TOP > 国内特許検索 > レーザによる温度測定方法及びその装置 > 明細書

明細書 :レーザによる温度測定方法及びその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-170153 (P2016-170153A)
公開日 平成28年9月23日(2016.9.23)
発明の名称または考案の名称 レーザによる温度測定方法及びその装置
国際特許分類 G01K  11/00        (2006.01)
G01S  17/88        (2006.01)
FI G01K 11/00 Z
G01S 17/88
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2015-051836 (P2015-051836)
出願日 平成27年3月16日(2015.3.16)
発明者または考案者 【氏名】大高 雅彦
出願人 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100139114、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 貞嗣
【識別番号】100092495、【弁理士】、【氏名又は名称】蛭川 昌信
【識別番号】100139103、【弁理士】、【氏名又は名称】小山 卓志
【識別番号】100145920、【弁理士】、【氏名又は名称】森川 聡
【識別番号】100094787、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 健二
【識別番号】100097777、【弁理士】、【氏名又は名称】韮澤 弘
【識別番号】100091971、【弁理士】、【氏名又は名称】米澤 明
審査請求 未請求
テーマコード 2F056
5J084
Fターム 2F056TZ07
5J084AA05
5J084AD01
5J084AD07
5J084BA04
5J084BA32
5J084BB18
5J084CA03
5J084CA07
要約 【課題】高温、高放射線環境下の過酷な環境においても精度良く環境温度の測定ができる技術を提供する。
【解決手段】レーザの伝搬媒体となる中空のプローブ11に温度測定箇所に測定用反射部X1~XNを設け、中空のプローブを測定環境に挿入し、レーザ発振部6から発振させたレーザを中空のプローブに投光し、中空のプローブ内に設けた測定用反射部からの反射波を解析することによって測定環境の温度を測定する温度測定方法であって、レーザ発振部から発振するレーザを制御するレーザ発振制御手段5と、レーザ発振部6から発振されたレーザ光を、プローブ11の測定点である測定反射部に配設された起点反射体起点反射体X10~XN0と終点反射体X11~XN1によって各々反射光として反射させ該反射光を受振するレーザ受信制御手段と、レーザ発振制御手段の情報とレーザ受振手段の情報から、測定環境の温度を解析する温度解析手段4Cとからなる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
測定環境に、レーザの伝搬媒体となる中空のプローブに、温度測定箇所に測定用反射部を設け、該中空のプローブを測定環境に挿入し、レーザ発振部から発振させたレーザを前記中空のプローブに投光し、前記中空のプローブ内に設けた測定用反射部からの反射波を解析することによって測定環境の温度を測定するレーザによる温度測定方法であって、
前記レーザ発振部から発振するレーザを制御するレーザ発振制御手段と、
該レーザ発振部から発振されたレーザ光を、前記プローブの測定点である測定反射部に配設された起点反射体と終点反射体によって各々反射光として反射させ該反射光を受振するレーザ受信制御手段と、
前記レーザ発振制御手段の情報と前記レーザ受振手段の情報から、前記測定環境の温度を解析する温度解析手段と
からなることを特徴とするレーザによる温度測定方法。
【請求項2】
前記測定用反射部は、測定点の位置に合わせて前記中空のプローブの複数位置に設けたことを特徴とする請求項2に記載のレーザによる温度測定方法。
【請求項3】
前記中空のプローブは、タングステン等の高融点材料からなることを特徴とする請求項2乃至3に記載のレーザによる温度測定方法。
【請求項4】
