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明細書 :合金およびその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5876943号 (P5876943)
登録日 平成28年1月29日(2016.1.29)
発行日 平成28年3月2日(2016.3.2)
発明の名称または考案の名称 合金およびその製造方法
国際特許分類 C22C  27/04        (2006.01)
B22D  21/06        (2006.01)
FI C22C 27/04 102
B22D 21/06
請求項の数または発明の数 4
全頁数 13
出願番号 特願2014-557315 (P2014-557315)
出願日 平成25年8月30日(2013.8.30)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 発行日 平成24年9月3日 刊行物名 日本金属学会講演概要 2012年秋期(第151回)大会、P115 発行者名 社団法人 日本金属学会
特許法第30条第2項適用 発行日 平成24年9月3日 刊行物名 日本金属学会講演概要 2012年秋期(第151回)大会、S4-11 発行者名 社団法人 日本金属学会
特許法第30条第2項適用 発行日 平成24年9月3日 刊行物名 日本金属学会講演概要 2012年秋期(第151回)大会、S4-12 発行者名 社団法人 日本金属学会
特許法第30条第2項適用 発行日 平成24年9月3日 刊行物名 日本金属学会講演概要 2012年秋期(第151回)大会、S4-13 発行者名 社団法人 日本金属学会
特許法第30条第2項適用 開催日 平成24年9月17日 集会名 社団法人日本金属学会 2012年秋期講演大会(第151回) 主催者名 社団法人 日本金属学会
国際出願番号 PCT/JP2013/073399
国際公開番号 WO2014/112151
国際公開日 平成26年7月24日(2014.7.24)
優先権出願番号 2013005292
優先日 平成25年1月16日(2013.1.16)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年7月31日(2015.7.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
発明者または考案者 【氏名】吉見 享祐
【氏名】丸山 公一
【氏名】後藤 孝
【氏名】宮本 慎平
【氏名】金子 昂弘
【氏名】森山 貴裕
個別代理人の代理人 【識別番号】100087480、【弁理士】、【氏名又は名称】片山 修平
審査官 【審査官】小谷内 章
参考文献・文献 特開平08-277435(JP,A)
特開平07-331377(JP,A)
特表昭61-501714(JP,A)
特表平10-512329(JP,A)
調査した分野 B22D 21/06
C22C 1/02
C22C 27/04
特許請求の範囲 【請求項1】
Moと、Siと、Bと、Ti、Cからなり、
Moの組成比は60原子%以上かつ75原子%以下であり、Siの組成比は1.7原子%以上かつ6.7原子%以下であり、Bの組成比は3.3原子%以上かつ13.3原子%以下であり、Tiの組成比は5.0原子%以上かつ15.0原子%以下であり、Cの組成比は、5.0原子%以上かつ10.0原子%以下であり、鋳造されたことを特徴とする合金。
【請求項2】
Tiの組成比は10原子%以上であることを特徴とする請求項記載の合金。
【請求項3】
Mo固溶体相、MoC、MoSiBおよびTiCの共相であることを特徴とする請求項記載の合金。
【請求項4】
Moと、Siと、Bと、Ti、Cからなり、Moの組成比は60原子%以上かつ75原子%以下であり、Siの組成比は1.7原子%以上かつ6.7原子%以下であり、Bの組成比は3.3原子%以上かつ13.3原子%以下であり、Tiの組成比は5.0原子%以上かつ15.0原子%以下であり、Cの組成比は、5.0原子%以上かつ10.0原子%以下である合金を鋳造法を用い製造することを特徴とする合金の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は合金およびその製造方法に関し、例えばMo、SiおよびBを含む合金およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧タービン等に用いられる合金は、軽量かつ高強度であり耐熱性に優れることが求められる。このような合金としてモリブデン(Mo)を含むモリブデン合金がある。例えば、Mo、Si(シリコン)およびB(ホウ素)を含む合金(例えば特許文献1および2)やハフニウム(Hf)を含むMHC合金が知られている。
【0003】
