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明細書 :分光特性測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5881051号 (P5881051)
登録日 平成28年2月12日(2016.2.12)
発行日 平成28年3月9日(2016.3.9)
発明の名称または考案の名称 分光特性測定装置
国際特許分類 G01J   3/45        (2006.01)
G01N  21/359       (2014.01)
FI G01J 3/45
G01N 21/359
請求項の数または発明の数 8
全頁数 19
出願番号 特願2014-539798 (P2014-539798)
出願日 平成25年10月2日(2013.10.2)
国際出願番号 PCT/JP2013/076871
国際公開番号 WO2014/054708
国際公開日 平成26年4月10日(2014.4.10)
優先権出願番号 2012223460
優先日 平成24年10月5日(2012.10.5)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年4月7日(2015.4.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028346
【氏名又は名称】国立大学法人 香川大学
発明者または考案者 【氏名】石丸 伊知郎
個別代理人の代理人 【識別番号】110001069、【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
審査官 【審査官】塚本 丈二
参考文献・文献 国際公開第2012/033096(WO,A1)
特開2008-309707(JP,A)
特表2009-506335(JP,A)
韓国登録特許第10-772557(KR,B1)
石崎勝己 ほか,透明浮遊細胞高速トラッキングのための光学的可視化技術,精密工学会誌,日本,公益社団法人精密工学会,2007年,Vol.73,No.4,p.498-501
YASOKAWA, T., et al.,A double filtering method for measuring the translational velocity of fluorescently stained cells,APPLIED PHYSICS LETTERS,米国,American Institute of Physics,2007年 9月28日,Vol. 91,p. 131116-1 to 131116-3,[online], DOI:10.1063/1.2793695
調査した分野 G01J 3/45
G01N 21/359
G01J 9/02
G01B 9/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
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特許請求の範囲 【請求項1】
a) 被測定物の測定領域内に位置する複数の測定点からそれぞれ発せられた測定光束を第1の測定光束及び第2の測定光束に分割する分割光学系と、
b) 前記第1の測定光束及び前記第2の測定光束を干渉させる結像光学系と、
c) 前記第1の測定光束及び前記第2の測定光束の間に連続的な光路長差分布を与える光路長差付与手段と、
d) 前記干渉光の光強度を検出する干渉光検出部と、
e) 前記干渉光検出部で検出される前記干渉光の光強度に基づき、前記被測定物の測定点のインターフェログラムを求め、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを取得する処理部と、
f) 前記被測定物と前記分割光学系の間に配置された、該分割光学系と共通の共役面を有する共役面結像光学系と、
g) 前記共役面に配置され、前記複数の測定点から発せられた測定光束の間に周期性を付与する周期性付与手段と
を備えることを特徴とする分光特性測定装置。
【請求項2】
前記光路長差付与手段が、固定反射部、及び該固定反射部と並んで配置され光軸方向に移動可能な可動反射部を有し、
前記分割光学系が、前記測定光束を前記固定反射部と前記可動反射部に入射させる入射光学系を有し、
前記結像光学系が、前記測定光束のうち前記固定反射部によって反射された第1の測定光束と前記可動反射部によって反射された第2の測定光束を同一点に導いて両測定光束の干渉光を形成させ、
前記処理部が、前記可動反射部を移動させることにより前記干渉光検出部で検出される前記干渉光の光強度変化に基づき前記両測定光束のインターフェログラムを求める
ことを特徴とする請求項1に記載の分光特性測定装置。
【請求項3】
前記光路長差付与手段が、入射面と出射面が平行な第1透過部と、入射面及び出射面のいずれか一方が前記第1透過部の入射面又は出射面と同一面上にあり、入射面及び出射面のうちの一方に対して他方が傾斜するくさび形の第2透過部から成る透過型の光学部材を有し、
前記分割光学系が、前記測定光束を平行光線化して前記第1透過部及び前記第2透過部に入射させる対物レンズを有し、
前記結像光学系が、前記測定光のうち前記第1透過部を透過した第1測定光束と前記第2透過部を透過した第2測定光束が入射する、前記第1透過部と前記第2透過部の境界面と前記第1透過部の入射面との交線に平行な軸を有する、シリンドリカルレンズを有し、
前記干渉光検出部が、前記シリンドリカルレンズに入射した前記第1測定光束と前記第2測定光束の干渉光の強度分布を検出し、