測定環境に、レーザの伝搬媒体となる中空のプローブに、温度測定箇所に測定用反射部を設け、該中空のプローブを測定環境に挿入し、レーザ発振部から発振させたレーザを前記中空のプローブに投光し、前記中空のプローブ内に設けた測定用反射部からの反射波を解析することによって測定環境の温度を測定するレーザによる温度測定方法であって、
前記レーザ発振部から発振するレーザを制御するレーザ発振制御手段と、
該レーザ発振部から発振されたレーザ光を、前記プローブの測定点である測定反射部に配設された起点反射体と終点反射体によって各々反射光として反射させ該反射光を受振するレーザ受信制御手段と、
前記レーザ発振制御手段の情報と前記レーザ受振手段の情報から、前記測定環境の温度を解析する温度解析手段と
からなることを特徴とするレーザによる温度測定装置。
【請求項5】
前記測定用反射部は、測定点の位置に合わせて前記中空のプローブの複数位置に設けたことを特徴とする請求項4に記載のレーザによる温度測定装置。
【請求項6】
前記中空のプローブは、タングステン等の高融点材料からなることを特徴とする請求項4乃至5に記載のレーザによる温度測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザを利用した遠隔地点あるいは狭隘部の温度を測定する方法及び装置に関する。詳細には、所定位置に内部に複数の反射部を持った中空のプローブに、レーザを投光させ、中空のプローブの内部に設けられた反射部からの反射波の到達時間を計測することによって所定位置での温度を測定する技術に関する。
ここで、複数の反射部とは、中空のプローブの内部に設けられた鏡の他、レーザが到達することによって複雑に反射するミゾ、スリット、ノッチ、突起などの任意の形状を採用することができる。本発明では、これらを総称して「反射部」として説明する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体、固体を問わず、遠隔位置あるいは狭隘部の温度を測定する場合には、超音波センサによって液体あるいは固体中に超音波を伝播させ、その反射波の戻り時間を測定し、基準音速との対比を行い、速度の変化から液体の温度を測定する方法が用いられている。(特許文献1)、(特許文献2)
また、遠隔位置あるいは狭隘部の温度を測定する場合には、光ファイバなどを利用して、遠隔位置あるいは狭隘部での超音波センサによる超音波伝播を実現し、その反射波の戻り時間を測定し、基準音速との対比を行い、超音波の速度の変化から液体の温度を測定する方法が用いられている。(特許文献3)
さらに、超音波を利用した一般的な温度測定の原理は数多く紹介されているが、基本原理的な技術紹介であり、実用に即した測定方法とするためには種々の工夫が必要とされる。(非特許文献1)
しかしながら、これらは、超音波センサが正常に稼働できる比較的低温の環境に限られたものである。
【0003】
また、レーザを利用した温度測定は、特許文献4を始め一般的な温度測定の技術として開示されているが、いずれもが、所定の距離をもった反射部に対してレーザを投光し、該レーザが反射して戻るまでの時間を測定することによって、温度変化に伴う距離の変化を検知することで、レーザの基準戻り時間と実際の計測戻り時間との差を演算し、所定位置の温度を特定するものである。しかしながら、レーザを利用した一般的な温度測定の基本原理的な技術紹介であり、実用に即した測定方法とするためには、環境温度に対するプローブの考慮等の種々の工夫が必要とされる。(特許文献4)
【0004】
一方、福島第一原子力発電所の事故に見られるように、過酷事故における原子炉内の温度測定の重要度が再認識され、一方で原子炉内に挿架されるセンサは、過酷環境によって破損し、その機能を果たさなかった。主たる課題は、温度、放射線にあった。また、このような高温、高放射線環境下での測定要求は、原子炉施設の事故に限らず、再処理施設のガラス固化体処理プロセスなどに例示されるように、測定を不可あるいは困難にしていた。
【0005】
また、事故などに限らず、原子炉施設では安全上重要な機器や設備に対する健全性維持が要求される。ただ、これを実現するためには、原子炉施設の容器の蓋を開放するなどの必要が生じ、施設の稼働中に検査を行うことができず、やむを得ず施設を停止した時に検査を行うことで対処している。このやり方では、施設を停止するによって本来の稼働中の状況測定が困難となっていた。
すなわち、高温、高放射線環境下においても環境温度の測定を可能とする測定方法の実現が要求されるようになってきた。
【0006】

