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明細書 :有機重合薄膜とその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6104916号 (P6104916)
登録日 平成29年3月10日(2017.3.10)
発行日 平成29年4月5日(2017.4.5)
発明の名称または考案の名称 有機重合薄膜とその製造方法
国際特許分類 C08G  83/00        (2006.01)
FI C08G 83/00
請求項の数または発明の数 14
全頁数 34
出願番号 特願2014-534424 (P2014-534424)
出願日 平成25年9月6日(2013.9.6)
国際出願番号 PCT/JP2013/074141
国際公開番号 WO2014/038674
国際公開日 平成26年3月13日(2014.3.13)
優先権出願番号 2012197927
2013084400
優先日 平成24年9月7日(2012.9.7)
平成25年4月12日(2013.4.12)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成28年6月9日(2016.6.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】針山 孝彦
【氏名】高久 康春
【氏名】鈴木 浩司
【氏名】下村 政嗣
【氏名】石井 大佑
【氏名】太田 勲
【氏名】村中 祥悟
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
【識別番号】100190067、【弁理士】、【氏名又は名称】續 成朗
審査官 【審査官】岡▲崎▼ 忠
参考文献・文献 特開2002-145971(JP,A)
特開昭60-001233(JP,A)
特開昭60-221414(JP,A)
特開昭61-023621(JP,A)
調査した分野 C08G 83/00
特許請求の範囲 【請求項1】
非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、レシチン、サポニンおよびタンニン酸から選ばれる天然由来の界面活性剤、単糖類、二糖類、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂肪酸エステル、金属アルコキシドおよびアリル基を有する炭化水素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の溶液を調製する工程と、
前記溶液の薄膜を基材表面に形成する工程と、
前記薄膜の露出した一方の面にプラズマまたは電子線を照射し重合反応させて、前記薄膜の表面からこの薄膜の断面方向へ連続的に傾斜した組成を有する有機重合薄膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする有機重合薄膜の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法により形成された有機重合薄膜を前記基材より剥離することにより、自己支持性膜を形成する工程をさらに含むことを特徴とする有機重合薄膜の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の連続的に傾斜した組成は、オスミウム染色した薄膜の照射面から非照射面に渡る断面の透過型電子顕微鏡観察、エネルギー分散型X線分析による照射面から非照射面に渡る薄膜内部組成解析、原子間力顕微鏡による薄膜両面の表面構造の観察、および極微小角X線回折による薄膜両面の配向性解析から選ばれる少なくとも1種によって確認されるものであることを特徴とする有機重合薄膜の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の有機重合薄膜の製造方法では、表裏で構造の異なる自己支持性膜であって、生物のクチクラに類似した構造を形成することを特徴とする有機重合薄膜の製造方法。
【請求項5】
請求項に記載の有機重合薄膜の製造方法では、極性基が多く水に濡れやすいプラズマまたは電子線の照射された面と、極性基が少なく水に濡れにくい非照射面とを形成することを特徴とする有機重合薄膜の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の製造方法では、薄膜の露出した一方の面にプラズマを照射し、重合反応させる工程をイオンスパッタリング装置を用いて行う、有機重合薄膜の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の製造方法では、電子線照射の強度は、走査型電子顕微鏡の電子ビームの強度であることを特徴とする有機重合薄膜の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の製造方法では、薄膜の露出した一方の面に電子線を照射し、重合反応させる工程を電子顕微鏡の装置内部にて行うことを特徴とする有機重合薄膜の製造方法。
【請求項9】
非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、レシチン、サポニンおよびタンニン酸から選ばれる天然由来の界面活性剤、単糖類、二糖類、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂肪酸エステル、金属アルコキシドおよびアリル基を有する炭化水素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の有機重合体からなり、薄膜の表面からこの薄膜の断面方向へ重合の度合いが低下した連続的に傾斜した組成を有することを特徴とする有機重合薄膜。
【請求項10】
請求項に記載の連続的に傾斜した組成は、一方の面にプラズマまたは電子線を照射し重合反応させて有機重合薄膜を形成する際の、照射面から非照射面への方向に生じた重合反応のプロファイルを反映したものであることを特徴とする有機重合薄膜。
【請求項11】
請求項または10に記載の連続的に傾斜した組成は、オスミウム染色した薄膜の照射面から非照射面に渡る断面の透過型電子顕微鏡観察、エネルギー分散型X線分析による照射面から非照射面に渡る薄膜内部組成解析、原子間力顕微鏡による薄膜両面の表面構造の観察、および極微小角X線回折による薄膜両面の配向性解析から選ばれる少なくとも1種によって確認されることを特徴とする有機重合薄膜。
【請求項12】
請求項から11のいずれかに記載の有機重合薄膜は、自己支持性膜であることを特徴とする有機重合薄膜。
【請求項13】
請求項12に記載の自己支持性膜は、表裏で構造が異なり、生物のクチクラに類似した構造であることを特徴とする有機重合薄膜。
【請求項14】
請求項13に記載の自己支持性膜は、極性基が多く水に濡れやすい面と、極性基が少なく水に濡れにくい面とを有することを特徴とする有機重合薄膜。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、有機重合薄膜とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに報告されている、水溶性化合物からなり表裏で構造の異なる膜の代表的なものは、気固界面には疎水性官能基、固液界面には親水性官能基が配列している水面単分子膜(LB膜)の積層膜や、カチオン性高分子とアニオン性高分子の交互積層膜である。
【0003】
しかし、機能性膜としての応用を目指して自己支持性膜を作製するためには、膜厚が分子長レベルのLB膜や交互積層膜を数百層積層しなければならず、時間と費用を要した。
【0004】
また、既存のスピンキャスト法などで薄膜化した後に、架橋により水に不溶化させた場合、原料の化合物の制限や異種化合物の混合が必要である。また、全体が架橋されて水に不溶化するため、表裏で構造が異なる自己支持性膜を形成することは困難である。
【0005】
プラズマや電子線照射による重合プロセスは約140年前に報告されて以来、周知の現象であり(非特許文献1、2)、通常のプラズマ照射は、気相からの分子間ラジカル重合を利用した成膜、表面親水化処理、高分子架橋などに利用されている。例えば特許文献1には、多糖類やメチル系シリコン樹脂を加熱して蒸発させ、不活性ガス等と共に基板上に導入してプラズマ気相成膜を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平7-256088号公報
【0007】

