がかかり弾性体13およびダンパ15が変形している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。

【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における陸上を走行可能な飛行体αの構成を示す。ただし飛行体本体1および推進部3を軸11の上部に設置してもよい
飛行体本体1は、制御機能がある制御部(図示せず)、推進部3、飛行体本体1の下部に位置するバッテリー5および飛行体本体1の上部に位置する検査機器7からなる。これらは、メンテナンス時に工具等で取り外しはできるが、一体で固定されている。
ここで、計測する対象によって、検査機器7を、飛行体本体1の下部に取り付け、バッテリー5を上部に取り付ける場合もある。
2つのプロテクトフレーム9は、車軸11の両端に回転自在に取り付けられている。また、2つのプロテクトフレーム9は、車輪10として機能すると共に、飛行体本体1を立体的にカバーする。飛行体本体1の推進部3で発生する推力により、プロテクトフレーム9は、転がり運動で自由に陸上を移動ができる。

【0015】
飛行体αの飛行体本体1と車軸11は、弾性体13およびダンパ15を介して組つけられる。弾性体13およびダンパ15は、飛行体本体1の自重により撓んでいる。また、弾性体13およびダンパ15は、飛行体αの線対称になる2カ所で取り付けると良い。車軸11に対して飛行体本体1の水平方向への撓みを抑え、上下方向にのみ撓むようにできるからである。このように2次元的に拘束して、取り付けることにより、本発明の効果がより発揮できる。
弾性体13の弾性特性は、飛行体αの飛行体本体1(推進部3、バッテリー5および検査機器7を含む)質量により、有用な撓み量が発生するのを目安とする。有効な撓み量は、飛行体本体1の大きさで変わる。

【0016】
ただしこれらの図は一例であり、説明の簡単のため、飛行体本体1は4ロータ型小型ヘリコプタとし、飛行体本体1に取り付ける2つのプロテクトフレーム9を半球体としたが、本発明では任意の飛行体αを対象とし、プロテクトフレーム9は大きさとして飛行体本体1を立体的(3次元的)に覆い、形状として回転可能であり、軽量である条件を満たせば、その他の要件は任意である。また、一つの球状のプロテクトフレーム9でも良い。

【0017】
例として、飛行体本体1を中心に十字形状の棒状のフレームを構成し、その端部に4つの推進部3を固定する。4つの推進部3のプロペラは、一つの平面上に配置される。4つのプロペラの回転数が同じ場合、飛行体本体1は鉛直方向に飛行する。

【0018】
飛行体本体1の水平方向の移動は、4つの推進部3のプロペラの内、移動したい進行方向の2つの推進部3のプロペラの回転数を下げる。よって、飛行体本体1は移動方向の端部が下がるように傾き飛行する。この水平移動は陸上及び水上走行の基本的な動作となる。この水平方向の直進移動の方向が、飛行体本体1の主たる進行方向である。左右方向へ曲がる際は、左右の推進部3のプロペラの回転数(推進力)を変化させることにより行う。この水平移動は陸上走行の基本的な動作となる。よって、推進部3は飛行体本体1の主たる進行方向に対して左右対称に配置される。
プロテクトフレーム9または車輪10を取り付ける車軸11は、棒状の形態をしている。車軸11は、4つの推進部3に干渉しないようにする。また、車軸11の取付け方向は、飛行体αの陸上での基本的な動作(水平移動)において主たる進行方向に対して垂直方向が望ましい。陸上においてプロテクトフレーム9または車輪10を用いて走行する際、プロテクトフレーム9または車輪10の回転による進行方向と主たる進行方向が一致しエネルギー効率が良いからである。
車軸11は図1のA-A断面図に示すように、飛行体本体1の本体構造体4が有している縦長の孔部4aに対して貫通している。また、一対の弾性体13およびダンパ15は、中心線A-Aに対して対称な位置に設置される(図1)。車軸11は主たる進行方向に垂直に配置されているので、一対の弾性体13およびダンパ15は、主たる進行方向に対しても、対称な位置に設置される。また、一対の弾性体13およびダンパ15は、車軸11から、飛行体本体1の自重により撓んだ状態で釣り合っている。
車軸11の両端部にプロテクトフレーム9(または車輪10)を回転可能に取り付ける。
車軸11の取付け方向は、飛行体αの陸上(および可能な場合は水上)での基本的な動作において主たる進行方向に対して垂直方向が望ましい。陸上又は水上においてプロテクトフレーム9を車輪として走行する際、輪郭部の回転による進行方向と主たる進行方向が一致しエネルギー効率が良いからである。
よって、図1に示す4ロータ型小型ヘリコプタの場合、飛行体本体1としての水平移動の基本的な動作より、車輪10としての飛行体αの主たる進行方向は前後2方向となる。

