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明細書 :二次元ホウ素含有シートおよびその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-185899 (P2016-185899A)
公開日 平成28年10月27日(2016.10.27)
発明の名称または考案の名称 二次元ホウ素含有シートおよびその製造方法
国際特許分類 C01B  35/02        (2006.01)
C01B  35/14        (2006.01)
FI C01B 35/02
C01B 35/14
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 27
出願番号 特願2015-218914 (P2015-218914)
出願日 平成27年11月6日(2015.11.6)
優先権出願番号 2015067282
優先日 平成27年3月27日(2015.3.27)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】近藤 剛弘
【氏名】中村 潤児
【氏名】山本 洋平
【氏名】細野 秀雄
出願人 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100106909、【弁理士】、【氏名又は名称】棚井 澄雄
【識別番号】100188558、【弁理士】、【氏名又は名称】飯田 雅人
審査請求 未請求
要約 【課題】ホウ素原子を含む原子からなる二次元ネットワークを有する二次元ホウ素含有シートおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ホウ素原子を含む原子が六角形の環状に配列し、該原子によって形成される六角形が連接してなる網目状の面構造を有し、金属原子の含有率が0.4at.%以下である二次元ホウ素含有シート。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
ホウ素原子を含む原子が六角形の環状に配列し、該原子によって形成される六角形が連接してなる網目状の面構造を有し、金属原子の含有率が0.4at.%以下であることを特徴とする二次元ホウ素含有シート。
【請求項2】
前記原子はホウ素原子のみからなることを特徴とする請求項1に記載の二次元ホウ素含有シート。
【請求項3】
前記原子のうち少なくとも1つが窒素原子であることを特徴とする請求項1に記載の二次元ホウ素含有シート。
【請求項4】
前記網目状の面構造が2層以上積層されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の二次元ホウ素含有シート。
【請求項5】
MB(但し、Mは、AlおよびMgから選択される少なくとも1種である。)型構造の二ホウ化金属を酸性溶液に投入する工程と、
前記二ホウ化金属を含む酸性溶液を濾過することにより、ホウ素原子を含む原子が六角形の環状に配列し、該原子によって形成される六角形が連接してなる網目状の面構造を有し、金属原子の含有率が0.4at.%以下である二次元ホウ素含有シートを単離する工程と、を有することを特徴とする二次元ホウ素含有シートの製造方法。
【請求項6】
前記酸性溶液は、pHが2~5であることを特徴とする請求項5に記載の二次元ホウ素含有シートの製造方法。
【請求項7】
前記酸性溶液は、エチレンジアミン四酢酸の水溶液または塩酸の水溶液であることを特徴とする請求項5または6に記載の二次元ホウ素含有シートの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元ホウ素含有シートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、原子が二次元的なネットワークをなす物質(以下、「原子ネットワーク物質」と言う。)について、新規な機能性を伴う現象が見出されている。また、原子ネットワーク物質は、機能性材料としてのポテンシャルが注目されている。原子ネットワーク物質のポテンシャルは、充分に開発されていないものの、他の材料に比べて優れていると思われるものがある。他の材料よりも優れている原子ネットワーク物質のポテンシャルとしては、例えば、原子ネットワークへの金属原子の挿入やその選択等による機能の創生・制御、原子ネットワークの制御の柔軟性、原子ネットワークに内在する高機能性等が挙げられる。
【0003】
また、原子ネットワーク物質は、ネットワーク構造によって金属や半導体的や絶縁体の母体を形成する。原子ネットワークへの金属原子の挿入により、電荷の移動が起こり、電子的な性質の制御が可能である。
例えば、ホウ素の二次元グラファイト面を有するMB(Mは金属元素)型の物質は、挿入する金属原子を選択することにより、比較的高温で超電導性を示すことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Jun Nagamatsu,Norimasa Nakagawa,Takahiro Muranaka,Yuji Zenitani & Jun Akimitsu,“Supercondutivity at 39 K in magnesium diboride”,Nature 410(2001)63-64.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
炭素原子のみが二次元ネットワークをなすグラフェンは、シリコンよりも優れた電気伝導性と鉄よりも優れた強度を有し、半導体材料や二次電池の電極材料を初めとして、様々な分野への応用が期待されている。また、ホウ素原子が二次元ネットワークをなす二次元ホウ素シートも、グラフェンと同様の性質を有することが期待される。しかしながら、従来、二次元ホウ素シートの製造方法は確立されておらず、二次元ホウ素シートを製造することはできなかった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ホウ素原子を含む原子からなる二次元ネットワークを有する二次元ホウ素含有シートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の二次元ホウ素含有シートは、ホウ素原子を含む原子が六角形の環状に配列し、該原子によって形成される六角形が連接してなる網目状の面構造を有し、金属原子の含有率が0.4at.%以下であることを特徴とする。
【0008】
本発明の二次元ホウ素含有シートにおいて、前記原子はホウ素原子のみからなることが好ましい。
【0009】
本発明の二次元ホウ素シートにおいて、前記原子のうち少なくとも1つが窒素原子であることが好ましい。
【0010】
本発明の二次元ホウ素含有シートにおいて、前記網目状の面構造が2層以上積層されていてもよい。
【0011】