MoとMoSiBとの共晶反応温度は、2060℃から2100℃程度であることが知られている(非特許文献1および2)。一方、MoとTiC(炭化チタン)とは共晶反応することが知られている。MoとTiCとの共晶温度は約2175℃であることが知られている(非特許文献3)。また、MoとZrC(炭化ジルコニウム)とは共晶反応することが知られている。MoとZrCとの共晶温度は約2500℃であることが知られている(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2004-115833号公報
【特許文献2】特開2008-114258号公報
【0005】

【非特許文献1】Intermetallics, 13 (2005), 121-128
【非特許文献2】Structural Intermetallics, TMS, Warrendale, PA, 1997, 831-839
【非特許文献3】Handbook of Ternary Alloy Phase Diagrams, vol. 6, ASM International, Metals Park, OH, 1995, 7082-7096
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
モリブデン合金は融点が高いため、粉末焼結体を押出加工等して成型される。このため、複雑な形状を成型するためには、切削加工等を行なうことになり、製造コストが高くなる。逆に、粉末焼結のままで成形体とした場合には、強度の低下等の問題が発生する。一方、モリブデン合金を溶解し鋳造するためには、高額な設備を用いることになる。そこで、鋳造法により簡単に製造可能とするため、軽量かつ高強度であり耐熱性に優れ、かつ比較的低温において溶解可能な合金が求められている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、軽量かつ高強度であり耐熱性に優れ、かつ比較的低温において溶解可能な合金を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、Moと、Siと、Bと、Tiと、ZrおよびHfの少なくとも1つの元素と、CおよびNの少なくとも1つの元素と、を主成分とすることを特徴とする合金である。本発明によれば、軽量かつ高強度であり耐熱性に優れ、かつ比較的低温において溶解可能な合金を提供することができる。
【0009】
上記構成において、鋳造された構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記Ti、ZrおよびHfの少なくとも1つの元素はTiであり、前記CおよびNの少なくとも1つの元素はCである構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、Mo固溶体相、MoC、MoSiBおよびTiCの共相である構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、Moの組成比は52原子%以上かつ80原子%以下であり、Siの組成比は1.5原子%以上かつ25原子%以下であり、Bの組成比は3原子%以上かつ25原子%以下であり、Tiの組成比は0.1原子%以上かつ15原子%以下であり、Cの組成比は、0.1原子%以上かつ15原子%以下である構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、Moの組成比は60原子%以上かつ75原子%以下であり、Siの組成比は1.7原子%以上かつ6.7原子%以下であり、Bの組成比は3.3原子%以上かつ13.3原子%以下であり、Tiの組成比は5.0原子%以上かつ15.0原子%以下であり、Cの組成比は、5.0原子%以上かつ15.0原子%以下である構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、Tiの組成比は10原子%以上であり、かつCの組成比は10原子%以下である構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記Ti、ZrおよびHfの少なくとも1つの元素はZrであり、前記CおよびNの少なくとも1つの元素はCである構成とすることができる。
【0016】
上記構成において、Mo固溶体相、MoC、MoSiBおよびZrCの共相である構成とすることができる。
【0017】
本発明は、Moと、Siと、Bと、Tiと、ZrおよびHfの少なくとも1つの元素と、CおよびNの少なくとも1つの元素と、を主成分とする合金を鋳造法を用い製造することを特徴とする合金の製造方法である。本発明によれば、軽量かつ高強度であり耐熱性に優れ、かつ比較的低温において溶解可能な合金を提供することができる。
【0018】
上記構成において、前記Ti、ZrおよびHfの少なくとも1つの元素はTiであり、前記CおよびNの少なくとも1つの元素はCである構成とすることができる。
【0019】