【特許文献1】特開2013-178127号公報
【特許文献2】特願2013-244628号出願明細書
【特許文献3】特開2009-210395号公報
【特許文献4】特開2014-202610号公報
【0007】

【非特許文献1】「超音波を用いた新規な非破壊・ 非接触モニタリング手法」長岡技術科学大学工学部機械系 井原郁夫准教授(http://mcweb.nagaokaut.ac.jp/j/laboratory/laboratory_13参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術で記載した問題点に鑑み、高温、高放射線環境下の過酷な環境においても精度良く環境温度の測定ができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の発明は、測定環境に、レーザの伝搬媒体となる中空のプローブに、温度測定箇所に測定用反射部を設け、該中空のプローブを測定環境に挿入し、レーザ発振部から発振させたレーザを前記中空のプローブに投光し、前記中空のプローブ内に設けた測定用反射部からの反射波を解析することによって測定環境の温度を測定するレーザによる温度測定方法であって、前記レーザ発振部から発振するレーザを制御するレーザ発振制御手段と、該レーザ発振部から発振されたレーザ光を、前記プローブの測定点である測定反射部に配設された起点反射体と終点反射体によって各々反射光として反射させ該反射光を受振するレーザ受信制御手段と、前記レーザ発振制御手段の情報と前記レーザ受振手段の情報から、前記測定環境の温度を解析する温度解析手段と、からなるレーザによる温度測定方法である。
【0010】
本発明の第2の発明は、第1の発明に付加して、前記測定反射部は、測定させたい位置に合わせて前記中空のプローブの少なくとも1乃至複数位置に設けたレーザによる温度測定方法である。
【0011】
本発明の第3の発明は、第1乃至第2の発明に付加して、前記中空のプローブは、タングステン等の高融点材料からなるレーザによる温度測定方法である。
【0012】
本発明の第4の発明は、測定環境に、レーザの伝搬媒体となる中空のプローブに、温度測定箇所に測定用反射部を設け、該中空のプローブを測定環境に挿入し、レーザ発振部から発振させたレーザを前記中空のプローブに投光し、前記中空のプローブ内に設けた測定用反射部からの反射波を解析することによって測定環境の温度を測定するレーザによる温度測定方法であって、前記レーザ発振部から発振するレーザを制御するレーザ発振制御手段と、レーザ発振部が受信したレーザを制御するレーザ受信制御手段と、前記レーザ発振制御手段の情報と前記レーザ受信手段の情報から、前記測定環境の温度を解析する温度解析手段と、からなるレーザによる温度測定装置である。
【0013】
本発明の第5の発明は、第4の発明に付加して、前記測定用反射部は、測定点の位置に合わせて前記中空のプローブの複数位置に設けたレーザによる温度測定装置である。
【0014】
本発明の第6の発明は、第4乃至第5の発明に付加して、前記中空のプローブは、タングステン等の高融点材料からなるレーザによる温度測定装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、
本発明のレーザによる温度測定装置は、温度測定用の制御装置すなわちプローブ以外の全てを測定環境外あるいは遠隔に設けることができるため、測定環境の高温ならびに放射線環境下に耐える温度測定を実現できる。また、特別の環境温度対応の構造が不要であり、安価に製造することができる。
【0016】
また、測定環境内に配設されるプローブが、高温ならびに放射線環境下に耐える材料であるため、測定環境内の遠隔部ならびに狭隘部に配設することができ、許容される測定範囲を大きく確保することができる。このため、予め測定環境内、例えば、測定環境構造物の建造時に予めプローブを組み込んでおくことも可能である。
【0017】
また、温度測定が、予め設けられた対となる測定反射部の起点反射体と終点反射体との温度による間隔の変化を光速に置き換えて測定するものであり、温度測定精度を高度に達成、維持することができる。
さらに、プローブの任意の測定部に、測定反射部として起点反射体と終点反射体を設けることで、測定環境の温度を、該起点反射体と終点反射体との間隔の変動のみを解析することによって、その他の測定環境の温度による影響を排除した温度測定とすることができる。
特に、プローブ内が閉鎖空間に構成できるため、外部の光、ならびに環境の影響を受けないようにすることができる。
【0018】
また、プローブならびに測定反射部などによるレーザの減衰が少なく、かつ、測定位置での起点反射体と終点反射体との距離を直接測定するため、プローブ途中の温度変化の影響を受けることなく精度良い測定が可能である。
特に、超音波による測定では、超音波発信から測定点までの距離が数十メートルといわれているが、本発明のレーザでは数百メートルと遠距離の測定が可能である。
【0019】
また、複数の測定箇所に、測定反射部としての起点反射体と終点反射体とを対にして複数設けることによって、複数の測定環境の温度測定を同時に行うことが可能となり、スピーデイな測定による測定効率を向上させることができる。
【0020】
さらに、高温ならびに放射線環境下の測定環境に晒されるものが、高融点材料であることから、測定対象となる施設などが稼働中、停止中に係らず温度を測定することができ、モニタリング装置として常時利用することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のレーザによる温度測定装置の機器構成の一実施例を示す図である。
【図2】本発明のレーザによる温度測定する信号処理の手順の概要を示す図である。
【図3】本発明のレーザによる温度測定装置の測定温度の最小分解能および空間分解能の一実施例を示す図である。
【図4】本発明のレーザによる温度測定装置におけるプローブで、1箇所の温度測定を行う場合の一実施例を示す図である。
【図5】本発明のレーザによる温度測定装置におけるプローブで、多点の温度測定を行う場合の一実施例を示す図である。
【図6】本発明のレーザによる温度測定の応用例の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のレーザによる温度測定装置は、測定環境に、レーザの伝搬媒体となる中空のプローブに、温度測定箇所に測定用反射部を設け、該中空のプローブを測定環境に挿入し、レーザ発振部から発振させたレーザを前記中空のプローブに投光し、前記中空のプローブ内に設けた測定用反射部からの反射波を解析することによって測定環境の温度を測定する
レーザによる温度測定方法であり、前記レーザ発振部から発振するレーザを制御するレーザ発振制御手段と、該レーザ発振部から発振されたレーザ光を、前記プローブの測定点である測定反射部に配設された起点反射体と終点反射体によって各々反射光として反射させ該反射光を受振するレーザ受信制御手段と、前記レーザ発振制御手段の情報と前記レーザ受振手段の情報から、前記測定環境の温度を解析する温度解析手段とを有する。
測定反射部は、測定させたい位置に合わせて前記中空のプローブの少なくとも1乃至複数位置に設ける。
また、前記中空のプローブは、タングステン等の高融点材料によって構成する。