【非特許文献1】Ber. Dtsch. Chem. Ges., 7, 352 (1874)
【非特許文献2】Compt. Rend., 78, 219 (1874)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、膜状にするのが困難であった生体適合性化合物などを原料として、新規な薄膜を作製する技術、特に、表面から膜の断面方向へ連続的に傾斜した組成を有し、例えば、表裏で構造の異なる新規な薄膜を作製する技術を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の有機重合薄膜の製造方法は、原料化合物の溶液を調製する工程と、前記溶液の薄膜を基材表面に形成する工程と、前記薄膜の露出した一方の面にプラズマまたは電子線を照射し重合反応させて、有機重合薄膜を形成する工程と、を含むことを特徴としている。また、前記基材から有機重合薄膜を剥離することにより、自己支持性膜を形成する工程をさらに含んでもよい。
【0010】
この有機重合薄膜の製造方法において、前記薄膜の露出した一方の面にプラズマまたは電子線を照射し重合反応させて、前記薄膜の表面からこの薄膜の断面方向へ連続的に傾斜した組成を有する有機重合薄膜を形成することが好ましい。
【0011】
この有機重合薄膜の製造方法において、前記連続的に傾斜した組成は、オスミウム染色した薄膜の照射面から非照射面に渡る断面の透過型電子顕微鏡観察、エネルギー分散型X線分析による照射面から非照射面に渡る薄膜内部組成解析、原子間力顕微鏡による薄膜両面の表面構造の観察、および極微小角X線回折による薄膜両面の配向性解析から選ばれる少なくとも1種によって確認することができる。
【0012】
この有機重合薄膜の製造方法において、前記原料化合物には、親水性官能基を有する化合物を用いることができる。この場合、前記原料化合物は、分子内にポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、水酸基およびカルボキシル基から選ばれる官能基を有する化合物を挙げることができる。
【0013】
この有機重合薄膜の製造方法において、前記原料化合物には、重合活性基を有する化合物を用いることができる。この場合、前記原料化合物は、炭素-炭素間の二重結合、炭素-窒素間の二重結合、および炭素-酸素間の二重結合から選ばれる少なくとも1種を有する化合物を挙げることができる。
【0014】
また本発明によれば、有機重合体からなり、薄膜の表面からこの薄膜の断面方向へ連続的に傾斜した組成を有する有機重合薄膜が提供される。この有機重合薄膜は、例えば、前記連続的に傾斜した組成が、一方の面にプラズマまたは電子線を照射し重合反応させて有機重合薄膜を形成する際に、照射面から非照射面への方向に生じた重合反応のプロファイルを反映したものである。前記連続的に傾斜した組成は、オスミウム染色した薄膜の照射面から非照射面に渡る断面の透過型電子顕微鏡観察、エネルギー分散型X線分析による照射面から非照射面に渡る薄膜内部組成解析、原子間力顕微鏡による薄膜両面の表面構造の観察、および極微小角X線回折による薄膜両面の配向性解析から選ばれる少なくとも1種によって確認することができる。
【0015】
この有機重合薄膜において、有機重合体の原料化合物には、親水性官能基を有する化合物を用いることができる。この場合、前記原料化合物は、分子内にポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、水酸基およびカルボキシル基から選ばれる官能基を有する化合物を挙げることができる。
【0016】
この有機重合薄膜において、有機重合体の原料化合物には、重合活性基を有する化合物を用いることができる。この場合、前記原料化合物は、炭素-炭素間の二重結合、炭素-窒素間の二重結合、および炭素-酸素間の二重結合から選ばれる少なくとも1種を有する化合物を挙げることができる。
【0017】
また、この有機重合薄膜は、自己支持性膜であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、膜状にするのが困難であった生体適合性化合物などを原料として、新規な薄膜、特に、表面から膜の断面方向へ連続的に傾斜した組成を有し、例えば、表裏で構造の異なる薄膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1で得られた薄膜のTEM像である。図中のa,b,cは、左上図中で示したa,b,cを拡大した像である。
【図2】(a)は図1の左上のTEM像から、染色の濃度を輝度解析した図である。(b)は、3次元像であり、(c)はその濃度を高さで示した図である。
【図3】実施例1で得られた薄膜のXPSによる表面組成分析の結果を示した図である。
【図4】実施例1で得られた薄膜をトルイジンブルーで染色し、断面を光学顕微鏡で観察した像である。
【図5】実施例2の重合膜の写真である。
【図6】実施例2の試料表面の重合膜とSEMビデオ撮影の様子を示す写真である。
【図7】実施例3の試料表面の重合膜とSEMビデオ撮影の様子を示す写真である。
【図8】実施例4の試料表面の重合膜とSEMビデオ撮影の様子を示す写真である。
【図9】実施例5の試料表面の重合膜とSEMビデオ撮影の様子を示す写真である。
【図10】実施例6の試料表面の重合膜とSEMビデオ撮影の様子を示す写真である。
【図11】実施例7の試料表面の重合膜とSEMビデオ撮影の様子を示す写真である。
【図12】実施例8の試料表面の重合膜とSEMビデオ撮影の様子を示す写真である。
【図13】実施例9の試料表面の重合膜とSEMビデオ撮影の様子を示す写真である。
【図14】実施例10の試料表面の重合膜とSEMビデオ撮影の様子を示す写真である。
【図15】実施例11の試料表面の重合膜とSEMビデオ撮影の様子を示す写真である。
【図16】(a)は実施例12におけるプラズマ照射後の自立性の重合膜の光学顕微鏡像、(b)は、この重合膜をエタノール中で剥離した様子を示す光学顕微鏡像である。
【図17】実施例12において剥離した膜をマイクログリッドに載せ、そのまま観察を行ったSEM像である。
【図18】図17の膜の断面観察のSEM像である。
【図19】実施例12の重合膜のTEM観察像である。
【図20】図19をさらに拡大したTEM観察像である。
【図21】実施例13の試料表面のSEM像である。
【図22】実施例15の重合膜の原子間力顕微鏡(AFM)による表面構造の観察結果を示し、(a)は照射面、(b)は非照射面である。(c)は断面TEMによる照射面と非照射面の表面構造および膜内部構造の観察結果を示し、(d)はエネルギー分散型X線分析(EDX)による照射面から非照射面へかけての膜内部組成解析の結果を示す。
【図23】実施例16の重合膜のGI-SAXSによる薄膜の配向性解析を行った結果を示す図である。
【図24】実施例17において空気プラズマと窒素プラズマで作製したそれぞれの薄膜のGI-SAXSによる配向性解析を行った結果を示す図である。
【図25】実施例17において空気プラズマと窒素プラズマで作製したそれぞれの薄膜のXPSによる表面組成分析を行った結果と断面TEM像である。
【図26】実施例18におけるTween 20とPEGの液体膜へのプラズマ照射前後の熱重量測定(TG)と照射前後の表面反射赤外分光測定(ATR-FTIR)の結果を示す図である。
【図27】実施例19で使用したキラル物質のCDスペクトル(左)とキラル物質含有重合膜のCDスペクトル(右)である。
【図28】実施例20においてTween 40, Tween 60, Tween 80を原料として作製した重合膜の照射面と非照射面の接触角測定の結果を示す。
【図29】実施例20の重合膜(原料:Tween 40)のGI-SAXSによる薄膜の配向性解析を行った結果を示す図である。
【図30】実施例20の重合膜(原料:Tween 60)のGI-SAXSによる薄膜の配向性解析を行った結果を示す図と重合膜の断面TEM像である。
【図31】実施例20の重合膜(原料:Tween 80)のGI-SAXSによる薄膜の配向性解析を行った結果を示す図と重合膜の断面TEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明について詳細に説明する。

【0021】
本発明の有機重合薄膜の製造方法において、原料化合物としては、生体適合性化合物をはじめとして以下に例示するような各種のものを用いることができる。

【0022】
原料化合物には、親水性官能基を有する化合物を用いることができる。この場合、原料化合物は、分子内にポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、水酸基およびカルボキシル基から選ばれる官能基を有する化合物を挙げることができる。

【0023】
親水性官能基を有する化合物の分子量は、特に限定されないが、例えば、C4~C100の有機化合物、中でもC6~C50の有機化合物が考慮される。

【0024】
原料化合物には、重合活性基を有しない化合物を用いることができ、例えば、上記のように親水性官能基を有する化合物を用いて、親水性官能基によって重合反応させて有機重合薄膜を形成することができる。

【0025】
また、原料化合物には、重合活性基を有する化合物を用いることもできる。この場合、原料化合物は、炭素-炭素間の二重結合、炭素-窒素間の二重結合、および炭素-酸素間の二重結合から選ばれる少なくとも1種を有する化合物を挙げることができる。

【0026】
重合活性基を有する化合物の分子量は、特に限定されないが、例えば、C4~C100の有機化合物、中でもC6~C50の有機化合物が考慮される。

【0027】
本発明の有機重合薄膜の製造方法において、原料化合物としては、生体適合性化合物をはじめとして各種のものを用いることができるが、自己支持性膜に適した強靭な重合膜をワンポット(one-pot)で得ることのできるモノマーの好ましい条件の一つとしては、炭化水素が環状構造をなしているもの(糖骨格、ステロイド骨格など)や芳香族性を示す単環、あるいは縮合環(多環芳香族炭化水素、複素環化合物など)を有し、側鎖に水溶性の部位(脂肪酸、PEG鎖など)を持つことが挙げられる。このような条件を満足するものは、自己支持性膜として得られる。

【0028】
原料化合物としては、例えば、界面活性剤、糖類、脂肪酸、脂肪酸エステル、金属アルコキシド、アリル基を有する炭化水素化合物などを用いることができる。
(界面活性剤)
界面活性剤は、重合膜が良好に得られる傾向がある。人工化合物の他、サポニン、リン脂質、ペプチドなど天然由来の界面活性剤からも重合膜を得ることができる。

【0029】
例えば、サポニン、大豆レシチン、リジン、ポリL-リジン、タンニン酸などからの良好な成膜を確認している。

【0030】
人工化合物の界面活性剤は、糖に直鎖状のアルキル基が導入されたものに関しても重合膜が得られるが、単糖類よりも二糖類の方がしっかりとした重合膜が得られやすい。

【0031】
界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、天然由来の界面活性剤などのように分子構造から大きく区別されている。工業、食品、医療品など幅広い分野で用いられているが、基本的にどの界面活性剤を用いても重合膜を得ることができる。

【0032】
上記、界面活性剤のうち、陰イオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型に分類される。このうち、具体的には、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、α-スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルエトキシレート硫酸ナトリウムなどが挙げられ、中でも、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いることが好ましい。

【0033】
上記、界面活性剤のうち、陽イオン性界面活性剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩型、アルキルアミン型、複素環アミン型に分類される。具体的には、例えば、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、セチルトリピリジニウムクロライド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。

【0034】
上記、界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、N-メチルアルキルグルカミドなどが挙げられる。中でも、ドデシルアルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、ラウロイルジエタノールアマイドの他、TritonTMX(TritonTMX-100など)、Pluronic(R) (Pluronic(R) F-123、F-68など)、Tween (Tween 20、40、60、65、80、85など)、Brij(R)(Brij(R)35、58、98など)、Span (Span 20、40、60、80、83、85)の名前で市販されているものが好ましい。

【0035】
上記、界面活性剤のうち、両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、3-(テトラデシルジメチルアミニオ)プロパン-1-スルホナートなどがあるが、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホナート(CHAPS)、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホナート(CHAPSO)などを用いることが好ましい。

【0036】
上記、界面活性剤のうち、天然由来の界面活性剤としては、例えば、レシチン、サポニンが好ましく、レシチンとして称される化合物のうち、具体的には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロールなどが好ましい。また、サポニンとしてはキラヤサポニンが好ましい。

【0037】
上記、界面活性剤のうち、微生物由来の両親媒性化合物(バイオサーファクタント)としては、ラムノリピド、ソフオロリピド、マンノシルエリストールリピッドなどを用いることが好ましい。