上記構成において、前記Ti、ZrおよびHfの少なくとも1つの元素はZrであり、前記CおよびNの少なくとも1つの元素はCである構成とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、軽量かつ高強度であり耐熱性に優れ、かつ比較的低温において溶解可能な合金を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、実施例および比較例における合金の製造方法を示す図である。
【図2】図2(a)および図2(b)は、それぞれ試料A1およびA2の微細組織の観察写真である。
【図3】図3(a)および図3(b)は、それぞれ試料A3およびA4の微細組織の観察写真である。
【図4】図4(a)および図4(b)は、それぞれ試料B1およびB2の微細組織の観察写真である。
【図5】図5(a)および図5(b)は、それぞれ試料B3およびB4の微細組織の観察写真である。
【図6】図6は、試料A1~A4の1400℃における応力-歪み曲線の測定結果を示す図である。
【図7】図7は、試料B1~B4の1400℃における応力-歪み曲線の測定結果を示す図である。
【図8】図8は、試料A3およびB3の温度に対するピーク応力の測定結果を示す図である。
【図9】図9は、試料A3およびB3の温度に対するヤング率の測定結果を示す図である。
【図10】図10は、試料A1~A4およびB1~B4の密度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明者らは、Moと、Siと、Bと、Ti(チタン)、Zr(シルコニウム)およびHf(ハフニウム)の少なくとも1つの元素と、C(炭素)およびN(窒素)の少なくとも1つの元素と、を主成分とすることにより、軽量かつ高強度であり耐熱性に優れ、かつ比較的低温において溶解可能な合金を製造可能であることを見出した。以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0023】
Mo、Si、B、TiおよびCを主成分とする試料を作製した。比較例として、Mo、SiおよびBを主成分とする試料を作製した。図1は、実施例および比較例における合金の製造方法を示す図である。図1を参照し、各材料を秤量する(ステップS10)。材料としては、Mo、Si、B、TiCおよびTiを用いた。アーク溶解法を用い秤量した材料を溶解させる(ステップS12)。溶解した材料により合金を鋳造する(ステップS14)。
【実施例】
【0024】
表1は、作製した試料の各元素の重量%(wt%)および原子%(at%)を示す表である。
【表1】
JP0005876943B2_000002t.gif
【実施例】
【0025】
No.2、5、9および14の試料が、それぞれ試料A1からA4に対応し、No.4、8、13および16の試料が、それぞれ試料B1からB4に対応する。No.1からNo.28において、Si:B=1:2(原子比)である。No.1からNo.16において、Ti:C=1:1(原子比)である。No.17からNo.28において、Ti:C=x(1<x≦2):1(原子比)である。
【実施例】
【0026】
表2は、各試料の密度および、1800℃、1900℃および2000℃における溶解を調査した結果を示す表である。
【表2】
JP0005876943B2_000003t.gif
【実施例】
【0027】
表3は、比較例として作製した試料の各元素の重量%(wt%)、原子%(at%)および1800℃、1900℃、2000℃および2100℃における溶解を調査した結果を示す表である。
【表3】
JP0005876943B2_000004t.gif
【実施例】
【0028】
表2および表3において、「-」は調査していないことを示す。「溶解」の項において、「○」は全て溶解したことを示す。「△」は部分的に溶解したことを示す。「×」は溶解しないことを示す。
【実施例】
【0029】
表1および表2のように、測定した全ての実施例の試料において、密度は9.01g/cm以下である。試料No.5以降の試料は、全て2000℃において溶解した。Moの組成比が60原子%以上かつ75原子%以下において、融点が低下することがわかる。また、密度が小さいことがわかる。溶解する試料は、SiおよびBの組成比が高く、TiおよびCの組成比が小さい傾向にある。Siの組成比は、1.7原子%以上が好ましく、3.3原子%以上がより好ましく、5.0原子%以上がさらに好ましい。Siの組成比は、6.7原子%以下が好ましい。Bの組成比は、3.3原子%以上が好ましく、6.7原子%以上がより好ましく、10原子%以上がさらに好ましい。Bの組成比は、13.3原子%以下が好ましい。Tiの組成比は、15.0原子%以下が好ましく、13.3原子%以下がより好ましく、12.5原子%以下がさらに好ましい。Tiの組成比は、5.0原子%以上が好ましい。Cの組成比は、15.0原子%以下が好ましく、13.3原子%以下がより好ましく、12.5原子%以下がさらに好ましい。Cの組成比は、5.0原子%以上が好ましい。