本発明の二次元ホウ素含有シートの製造方法は、MB(但し、Mは、AlおよびMgから選択される少なくとも1種である。)型構造の二ホウ化金属を酸性溶液に投入する工程と、前記二ホウ化金属を含む酸性溶液を濾過することにより、ホウ素原子を含む原子が六角形の環状に配列し、該原子によって形成される六角形が連接してなる網目状の面構造を有し、金属原子の含有率が0.4at.%以下である二次元ホウ素含有シートを単離する工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の二次元ホウ素含有シートの製造方法において、前記酸性溶液は、pHが2~5であることが好ましい。
【0013】
本発明の二次元ホウ素含有シートの製造方法において、前記酸性溶液は、エチレンジアミン四酢酸の水溶液または塩酸の水溶液であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電界効果トランジスタの基幹材料、触媒の担体材料、電池材料等として利用可能であり、ホウ素原子を含む原子からなる二次元ネットワークを有する二次元ホウ素含有シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の二次元ホウ素含有シートの分子構造を示す模式図である。
【図2】実験例1におけるX線光電子分光分析の結果を示す図である。
【図3】実験例2におけるX線光電子分光分析の結果を示す図である。
【図4】実験例3におけるX線回折の結果を示す図である。
【図5】実験例4におけるX線回折の結果を示す図である。
【図6】実験例5における混合溶液の調製直後の状態を示す写真である。
【図7】実験例5における混合溶液の調製1時間後の状態を示す写真である。
【図8】実験例5における混合溶液の調製2時間後の状態を示す写真である。
【図9】実験例5における混合溶液の調製3時間後の状態を示す写真である。
【図10】実験例5における混合溶液の調製5時間後の状態を示す写真である。
【図11】実験例5における混合溶液の調製48時間後の状態を示す写真である。
【図12】実験例5における混合溶液の調製96時間後の状態を示す写真である。
【図13】実験例5における混合溶液の調製144時間後の状態を示す写真である。
【図14】実験例5における混合溶液の調製168時間後の状態を示す写真である。
【図15】実験例5における混合溶液の調製192時間後の状態を示す写真である。
【図16】実験例5における混合溶液の調製246時間後の状態を示す写真である。
【図17】実験例5における混合溶液の調製312時間後の状態を示す写真である。
【図18】実験例6における電子線マイクロアナライザによる組成分析の結果を示す図である。
【図19】実験例7における透過型電子顕微鏡像である。
【図20】実験例7における透過型電子顕微鏡像である。
【図21】実験例7における透過型電子顕微鏡像である。
【図22】実験例7における透過型電子顕微鏡像である。
【図23】実験例8における透過型電子顕微鏡像である。
【図24】実験例8における二次元シートの断面解析の結果を示す図である。
【図25】実験例9における透過型電子顕微鏡像である。
【図26】実験例9における二次元シートの周期構造の解析の結果を示す図である。
【図27】実験例10における透過型電子顕微鏡像である。
【図28】実験例10における透過型電子顕微鏡像である。
【図29】実験例10における透過型電子顕微鏡像である。
【図30】実験例10における透過型電子顕微鏡像である。
【図31】実験例11における走査型透過電子顕微鏡像である。
【図32】実験例11における電子線エネルギー損失分光の結果を示す図である。
【図33】実験例11における電子線エネルギー損失分光の結果を示す図である。
【図34】実験例11における電子線エネルギー損失分光の結果を示す図である。
【図35】実験例11における赤外吸収スペクトル測定の結果を示す図である。
【図36】実験例12における質量分析の結果を示す図である。
【図37】実験例12における質量分析の結果を示す図である。
【図38】実験例13における水素ガスの発生量の測定の結果を示す図である。
【図39】実験例13における水素ガスの発生経過の状態を示す写真である。
【図40】実験例14における走査型透過電子顕微鏡像である。
【図41】実験例14における電子線エネルギー損失分光の結果を示す図である。
【図42】実験例14における電子線エネルギー損失分光の結果を示す図である。
【図43】実験例14における電子線エネルギー損失分光の結果を示す図である。
【図44】実験例14における電子線エネルギー損失分光の結果を示す図である。
【図45】実験例14における電子線エネルギー損失分光の結果を示す図である。
【図46】実験例14における電子線エネルギー損失分光の結果を示す図である。
【図47】実験例14における電子線エネルギー損失分光の結果を示す図である。
【図48】実験例14における電子線エネルギー損失分光の結果を示す図である。
【図49】実験例15における走査型透過電子顕微鏡像である。
【図50】実験例15におけるエネルギー分散型X線分析の結果を示す図である。
【図51】実験例15におけるエネルギー分散型X線分析の結果を示す図である。
【図52】実験例15におけるエネルギー分散型X線分析の結果を示す図である。
【図53】実験例15におけるエネルギー分散型X線分析の結果を示す図である。
【図54】実験例15におけるエネルギー分散型X線分析の結果を示す図である。
【図55】実験例15におけるエネルギー分散型X線分析の結果を示す図である。
【図56】実験例16におけるX線回折の温度依存性の結果を示す図である。
【図57】実験例17におけるX線光電子分光分析の温度依存性の結果を示す図である。
【図58】実験例17におけるX線光電子分光分析の温度依存性の結果を示す図である。
【図59】実験例17におけるX線光電子分光分析の温度依存性の結果を示す図である。
【図60】実験例18における透過型電子顕微鏡像である。
【図61】実験例18における透過型電子顕微鏡像である。
【図62】実験例18における透過型電子顕微鏡像である。
【図63】実験例18における透過型電子顕微鏡像である。
【図64】実験例18における走査型透過電子顕微鏡像である。
【図65】実験例18における走査型透過電子顕微鏡像である。
【図66】実験例18における走査型透過電子顕微鏡像である。
【図67】実験例18における走査型透過電子顕微鏡像である。
【図68】実験例19における透過型電子顕微鏡像である。
【図69】実験例19における透過型電子顕微鏡像である。
【図70】実験例19における透過型電子顕微鏡像である。
【図71】実験例19における透過型電子顕微鏡像である。
【図72】実験例19における透過型電子顕微鏡像である。
【図73】実験例19における透過型電子顕微鏡像である。
【図74】実験例19における透過型電子顕微鏡像である。
【図75】実験例19における透過型電子顕微鏡像である。
【図76】実験例19における電子線エネルギー損失分光の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の二次元ホウ素含有シートおよびその製造方法の実施の形態について説明する。

