TOP > 国内特許検索 > プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体 > 明細書

明細書 :プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成28年9月5日(2016.9.5)
発明の名称または考案の名称 プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体
国際特許分類 C07D 215/48        (2006.01)
A61K  31/47        (2006.01)
A61P   3/04        (2006.01)
A61P  37/06        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
FI C07D 215/48 CSP
A61K 31/47
A61P 3/04
A61P 37/06
A61P 43/00 105
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 39
出願番号 特願2014-542136 (P2014-542136)
国際出願番号 PCT/JP2013/077937
国際公開番号 WO2014/061647
国際出願日 平成25年10月15日(2013.10.15)
国際公開日 平成26年4月24日(2014.4.24)
優先権出願番号 2012230985
優先日 平成24年10月18日(2012.10.18)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】本間 好
【氏名】鈴木 俊幸
【氏名】小椋 正人
【氏名】大島 吉輝
【氏名】菊地 晴久
出願人 【識別番号】509013703
【氏名又は名称】公立大学法人福島県立医科大学
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100180954、【弁理士】、【氏名又は名称】漆山 誠一
審査請求 未請求
テーマコード 4C031
4C086
Fターム 4C031MA01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC29
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA70
4C086ZB08
4C086ZB21
要約 生体に対する副作用が少ない脱共役作用及び/又は免疫抑制作用を有する化合物を開発し、その化合物を有効成分とする体重増加抑制剤又は免疫抑制剤を提供することを課題とする。
以下の一般式(I)で示される化合物又はその塩を提供する。
【化1】
JP2014061647A1_000037t.gif
[式中、R1は、水素原子(H)、C5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、R2は、C1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、R3及びR4は、それぞれ独立してC5、C10、C15、若しくはC20のプレニル基(ただし、R1がH及びR2がメチル基のときのC5のプレニル基を除く)、又はイソペンチル基を表す]
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の一般式(I)で示される化合物又はその塩。
【化1】
JP2014061647A1_000026t.gif
[式中、
R1は、水素原子(H)、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、
R2は、C1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、
R3及びR4は、それぞれ独立してC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基(ただし、R1がH及びR2がメチル基のときのC5のプレニル基を除く)、又はイソペンチル基を表す]
【請求項2】
R1がH又はジメチルアリル基を表し、
R2がC1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はC5若しくはC10のプレニル基を表し、
R3及びR4がそれぞれ独立してC5若しくはC10のプレニル基(ただし、R1がH及びR2がメチル基のときのC5のプレニル基を除く)、又はイソペンチル基を表す、
請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
以下の式(II)~(V)で示される、請求項2に記載の化合物又はその塩。
【化2】
JP2014061647A1_000027t.gif
【化3】
JP2014061647A1_000028t.gif
【化4】
JP2014061647A1_000029t.gif
【化5】
JP2014061647A1_000030t.gif

【請求項4】
以下の式(VIII)~(XII)で示される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【化6】
JP2014061647A1_000031t.gif
【化7】
JP2014061647A1_000032t.gif
【化8】
JP2014061647A1_000033t.gif
【化9】
JP2014061647A1_000034t.gif
【化10】
JP2014061647A1_000035t.gif

【請求項5】
請求項1に記載の一般式(I)で示される化合物で、式中、
R1は、H、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、
R2は、C1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(ただし、R1がHのときのC2~C4のアルキル基を除く)、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、
R3及びR4は、それぞれ独立してC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表す
化合物又はその塩を有効成分として含有する体重増加抑制剤。
【請求項6】
R1がH又はジメチルアリル基を表し、
R2がC1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(ただし、R1がHのときのC2~C4のアルキル基を除く)、又はC5若しくはC10のプレニル基を表し、
R3及びR4がジメチルアリル基を表す、
請求項5に記載の体重増加抑制剤。
【請求項7】
上記式(II)~(V)及び以下の式(VI)で示される、請求項5に記載の体重増加抑制剤。
【化11】
JP2014061647A1_000036t.gif

【請求項8】
体重増加抑制剤の製造のための請求項3に記載の化合物又はその塩の使用。
【請求項9】
請求項1に記載の一般式(I)で示される化合物で、式中、
R1は、水素原子(H)、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、
R2は、C1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、
R3及びR4は、それぞれ独立してC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基、又はイソペンチル基を表す
化合物又はその塩を有効成分として含有する免疫抑制剤。
【請求項10】
R1がH又はジメチルアリル基を表し、
R2がC1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(ただし、R1がHのときのC3若しくはC4のアルキル基を除く)、又はC5若しくはC10のプレニル基を表し、
R3及びR4がジメチルアリル基若しくはゲラニル基、又はイソペンチル基を表す
化合物又はその塩を有効成分として含有する免疫抑制剤。
【請求項11】
上記式(II)~(VI)、及び(VIII)~(XII)で示される、請求項9に記載の免疫抑制剤。
【請求項12】
免疫抑制剤の製造のための請求項1~4に記載の化合物又はその塩の使用。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、脱共役作用及び/又は免疫抑制作用を有する化合物を有効成分として含むプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
ミトコンドリアにおけるATP産生は、TCA回路、及びβ酸化系と電子伝達系により構成される酸化的リン酸化反応によって行われる。電子伝達系により、ミトコンドリア内膜にプロトン濃度勾配が形成され、そのエネルギー勾配によってF-ATPaseを回転させてATPが合成される(非特許文献1)。このように、ミトコンドリアでは電子伝達とATP合成が内膜でのプロトン濃度勾配を介して密に共役している。
【0003】
ミトコンドリア内膜の脱共役タンパク質であるUCP(uncoupling protein)は、プロトン濃度勾配を短絡的に解消するチャネルとして知られている(非特許文献1)。UCPが活性化されるとプロトンがミトコンドリア内膜を通過して流出するためプロトン濃度勾配が解消される。その結果、酸化基質の化学的エネルギーは、ATP合成に利用されることなく熱エネルギーに変換されて散逸してしまう。したがって、この過程を繰り返せば、ATP産生効率の低下により、細胞内脂肪の消費が促される結果、肥満対策となり得る。そのため、UCPと同様にミトコンドリア内膜に作用してプロトン濃度勾配を解消する作用を有する脱共役剤が抗肥満剤として注目されている。
【0004】
これまでに多数の脱共役剤が発見又は合成され、それらの細胞や個体に対する作用が公表されている(非特許文献2、3)。例えば、ジニトロフェノール(DNP)は、体重の減量効果が著しく、肥満治療薬として利用されたが、神経障害や白内障等の重篤な副作用を伴うという大きな問題があった(非特許文献4)。一般に、脱共役剤による体重増加抑制作用は、肥満対策として有用ではあるが、通常は脱共役作用によりプロトン濃度勾配を著しく解消する結果、ATP産生を阻害してしまい、また活性酸素生成を促進するために副作用が大きいという問題があった。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Nedergaard J., et al., 2005, EMBO reports, 6:917-921.
【非特許文献2】Terada H., 1990, Environ Health Perspect, 87:213-218.
【非特許文献3】Martinean L.C., 2012, Biochim Biophys Acta, 1820:133-150.
【非特許文献4】De Felice F.G., & Ferreira S.T., 2006, IUBMB Life, 58:185-191.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
もしも、ミトコンドリア内膜に対して穏やかに作用し、ATP合成を阻害しない脱共役剤を開発すれば、副作用の少ない体重増加抑制剤となり得る。
【0007】
そこで、本発明の目的は、体重増加抑制剤の有効成分として、副作用が少ない脱共役作用を有する化合物を開発し、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、新規脱共役剤として、細胞性粘菌の1種であるPolysphondylium pseudo-candidum由来の低分子化合物Ppc1を見出した。Ppc1は、従来、培養細胞の増殖抑制作用を示すことのみが知られていた(Kikuchi H. et al., 2010, Tetrahedron, 66:6000-6007)。本発明者らは、今回Ppc1がミトコンドリアのプロトン濃度勾配やATP合成を阻害しないこと、及び脱共役作用によりプロトンのミトコンドリア内膜通過によって、ATP生産効率を低下させることを明らかにした。Ppc1は、ATP合成における脱共役作用が穏やかであることから、細胞障害作用が低いという利点も有していた。さらに、Ppc1と同様の脱共役作用等を有するプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体の新規化合物も見出した。それらの中には、免疫抑制作用を有するものも見られた。本発明は、これらの新たな知見に基づいてなされたものであり、以下を提供する。
【0009】
(1)以下の一般式(I)で示される化合物又はその塩。
【化1】
JP2014061647A1_000003t.gif
[式中、R1は、水素原子(H)又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、R2は、C1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、R3及びR4は、それぞれ独立してC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基(ただし、R1がH及びR2がメチル基のときのC5のプレニル基を除く)、又はイソペンチル基を表す)]
【0010】
(2)R1がH、又はジメチルアリル基を表し、R2がC1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はC5若しくはC10のプレニル基を表し、R3及びR4がそれぞれ独立してC5若しくはC10のプレニル基(ただし、R1がH及びR2がメチル基のときのC5のプレニル基を除く)、又はイソペンチル基を表す、(1)に記載の化合物又はその塩。
【0011】
(3)以下の式(II)~(V)で示される、(2)に記載の化合物又はその塩。
【化2】
JP2014061647A1_000004t.gif
【化3】
JP2014061647A1_000005t.gif
【化4】
JP2014061647A1_000006t.gif
【化5】
JP2014061647A1_000007t.gif