【0019】
また、飛行体本体1が、通常のヘリコプタのように人が乗る本体部の上部に主たるプロペラを搭載する形態の場合、操縦席がある方向が水平移動時の進行方向となる。よって、車軸11は進行方向に垂直に本体部の左右に取り付けられる。この際プロペラは本体部の上部にあるので、車軸11はプロペラと干渉しない。

【0020】
プロテクトフレーム9の大きさ、形状、重量の特徴は以下のようである。プロテクトフレーム9の大きさは、飛行体本体1(特に推進器)を立体的(3次元的)に囲んでカバーし、墜落時・離陸時・着陸時・飛行時において飛行体本体1(特に推進器)が陸上や障害物に当たらないよう、十分な大きさをもつものとする。飛行体αを立体的に包み込むため、プロテクトフレーム9は、飛行体本体1(推進部3を含む)に対して凹形状(円盤形状も含む)となっている。プロテクトフレーム9の形状は、いかなる姿勢で着陸しても転がりやすい形状(例えば飛行体本体1の進行方向から見た場合半球又は円筒形形状をしており、進行方向に平行かつ車軸11の伸びる方向に直交する断面形状が円形(円盤形状も含む)又は6角形以上の多面体などが良い)とし、かつ内部の飛行体本体1の空気の流れを妨げないよう、十分な隙間をもつようにする。プロテクトフレーム9の重量は、飛行体本体1のペイロード以下で十分に軽量とし、プロテクトフレームを含めた飛行体αが、離陸を含め空中で自由に運動できるものである。

【0021】
左右2つのプロテクトフレーム9を、飛行体αの車軸11の両端にそれぞれ取り付ける場合、一軸のみ自由回転できるように構成する。搭載方法として、つぎのイ)、ロ)、ハ)の3つの実施形態が可能なようにすると良い。
イ)着陸時や墜落時において、いかなる姿勢で着陸しても周りを囲った左右のプロテクトフレーム9(または車輪10)により、飛行体本体1(特にプロペラなどの推進器)を破損せずに転がり、飛行体本体1の姿勢を自動で回復し、最終的に離陸時に都合のよい姿勢となること。
ロ)陸上において、推進部3を制御部で制御し、飛行体本体1を進みたい方向に傾ければ、飛行体本体1は姿勢を保持したまま、プロテクトフレーム9は回転し陸上を転がり走行する。左右2つのプロテクトフレームの輪郭部が、2輪車両の車幅方向の車輪10(タイヤ)の役割を果たすため、陸上走行時に飛行体αはロール方向の動きが抑えられ、直進安定性が高い。
ハ)陸上において、飛行体αにヨー方向の回転力を与えれば、左右2つのプロテクトフレーム9(または車輪10)の輪郭部が2輪車両の車輪10として互いに反対向きに回転するので、飛行体αはその場でヨー方向に容易に回転できる。よって、飛行体αは陸上を安全かつあらゆる方向に移動できる。

【0022】
また、飛行体αの他の実施例もある。これは、飛行体本体1の推進部3を搭載するためのステーが十字型に4本即ち2対あるが、この1対のステー部の左右両端に車軸11を接続するものである。
車軸11の両端部にプロテクトフレーム9(または車輪10)がつくのは同じ構造である。このような構成でよれば、飛行体本体1のステーを車軸11と共用できるので、飛行体本体1の設計自由度が大きくなる。