【0023】
レーザによる温度測定装置の構成を、図1を基に説明する。
レーザによる温度測定装置1(以下、温度測定装置と称す。)は、レーザの発振制御から反射したレーザの受振、受信したレーザの解析、ならびに解析結果に基づく測定温度の特定等の一連の制御を司る制御装置2と、測定環境に配設され、内部に複数の測定反射部を持つプローブ11で構成される。

【0024】
制御装置2は、レーザ発振制御手段4a、レーザ受振制御手段4b、温度解析手段4cにより構成される制御プログラム/記憶装置4を接続し、各種の制御を行う制御部3と、レーザの発振制御を行うレーザ発振制御部5、レーザ発振制御部5からの情報を基にレーザの走査制御を行うレーザ走査制御器7、具体的なレーザ発振ならびにプローブからの反射レーザを受振するレーザ発振/受振器6と、受振した反射レーザを所望の光信号として取得する干渉フィルタ8、反射レーザを増幅する光電子倍増管9、増幅された反射レーザ信号のパルスを解析するパルス計測部10によって構成する。

【0025】
前記レーザ発振/受振器6からのレーザを測定反射部X1~XNの起点反射体X10~XN0、終点反射体X11~XN1によって反射させ、反射レーザをレーザ発振/受振器6に受振させる構成である。

【0026】
また、パルス計測部10の情報を基にして、温度解析手段4cによって、予め定められた起点反射体X10~XN0と終点反射体X11~XN1との距離D1~DNに対する実際に測定した起点反射体X10~XN0と終点反射体X11~XN1との距離d1~dNとを算出し、各測定反射部X1~XNにおける温度を演算する。