前記処理部が、前記干渉光検出部で検出される前記干渉光の強度分布に基づき前記被測定物の測定点のインターフェログラムを求め、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを取得する
ことを特徴とする請求項に記載の分光特性測定装置。
【請求項4】
さらに、
前記対物レンズ、前記光学部材、前記シリンドリカルレンズ、前記干渉光検出部を一列に並べた状態で収容する、前記対物レンズ側の端部に前記被測定物の測定点から発せられた測定光束を取り込むための窓部を有する筒状ケースを備えることを特徴とする請求項に記載の分光特性測定装置。
【請求項5】
前記筒状ケース内に回転自在に配置された、前記光学部材及び前記シリンドリカルレンズを収容する内部ケースを備えることを特徴とする請求項に記載の分光特性測定装置。
【請求項6】
前記内部ケースを回転させる駆動手段を備えることを特徴とする請求項に記載の分光特性測定装置。
【請求項7】
前記対物レンズが光軸方向に移動可能に前記筒状ケース内に取り付けられていることを特徴とする請求項のいずれかに記載の分光特性測定装置。
【請求項8】
前記周期性付与手段が振幅型回折格子であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の分光特性測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、分光特性測定装置に関し、特には、血糖や血中コレステロール等の生体成分を非侵襲で測定することができる分光特性測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病や高脂血症等、さまざまな病気において、血液に含まれるグルコース(血糖)やコレステロール等の生体成分の管理はその予防及び治療のために重要である。しかしながら、血液中の生体成分を測定するためには、通常、微量ながら血液を採取しなければならず、苦痛を伴う。また、採血部位の消毒や消耗品の処理などの煩わしい作業が必要であるため、例えば予防目的で生体成分を測定するための採血を日常的に行うことは敬遠される。
【0003】
これに対して、血液を採取せずに生体成分を測定する非侵襲の測定装置が提案されている(特許文献1参照)。この測定装置では、生体の被検部位に光を照射し、それにより該被検部位の内部の生体成分から発せられる光(物体光)の分光特性から生体成分を求める。具体的には、生体成分を光学的に構成する各輝点から生じる透過光や拡散・散乱光等の物体光を、対物レンズを介して位相シフタである固定ミラー部と可動ミラー部に導き、これら2つのミラー部から反射される物体光束を結像面において干渉させる。可動ミラー部はピエゾ素子などにより移動されるようになっており、該可動ミラー部の移動量に応じた位相差が固定ミラー部で反射される物体光束と可動ミラー部から反射される物体光束の間に生じ、それに伴い両光束による干渉光の強度が変化して、いわゆるインターフェログラムを形成する。このインターフェログラムをフーリエ変換することにより物体光の分光特性(スペクトル)を取得する。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2008-309707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記した測定装置を用いて生体成分を測定する場合、次のような問題があった。
まず、第1の問題は、上記測定装置は、固定ミラー部及び可動ミラー部の2つのミラー部の設置角度に高い精度が要求されることである。該測定装置では、2つのミラー部で反射された物体光束を結像面において干渉させ、その干渉光の強度変化に基づき分光特性を取得する。2つのミラー部の反射面の角度によって各反射面で反射した物体光束の干渉面での結像位置が定まるため、該物体光を所定の位置で正しく結像し干渉させるためには、2つのミラー部の反射面の設置角度を精度良く設定する必要がある。また、装置の組立時には2つのミラー部の反射面の角度が正しく設定されていたとしても、温度・湿度等の周囲環境の変化等の外乱、可動ミラー部の移動誤差等によって2つのミラー部の反射面の相対的な角度が変化することがある。このような場合には、所定の結像位置において2つのミラー部で反射した物体光束の干渉現象が起きず、物体光の分光特性を取得することができない。
【0006】
第2の問題は、結像面における干渉光の光量分布が被検部位のテクスチャー(表面状況)による回折角の違い等の影響を受けることである。つまり、生体成分の濃度分布に依存する吸光度分布だけでなく、被検部位の屈折率分布等や物体光が通過する箇所の光学的なテクスチャーの違いにより結像面における物体光の光量分布が異なってしまうため、生体成分の濃度分布を正確に測定することができない。
【0007】
また、空間的にコヒーレントな光の場合、テクスチャーがほとんど無い試料からは高次回折光を生じることが無く、0次光のみとなる。例えばケラー照明の場合、0次光は平行光束として対物レンズに到達し、光学的フーリエ変換面で集光してしまう。つまり、2つのミラーにより波面を分割することができず、分光特性を取得することができない。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、装置への外乱や内部の機械的誤差等の影響を小さく抑えることができる分光特性測定装置を提供することである。また、本発明が解決しようとする課題は、被検部位の周辺に光学的攪乱要素が存在する場合、また逆に空間的変化が少ない(空間周波数が低い)場合、共に該被検部位の分光特性を正しく取得することができる分光特性測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明の第1態様に係る分光特性測定装置は、