【0012】
(4)以下の式(VIII)~(XII)で示される、(1)に記載の化合物又はその塩。
【化6】
JP2014061647A1_000008t.gif
【化7】
JP2014061647A1_000009t.gif
【化8】
JP2014061647A1_000010t.gif
【化9】
JP2014061647A1_000011t.gif
【化10】
JP2014061647A1_000012t.gif

【0013】
(5)(1)に記載の一般式(I)で示される化合物で、式中、R1は、H、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、R2は、C1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(ただし、R1がHのときのC2~C4のアルキル基を除く)、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、R3及びR4は、それぞれ独立してC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表す化合物又はその塩を有効成分として含有する体重増加抑制剤。
【0014】
(6)R1がH又はジメチルアリル基を表し、R2がC1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(ただし、R1がHのときのC2~C4のアルキル基を除く)、又はC5若しくはC10のプレニル基を表し、R3及びR4がジメチルアリル基を表す、(4)に記載の体重増加抑制剤。
【0015】
(7)上記式(II)~(V)及び以下の式(VI)で示される、(5)に記載の体重増加抑制剤。
【化11】
JP2014061647A1_000013t.gif

【0016】
(8)体重増加抑制剤の製造のための(3)に記載の化合物又はその塩の使用。
【0017】
(9)(1)に記載の一般式(I)で示される化合物で、式中、R1は、水素原子(H)、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、R2は、C1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、R3及びR4は、それぞれ独立してC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基(ただし、R1がH及びR2がメチル基のときのC5のプレニル基を除く)、又はイソペンチル基を表す化合物又はその塩を有効成分として含有する免疫抑制剤。
【0018】
(10)R1がH又はジメチルアリル基を表し、R2がC1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(ただし、R1がHのときのC3若しくはC4のアルキル基を除く)、又はC5若しくはC10のプレニル基を表し、R3及びR4がそれぞれ独立してC5若しくはC10のプレニル基若しくはゲラニル基、又はイソペンチル基を表す化合物又はその塩を有効成分として含有する免疫抑制剤。
【0019】
(11)上記式(II)~(VI)、及び(VIII)~(XII)で示される、(9)に記載の免疫抑制剤。
【0020】
(12)免疫抑制剤の製造のための(1)~(4)に記載の化合物又はその塩の使用。
【0021】
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2012-230985号の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の体重増加抑制剤によれば、個体に対する副作用が少ない脱共役剤を有効成分とする体重増加抑制剤を提供することができる。
【0023】
本発明の免疫抑制剤によれば、本発明のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体を有効成分とする免疫抑制剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1で合成し、脱共役作用について検証したプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体の構造式を示す。(a)は化合物MHQC、(b)は化合物Ppc1-r1、(c)は化合物Ppc1-r2、(d)はPpc1、(e)は化合物Ppc1-r3、(f)は化合物Ppc1-r4、(g)は化合物XA-r1、(h)は化合物XA-r2、(i)は化合物XA-r3、及び(j)は化合物XA-r4である。
【図2】図1で示した各プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体の脱共役作用を示す。
【図3】Ppc1(A)又はXA-r3(B)を異なる濃度で添加したときのミトコンドリアにおける経時的酸素消費量を示す。図中、矢印は400μMのADPの添加点を示す。
【図4】Ppc1(A)及びXA-r3(B)の添加によるミトコンドリアでのATP合成量を示す。ContのCCCP添加量は1μMである。
【図5】Ppc1(A)及びXA-r3(B)の添加によるミトコンドリアでのATP分解量を示す。ContのCCCP添加量は1μMである。
【図6】Ppc1(A)及びXA-r3(B)の添加によるミトコンドリアの膜電位を蛍光強度比で示した図である。
【図7】Ppc1(A)及びXA-r3(B)の添加によるRPE細胞の細胞増殖の変化を示した図である。
【図8】Ppc1(A)及びXA-r3(B)の添加によるRPE細胞の細胞障害活性を乳酸脱水素酵素(LDH)活性で示した図である。
【図9】Ppc1(A)及びXA-r3(B)の添加によるRPE細胞内での活性酸素の発生量の変化を示した図である。
【図10】Ppc1(A)及びXA-r3(B)を投与したときのマウスの体重変化を示した図である。
【図11】図1で示した各プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体及び式(XII)で示される化合物Ppc1-r5存在下のIL-2産生量を示す。
【図12】XA-r3の免疫抑制作用を示す図である。血清に含まれる抗NP-IgM抗体及び抗NP-IgG3抗体の力価を吸光度(OD450)の相対値で示す。Compound 55はXA-r3を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明について具体的に説明をする。

【0026】
1.プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体
本発明の第1の態様は、以下の一般式(I)で示される4,8-ジヒドロキシキノリン-2-カルボン酸(キサンツレン酸)の誘導体(本明細書では、以下「プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体」と略称する)及びその塩である。
【化12】
JP2014061647A1_000014t.gif

【0027】
上記式(I)中、R1は、水素原子(H)、C5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、R2は、C1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、R3及びR4は、それぞれ独立してC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基(ただし、R1がH及びR2がメチル基のときのC5のプレニル基を除く)を表し、又はイソペンチル基を表す。 上記一般式(I)における「プレニル基」は、炭素数5、10、15又は20のプレニル基、具体的には炭素数5のジメチルアリル基、炭素数10のゲラニル基、炭素数15のファルネシル基、又は炭素数20のゲラニルゲラニル基である。中でもR1、R3及びR4のプレニル基はジメチルアリル基が好ましく、R2のプレニル基はジメチルアリル基又はゲラニル基が好ましい。

【0028】
「イソペンチル基」は、炭素数5で二重結合を有さない分岐状の官能基である。

【0029】
「アルキル基」は、炭素数1~10個の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、ネオヘプチル基、シクロヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、ネオオクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基、シクロノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、シクロデシル基等が挙げられる。特に、炭素数1、2又は5~10の直鎖状のアルキル基であるメチル基、エチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基は好ましい。

【0030】
本発明のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体のうち、後述する脱共役作用及び免疫抑制作用を有する以下の式(II)~(V)で示される化合物は特に好ましい。
【化13】
JP2014061647A1_000015t.gif

【0031】
上記式(II)で示される化合物を本明細書では、「XA-r3」と称する。XA-r3の合成方法は、特に限定しない。例えば、後述の実施例に記載の合成方法を用いて化学合成することができる。
【化14】
JP2014061647A1_000016t.gif

【0032】
上記式(III)で示される化合物を本明細書では、「XA-r4」と称する。XA-r4の合成方法は、特に限定しない。例えば、後述の実施例に記載の合成方法を用いて化学合成することができる。
【化15】
JP2014061647A1_000017t.gif

【0033】
上記式(IV)で示される化合物を本明細書では、「XA-r2」と称する。XA-r2の合成方法は、特に限定しない。例えば、後述の実施例に記載の合成方法を用いて化学合成することができる。
【化16】
JP2014061647A1_000018t.gif