【0027】
一方、プローブ11は、所望の測定環境の位置に測定反射部X1~XNを設けている。
また、プローブ11は、測定環境の高温ならびに、放射線環境下に耐える高融点材料で構造する。高融点材料としては、ステンレス鋼などの鉄材、タングステン、モリブデン、ジルコニウムが好ましい。これらのうち、タングステン、モリブデン、ジルコニウムがより好ましい。

【0028】
ここで、レーザ発振制御部5、レーザ走査制御部7、レーザ発振/受振器6、干渉フィルタ8、光電子倍増管9ならびにパルス計測部10については、一般に開示されている技術、機器等を使用するものであり、本発明では説明を割愛する。

【0029】
ただ、レーザ発振制御について、本発明の基本は、レーザによる測距であり、その方式には(1)レーザ発光素子とレーザ受光素子とを組み合わせ三角測量を応用した三角測距方式、(2)レーザの発振から反射したレーザの受振までの伝播時間を計測し距離を算出するパルス伝播方式、(3)連続発振レーザに周波数変調をかけ2種類の変調周波数を用いて距離を求める位相差距離方式の三種類があるが、いずれの方式を採用しても実施可能であるが、本発明では(2)のパルス伝播方式によって説明する。

【0030】
レーザ光速をc、レーザの発振、受振の時刻をR、R′、所要時間の差(R′-R)を
ΔR、測定環境の基準温度に対する温度の変化量をΔt、測定環境に配置されている起点反射体と終点反射体との距離間隔Dの変化量をd、測定環境の温度に対する線膨張係数をαとすると、次式で表される。
ΔR=R′-R (1)
2d=ΔR・c (2)
d=D・Δt・α/2 (3)
(1)(2)(3)式から
Δt=2・ΔR・c/(α・D) (4)
が得られる。これによって、基準温度に対する測定環境の温度の変化量を演算することができ、基準温度+Δtを測定温度Tとして設定することができる。この内容をプログラム化することで、測定環境の温度を解析する温度解析手段4cを構成する。

【0031】
このTを演算する過程を図2によって、その概念を説明する。
本例は、測定反射部がX1、X2と2つの例により図示した。
1)基準信号は、プローブ11の測定反射部X1、X2の位置を実測することで決まる起点反射体X10と終点反射体X11からのレーザ反射光の受振時刻R10、R11ならびにR1
理論的に設定したものである。
2)反射信号は、実際にレーザ発振/受振器6によって受振したレーザの反射信号を表わしたものであるが、レーザがプローブ内で乱反射することによるノイズも合わせて受振している。
このノイズ部分を予め繰り返し試験によって定量化しておくことによって、前述のレーザの反射信号から取り除くことが可能である。
3)レーザ信号の抽出は、2)の反射信号から前述の定量化されたノイズを除去することで得られるレーザ信号の抽出を表わしている。
4)時間/距離の計測では、1)基準信号に対して周囲の温度等によって受振信号は遅れ気味にあらわされるが、所定の環境温度測定部分に注視すると、起点反射体X10と終点反射体X11からのレーザ反射光の受振時刻R10′、R11′ならびにR′を正確に測定することが目的であるため、受振信号の遅れは無視し、R′=R11′-R10′を演算設定する。

この演算結果を基に前記式(4)によって、基準温度に対する測定環境の温度の変化量Δtを演算し、基準温度+Δtを測定温度Tとして設定する。

【0032】
つぎに、本発明における測定温度の最小分解能および空間分解能は、中空円筒材質の線膨張係数、反射体間の距離、レーザによる測距精度から決定する。
例として、プローブ11にタングステン材を使用した場合、その線膨張係数から計算される反射体間隔との関係を図3に示す。
現在市販されているレーザ距離計の仕様を参考とすれば、レーザと反射体間の距離に応じて分解能が低下するため、最も厳しい条件となる仕様上の測定レンジの最長3.5mにおいて100μmの分解能を有する。
図3から反射体間の距離が約200mmにおいて約1μm/Kの変化が生じる。100Kの温度変化で約100μmの膨張が生じるため測距分解能を上回ることになる。従って、温度分解能は100K、空間分解能は200mmとなることが期待される。
上記例のように、適用条件(要求)に応じて、適宜装置設計を行う。
〔実施例1〕