a) 被測定物の測定領域内に位置する複数の測定点からそれぞれ発せられた測定光束を第1の測定光束及び第2の測定光束に分割する分割光学系と、
b) 前記第1の測定光束及び前記第2の測定光束を干渉させる結像光学系と、
c) 前記第1の測定光束及び前記第2の測定光束の間に連続的な光路長差分布を与える光路長差付与手段と、
d) 前記干渉光の光強度分布を検出する検出部と、
e) 前記検出部で検出される前記干渉光の光強度分布に基づき、前記被測定物の測定点のインターフェログラムを求め、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを取得する処理部と、
f) 前記被測定物と前記分割光学系の間に配置された、該分割光学系と共通の共役面を有する共役面結像光学系と、
g) 前記共役面に配置され、前記複数の測定点から発せられた測定光束の間に周期性を付与する周期性付与手段と
を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第1態様に係る分光特性測定装置は、
a) 固定反射部、及び該固定反射部と並んで配置され光軸方向に移動可能な可動反射部と、
b) 被測定物の測定領域内に位置する複数の測定点からそれぞれ発せられた測定光束を前記固定反射部と前記可動反射部に入射させる入射光学系と、
c) 前記固定反射部によって反射された測定光束と前記可動反射部によって反射された測定光束を同一点に導いて両測定光束の干渉光を形成する結像光学系と、
d) 前記干渉光の光強度を検出する干渉光検出部と、
e) 前記可動反射部を移動させることにより前記干渉光検出部で検出される前記干渉光の光強度変化に基づき前記両測定光束のインターフェログラムを求める処理部と
f) 前記被測定物と前記入射光学系の間に配置された、該入射光学系と共通の共役面を有する共役面結像光学系と、
g) 前記共役面に配置され、前記複数の測定点から発せられた測定光束の間に周期性を付与する周期性付与手段と
を備える構成を採ることもできる。
【0011】
本発明の第1態様の分光特性測定装置では、測定点(物体面)と共役な面上に周期性付与手段を配置し、そこで空間的な周期変化を付与された光束により干渉光を得るようにした。そのため、テクスチャーがほとんど無い試料からでも高次回折光を生じさせることができ、干渉光を得ることができる。また、共役面に形成される実像に一定の空間的周期性を重畳させることができるため、フーリエ変換面上での光量分布に及ぼす被測定物の測定点のテクスチャーの影響をなくすことができる。
【0012】
上記課題を解決するために成された本発明の第2態様に係る分光特性測定装置は、
a) 入射面と出射面が平行な第1透過部と、該第1透過部と並んで配置され、入射面及び出射面のいずれか一方が前記第1透過部の入射面又は出射面と同一面上にあり、入射面及び出射面のうちの一方に対して他方が傾斜するくさび形の第2透過部から成る透過型の光学部材と、
b) 被測定物の測定領域内に位置する複数の測定点からそれぞれ発せられた測定光束を平行光線化して前記第1透過部及び前記第2透過部に入射させる対物レンズと、
c) 前記第1透過部を透過した第1測定光束と前記第2透過部を透過した第2測定光束が入射する、前記第1透過部と前記第2透過部の境界面と前記第1透過部の入射面との交線に平行な軸を有する、シリンドリカルレンズと、
d) 前記シリンドリカルレンズに入射した前記第1測定光束と前記第2測定光束の干渉光の強度分布を検出する検出部と、
e) 前記検出部で検出される前記干渉光の強度分布に基づき前記被測定物の測定点のインターフェログラムを求め、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを取得する処理部と
を備えることを特徴とする。

【0013】
上記第2態様に係る分光特性測定装置においては、対物レンズに入射した測定光束の一部は第1透過部に入射し、第1測定光束としてシリンドリカルレンズに入射する。また、対物レンズに入射した測定光束の残りは第2透過部に入射し、第2測定光束としてシリンドリカルレンズに入射する。第2透過部がくさび形の光学部材から成るため、第1及び第2測定光束は位相差をもってシリンドリカルレンズに入射し、該シリンドリカルレンズの結像面において干渉光を形成する。この干渉光の強度分布から被測定物の測定点のインターフェログラムが求まるため、このインターフェログラムをフーリエ変換することにより測定点のスペクトルを取得することができる。
【0014】
上記第2態様に係る分光特性測定装置では、前記対物レンズ、前記光学部材、前記シリンドリカルレンズ、前記検出部を一列に並べて配置することができる。従って、これらを一つの筒状ケースに収容することにより、コンパクトで且つ外乱に強い分光特性測定装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1態様の分光特性測定装置では、測定点(物体面)と共役な面上に周期性付与手段を配置し、そこで空間的な周期変化を付与された光束により干渉光を得るようにした。そのため、テクスチャーがほとんど無い試料からでも高次回折光を生じさせることができ、干渉光を得ることができる。また、共役面に形成される実像に一定の空間的周期性を重畳させることができるため、フーリエ変換面上での光量分布に及ぼす被測定物の測定点のテクスチャーの影響をなくすことができる。