【0038】
上記、界面活性剤に例示したもの以外に、一般に公知のものとして使用されている界面活性剤のうち、特に化粧品類に用いられている界面活性剤としては、例えば、アーモンド油PEG-6、アシル(C12,14)アスパラギン酸Na、アシル(C12,14)アスパラギン酸TEA、アラキデス-20、ステアリルアルコール、アルキル(C11,13,15)硫酸ナトリウム、アルキル(C11,13,15)硫酸TEA、アルキル(C11,13,15)リン酸カリウム、アルキル(C12,13)硫酸DEA、アルキル(C12,13)硫酸ナトリウム、アルキル(C12,13)硫酸TEA、アルキル(C12,14,16)硫酸アンモニウム、アルキル(C12-14)オキシヒドロキシプロピルアルギニン塩酸塩、アルキル(C12-14)ジアミノエチルグリシン塩酸塩、アルキル(C12-14)硫酸TEA、アルキル(C12-15)硫酸TEA、アルキル(C14-18)スルホン酸ナトリウム、アルキル(C16,18)トリモニウムクロリド、アルキル(C28)トリモニウムクロリド、イソステアラミドDEA、イソステアリルアルコール、イソステアリルグリセリル、イソステアリルラウリルジモニウムクロリド、イソステアリン酸PEG-2、イソステアリン酸PEG-3、イソステアリン酸PEG-4、イソステアリン酸PEG-6、イソステアリン酸PEG-8、イソステアリン酸PEG-10、イソステアリン酸PEG-12、イソステアリン酸PEG-15グリセリル、イソステアリン酸PEG-20、イソステアリン酸PEG-20グリセリル、イソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-20ソルビタン、イソステアリン酸PEG-30、イソステアリン酸PEG-30グリセリル、イソステアリン酸PEG-40、イソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-58水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-60グリセリル、イソステアリン酸PG、イソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルベス-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、イソステアリン酸ポリグリセリル-5、イソステアリン酸ポリグリセリル-6、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアレス-2、イソステアレス-10、イソステアレス-15、イソステアレス-22、イソステアロイル加水分解コラーゲン、イソステアロイル加水分解コラーゲンAMPD、イソステアロイル乳酸ナトリウム、イソセテス-10、イソセテス-20、イソパルミチン酸オクチル、イソパルミチン酸ポリグリセリル-2、イソ酪酸酢酸スクロース、ウンデシレノイル加水分解コラーゲンカリウム、エチレンジアミンテトラキスヒドロキシイソプロピルジオレイン酸、エポキシエステル-1、エポキシエステル-2、エポキシエステル-3、エポキシエステル-4、エポキシエステル-5、エルカ酸グリセリル、オクタン酸PEG-4、ノノキシノール-14、オクチルドデセス-2、オクチルドデセス-5、オクチルドデセス-10、オクチルドデセス-30、オクテニルコハク酸デキストリンTEA、オクトキシノール-1、オクトキシノール-2エタンスルホン酸ナトリウム、オクトキシノール-10、オクトキシノール-25、オクトキシノール-70、オリーブ油PEG-6、オリゴコハク酸PEG-3-PPG-20、オレアミドDEA、オレアミンオキシド、オレイルベタイン、オレイル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸TEA、オレイン酸PEG-2、オレイン酸PEG-10、オレイン酸PEG-10グリセリル、オレイン酸PEG-15グリセリル、オレイン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、オレイン酸PEG-36、オレイン酸PEG-40ソルビット、オレイン酸PEG-75、オレイン酸PEG-150、オレイン酸PG、オレイン酸スクロース、オレイン酸ヒドロキシ{ビス(ヒドロキシエチル)アミノ}プロピル、オレイン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリギリセリル-5、オレイン酸ポリグリセリル-10、オレオイル加水分解コラーゲン、オレオイルサルコシン、オレオイルメチルタウリン酸ナトリウム、オレス-2、オレス-3リン酸DEA、オレス-7リン酸ナトリウム、オレス-8リン酸ナトリウム、オレス-10、オレス-10リン酸、オレス-10リン酸DEA、オレス-20、オレス-20リン酸、オレス-30、オレス-50、オレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウム、カチオン化加水分解コムギタンパク-1、カチオン化加水分解コムギタンパク-3、カチオン化加水分解コンキオリン-2、カチオン化加水分解ダイズタンパク-1、カチオン化加水分解ダイズタンパク-2、カチオン化加水分解ダイズタンパク-3、カチオン化デキストラン-2、カプラミドDEA、牛脂脂肪酸グリセリル、キョウニン油PEG-6、クエン酸ジステアリル、クエン酸脂肪酸グリセリル、クオタニウム-14、クオタニウム-18、クオタニウム-18ヘクトライト、クオタニウム18ベントナイト、クオタニウム-22、クオタニウム-33、コーン油PEG-6、コーン油PEG-8、コカミド、コカミドDEA、コカミドMEA、コカミドプロピルベタイン、ココアミンオキシド、ココアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホジ酢酸二ナトリウム、ポリオキシエチレントリデシル硫酸ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸ニナトリウム、ココアンホプロピオン酸ナトリウム、ココイルアラニンTEA、ココイルアルギニンエチルPCA、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ココイル加水分解カゼインカリウム、ココイル加水分解ケラチンカリウム、ココイル加水分解酵母カリウム、ココイル加水分解酵母タンパクカリウム、ココイル加水分解コムギタンパクカリウム、ココイル加水分解コラーゲン、ココイル加水分解コラーゲンカリウム、ココイル加水分解コラーゲンナトリウム、ココイル加水分解コラーゲンTEA、ココイル加水分解ジャガイモタンパクカリウム、ココイル加水分解ダイズタンパクカリウム、ココイル加水分解トウモロコシタンパクカリウム、ココイル加水分解バレイショタンパクカリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシンTEA、ココイルグルタミン酸、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸TEA、ココイルサルコシン、ココイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンTEA、ココイルタウリンナトリウム、ココイルメチルアラニン、ココイルメチルアラニンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココグリセリル硫酸ナトリウム、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解シルク、ココベタイン、コハク酸PEG-50水添ヒマシ油、コハク酸脂肪酸グリセリル、コレス-10、コレス-15、酢酸イソセテス-3、酢酸セテス-3、酢酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸グリセリル、酢酸脂肪酸グリセリル、酢酸ステアリン酸スクロース、酢酸トリデセス-3、酢酸トリデセス-15、酢酸ブチル、酢酸モノステアリン酸グリセリル、酢酸ラネス-9、ジアセチル酒石酸脂肪酸グリセリル、ジアルキル(C12-15)ジモニウムクロリド、ジアルキル(C12-18)ジモニウムクロリド、ジイソステアリン酸PEG-8、ジイソステアリン酸PG、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジオレイン酸PEG-4、ジオレイン酸PEG-10、ジオレイン酸PEG-32、ジオレイン酸PEG-75、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース、ジオレイン酸PEG-150、ジオレイン酸PG、ジオレイン酸グリコール、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、ジ牛脂アルキルジモニウム硫酸セルロース、ジココジモニウムクロリド、ジ酢酸ステアリン酸グリセリル、ジステアリルジモニウムクロリド、ジステアリン酸PEG-2、ジステアリン酸PEG-12、ジステアリン酸PEG-20メチルグルコース、ジステアリン酸PEG-120、ジステアリン酸PEG-250、ジステアリン酸PEG-トリメチロールプロパン、ジステアリン酸PG、ジステアリン酸PPG-20メチルグルコース、ジステアリン酸グリコール、ジステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸スクロース、ジステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ジセチルジモニウムクロリド、ジセテアリルリン酸MEA、ジヒドロキシエチルステアリルベタイン、ジパルミチン酸PEG-3、ジヒドロキシエチルラウラミンオキシド、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解カゼイン、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解シルク、ジヒドロコレス-15、脂肪酸(C8-22)ポリグリセリル-10、ジメチコンコポリオール、ジメチコンコポリオールエチル、ジメチコンコポリオールブチル、ジメチルステアラミン、ジラウリン酸PEG-4、ジラウリン酸PEG-12、ジラウリン酸PEG-32、ジラウリン酸スクロース、ジラウレス-4リン酸、ジラウレス-10リン酸、ジラウロイルグルタミン酸マグネシウム、水酸化レシチン、水添ココグリセリル、水添ダイズ脂肪酸グリセリル、水添タロウアミドDEA、水添タロウグルタミン酸ニナトリウム、水添タロウグルタミン酸TEA、水添ラノリン、水添ラノリンアルコール、水添リゾレシチン、水添レシチン、ステアラミド、ステアラミドDEA、ステアラミドMEA、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミンオキシド、ステアラルコニウムクロリド、ステアラルコニウムヘクトライト、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ステアリルトリモニウムサッカリン、ステアリルトリモニウムブロミド、ステアリルベタイン、ステアリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸PEG-2、ステアリン酸PEG-6ソルビット、ステアリン酸PEG-10、ステアリン酸PEG-10グリセリル、ステアリン酸PEG-14、ステアリン酸PEG-20グリセリル、ステアリン酸PEG-23、ステアリン酸PEG-25、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、ステアリン酸PEG-120グリセリル、ステアリン酸PEG-150、ステアリン酸PEG-200グリセリル、ステアリン酸PG、ステアリン酸TEA、ステアリン酸グリコール、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸スクロース、ステアリン酸ステアレス-4、ステアリン酸ステアロイルジヒドロキシイソブチルアミド、ステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル、ステアリン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸/リンゴ酸グリセリル、ステアルジモニウムヒドロキシジプロピル加水分解ケラチン、ステアルジモニウムヒドロキシジプロピル加水分解コラーゲン、ステアルジモニウムヒドロキシジプロピル加水分解シルク、ステアルトリモニウムクロリド、ステアレス-2リン酸、ステアレス-3、ステアレス-10、ステアレス-16、ステアレス-50、ステアレス-80、ステアレス-100、ステアロイル加水分解コラーゲンカリウム、ステアロイル加水分解コラーゲンナトリウム、ステアロイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸ニナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ステアロイルコラミノホルミルメチルピリジウムクロリド、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、スルホコハク酸(C12-14)パレスニナトリウム、スルホコハク酸PEG-2オレアミドニナトリウム、スルホコハク酸PEG-4ココイルイソプロパノールアミドニナトリウム、スルホコハク酸PEG-5ラウラミドニナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸シトステレスー14-2ナトリウム、スルホコハク酸ラウリルニナトリウム、スルホコハク酸ラウレスニナトリウム、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セス





