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明細書 :有機発光ダイオード

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-126830 (P2016-126830A)
公開日 平成28年7月11日(2016.7.11)
発明の名称または考案の名称 有機発光ダイオード
国際特許分類 H05B  33/04        (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
C09K  11/06        (2006.01)
FI H05B 33/04
H05B 33/14 B
H05B 33/22 A
C09K 11/06 680
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2014-264021 (P2014-264021)
出願日 平成26年12月26日(2014.12.26)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 発行者名:公益社団法人 応用物理学会、刊行物名:第75回 応用物理学会秋季学術講演会 予稿集、発行日:平成26年9月1日 〔刊行物等〕 研究集会名:第75回 応用物理学会秋季学術講演会、開催日:平成26年9月17日~20日(発明の公開日:平成26年9月19日)
発明者または考案者 【氏名】大谷 直毅
【氏名】江本 顕雄
【氏名】秋山 博紀
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】100076406、【弁理士】、【氏名又は名称】杉本 勝徳
【識別番号】100117097、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 充浩
審査請求 未請求
テーマコード 3K107
Fターム 3K107AA01
3K107BB01
3K107CC02
3K107CC23
3K107DD61
3K107DD74
3K107DD79
3K107EE49
要約 【課題】素子の劣化を抑制し、かつ輝度の向上が図れる有機LEDを提供する。
【解決手段】有機LED1は、上面に陽極12が形成された基板11上に、少なくとも正孔注入層13、発光層14、封止層15および陰極16の各薄膜が積層されたものである。本発明では、封止層15を導電性高分子材料で作製し、かつ封止層15を、基板11上に形成された正孔輸送層13および発光層14を覆うように形成している。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
上面に陽極が形成された基板上に、少なくとも正孔注入層、発光層、封止層および陰極の各薄膜が積層された有機発光ダイオードであって、
前記封止層は導電性高分子材料で作製され、かつ前記基板上に形成された前記正孔輸送層および発光層を覆うように形成されていることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項2】
前記導電性高分子材料として、導電性ポリマーに紫外線硬化性を付与した材料を用いる、請求項1に記載の有機発光ダイオード。
【請求項3】
前記導電性ポリマーとして、ポリチオフェン系導電性ポリマーを用いる、請求項2に記載の有機発光ダイオード。
【請求項4】
前記発光層の発光材料としてMDMO-PPVを用いる、請求項1ないし3のいずれかに記載の有機発光ダイオード。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、発光層を含む複数の薄膜を透明基板上に積層した有機発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(以降、「有機LED」という)は、有機EL(Electroluminescence)の発光を利用したLED(Light Emitting Diode)である。これを用いたディスプレイは、液晶ディスプレイのようなバックライトを必要とせず、また小さなエネルギーによる発光が可能である。さらに、応答速度が速い、視野角が広い、薄型で安価などの利点を持つことから、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイに代わる次世代ディスプレイとして有力視されている。
【0003】
一方、有機LEDは、大気中の酸素や水分などが原因で劣化する欠点がある。このため発明者等は、これまでに高分子材料であるUV(紫外線)硬化型シルセスキオキサンを発光材料と混合し、UV硬化によって有機無機ハイブリッド薄膜を形成することで、劣化の改善効果を検証した(非特許文献1参照)。また、この薄膜を発光層に用いた3層構造の有機LEDの作製に成功した(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】H.Akiyama and N. Ohtani, Jpn. J. Appl. Phys. 53, 02BC18(2014)
【非特許文献1】第74回応用物理学会秋季学術講演会、17p-P4-12(2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述したUV硬化型シルセスキオキサンは絶縁材料であり、電流を注入しにくいために、十分な輝度を確保できないという問題点がある。
【0006】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたもので、素子の劣化を抑制し、かつ輝度の向上が図れる有機LEDを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明にかかる有機LEDは、上面に陽極が形成された基板上に、少なくとも正孔注入層、発光層、封止層および陰極の各薄膜が積層された有機LEDであって、
前記封止層は導電性高分子材料で作成され、かつ前記基板上に形成された前記正孔輸送層および発光層を覆うように形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明にかかる有機LEDにおいて、前記導電性高分子材料として、導電性ポリマーに紫外線硬化性を付与した材料を用いることが好ましい。更には、導電性ポリマーとしてポリチオフェン系導電性ポリマーを用いることが一層好ましい。また前記発光層の発光材料としてMDMO-PPVを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる有機LEDは、発光層を封止層で覆うことによって、素子の劣化を抑制して長寿命化を図り、更に、封止層に導電性高分子材料を採用することによって電流の注入を改善して、輝度の向上を図っている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態にかかる有機LEDの基本的な素子構造を示す図である。
【図2】有機LEDの各種特性を測定する測定系の構成を示す図である。
【図3】有機LEDの電圧-電流特性および電圧-輝度特性の測定結果を示すグラフである。
【図4】有機LEDのELスペクトルの測定結果を示すグラフである。
【図5】有機LEDの時間変化劣化特性の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態にかかる有機LEDについて、図面を参照しながら説明する。