【0017】
[二次元ホウ素含有シート]
本実施形態の二次元ホウ素含有シートは、ホウ素原子を含む原子が六角形の環状に配列し、その原子によって形成される六角形が連接してなる網目状の面構造を有し、金属原子の含有率が0.4at.%以下である。ここで、ホウ素原子を含む原子は、少なくともホウ素原子を含み、ホウ素原子以外の原子を含んでいてもよい。ホウ素原子以外の原子としては、例えば、窒素原子が挙げられる。すなわち、ホウ素原子を含む原子は、ホウ素原子のみから構成されていてもよいし、ホウ素原子と窒素原子から構成されていてもよい。

【0018】
本実施形態の二次元ホウ素含有シートを形成する原子がホウ素原子のみである場合、本実施形態の二次元ホウ素含有シートは、例えば、図1に示すように、少なくとも一部において、ホウ素原子Bが、ベンゼン環のような六角形の環状を形成するとともに、その六角形の頂点に存在しており、ホウ素原子Bによって形成される六角形が隙間なく連接して、網目状の面構造(二次元構造)をなしている。
本実施形態の二次元ホウ素含有シートを形成する原子がホウ素原子と窒素原子から構成される場合、本実施形態の二次元ホウ素含有シートは、例えば、図1に示すホウ素原子Bの少なくとも1つ(例えば、図1に示すホウ素原子B1)が窒素原子となり、ホウ素原子Bと窒素原子が、ベンゼン環のような六角形の環状を形成するとともに、その六角形の頂点に存在しており、ホウ素原子Bと窒素原子によって形成される六角形が隙間なく連接して、網目状の面構造(二次元構造)をなしている。
本実施形態の二次元ホウ素含有シートにおいて、ホウ素原子Bのみからなる六角形の網目状、および、ホウ素原子Bと窒素原子からなる六角形の網目状とは、例えば、ハニカム状のことを言う。

【0019】
このような本実施形態の二次元ホウ素含有シートは、少なくとも一部において、ホウ素原子Bのみからなる二次元ネットワーク、または、ホウ素原子Bと窒素原子からなる二次元ネットワークを有する薄膜状の物質である。また、本実施形態の二次元ホウ素含有シートは、後述する本実施形態の二次元ホウ素含有シートの製造方法に用いられる二ホウ化金属に由来する金属原子、または、その他の金属原子をほとんど含まない。
なお、本実施形態の二次元ホウ素含有シートを形成する原子がホウ素原子のみである場合、本実施形態の二次元ホウ素含有シートにおいて、上記の網目状の面構造を形成するホウ素原子は、500個以上である。また、本実施形態の二次元ホウ素含有シートを形成する原子がホウ素原子と窒素原子から構成される場合、本実施形態の二次元ホウ素含有シートにおいて、上記の網目状の面構造を形成するホウ素原子と窒素原子の総数は、500個以上である。

【0020】
図1に示す、隣り合う2つのホウ素原子B間(ホウ素原子B1とホウ素原子B2の間)の結合距離dは、0.138nm~0.150nmである。また、図1に示す、1つのホウ素原子B(ホウ素原子B4)を介して、隣り合う2つのホウ素原子B間(ホウ素原子B3とホウ素原子B5の間)の直線距離dは、0.24nm~0.26nmである。
また、例えば、図1に示すホウ素原子B1が窒素原子である場合、隣り合うホウ素原子Bと窒素原子の間(窒素原子B1とホウ素原子B2の間)の結合距離dは、0.138nm~0.150nmである。また、図1に示す、1つのホウ素原子B(ホウ素原子B4)を介して、隣り合う2つのホウ素原子B間(ホウ素原子B3とホウ素原子B5の間)の直線距離dは、0.24nm~0.26nmである。