キオレイン酸グリセリル、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ジグリセリル、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸メチルグルコース、セチルジメチコンコポリオール、セチルピリジウムクロリド、セチル硫酸ナトリウム、セチルリン酸DEA、セチルリン酸カリウム、セテアリルアルコール、セテアリルグルコシド・セテアリルアルコール、セテアリル硫酸ナトリウム、セテアレス-10、セテアレス-15、セテアレス-22、セテアレス-34、セテアレス-55、セテアレス-60、セテアレス-60ミリスチルグリコール、セテアレス-100、セテス-8リン酸、セテス-10、セテス-10リン酸、セテス-12、セテス-24、セテス-45、セトリモニウムクロリド、セトリモニウムサッカリン、セトリモニウムプロミド、セトレス-10、セトレス-20、セトレス-25、タロウアミドMEA、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、デカオレイン酸ポリグリセリル-10、デカステアリン酸ポリグリセリル-10、デシルグルコシド、テトラオクタン酸ジグリセロールソルビタン、テトラオレイン酸ソルベス-30、テトラオレイン酸ソルベス-40、テトラオレイン酸ソルベス-60、テトラステアリン酸ソルベス-60、ドデシルベンゼンスルホン酸TEA、トリPEG-8アルキル(C12-15)リン酸、トリ(イソステアリン酸PEG-3)トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸PEG-10グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-15水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-30グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-30水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-50グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-160ソルビタン、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ポリグリセリル-10、トリステアリン酸PEG-3ソルビット、トリステアリン酸PEG-140グリセリル、トリステアリン酸PEG-160ソルビタン、トリステアリン酸スクロース、トリステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ポリグリセリル-10トリデセス-三酢酸ナトリウム、トリデセス-六酢酸ナトリウム、トリデセス-9、トリデセス-10、トリデセス-11、トリデセス-20、トリデセス-21、トリヒドロキシステアリン、トリベヘン酸スクロース、トリラウリルアミン、トリラウレス-四リン酸、トリラウレス-四リン酸ナトリウム、乳酸脂肪酸グリセリル、ノニルノノキシノール-10、ノニルノノキシノール-100、ノノキシノール-3、ノノキシノール-4硫酸ナトリウム、ノノキシノール-6リン酸、ノノキシノール-6リン酸ナトリウム、ノノキシノール-10、ノノキシノール-10リン酸、ノノキシノール-23、ノノキシノール-50、ノノキシノール-120、パーフルオロアルキルPEGリン酸、パーフルオロアルキルリン酸DEA、パーム核脂肪酸アミドDEA、パーム核脂肪酸アミドエチルヒドロキシエチルアミノプロピオン酸ナトリウム、パーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム脂肪酸グルタミン酸ナトリウム、パルミタミドMEA、パルミチン酸PEG-6、パルミチン酸PEG-18、パルミチン酸PEG-20、パルミチン酸スクロース、パルミチン酸ソルビタン、パルミトイルアスパラギン酸二TEA、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ピーナッツ油PEG-6、ヒドロキシステアリン酸グリセリル、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解カゼイン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コムギタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コラーゲン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解シルク、ヒドロキシラノリン、プロピオン酸PPG-2ミリスチル、ヘプタステアリン酸ポリグリセリル-10、ヘプタデシルヒドロキシエチルカルボキシラートメチルイミダゾリニウム、ベヘナミドプロピルPGジモニウムクロリド、ベヘナミンオキシド、ベヘネス-10、ベヘネス-30、ベヘン酸グリセリル、ベヘントリモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオクタン酸ジグリセロールソルビタン、ペンタオレイン酸PEG-40ソルビット、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-6、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸TEA、ポリオキシエチレンエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンセチルステアリルジエーテル、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸TEA、ポリオキシプロピレンカルボキシアルキル(C14-18)ジグルコシド、ポリオキシプロピレングリセリルエーテルリン酸、ポリオキシプロピレンソルビット、ポリオレイン酸スクロース、ポリグリセリル-2オレイル、ポリステアリン酸スクロース、酢酸セチル、酢酸ラノリンアルコール、ポリバーム脂肪酸スクロース、ポリラウリン酸スクロース、ポリリシノレイン酸ポリグセリル、ポリリノール酸スクロースポロキサマー181、ポロキサマー333、ポロキサミン304、ポロキサミン901、ポロキサミン1104、ポロキサミン1302、ポロキサミン1508、マルチトールヒドロキシアルキル(C12,14)、ミリスタミドDEA、ミリスタミンオキシド、ミリスタルコニウムクロリド、ミリスチルPGヒドロキシエチルデカナミド、ミリスチルベタイン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ミリスチン酸PEG-8、ミリスチン酸PEG-20、ミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸スクロース、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ミレス-3、ミリストイル加水分解コラーゲン、ミリストイル加水分解コラーゲンカリウム、ミリストイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、ミリストイルメチルアラニンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、ミレス-3、ミレス-3硫酸ナトリウム、モノ酢酸モノステアリン酸グリセリル、ヤシ脂肪酸TEA、ヤシ脂肪酸グリセリル、ヤシ脂肪酸スクロース、ヤシ脂肪酸ソルビタン、ヤシ脂肪酸リシン、ラウラミドDEA、ラウラミドMEA、ラウラミドプロピルベタイン、ラウラミノジ酢酸ナトリウム、ラウラミノプロピオン酸、ラウラミノプロピオン酸ナトリウム、ラウラミンオキシド、ラウリミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルDEA、ラウリルイソキノリニウムサッカリン、ラウリルイソキノリニウムプロミド、ラウリルグルコシド、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解、シルクラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウリルヒドロキシ酢酸アミド硫酸ナトリウム、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルピリジニウムクロリドラウリルベタイン、ラウリル硫酸DEA、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸MEA、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸TEAラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルリン酸、ラウリルリン酸ニナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリン酸PEG-2、ラウリン酸PEG-4DEA、ラウリン酸PEG-6、ラウリン酸PEG-8、ラウリン酸PEG-8グリセリル、ラウリン酸PEG-9、ラウリン酸PEG-10、ラウリン酸PEG-12グリセリル、ラウリン酸PEG-23グリセリル、ラウリン酸PEG-32、ラウリン酸PEG-75、ラウリン酸PEG-150、ラウリン酸PEGソルビット、ラウリン酸PG、ラウリン酸TEA、ラウリン酸グリセリル、ラウリン酸スクロース、ラウリン酸ポリオキシエチレン水添ヒマシ油、ラウリン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸マルチトール、ラウルトリモニウムクロリド、ラウルトリモニウムプロミド、ラウレス-2-硫酸アンモニウム、ラウレス-3酢酸、ラウレス-3硫酸TEA、ラウレス-3硫酸アンモニウム、ラウレス-3リン酸、ラウレス-4リン酸、ラウレス-4リン酸ナトリム、ラウレス-4.5酢酸カリウム、ラウレス-5酢酸、ラウレス-5硫酸ナトリム、ラウレス-6酢酸、ラウレス-6酢酸ナトリム、ラウレス-7リン酸、ラウレス-9、ラウレス-10、ラウレス-10酢酸、ラウレス-10酢酸カリウム、ラウレス-16酢酸ナトリム、ラウレス-17酢酸ナトリウム、ラウレス-40、ラウレス硫酸TEA、ラウロアンホPG酢酸リン酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸、ラウロイル加水分解コラーゲンカリウム、ラウロイル加水分解コラーゲンナトリウム、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、ラウロイルグルタミン酸、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸TEA、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデセス-2、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジコレステリル、ラウロイルグルタミン酸ジステアレス-2、ラウロイルグルタミン酸ジステアレス-5、ラウロイルサルコシン、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンTEA、ラウロイルトレオニンカリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウロイルメチルアラニン、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンTEA、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ラネス-10、ラネス-25、ラネス-40、ラネス-75、ラノリン脂肪酸PEG-4、ラノリン脂肪酸PEG-12、ラノリン脂肪酸アミドDEA、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸グリセリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、ラピリウムクロリド、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸グリセリル、リシノレイン酸スクロース、リシノレイン酸ポリオキシプロピレンソルビット、リシノレイン酸ポリグリセリル-6、リノール酸ラノリル、リノレアミドDEA、硫酸化ヒマシ油、リンゴ酸ラウラミド、ロジン加水分解コラーゲン、ロジン加水分解コラーゲンAMPDなどが挙げられる。

【0039】
上記、界面活性剤の他、フッ素系の界面活性剤を用いることもできる。具体的には、例えば、ヘプタデカフルオロ-1-オクタンスルホン酸アンモニウム、ペンタデカフルオロオクタン酸アンモニウム、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸、ヘプタデカフルオロ-1-オクタンスルホン酸リチウム、ペンタデカフルオロオクタン酸、ペンタデカフルオロオクタン酸水和物、ヘプタデカフルオロ-1-オクタンスルホン酸カリウムなどが挙げられる。

【0040】
上記、界面活性剤の他、例えば、N-長鎖アシルグルタミン酸塩、N-長鎖アシルアスパラギン酸塩、N-長鎖アシルグリシン塩、N-長鎖アシルアラニン塩、N-長鎖アシルスレオニン塩、N-長鎖アシルサルコシン塩などのN-長鎖アシル中性アミノ酸塩等のN-長鎖アシルアミノ酸塩、N-長鎖脂肪酸アシル-N-メチルタウリン塩、アルキルサルフェートおよびそのアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、脂肪酸の金属塩、スルホコハク酸系界面活性剤、アルキルフォスフェートおよびそのアルキレンオキシド付加物、高級アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルヒドロキシエーテルカルボン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸などのアニオン界面活性剤、グリセリンエーテルおよびそのアルキレンオキシド付加物などのエーテル型界面活性剤、グリセリンエステルおよびそのアルキレンオキシド付加物などのエステル型界面活性剤、ソルビタンエステルおよびそのアルキレンオキシド付加物などのエーテルエステル型界面活性剤、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミドなどの脂肪酸アルキロールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン水添ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、グリセリンエステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、アシルアミノ酸ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型界面活性剤、アルキルグルコシド類、硬化ヒマシ油ピログルタミン酸ジエステルおよびそのエチレンオキシド付加物、脂肪酸アルカノールアミドなどの含窒素型の非イオン性界面活性剤などの非イオン性界面活性剤、アルキルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド、塩化アルキルトリメチルアンモニウム(C16-C22)、ジアルキルジメチルアンモニウムメトサルフェート塩などの脂肪族アミン塩、それらの4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩などの芳香族4級アンモニウム塩、脂肪酸アシルアルギニンエステル、N-長鎖アシルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩、アミドアミン類、ステアラミドプロピルジメチルアミングルタミン酸塩、ステアラミドプロピルジメチルアミン乳酸塩、ステアラミドプロピルジメチルアミンピロリドンカルボン酸塩、ベヘナミドプロピルジメチルアミングルタミン酸塩ベヘナミドプロピルジメチルアミン乳酸塩、ベヘナミドプロピルジメチルアミンピロリドンカルボン酸塩等のカチオン両親媒性化合物並びにアルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、スルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アミノプロピオネート、カルボキシベタインなどのベタイン型両親媒性化合物、N-長鎖アシルアルギニン、N-(3-アルキル(12,14)オキシ-2-ヒドロキシプロピル)アルギニン塩酸塩、アミノカルボン酸型界面活性剤、イミダゾリン型界面活性剤などの両性界面活性剤などを用いることもできる。
(糖類)
糖としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類とその誘導体を配合する。具体的には、単糖類として、グルコース、フルクトースなどが挙げられる。二糖類として、トレハロース、スクロースなどが挙げられる他、多糖類として、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、プルラン、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースなどを挙げることができる。