【0034】
上記式(V)で示される化合物を本明細書では、「Ppc1-r4」と称する。Ppc1-r4の合成方法は、特に限定しない。例えば、後述の実施例に記載の合成方法を用いて化学合成することができる。

【0035】
さらに、本発明のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体のうち、後述する免疫抑制作用を有する以下の式(VIII)~(XII)で示される化合物も好ましい。
【化17】
JP2014061647A1_000019t.gif

【0036】
上記式(VIII)で示される化合物を本明細書では、「Ppc1-r1」と称する。Ppc1-r1の合成方法は、特に限定しない。例えば、後述の実施例に記載の合成方法を用いて化学合成することができる。
【化18】
JP2014061647A1_000020t.gif

【0037】
上記式(IX)で示される化合物を本明細書では、「Ppc1-r2」と称する。Ppc1-r2の合成方法は、特に限定しない。例えば、後述の実施例に記載の合成方法を用いて化学合成することができる。
【化19】
JP2014061647A1_000021t.gif

【0038】
上記式(X)で示される化合物を本明細書では、「Ppc1-r3」と称する。Ppc1-r3の合成方法は、特に限定しない。例えば、後述の実施例に記載の合成方法を用いて化学合成することができる。
【化20】
JP2014061647A1_000022t.gif

【0039】
上記式(XI)で示される化合物を本明細書では、「XA-r1」と称する。XA-r1の合成方法は、特に限定しない。例えば、後述の実施例に記載の合成方法を用いて化学合成することができる。
【化21】
JP2014061647A1_000023t.gif

【0040】
上記式(XII)で示される化合物を本明細書では、「Ppc1-r5」と称する。Ppc1-r5の合成方法は、特に限定しない。例えば、後述の実施例に記載の合成方法を用いて化学合成することができる。

【0041】
本発明の「プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体の塩」とは、式(I)で示される化合物の塩であって、酸を用いて調製された活性化合物の酸付加塩をいう。好ましくは薬学的許容される非毒性の酸付加塩である。

【0042】
酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩若しくは過塩素酸塩のような無機酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩若しくはアスコルビン酸塩のような有機酸塩、メタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩若しくはp-トルエンスルホン酸塩のようなスルホン酸塩又はアスパラギン酸塩及びグルタミン酸塩のような酸性アミノ酸等が挙げられる。

【0043】
本発明のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体は、IL-2産生抑制作用を有する。したがって、免疫抑制剤として機能し得る。

【0044】
また、本発明の一部のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体は、細胞障害作用をほとんど示さず、ミトコンドリアのプロトン濃度勾配を阻害しない。さらに、プロトンを脱共役作用によりミトコンドリア内膜を通過させることでATP産生効率を低下させることが可能であり、その際の活性酸素の発生量は非常に少ない。したがって、脱共役作用が穏やかであり、生体に対する副作用が少ない脱共役剤として機能し得る。

【0045】
2.体重増加抑制剤
本発明の第2の態様は、体重増加抑制剤である。本発明の体重増加抑制剤は、脱共役作用を有する第1態様のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩を含むことを特徴とする。

【0046】
「脱共役作用を有する第1態様のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体」とは、上記一般式(I)で示される化合物において、式中、R1は、H、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、R2は、C1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(ただし、R1がHのときのC2~C4のアルキル基を除く)、又はC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表し、R3及びR4は、それぞれ独立してC5、C10、C15若しくはC20のプレニル基を表す化合物である。好ましくは、R1がH又はジメチルアリル基を表し、R2がC1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(ただし、R1がHのときのC2~C4のアルキル基を除く)、又はC5若しくはC10のプレニル基を表し、R3及びR4がジメチルアリル基を表す化合物である。具体的には、上記式(II)~(V)で示される化合物、及び下記式(VI)で示される化合物である。
【化22】
JP2014061647A1_000024t.gif

【0047】
上記式(VI)で示される化合物は、前述の公知化合物「Ppc1」である。Ppc1の合成方法は、特に限定しない。一例として、Kikuchiらの方法(Kikuchi H. et al., 2010, Tetrahedron, 66:6000-6007)が挙げられる。

【0048】
脱共役作用を有する第1態様のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩は、本発明の体重増加抑制剤の有効成分として作用する。本発明の体重増加抑制剤は、脱共役作用を有する第1態様のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩を少なくとも1つ含有する。ここで、プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体の塩は、体重増加抑制剤中でプロドラッグの形態であってもよい。本明細書において「プロドラッグ」とは、生理学的条件下で容易に化学変化を受け、結果的に第1態様のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導又はその活性形態へと変化する化合物である。例えば、投与前は、上記の一般式(I)で示される化合物とは異なる化合物であるが、消化管内で消化酵素の作用によって上記の一般式(I)で示される化合物又はその活性型に変換されるものをいう。あるいは、ex vivo環境で化学的又は生化学的方法によって前記化合物に変換されるものも含み得る。

【0049】
本発明の体重増加抑制剤における上記のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩の含有量は、プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体等の種類及び/又はその有効量、剤形、添加する担体の種類及び投与形態によって異なり、それぞれの条件において適宜選択される。通常は、一投与単位中にプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩の有効量が含有されていることが好ましい。

【0050】
本明細書において「有効量」とは、有効成分がその機能を発揮する上で必要な量、すなわち、本発明ではプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又は、その塩が体重増加抑制活性及び/又は後述する第3態様に記載の免疫抑制活性を発揮する上で必要な量であって、かつ投与する個体に対して有害な副作用をほとんど又は全く付与しない量をいう。プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩の有効量は、具体的には0.01mg/kg BW (体重)~0.15mg/kg BW、好ましくは0.02mg/kg BW~0.1 mg/kg BWである。一例として、例えば、体重60kgの成人に1日1日投与する錠剤であれば、1錠当たり0.6mg~9mgのプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩を包含していればよい。

【0051】
本発明の体重増加抑制剤は、有効成分であるプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩以外にも薬学的に許容可能な担体及び/又は溶媒を包含することができる。

【0052】
本明細書において「薬学的に許容可能な担体」とは、製剤技術分野において通常使用し得る非毒性の賦形剤、結合剤、崩壊剤、充填剤、乳化剤、流動添加調節剤等をいう。

【0053】
賦形剤としては、例えば、糖(例えば、限定はしないが、グルコース、スクロース、ラクトース、ラフィノース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、デキストリン、マルトデキストリン、デンプン及びセルロースを含む)、金属塩(例えば、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム)、クエン酸、酒石酸、グリシン、低、中、高分子量のポリエチレングリコール(PEG)、プルロニック、カオリン、ケイ酸、又はそれらの組み合わせが挙げられる。

【0054】
結合剤としては、例えば、デンプン糊、シロップ、グルコース液、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セラック及び/又はポリビニルピロリドン等が挙げられる。

【0055】
崩壊剤としては、例えば、デンプンや、乳糖、カルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、アガー、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、アルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド又はそれらの塩が挙げられる。

【0056】
充填剤としては、例えば、前記糖及び/又はリン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウム、若しくはリン酸水素カルシウム)が挙げられる。

【0057】
乳化剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルが挙げられる。

【0058】
流動添加調節剤及び滑沢剤としては、例えば、ケイ酸塩、タルク、ステアリン酸塩又はポリエチレングリコールが挙げられる。

【0059】
本発明の薬学的に許容可能な担体は、上記の他、必要に応じて、等張化剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、懸濁剤、希釈剤、界面活性剤、安定剤、吸収促進剤(例えば、第4級アンモニウム塩類、ラウリル硫酸ナトリウム)、増量剤、pH調整剤、保湿剤(例えば、グリセリン、デンプン)、吸着剤(例えば、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸)、崩壊抑制剤(例えば、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油)、コーティング剤、着色剤、保存剤、抗酸化剤、香料、風味剤、甘味剤、緩衝剤、無痛化剤等を含むこともできる。

【0060】
「薬学的に許容可能な溶媒」とは、製剤技術分野において通常使用し得る非毒性の溶媒であって、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等が挙げられる。これらは、必要に応じて血液と等張に調整されていることが好ましい。