【0012】
<有機LEDの素子構造>
図1に、本実施の形態にかかる有機LEDの基本的な素子構造を示す。有機LED1は、上面に陽極12が形成された透明基板11上に、正孔注入層13、発光層14、封止層15および陰極16を、この順に積層したものである。陽極12と陰極16の間に電圧を印加すると、透明基板11側から可視光領域の発光を観察できる。

【0013】
なお、図では各層の厚みに差がないが、実際には、陽極12、正孔注入層13、発光層14、封止層15および陰極16の厚みは数十nm~100nm程度であるのに対して、透明基板11の厚みは2mm程度であり、厚みに4桁ほどの差がある。

【0014】
最初に、発光層15について説明する。発光層15として導電性を有する種々な有機高分子材料を使用できるが、本実施の形態では、ポリフェニレンビニレン系ポリマーの一種であり、下記式(化1)で示される Poly(2-methoxy-5-(3',7'-dimethyloctyloxy)-1,4-phenylenevinylene)(MDMO-PPV)を用いている。

【0015】
【化1】
JP2016126830A_000003t.gif

【0016】
発光層における発光のメカニズムについて簡単に説明する。電圧印加により発光ポリマーに注入された電子と正孔が再結合するときに発光する。このとき注入された電子と正孔のスピンが反対のときは励起一重項が形成され、スピンが同じときは励起三重項が形成される。

【0017】
励起一重項( 1X およびそれとは異なる 1Y という状態があるとする)が示す振る舞いの中で、1X と基底状態 X0 が二分子会合して励起状態の二量体を形成することがある。できた二量体をエキシマー(excimer=excited dimer)と呼ぶ。同様に二量体形成が互いに異なる分子種 1X と Y0 からできたときはその二量体をエキシプレックス(exciplex=excited complex)と呼ぶ。

【0018】
エキシマーおよびエキシプレックスの励起状態から基底状態へ戻る際に発光が得られ、一般に前者はエキシマー発光、後者はエキシプレックス発光と呼ばれる。エキシマーは単量体と異なったエネルギー準位を有するため、得られる発光スペクトルは単量体と異なり、より低エネルギーの発光を示すことが知られている。エキシプレックス発光も同様である。

【0019】
次に、正孔注入層13について説明する。発光層14と陽極12との間には、陽極12から発光層14への正孔注入障壁を緩和するために正孔注入層13が設けられている。正孔注入層13により陽極12から正孔を注入すると共に正孔を効率よく発光層14に導く。正孔注入層13の代表的な材料として、poly(3,4-ethylenedioxythiophene)-polystyrenesulfonic acid (PEDOT-PSS) が挙げられる。

【0020】
発光層14の上部には、正孔注入層13および発光層14を覆うように封止層15が形成されている。本実施の形態では、封止層15の材料として、導電性高分子である導電性ポリマーに紫外線硬化性を付与した材料を用いる。中でも、ポリチオフェン系導電性ポリマーに紫外線硬化型アクリルモノマーを組み合わせた材料が好ましい。更に、これと光重合開始剤や光増感剤等で構成されている材料が一層好ましい。