【0016】
本発明の第2態様の分光特性測定装置では、第1透過部と第2透過部からなる透過型の光学部材により被測定物の測定点から発せられた測定光束を2つに分割すると共にこれら2つの測定光束の間に連続的な光路長差を付与する。従って、可動ミラー部を移動させることにより光路長差を付与していた従来の測定装置と異なり、第1透過部と第2透過部の設置角度の設定が容易であり、第1測定光束と第2測定光束の干渉光を容易に得ることができる。また、2つの反射面で測定光束を反射させることにより該測定光束を2分割する構成では、反射面の傾きが変化すると反射光束の向きも変化するため、外乱の影響を受けやすい。一方、本発明のように測定光束を2つの透過部に透過させることにより該測定光束を2分割する構成では、透過部の入射面や出射面の傾きが変化しても、入射光束の向きが変わらなければ出射光束の向きも変化しない。従って、外乱の影響を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施例に係る分光特性測定装置の外観斜視図。
【図2】分光特性測定装置の概略的な側面図(a)、上面図(b)、内部ケースを回転させることにより得られる干渉光の概念図(c)、(b)の矢印A側から見た透過型位相シフタの斜視図(d)。
【図3】第1測定光束と第2測定光束の光路の説明図。
【図4】第2透過部の入射面が傾斜していることにより生じる波長分散の説明図であって、2次元アレイデバイスの受光面に到達する第2測定光束を模式的に示す図(a)、インターフェログラム(b)、及び分光特性(c)。
【図5】透過型位相シフタの設置角度の変化による測定光束の光路の変化を示す図。
【図6】本実施例において観察される2次元アレイデバイスの受光面の画像(a)、従来装置において観察される2次元アレイデバイスの受光面の画像(b)。
【図7】波長532nmのレーザーを対物レンズに入射させた結果、得られたインターフェログラム(a)及び分光相対強度(b)。
【図8】2次元アレイデバイスの受光面に形成された干渉像。
【図9】取得される干渉縞の説明図。
【図10】本発明の第2実施例に係る分光特性測定装置の外観斜視図。
【図11】本発明の第3実施例に係る分光特性測定装置の概略的な構成図。
【図12】第3実施例の効果を説明するための図。
【図13】本発明の第4実施例に係る分光特性測定装置の概略的な構成図。
【図14】フラウンフォーファ回折の説明図。
【図15】共役面にスリットと位相型回折格子を設置して、光源にレーザー光を用いた、ライン分光イメージングの観察画像。
【図16】全ての行の水平方向のインターフェログラムをフーリエ変換して結像ライン上の分光特性を取得した3次元グラフ。
【図17】共役面にスリットと位相型回折格子を設置して、光源に白色光(メタルハライドランプ)を用いてライン分光イメージングを行った観察画像。
【図18】全ての結像ライン上の画素において水平方向のインターフェログラムから、フーリエ変換により得た分光相対強度分布の3次元グラフ。
【図19】位相型回折格子を用いた場合の干渉強度の鮮明度について説明する図。
【図20】振幅型回折格子を用いた場合の干渉強度の鮮明度について説明する図。
【図21】本発明の第5実施例に係る分光特性測定装置の概略的な構成図と、第5実施例の構成により得られた測定結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の具体的な実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の第1実施例に係る分光特性測定装置の外観斜視図を示している。この分光特性測定装置は、円筒状のケース11とこの内部に一列に並べて収容された対物レンズ12、透過型位相シフタ13、結像レンズであるシリンドリカルレンズ14、2次元CCDカメラなどの2次元アレイデバイス15(本発明の検出部に相当)から構成されている。ケース11の対物レンズ12側の端部には窓部111が形成されている。被測定物S(図2参照)の測定点から発せられた測定光はこの窓部111を通してケース11内に取り込まれ、対物レンズ12によって透過型位相シフタ13に入射される。
【実施例1】
【0020】
透過型位相シフタ13とシリンドリカルレンズ14は、ケース11内に回動自在に取り付けられた円筒状の内部ケース16内に固定されている。この内部ケース16は超音波モータやソレノイド等の駆動部141により回転されるようになっており、該内部ケース16の回転により透過型位相シフタ13とシリンドリカルレンズ14は一体的に回転するようになっている。
2次元アレイデバイス15は例えば2次元CCDカメラから成り、シリンドリカルレンズ14の結像面に2次元アレイデバイス15の受光面が位置するように構成されている。2次元アレイデバイス15の検出信号は処理部151に入力されるようになっている。処理部151は、2次元アレイデバイス15からの検出信号からインターフェログラムを求める。このインターフェログラムは演算処理部152によって数学的にフーリエ変換され、その結果、測定光の波長毎の相対強度である分光特性(スペクトル)が得られる。

【実施例1】
【0021】
透過型位相シフタ13は、半円状の透過型光学部材である第1透過部131と、半円状の透過型光学部材である第2透過部132からなり、全体としてほぼ円柱状の構成を有している。第1透過部131は、入射面及び出射面が平行な厚さ一定の光学部材から成る。一方、第2透過部132は、第1透過部131の入射面に対して傾斜する入射面と、第1透過部131の出射面と同一面上にある出射面を有するくさび形の光学部材から成る。本実施例では、第2透過部132の入射面は、第1透過部131と第2透過部132の境界面における第2透過部132の厚さが一方側から他方側に向かって徐々に小さくなるように傾斜している。