【0061】
上記担体や溶媒は、主として前記製剤化や投与を容易にし、また剤形及び薬剤効果を維持するために用いられるものであり、必要に応じて適宜使用すればよい。

【0062】
本発明の体重増加抑制剤は、有効成分であるプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩が脱共役剤としての活性、すなわち体重増加抑制剤の薬理効果を失わない範囲において、同一及び/又は異なる薬理効果を有する一以上の薬剤を含有することもできる。例えば、本発明の体重増加抑制剤が経口投与剤の場合であれば、必要に応じて胃粘膜保護剤を所定量含有することができる。

【0063】
本発明の体重増加抑制剤は、第1態様のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導又はその塩を利用して、当該分野で公知の方法を用いて製剤化することができる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (Merck Publishing Co., Easton, Pa.)に記載の方法を用いればよい。

【0064】
体重増加抑制剤の剤形は、その投与方法、及び/又は処方条件に応じて適宜選択される。投与方法については、経口投与及び非経口投与に大別することができる。

【0065】
経口投与に適した剤形としては、例えば、錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、ドロップ剤、舌下剤、トローチ剤、液剤等を挙げることができる。錠剤は、必要に応じ、当該分野で公知の剤皮を施した錠剤、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶錠、フィルムコーティング錠、二重錠又は多層錠とすることができる。

【0066】
経口投与の場合、前記各剤形の形状、大きさについては、いずれも当該分野で公知の範囲内にあればよく、特に限定はしない。

【0067】
非経口剤に適した剤形としては、例えば、液剤(懸濁剤を含む)、乳剤(クリーム剤)、ゲル剤、軟膏剤(ペースト剤を含む)、硬膏剤、粉剤、又は座剤等が挙げられる。これらは、全身投与、局所投与又は経直腸的投与のように、その投与方法に適した剤形にすることができる。

【0068】
全身投与に適した剤形には、例えば、注射剤としての液剤が挙げられる。局所投与に適した剤形には、例えば、点眼剤又は点鼻剤等としての液剤、乳剤、点鼻剤等としての粉剤、ペースト剤、ゲル剤、軟膏剤、硬膏剤等を挙げることができる。経直腸的投与に適した剤形には、例えば、坐剤を挙げることができる。

【0069】
本発明で好ましい投与方法は、経口投与、又は非経口投与における注射による全身投与である。注射の場合、注入部位は特に限定しないが、静脈内、動脈内等の血管内への注射である。血流を介して有効成分を全身に行き渡らせることが可能であり、また被験体に与える侵襲性が比較的低いからである。

【0070】
本発明の体重増加抑制剤は、肥満個体、標準体重個体を問わず生体の体重増加を抑制し、体重減少効果をもたらし得る。したがって、本発明の体重増加抑制剤は、抗肥満剤としての効果を有する。

【0071】
3.免疫抑制剤
本発明の第3の態様は、免疫抑制剤である。本発明の免疫抑制剤は、免疫抑制作用を有する前記第1態様のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩を含むことを特徴とする。好ましくは、上記一般式(I)において、R1がH又はジメチルアリル基を表し、R2がC1~C10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(ただし、R1がHのときのC3~C4のアルキル基を除く)、又はC5若しくはC10のプレニル基を表し、R3及びR4がジメチルアリル基若しくはゲラニル基、又はイソペンチル基を表す化合物又はその塩を含むことを特徴とする。具体的には、例えば、上記式(II)~(VI)及び(VIII)~(XII)で示される化合物である。

【0072】
前記第1態様のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩は、本発明の免疫抑制剤の有効成分として作用する。本発明の免疫抑制剤は、第1態様のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩を少なくとも1つ含有する。ここで、プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体の塩は、体重増加抑制剤中でプロドラッグの形態であってもよい。

【0073】
本発明の免疫抑制剤における上記のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩の含有量は、プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体等の種類及び/又はその有効量、剤形、添加する担体の種類及び投与形態によって異なり、それぞれの条件において適宜選択される。通常は、一投与単位中にプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩の有効量が含有されていることが好ましい。

【0074】
本発明の免疫抑制剤は、有効成分であるプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩以外にも薬学的に許容可能な担体及び/又は溶媒を包含することができる。

【0075】
本発明の免疫抑制剤は、有効成分であるプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体又はその塩が免疫抑制剤としての薬理効果を失わない範囲において、同一及び/又は異なる薬理効果を有する一以上の薬剤を含有することもできる。例えば、本発明の免疫抑制剤が経口投与剤の場合であれば、必要に応じて胃粘膜保護剤を所定量含有することができる。