【0021】
封止層15に用いられる高分子としては、導電性を有し、適当な溶媒に溶解または分散し得る高分子化合物であればよく、特に制限されない。一般的に共役型の二重結合を基本骨格に有する有機高分子で、具体的にはトランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリジアセチレンなどのポリアセチレン系;ポリ(p-フェニレン)やポリ(m-フェニレン)などのポリ(フェニレン)系;ポリチオフェン、ポリ(3-アルキルチオフェン)、ポリ(3-チオフェン-β-エタンスルホン酸)、ポリアルキレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホネートとの複合体などのポリチオフェン系;ポリアニリン、ポリメチルアニリン、ポリメトキシアニリンなどのポリアニリン系;ポリピロール、ポリ3-メチルピロール、ポリ3-オクチルピロールなどのポリピロール系;ポリ(p-フェニレンビニレン)などのポリ(フェニレンビニレン)系;ポリ(ビニレンスルフィド)系;ポリ(p-フェニレンスルフィド)系;ポリ(チエニレンビニレン)系化合物などが用いられる。特に高い導電性及び透明性を示すポリチオフェン系化合物が好ましい。

【0022】
上記ポリアルキレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホネートとの複合体は、例えば、ポリスチレンスルホン酸またはその塩と3価の鉄イオンの存在下、ペルオキソ二硫酸ナトリウムを酸化剤として、水性媒体中で酸化重合させることにより水性分散体として得られ、下記式(化2)で示される構造を有する。

【0023】
【化2】
JP2016126830A_000004t.gif

【0024】
上記ポリアルキレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホネートとの複合体またはその配合品の市販品としては、例えば、「セプルジーダ 」(登録商標、信越ポリマー株式会社製品)が挙げられる。中でも、「セプルジーダOC-X301」(以降、「UV-CM」という)は、紫外線硬化性を付与した上述の要件を満たす市販品である。

【0025】
UV-CMは、耐水性や耐溶剤性に優れ、また低抵抗な薄膜を形成することが容易であり、0 ℃の熱水中に22時間浸漬しても抵抗変化はほとんどない。

【0026】
本実施の形態では、UV-CMの導電性を利用して発光層14への電流注入を改善すると共に、UV-CMのガスバリア性を利用して、大気中の酸素や水分などから発光層14を保護することによって素子の劣化防止を図っている。

【0027】
封止層の材料として使用する導電性高分子材料は、UV-CMに限定されない。UV-CMと同様のガスバリア性および導電性を有する高分子材料であれば、UV-CMに置き換えて使用できる。

【0028】
次に、陽極12および陰極16について説明する。有機LED1の電極材料は、効率よく発光させるために十分な電子や正孔を注入できるものでなければならない。そのため、有機分子や高分子のキャリアを受ける電子エネルギー順位(HOMO、LUMO)との間の障壁ができるだけ小さくなるよう、電子注入側の陰極16には仕事関数の小さいもの、陽極12には逆に仕事関数の大きいものを使用する。また、光を取り出すために、少なくも一方の電極は透明である必要がある。

【0029】
以上を踏まえて、陽極12の材料としては、一般的な透明電極材料である ITO (Indium-Tin-Oxide)を用いる。一方、陰極16の材料としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの仕事関数の小さな金属を用いるのが有効である。陰極16の材料として、例えば、マグネシウム-銀(MG-Ag)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、リチウム-アルミニウム(Li-Al)などの合金や、アルミニウムそのものが挙げられる。

【0030】
<有機LEDの各層の形成方法>
次に、有機LED1の各層の形成方法について説明する。

【0031】
有機LED1を構成する各層のうち、発光層14を含め、正孔注入層13および封止層15はスピンコーティング法によって形成する。また陰極15はアルミニウムなどの金属の蒸着により形成する。

【0032】
スピンコーティング法は有機材料の成膜に適している。有機材料を溶かした溶液を平滑な面に垂らし、その面を回転させることによって薄膜を形成することができる。例えば、正孔注入層13を成膜する際は、表面に透明電極である ITO 膜12が形成された透明基板(一般にはガラス基板)11を準備し、この透明基板11の表面に、予め有機溶剤に溶解された PEDOT-PSS の溶液を滴下し、スピンコーターを用いて塗布した後、加熱・乾燥させる。