第2透過部132の入射面の傾斜角度は、波数分解能により決まる位相シフト量と、2次元アレイデバイス15の画素毎のサンプリング間隔により決まるが、多少ずれても問題はない。
【実施例1】
【0022】
なお、第1透過部131と第2透過部132はそれぞれ別の光学部材から構成しても良く、円盤状の光学部材の上半部を加工して入射面が傾斜する第2透過部132としても良い。また、上記分光特性測定装置では透過型位相シフタ13とシリンドリカルレンズ14のみを回転する構成としたが、対物レンズ12及び/又は2次元アレイデバイス15も透過型位相シフタ13及びシリンドリカルレンズ14と一体に回転する構成としても良い。
【実施例1】
【0023】
上記測定装置の光学的作用について図2~図4を参照して説明する。
被測定物Sの一測定点から発せられた測定光束LSは、対物レンズ12により平行光線化され、透過型位相シフタ13の第1透過部131及び第2透過部132に入射する。そして第1透過部131及び第2透過部132を透過した測定光束はそれぞれ第1測定光束及び第2測定光束としてシリンドリカルレンズ14に入射する。このとき、第1透過部131の入射面と出射面は平行であるため、シリンドリカルレンズ14に入射した第1測定光束LS1は、2次元アレイデバイス15の受光面に位相が揃った状態で同一直線上に集光する。一方、第2透過部132は出射面に対して入射面が傾斜しているため、第2測定光束LS2はその波面が該入射面に沿って傾斜した状態でシリンドリカルレンズ14に入射し、同様に、2次元アレイデバイス15の受光面においても波面が傾斜した状態で同一直線上に集光する。
【実施例1】
【0024】
このため、第1測定光束と第2測定光束の干渉領域では、両光束間の光路長差が徐々に変化することになる。被測定物Sの直線状の測定領域(図3参照)内の各測定点から発せられる測定光束には様々な波長の光が含まれることから、干渉領域の第1測定光束と第2測定光束の間の光路長差が連続的に変化することにより、図4(b)に示すようなインターフェログラムと呼ばれる干渉光強度分布の波形が得られる。
【実施例1】
【0025】
図4(b)において、縦軸は位相シフト量を、横軸は干渉光の強度を示す。位相シフト量は第2透過部132の傾斜角度や2次元アレイデバイス15の画素サイズ、シリンドリカルレンズ14の焦点距離等から求められる。演算処理部152は、このインターフェログラムをフーリエ変換することにより、被測定物Sの各測定点から発せられた測定光の波長毎の相対強度である分光特性(スペクトル)を得る(図4(c)参照)。また、内部ケース16を所定角度回転させることにより、それに応じて被測定物Sの測定領域が回転する。従って、所定角度ずつ360度回転させることにより、被測定物S全体の二次元分光測定が可能となる(図2の(c)参照)。
【実施例1】
【0026】
ここで、第2透過部132の入射面に入射した測定光束(第2測定光束)の屈折角は波長毎に異なるため、第2透過部132から出射する第2測定光束は分散により集光位置がずれる。しかし、この分散によるずれ量はインターフェログラムのフーリエ変換後に位相項となり、振幅項には影響しない。従って、フーリエ変換により取得される分光特性には影響を及ぼさない。実際、測定波長帯域が900~1700nm、焦点距離fが5mm、2次元アレイデバイス15の画素サイズが30μmのときの分散によるずれ量を計算すると3.7μmであり、2次元アレイデバイス15の画素サイズよりも十分に小さかった。この点からも分散による影響は小さいことが分かる。
【実施例1】
【0027】
また、図5に示すように、透過型位相シフタ13の場合は第1透過部131又は第2透過部132の設置角度が変化しても、第1測定光束又は第2測定光束の光路は平行移動するだけである(図5に矢印で示す。)。従って、第1測定光束と第2測定光束は所定の領域に集光し、高鮮明度の干渉像を形成するため、第1透過部131及び第2透過部132の設定精度が要求されない。これに対して、従来の分光特性測定装置では反射面の傾きが変化すると反射光、つまり第1測定光束又は第2測定光束の向きが変化し、干渉しないことがある。参考として、本実施例の分光特性測定装置における2次元アレイデバイス15の受光面の画像を図6(a)に、反射型位相シフタを用いて構成された従来の分光特性測定装置における2次元アレイデバイスの受光面の画像を図6(b)に示す。従来装置では第1測定光束と第2測定光束が干渉していない。
【実施例1】
【0028】
次に、本実施例に係る分光特性測定装置の精度評価を行うために行った実験結果を図7及び図8に示す。この実験では、測定光として波長532nmのレーザー(光源としてCOHERENT社のグリーンレーザ(Verdi G5)使用)をピンホール(直径5μm)を通して対物レンズ12に入射させてインターフェログラム(図7(a))を取得すると共にこのインターフェログラムをフーリエ変換して分光相対強度(図7(b))を求めた。この実験に用いた第2透過部132の入射面の第1透過部131の入射面に対する傾き(相対角度)は1.0(deg.)である。
【実施例1】
【0029】
図7(b)に示すように、インターフェログラムから得られたスペクトルは波長532nmにピークを有する鋭い輝線スペクトルであったことから、本実施例の分光特性測定装置を用いることにより測定光の分光特性を精度良く取得できることが分かる。