【0041】
グルコースよりもマルトースの方が良好な重合膜が得られる。単糖類においても重合膜が得られるが、単糖類よりも二糖類、多糖類の方がしっかりとした重合膜が得られやすい。また、糖の構造は環状構造(ピラノース、フラノース)と鎖状構造があり、どちらの構造であっても問題はないが、環状構造のほうが、良好な膜が得られやすい傾向がある。プルラン、トレハロースなどは良好な重合膜が得られる。
(脂肪酸)
脂肪酸は炭素鎖が長い方がフレキシブルな重合膜が得られ、飽和脂肪酸よりも不飽和脂肪酸の方がしっかりとした重合膜が得られやすい。不飽和脂肪酸は、特に、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸などが好ましい。飽和脂肪酸は、ラウリン酸が好ましい。
(脂肪酸エステル)
脂肪酸エステルについても重合膜を得ることができ、ステアリン酸n-ドデシルが好ましい。
(金属アルコキシド)
金属アルコキシドについても重合膜を得ることができる。金属アルコキシドはMORで示される化合物であり、金属(M)とアルコキシド(RO-)(Rは炭化水素)からなる。金属(M)として、具体的には、ケイ素、チタン、アルミニウム、ホウ素、ジルコニウム、ホウ素、バナジウム、タングステン、リン、ゲルマニウム、インジウム、ハフニウム、モリブデンなどが挙げられ、種々のアルコールから金属アルコキシドが得られる。これらの金属アルコキシドをそのまま用いてもよく、これらの金属アルコキシドを酸またはアルカリ存在下でゾルゲル反応を行った反応物を用いてもよい。中でも、テトラエトキシシラン(TEOS)について良好な重合膜が得られる。
(アリル基を有する炭化水素化合物)
炭化水素化合物のうち、アリル基を有するものもプラズマや電子線による重合のモノマーとして用いることができる。例えば、イオン液体の類である1,3-ジアリルイミダゾリウム塩についても成膜することが確認された。また、メタクロイルコリンクロリドについても良好な重合膜を得ることができる。

【0042】
以上のような原料化合物を、水、有機溶剤などの溶媒に、粘性などを考慮して適切な濃度で溶解して溶液を調製し、スピンコーティングなどの公知のコーティング方法によって薄膜を基材表面に形成する。基材は、基板の他、薄膜を形成可能な表面を有する各種の形状であってよい。例えば、小動物表面など微細構造をもつ生体表面や、ゲル等の含水率の高い物質の上や、イオン液体等の液体の上に薄膜を形成することもできる。

【0043】
この薄膜の露出した一方の面にプラズマまたは電子線を照射し重合反応させて、薄膜の表面からこの薄膜の断面方向へ連続的に傾斜した組成を有する有機重合薄膜を形成する。次いで基材から有機重合薄膜を剥離することによって、自己支持性膜を形成することができる。基材から有機重合薄膜を剥離する方法は、溶媒への浸漬、物理的な引き剥がし、温度変化の付与など、特に限定されない。

【0044】
この有機重合薄膜は、有機重合体からなり、薄膜の表面からこの薄膜の断面方向へ連続的に傾斜した組成を有する。例えば、薄膜の露出した一方の面にのみプラズマまたは電子線を照射し重合反応させ、基材から重合膜を剥離することによって自己支持性膜を形成した場合には、典型的にはこの自己支持性膜は、薄膜の一方の面から他方の面まで、薄膜の断面方向へ連続的に傾斜した組成を有する。また、このようにして自己支持性膜を形成した後、さらに他方の面にプラズマまたは電子線を照射し重合反応させた場合にも、薄膜の表面(両面)からこの薄膜の断面方向(薄膜内側)へ連続的に傾斜した組成を有するようにすることができる。

【0045】
ここで「薄膜の断面方向へ連続的に傾斜した組成を有する」とは、薄膜の面方向には均質な組成で、かつ、これと垂直な断面方向には化学組成が変化することを意味し、このような化学組成の連続的な変化は、薄膜の露出した一方の面にプラズマまたは電子線を照射し重合反応を起こすことによって、露出面から裏面への断面方向では反応経過が連続的に変化することによって生じると考えられる。薄膜の基材側の面での重合反応が露出面側に比べて遅延することで、基材に重合膜が強固に付着することなく重合膜を容易に剥離することができ、形状の良い自立した膜(自己支持性膜)を得ることができる。このことも薄膜の断面方向へ化学組成が傾斜していることと関連している。

【0046】
この連続的に傾斜した組成は、後述の実施例のように、オスミウム染色した薄膜の照射面から非照射面に渡る断面の透過型電子顕微鏡観察、エネルギー分散型X線分析による照射面から非照射面に渡る薄膜内部組成解析、原子間力顕微鏡による薄膜両面の表面構造の観察、および極微小角X線回折による薄膜両面の配向性解析から選ばれる少なくとも1種によって確認することができる。

【0047】
この連続的に傾斜した組成は、成膜条件、例えばプラズマ照射時間(例えば3~30min)、プラズマ重合に使用するガスの種類(酸素ガス、窒素ガス等)などによって変化し、これらの条件によって、この傾斜組成をコントロールすることができる。

【0048】
なお、重合時間を長くすることで、膜全体が重合し、断面方向への連続的に傾斜した組成をなくすこともできる。

【0049】
基材表面に形成された有機重合薄膜またはこれを基材表面から剥離した自己支持性膜の膜厚は、特に限定されないが、例えば、5nm~100μmの範囲にすることができる。

【0050】
プラズマの照射による重合は、例えば、従来のイオンスパッタリング装置などを用いて、圧力10-3~105Pa、-20~+80℃、1~10kV DC、照射距離5~500mmの条件で行うことができる。あるいは、従来のプラズマ重合で用いられているような反応管のような装置や大気圧プラズマ照射装置や方法で行うことができる。

【0051】
電子線照射は、特に限定されないが、一例としては、走査型電子顕微鏡(SEM)の電子ビーム(例えば5.0kV程度)を照射することによって行うことができる。

【0052】
電子線は、真空に保たれたチャンバの中心に配置されたフィラメントに電流を流すことにより、加熱されて放出された熱電子をグリッドに抽出し、加速電圧によって電子流とし窓を通過して外界に飛び出す方式などによって得られるものであり、電子顕微鏡の構造や、小型電子線管やこれを並べたモジュールの構造を使用することができる。加速された電子を試料に照射する際には、真空中に試料を置く場合と、大気中(ガス置換中)に照射する場合のいずれであってもよい。後者の場合は、電子は電源電圧によって真空中で加速された後、電子透過窓を通過し、原料化合物の溶液の薄膜と窓との間の大気層から処理対象となる原料化合物の溶液の薄膜に達する。

【0053】
本発明は、溶媒に可溶な化合物の粘性溶液などから表面から膜の断面方向へ連続的に傾斜した組成を有し、例えば、表裏で構造が異なる自己支持性膜を作製する新規な技術として確立したものである。特に、生体適合性化合物からなる薄膜を作製する新しい手法であり、これらの薄膜は医療や細胞培養の基材として利用されるなど多くの可能性を秘めている。

【0054】
また、導電性を有するイオン性液体を原料化合物として用い、本発明の方法により自己支持性膜を作製できる。この薄膜は、面に平行方向、垂直方向ともに導電性を有し、透過率95%以上の透明性をも有することから、透明導電膜としての用途が期待できる。

【0055】
また、上記のイオン性液体(導電性)、金属触媒(抗菌性)、蛍光物質(指標性)、酸化チタンや酸化亜鉛(光触媒)、金属ナノ微粒子やコロイド微粒子(光学特性)、キラル物質(円二色性)、カーボン材料(剛直性)、などの機能性物質を上記重合膜に複合し既存の技術を融合したり、鋳型となる分子や物質を複合した重合膜を形成した後に適した方法で除去して多孔質膜にしたりすることができる。

【0056】
また、表面から膜の断面方向へ連続的に傾斜した組成を有し、特に表裏で構造の異なる本発明の自己支持性膜は、生物のクチクラ構造に類似した構造であるため、生物の皮膚や外界面と同様に優れた膜特性(ガスバリア性、液体透過性)を発現することが期待できる。特に、傾斜した組成に基づく力学物性の違い、膨潤挙動の違い、分子選択吸着性の違いなど、光学応用可能な新要素の発現が期待できる。これは、これまでの物理化学分野における計算された精度の高い確定因子が生みだす機能とは異なり、表裏で構造が異なることにより生じる不確定因子に起因する特異的な機能であると考えられ、本発明の応用・発展により、優れた膜特性が発現される可能性がある。