【0033】
スピンコーティング法によって形成される各層の膜厚および表面状態は、溶液の濃度や、その溶液の滴下量、スピンコーターの回転数によって変わる。コーティングを複数回行って層を形成するようにしてもよい。
【実施例】
【0034】
次に、本発明にかかる有機LEDの実施例について、比較例と比較しながら説明する。
【実施例】
【0035】
<サンプルの作製>
発光層13の材料にMDMO-PPVを用い、かつ封止層15の材料にUV-CMを用いた有機LEDのサンプルA(実施例)を作製した。陽極12には ITO 膜を用い、陰極16にはアルミニウム膜を用いた。
【実施例】
【0036】
比較例として、下記のサンプルBとCを作製した。なお、陽極12および陰極16の材料は、サンプルAと同じである。
(B)封止層15の材料に紫外線硬化型シルセスキオキサンを用いた。
(C)封止層15を設けず、発光層14の上に陰極16を直接形成した。
【実施例】
【0037】
サンプルBに用いた紫外線硬化型シルセスキオキサン(以降、「UV-SQs」という)は、SQ骨格(無機領域)に光重合性基(有機領域)を導入した有機無機ハイブリッド材料である。今回使用したUV-SQsは、東亞合成株式会社製の「MAC-SQ HDM」という製品である。
【実施例】
【0038】
MAC-SQ HDMは様々な骨格を持っている。例えば、はしご型、完全カゴ型、不完全カゴ型である。またMAC-SQ HDMは、光重合性基としてラジカル重合性のメタクリロイル基を有している。光重合性基が反応して分子間架橋(紫外線硬化)が進むと、有機の領域と無機の領域とが分子レベルで複合化したような有機無機ハイブリッド構造を構築する。
【実施例】
【0039】
次に、上述した3つのサンプルの作製条件について説明する。陽極であるITO膜がストライプ状に形成され、端にマスキングテープが貼られた洗浄済みの透明基板11上に、正孔輸送層13としてPEDOT-PSSをスピンコーターにより30 nm程度の膜厚になるよう塗布する。その後、100℃で10分間ヒーターにより、加熱・乾燥を行う。
【実施例】
【0040】
続いて、発光層14として、有機溶剤であるトルエン中にMDMO-PPVを1 wt%の割合で分散した溶液をPEDOT-PSSの薄膜上に滴下し、スピンコーティング法により、膜厚が70 nm程度になるよう塗布する。MDMO-PPVの成膜後、100℃で5分間ヒーターにより、加熱・乾燥を行う。
【実施例】
【0041】
次に、有機溶剤の 1,2-ジクロロエタンを用いて有機薄膜のエッチングを行い、陽極(ITO膜)12を露出させる。
【実施例】
【0042】
その後、サンプルAについては、予め溶剤に溶解されているUV-CMを5分程度撹拌した後、50 nm程度の膜厚となるよう塗布する。成膜後、100℃で5分間ヒーターにより、加熱・乾燥を行う。
【実施例】
【0043】
UVランプ(ミズカプランニング製)を用いて、UVを1分間照射することで、UV-CMを硬化させる。このUVランプは、主波長が365 nmでUV強度が170 mW/cm2である。UV照射時間はUVランプや材料の特性により異なる。
【実施例】
【0044】
一方、サンプルBについては、UV-SQsは粘性が高いので、薄膜化のため、エタノール(溶媒)に対して5 wt%となるよう混合する。溶媒は、発光層に用いられている材料が溶けない、もしくは溶けにくい溶媒で、UV-SQsを分散できる溶媒であれば何でもよい(例えばメタノール)。
【実施例】
【0045】
上述の溶液を撹拌後、光硬化開始剤である、下記式(化3)で示される構造式を有する2-hydroxy-2-methylpropiophenoneを全体の3 wt%混合し、撹拌を行う。出来上がった混合溶液を、スピンコーティング法により50 nm程度の膜厚となるよう塗布し、成膜後、100 ℃で5分間ヒーターにより、加熱・乾燥を行う。
【実施例】
【0046】
【化3】
JP2016126830A_000005t.gif
【実施例】
【0047】
得られたUV-SQsの薄膜は、ラフネスがかなり大きく、UV-CMに比較して、平坦な膜を形成しにくい。これに対して、UV-CMはラフネスがほぼなく、平坦な膜を形成することが容易にできる。この点もUV-CMの利点である。
【実施例】
【0048】
その後、UVランプを用いて、UVを1分間照射することで、UV-SQsを硬化させる。最後に、これらのサンプルに陰極14としてアルミニウムを蒸着する。
【実施例】