【0021】
本実施形態の二次元ホウ素含有シートの厚さは、0.3nm~300nmである。
本実施形態の二次元ホウ素含有シートの大きさ(面積)は、特に限定されず、後述する本実施形態の二次元ホウ素含有シートの製造方法によって、任意の大きさに形成することができる。

【0022】
本実施形態の二次元ホウ素含有シートは、ホウ素原子のみからなることが好ましい。すなわち、本実施形態の二次元ホウ素含有シートは、ホウ素原子が六角形の環状に配列し、そのホウ素原子によって形成される六角形が連接してなる網目状の面構造のみからなることが好ましい。
また、本実施形態の二次元ホウ素含有シートは、ホウ素原子と窒素原子からなることが好ましい。すなわち、本実施形態の二次元ホウ素含有シートは、ホウ素原子と窒素原子が六角形の環状に配列し、そのホウ素原子と窒素原子によって形成される六角形が連接してなる網目状の面構造のみからなることが好ましい。

【0023】
本実施形態の二次元ホウ素含有シートにおいて、上記の網目状の面構造が2層以上積層されていてもよい。

【0024】
本実施形態の二次元ホウ素含有シートは、金属原子の含有率が0.4at.%以下である。本実施形態の二次元ホウ素含有シートが金属原子を含む場合、その金属原子は、後述する本実施形態の二次元ホウ素含有シートの製造方法において用いられる二ホウ化金属に含まれる金属である。すなわち、本実施形態の二次元ホウ素含有シートが金属原子を含む場合、その金属原子は、特定の製造方法を経ることによって含まれてしまう不純物である。
この金属原子としては、AlおよびMgから選択される少なくとも1種である。

【0025】
このような本実施形態の二次元ホウ素含有シートは、結晶構造を有する物質である。また、本実施形態の二次元ホウ素含有シートでは、六角形の環を形成するホウ素原子間、および、ホウ素原子と窒素原子の間の結合力が強いものの、結晶面(六角形(網目)に沿う面)では、ホウ素原子間、および、ホウ素原子と窒素原子の間の結合力が弱い。そのため、本実施形態の二次元ホウ素含有シートが複数積層されてなる結晶(凝集体)は、グラファイトと同様に結晶面に沿って割れやすい(劈開しやすい)。

【0026】
本実施形態の二次元ホウ素含有シートは、電界効果トランジスタの基幹材料、触媒の担体材料、電池材料等として利用することができる。

【0027】
[二次元ホウ素含有シートの製造方法]
本実施形態の二次元ホウ素含有シートの製造方法は、MB(但し、Mは、AlおよびMgから選択される少なくとも1種である。)型構造の二ホウ化金属を酸性溶液に投入する第1の工程と、第1の工程の後、その二ホウ化金属を含む酸性溶液(後述する混合溶液)を濾過することにより、ホウ素原子を含む原子が六角形の環状に配列し、その原子によって形成される六角形が連接してなる網目状の面構造を有し、金属原子の含有率が0.4at.%以下である二次元ホウ素含有シートを単離する第2の工程と、を有する方法である。

【0028】
MB型構造の二ホウ化金属としては、六角形の環状の構造を有するものが用いられ、具体的には、二ホウ化アルミニウム(AlB)、二ホウ化マグネシウム(MgB)が用いられる。酸性溶液に浸漬することにより、ホウ素原子のみからなる二次元ネットワーク、または、ホウ素原子と窒素原子からなる二次元ネットワークを有する二次元ホウ素含有シートを短時間で単離できることから、二ホウ化マグネシウムを用いることが好ましい。

【0029】
酸性溶液としては、特に限定されず、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の水溶液、塩酸(HCl)の水溶液等が用いられる。

【0030】
酸性溶液は、pHが2~5であることが好ましい。酸性溶液のpHが2~5であれば、酸性溶液に二ホウ化金属を投入(浸漬)することにより、上述の結晶構造を有する二次元ホウ素含有シートが得られる。

【0031】
第1の工程では、酸性溶液に二ホウ化金属を投入し、酸性溶液と二ホウ化金属からなる混合溶液を静置または撹拌し、酸性溶液に含まれていた酸と、二ホウ化金属とを充分に接触させる。これにより、二ホウ化金属から金属原子が脱離し、ホウ素原子のみによって形成される六角形の環状の構造、または、ホウ素原子と窒素原子によって形成される六角形の環状の構造が残り、少なくとも一部において、ホウ素原子のみによって形成される六角形、または、ホウ素原子と窒素原子によって形成される六角形が連接してなる網目状の面構造を有する二次元ホウ素含有シートが生成する。なお、この第1の工程では、二ホウ化金属から金属原子が脱離するが、その金属原子は再びホウ素原子と結合して、二次元ホウ素含有シートを構成することはない。
第1の工程では、混合液に超音波等を加えることなく、二ホウ化金属から金属原子が脱離する反応を、穏やかに進めることが好ましい。