【0076】
本発明の免疫抑制剤は、第1態様のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導又はその塩を利用して、当該分野で公知の方法を用いて製剤化することができる。例えば、剤形及び投与方法については、第2態様に記載した体重増加抑制剤の剤形及び投与方法に準じればよい。
【実施例】
【0077】
<実施例1:プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体の合成>
実施例で使用した図1に示す10種類のプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体をそれぞれ化学合成した。
【実施例】
【0078】
(1)4-メトキシ-8-ヒドロキシキノリン-2-カルボン酸(本明細書では、「MHQC」と略称する)の合成(図1(a):式VII)
【化23】
JP2014061647A1_000025t.gif
【実施例】
【0079】
200 mgのキサンツレン酸を2 mLの塩化チオニルに懸濁させ、100℃で攪拌した。10時間後、室温に戻し、溶媒を減圧留去した。残渣を2 mLのメタノールに溶かし、100℃で攪拌した。16時間後、室温に戻し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、ヘキサン-酢酸エチル(3:1)で溶出した画分より79 mgのmethyl 4-methoxy-8-hydroxyquinoline-2-carboxylateを得た。
【実施例】
【0080】
73 mgのmethyl 4-methoxy-8-hydroxyquinoline-2-carboxylateを7 mLのメタノールに溶かし、0.7 mLの3 M水酸化ナトリウム水溶液を加えて80℃で攪拌した。3時間後、室温に戻し、反応液を5 mLの1 M HClに注ぎ、10 mLのクロロホルムで3回抽出を行った。抽出したクロロホルム層を全て合わせて、10 mLの水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、クロロホルム-メタノール(2:1)で溶出した画分より66 mgのMHQCを得た。
【実施例】
【0081】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。MHQCのEIMS及びNMRの結果は,文献記載(du Moulinet D’Hardemare, A. et al., 2004, BioMetals 17:691-697)のものと一致した。
【実施例】
【0082】
(2)Ppc1の合成(図1(d):式VI)
(1)で調製した62 mgのMHQCを6 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、225 mgのK2CO3を加え、室温にて攪拌した。20分後に0.120 mLの1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンを加え、室温にて撹拌した。12時間後、反応液を30 mLの0.5 M HClに注ぎ、30 mLの酢酸エチルで3回抽出を行った。抽出した酢酸エチル層を全て合わせて、30 mLの水、30 mLの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、ヘキサン-酢酸エチル(9:1)で溶出した画分より65 mgのPpc1を得た。
【実施例】
【0083】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。Ppc1のEIMS及びNMRの結果は文献記載(Kikuchi H. et al., 2010, Tetrahedron, 66:6000-6007)のものと一致した。
【実施例】
【0084】
(3)Ppc1-r1の合成(図1(b):式VIII)
7 mgの3-methylbut-2-enyl 8-hydroxy-4-methoxyquinoline-2-carboxylateを1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、34 mgのK2CO3を加え、室温にて攪拌した。15分後に0.020 mLの1-ブロモ-3-メチルブタンを加え、室温にて撹拌した。30分後に60℃に加熱して、さらに攪拌を続けた。1時間後、反応液を5 mLの0.5 M HClに注ぎ、5 mLの酢酸エチルで3回抽出を行った。抽出した酢酸エチル層を全て合わせて、10 mLの水、10 mLの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、ヘキサン-酢酸エチル(9:1)で溶出した画分より6 mgのPpc1-r1を得た。
【実施例】
【0085】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) ・・7.75 (1H, dd, J = 8.5, 1.2 Hz), ・7.60 (1H, s), 7.49 (1H, dd, J= 8.5, 7.9 Hz), 7.08 (1H, dd, J = 7.9, 1.2 Hz), 5.55-5.61 (1H, m), 4.94 (2H, d, J = 7.8 Hz), 4.22 (2H, t, J= 6.8 Hz), 4.11 (3H, s), 1.92-2.01 (3H, m), 1.80 (3H, s), 1.79 (3H, s), 1.04 (6H, d, J = 7.0 Hz).
EIMS ・m/z (rel. int) ・357 [M]+ (1), 300 (26), 288 (6), 246 (21), 232 (100), 219 (14).
【実施例】
【0086】
(4)Ppc1-r2の化学合成(図1(c)式IX)
10 mgのMHQC を1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、40 mgのNaHCO3を加え、室温にて攪拌した。15分後に0.040 mLの1-ブロモ-3-メチルブタンを加え、室温にて撹拌した。6時間後に60℃に加熱して、さらに攪拌を続けた。3時間後、反応液を5 mLの0.5 M HClに注ぎ、5 mLの酢酸エチルで3回抽出を行った。抽出した酢酸エチル層を全て合わせて、10 mLの水、10 mLの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。その残渣を1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、23 mgのK2CO3を加え、室温にて攪拌した。15分後に0.020 mLの1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンを加え、室温にて撹拌した。3時間後、反応液を5 mLの0.5 M HClに注ぎ、5 mLの酢酸エチルで3回抽出を行った。抽出した酢酸エチル層を全て合わせて、10 mLの水、10 mLの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、ヘキサン-酢酸エチル(19:1)で溶出した画分より3 mgのPpc1-r2を得た。
【実施例】
【0087】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) ・・7.76 (1H, dd, J = 8.2, 0.9 Hz), ・7.59 (1H, s), 7.49 (1H, t, J= 8.2 Hz), 7.08 (1H, dd, J = 8.2, 0.9 Hz), 5.67-5.73 (1H, m), 4.80 (2H, d, J= 6.9 Hz), 4.46 (2H, t, J = 7.0 Hz), 4.11 (3H, s), 1.81 (3H, s), 1.78 (3H, s), 1.76-1.90 (3H, m), 1.00 (6H, d, J = 7.2 Hz).
EIMS ・m/z (rel. int) ・357 [M]+ (10), 328 (4), 289 (100), 219 (61), 201 (17), 173 (24).
【実施例】
【0088】
(5)Ppc1-r3の合成(図1(e):式X)
40 mgのMHQCを1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、153 mgのNaHCO3を加え、室温にて攪拌した。30分後に0.040 mLの1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンを加え、室温にて撹拌した。15時間後、反応液を5 mLの0.5 M HClに注ぎ、5 mLの酢酸エチルで3回抽出を行った。抽出した酢酸エチル層を全て合わせて、10 mLの水、10 mLの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、クロロホルム-メタノール(19:1)で溶出した画分より33 mgの 3-methylbut-2-enyl 8-hydroxy-4-methoxyquinoline-2-carboxylateを得た。
【実施例】
【0089】
8 mgの3-methylbut-2-enyl 8-hydroxy-4-methoxyquinoline-2-carboxylateを1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、36 mgのK2CO3を加え、室温にて攪拌した。30分後に0.020 mLのゲラニルブロミドを加え、室温にて撹拌した。90分後、反応液を5 mLの0.5 M HClに注ぎ、5 mLの酢酸エチルで3回抽出を行った。抽出した酢酸エチル層を全て合わせて、10 mLの水、10 mLの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、ヘキサン-酢酸エチル(9:1)で溶出した画分より6 mgのPpc1-r3を得た。
【実施例】
【0090】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) ・・7.76 (1H, dd, J = 8.1, 1.1 Hz), ・7.60 (1H, s), 7.48 (1H, t, J= 8.1 Hz), 7.08 (1H, dd, J = 8.1, 1.1 Hz), 5.67-5.73 (1H, m), 5.55-5.61 (1H, m), 5.08-5.14 (1H, m), 4.95 (2H, d, J = 7.7 Hz), 4.85 (2H, d, J = 6.3 Hz), 4.11 (3H, s), 2.04-2.20 (4H, m), 1.80 (3H, s), 1.78 (6H, s), 1.65 (3H, s), 1.61 (3H, s).
EIMS ・m/z (rel. int) ・423 [M]+ (1), 354 (29), 287 (21), 219 (100).
【実施例】
【0091】
(6)Ppc1-r4の化学合成(図1(f):式V)
62 mgのMHQCを6 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、225 mgのK2CO3を加え、室温にて攪拌した。20分後に0.120 mLの1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンを加え、室温にて撹拌した。12時間後、反応液を30 mLの0.5 M HClに注ぎ、30 mLの酢酸エチルで3回抽出を行った。抽出した酢酸エチル層を全て合わせて、30 mLの水、30 mLの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、ヘキサン-酢酸エチル(19:1)で溶出した画分より8 mgのPpc1-r4を得た。