【0023】
図2は、本発明の第1実施形態における飛行体αが、鉛直の壁を水平に走行する場合を示す。座標軸は、鉛直方向をX軸、水平方向をY軸とする。
図2(b)の正面図において、プロテクトフレーム9(または車輪10)は鉛直の壁に接し、推進部3の推進力により、飛行体αは、水平方向(Y軸方向)に走行している。
図2(a)の平面図において、プロテクトフレーム9(または車輪10)は壁に接して、飛行体αは、Y軸方向に走行している。Y方向が主たる進行方向であるので、推進部3はY軸方向に対して傾斜して推進力(揚力)を発生している。
図2(c)の右側面図において、プロテクトフレーム9(または車輪10)は壁に接して、飛行体αは、Y軸方向に走行している。推進部3は、飛行体本体1と車軸11は、弾性体13およびダンパ15を介して組つけらおり、飛行体本体1の質量による重力で、弾性体13およびダンパ15が伸びることができる。従って、推進部3は、X軸方向にも2次元的に傾斜することができ、X軸上方に推進力(揚力)を発生している。

【0024】
図3は、本発明の第1実施形態における飛行体αが、鉛直の壁を水平(Y方向)に走行する場合の力の状態を示す(上から見た図)。推進部3により、推進部3に垂直に揚力(ベクトル表示)が発生する。推進部3が進行方向に傾斜していることにより、水平方向には揚力のY軸方向成分が発生する。また、壁方向には、車輪10またはプロテクトフレーム9を壁に押しつける揚力も発生する。よって、飛行体αは鉛直の壁を水平方向に走行することができる。

【0025】
図4は、本発明の第1実施形態における飛行体αが、鉛直の壁を水平(Y方向)に走行する場合の力の状態を示す(横から見た図)。推進部3により、推進部3に垂直に揚力(ベクトル)が発生する。飛行体車軸11と、弾性体13およびダンパ15を介して組つけられており、飛行体本体1は、その質量による重力で、弾性体13およびダンパ15が伸びることができる。従って、推進部3は、鉛直上方向であるX軸方向にも2次元的に傾斜することができ、X軸上方に揚力のX軸方向成分を発生している。また、壁方向には、車輪10またはプロテクトフレーム9を壁に押しつける揚力も発生する。よって、揚力のX軸方向の成分により、飛行体αは重力により落下することなく、鉛直の壁を水平方向に走行することができる。
ここで、弾性体13およびダンパ15は、2カ所で車軸11と飛行体本体1を連結し、下側の弾性体13およびダンパ15は圧縮され、上側の弾性体13およびダンパ15は引張されている。車軸11に対して飛行体本体1の水平方向への撓みを抑え、上下方向にのみ撓むようにできるからである。このように2次元的に拘束して、取り付けることにより、本発明の効果がより発揮できる。

【0026】
図5は、本発明の第1実施形態における飛行体αが、空中を上昇し、天井に当たり、天井を走行する場合を示す。
(a)は、飛行体αが陸上にいる状態を示す。推進部3が水平であり、鉛直上向きの揚力がはたらいていており、飛行体αは、天井に向かって浮上する。
(b)は、飛行体αが水平な天井に到達した瞬間を示す。天井に凸部があると飛行体αの片側の車輪10またはプロテクトフレーム9が、その凸部に乗り上げ、車軸11および飛行体本体1は水平にはならない。
(c)は、飛行体本体1の適切な重力により、弾性体13およびダンパ15が伸び縮みし、飛行体本体1が水平になった状態を示す。飛行体本体1に搭載した検査機器7(カメラ等)は、天井を天井面に水平に検査することができる。

【0027】
図6は、本発明の第1実施形態における飛行体αが陸上に墜落した場合、衝撃を吸収する状態を示す。
飛行体αが落下した場合、陸上には車輪10またはプロテクトフレーム9が衝突する。車輪10またはプロテクトフレーム9は弾性力があり衝突の衝撃を吸収することができる。第1実施形態は、飛行体αの飛行体本体1と車軸11は、弾性体13およびダンパ15を介して組つけられている。よって、さらに衝突の衝撃を吸収することができるので、飛行体本体1に搭載される制御機器、推進部3、バッテリー5および検査機器7を、より効果的に保護することができる。