【0032】
混合溶液を静置する場合、静置する時間は、特に限定されないが、例えば、700分~1500分とする。
混合溶液を静置する場合、混合溶液の温度は、15℃~35℃であることが好ましい。

【0033】
混合溶液を撹拌する場合、混合溶液の温度は、15℃~35℃であることが好ましい。

【0034】
第2の工程では、静置または撹拌が終了した混合溶液を濾過する。
混合溶液の濾過方法は、特に限定されず、例えば、自然濾過、減圧濾過、加圧濾過、遠心濾過等の方法が用いられる。また、濾材としては、例えば、セルロースを基材とする濾紙、メンブランフィルター、セルロースやグラスファイバー等を圧縮成型した濾過板等が用いられる。

【0035】
濾過により回収された生成物は、自然乾燥するか、または、加熱により乾燥する。
この生成物は、ホウ素原子が六角形の環状に配列し、そのホウ素原子のみによって形成される六角形が連接してなる網目状の面構造を有し、金属原子の含有率が0.4at.%以下である二次元ホウ素含有シートである。また、この生成物は、ホウ素原子と窒素原子が六角形の環状に配列し、そのホウ素原子と窒素原子によって形成される六角形が連接してなる網目状の面構造を有し、金属原子の含有率が0.4at.%以下である二次元ホウ素含有シートである。

【0036】
本実施形態の二次元ホウ素含有シートの製造方法によって得られた、生成物の分析方法としては、例えば、X線光電子分光分析法(X-ray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)および透過型電子顕微鏡内で行うエネルギー分散型X線分析(Energy dispersive X-ray Spectroscopy、EDS)と電子エネルギー損失分光(Electron energy loss Spectroscopy、EELS)による観察等が挙げられる。

【0037】
X線光電子分光分析法(XPS)では、例えば、日本電子(JEOL)社製のX線光電子分光分析装置(商品名:JPS9010TR)を用いて、生成物の表面にX線を照射し、そのときに生じる光電子のエネルギーを測定することによって、生成物の構成元素とその電子状態を分析する。この分析において、原料の二ホウ化金属を構成する金属元素に起因する光電子のエネルギーがほとんど検出されず、ホウ素に起因する光電子のエネルギーのみが検出されれば、生成物はホウ素のみから構成されていると言える。また、この分析において、原料の二ホウ化金属を構成する金属元素に起因する光電子のエネルギーがほとんど検出されず、ホウ素と窒素に起因する光電子のエネルギーのみが検出されれば、生成物はホウ素と窒素から構成されていると言える。

【0038】
透過型電子顕微鏡(TEM)による観察では、例えば、日本電子(JEOL)社製の透過型電子顕微鏡(商品名:JEM-2100F TEM/STEM)を用いて、生成物を観察することにより、生成物の形状(外観)等を分析する。この分析において、膜状(シート状)の物質が観察されれば、生成物は二次元的なシート状の物質であると言える。透過型電子顕微鏡内において、エネルギー分散型X線分析(EDS)を行うことにより、生成物のTEM観察した部位における金属元素の存在の有無を観察できる。この分析において、原料の二ホウ化金属を構成する金属元素に起因するX線のエネルギーがほとんど検出されず、金属元素(例えば、Mg)のピークが現われなければ、金属元素が存在しないと言える。また、透過型電子顕微鏡内において、電子エネルギー損失分光(EELS)を行うことにより、生成物のTEM観察した部位における構成元素を観察できる。この分析において、ホウ素に起因するX線エネルギーのみが検出されれば、生成物はホウ素のみから構成されていると言える。また、この分析において、ホウ素と窒素に起因するX線エネルギーが検出されれば、生成物はホウ素と窒素から構成されていると言える。