【0057】
本発明の有機重合薄膜は、例えば、医学生物、医工学、農学、生物の試料観察、工学、ドラッグデリバリーシステム、ガスバリア膜、接着、表面処理などに好適である。

【0058】
特に、薬剤シート、燃料電池用のスタック、細胞培養シート、保護シート、フィルター、滅菌膜などへの応用が期待される。

【0059】
薬剤シートへの応用に際して、薬剤分子を本発明の有機重合薄膜に含浸することによって、湿布薬のように患部に間接的に薬剤が投与される。このように本発明の有機重合薄膜は湿布のように使用することができ、使用後は可燃物として破棄することもできるが、水でこすりながら洗い流すことも可能である。既に市販されている湿潤テープのいわゆる『濡れた絆創膏』としても使用できる。また癌化した細胞組織に直接この薬剤シートを貼り付け、薬剤を疾患部に直接投与するためのシートとしても使用できる。また、患部に重合前の原料化合物の溶液を塗布し、その後、大気圧プラズマを照射することにより、直接疾患部を保護することもできる。

【0060】
燃料電池用のスタックは、例えばセル、セパレータ、ガス拡散層、水素極、電解質膜、空気極、ガス拡散層、セパレータの順に積層して構成されるが、本発明の有機重合薄膜はこれらの基材としての使用が期待される。従来から「溶融塩」の名称で用いられてきた化合物に関してもone-potでシート状に加工することができ、容易に電解質膜等を得ることができる。シートに金属を蒸着してシート状の電極を得ることも可能である。スタックの基材とした場合には、本発明の有機重合薄膜はスタックの小型化に寄与する。

【0061】
本発明の有機重合薄膜を細胞培養シートとして使用すると、シート表面は親水性面であり、培養液などに浸けると吸水し、膨潤する。従って、培養液を吸収した細胞培養シートを用いれば、ドライな環境においても細胞の培養が可能であり、従来から用いられている溶液タイプのものやゼリー状のものの代替として用いることができる。

【0062】
本発明の有機重合薄膜を用いた保護シートは、商品等を包装するのに用いることができる。例えば、新車が工場から各ディーラーへ輸送される際に傷防止のためにポリマーコートやシートで覆われて搬送車に積まれるが、本発明の有機重合薄膜を用いた保護シートは従来のポリマー加工よりも安価な材料で被覆することができる。また本発明の有機重合薄膜を用いた保護シートは、野菜、果物などの腐敗や劣化を防ぐフィルム材としての利用ができる。またプラズマ重合塗装として、均一な塗装面を得るのにプラズマ重合膜の特徴(フラット、ピンホールフリーなど)を活かした被膜ができる。

【0063】
本発明の有機重合薄膜を用いたフィルターは、汚れを吸着する作用があり、汚水を吸着し浄化水とするフィルターとして使用できる。また液体/固体の抽出ができ、そしてシリカゲルを吸着させておくとフィルム状のTLCとなり、また表面の官能基をコントロールすることにより選択的に分子を並べることができ、さらに原料化合物のモノマー分子に光学活性分子を用いることで、光学(偏光)フィルターとしても用いることができる。