【0028】
弾性体13は、コイルバネ、板バネ、トーションバネ等のバネ機構、または/およびゴムなどの弾性力を有する材料などである。

【0029】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態における飛行体αを示す。第2実施形態の発明は、第1実施形態の弾性体13に対して、トーションバネ17を採用したことである。第1実施形態の弾性体13およびダンパ15による、車軸11と飛行体本体1の連結は、2カ所以上としたほうが良いが、トーションバネ17によれば、一カ所の連結で、車軸11と飛行体本体1の位置関係を特定し、飛行体本体1の重力や適切な重力により、車軸11に対して、飛行体本体1を水平に保つことができる。

【0030】
図8は、本発明の第2実施形態における飛行体αに用いる弾性体のトーションバネを示す。ここでトーションバネは、通常圧縮して使用するので、上部のアーム17a側に飛行体本体1、下側のアーム17bに車軸11を組み付けて使用する。
トーションバネ17のアーム17aおよびアーム17bは、作動方向が2次元限的に拘束されているので、一カ所の連結でも良い。また、トーションバネ17の機械的特性を飛行体本体1の質量、飛行体αの大きさ等に合わせて選定する。

【0031】
(第3実施形態)
第3実施形態は、車軸11を第1車軸11aおよび第2車軸11bに分割して、第1車軸11aおよび第2車軸11bの一方の端部に、車輪10またはプロテクトフレーム9を弾性体13およびダンパ15を介して取付け、第1車軸11aおよび第2車軸11bの他方の端部は、飛行体本体に取付ける構造である。図10に第3実施形態の構成を示す。車輪10は、第1車軸11aに取り付けられる。第1車軸11aは、弾性体13およびダンパ15を介してZ形リンク22に取り付けられ、Z形リンク22は飛行体本体1に取り付けられる。他方の車輪10および第2車軸11bも同様の構成である。

【0032】
図11に、本発明の第3実施形態における飛行体αが天井イを走行する状態を示す。天井イに一対の車輪10を設置させている。飛行体本体1の4つの推進部のプロペラは回転して上向きの揚力を発生させている。飛行体本体1の上部に検査機器7であるカメラを搭載している。一対の車輪10の第1車軸11aおよび第2車軸11bは、それぞれ弾性体13およびダンパ15を解して、飛行体本体に取り付けられている。

【0033】
図12に、第3実施形態の構造を示す。図12(a)は平面図、図12(b)は正面図を示す。図11(a)の平面図において、飛行体本体1は、4つの推進部3を有している。推進部3はプロペラを有している。飛行体本体1の両端には、一対の車輪10を有している。図12(b)の正面図において、飛行体本体1の上部には、検査機器7であるカメラを有している。一対の車輪10は、それぞれ平行リンク、弾性体13、およびダンパ15を介して、飛行体本体1に取り付けられている。

【0034】
図13に、第3実施形態の構造を示す。図13(a)は右側面図、図13(b)は矢視図を示す。図13(a)の右側面図において、第1車軸11aに車輪10が取付けられる。

【0035】
図14に、第3実施形態の車輪10を取り外した状態の構造を示す。Z形リンク22の代わりに平行リンク20を使用している。図14(a)は平面図、図14(b)は左側の第1車軸11aの正面図を示す。図14(a)の平面図において、第1車軸11aおよび第2車軸11bの一端は、それぞれ平行リンク20を介して飛行体本体1に取り付けられている。図14(b)の左側の第1車軸11aの正面図において、第1車軸11aの一端は、平行リンク20の一方の鉛直方向のリンク20aに取り付けられる。他方の平行な鉛直リンク20bは、飛行体本体に取り付けられる。2本の鉛直方向に平行なリンク20c、20dには、弾性体13とダンパ15が取り付けられる。第1車軸11aが取り付けられたリンク20aは、常に飛行体本体1に取り付けられたリンク20bと平行に移動する。第2車軸11bも同様である。したがって、第1車軸11aおよび第2車軸11bは、主たる進行方向に対して垂直になっている。
また、第1車軸11aおよび第2車軸11bの移動は、弾性体13とダンパ15によって拘束される。すなわち、飛行体αが地上に落下した場合、車輪10が床ハに衝突した衝撃力は、ほとんど弾性体13とダンパ15により吸収され、飛行体帯本体1には小さな衝撃力しか伝わらない。よって、飛行体本体1(搭載されている、推進部3、バッテリー5、および検査機器7を含む)を、落下からの衝撃から保護することができる。