【0039】
本実施形態の二次元ホウ素含有シートの製造方法によれば、上述の二次元ホウ素含有シートを容易に生成することができる。
なお、原料のMB型構造の二ホウ化金属の大きな結晶を用いることにより、より大面積の二次元ホウ素含有シートを製造することができる。
【実施例】
【0040】
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0041】
「実験例1」
二ホウ化マグネシウム(レアメタリック社製)のX線光電子分光(XPS)分析を行った。
X線光電子分光分析の分析装置として、日本電子(JEOL)社製のX線光電子分光分析装置(商品名:JPS9010TR)を用いた。X線光電子分光分析の結果を図2に示す。
【実施例】
【0042】
「実験例2」
EDTA・2Na(同仁化学研究所社製)20.00gを、蒸留水1Lに加えて、ガラス棒で撹拌し、EDTA・2Naの水溶液(酸性溶液)を調製した。このEDTA・2Naの水溶液のpHは4.5±0.2であった。
次いで、EDTA・2Naの水溶液に、二ホウ化マグネシウム(純度:99%、レアメタリック社製)2.00gを加えて、ガラス棒で撹拌し、二ホウ化マグネシウム(MgB)とEDTA・2Naの混合溶液を調製した。
この混合溶液を25℃にて312時間放置した後、この混合溶液を、孔径0.025μmのメンブレンフィルターで濾過し、沈殿物を抽出した。
得られた沈殿物について、実験例1と同様にして、X線光電子分光分析を行った。結果を図3に示す。
【実施例】
【0043】
図3の結果から、実験例2の沈殿物は、マグネシウム(Mg)の含有量が極めて少なく、窒素(N)を含んでいることが分かった。
なお、図2の結果において、51.3eVにMg2pのピーク、188.2eVにB1sのピーク、193.2eVにMgBの表面を覆っているBのピークが現われている。これは、典型的な市販のMgBのX線光電子分光分析の結果と一致する。
【実施例】
【0044】
「実験例3」
実験例1で使用したものと同一の二ホウ化マグネシウムのX線回折(XRD)を行った。
X線回折装置として、XRD装置(商品名:PW3050 Philips、PANalytical社製)を用いた。X線回折の結果を図4に示す。
【実施例】
【0045】
「実験例4」
実験例3と同様にして、実験例2で得られた沈殿物のX線回折(XRD)を行った。X線回折の結果を図5に示す。
【実施例】
【0046】
図4および図5の結果から、EDTA処理後の沈殿物には、MgBの成分がなくなり、0.334nmの周期性を有する物質が生成していることが分かった。なお、この0.334nmの周期性は、後述するように、沈殿物が二次元シートをなし、その二次元シートが複数枚積層されている場合、それら二次元シート同士の層間距離に対応する。
【実施例】
【0047】
「実験例5」
実験例2で調製した二ホウ化マグネシウムとEDTA・2Naの混合溶液を25℃にて放置した。混合溶液の調製直後、調製から1時間後、2時間後、3時間後、5時間後、48時間後、96時間後、144時間後、168時間後、192時間後、246時間後、312時間後において、混合溶液の状態を写真撮影するとともに、混合溶液の変化を目視により観察した。結果を図6~図17に示す。なお、図6は混合溶液の調製直後、図7は1時間後、図8は2時間後、図9は3時間後、図10は5時間後、図11は48時間後、図12は96時間後、図13は144時間後、図14は168時間後、図15は192時間後、図16は246時間後、図17は312時間後を示す。図6~図17の結果から、時間の経過に伴って、混合溶液の固液分離が進み、混合溶液中の沈殿物の生成量が増加することが分かった。
【実施例】
【0048】
「実験例6」
実験例2で得た沈殿物について、電子線マイクロアナライザ(EPMA)(商品名:JXA-8530F、日本電子(JEOL)社製)を用いて、組成分析(元素分析)を行った。組成分析は、Si基板上に散布した試料を装置に導入して計測した。ホウ素、窒素、炭素、マグネシウム、酸素、ナトリウムそれぞれの信号強度は、BN、AlN、Carbon、MgO、NaAlSiを標準試料として用いて校正した。
結果を図18に示す。図18において、縦軸は各元素の含有率(at.%、atomic percent、原子パーセント)、横軸は試料番号を示す。分析の結果、マグネシウム(Mg)の含有率の平均値は0.4at.%と極めて少ないことが分かった。すなわち、沈殿物には、マグネシウムがほとんど含まれていないことが分かった。図18に示す棒グラフの表示は、上からマグネシウム(Mg)、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)、ホウ素(B)である。
【実施例】
【0049】
「実験例7」
実験例2で得た沈殿物について、日本電子(JEOL)社製の透過型電子顕微鏡(商品名:JEM-2100F TEM/STEM)による観察を行った。観察結果を、図19~図22に示す。
図19の結果から、得られた沈殿物は二次元シートを形成し、かつ、各シートが1枚ずつ剥離可能な状態で存在していると考えられる。図20の結果から、得られた二次元シートは柔軟性があると考えられる。図21の結果から、この透過型電子顕微鏡像は1枚の二次元シートを示しているものと考えられる。図22の結果から、この透過型電子顕微鏡像は2枚の二次元シートが重なっている状態を示しているものと考えられる。
【実施例】
【0050】
「実験例8」