【0064】
本発明の有機重合薄膜を用いた滅菌膜は、プラズマ処理して形成した膜がPin-hole freeであるために、菌を通さないことから、食品を保護できる。
【実施例】
【0065】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
原料化合物として、Tween 20を用いた。自立した薄膜を作るために、濃度50%(v/v)のTween 20をエタノールに溶解し、ガラス上にスピンコーター(3000rpm, 5s) (SC8001, Aiden)を使用して広げてプラズマ重合した。重合後の薄膜は、ガラス板からエタノール中で解離させた。
【実施例】
【0066】
プラズマ重合は、典型的には、金属ターゲットが解体されたイオンスパッタリング装置(JFC-1100, JEOL)によって行い、約1.0Paの真空レベルで、室温において1.0kV DC(8.0mA)、照射距離30mmで3分間プラズマ照射を行った。
【実施例】
【0067】
オスミウム(OsO4)で染色することにより、膜の分子結合状態の違いを検討するために、通常の電子顕微鏡法の固定液の浸透による分子状態の変化を回避することとした。すなわち、下記(1)~(7)の手順に従って、成膜したものに樹脂置換し、できる限り膜の分子結合状態を維持したまま、薄切した切片を2% OsO4で10分処理し、導電性を上げるためにカーボン蒸着したものを透過型電子顕微鏡(TEM)観察した。
(1) 樹脂置換 親水性エポキシ樹脂Quetol651:Quetol651 100% 4hr
(2) 樹脂包埋 Quetol651エポキシ樹脂包埋(Quetol651、NSA、MNAを配合)
(3) 樹脂重合 60℃ 48hr
(4) 薄切 ウルトラミクロトーム(Reichert : OmU4) 0.2μm厚に薄切、切片を親水化処理したニッケルグリッドに載せる。
(5) 染色 2%四酸化オスミウム水溶液 10min
(6) 蒸着 カーボン蒸着
(7) 観察 透過電子顕微鏡観察(JEM1220:JEOL)
図1にTEM像を示す。図中のa,b,cは、左上図中で示したa,b,cを拡大した像である。上記の処理をしたものをTEM観察すると、左上図の右側のプラズマ照射面に強く黒いライン部分があり、照射面から遠い方が再び黒くなっていて、方向性のある成膜が可能であることが示された。すなわち、プラズマ照射面は重合が進み、反対面は重合の度合いが低いことが示唆された。
【実施例】
【0068】
また、染色の濃度の解析を行った(図2)。図2(a)は図1の左上のTEM像から、染色の濃度を輝度解析した図である。図2(b)は、3次元像であり、図2(c)はその濃度を高さで示した図である。
【実施例】
【0069】
OsO4吸着量は、照射面と非照射面での違いがあり、吸着量は照射面から非照射面にかけてグラデーションをもつことがわかる。
【実施例】
【0070】
図3は、重合膜のXPSによる表面組成分析の結果を示す。照射面の最表面はカルボキシル基リッチで、非照射面の最表面は水酸基リッチであることが示され、表裏で分子構造が異なることが示された。照射面の組成は空気中の酸素に起因する酸素プラズマによる表面酸化の影響と考えられる。非照射面は酸素プラズマまたは窒素プラズマにより生成したラジカルによるPEG鎖の重合構造と考えられる。照射面から非照射面にかけてのグラデーションに加え、最表面でも構造が異なっていることが確認された。
【実施例】
【0071】
なお、表面張力測定の結果(Kaelble-Uy の近似法)。照射面は41.0 N/m、非照射面は22.9 N/mであった。照射面は極性基が多いため濡れやすく、非照射面は極性基が少ないため濡れにくい。
【実施例】
【0072】
また、極性基であるカルボキシル基と結合しやすいトルイジンブルーで重合膜を染色し、光学顕微鏡で観察したところ(図4)、プラズマ照射面側が強く染色された。このことは、照射面の最表面はカルボキシル基が多いことを支持する。
<実施例2>
以下の実施例2~12において、SEM観察は、典型的には、電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM、S-4800 (Hitachi))を用いて、5.0 kVの加速電圧で行った。生物試料のダイナミックな動きを記録するために、SEMの画像データは直接にビデオ・レコーダー(Hi-band digital formatted video recorder, Pioneer, DVR-DT95)に転送した。
【実施例】
【0073】
TEM観察は、典型的には、120kVの加速電圧で、JEM-1220(JEOL)を用いて行った。
【実施例】
【0074】
プラズマ重合は、典型的には、金属ターゲットが解体されたイオンスパッタリング装置(JFC-1100, JEOL)によって行い、約1.0Paの真空レベルで、室温において1.0kV DC(8.0mA)、照射距離30mmで3分間プラズマ照射を行った。
【実施例】
【0075】
実施例2では、原料化合物として、Tween 20を用いた。自立した薄膜を作るために、濃度50%(v/v)のTween 20をエタノールに溶解し、ガラス上にスピンコーター(3000rpm, 5s) (SC8001, Aiden)を使用して広げてプラズマ重合した。重合後の薄膜は、ガラス板からエタノール中で解離させた。
【実施例】
【0076】
図5(a)は、プラズマ照射により作成した自立性の重合膜(Tween20)の光学顕微鏡像、(b)はTween20の化学式、(c)は膜表面のAFM像、(d)は膜断面のTEM像である。(d)において矢印の間がTween20の重合膜である。照射側の表面(矢尻の間の部分)には薄い層が形成されていた。
【実施例】
【0077】
次に、原料化合物のTween20を1%水溶液として使用し、蒸発抑制用組成物を調製した。
【実施例】
【0078】
生きたボウフラを蒸発抑制用組成物に1分間浸漬し、その後取り出して余剰分をふき取り、その体表を薄膜で覆った。
【実施例】
【0079】
その後SEM試料室に入れてビデオ撮影した(図6)。電子ビーム照射開始後もボウフラが運動する様子が観察され、体表の薄膜が電子線によって重合しTween20の重合膜が形成されることが示唆された。
【実施例】
【0080】
図6は、SEM従来像と、プラズマ照射膜(Tween20)でコートされた試料による新規SEM像である。(a)はボウフラ光学顕微鏡像、(b)~(d)はSEM従来像、(f)~(n)はプラズマ照射個体(Tween20塗布無し(f-i),有り(k-n))、(e,j,o)は試料断面のTEM像である。
【実施例】
【0081】
生きたボウフラ(a,time 0)に、SEM内の高真空下で電子線を30分照射した(b-d,time 30)。矢尻は静電帯電のエリアを示す。
【実施例】
【0082】
f-iでは、1% Tween 20で覆った生きたボウフラに3分間プラズマ照射し(f,time 0)、その後SEMで30分間観察した(g-i)。
【実施例】
【0083】
k-nでは、生きたボウフラを従来のSEMで電子線照射し(k,time 0)、その後観察した(l-n)。
【実施例】
【0084】
b,g,lのそれぞれの四角内を拡大し(c,h,m)、さらに拡大した(d,i,n)。
【実施例】
【0085】
(e,j,o)は試料断面のTEM像であり、矢尻の間の層はプラズマ処理によって形成された重合膜である。
<実施例3>
原料化合物として、TritonTMX-100を用いた。1%(v/v)のTritonTMX-100を蒸留水に溶解し、ガラス上にスピンコーターを使用して広げてプラズマ重合し、実施例2と同様にして自立性の薄膜を得た。図7(a)は、プラズマ照射により作成した自立性の重合膜(TritonTMX-100)の光学顕微鏡像、図7(b)はTritonTMX-100の化学式である。
【実施例】
【0086】
次に、原料化合物のTritonTMX-100を1%水溶液として使用し、蒸発抑制用組成物を調製した。
【実施例】
【0087】
生きたボウフラを蒸発抑制用組成物に1分間浸漬し、その後取り出して余剰分をふき取り、その体表を薄膜で覆った。
【実施例】
【0088】
その後SEM試料室に入れてビデオ撮影した(図7)。cは0min、dは30minでの様子を示し、dの四角内を拡大し(e)、さらに拡大した(f)。電子ビーム照射開始後もボウフラが運動する様子が観察され、体表の薄膜が電子線によって重合しTritonTMX-100の重合膜が形成されることが示唆された。
<実施例4>
原料化合物として、pluronic(R)F-127を用いた。1%(v/v)のpluronic(R)F-127を蒸留水に溶解し、ガラス上にスピンコーターを使用して広げてプラズマ重合し、実施例2と同様にして自立性の薄膜を得た。図8(a)は、プラズマ照射により作成した自立性の重合膜(pluronic(R)F-127)の光学顕微鏡像、図8(b)はpluronic(R)F-127の化学式である。
【実施例】
【0089】
次に、原料化合物のpluronic(R)F-127を1%水溶液として使用し、蒸発抑制用組成物を調製した。
【実施例】
【0090】
生きたボウフラを蒸発抑制用組成物に1分間浸漬し、その後取り出して余剰分をふき取り、その体表を薄膜で覆った。
【実施例】
【0091】
その後SEM試料室に入れてビデオ撮影した(図8)。cは0min、dは30minでの様子を示し、dの四角内を拡大し(e)、さらに拡大した(f)。電子ビーム照射開始後もボウフラが運動する様子が観察され、体表の薄膜が電子線によって重合しpluronic(R)F-127の重合膜が形成されることが示唆された。
<実施例5>
原料化合物として、Brij(R)35を用いた。1%(v/v)のBrij(R)35を蒸留水に溶解し、ガラス上にスピンコーターを使用して広げてプラズマ重合し、実施例2と同様にして自立性の薄膜を得た。図9(a)は、プラズマ照射により作成した自立性の重合膜(Brij(R)35)の光学顕微鏡像、図9(b)はBrij(R)35の化学式である。
【実施例】
【0092】
次に、原料化合物のBrij(R)35を1%水溶液として使用し、蒸発抑制用組成物を調製した。
【実施例】
【0093】
生きたボウフラを蒸発抑制用組成物に1分間浸漬し、その後取り出して余剰分をふき取り、その体表を薄膜で覆った。
【実施例】
【0094】
その後SEM試料室に入れてビデオ撮影した(図9)。cは0min、dは30minでの様子を示し、dの四角内を拡大し(e)、さらに拡大した(f)。電子ビーム照射開始後もボウフラが運動する様子が観察され、体表の薄膜が電子線によって重合しBrij(R)35の重合膜が形成されることが示唆された。
<実施例6>
原料化合物として、CHAPSを用いた。1%(v/v)のCHAPSを蒸留水に溶解し、ガラス上にスピンコーターを使用して広げてプラズマ重合し、実施例2と同様にして自立性の薄膜を得た。図10(a)は、プラズマ照射により作成した自立性の重合膜(CHAPS)の光学顕微鏡像、図10(b)はCHAPSの化学式である。
【実施例】
【0095】
次に、両親媒性化合物としてCHAPSを1%水溶液として使用し、蒸発抑制用組成物を調製した。
【実施例】
【0096】
生きたボウフラを蒸発抑制用組成物に1分間浸漬し、その後取り出して余剰分をふき取り、その体表を薄膜で覆った。
【実施例】
【0097】
その後SEM試料室に入れてビデオ撮影した(図10)。cは0min、dは30minでの様子を示し、dの四角内を拡大し(e)、さらに拡大した(f)。電子ビーム照射開始後もボウフラが運動する様子が観察され、体表の薄膜が電子線によって重合しCHAPSの重合膜が形成されることが示唆された。
<実施例7>
原料化合物として、MEGA8を用いた。1%(v/v)のMEGA8を蒸留水に溶解し、ガラス上にスピンコーターを使用して広げてプラズマ重合し、実施例2と同様にして自立性の薄膜を得た。図11(a)は、プラズマ照射により作成した自立性の重合膜(MEGA8)の光学顕微鏡像、図11(b)はMEGA8の化学式である。
【実施例】
【0098】
次に、原料化合物のMEGA8を1%水溶液として使用し、蒸発抑制用組成物を調製した。
【実施例】
【0099】
生きたボウフラを蒸発抑制用組成物に1分間浸漬し、その後取り出して余剰分をふき取り、その体表を薄膜で覆った。
【実施例】
【0100】
その後SEM試料室に入れてビデオ撮影した(図11)。cは0min、dは30minでの様子を示し、dの四角内を拡大し(e)、さらに拡大した(f)。電子ビーム照射開始後もボウフラが運動する様子が観察され、体表の薄膜が電子線によって重合しMEGA8の重合膜が形成されることが示唆された。
<実施例8>
原料化合物として、Sodium cholateを用いた。1%(v/v)のSodium cholateを蒸留水に溶解し、ガラス上にスピンコーターを使用して広げてプラズマ重合し、実施例2と同様にして自立性の薄膜を得た。図12(a)は、プラズマ照射により作成した自立性の重合膜(Sodium cholate)の光学顕微鏡像、図12(b)はSodium cholateの化学式である。
【実施例】
【0101】
次に、原料化合物のSodium cholateを1%水溶液として使用し、蒸発抑制用組成物を調製した。
【実施例】
【0102】
生きたボウフラを蒸発抑制用組成物に1分間浸漬し、その後取り出して余剰分をふき取り、その体表を薄膜で覆った。
【実施例】
【0103】
その後SEM試料室に入れてビデオ撮影した(図12)。cは0min、dは30minでの様子を示し、dの四角内を拡大し(e)、さらに拡大した(f)。電子ビーム照射開始後もボウフラが運動する様子が観察され、体表の薄膜が電子線によって重合しSodium cholateの重合膜が形成されることが示唆された。