【0033】
本発明の実施例1として、レーザによる温度測定装置の温度測定部が1箇所のプローブ11について図4を基に説明する。
本実施例は、図4a)に示すように、タングステン製の中空構造のプローブ11に、測定反射部X1としての起点反射体X10と終点反射体X11を対角線の位置に配置し(図4b))、レーザ発振制御部5からのレーザ走査制御器7への走査信号と、レーザ発振/
受振部6aへの発振信号とに基づきレーザをプローブ11内へ発振させる。また、起点反射体X10と終点反射体X11からの反射レーザをレーザ発振/受振部6bによって受振する構成である。プローブ11は細長い中空構造であるため、起点反射体X10と終点反射体X11は、図4c)に記載のように円筒部と反射体部とを分割構成として、ネジ嵌合あるいは溶接等によって接続することもできる。
〔実施例2〕

【0034】
本発明の実施例2として、レーザによる温度測定装置の温度測定部が多点の場合のプローブ11について図5を基に説明する。
本実施例は、図5a)に示すように、タングステン製の中空構造のプローブ11に、温度測定点として測定反射部X1からX6までをプローブの円周に沿って均等にかつ放射状に配置(螺旋状に配置)して、起点反射体X10と終点反射体X11~起点反射体X60と終点反射体X61を配置し(図5b))、レーザ発振制御部5からのレーザ走査制御器7への走査信号と、レーザ発振/受振部6aへの発振信号とに基づきレーザをプローブ11内へ発振させる。また、起点反射体X10と終点反射体X11、・・起点反射体X60と終点反射体X61からの反射レーザをレーザ発振/受振部6bによって受振する構成である。プローブ11は細長い中空構造であるため、起点反射体X10と終点反射体X11、・・起点反射体X60と終点反射体X61は、図4c)と同様に円筒部と反射体部とを分割構成として、ネジ嵌合あるいは溶接等によって接続することもできる。
〔実施例3〕

【0035】
本発明の実施例3として、レーザによる温度測定装置の実際への応用例として図6を基に説明する。
万一、原子炉に事故等が発生した場合に備え、原子炉圧力容器の炉心下の底部に、溶融物質が溜まると想定される位置に本発明のプローブ11を、予め挿入しておき、事故等が発生した場合の原子炉内の温度を外部から監視できるようにするものである。
プローブ11には、レーザ発振/受振器6ならびにレーザ走査制御器7を介して制御装置2を接続し、レーザによる温度測定装置を構成している。この図からも判るように、プローブ11の長さを適宜設定することで、レーザ発振/受振器6、レーザ走査制御器7さらには制御装置2を温度に影響されない、かつ放射線の影響の少ない位置に設定することが可能となる。
また、万一の事故に限らず、日常の原子炉圧力容器内の温度モニタリング機器として活用が可能である。

【0036】
以上、実施例1~3について、レーザ走査を前提とした説明であるが、レーザのビーム径を適宜設定する、例えば、プローブ11の内径に合わせたビーム径とすることによってレーザ走査を省略することができ、かつ、複数の温度測定部の温度を同時に測定することができる。
【符号の説明】
【0037】
1…レーザによる温度測定装置
2…制御装置
3…制御部
4…制御プログラム/記憶装置
4a…レーザ発振制御手段
4b…レーザ受振信制御手段
4c…温度解析手段
5…レーザ発振制御部
6…レーザ発振/受振器
7…レーザ走査制御器
8…干渉フィルタ
9…光電子倍増管
10…パルス計測部
11…プローブ
X1…1番目測定反射部
10…1番目起点反射体
11…1番目終点反射体
X2…2番目測定反射部
20…2番目起点反射体
21…2番目終点反射体
XN…N番目測定反射部
N0…N番目起点反射体
N1…N番目終点反射体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5