実験例2で得た沈殿物について、日本電子(JEOL)社製の透過型電子顕微鏡(商品名:JEM-2100F TEM/STEM)による観察を行った。観察結果を、図23に示す。図23の結果から、得られた沈殿物は二次元シートを形成し、かつ、各シートが1枚ずつ剥離可能な状態で存在していると考えられる。
図23に示すA-B線に沿った画像解析により、二次元シートの断面解析を行った。結果を図24に示す。図24の結果から、層間距離が0.335nmであることが見積もられた。これは、実験例4におけるX線回折によって得られた層間距離0.334nmに対応することが分かった。
【実施例】
【0051】
「実験例9」
実験例2で得た沈殿物について、日本電子(JEOL)社製の透過型電子顕微鏡(商品名:JEM-2100F TEM/STEM)による観察を行った。観察結果を、図25に示す。図25の結果から、得られた沈殿物は二次元シートを形成し、その二次元シートが六角形の網目状の構造(ハニカム状の構造)の周期構造を有していることが分かった。
図25に示すC-D線に沿った画像解析により、二次元シートの周期構造の解析を行った。結果を図26に示す。図26の結果から、この二次元シートは、0.245nmの周期で、六角形の網目状の構造(ハニカム状の構造)を有していることが分かった。
【実施例】
【0052】
「実験例10」
実験例2で得た沈殿物について、日本電子(JEOL)社製の透過型電子顕微鏡(商品名:JEM-2100F TEM/STEM)による観察を行った。観察結果を、図27~図30に示す。図27~図30の結果から、得られた沈殿物は二次元シートを形成し、その二次元シートの端部を観察すると、二次元シートが複数枚積層されていることが分かった。
【実施例】
【0053】
「実験例11」
実験例2で得た沈殿物について、日本電子(JEOL)社製の走査型透過電子顕微鏡(STEM)(商品名:JEM-2100F TEM/STEM)による観察および電子線エネルギー損失分光を行った。観察結果を、図31に示す。また、この沈殿物に関する電子線エネルギー損失分光の結果を図32~図34に示す。図31の結果から、p1で示すように皺が寄って型崩れした物質と、p2で示すようにシート状の物質が観察された。また、図32の結果から、p1で示す皺が寄って型崩れした物質は、ホウ素のみで構成されていることが分かった。また、図33および図34の結果から、p2で示すシート状の物質は、ホウ素と窒素で構成されていることが分かった。
また、実験例2で得た沈殿物について、日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)(商品名:FT/IR-300)により、赤外吸収スペクトルを測定した。結果を図35に示す。図35の結果から、1370cm-1に、BN伸縮振動の吸収ピークが観測された。また、図33に示すように、ホウ素のsp2構造を示す191eVの電子線エネルギー損失分光のピークが観測されたことから、走査型透過電子顕微鏡で観察された六角形の網目状の構造は、ホウ素と窒素を含むことが分かった。これは、密度汎関数理論(DFT)計算で示される六方晶窒化ホウ素(hBN)にホウ素のドメインが含まれる構造で実験結果をよく再現できる。
【実施例】
【0054】
「実験例12」
実験例2と同様にして、EDTA・2Naの水溶液を調製した。
この水溶液について、質量分析を行った。
質量分析装置として、SYNAPT G2 HDMS装置(Waters社製)を用いた。質量分析の結果を図36に示す。図36の結果から、EDTAに起因するピーク(291)が観測された。
また、上記のEDTA・2Naの水溶液を用い、実験例2と同様にして、沈殿物を抽出した。
この沈殿物について、水溶液の場合と同様にして、質量分析を行った。結果を図37に示す。図37の結果から、EDTA以外に起因するピーク(313、423、425、497、499、571、573、645、647、719、721、793、795、867、869、941)が観測された。
【実施例】
【0055】
「実験例13」
実験例2と同様にして調製したEDTA・2Naの水溶液に、実験例2と同様にして、二ホウ化マグネシウムを加えて、混合溶液を調製した。混合溶液の調製直後、調製開始からガスが50ml溜まる毎に、混合溶液から発生する水素ガスの発生量を測定した。また、混合溶液の状態を写真撮影するとともに、混合溶液の変化を目視により観察した。結果を図38および図39に示す。図38および図39において、(1)は混合溶液の調製直後、(2)は調製から約55分後、(3)は調製から約100分後、(4)は調製から約250分後、(5)は調製から約300分後、(6)は調製から約490分後、(7)は調製から約600分後を示す。
【実施例】
【0056】
「実験例14」
実験例2で得た沈殿物について、日本電子(JEOL)社製の走査型透過電子顕微鏡(STEM)(商品名:JEM-2100F TEM/STEM)による観察および電子線エネルギー損失分光を行った。観察結果を、図40に示す。また、この沈殿物に関する電子線エネルギー損失分光の結果を図41~図48に示す。なお、図41は図40に示す「1」に対応し、図42は図40に示す「2」に対応し、図43は図40に示す「3」に対応し、図44は図40に示す「4」に対応し、図45は図40に示す「5」に対応し、図46は図40に示す「6」に対応し、図47は図40に示す「7」に対応し、図48は図40に示す「8」に対応する。図41~図48の結果から、図40に示す「1」~「8」の位置の物質は、ホウ素と窒素で構成されていることが分かった。
図41~図48に示す結果と、標準試料の六方晶窒化ホウ素とを比較して、図40に示す「1」~「8」の位置の物質についてB/N比を算出した。結果を表1に示す。
【実施例】
【0057】