【実施例】
【0092】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。Ppc1-r4のEIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) ・・・7.59 (1H, s), 7.27 (1H, d, J = 8.1 Hz), 6.98 (1H, d, J= 8.1 Hz), 5.67-5.73 (1H, m), 5.55-5.61 (1H, m), 5.31-5.35 (1H, m), 4.94 (2H, d, J = 7.3 Hz), 4.76 (2H, d, J = 6.9 Hz), 4.05 (3H, s), 3.89 (2H, d, J = 7.2 Hz), 1.80 (6H, s), 1.78 (3H, s), 1.77 (3H, s), 1.75 (3H, s), 1.74 (3H, s).
EIMS ・m/z (rel. int) ・423 [M]+ (3), 355 (26), 287 (100), 219 (62).
【実施例】
【0093】
(7)XA-r1の化学合成(図1(g):式XI)
50 mgのキサンツレン酸を1 mLの塩化チオニルに懸濁させ、100℃で攪拌した。10時間後、室温に戻し、溶媒を減圧留去した。残渣を2 mLのエタノールに溶かし、100℃で攪拌した。24時間後、室温に戻し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、ヘキサン-酢酸エチル(4:1)で溶出した画分より27 mgのethyl 4-ethoxy-8-hydroxyquinoline-2-carboxylateを得た。
【実施例】
【0094】
27 mgのethyl 4-ethoxy-8-hydroxyquinoline-2-carboxylateを2.5 mLのエタノールに溶かし、0.3 mLの3 M水酸化ナトリウム水溶液を加えて80℃で攪拌した。4時間後、室温に戻し、反応液を5 mLの1 M HClに注ぎ、10 mLのクロロホルムで3回抽出を行った。抽出したクロロホルム層を全て合わせて、10 mLの水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。その残渣を1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、135 mgのK2CO3を加え、室温にて攪拌した。20分後に0.040 mLの1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンを加え、室温にて撹拌した。18時間後、反応液を5 mLの0.5 M HClに注ぎ、5 mLの酢酸エチルで3回抽出を行った。抽出した酢酸エチル層を全て合わせて、10 mLの水、10 mLの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、ヘキサン-酢酸エチル(9:1)で溶出した画分より5 mgのXA-r1を得た。
【実施例】
【0095】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, acetone-d6) ・・7.79 (1H, dd, J = 8.2, 1.1 Hz), ・7.55 (1H, s), 7.54 (1H, dd, J = 8.2, 7.9 Hz), 7.25 (1H, dd, J = 7.9, 1.1 Hz), 5.67-5.73 (1H, m), 5.48-5.54 (1H, m), 4.90 (2H, d, J = 7.2 Hz), 4.86 (2H, d, J = 7.0 Hz), 4.41 (2H, q, J = 7.1 Hz), 1.82 (3H, s), 1.80 (3H, s), 1.79 (6H, s), 1.57 (3H, t, J= 7.1 Hz).
EIMS ・m/z (rel. int) ・369 [M]+ (2), 300 (28), 272 (2), 233 (100), 205 (7).
【実施例】
【0096】
(8)XA-r3の化学合成(図1(i):式II)
61 mgのキサンツレン酸 (Aldrich, Cat.No. D120804)を6 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、400 mgのK2CO3を加え、室温にて攪拌した。30分後に0.137mLの1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンを加え、室温にて撹拌した。30分後に40℃に加熱して、さらに攪拌を続けた。12時間後、反応液を30 mLの1M HClに注ぎ、30 mLの酢酸エチルで3回抽出を行った。抽出した酢酸エチル層を全て合わせて、30 mLの水、30 mLの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、ヘキサン-酢酸エチル(4:1)で溶出した画分より50 mgのXA-r3を得た。
【実施例】
【0097】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) ・・7.79 (1H, d, J = 8.2 Hz), ・7.60 (1H, s), 7.46 (1H, t, J= 8.2 Hz), 7.07 (1H, d, J = 8.2 Hz), 5.68-5.74 (1H, m), 5.55-5.63 (2H, m), 4.95 (2H, d, J = 7.2 Hz), 4.77-4.83 (4H, m), 1.84 (3H, s), 1.81 (3H, s), 1.80 (6H, s), 1.78 (6H, s).
EIMS ・m/z (rel. int) ・409 [M]+ (2), 340 (11), 272 (28), 205 (100).
【実施例】
【0098】
(9)XA-r2の化学合成(図1(h):式IV)
100 mgのキサンツレン酸を10 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、508 mgのK2CO3を加え、0℃にて攪拌した。20分後に0.226 mLの1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンを加え、0℃にて撹拌した。4時間後、反応液を60 mLの0.5 M HClに注ぎ、60 mLの酢酸エチルで3回抽出を行った。抽出した酢酸エチル層を全て合わせて、60 mLの水、60 mLの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、ヘキサン-酢酸エチル(3:2)で溶出した画分より19 mgの3-methylbut-2-enyl 4-hydroxy-8-(3-methylbut-2-enyloxy)quinoline-2-carboxylateを得た。
【実施例】
【0099】
9 mgの3-methylbut-2-enyl 4-hydroxy-8-(3-methylbut-2-enyloxy)quinoline- 2-carboxylateを1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、35 mgのK2CO3を加え、室温にて攪拌した。30分後に0.020 mLの1-ブロモペンタンを加え、室温にて撹拌した。30時間後に60℃に加熱して、さらに攪拌を続けた。2時間後、反応液を5 mLの0.5 M HClに注ぎ、5 mLの酢酸エチルで3回抽出を行った。抽出した酢酸エチル層を全て合わせて、10 mLの水、10 mLの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、ヘキサン-酢酸エチル(9:1)で溶出した画分より7 mgのXA-r2を得た。
【実施例】
【0100】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) ・・7.78 (1H, d, J = 7.9 Hz), ・7.58 (1H, s), 7.48 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.08 (1H, d, J = 7.9 Hz), 5.67-5.73 (1H, m), 5.53-5.60 (1H, m), 4.95 (2H, d, J= 7.6 Hz), 4.81 (2H, d, J = 7.0 Hz), 4.26 (2H, t, J = 6.9 Hz), 1.96 (2H, quint, J = 6.9 Hz), 1.80 (3H, s), 1.79 (3H, s), 1.75 (6H, s), 1.50-1.59 (2H, m), 1.41-1.50 (2H, m), 0.97 (3H, t, J = 7.1 Hz).
EIMS ・m/z (rel. int) ・411 [M]+ (3), 342 (36), 275 (100), 205 (37).
【実施例】
【0101】
(10)XA-r4の化学合成(図1(J):式III)
8 mgの3-methylbut-2-enyl 4-hydroxy-8-(3-methylbut-2-enyloxy)quinoline- 2-carboxylateを1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、31 mgのK2CO3を加え、室温にて攪拌した。20分後に0.020 mLのゲラニルブロミドを加え、室温にて撹拌した。2時間後、反応液を5 mLの0.5 M HClに注ぎ、5 mLの酢酸エチルで3回抽出を行った。抽出した酢酸エチル層を全て合わせて、10 mLの水、10 mLの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、ヘキサン-酢酸エチル(17:3)で溶出した画分より7 mgのXA-r4を得た。
【実施例】
【0102】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) ・・7.79 (1H, d, J = 8.3 Hz), ・7.59 (1H, s), 7.46 (1H, t, J= 8.3 Hz), 7.07 (1H, d, J = 8.3 Hz), 5.68-5.74 (1H, m), 5.54-5.64 (2H, m), 5.08-5.14 (1H, m), 4.95 (2H, d, J = 7.4 Hz), 4.83 (2H, d, J = 6.8 Hz), 4.80 (2H, d, J = 6.7 Hz), 2.09-2.21 (4H, m), 1.81 (3H, s), 1.80 (3H, s), 1.78 (6H, s), 1.71 (3H, s), 1.68 (3H, s), 1.61 (3H, s).
EIMS ・m/z (rel. int) ・477 [M]+ (1), 408 (3), 341 (7), 273 (38), 205 (100).
【実施例】
【0103】
(11)Ppc1-r5の化学合成(式XII)