【実施例1】
【0030】
また、図8に本実験で得られた2次元アレイデバイス15の受光面の干渉像を示す。この干渉像の中央部分を拡大すると千鳥格子模様を有していることが分かった。一般的に、位相差を有する2つの光が干渉した場合、干渉縞が形成されるが、本実施例では千鳥格子模様が形成された。その理由を以下に説明する。
【実施例1】
【0031】
図9の上図に示すように、2次元アレイデバイス上の垂直軸を集光軸、水平軸を干渉軸とすると、シリンドリカルレンズの集光限界により、集光軸方向には明るさの分布が生じる。この分布は、時間的な位相シフト量に伴って非対称に変化する。本実施例では、透過型位相シフタによって空間的に位相差を与えているため、例えば図9の左下に示すグラフ中の曲線L1の場合は集光軸の上方向が明るく、曲線L2の場合は集光軸の下方向が明るくなる。そのため、図9の右下に示す干渉縞のように、干渉軸方向に交互に明暗となるだけでなく、集光軸方向に交互に明暗を繰り返すことになる。なお、ここでは、説明を簡単にするために干渉縞を白黒で2値的に描画しており、この明暗は、位相がπずれて現れることにしている。
【実施例2】
【0032】
図10は本発明の第2実施例に係る分光特性測定装置を示している。この分光特性測定装置は、対物レンズ12がケース11内を矢印Bで示す方向に移動可能に該ケース11内に取り付けられている点が第1実施例と異なる。このように対物レンズ12を矢印B方向に移行させることにより合焦面(合焦位置を含む面)を移動させることができる。従って、透過型位相シフタ13及びシリンドリカルレンズ14を回転すると共に対物レンズ12を移動させることにより三次元分光測定が可能となる。これは、干渉強度変化であるインターフェログラムが、合焦面からの結像に寄与する物体光のみにより生成されるため、合焦面内に測定面深さを限定できる特徴による。
【実施例3】
【0033】
本発明の第3実施例に係る分光特性測定装置について図11を参照して説明する。この分光特性測定装置は、対物レンズ12の前段にリレーレンズ21を配置すると共に該リレーレンズ21と対物レンズ12の共役面に位相型回折格子22を配置した点に特徴を有する。前記リレーレンズ21は本発明の共役面結像光学系を構成する。また、この分光特性測定装置では、位相型回折格子22、対物レンズ12、透過型位相シフタ13、シリンドリカルレンズ14が内部ケース16に収容されている。
【実施例3】
【0034】
位相型回折格子22は例えば鋸歯状の格子面を有する透過型の回折格子であり、該位相型回折格子22を透過する光に周期的な位相差を与える。つまり、位相型回折格子22が本発明における周期性付与手段として機能する。
【実施例3】
【0035】
次に本実施例の効果について図12を参照して説明する。図12の上に位相型回折格子を用いない場合のインターフェログラムを示す。左図がテクスチャーのある領域のインターフェログラムである。振幅強度の大きいインターフェログラムが観測されており干渉が生じていることがわかる。一方、右図がテクスチャーのない領域のインターフェログラムである。振幅がほとんど観測されず干渉が生じていないことがわかる。
【実施例3】
【0036】
図12の下に位相型回折格子を用いた場合のインターフェログラムを示す。左図がテクスチャーのある領域のインターフェログラムである。振幅強度の大きいインターフェログラムが観測されており干渉が生じていることがわかる。一方、右図がテクスチャーのない領域のインターフェログラムである。この場合も振幅強度の大きいインターフェログラムが観測されており干渉が生じていることがわかる。このように本実施例によれば、テクスチャーのない領域においてもテクスチャーのある領域とほぼ同等の干渉が得られる。
【実施例3】
【0037】
なお、本実施例では、位相型回折格子を用いたが、空間的にインコヒーレントな光に周期的な強度分布を与える場合にはスリット、つまり振幅型回折格子を用いることができる。この場合、スリットの開口幅は対物レンズの集光限界2d(d=0.61λ/NA、λは光の波長、NAは開口数を示す)とする。
【実施例4】
【0038】
図13は本発明の第4実施例に係る分光特性測定装置の概略構成を示している。この分光特性測定装置は、共役面結像光学系と、測定光学系とから構成されている。測定光学系は、対物レンズ31、反射型位相シフタ32、結像レンズ33、検出部34から構成されている。検出部34は例えばCCDカメラから構成されている。
【実施例4】
【0039】
反射型位相シフタ32は、可動ミラー部321と、固定ミラー部322と、可動ミラー部321を移動させる駆動機構323とを備えて構成されている。可動ミラー部321及び固定ミラー部322の表面(反射面)は光学的に平坦で且つ本装置が測定対象とする光の波長帯域を反射可能な光学鏡面となっている。本実施例では、反射型位相シフタ32が光路長差付与手段に相当する。
【実施例4】
【0040】
共役面結像光学系は、対物レンズ31と被測定物の間に位置するように該対物レンズ31の前段に配置された結像レンズ35及びこの結像レンズ35の前段に配置された対物レンズ36から構成されている。これら共役面結像光学系と前記対物レンズ31は共通の共役面を有しており、この共通の共役面には位相型回折格子37が配置されている。
【実施例4】
【0041】
上述したように、位相型回折格子37は通過する光に周期的な位相差を付与する。このため、被測定物S上から発せられ、対物レンズ36、結像レンズ35を経て共役面に実像を形成した測定光は位相型回折格子37を透過する際に位相差が付与されて測定光学系に入射する。