【表1】
JP2016185899A_000003t.gif
【実施例】
【0058】
「実験例15」
実験例2で得た沈殿物について、日本電子(JEOL)社製の走査型透過電子顕微鏡(STEM)(商品名:JEM-2100F TEM/STEM)による観察を行った。観察結果を、図49に示す。また、実験例2で得た沈殿物について、日本電子(JEOL)社製のエネルギー分散型X線分析(EDS)装置(商品名:JEM-2100F TEM/STEM)によるエネルギー分散型X線分析を行った。結果を図50~図55に示す。なお、図50は図49に示す「11」に対応し、図51は図49に示す「12」に対応し、図52は図49に示す「13」に対応し、図53は図49に示す「14」に対応し、図54は図49に示す「15」に対応し、図55は図49に示す「16」に対応する。図50~図55の結果から、図49に示す「11」~「16」の位置の物質は、ホウ素と窒素で構成されていることが分かった。
【実施例】
【0059】
「実験例16」
実験例2で得た沈殿物について、X線回折(XRD)の温度依存性を調べた。
X線回折装置としては、実験例2と同様のものを用い、測定温度を、307K、473K、673K、773Kとした。結果を図56に示す。図56の結果から、773Kでも二次元シートの0.334nmに起因するピークが残っており、沈殿物に含まれる二次元シートは、773Kでも熱的に安定であることが分かった。
【実施例】
【0060】
「実験例17」
実験例2で得た沈殿物について、X線光電子分光(XPS)分析の温度依存性を調べた。
X線光電子分光分析の分析装置としては、実験例1と同様のものを用い、測定温度を、307K、523K、773Kとした。結果を図57~図59に示す。図57~図59の結果から、六方晶窒化ホウ素のB1sとN1sのエネルギー差と同じエネルギー差であるN1s(399.1eV)とB1s(191.4eV)の成分が残っていることから、沈殿物に含まれる二次元シートは、773Kでも熱的に安定であることが分かった。
【実施例】
【0061】
「実験例18」
二ホウ化マグネシウム(レアメタリック社製)を純水に分散し、その分散液を濾過して、二ホウ化マグネシウムを回収した。
回収した二ホウ化マグネシウムについて、実験例7と同様にして、透過型電子顕微鏡による観察を行った。観察結果を、図60~図63に示す。
また、回収した二ホウ化マグネシウムについて、日本電子(JEOL)社製の走査型電子顕微鏡(商品名:JEM-2100F TEM/STEM)による観察を行った。観察結果を、図64~図67に示す。
図60~図67の結果から、100μm程度の広い二次元シートが形成していることが分かった。
【実施例】
【0062】
「実験例19」
pHが3.0の塩酸の水溶液(酸性溶液)を調製した。
次いで、塩酸の水溶液に、二ホウ化マグネシウム(純度:99%、レアメタリック社製)2.00gを加えて、ガラス棒で撹拌し、二ホウ化マグネシウムと塩酸の混合溶液を調製した。
この混合溶液を25℃にて170時間放置した後、この混合溶液を、孔径0.025μmのメンブレンフィルターで濾過し、沈殿物を抽出した。
得られた沈殿物について、実験例7と同様にして、透過型電子顕微鏡による観察を行った。観察結果を、図68~図75に示す。図68~図75の結果から、沈殿物には二次元シートが含まれるものの、観察中に照射される電子線により、皺が寄って型崩れすることが分かった。
【実施例】
【0063】
「実験例20」
実験例19で得た沈殿物について、実験例11と同様にして、電子線エネルギー損失分光を行った。結果を図76に示す。図76の結果から、ホウ素に起因する180eV~200eVのピークが検出され、窒素に起因する400eVのピークが検出されなかった。したがって、得られた沈殿物は、窒素が存在せず、ホウ素のみから構成されることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の二次元ホウ素含有シートは、電界効果トランジスタの基幹材料、触媒の担体材料、電池材料等として利用可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図18】
5
【図24】
6
【図26】
7
【図32】
8
【図33】
9
【図34】
10
【図35】
11
【図36】
12
【図37】
13
【図38】
14
【図41】
15
【図42】
16
【図43】
17
【図44】
18
【図45】
19
【図46】
20
【図47】
21
【図48】
22
【図50】
23
【図51】
24
【図52】
25
【図53】
26
【図54】
27
【図55】
28
【図56】
29
【図57】
30
【図58】
31
【図59】
32
【図76】
33
【図6】
34
【図7】
35
【図8】
36
【図9】
37
【図10】
38
【図11】
39
【図12】
40
【図13】
41
【図14】
42
【図15】
43
【図16】
44
【図17】
45
【図19】
46
【図20】
47
【図21】
48
【図22】
49
【図23】
50
【図25】
51
【図27】
52
【図28】
53
【図29】
54
【図30】
55
【図31】
56
【図39】
57
【図40】
58
【図49】
59
【図60】
60
【図61】
61
【図62】
62
【図63】
63
【図64】
64
【図65】
65
【図66】
66
【図67】
67
【図68】
68
【図69】
69
【図70】
70
【図71】
71
【図72】
72
【図73】
73
【図74】
74
【図75】
75