40 mgのMHQCを1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、162 mgのNaHCO3を加え、室温にて攪拌した。30分後に0.040 mLのゲラニルブロミドを加え、室温にて撹拌した。13時間後、反応液を5 mLの0.5 M HClに注ぎ、5 mLの酢酸エチルで3回抽出を行った。抽出した酢酸エチル層を全て合わせて、10 mLの水、10 mLの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、クロロホルム-メタノール(19:1)で溶出した画分より29 mgの (E)-3,7-dimethylocta-2,6-dienyl 8-hydroxy-4- methoxyquinoline-2-carboxylate を得た。
【実施例】
【0104】
15 mgの(E)-3,7-dimethylocta-2,6-dienyl 8-hydroxy -4- methoxyquinoline -2- carboxylateを1 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、70 mgのK2CO3を加え、室温にて攪拌した。30分後に0.020 mLの1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンを加え、室温にて撹拌した。3時間後、反応液を5 mLの0.5 M HClに注ぎ、5 mLの酢酸エチルで3回抽出を行った。抽出した酢酸エチル層を全て合わせて、10 mLの水、10 mLの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィに付し、ヘキサン-酢酸エチル(9:1)で溶出した画分より8 mgの(XII)を得た。
【実施例】
【0105】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
【実施例】
【0106】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d7.75 (1H, dd, J = 7.8, 1.3 Hz), 7.60 (1H, s), 7.48 (1H, t, J= 7.8 Hz), 7.08 (1H, dd, J = 7.8, 1.3 Hz), 5.67-5.73 (1H, m), 5.55-5.61 (1H, m), 5.07-5.12 (1H, m), 4.97 (2H, d, J = 7.1 Hz), 4.80 (2H, d, J = 6.8 Hz), 4.11 (3H, s), 2.05-2.16 (4H, m), 1.80 (6H, s), 1.78 (3H, s), 1.67 (3H, s), 1.60 (3H, s).
EIMS m/z (rel. int) 423 [M]+ (2), 355 (10), 286 (38), 219 (100).
【実施例】
【0107】
<実施例2:プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体の脱共役作用>
実施例1で合成した各プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体の脱共役作用について検証した。
【実施例】
【0108】
(方法)
脱共役作用の測定は、ミトコンドリアの呼吸状態の一つで、呼吸基質であるアデノシン2リン酸(ADP)が存在しない状態4(state 4)において、プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体を添加したときの酸素消費量の増加分として測定した。
【実施例】
【0109】
(1)ミトコンドリア画分の精製
マウス(ICR、メス、体重30g、日本クレア株式会社)の肝臓を摘出後、ショ糖緩衝液(0.25M ショ糖、10mM Tris-HCl pH 7.4)で灌流した後、9倍量(v/w)のショ糖緩衝液を加えてホモゲナイズし、80Gで10分間遠心を行った。遠心上清を回収後、700Gで5分間再度遠心をした。さらに、その遠心上精を回収した後、5,000Gで5分間再び遠心をした。遠心後に得られた沈殿を回収し、ショ糖緩衝液で2回洗浄して、ミトコンドリア画分とした。
【実施例】
【0110】
(2)酸素消費測定
ミトコンドリア画分を、ミトコンドリアタンパク質が0.9mg/mLとなるように、100 μMのパルミトイル-L-カルニチン塩酸塩(Sigma-Aldrich;P1645)、及び脂肪酸不含ウシ血清アルブミン(BSA)を0.3%(w/v)含む酸素消費緩衝液(225mM マンニトール、75mM ショ糖、10mM KCl、20mM Tris-HCl、0.1mM EDTA、3mM KH2PO4、pH7.4)(Rasmussen H. & Ogata E., 1966, Biochemistry, 5:733-745;St-Pierre J, et al., 2002, J. Biol. Chem., 277:44784-44790参照)に懸濁した。懸濁液100μLに実施例1で合成した各プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体を20μM添加した。ヒドロキシキノリン誘導体は、DMSOに溶解した後、DMSOの終濃度が5%(v/v)となるように添加した。懸濁液100μLの酸素濃度を酸素電極MT200 Respirometer Cell (Strathkelvin Instruments Limited)を用いて30℃にて測定した。本測定においては、パルミトイル-L-カルニチンを脂肪酸のβ酸化経由のミトコンドリア呼吸鎖への水素の供給源として用いた(St-Pierre J, et al., 2002, J. Biol. Chem., 277:44784-44790参照)。
【実施例】
【0111】
(結果)
図2に結果を示す。この図が示すように、Ppc1、Ppc1-r4、XA-r2、XA-r3、XA-r4は、ミトコンドリアにおける酸素消費促進作用が高く、強い脱共役作用を有していることが明らかとなった。すなわち、これらのプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体は脱共役剤として作用し得る。以降の実施例では、前記脱共役活性が観察されたプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体のうちPpc1及びXA-r3を用いて各効果を検証した。
【実施例】
【0112】
<実施例3:Ppc1及びXA-r3における脱共役作用の経時的変化>
実施例2で脱共役作用を確認したプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体Ppc1及びXA-r3について、添加濃度における脱共役作用の経時的変化について検証した。
【実施例】
【0113】
(方法)
脱共役作用は、実施例2と同様にプレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体(ここではPpc1又はXA-r3)を添加したときのミトコンドリアの酸素消費量の増加分として測定した。
【実施例】
【0114】
基本的な方法は、実施例2に準じて行った。Ppc1とXA-r3(DMSO溶液)の添加濃度は、0μM、1μM、5μM、10μMとし、ミトコンドリアの酸素消費量を添加後、10分間測定した。なお、ADP(MP Biomedicals、Solon;160053)は、Ppc1又はXA-r3の添加5分後に、終濃度400μMで添加した。DMSOの終濃度は5%(v/v)となるようにした。
【実施例】
【0115】
(結果)
図3に結果を示す。AはPpc1、BはXA-r3の結果である。この図が示すようにPpc1及びXA-r3ともに、ADP添加前のstate 4の状態で、化合物の濃度依存的に酸素消費の増大、すなわち脱共役活性の増加が観察できる。一方、ADP添加後のstate 3の状態では、酸素消費の促進がどの化合物の濃度でも同等に観察でき、ミトコンドリアにおけるATP合成にはほとんど影響を与えないことが示唆された。
【実施例】
【0116】
<実施例4:Ppc1及びXA-r3のATP合成>
Ppc1及びXA-r3の添加によるミトコンドリアでのATP合成の影響について検証した。
【実施例】
【0117】
(方法)
ATPの合成は、ミトコンドリアタンパク質が0.3mg/mLとなるように、100μMパルミトイル-L-カルニチン塩酸塩、及び0.3%(w/v)のBSAを含む酸素消費緩衝液(225mM マンニトール、75mM ショ糖、10mM KCl、20mM Tris-HCl、0.1mM EDTA、3mM KH2PO4、pH7.4)に懸濁したミトコンドリア画分を用いて観測した。この懸濁液100μLにPpc1又はXA-r3(DMSO溶液)を終濃度0μM、1μM、2μMおよび5μMになるように添加し、さらに400μMのADPを加えた。なお、コントロールとして、脱共役剤であるカルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)のDMSO溶液を終濃度が1μMとなるようにミトコンドリアに添加した。いずれも、DMSOの終濃度が5%(v/v)となるようにした。
【実施例】
【0118】
25℃で1分間反応させた後、反応混合液10μLをミトコンドリアタンパク質1mgあたり10μgのATP合成阻害剤オリゴマイシン(和光純薬工業)を含む溶液に加え、ミトコンドリアを可溶化することによって、ATP合成を停止させ。反応混合液中のATP量を0分(反応前)と1分後に定量し、その差分をATP合成量として算出した。
【実施例】
【0119】
ATPの定量は、化学発光による定量試薬(「細胞の」ATP測定試薬;東洋ビーネット)を用いて行った。生じた化学発光量はTD-20/20 ルミノメーター(Promega、Madison)で測定した。濃度は、ATP(Sigma-Aldrich)を用いて作成した検量線より求めた。
【実施例】
【0120】
(結果)
図4に結果を示す。AはPpc1、BはXA-r3の結果である。この図が示すようにPpc1及びXA-r3は共に、ミトコンドリアにおけるATP合成にほとんど影響を与えないことが明らかとなった。
【実施例】
【0121】
<実施例5:Ppc1及びXA-r3のATP分解>
実施例4とは逆に、Ppc1及びXA-r3の添加によるミトコンドリアでのATP分解の影響について検証した。
【実施例】
【0122】
(方法)
ATPの分解は、ミトコンドリアタンパク質が0.6mg/mLになるように、100μMパルミトイル-L-カルニチン塩酸塩、0.3%(w/v)BSA、1mM MgCl2、1mM KCN、及び2mM ATPを含むATPase緩衝液(225mM マンニトール、75mM ショ糖、10mM KCl、20mM Tris-HCl、0.1mM EDTA、3mM CH3COOK、pH7.4)に懸濁したミトコンドリア画分を用いて観測した。懸濁液200μLにPpc1又はXA-r3(DMSO溶液)を終濃度0μM、1μM、2μMおよび5μMとなるように添加した。コントロールには1μM CCCPを用いた。いずれも、DMSO終濃度が5%(v/v)となるようにした。30℃で10分反応後、400μLの6.9%過塩素酸を加えてATPの分解反応を停止し(Rigoulet M., et al., 1996,Eur.J.Biochem. 241: 280-285参照)、10,000Gで遠心後の上清中の無機リンをリンモリブデン酸法(Allen R.J., 1940, Biochem. J. 34:858-865参照)によって883nmの吸光度を測定し定量した。反応前に過塩素酸を加えた試料との濃度差をATP分解量とした。
【実施例】
【0123】
(結果)
図5に結果を示す。AはPpc1、BはXA-r3の結果である。この図が示すようにPpc1及びXA-r3は共に、ミトコンドリアにおけるATP分解にもほとんど影響を与えないことが明らかとなった。