<実施例9>
原料化合物として、n-Dodecyl-β-D-maltosideを用いた。1%(v/v)のn-Dodecyl-β-D-maltosideを蒸留水に溶解し、ガラス上にスピンコーターを使用して広げてプラズマ重合し、実施例2と同様にして自立性の薄膜を得た。図13(a)は、プラズマ照射により作成した自立性の重合膜(n-Dodecyl-β-D-maltoside)の光学顕微鏡像、図13(b)はn-Dodecyl-β-D-maltosideの化学式である。
【実施例】
【0104】
次に、原料化合物のn-Dodecyl-β-D-maltosideを1%水溶液として使用し、蒸発抑制用組成物を調製した。
【実施例】
【0105】
生きたボウフラを蒸発抑制用組成物に1分間浸漬し、その後取り出して余剰分をふき取り、その体表を薄膜で覆った。
【実施例】
【0106】
その後SEM試料室に入れてビデオ撮影した(図13)。cは0min、dは30minでの様子を示し、dの四角内を拡大し(e)、さらに拡大した(f)。電子ビーム照射開始後もボウフラが運動する様子が観察され、体表の薄膜が電子線によって重合しn-Dodecyl-β-D-maltosideの重合膜が形成されることが示唆された。
<実施例10>
原料化合物として、n-Octyl-β-D-glucosideを用いた。1%(v/v)のn-Octyl-β-D-glucosideを蒸留水に溶解し、ガラス上にスピンコーターを使用して広げてプラズマ重合し、実施例2と同様にして自立性の薄膜を得た。図14(a)は、プラズマ照射により作成した自立性の重合膜(n-Octyl-β-D-glucoside)の光学顕微鏡像、図14(b)はn-Octyl-β-D-glucosideの化学式である。
【実施例】
【0107】
次に、原料化合物としてn-Octyl-β-D-glucosideを1%水溶液として使用し、蒸発抑制用組成物を調製した。
【実施例】
【0108】
生きたボウフラを蒸発抑制用組成物に1分間浸漬し、その後取り出して余剰分をふき取り、その体表を薄膜で覆った。
【実施例】
【0109】
その後SEM試料室に入れてビデオ撮影した(図14)。cは0min、dは30minでの様子を示し、dの四角内を拡大し(e)、さらに拡大した(f)。電子ビーム照射開始後もボウフラが運動する様子が観察され、体表の薄膜が電子線によって重合しn-Octyl-β-D-glucosideの重合膜が形成されることが示唆された。
<実施例11>
原料化合物として、1,3-Diallylimidazolium bromideを用いた。1%(v/v)の1,3-Diallylimidazolium bromideを蒸留水に溶解し、ガラス上にスピンコーターを使用して広げてプラズマ重合し、実施例2と同様にして自立性の薄膜を得た。図15(a)は、プラズマ照射により作成した自立性の重合膜(1,3-Diallylimidazolium bromide)の光学顕微鏡像、図15(b)は1,3-Diallylimidazolium bromideの化学式である。
【実施例】
【0110】
次に、原料化合物の1,3-Diallylimidazolium bromideを1%水溶液として使用し、蒸発抑制用組成物を調製した。
【実施例】
【0111】
生きたボウフラを蒸発抑制用組成物に1分間浸漬し、その後取り出して余剰分をふき取り、その体表を薄膜で覆った。
【実施例】
【0112】
その後SEM試料室に入れてビデオ撮影した(図15)。cは0min、dは30minでの様子を示し、dの四角内を拡大し(e)、さらに拡大した(f)。電子ビーム照射開始後もボウフラが運動する様子が観察され、体表の薄膜が電子線によって重合し1,3-Diallylimidazolium bromideの重合膜が形成されることが示唆された。
<実施例12>
実施例11と同様に原料化合物として、1,3-Diallylimidazolium bromideを用い、プラズマ重合の条件を40mA、20~30minとして成膜し、自立性の薄膜を得た。図16(a)は、プラズマ照射後の自立性の重合膜の光学顕微鏡像、図16(b)は、この重合膜をエタノール中で剥離した様子を示す光学顕微鏡像である。重合膜は、エタノール中で一枚膜として剥離可能であった。重合膜を水に入れると、一瞬にして小片に切断された。
【実施例】
【0113】
剥離した膜をマイクログリッドに載せ、そのままSEM観察を行った(図17)。一部、膜が破れているが、膜が張っている箇所も観察することができた。図18は膜の断面観察のSEM像である。膜厚は50nmほどであり、SEM観察中、膜が電子線によって黒くなる、チャージアップなどの現象はみられなかった。Tween20では、高倍率でのSEM銭察では電子線による熱ダメージが避けられなかったが、このサンプルについては大変良好に観察することができた。膜は前処理なしに直接観察することができた。導電性は、10オームのオーダーの抵抗値であった。
【実施例】
【0114】
図19はこの重合膜のTEM観察像(加速電圧 80kV)、図20(a),(b),(c)はさらに拡大したTEM観察像である。拡大していくと直径2nmほどの環状の構造が観察された。TEM観察後におけるビームダメージは観察されず、耐熱性があることがわかった。Tween 20では高倍率観察を行うと膜が破れてしまうことがあったので、Tween 20の膜よりもこの膜の方が熱に強いことが示唆される。
<実施例13>
実施例2と同様に原料化合物として、Tween 20を用い、プラズマ重合の条件を30mA、10minとして繊維状表面をもつ天然セルロースゲル(市販のナタデココ)の上に成膜した。その後SEM観察を行った(図21)。繊維状のセルロースゲルの表面を覆うように、Tween 20の自立膜が形成され、観察前後での重量変化無くSEM観察できた。
<実施例14>
実施例2と同様に原料化合物として、Tween 20を用い、プラズマ重合の条件を30mA、10minとして平滑表面をもつ合成アクリルアミドゲルの上に成膜した。その後SEM観察を行った。アクリルアミドゲルの表面を覆うように、Tween 20の自立膜が形成され、観察前後での重量変化無くSEM観察できた。
<実施例15>
原料化合物として、Tween 20を用い、プラズマ源を空気とし、プラズマ重合の条件を30mA, 10minとして成膜し、実施例2と同様にして自立性の薄膜を得た。
【実施例】
【0115】
図22は、この重合膜の原子間力顕微鏡(AFM)による表面構造の観察結果を示し、(a)は照射面、(b)は非照射面である。(c)は断面TEM(実施例1参照)による照射面と非照射面の表面構造および膜内部構造の観察結果を示し、(d)はエネルギー分散型X線分析(EDX)による照射面から非照射面へかけての膜内部組成解析の結果を示す。
【実施例】
【0116】
AFMによる表面構造観察より、照射面はスムース、非照射面はラフであった。断面TEMによる表面構造および膜内部構造観察より、照射面はOs染色量が少なく、非照射面はOs染色量が多かった。EDXによる照射面から非照射面へかけての膜内部組成解析の結果でも、照射面はOs濃度が低く、非照射面はOs濃度が高かった。
<実施例16>
実施例15と同様にしてTween 20の重合膜を作製し、極微小角X線回折(GI-SAXS)による薄膜の配向性解析を行った。その結果を図23に示す。(a)は結晶性の評価(原子レベルの周期)、(b)は分子配向性の評価(分子レベルの周期)を示し、それぞれ上が照射面、下が非照射面である。
【実施例】
【0117】
最表層のみの面外(面に垂直方向)および面内(面に平行方向)の配向性を解析した。アモルファスな膜で、照射面は非照射面と比較して分子レベル周期の配向性が高いことが示唆された。
<実施例17>
プラズマ源として空気と窒素の場合を比較した。プラズマ源として空気または窒素を用い、それ以外は実施例15と同様にしてTween 20の重合膜を作製した。
【実施例】
【0118】
GI-SAXSによる薄膜の配向性解析を行った。その結果を図24に示す。同図左の空気プラズマの場合は、ランダム配向であったのに対し、同図右の窒素プラズマの場合は、配向性が高く、明確な約4nmの面内配向がみられた。
【実施例】
【0119】
重合膜のXPSによる表面組成分析を行ったその結果を断面TEM(実施例1参照)の結果と共に図25に示す。空気プラズマと窒素プラズマのいずれの場合も明確な照射面と非照射面の構造の違いが確認された。同図下の空気プラズマの場合は、Os吸着の勾配が均一であったのに対し、同図上の窒素プラズマの場合は、Os吸着の勾配に偏りがみられた。
【実施例】
【0120】
プラズマ源を窒素に変えることで、空気で得られたTween 20の膜構造とは異なる膜構造が得られることを確認した。
【実施例】
【0121】
なお、表面張力測定の結果(Kaelble-Uy の近似法)。照射面は33.9 N/m、非照射面は30.8 N/mであり、照射面と非照射面の極性基の差が小さい。これは、プラズマ源を窒素にすることで照射面の酸化が抑制されたためである。
<実施例18>
上記の実施例において良好な膜が得られたTween 20の構成成分を抽出し、重合に関与する官能基を追跡した。Span 20、Lauric acid、Poly(ethylene oxide)(PEG:平均分子量Mv 300,000)で照射条件をTween 20と同一にした場合(プラズマ源:空気照射強度:30mA 照射時間:10min)、PEG鎖を有するものは重合可能で良好な膜、複数OH基を有するものは重合可能で良好な膜、単数OH基を有するものは重合可能で不完全な膜の傾向がみられた。照射条件を過酷にすることで単数OH基でも良好な膜が得られると推定し、次の条件を満たす41 種類の化合物で製膜実験を行った。製膜条件はプラズマ源:空気、照射強度:30mA、照射時間:10minとした。
(A)重合活性基を有しない化合物群
(1) Pluronic(R)F-127などの分子内にポリエチレングリコール(PEG鎖)を有する化合物群
(2) n-Dodecyl-β-D-maltosideなどの水酸基またはカルボキシル基を複数有する化合物群
(3) lauric acidなどの水酸基またはカルボキシル基を単数有する化合物群
(B)重合活性基を有する化合物群
(4) 炭素-炭素間に二重結合(アルケン)、炭素-窒素間に二重結合(シッフ塩基)、炭素-酸素間に二重結合(ケト基)を有する化合物群
それぞれ6種類以上(合計41種類)の化合物を用いてプラズマ重合による自己支持性有機薄膜が形成可能かを検討した。
【実施例】
【0122】
その結果を表1に示す。
【実施例】
【0123】
【表1】
JP0006104916B2_000002t.gif
(1)および(4)の化合物群は、良好な膜が得られた。(2)の化合物群は、概ね良好な膜が得られた。(3)の化合物群は、条件付きで良好な膜が得られた。PEG鎖や二重結合をもつ生体親和性分子であれば膜が形成され、これらを持たない分子でも、水酸基およびカルボキシル基を複数もつことで膜が形成された。可溶性(水・エタノール・ヘキサン)の小分子からなる液体膜のプラズマ照射により、ビニル、環状エーテル、カルボン酸-アミン、カルボン酸-アルコールなどの重合性官能基の有無にかかわらず、重合させて不溶性自己支持膜を作製することができた。
【実施例】
【0124】
次に、膜形成機構の追跡および膜構造の解析を行った。良好な膜を形成するTween 20とPEG(平均分子量Mv 300,000)で比較した。製膜条件は、プラズマ源:空気、照射強度:30mA 照射時間:10minとした。照射前後の熱重量測定(TG)と照射前後の表面反射赤外分光測定(ATR-FTIR)の結果を図26に示す。プラズマ照射による分子構造の変化(OHの重縮合)、PEG鎖の分解および重合が示唆された。
<実施例19>
上記の実施例において良好な膜が得られたTween 20に、キラル物質である2種類のマンデル酸((R)-(-)-Mandelic acidとL-(+)-Mandelic acid)を1.0wt%複合して、プラズマ源:空気照射強度:30mA 照射時間:10minで成膜した。図27に示すように、複合したキラル物質由来のCD活性を有する膜が得られた。
<実施例20>
上記の実施例では原料にTween 20を用いたが、この実施例ではTween 40, Tween 60, Tween 80を原料として重合膜を作製し(プラズマ源:空気、照射強度:30mA、照射時間:10min)、得られた重合膜について、照射面と非照射面の性質を調べた。
【実施例】
【0125】
接触角と表面張力測定の結果(図28)、Tween 40, Tween 60, Tween 80はいずれもTween 20の場合と同様にプラズマ重合により表裏で物性の差が見られた。またGI-SAXSによる薄膜の配向性解析と重合膜の断面TEM像(Os吸着)の測定と観察を行った結果(図29~図31)、Tween 40, Tween 60, Tween 80はいずれも表裏で物性の差が見られ、Os吸着密度の勾配より薄膜の断面方向に傾斜した組成を有することが確認された。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
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【図15】
14
【図16】
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【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30