【0036】
図15に、第3実施形態の第2車軸11bの構造を示す。図15(a)は荷重がかからず弾性体13およびダンパ15が変形していない状態、図15(b)は荷重がかかり弾性体13およびダンパ15が変形している状態を示す。図15(a)において平行リンク20はほぼ正方形の形状をしているが、図15(b)においは、平行リンク20は、菱形の形状をしている。弾性体13とダンパ15は、図15(a)に対して、図15(b)では圧縮され全長が短くなっている。

【0037】
第3実施形態では、平行リンク20およびZ形リンク22を使用したが、平行リンク20およびZ形リンク22を使用しないで、弾性体13およびダンパ15の一方の端部を、第1車軸11aまたは第2車軸11bに取付け、他方の端部を他の形状のブラケット等を介して飛行体本体1に取り付けてもよい。

【0038】
上記の実施形態によると、本発明は以下のようである。
発明1は、中心に配置した1個の推進部3または主たる進行方向に対して左右対称に配置される複数の推進部3を有する飛行体本体1と、主たる進行方向に垂直となるように配置された車軸11と、車軸11に、回転可能な、一対の車輪10または一対の飛行体本体1を立体的に包み込むプロテクトフレーム9と、を備えた飛行体αにおいて、車軸11は、飛行体本体1に、弾性体13およびダンパ15を介して、取り付けたことを特徴とする飛行体αである。
発明2は、一対の弾性体13およびダンパ15を、主たる進行方向に対して、対称に備えたことを特徴とする発明1に記載の飛行体αである。
発明3は、車軸11は分割されたことを特徴とする発明2に記載の飛行体である。
発明4は、車軸11を、飛行体本体1に、2次元的に拘束して、取り付けたことを特徴とする発明1に記載の飛行体である。
発明1は、プロテクトフレーム9または車輪10をつける車軸11と、検査機器7などを搭載する飛行体本体1を、弾性体13およびダンパ15を介して取り付けたことを特徴とする。よって、飛行体αが鉛直の壁ロを水平に走行する場合、推進部3は水平方向に傾いている。ここで、飛行体本体1の下部には重量物であるバッテリー5などが搭載され鉛直下向きの重力が働いているので、推進部3は、重力により鉛直上向きにも2次元的に傾き、上向きの揚力を得ることができる。よって、飛行体αは鉛直の壁を水平に走行することができる。
また、天井イを走行してカメラ撮影をする場合、天井面に凹凸があっても、カメラである検査機器7を搭載した飛行体本体1を水平に保つことができ、飛行体αは天井面を水平に撮影できる。
加えて、弾性体13およびダンパ15による衝撃や振動の吸収機能により、飛行体本体1や搭載した検査機器7などを保護することができる。
発明2は、一対の弾性体13およびダンパ15を、主たる進行方向に対して、対称に備えているので、車軸に対して飛行体本体1を、安定して制御することができる。
発明3は、車軸11が分割されているので、一方の車輪10またはプロテクトフレーム9が段差などを乗り越えた際、他方の車輪10またはプロテクトフレーム9への影響を少なくすることができる。よって、飛行体αの地上走行などを安定にすることができる。
発明4は、車軸11を、飛行体本体1に、2次元的に拘束して、取り付けることにより、車軸11に対して飛行体本体1が、水平方向への撓みを抑え、上下方向にのみ撓むようにしたものである。車軸11と飛行体本体1を、1つの弾性体およびダンパにより、それぞれ一カ所に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0039】
α 飛行体
1 飛行体本体
3 推進部
4 本体構造体
4a 孔部
5 バッテリー
7 検査機器
9 プロテクトフレーム
10 車輪
11 車軸
11a 第1車軸
11b 第2車軸
13 弾性体
15 ダンパ
17 回転バネ
17a アーム
17b アーム
20 平行リンク
20a,b,c,d 平行リンク
22 Z形リンク
イ 天井
ロ 壁
ハ 床
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14