【実施例4】
【0042】
測定光学系に入射した測定光は、対物レンズ31を経て位相シフタ32の可動ミラー部321と固定ミラー部322に入射し、これら2つのミラー部の反射面で反射された後、結像レンズ33を通って検出部34の受光面で集光して干渉する。検出部34が受光した干渉光強度は、図示しない制御装置の処理部に入力され、演算処理部にてフーリエ変換された後、分光特性が取得される。
【実施例4】
【0043】
ところで、被測定物Sの物体面のテクスチャーは様々であり、そのテクスチャーによる回折角の違い等によって結像レンズ35の結像面における干渉光の光量分布が変化する。また、空間的にコヒーレントな光の場合、テクスチャーがほとんど無い物体面からは高次回折光を生じることがなく、0次光のみとなる。例えばケラー照明の場合、0次光は平行光束として対物レンズ36に到達し、光学的フーリエ変換面で集光してしまうため、透過型位相シフタによって波面を分割することができない。これに対して、被測定物Sの物体面に周期的なテクスチャーを重畳すれば、該物体面のテクスチャーに依存することなく、光学的フーリエ変換面で安定的に回折光分布を得ることが可能になり、安定的に波面分割による位相シフト干渉が可能になる。
【実施例4】
【0044】
しかし、被測定物Sの物体面に物理的な周期構造を付与することはできない。そこで、本実施例では、共役面結像光学系を設けて光学的に共役な物体面を形成すると共に、共役面に透過型の周期構造である位相型回折格子を配置することにより、前記共役な物体面に周期的なテクスチャーを重畳するようにしたものである。従って、本実施例では、被測定物Sの物体面のテクスチャーに関係なく測定光を2分割して干渉させることが可能となり、その結果、分光特性を取得することができる。
【実施例4】
【0045】
なお、位相型回折格子が測定光に付与する位相差量が以下の条件をみたす場合は、さらに鮮明度の高い干渉光を得ることができる。具体的には、相対的な位置がd=0.61λ/NA離れている位置において、連続的に付与される位相差量がπ(rad.)となることである。例えば2次元で分光特性を取得する場合は、図13に示すように、隣接する輝点間に相対的に位相差πを与えることができる位相型回折格子を用いる。
【実施例4】
【0046】
上記した条件で位相差量π(rad.)を与える理由について図14を参照して説明する。
まず連続した輝点群を、集光限界の中心位置から第1暗輪帯までの半径d=0.61λ/NA(λ:光の波長、NA:開口数)の輝点ペアに分解して考える。つまり、被測定物Sの物体面には、間隔d離れた輝点ペアが連続的に並んでいるものとする。これらのうち1つの輝点ペアは、レーリー基準の解像限界で知られているように、両輝点の集光限界の輝度中心と第1暗輪帯が互いに重なり合う2つの輝点から成り、そのうち1つの輝点内の光強度分布は、レンズ開口部を透過する多光線干渉現象としてのフラウンフォーファ回折に基づき、位相シフト操作に伴い変化する。まず、位相シフト量が無い場合は、通常の集光限界に従い、多光線の強め合う干渉条件として輝点中心は明るく、第1暗輪帯は弱め合う条件として暗く観察される。しかし、位相シフト操作に伴い多光線の位相差は異なり干渉条件が変化するため、輝点中心が多光線干渉の弱め合う条件へと遷移して暗くなる。また、初期条件で多光線が打ち消し合う条件だった第1暗輪帯が、逆に強め合う条件へと遷移して明るくなる。
【実施例4】
【0047】
これは、干渉条件としてマクロにモデル化すると、集光中心と第1暗輪帯の位相条件がπずれていることに依る、と簡略化して考えることができる。つまり、位相シフト操作に伴い、輝点間ペアの位相差量は互いに打ち消し合うことになるため、互いに打ち消し合う輝点ペアが連続的に並んでいる空間周波数の低い領域では、干渉強度変化を観察することはできない。しかし、エッジ部においては、打ち消し合う相手となる輝点が存在しなくなるので位相シフトに伴う干渉強度を観察することができる。つまり、エッジ部のみで干渉強度変化を観察することが可能になる。
【実施例4】
【0048】
なお、本発明は上記した実施例に限らず適宜の変更が可能である。
例えば、透過型位相シフタ13の第2透過部132の出射面を第1透過部131の出射面に対して傾斜させ、第1透過部131及び第2透過部132の入射面を同一面上に成るように構成しても良い。
【実施例4】
【0049】
次に、本発明をライン分光イメージングに適用した例について説明する。図15に、共役面にスリットと位相型回折格子を設置して、光源にレーザー光(波長:632.8nm)を用いた、ライン分光イメージングの観察画像を示す。この観察画像の横軸は位相シフト量、縦軸は結像方向の座標である。図中左上に、例えば、観察画像水平方向の1行上の各画素の輝度値分布をグラフで示す。これは、結像ライン上の1輝点(1画素)のインターフェログラムである。これを数学的にフーリエ変換することにより、輝線スペクトルのピーク値を波長632.8nmに有する良好な分光特性を取得できた(図中の中上)。また、干渉強度の面分布の一部を拡大すると、千鳥状の干渉強度分布が理論通りに観察できていることが確認できた(図中の右上)。
【実施例4】
【0050】
また図16に、全ての行の水平方向のインターフェログラムをフーリエ変換して結像ライン上の分光特性を取得したグラフを示す。これは、グラフ底面の座標がそれぞれ波長と結像方向の画素座標であり、垂直軸が相対強度である結像ライン上の分光相対強度分布の3次元グラフである。このように、結像ライン上全ての画素座標において、輝線スペクトル(ピーク波長:632.8nm)を計測することができた。