【実施例】
【0124】
<実施例6:Ppc1及びXA-r3のミトコンドリア膜電位>
Ppc1及びXA-r3の添加によるミトコンドリアの膜電位に与える影響について検証した。
【実施例】
【0125】
(方法)
ミトコンドリア分画を、ミトコンドリアタンパク質が0.3mg/mLになるように、100μMパルミトイル-L-カルニチン塩酸塩、0.3%(w/v)BSA、2.5μMサフラニンОを含む酸素消費緩衝液に懸濁した。その懸濁液を100μLずつ96穴のマイクロプレートに分注し、Ppc1又はXA-r3(DMSO溶液)を終濃度が0μM、1μM、2μM又は5μMとなるように添加した。コントロールには1μM CCCPを用いた。いずれも、DMSO溶液を終濃度が 5%(v/v)となるようにした。25℃で20分間反応後、励起光495nmによる蛍光を586nmで測定した(Votyakova T.V. & Reynolds I.J., 2001, J. Neurochemistry 79: 266-277)。蛍光強度は、Varioskan Flash(Thermo Fisher Scientific、Waltham)マイクロプレートリーダーを用いて測定した。なお、蛍光の測定は、マイクロプレートの上面より行った。
【実施例】
【0126】
膜電位は、Ppc1又はXA-r3を含まない試料の値をA、ミトコンドリアを含まない試料の値をBとして、{(B-測定値)/(B-A)}×100(%)の式より算出した。
【実施例】
【0127】
(結果)
図6に結果を示す。AはPpc1、BはXA-r3の結果である。この図が示すようにPpc1及びXA-r3ともに、ミトコンドリアの膜電位をほとんど阻害しないことが明らかとなった。
【実施例】
【0128】
<実施例7:Ppc1及びXA-r3による細胞毒性>
Ppc1及びXA-r3による細胞毒性について検証した。
【実施例】
【0129】
(方法)
(1)網膜色素上皮(RPE)細胞の培養
ダルベッコ変法イーグル培地に栄養混合物としてF12 ハムを加えた培地(DMEM F-12 HAM、Sigma-Aldrich)に熱不活性化したFBS(Cansera International)を10%(v/v)に加えた培養液を用いて、水蒸気飽和、5% CO2存在下、37℃でRPE細胞の培養を行った。細胞増殖及び細胞毒性の測定には、1穴あたり6×103の細胞を播種し、16時間培養後に実験に用いた。
【実施例】
【0130】
(2)細胞増殖と細胞障害性の測定
細胞増殖と細胞障害性は、乳酸脱水素酵素(LDH)活性により測定した(Decker T., & Lohmann-Matthes M.L., 1988, J. Immunol. Meth. 115: 61-69参照)。前記16時間培養の培地を、0μM、1μM、2μM又は5μMのPpc1又はXA-r3(DMSO溶液)を含む新たな培地と交換し、さらに24時間培養した。DMSO溶液を終濃度が 0.25%(v/v)となるようにした。培養後に、CytoTox-ONE Homogeneous Membrane Integrity Assay (Promega)を用いてLDH活性を測定した。測定は、乳酸を基質としてLDHにより生成した還元型ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドによって還元されたレソルフィンを560nmの励起光による590nmの蛍光強度を測定した。培養液のみ、培養後の培養液、細胞を可溶化した場合の測定値をそれぞれA、B、Cとすると生細胞数はC-Bに比例するため、化合物を添加していない試料の値を100%とした割合で示した。細胞毒性は{(B-A)/(C-A)} x 100(%)で算定し、化合物を添加していない試料の値でノーマライズした。
【実施例】
【0131】
(結果)
図7に細胞増殖の結果を、また図8に細胞障害活性の結果を示す。AはPpc1、BはXA-r3の結果である。図7が示すようにPpc1、XA-r3の添加濃度が増加するにつれて細胞増殖能はやや減少するものの、著しい細胞増殖抑制効果は確認できなかった。また、Ppc1、XA-r3の添加濃度が増加してもLDH活性はほとんど変化がなかった。この結果から、Ppc1、XA-r3は、細胞毒性をほとんど有さないことが明らかとなった。
【実施例】
【0132】
<実施例8:活性酸素の発生量>
Ppc1及びXA-r3の添加による細胞内での活性酸素の発生量の変化について検証した。
【実施例】
【0133】
(方法)
RPE細胞の培養は、実施例7に準じて行った。96穴マイクロプレートに1穴あたり2.5×104 cells/mLのRPE細胞を播種して16時間培養した。培養後の培地を、Ppc1又はXA-r3(DMSO溶液)の終濃度が0μM、1μM、2μM又は5μM、ジヒドロエチジウム(DMSO溶液)の終濃度が25μMとなるように添加した新たな培地と交換し、さらに30分間、培養した。DMSO溶液を終濃度が0.25%(v/v)となるようにした。培養後、480nmの励起光による567nmの蛍光として測定した(Budd SL, Castilho RF, Nicholls D.G., 1997, FEBS Letters 415: 21-24参照)。蛍光強度はVarioskan Flash(Thermo Fisher Scientific、Waltham)マイクロプレートリーダーを用いて測定した。蛍光測定は、マイクロプレートの底面から行った。測定値より細胞を含まない培地との蛍光強度の差分を活性酸素によるものとした。
【実施例】
【0134】
(結果)
図9に結果を示す。AはPpc1、BはXA-r3の結果である。この図が示すように5μMのPpc1又はXA-r3を添加しても蛍光強度はほとんど増加せず、細胞内での活性酸素の発生量に大きな変化がないことが明らかとなった。
【実施例】
【0135】
以上のように実施例4~8の結果は、新規脱共役剤であるPpc1及びXA-r3は、DNPのように細胞対して有害でなく、それ故、生体に対する副作用が少ないことを示唆している。
【実施例】
【0136】
<実施例9:Ppc1又はXA-r3の投与によるマウスの体重変化>
Ppc1又はXA-r3をマウスに投与したときのマウスの体重変化について検証した。
【実施例】
【0137】
(方法)
マウス(ICR、メス、体重25g、日本クレア株式会社、東京)の飼育条件は、室温22℃、照明の点灯と消灯による明暗を12時間サイクルとし、飼料と水は、自由摂取とした。Ppc1-DMSO溶液又はXA-r3-DMSO溶液をDMSOの終濃度が0.25%(v/v)となるように含む0.2mLのリン酸緩衝生理食塩水溶液を、Ppc1は一匹当たり0mg/kg体重、0.8mg/kg体重で、またXA-r3は一匹当たり0mg/kg体重、0.4 mg/kg体重、0.8mg/kg体重で、週に一度腹腔内に投与した。その間、定期的に体重測定を0.1g単位で行った。投与コントロールは、DMSOのみを終濃度が0.25%(v/v)となるように含む0.2mLのリン酸緩衝生理食塩水溶液とした。
【実施例】
【0138】
(結果)
図10に結果を示す。Ppc1又はXA-r3の投与により、投与コントロールと比較して有意に体重が減少することが明らかとなった。この結果は、新規脱共役剤であるPpc1又はXA-r3が、体重増加抑制剤の有効成分としての効果を有することを示している。
【実施例】
【0139】
<実施例10:プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体のIL-2産生に及ぼす影響>
実施例1で合成した各プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体のIL-2産生に及ぼす影響について検証した。
【実施例】
【0140】
(方法)
10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地に2 x 105 cells/mLとなるように懸濁したマウスJurkat細胞を96穴プレートに1穴あたり100μLずつに播種した。RPMI1640培地に溶解したコンカナバリンA(Sigma)を終濃度40μg/mLになるように各穴に添加し、細胞を刺激した。さらに、図1に示した各プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体及び式(XII)で示すPpc-r5を終濃度が10 μMになるように添加した。コントロールとして、ジメチルスルフォキシド(DMSO)を終濃度0.2%で添加した。37℃にて5% CO2下で2日間培養した後、培養上清に含まれるIL-2量をHuman IL-2 ELISA Kit(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した。測定方法については、添付のプロトコルに従った。
【実施例】
【0141】
(結果)
図11にコントロール(DMSO添加)でのIL-2産生量を100%としたときの各プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体添加におけるIL-2産生量の相対値を示す。コントロールと比較して、MHQCを除く全ての誘導体もIL-2産生量の抑制効果が確認された。特にXA-r3では顕著な抑制効果が見られた。
【実施例】
【0142】
IL-2は、細胞性免疫を制御する機能を有する。したがって、その生産量の抑制は、前記プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体の免疫抑制作用を示唆している。
【実施例】
【0143】
<実施例11:XA-r3の投与によるマウスの抗体産生能の影響>
プレニルオキシキノリンカルボン酸誘導体の免疫抑制作用をさらに検証するためXA-r3を投与したマウスにおける抗体産生に対する影響について検証した。
【実施例】
【0144】
(方法)
1 mg/kgのFK506(免疫抑制剤タクロリムス;Cell Signaling Technology)、0.5 mg/kgのXA-r3、及びコントロールであるVehicle; Glyceryl trioctanoate(Sigma)を10週齢の野生型マウスC57BL/6Jの腹腔内に各群8匹ずづ投与した。前記投与は3日毎に、3週間継続して行った。初回の投与から6時間後に、ニトロフェノール(NP)標識したニワトリγグロブリン(Biosearch Technologies)とInject Alum Adjuvant(Thermo Fisher Scientific)の懸濁液を腹腔内に50μg投与し免疫した。その後、1週間及び3週間後に、尾部から採血を行い、採取した血液から血清を分離した後、ELISA法を用いて、産生された抗NP-IgM抗体(SouthernBiotech)及び抗NP-IgG3抗体(SouthernBiotech)の力価を測定した(Kometani, et al., J Exp Med, 2011, 208(7), 1447-1457)。
【実施例】
【0145】
(結果)
図12に免疫から1週間後の血清に含まれる抗NP-IgM抗体の力価、及び3週間後の血清に含まれる抗NP-IgG3抗体の力価を示す。力価は吸光度(OD450)の相対値で示した。XA-r3投与群における抗NP-IgM抗体及び抗NP-IgG3抗体の力価は、いずれもコントロールであるVehicle投与群のそれと比較して、有意に減少した。その減少度は、免疫抑制剤であるFK506投与群とほぼ同等であった。この結果から、XA-r3は、高い免疫抑制作用を有することが明らかとなった。
【実施例】
【0146】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11