【0049】
<各種特性の測定と結果>
図2に、各サンプルの電圧-電流特性、電圧-輝度特性、ELスペクトルおよび時間経過劣化特性を測定する測定系の構成を示す。
【実施例】
【0050】
有機LED1の電流-電圧特性の測定にはソースメータ2を用いる。具体的には、サンプル1の陽極(ITO膜)12と陰極(アルミニウム膜)16に針をあてて電圧を印加し、そのときに流れる電流密度を測定する。
【実施例】
【0051】
一方、ELスペクトルの測定は、その時の発光を積分球ユニット3で集め、光ファイバ4に通してマルチチャンネル分光器5に入力する。マルチチャンネル分光器5で波長毎の光の強さを測定し、測定値をPC(パーソナルコンピュータ)6にインストールされたソフトウェアで解析し、その結果をディスプレイにグラフとして表示する。
【実施例】
【0052】
本実施例では、ソースメータ2として Keithley 製2400、積分球ユニット3として浜松ホトニクス製 A10094 、マルチチャンネル分光器5として浜松ホトニクス製 PMA-12 C10027-02 、発光効率測定ソフトウェアとして浜松ホトニクス製 U6039-06 をそれぞれ用いた。
【実施例】
【0053】
図3にサンプルA(実施例)とB(比較例)についてサンプルへの印加電圧を変えたときの電流密度と輝度の変化を示す。図中、横軸は電圧を表し、左の縦軸は輝度、右の縦軸は電流密度を表す。
【実施例】
【0054】
符号A1で示すサンプルAの電流密度は、9.5V印加時に最大となり、同時に符号A2で示す輝度が最高値14.54cd/m2を記録した。一方、符号B1で示すサンプルBの電流密度は12.5V印加時に最大となり、このとき符号B2で示す輝度は最高値2.932cd/m2であった。
【実施例】
【0055】
9.5 V印加時のサンプルAの電流密度はサンプルBの約2.5倍に向上していることから、封止層15の導電性向上により電流注入が改善されていることがわかる。また、電流密度が982 mA/cm2のときの値で比較すると、サンプルAの輝度はサンプルBの約2倍になっている。
【実施例】
【0056】
すなわち、サンプルAは、低注入電流でもサンプルBに比べて、より高い輝度を得られている。これらの結果から、封止層に導電性高分子材料を採用することにより、電流注入が改善され、輝度の向上にもつながることがわかる。
【実施例】
【0057】
図4に、各サンプルのELスペクトルを示す。サンプルAの発光ピーク波長は574 nm、サンプルBとCの発光ピーク波長は566 nmであった。
【実施例】
【0058】
サンプルに電流を注入した際の時間経過劣化特性については、サンプルA~CのELスペクトルの強度ピークが測定された波長586 nmにおけるEL強度の値をソースメータ2で15秒毎に測定した。
【実施例】
【0059】
図5に、電流注入による各サンプルの時間経過劣化特性を示す。図において、横軸は時間の経過を示し、縦軸はEL強度を示す。グラフは、各サンプルに0.04Aの電流を印加したときのEL強度の変化を示す。
【実施例】
【0060】
サンプルBおよびサンプルC(比較例)については、時価の経過と共に劣化が進行し、30秒経過時において初期の値に比べて輝度が5割低下している。
【実施例】
【0061】
これに対し、サンプルA(実施例)については、時間経過に伴う劣化が穏やかで、120秒経過時において初期の値に比べて輝度が5割まで低下している。これは、電子と正孔の再結合が穏やかであることが原因していると考えられる。
【実施例】
【0062】
なお、図5のグラフでは、いずれのサンプルも比較的短時間に有機LEDの輝度が低下しているが、これは、サンプルを密閉容器に封止せず、空気雰囲気に曝した状態で測定を行なったためであり、密閉容器に封止した場合、寿命が大幅に改善されることは言うまでもない。
【実施例】
【0063】
以上の結果から、有機LEDに封止層を設けることによって、素子の劣化を抑制して長寿命化が図られ、更に、封止層に導電性高分子材料を採用することによって電流注入が改善され、有機LEDの輝度の向上につながることがわかった。
【符号の説明】
【0064】
1 有機LED
2 ソースメータ
3 積分球ユニット
4 光ファイバ
5 マルチチャンネル分光器
6 PC
11 透明基板
12 陽極
13 正孔注入層
14 発光層
15 封止層
16 陰極
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4