【実施例4】
【0051】
また、図17に、共役面にスリットと位相型回折格子を設置して、光源に白色光(メタルハライドランプ)を用いてライン分光イメージングを行った観察画像を示す。また図18に、全ての結像ライン上の画素において水平方向のインターフェログラムから、フーリエ変換により得た分光相対強度分布の3次元グラフを示す。これは、グラフ底面の座標がそれぞれ波長と結像方向の画素座標であり、垂直軸が相対強度である結像ライン上の分光相対強度分布の3次元グラフである。このように、メタルハライドランプ特有の複数の輝線スペクトルを良好に計測することができた。
【実施例4】
【0052】
これらの結像ライン上の分光分布は、試料面での合焦面上の深さに限定した分光分布であり、合焦面を試料の深さ方向に走査することにより、分光断層イメージングも可能である。
【実施例5】
【0053】
上述の実施例3及び4では、周期性付与手段として位相型回折格子を用いる構成について説明したが、本実施例では周期性付与手段として振幅型回折格子を用いる。
【実施例5】
【0054】
実施例4において説明したように、被測定物Sの物体面には、集光限界の中心位置から第1暗輪帯までの半径dがd=0.61λ/NAである輝点のペアが間隔d離れて連続的に並んでいる。位相型回折格子を用いる構成では、図19に示すように、ある輝点について見ると、その中心位置に、該輝点と間隔d離れて位置する輝点の第1暗輪帯が重なって位置する。その結果、隣接する輝点間で強度変化を打ち消しあい、干渉強度の鮮明度が低下してしまう場合がある。
【実施例5】
【0055】
そこで、本実施例では、図20に示すように、振幅型回折格子を用い、被測定物Sの物体面において間隔d離れて位置する輝点を1つ置きに抽出し、輝点間の間隔を2dとする。これにより、輝点間で強度変化が打ち消されて干渉強度の鮮明度が低下することを防いでいる。
【実施例5】
【0056】
図21の左図は、第5実施例に係る分光特性測定装置の概略構成図であり、図13に示した実施例4と同様に、共役面結像光学系と、測定光学系(2D-Fourier Spectroscopic imaging optics)から構成されている。上述のとおり、周期性付与手段として振幅型回折格子を用いる点以外は実施例4と同じ構成であるため、各構成要素に関する説明を省略する。
【実施例5】
【0057】
実施例4及び5の分光特性測定装置に共通する特徴として、測定対象に応じて個別に設計する必要があるのは共役面結像光学系のみであり、共役面超解像格子(振幅型回折格子)を含む結像型2次元フーリエ分光光学系は常に同じ光学系で良い点が挙げられる。これは、共役面上での実像の大きさを常に一定にするように共役面結像光学系の倍率を設定すれば良いためである。
【実施例5】
【0058】
共役面結像光学系の対物レンズのNAは、適用対象に求められる解像度から決まる。また求められる視野サイズと、予め設定されている共役面での実像の大きさから共役面結像光学系の倍率が求まり、結像レンズが決まる。本実施例では、結像型2次元フーリエ分光光学系(対物レンズNA:0.42, 倍率:5倍)の理論空間解像度1μmを目安として、格子周期が5μmである振幅型回折格子を用いた。また、視野3.5×2.6mm、解像度2μmとして、共役面結像光学系の倍率を2.5倍、対物レンズのNAを0.196とした。受光デバイスには白黒カメラモジュール(メーカ:SONY、型式:XC-77、画素サイズ:11μm)、白色光源にはメタルハライドランプ(メーカ:シグマ光機株式会社、型式:IMH-250)を使用した。
【実施例5】
【0059】
本実施例では、観察視野内で多様な空間周波数を含む試料を作成し、その分光特性を測定した。具体的には、テクスチャーのないスライドガラス上に細い繊維をランダムに配置することによって、空間周波数が極めて小さい領域と、空間周波数が適宜に変化する領域を設け、これらの領域の分光特性をそれぞれ測定した(図21右の「有」)。また、比較のために、回折格子を用いない従来の構成でもインターフェログラムを取得した(図21右の「無」)。
【実施例5】
【0060】
インターフェログラムの振幅値は、空間周波数によらず、均一であることが好ましい。しかし、振幅型回折格子を用いない従来の構成では、テクスチャーがない領域で干渉が生じていない。一方、本実施例の構成では、テクスチャーがない領域においても干渉が生じていることが分かる。
【実施例5】
【0061】
本発明に係る分光特性計測装置は、医学的な分野において、血糖や血中コレステロール等の生体成分を測定するだけに留まらず、様々な分野において用いることができる。例えば、工業的な分野において、材料の分光特性を測定して欠陥を検査するために用いたり、あるいは、科学捜査の分野において、印刷物の分光特性を測定するために用いることもできる。
【符号の説明】
【0062】
11…ケース
111…窓部
12、31…対物レンズ
13…透過型位相シフタ
131…第1透過部
132…第2透過部
14…シリンドリカルレンズ
15…2次元アレイデバイス
16…内部ケース
21…リレーレンズ
22、37…位相型回折格子
32…反射型位相シフタ
33、35…結像レン
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図7】
5
【図9】
6
【図10】
7
【図11】
8
【図12】
9
【図13】
10
【図14】
11
【図19】
12
【図20】
13
【図21】
14
【図6】
15
【図8】
16
【図15】
17
【図16】
18
【図17】
19
【図18】
20