【実施例】
【0030】
No.17からNo.28においては、Tiの組成比をCの組成比より大きくする。例えば、1<Tiの組成比/Cの組成比≦2である。これにより、密度が8.6g/cm以下となり、かつ2000℃において溶解できる。例えば、Cの組成比を10原子%以下とし、かつTiの組成比を10原子%以上とすることが好ましい。
【実施例】
【0031】
図2(a)から図3(b)は、それぞれ試料A1~A4の微細組織の観察写真である。微細組織はSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察した。MossはMoの固溶体相、Tは、MoSiBの相、MoCはMoCの相、TiCはTiCの相を示している。図2(a)から図3(b)のように、試料A1~A4は、Mo固溶体相、MoC、MoSiBおよびTiCの共相であることがわかる。
【実施例】
【0032】
図4(a)から図5(b)は、それぞれ試料B1~B4の微細組織の観察写真である。図2(a)から図3(b)と同様に、微細組織をSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察した。図4(a)から図5(b)のように、試料B1~B4は、試料A1~B4と同様に、Mo固溶体相、MoC、MoSiBおよびTiCの共相であることがわかる。
【実施例】
【0033】
図6は、試料A1~A4の1400℃における応力-歪み曲線の測定結果を示す図である。比較のためMHC合金の応力-歪み曲線を示す。図6を参照し、いずれの試料もMHC合金に比べ降伏強度が2倍以上となった。特に、TiCの組成比が小さく、SiBの組成比が高い試料は降伏強度が高くなる。このように、試料A1~A4は、高温において高強度であることがわかる。
【実施例】
【0034】
図7は、試料B1~B4の1400℃における応力-歪み曲線の測定結果を示す図である。比較のためMHC合金の応力-歪み曲線を示す。図7を参照し、いずれの試料もMHC合金に比べ降伏強度が大きくなった。特に、TiCの組成比が小さく、SiBの組成比が高い試料は降伏強度が高くなる。このように、試料B1~B4は、試料A1~A4と同様に、高温において高強度であることがわかる。
【実施例】
【0035】
図8は、試料A3およびB3の温度に対するピーク応力の測定結果を示す図である。ピーク応力σは、応力-歪み曲線における応力σのピーク値を示している。比較のため、MHC(モリブデン・ハフニウムカーバイド)合金、TZM(チタン・ジルコニウム・モリブデン)合金、Mo0.6-Si7.9-Bのピーク応力を示す。白丸がB3、白四角がA3、黒丸がMHC合金、および黒四角がTZM合金の測定点である。斜め白四角がMo-6.1Si-7.9Bの文献に記載された値である。曲線は近似曲線である。
【実施例】
【0036】
試料B3は、Mo-6.1Si-7.9B、耐熱合金として知られているMHC合金およびTZM合金と比較し、いずれの温度においてもピーク応力が大きい。1000℃において、ピーク応力は1800MPaとMHC合金、TZM合金、Mo-6.1Si-7.9B合金に比べ非常に大きい。また、1600℃において、約400MPaのピーク応力を有する。試料A3は、1400℃において試料B3と同程度のピーク応力を有する。試料A3は、他の温度においても試料B3と同程度のピーク応力を有すると考えられる。また、他の試料においても試料B3と同様に高温でのピーク応力が大きいと考えられる。このように、Moと、Siと、Bと、Tiと、ZrおよびHfの少なくとも1つの元素と、CおよびNの少なくとも1つの元素と、を主成分とする合金は、1000℃以上の高温において高強度性に優れている。
【実施例】
【0037】
図9は、試料A3およびB3の温度に対するヤング率の測定結果を示す図である。比較のためW(タングステン)、Mo、Mo-2Si合金およびMo-3Si合金のヤング率を示す。図9を参照し、いずれの試料もMoおよびMo-Si合金に比べ室温から1000℃までにおいてヤング率が大きい。このように、試料A3およびB3は、高温において剛性が高いことがわかる。
【実施例】
【0038】
図10は、試料A1~A4およびB1~B4の密度を示す図である。比較のため純Ni(ニッケル)、Rene´N5合金、TMS-138合金、MoSiBおよび純Moの密度を示す。図6を参照し、試料A1~A4およびB1~B4の密度は8.7g/cmから9.01g/cmである。試料A1~A4およびB1~B4は、純Moより密度が小さく、Ni合金であるRene´N5合金およびTMS-138合金並びにMoSiBと同程度の密度である。
【実施例】
【0039】
純Ni、ReneN5合金およびTMS-138合金は、密度が小さく軽量であるが融点が1400℃程度であり、1500℃程度で用いられる高耐熱合金として用いることができない。MoSiBは軽量であり高耐熱であるが、融点が2200℃程度であり、鋳造法による製造が難しい。
【実施例】
【0040】
実施例に係る合金は、Mo、Si、B、TiおよびCを主成分とする。これにより、表3に示すように、2000℃程度で溶解可能であり、鋳造法を用い合金を製造が可能である。図6から図9に示すように、1000℃以上の高温において高強度かつ高剛性である。さらに、図10に示すように、軽量である。
【実施例】
【0041】
Moの組成比は52原子%以上かつ80原子%以下であり、Siの組成比は1.5原子%以上かつ25原子%以下であり、Bの組成比は3原子%以上かつ25原子%以下であり、Tiの組成比は0.1原子%以上かつ15原子%以下であり、Cの組成比は、0.1原子%以上かつ15原子%以下であることが好ましい。これにより、低温での溶解が可能となる。
【実施例】
【0042】
Mo-Si-B三元系の融点の知見から、低融点化のため、Moの組成比は80原子%以下が好ましい。高強度化のため、Moの組成比は52原子%以上が好ましい。Mo-Si-B三元系をベースとするため、Siの組成比は1.5原子%以上かつ25原子%以下であり、Bの組成比は3原子%以上かつ25原子%以下であることが好ましい。TiおよびCは、低融点化のため、0.1原子%以上が好ましい。
【実施例】
【0043】
図2(a)から図5(b)に示すように、これらの合金は、Mo固溶体相、MoC、MoSiBおよびTiCの共相であることにより、融点が低く、高強度かつ軽量化を実現できる。
【実施例】
【0044】
表3のように、Mo、SiおよびBを主成分とする比較例においては、溶解温度を2100℃以下とするため、Moの組成比が65原子%以上であり、かつBの組成比が20原子%以下であることが好ましい。また、Moの組成比は、75原子%以下が好ましい。Bの組成比は10原子%以上が好ましい。溶解温度を2000℃以下とするため、Moの組成比が67原子%以上であり、かつBの組成比が15原子%以下であることが好ましい。Moの組成比は、73原子%以下が好ましい。Bの組成比は10原子%以上が好ましい。しかしながら、比較例においては、密度が9.1g/cm以上となってしまう。よって、合金の軽量化が難しい。Moの組成比を62.5原子%、Bの組成比を25原子%およびSiの組成比を12.5原子%とすると、合金の密度を約8.8g/cmとすることができる。しかしながら、溶解温度が高くなる。実施例では、密度をほぼ9.0g/cm以下とすることができ、かつ溶解温度を低くすることができる。よって、比較的低温において溶解可能であり、かつ合金の軽量化が容易である。
【実施例】
【0045】
ZrおよびHfは、周期律表においてTiと同じ周期であり、性質がTiと似ている。例えば、CまたはNとの親和力が大きい。よって、Tiの代わりにZrおよびHfを用いることができる。軽量化のためには、Tiが好ましい。また、合金化した際にNはCと同様な挙動を示すため、Cの代わりにNを用いることもできる。よって、合金は、Moと、Siと、Bと、Tiと、ZrおよびHfの少なくとも1つの元素と、CおよびNの少なくとも1つの元素と、を主成分とすればよい。
【実施例】
【0046】
例えば、Mo:Si:B:Ti:C:Zr=52:8:10:10:10(原子比)の試料を作製した。この試料の密度は約8.1g/cmであり、2000℃において溶解した。
【実施例】
【0047】
合金は、Mo、Si、B、ZrおよびCを主成分とすることができる。また、合金は、Mo、Si、B、Ti、ZrおよびCを主成分とすることができる。この場合、合金は、Mo固溶体相、MoC、MoSiBおよびZrCの共相であることにより、融点が低く、高強度かつ軽量化を実現できる。
【実施例】
【0048】
図1のステップS10における材料としては、Mo、Si、B、TiC、TiN、TiおよびZr等を適宜用いることができる。ステップS12における材料の溶解方法としては、アーク溶解法以外にもプラズマ溶解法等を用いることができる。
【実施例】
【0049】
Moと、Siと、Bと、Tiと、ZrおよびHfの少なくとも1つの元素と、CおよびNの少なくとも1つの元素と、を主成分とする合金は、2000℃程度の温度で溶解するため、安価な設備を用い製造することができる。また、複雑な形状の製品および/または大型な製品を簡単に製造することができる。また、1000℃以上の温度において強度を高くでき、軽量化が可能である。このため、この合金は、耐熱合金として、ジェットエンジンやガスタービンの高圧タービンブレードに適用可能となる。また、WC(炭化タングステン)に代わり各種加工ツールや特殊金型にも応用することができる。さらに、高温高圧容器に使用することもできる。
【実施例】
【0050】
以上、発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9